2023年11月01日更新
合同会社の売却・事業譲渡は可能?方法や注意点を解説!
持分会社の一種である合同会社が近年増えてきています。株式会社とはさまざまな面で仕組みが違うので、売却・事業譲渡が可能かどうか、きちんと理解しておく必要があります。本記事では、合同会社の売却・事業譲渡について、方法や注意点などを解説しましょう。
目次
1. 合同会社とは
合同会社とは、会社法で定められている法人形態の一つです。会社といえば株式会社が一般的ですが、会社法ではこれ以外にも「持分会社」という法人が定められています。合同会社は持分会社の一種です。合同会社以外の持分会社には、合名会社と合資会社があります。
合同会社は、2006年に旧商法から会社法に改正された時に、旧商法の有限会社の代わりにできた法人形態です。原則として小規模な会社を想定して定められました。株式会社より設立の費用や手間がかからず、比較的自由な経営ができるのが特徴です。
しかし、近年は合同会社の形態をとる大企業が増えてきています。今後は大企業・中小企業問わず合同会社が多くなると考えられます。例を挙げると、海外ではグーグルやアマゾンなど、日本ではDMM.comや西友などが合同会社の形態です。
合同会社と株式会社の違い
合同会社と株式会社は大きく違う法人形態です。両者の違いを理解しておくことが合同会社の売却・事業譲渡においては重要となります。
細かい相違点としては、役員の任期や定款認証、決算報告の義務などいろいろありますが、最も重要な相違点は、所有と経営が分離されているかどうかです。形態が違うのに関連して、登記事項にも一部違いが出てきます。
合同会社と株式会社の違いは次のとおりです。
株式会社 | 合同会社 | |
出資者 | 株主 | 社員 |
経営の主体 | 取締役 | 業務執行社員 |
代表者 | 代表取締役 | 代表社員 |
役員の任期 | 通常2年(非公開の場合、最長10年) | 期限なし |
最高意思決定機関 | 株主総会 | 社員総会 |
出資者の責任範囲 | 間接有限責任 | 間接有限責任 |
設立費用 | 25万円程度 | 10万円程度 |
設立時の手続き | 煩雑 | 容易 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
利益配分 | 出資比率により配分(原則) | 定款で定めた分配比率により配分 |
定款変更 | 株主総会の特別決議 | 全社員の同意 |
株式譲渡の条件 | 自由(譲渡制限可能) | 全社員の同意 |
所有と経営
合同会社と株式会社の主な相違点は、出資が持分という形態をとるか株式かの違いであり、つまるところ、所有と経営が分離されているかどうかの違いです。
株式会社の出資者、つまり会社の所有者は株主であり、経営者は取締役です。取締役が同時に株主にもなれますが、基本的には株主と取締役は別であり、会社の所有者と経営者は分離されています。
一方、合同会社を始めとする持分会社では、出資した人は「社員」と呼ばれます。持分会社の「社員」は株式会社で従業員を意味する社員とは別の概念で、株式会社でいう株主と取締役を兼ね備えた意味です。
つまり、合同会社に出資した人は「社員」となり、会社の所有者であるとともに経営も行うことになります。所有と経営が分離されていないのは、合同会社を始めとする持分会社の大きな特徴で、この違いが売却・事業譲渡にも影響してきます。
登記事項
合同会社と株式会社の登記事項には共通点も多いですが、株式か持分かの違いに関連して、内容が違ってくる部分もあります。例えば、合同会社は株式を発行しないので、株式会社のような発行済み株式数などの登記は行いません。
合同会社は議決権や利益の配分について別途定款に定められますが、株式会社では保有株式数に比例するので記載することはありません。そのほかの、商号や本店所在地、事業内容といった基本的な事項は、合同会社も株式会社も同じです。
合同会社と株式会社の共通点
合同会社と株式会社の共通点としては、出資者の責任範囲が出資した金額の範囲内であることが挙げられます。つまり、有限責任であるということです。
合同会社がもし倒産した場合、出資者は出資額を失うだけで、それ以上の負債を弁済する義務は負いません。これは、株式会社の株主が出資額以上の責任を負わないのと同じです。
その一方で、合同会社以外の持分会社である合名会社と合資会社は、出資者の全員または一部が無限責任を負います。つまり、もし会社が倒産した場合は、出資額以上の負債を弁済しなければならない可能性があります。
2. 合同会社の売却・事業譲渡は可能か?
合同会社の売却や事業譲渡は、株式会社と同様に可能です。持分を他人に譲渡して十分な議決権を持たせれば経営権を譲渡できます。それ以外にも、合同会社の事業を他者に事業譲渡できます。
ただし、持分と株式の仕組みの違いから、株式会社と全く同じように売却・事業譲渡できるとは限らないのが注意点です。一般に、合同会社の売却・事業譲渡は株式会社より難しいといわれています。
難しいのはあくまで仕組み上の問題であって、合同会社の売却や事業譲渡が法律で禁止や制限されているわけではありません。
3. 合同会社の売却・事業譲渡が難しい理由
合同会社の売却・事業譲渡が株式会社に比べて難しいのは、端的に言うと、持分という形態が株式に比べて売却に向いていないことが理由です。例えば、持分譲渡や株式会社への変更には社員全員の合意が必要であることは、売却が難しい理由の一つといえるでしょう。
合同会社は株式会社に比べて買収メリットが少ない傾向があり、これも売却を難しくする要因となっています。
【合同会社の売却・事業譲渡が難しい理由】
- 社員全員の持分譲渡への同意が必要
- 株式会社への組織変更が難しい
- 事業譲渡の場合も社員の半数の同意が必要
- 合同会社を買収するメリット自体が少ない
社員全員の持分譲渡への同意が必要
合同会社の売却・事業譲渡が株式会社より難しい要因として、持分を譲渡するハードルが株式より高い点が挙げられます。株式会社の株式譲渡では、株主の議決権の3分の2の賛成を得ればよいとされています。完全子会社や大株主のいる会社なら、親会社や大株主のほぼ一存で売却が可能です。
その一方で、合同会社の持分を譲渡するためには、社員全員の合意が必要になり、誰か一人でも持分譲渡に反対する社員がいると、会社を売却できません。持分譲渡のこの仕組みは、特に社員が複数いる大規模な合同会社にとっては、売却を困難にさせる要因となっています。
株式会社への組織変更が難しい
持分譲渡が難しいとなれば、合同会社を株式会社に変更してから株式譲渡する方法を考えるかもしれません。これも可能な売却方法ではありますが、合同会社から株式会社の変更も社員全員の合意が必要です。持分譲渡と比べて特に難易度が下がるわけではありません。
ただし、後の節で解説するように、合同会社の買収は買い手側にとってメリットが低いことが多いので、あらかじめ株式会社に変更してから売却する手法は、持分譲渡より有利になる可能性もあります。
事業譲渡の場合も社員の半数の同意が必要
持分譲渡が難しい合同会社において、売却する現実的な方法として事業譲渡が考えられます。事業譲渡とは、持分や株式ではなく、事業資産を直接売買する売却手法です。
この場合は持分と株式の違いによる困難をあまり感じることなく、株式会社の事業譲渡とおおむね同じように実行できます。ただし、事業譲渡も社員の半数の合意が必要です。社員が複数いる合同会社で、、実行を保証できないのが難点といえるでしょう。
合同会社を買収するメリット自体が少ない
合同会社の売却が難しい要因として、買い手にとって買収するメリットが株式会社より少ないので、そもそも買い手がつかない問題もあります。合同会社買収のメリットが少ない原因は、上場ができない、資金調達の自由度が低い、経営権を掌握しにくい、といった点です。
ほかには、所有と経営が分離できないことや、株式会社に比べて合同会社の認知度が低いことも、買収メリットを下げる要因となっています。
【合同会社を買収するメリットが少ない原因】
- 上場ができない
- 資金調達の自由度が低い
- 経営権を掌握しにくい
- 所有と経営が分離できない
- 合同会社の認知度が低い
①上場ができない
持分会社は株式を発行しないので、もちろん上場はできません。会社が発展すれば上場を目指すのは自然な流れですが、合同会社ではこれを実行できないのです。
②資金調達方法の自由度が低い
株式を発行できないのは、買い手にとって資金調達方法の自由度を下げる要因の一つとなります。株式を発行できない合同会社は、資金調達を社債や借り入れに頼ることになり、積極的な事業拡大を実行しにくい面があるでしょう。
③経営権を掌握しにくい
合同会社は、株式会社よりも買収によって経営権を掌握しにくい点があります。買い手としては、会社を買収する以上経営権を掌握したいはずですが、持分は出資額によらず議決権は原則同じです。
そのため、社員が複数いる合同会社では、持分を得たところで重要事項を自分だけの意思で決定できないケースが出てきます。
④所有と経営が分離できない
所有と経営が分離できないことも、買い手が買収しにくくなる要因です。例えば、持分を譲渡した社員は退社することになるので、退社した社員の処遇をどうするかという問題が出てきます。
そのほか、持分を譲受すると必ず社員となるので、株式会社とは違い、経営自体は取締役に任せられないのも注意点といえるでしょう。
⑤合同会社の認知度が低い
日本ではまだ合同会社の認知度が低く、融資や取引などで株式会社より不利になる可能性があります。これも買い手のメリットを下げる要因となっています。
4. 合同会社を売却する方法と必要な手続き
合同会社の売却は事業譲渡を使うのが現実的と考えられますが、事業譲渡は会社の売却ではないので、売却後も会社自体は残ることになります。合同会社を包括的に売却したい場合は、ほかの手法を使わなければなりません。
合同会社を包括的に売却する方法としては、合同会社のまま持分譲渡するか、株式会社に変更してから株式譲渡する方法が考えられます。合同会社も合併などの組織再編手法が使えるので、吸収合併で買い手側企業に吸収させることも可能です。
【合同会社を売却する方法と必要な手続き】
- 比較的難易度の低い事業譲渡を活用する
- 合同会社のまま持分譲渡する
- 株式会社へ変更してから株式譲渡を用いる
- 吸収合併を活用する
比較的難易度の低い事業譲渡を活用する
事業譲渡は、合同会社が自分の事業の一部や全部を他の会社や人に売ることを指します。これは、会社の全部ではなく、特定の事業部門だけを選んで売ることができる点で、会社全体を売る「持分譲渡」とは違います。事業を譲渡する手順は次のようになります。
- 事業譲渡に関する契約書を作成する。
- 合同会社のメンバーの半数以上から、譲渡することに賛成の意見をもらう。
- 契約書を両者で締結する。
- 決まった日に、売る事業の資産や負債を移す手続きを行う。
契約書には、どの資産や負債を移すのか、いくらで売るのか、いつ実際に譲渡するのかなどの詳細が書かれています。大きな違いは、合同会社はメンバーの半数以上の同意が必要で、株式会社では役員や株主の会議での承認が必要です。
事業譲渡では、売る事業の各資産や契約ごとに移す手続きをしなくてはならないため、計画やスケジュールをしっかりと立てることが大切です。この手続きは、買う側が事前に調査(デューデリジェンス)をして、正確に行われるべきです。
このような複雑な手続きを進める際は、税理士や会計士、弁護士などの専門家の助けを借りて、注意深く進めることをおすすめします。
合同会社のまま持分譲渡する
合同会社のまま持分譲渡するのは、包括的な売却方法としてオーソドックスな手法です。前章で持分譲渡は困難と解説しましたが、これは社員全員の合意を得なければならないのが大きな理由であるためです。
つまり、社員が一人の合同会社や、複数いても合意が得られることが明白なら、有力な選択肢になる可能性があります。持分譲渡は株式会社でいう株式譲渡にあたる取引なので、売却のスキームとしてはシンプルです。
持分譲渡の手続きは、基本的には株式譲渡の手続きに似ています。社員全員の合意を得て持分譲渡契約を締結し、クロージングした後に登記変更をして完了です。
契約書の記載内容も、基本的には株式譲渡契約書と似ています。違う点は持分に関する事項で、株式の代わりに持分の譲渡額や実行日などを記載します。
株式会社へ変更してから株式譲渡を用いる
持分譲渡の実行が難しい場合や、買い手が買収後に株式会社として経営する意向である場合は、あらかじめ株式会社に変更してから株式譲渡を用いる方法もあります。この場合は、まず合同会社から株式会社への変更手続きを行い、その後あらためて株式譲渡を実行します。
株式会社への変更も社員全員の合意が必要なので、社員が少ない合同会社のほうが実行できる可能性が高くなるでしょう。
株式会社へ変更する方法
株式会社への変更手続きは、まず「組織変更計画書」という、株式会社としての商号や事業内容などを記載した書面を作成し、内容について社員全員の合意を得ます。そして、債権者保護手続きを行った後、効力発生後に合同会社の解散登記と株式会社の設立登記を行います。
吸収合併を活用する
吸収合併とは、会社法で規定されている組織再編のための手法です。合同会社でも活用できます。
吸収合併すると、売却側の会社は買収側の会社に資産・負債や権利・義務が吸収され、買収側企業の一部となります。吸収合併後は、売却側企業の法人格は消滅するので注意が必要です。
合併には吸収合併以外に新設合併という手法もありますが、こちらは手続きが複雑な割にメリットが少なく、あまり利用されていないのが現状です。
もちろん、合同会社も新設合併を実施できます。吸収される側だけでなく、新設する会社を合同会社にすることも可能です。
吸収合併の手続きとしては、まず吸収合併契約書を作成し、その内容に関して全社員の合意が必要です。合意を得て契約が締結されたら、次は官報公告や債権者保護手続きを行い、効力が発生したら必要な登記を申請して完了となります。
5. 合同会社が事業譲渡を用いるメリットとデメリット・注意点
合同会社の売却方法には、持分譲渡や吸収合併、株式会社に移行してからの株式譲渡などがあり得ます。一般に合同会社がこれらのスキームを実行するのは難易度が高いといわれています。
これらに代わる現実的な手法として考えられるのは、事業譲渡です。合同会社を売却する際は、まず事業譲渡の可能性を検討するとよいでしょう。
ただし、事業譲渡にもメリットとデメリットがあります。ほかの手法と比較検討したうえで、適切なスキームを選択することが重要です。
メリット
合同会社が事業譲渡を用いるメリットとしては、手続きが比較的容易であること、譲渡する事業を選択できること、雇用を維持できることなどが挙げられます。
【合同会社が事業譲渡を用いるメリット】
- 持分譲渡よりも手続きが容易
- 譲渡する事業を選択できる
- 従業員の雇用を維持できる
①持分譲渡よりも手続きが容易
合同会社の持分譲渡は社員全員の合意が必要なのに対して、事業譲渡なら半数の合意で実行できます。よって、社員が複数いる合同会社の売却では、事業譲渡のほうが手続きが容易になるケースが多いです。
特に、持分譲渡に対して複数の社員間で意見が割れているような場合は、事業譲渡での売却を目指すことになるでしょう。ただし、事業譲渡は資産や権利義務を個別に売却しなければならないのが注意点です。
例えば、社員一人の合同会社が複数事業を全て売却したい場合は、事業譲渡だとかえって煩雑になる可能性もあります。
②譲渡する事業を選択できる
持分譲渡は株式会社でいう株式譲渡に近いスキームです。会社を包括的に売却することになります。
一方、事業譲渡は事業資産の売却なので、譲渡する事業を選択できるのがメリットです。事業を選択できるメリットとしては、例えば複数事業を営んでいる場合に、経営戦略によってどの事業を譲渡するか選べる点があります。
例えば、利益は安定しているが伸びしろがない事業Aと、現状赤字だが将来伸びるかもしれない事業Bがある場合、安定した経営をしたいなら事業B、事業Bを伸ばしたいなら事業Aを譲渡できます。
そのほか、買い手にとっては、簿外債務などの不要なリスクを負わなくていい点もメリットの一つです。事業譲渡は一部の事業だけでなく、全事業を売却しその資金で新事業を始めるといったことも可能です。
③従業員の雇用を維持できる
事業譲渡は、一旦締結すれば、売却後の従業員の雇用を維持しやすい面があります。持分譲渡や株式譲渡でも従業員の雇用は維持されますが、包括承継なので雇用契約の新規締結は行われません。原則として、売却前の雇用契約を引き継ぐことになります。
契約書に、誰をどのような条件で雇用するか具体的な記載をしないことも多いです。その場合、買収後に買い手が雇用を維持するかどうかは、買い手側の裁量になってしまいます。
もちろん、友好的なM&Aなら買い手は雇用維持に努めることがほとんどでしょう。しかし、なかには買収後に解雇してしまう悪質な買い手もいるといわれています。
一方、事業譲渡は事業資産や権利義務の譲渡なので、実行するためには従業員の雇用契約も買い手側で締結し直し、従業員の合意が必要です。どの範囲の従業員をどのような条件で雇用するかについても、原則として契約書に記載することになります。
買い手側が従業員を不当に解雇すると契約違反となるため、持分譲渡よりは従業員の雇用が保証されやすい点がメリットといえるでしょう。
デメリット・注意点
合同会社が事業譲渡を用いるデメリット・注意点としては、資産を個別に移転しなければならないこと、それによって譲渡後に負債が残る可能性があること、許認可は継承できないことが挙げられます。
【合同会社が事業譲渡を用いるデメリット・注意点】
- 権利義務や資産は個別に移転手続きが必要
- 事業譲渡後に負債が残る可能性がある
- 許認可は承継できない
①権利義務や資産は個別に移転手続きが必要
持分譲渡や株式譲渡と違い、事業譲渡では事業に関連する権利義務や資産・負債を個別に移転することになります。不動産・在庫・工場・取引先との契約など、全ての資産を一つずつ移転するのはかなり面倒な作業です。
合同会社は事業譲渡が便利といわれていますが、譲渡する資産の内容によっては、かえって面倒になる可能性があるのはあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
一般に株式会社の売却では、事業譲渡は株式譲渡より手続きが面倒とされています。合同会社も、例えば社員が一人の会社なら、持分譲渡のほうが手続きしやすくなる可能性もあります。
②事業譲渡後に負債が残る可能性がある
事業譲渡は包括承継ではないので、譲渡対象となるのは売り手と買い手で合意した資産・負債のみです。買い手はもちろん不要な負債は引き継ぎたくないと考えるため、契約内容によっては事業譲渡後に売り手側に負債が残ってしまう可能性もあります。
売却益で負債を弁済できればよいですが、事業譲渡の売却益には30%程度の法人税と10%の消費税がかかることも考慮しなければなりません。例えば、売却前にはわずかに資産超過であったとしても、資産を額面通りに売却して税金を引かれた結果、負債を相殺できず残ってしまうケースも考えられます。
事業譲渡を行う際は、実行後の財務状況がどうなるかについて、しっかりシミュレーションしておくことが大切です。
③許認可は承継できない
株式譲渡や吸収合併は包括承継なので、事業に必要な許認可を引き継ぐことが可能です。一方、事業譲渡では許認可を譲渡できないので、買い手側で新規に取得する必要があります。
よって、許認可が必要な事業を事業譲渡で譲受する場合、事業譲渡契約の手続きと並行して、許認可の新規取得手続きも行わなければなりません。許認可の取得が間に合わなかった場合、事業譲渡は締結したのに事業を開始できない可能性も出てきます。
許認可が必要な事業を事業譲渡する際は、事業譲渡締結後すみやかに事業を開始できるように、許認可の取得スケジュールも綿密に立てておくことが大切です。
6. 合同会社の売却・事業譲渡は専門家に相談
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7. 合同会社の売却・事業譲渡まとめ
合同会社の売却は、持分譲渡の条件の厳しさや、買い手から見たメリットの低さなどの理由で、株式会社より実行が難しいといわれています。しかし、事業譲渡や吸収合併、株式会社に移行してからの株式譲渡など、合同会社の売却にはさまざまな手段があります。
それぞれのメリット・デメリットを踏まえて適切な手法を選択すれば、合同会社を売却できる可能性は高まるといえるでしょう。
【合同会社の売却・事業譲渡が難しい理由】
- 社員全員の持分譲渡への同意が必要
- 株式会社への組織変更が難しい
- 事業譲渡の場合も社員の半数の同意が必要
- 合同会社を買収するメリット自体が少ない
【合同会社を買収するメリットが少ない原因】
- 上場ができない
- 資金調達の自由度が低い
- 経営権を掌握しにくい
- 所有と経営が分離できない
- 合同会社の認知度が低い
【合同会社を売却する方法と必要な手続き】
- 合同会社のまま持分譲渡する
- 株式会社へ変更してから株式譲渡を用いる
- 吸収合併を活用する
【合同会社が事業譲渡を用いるメリット】
- 持分譲渡よりも手続きが容易
- 譲渡する事業を選択できる
- 従業員の雇用を維持できる
【合同会社が事業譲渡を用いるデメリット・注意点】
- 権利義務や資産は個別に移転手続きが必要
- 事業譲渡後に負債が残る可能性がある
- 許認可は承継できない
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