新設合併とは?吸収合併との違い、メリット・デメリット、手続きを解説【事例10選あり】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

新設合併とは合併方法の一つで、さまざまなメリットやデメリットがあります。本記事では、新設合併とはどのような合併方法なのか、合併手続きやメリット・デメリットについて事例とともに解説します。新設合併の事例ではいろいろなケースを紹介するので参考にしてください。

目次

  1. 新設合併とは?
  2. 新設合併と吸収合併の共通点・違い
  3. 新設合併のメリット
  4. 新設合併のデメリット
  5. 新設合併の手続き・流れ
  6. 新設合併の事例10選
  7. 市町村の新設合併とは
  8. 新設合併についてのまとめ
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1. 新設合併とは?

新設合併とは?

新設合併のメリット・デメリットをご紹介する前に、まず新設合併とはどのような合併方法なのか解説します。そもそも合併とは何なのでしょうか。

合併を行うことで、2つ以上の法人格は資産や負債などを統合します。他のM&A手法と違うのは、合併すると被合併会社は消滅会社となり法人格を失う点です。買収の場合は売却企業の経営権を取得しますが、買収された会社の法人格は残ります。

合併方法には吸収合併と新設合併がありますが、本記事では新設合併のメリット・デメリットを事例とともにご紹介します。

新設合併とは何か、新設合併と吸収合併の共通点と違いを見ていきましょう。

会社法第2条第28号が定義する新設合併

新設合併とは、合併当事会社とは別に新しく会社を設立し、当事会社における全ての資産や負債などを新設会社に引き継ぐ合併方法です。合併当事会社の法人格はどちらも消滅します。

新設合併と吸収合併の違いは後述しますが、新設合併のほうが吸収合併よりもメリットが少なくデメリットが多いため、合併は吸収合併を採用することが多いです。

新設合併を実施する目的

新設合併は、主にグループ内での組織を再編するために実施します。組織再編とは、会社の組織を編成し直すという意味です。機能の統合によるコスト削減・生産性の向上などを狙うでしょう。

新設合併を行えば、新しく作った会社に複数の会社が持つ機能を移し、機能の統合を具現化します。

【関連】合併とはどのような手法?吸収合併や買収との違いは?メリット・デメリットを解説!

2. 新設合併と吸収合併の共通点・違い

新設合併と吸収合併の違い

新設合併とは当事会社の法人格が消滅し、新設会社に資産や負債などが引き継がれる合併方法と、前述で解説しました。それに対し、吸収合併とは、存続会社に消滅会社の資産や負債などが引き継がれる合併方法です。

新設合併と吸収合併には、共通のメリット・デメリットもあれば、異なったメリット・デメリットもあります。下記の表で簡単にまとめました。

  共通点 違い
新設合併 ・存続会社と消滅会社が存在
・引き継ぐ財産を選択できない
・許認可や免許が引き継がれない
・上場廃止
・資本金に対して登録免許税がかかる
・合併の対価として現金の受け渡しができない
吸収合併 ・存続会社と消滅会社が存在
・引き継ぐ財産を選択できない
・許認可や免許の引き継ぎ可能
・上場維持
・資本金の増加分に対して登録免許税がかかる
・合併の対価として現金の受け渡しが可能

共通点

吸収合併と新設合併の共通点は、大きな存続会社と消滅会社が存在する点です。当事者となる企業の中で、いずれかの企業が存続会社となり、他方の企業は消滅会社とみなされます。

消滅企業の財産は、存続会社の財産として引き継がれ、全ての財産を引き継がなければなりません。そのため、引き継ぐ財産を選択できない点も共通点として挙げられます。

違い

吸収合併と新設合併の大きな違いは、許認可や免許が引き継がれない点に求められます。新設合併の場合、許認可や免許を消滅企業から引き継げません。

会社自体が新しくなると考えるので、新設合併の場合、上場廃止となります。さらに、合併対価として株式を発行しているので、登記の際に、資本金に対して登録免許税の支払いを求められます。

新設合併の場合には、合併の対価として現金の受け渡しができない点も特徴的です。

他方で、吸収合併の場合、許認可や免許の引き継ぎ可能となります。新設合併と違い、それらの手続きにさほど手間がかかりません。片方の会社が消滅しても、他方の会社が存続しているので、上場は維持されます。

吸収合併の場合、資本金の増加分に対して登録免許税がかかります。そして、合併の対価として現金の受け渡しが可能なので、株式を発行せずに合併手続きを完了させられる点も新設合併とは違っています。

すべての法人が消滅するかどうか

新設合併と吸収合併には、そのまま存続する会社と消滅する会社があります。

組織再編行為のうち、合併においてはパーチェス法が適用されるため、一方の企業が他方の企業を購入したと考えるので、存続会社と消滅会社に分かれるのです。

消滅会社の技術や人材などは、すべて存続会社へと承継され、消滅会社に関する権利・義務もすべて承継されます。

ただし、新設合併の場合は、M&Aを実施する全会社の法人格が失われます

その一方で、吸収合併の場合は、権利などを引き継ぐ存続会社以外の全法人についてのみ、法人格が消滅する違いがあります。

権利・義務を承継する会社の性質

新設合併と吸収合併では、権利・義務を承継する会社の性質が異なります。これらをきちんと区別しなければなりません。

まず、新設合併では、新設される会社が消滅する会社の財産をすべて引き継ぎます。一方で、吸収合併では、存続する会社が消滅する会社の財産をすべて引き継ぎます。

具体的に言えば、新設合併では、消滅する会社から新会社へ権利・義務を引き継ぎます。新設合併では、2社以上の当事企業が消滅して新しい会社が設立されるわけですから、新会社が全ての権利・義務を引き継がれるわけです。

ところが、吸収合併の場合はすでにある法人格を持つ会社が、消滅会社から権利・義務を引き継ぎます。吸収合併では、存続する会社が権利・義務を全て引き継ぐわけです。

新設合併と吸収合併では、共通して、存続会社へと引き継ぐ財産を選択できません。会社を丸ごと合併するわけですから、消滅企業が保有していた権利・義務はすべて存続会社に承継されます。

他方、事業譲渡の場合、会社同士が合併するわけではなく、会社の中の特定の事業が譲渡されるので、その事業に関連した財産だけを譲渡できます。つまり、事業譲渡の場合、引き継ぐ財産と引き継がない財産の選択が可能です。

新設合併、吸収合併、事業譲渡は、会社法上、組織再編行為となりますが、その意味は全く異なるのできちんと区別して理解することが重要です。

免許・許認可を承継できるかどうか

新設合併と吸収合併では、免許・許認可の承継にも違いがあります。

たとえば、運送業では、運送業許可(一般貨物自動車運送事業許可)が必要です。他にも、食料・飲料卸売業を営む企業であれば、酒類販売のための許可や食品衛生法で求められる認可が必要となります。

まず、新設合併では、事業を行うために必要な免許・許認可は引き継げません。

新設合併では、会社を新しく設立するので、新会社が改めて免許や許認可を受けなければなりません。したがって、新会社が同様の事業を展開する場合、必要となる免許や許認可をもう一度取得する必要があります。

他方で、吸収合併では、基本的に許認可・免許を引き継げます。その理由は、吸収合併の場合、存続会社があり、消滅会社の免許・許認可を含む権利義務を引き継げるからです。

同様の理由で、新設合併と吸収合併では、上場の取り扱いにも違いがあります。

吸収合併の場合は何事もなければ上場は取り消されません。しかし、新設合併の場合は、新会社の設立によって、上場に関する許認可が0に戻され、上場が取り消されるので、上場ももう一度申請が必要となります。

株主が受け取る対価の種類

新設合併では、新会社から、合併の対価として、株式あるいは社債を受け取れます。新設合併において、新会社が合併の対価として現金を使えません。なぜなら、合併時点において、新会社には現金がないからです。

他方で、吸収合併の場合は、株式・社債・現金を受け取れます。株主が対価として現金を受け取れるのは吸収合併です。吸収合併では、存続会社があるので、存続会社の保有する現金を合併の対価として用いられるのです。

そこで次章から、新設合併のメリット・デメリット、具体的な手続き・流れ、新設合併の事例を見ていきましょう。

【関連】【保存版】吸収合併とは?吸収合併・新設合併との違いやメリット・デメリットを解説!

3. 新設合併のメリット

新設合併のメリット

メリットの多さから吸収合併が選択されることがほとんどですが、新設合併にもメリットがあります。新設合併には主に下記のメリットがあるのです。

  1. 新設合併による見込めるシナジー効果
  2. 新設合併により拡大する会社の規模
  3. 新設合併におけるイメージ
  4. 買収のための資金が不要

それぞれのメリットを見ていきましょう。

①新設合併による見込めるシナジー効果

新設合併によって企業のリソースをうまく統合できれば、さまざまなシナジー効果が得られるメリットがあります。

関連事業を営んでいる企業同士が新設合併すれば、事業シナジーのメリットが得られるでしょう。優秀な従業員が一つの会社に集まって、人材のシナジーを発揮できるメリットもあります。システムの統合により業務の効率化やコスト削減が見込める点もメリットといえます。

②新設合併により拡大する会社の規模

新設合併によってスケールメリットが得られます。同業種同士の新設合併により、業界のシェアを拡大できるメリットがあり、商品の販売網やサービスの提供範囲が広がります。大量仕入れや大量生産が可能になるので、コストを抑えられるでしょう。

他業種同士の新設合併では経営の多角化によるメリットが得られます。変化の速い現代では、一つのビジネスだけで生き残るのは厳しいです。事業を多角化することで経営のリスクヘッジができるメリットがあります。

③新設合併が持つ対等なイメージ

吸収合併された消滅会社の従業員は、吸収された側という立場の弱さや肩身の狭さなど、ネガティブなイメージを持ちやすいデメリットがあります。買収されて子会社化された企業の従業員も、同じくネガティブなイメージを抱きがちでしょう。

世間的なイメージでも、「吸収合併や買収された企業は経営状態が良くなかったから吸収合併や買収をされたのではないか」と思われることがあります。

しかし、新設合併は当事会社が解散して新設会社での新たなスタートです。平等な合併をアピールしやすいので、従業員としても世間的に良いイメージが付きやすいメリットがあります。

社内でも従業員は対等なM&Aという認識を持つので、不満やモチベーションの低下が生じるケースがほとんどありません。上下関係が原因で待遇に差が出るケースもないでしょう。新設合併は、対等な立場でのM&Aになりやすいのです。

④買収資金の用意が不要

新設合併だけでなく、合併は現金を準備せずともM&Aを実施できるメリットが挙げられます。新設合併や吸収合併は、株主への対価に株式や社債などが使えるので、買収のための資金が不要です。

十分な現金がない、資金を金融機関から調達したくないあるいはできない会社には、非常に大きいメリットでしょう。

4. 新設合併のデメリット

新設合併のデメリット

新設合併にはメリットがありますが、デメリットもいくつかあります。

  1. 新設合併までに多くの手続きが必要
  2. 企業文化の違いによるPMI負担
  3. 被合併会社の株主への対応
  4. ④吸収合併よりも多くの費用が発生する

これらのデメリットを見ていきましょう。

①新設合併までに多くの手続きが必要

新設合併は新たに会社を設立するので、吸収合併に比べて多くの手続きが必要となるデメリットがあります。

吸収合併では存続会社のシステムをある程度そのまま使えますが、新設合併では統合後のシステムやルールなどを整備し直さなければなりません

前述したように許認可や免許の取得、上場企業の場合は上場の再申請など、吸収合併に比べて手間と時間のかかる手続きが多いです。

②企業文化の違いによるPMI負担

新設合併では、企業文化の違う会社同士が一つの会社として融合します。理念や風土、ルールの違う会社同士がスムーズに融合するには、合併前にPMIをしっかりと練る必要があります。

PMIとは、ひと言で言うと統合後の管理方法です。新設合併に限らず、M&Aを進める際はこのPMIをどれだけ的確に計画できるかが重要で、PMIに失敗すると役員や優秀な従業員の大量流出を招くでしょう。

新設合併の場合は吸収合併や他のM&A手法に比べて、統合後におけるマネジメントの負担が大きいデメリットがあります。

合併前に当事会社同士が納得のいく統合計画を立て、合併後には速やかに役員や従業員の不安や不満を解消していければ、デメリットは抑えられるでしょう。

③被合併会社の株主への対応

新設合併のデメリットに、株主へ対する対価の違いもあります。吸収合併では合併の対価として、消滅会社の株主に現金の受け渡しが可能です。しかし、新設合併では現金の受け渡しはできません

吸収合併の場合は存続会社にすでに株主が存在します。新設合併の場合は、存続会社の株主を確保する必要があります。株主へ現金の受け渡しはできないデメリットがあるでしょう。

④吸収合併よりも多くの費用が発生する

新設合併は、会社設立や登記の手続きを行わなければなりません。会社設立における定款の認証や登録免許税などは、少なくとも20万円〜30万円くらいかかるでしょう。設立のサポートを専門家に依頼すれば、さらに数万円以上のコストがかかります。会社の資本金も必要です。

登録免許税の計算方法が吸収合併と違い、新設合併は新しく作った会社の資本金全体に0.15%の登録免許税がかかります。新設合併では、課税対象となる資本金の範囲が広くなるのです。支払う登録免許税も増えます。

新設合併を行うときは、想定より支出がかなり増えるケースがあるので予算に十分な余裕が必要です。

5. 新設合併の手続き・流れ

新設合併の手続き・流れ

新設合併の手続き・流れは、下記に作成したフローチャートのように進んでいきます。

新設合併を行うのが決定したら、合併の手続きに入る前に債権者や各方面の関係者に説明をし、その後取締役会で承認が得られれば、具体的な合併の手続きに進むのです。

合併当事会社で合併契約が締結されたら、債権者や株主保護のための手続きを進めます。株主総会で株主の承認が得られ新設合併の効力発生日を迎えたら、速やかに登記申請手続きなどを済ませて新設合併の手続きは完了です。

新設合併の手続き・流れ①

①準備期間

まずは、消滅する会社が、債権者の確認・契約書に入れる内容の確認などを行う準備期間から始まります。デューデリジェンスやバリュエーションなどの手続きも必要です。

会社の設立や債権者保護などの手続きは、かなりの時間がかかります。準備はできるだけ円滑に行いましょう。

②取締役会の承認等

次のステップは、新設合併実施を承認するための取締役会における決議です。新設合併の契約内容を念入りに調べ、条件面に問題がないのをチェックします。契約内容に問題がなかったら、新設合併の実施を正式に決めます。

③合併契約の締結

次は、新設合併の締結です。新設合併契約書には、下記の事項を盛り込みます。

  • 消滅する会社の住所・商号
  • 新しく作る会社の商号・目的・本店所在地・発行できる株式総数
  • 新しく作る会社の設立時における取締役氏名
  • その他役員などの氏名あるいは名称
  • 消滅する会社の株主などへ交付する対価の事項
  • 消滅する会社の株主に対する株式割り当ての事項
  • 新株予約権あるいは金銭に関する事項

これらは、会社法に定められた必須の項目なので、契約事項を加えることも可能です。契約書の作成は、専門家にサポートを依頼しましょう。

④債権者への催告等

新設合併では、官報による公告に加えて、会社の重要な利害関係者である債権者への個別催告も原則欠かせません。この債権者とは、会社が認識している全債権者を言います。

この手続きは債権者保護手続を呼ばれ、新設合併を行う際に行わなければならない手続きです。

原則的に必要な個別の催告は、定款に規定の電子公告あるいは日刊新聞で実施しますが、官報とは別に公告を行ったときは個別の催告を省略できます。

⑤株主総会招集通知

原則として、新設合併は株主総会での決議を要します。株主総会の決議を実施するには、株主へ前もって株主総会に参加できるよう通知しなければなりません。

したがって、会社法では、株主総会開催日の1週間前までに、招集通知を出さなければならない旨、規定しています。公開会社でない株式会社の場合、2週間前までです。

招集通知は、株主の承諾を得れば電磁的な方法でも行えますが、株式会社が取締役会設置会社の場合など一部のケースでは書面の通知がいります。

全株主が同意したときは、招集通知の手続きは省けます。

⑥株主総会決議

株主総会の決議では特別決議が必要で、普通決議とは条件が違うため気を付けましょう。

特別決議では、議決権の過半数を持つ株主が出席し、それらの株主に対する議決権の3分の2以上にあたる賛成を得なければなりません。ここで規定の賛成が得られなければ、新設合併の実行は不可能です。

⑦合併効力発生

会社法第754条(株式会社を設立する新設合併の効力の発生等)の規定では、新設会社の成立日に消滅会社の権利義務を承継するとしています。新設合併により、新会社ができた日に、消滅会社の新株予約権が効力の喪失も定めているので、設立登記を行った日が合併効力発生日です。同法の第一款(株式会社を設立する新設合併)や、第753条(株式会社を設立する新設合併契約)の内容も確認しておきましょう。

参考:会社法(第三節・新設合併)

⑧登記手続き

新しく作る会社の設立登記は、本店所在地で行います。新設合併で行う設立登記は、必要な書類を法務局へ届けます。登記申請書に記載するのは、新設会社の商号・本店所在地・手続き完了の日付・登録免許税および課税標準金額の額などです。

解散登記で必要なのは、「合併による解散登記申請書」だけで、添付書類もいりません。申請書に記載するのは、法人番号・商号・登録免許税の額などです。

法務局の公式ホームページにある申請書の様式や記載例を見て、申請書作成や添付資料の準備をしましょう。ただし、新設合併の手続きはさまざまな知識が必要なので、専門家に依頼するのをおすすめします。

M&A総合研究所には、豊富な知識や経験を持つM&Aアドバイザーが在籍しており案件をフルサポートいたします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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6. 新設合併の事例10選

新設合併の事例13選

この章では、実際に新設合併を行った事例を集めました。株式会社の新設合併だけでなく、さまざまな組織の事例を集めています。

  1. 富士ゼロックスマニュファクチャリング
  2. 栃木県栃木市
  3. アドバンス・レジデンス投資法人
  4. 東洋製罐グループホールディングス
  5. 野村不動産マスターファンド投資法人
  6. 北越コーポレーション(旧北越紀州製紙)
  7. 鹿児島みらい農業協同組合
  8. スマートメディア
  9. 大阪公立大学
  10. 堺平成病院

では、それぞれの事例を見ていきましょう。

①富士ゼロックスマニュファクチュアリング

2010年1月に、富士ゼロックスは、新会社の富士ゼロックスマニュファクチュアリングを存続会社として、子会社の富士ゼロックスイメージングマテリアルズ、鈴鹿富士ゼロックス、新潟富士ゼロックス製造を新設合併しました。

新設合併によって富士ゼロックスマニュファクチュアリングは、各社に分散していた業務を効率化し、優秀なエンジニアを補強して生産力と技術力を高めています

②栃木県栃木市

栃木県の栃木市は、2010年3月に栃木市、下津加群大平町、下津加群藤岡町、下津加群都賀町の新設合併によって誕生しました。栃木市はその後2011年にも編入合併を行っています。

市町村合併はこれまで多くの市町村で進められてきましたが、これから合併の予定がある市町村が多くの都道府県に存在しています。地方の過疎化が進む限り市町村の合併再編も進むでしょう。

③アドバンス・レジデンス投資法人

アドバンス・レジデンス投資法人は、不動産に投資する投資信託を扱う投資法人です。賃貸住宅に特化した投資信託を扱っています。

アドバンス・レジデンス投資法人は、2010年3月に旧アドバンス・レジデンス投資法人と日本レジデンシャル投資法人の新設合併によって設立されました。どちらも東証REIT市場に上場していましたが、新設合併によって新規上場しています。

④東洋製罐グループホールディングス

東洋製罐グループホールディングスは、2013年5月にタイにある子会社3社を新設合併により、新子会社を設立しました。事業内容はプラスチック製品の製造販売やペットボトルの製造販売などです。

東洋製罐グループホールディングスは容器包装製造事業を中心として、国内だけでなく世界中にグループ会社が存在します。タイでも複数の会社を展開していますが、新設合併によって主力事業の効率化を進めています。

⑤野村不動産マスターファンド投資法人

旧野村不動産マスターファンド投資法人は、2015年10月に野村不動産オフィスファンド投資法人、野村不動産レジデンシャル投資法人と新設合併を行い、新野村不動産マスターファンド投資法人となりました。

この新設合併により、不動産投資ポートフォリオの半分近くをオフィスが占めています。合併後も格付け会社から高い評価を得ている投資法人です。

⑥北越コーポレーション(旧北越紀州製紙)

国際競争力を強化するために行われた新設合併の事例を紹介します。

2016年6月に、北越紀州製紙は、連結子会社であるカナダのAlpac Forest Products Inc.(AFPI)、その子会社であるAlberta Pacific Forest Industries Inc.(APFI)そしてAlpac Pulp Sales Inc.(APSI)の3社と、現地法に基づく新設合併を行って、商号を「Alberta Pacific Forest Industries Inc.(APFI)」にすると発表しました。

AFPIは、カナダ・アルバータ州政府から与えられた6.4百万ヘクタールの森林資源を生かし、単一工場として北米最大の市販パルプ工場を所有しています。

北越紀州グループは、パルプの製造から販売までのビジネスプロセスを垂直統合することで、市販パルプ事業における国際競争力の強化や事業効率性の向上、コーポレートガバナンスの強化を図っています。なお、北越紀州製紙は2018年6月に北越コーポレーションに社名を変更しました。

⑦鹿児島みらい農業協同組合

鹿児島みらい農業協同組合は、2018年3月にJAグリーン鹿児島、JAかごしま中央、JA東部の新設合併によって生まれました。国や農協自体が合併を推進しているのもあって、農協の市町村単位での広域合併は年々進んでいます。

農協の合併推進が始まって20年以上たちますが、農協の広域合併はスケールメリットや経営の効率化が見込めるため再編が進む予定です。

⑧スマートメディア

2018年10月、PR会社のベクトルは、Webメディアを運営する子会社「ラフティック」「オープナーズ」「JION」「ラグル」の4社を合併して新会社「スマートメディア」を設立しました。

スマートメディアは、恋愛やファッション、ライフスタイルなど、複数のWebメディアでさまざまなジャンルの記事を提供しています。ゼロから育てるのは時間とお金がかかるWebメディアですが、買収と合併によって急成長しています。

⑨大阪公立大学

大阪にある堺温心会病院と浜寺中央病院が合併し、2019年4月に堺平成病院が新設されました。堺温心病院は1966年設立、浜寺中央病院は1951年設立と、どちらの病院も長く経営を続け、その間病院の増改築を繰り返しています。

建物の老朽化が進んだことから合併の話が進み、新病院の設立となりました。これにより設備投資の効率化や人材の集中が可能です。病院の老朽化による合併の例は他にも増えてきています。

⑩堺平成病院

大阪公立大学は、公立大学法人大阪府立大学と、公立法人大阪私立大学の新設合併により2019年4月から経営開始が決まりました。

多くの私立大学が厳しい経営状態に陥る中、公立大学も少子化による今後経営が厳しくなることが予想されます。近年は新規の大学設立が難しいため、大学同士の合併などによって再編が進む可能性が高いです。

7. 市町村の新設合併とは

市町村の新設合併とは

事例に市町村の新設合併を紹介しました。市町村合併には新設合併と編入合併があります。合併の定義は企業の合併とほぼ同じです。

市町村の新設合併は、2つ以上の市町村が合併して新たな法人格が発生します。編入合併は、すでに存在する市町村に消滅する市町村が編入され、法人格は編入する法人格が継続します。

市町村合併は企業の合併とは別物です。定義や考え方には近いものがあるでしょう。

8. 新設合併についてのまとめ

新設合併についてのまとめ

新設合併とはどのような合併方法なのか、メリット・デメリット、事例を踏まえながら解説しました。新設合併では新しい会社に全ての資産や負債などが引き継がれます。合併当事会社に平等感があるのがメリットですが、手続きの多さや税金の支払いなどがデメリットです。

実際の合併ではデメリットの少ない吸収合併を選ぶ企業がほとんどです。しかし、複数の子会社同士の合併などではデメリットよりもメリットのほうが大きい場合もあるため、新設合併を選ぶケースがあります。

新設合併を行う場合は、新設合併のメリット・デメリットを総合的、長期的に判断し、デューデリジェンス(企業調査)やPMIを徹底的に行いましょう。

適格なデューデリジェンスやPMIには豊富な経験と実績を持った専門家の協力が欠かせません。合併を検討する際は、専門家に相談することをおすすめします。

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