2022年06月06日更新
【2020年】合併企業一覧20選!成功事例と失敗事例あり!
M&Aというと買収を連想されることが多いかもしれません。しかし、企業再編手段である合併もM&Aの手法の1つです。2020年に実施された企業合併の最近のニュースを分析しながら、合併の事例一覧・メリット一覧を掲示し解説します。
1. 企業合併とは?
企業合併とはM&A手法の1つで、複数の企業を統合する方法のことです。
合併すると、消滅する企業の権利義務は存続する会社に移動し、消滅する企業は解散となります。
M&Aの他の手法では、会社の経営権が移転することはあっては、会社が消滅するような手法はありません。その意味で、企業の再編という側面もある合併は、M&Aの手法の中でも一種の特殊性があるといえるでしょう。
また、企業合併は上図のように吸収合併と新設合併があり、状況に合わせ使い分けられてもいます。
まずは、合併の種類とメリットについて知るところから始めてみましょう。
企業合併の種類
合併の手法には、吸収合併と新設合併があります。上図を参照しながらご覧ください。
吸収合併では、合併後に存続する会社が合併後に消滅する会社の権利義務を引き継ぎます。消滅する側の会社は合併後、解散手続きを行い、存続会社だけが残るものです。
新設合併では、新たに会社を設立し、その新設会社に合併を行う全ての当事会社の権利義務が移行されます。新設合併の当事会社は全て解散手続きを行い、新設会社が存続会社となって残るものです。
企業合併のメリット
企業合併には、以下のメリットが挙げられます。
- 組織力の強化
- 事業承継の不安解消
- シンプルな組織設計
- 人件費や維持費の削減
- シナジー効果
- 資金力の強化
- 企業文化の融合
- 技術力の躍進
- 節税
それぞれのメリットについて解説します。
組織力の強化
それぞれに別れていた会社を合併することで、目的の共有、経営スピードのアップ、マネジメントの最適化など、組織力を強化できます。
事業承継の不安解消
合併では、存続する会社が消滅する会社の全ての権利義務を引き継がなければなりません。存続する会社は、消滅する会社の従業員や負債も全てを引き継ぐ必要があります。
したがって、消滅会社の経営者は、合併後の従業員の雇用や債務の返済などを心配する必要がなくなるのです。
また、以下の記事では消滅会社が行う手続きについて詳しく紹介しているので、気になる場合には確認してみてください。
シンプルな組織設計
合併の場合は1つの企業として制度を統一できるので、組織再編がしやすいというメリットがあります。
子会社が製造会社、販売会社、企画会社に分かれていれば指揮系統も3つに分かれますが、合併することで指揮系統も1つになり組織設計がシンプルになるのです。
人件費や維持費の削減
合併によって重複する部門の人員整理や重複するシステムを統合することで、人件費やシステムの維持費を削減できます。これにより、効率のよい経営ができるようになるでしょう。
シナジー効果
合併することによって事業シナジーや技術のシナジー、人材のシナジー効果が得られます。また、スケールメリットによるシナジー効果が得られるのも、大きな特徴です。
資金力の強化
合併を行うことで、存続会社は経営状態の健全さをアピールでき、信用力が上がります。銀行からの借入もしやすくなるでしょう。
また、資本提携や買収に比べて、資金移動が容易なこともメリットです。たとえグループ企業同士であっても資金移動には手続きが必要ですが、合併では口座が1つになるので資金移動が簡単になります。
企業文化の融合
買収では、企業文化の違いから経営方針で対立したり従業員の中に不満を持つ人が出てきたりしますが、合併では、1つの企業として企業文化も融合するので、不平等感がなく一体感が生まれやすくなります。
技術力の躍進
それぞれの企業の技術力と技術者を1カ所に集めることで、別々の会社では成し得なかった大きな技術シナジーが生まれる場合があります。
節税
合併する際、組織再編要件に適格であれば、さまざまな税務上のメリットが得られます。また、条件によっては、消滅会社の繰越欠損金を利用して節税できる場合もあるでしょう。
以下の記事では、合併におけるメリットに加えてデメリットについても解説しているので、デメリットも知ったうえで合併を検討したいという場合は、こちらも合わせて確認してください。
合併を検討しているならM&A総合研究所へ
合併を検討しているならM&A総合研究所へご相談ください。M&Aの1手法である企業合併では、上述した節税メリットなどは、適格要件を満たしている必要があります。
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2. 2020年の企業合併に関するニュース
企業合併について大きく大別すると、グループ企業間での合併と、資本関係のなかった企業間の合併の2種があります。
2020(令和2)年10月現在で見る2020年の企業合併のニュースでは、比較的前者のグループ企業間の合併が目を引きました。一例としては、ざっと以下のような合併のニュースが発表されています。
- 正興電機製作所による営業子会社の吸収合併
- ハードオフコーポレーションの完全子会社吸収合併
- ヤマエ久野の連結子会社吸収合併
- イオン九州とマックスバリュ九州の合併(両社はイオングループ)
- イオン北海道とマックスバリュ北海道の合併(両社はイオングループ)
- みずほ総合研究所とみずほ情報総研の合併
- 大日本住友製薬が米国の連結子会社2社を合併
- 米デルテクノロジーズ傘下の日本法人であるデルとEMCジャパンの合併
- 武田薬品工業が完全子会社シャイアー・ジャパンを吸収合併
- ノーリツ住設とノーリツリビングテクノとノーリツ九州販売の合併
- はごろもフーズが子会社はごろも商事の吸収合併を発表(実施は2021(令和3)年3月予定)
組織が大きくなった企業の場合、各事業部門を独立させ、経営の意思決定の迅速化と収支の明確化を図る場合があります。しかし、それがうまくいかなかった場合や、バラバラになった事業を統括した方が効率化や規模の有利を得られるような場合には、合併により子会社の統合や親会社への吸収合併が図られるのです。
ただし、世の中に公表される合併のニュースは、基本的に上場企業だけです。上場企業の場合、持株会社制であったり、規模が大きいグループ企業だったりしますので、必然的に合併の機会も多くなるため、ニュースになるケースも多くなるのが実情です。
したがって、非公表の合併まで含めて、同様の傾向であるとは断じられません。
そして、もう一方の合併の種別である資本関係のなかった企業間の合併ですが、これの中身としては、同一業種であるライバル企業同士の合併、同一業界の製造会社と販売会社の合併、新規事業参入のための異業種間の合併などがあります。
2020年における、このタイプの企業合併ニュースとしては、以下のようなものがありました。
- Exysとトライフォートの合併
- 白鵬とジンマー・バイオメット・デンタルの合併(白鳳の親会社Zimmer Biomet(米国)もZimmer Holdings, Inc.とBiomet, Inc.の合併)
- 三菱UFJリースと日立キャピタルの合併発表(実施は2021年4月予定)
3. 企業合併における成功事例
ソフトバンクグループは、これまで多くのM&Aを成功させ、ニュースをにぎわせてきました。なかには、無謀過ぎる、絶対失敗するといわれたものもありましたが、M&Aを成功させて成長を続けてきたのです。
合併によって組織を再編し、時流に合わせた柔軟な対応も結果を出し続ける大きな要因となっています。
また、楽天もM&Aによって大きく成長してきました。楽天のグループ企業にはさまざまな業種の企業がいます。
外部とのM&Aだけでなく子会社との合併や子会社同士の合併など、グループ内の事業効率を最大限高めるために合併を繰り返しているので、参考となる企業です。
4. 企業合併における失敗事例
企業合併の典型的な失敗事例となったニュースは、RIZAPのM&A戦略です。後述する事例でも掲示しますが、RIZAPは短期間で大きく成長することを目的としてM&Aを繰り返しました。
しかし、企業の立て直しをしっかりとしないまま、次のM&Aへと手をつけ続けた結果、大きな赤字を出す結果となっています。M&Aではデューデリジェンス(Due Diligence=企業の監査)とPMI(Post Merger Integration=経営統合プロセス)がどれだけ重要かが、よくわかる事例です。
海外に目を向けると、2000(平成12)年に、世紀の合併といわれたタイムワーナーとAOLの合併があります。
合併時はニュースでもこの合併には大きなメリットがあると高い評価をされていましたが、結果的に合併は大失敗し、今度は今世紀最悪の合併といわれるようになってしまいました。
日本でも海外でも、大企業同士の大型合併で失敗した例はいくつもあります。大企業同士の合併には特有の難しさがありますから、専門家へ依頼してリスクを最小限に抑えておくとよいでしょう。
5. 過去に合併を行った有名企業20選
この項では、過去に合併を行った企業の事例を一覧で掲示します。
一覧の中には、大企業同士の合併やグループ会社間の合併など、さまざまなパターンの合併がありますが、代表的なものを選別しました。
①三菱UFJリースと日立キャピタル
2020(令和2)年9月、リース事業を行う三菱UFJリースと日立キャピタルは、2021(令和3)年4月に合併を行うと発表しました。
リース事業業界各社について総資産額を基準に見ると、三菱UFJリースは3位、日立キャピタルは6位ですが、この合併が実現すると、両社を合わせた総資産額は10兆円となり、2位に躍進することになります。
1位のオリックスの総資産額は13兆円で、まだ少し開きがありますが、これまでに比べれば大きな躍進です。両社は単にオリックスを追いかけるだけでなく、今回の合併で拡大した資産を背景に、新事業への展開も視野に入れています。
②はごろもフーズ
2020(令和2)年10月、缶詰食品などの製造・販売事業を行うはごろもフーズは、2021(令和3)年3月に100%子会社であるはごろも商事を吸収合併すると発表しました。
はごろもフーズとしては、はごろも商事は進物の製造・販売事業を行っていますが、経営資源の集中と効率化により事業価値を向上させることを目的に、今回の吸収合併を決定したそうです。
③ロッテ
2018(平成30)年4月に、日本ロッテの主要事業である製菓事業を行う傘下企業3社、ロッテとロッテ商事、ロッテアイスが合併しました。
製造から販売までの過程を1社に統合することで、意思決定のスピード感を高めるなど、事業の効率化を図っています。
④U-NEXTとUSEN
2017(平成29)年12月、有線放送サービスを行うUSENと動画配信サービスを行っているU-NEXTが合併しました。U-NEXTが存続会社となり、USENは上場を廃止し、USEN-NEXT HOLDINGSとなったのです。
規模の小さいU-NEXTが存続会社になるという珍しいパターンの吸収合併となっています。
過去にUSENで社長を務めたU-NEXTの宇野社長は敏腕社長としてITバブルの頃に活躍しましたが、動画配信サービスへの移行がなかなかうまくいかず大きな損失を抱えました。
しかし、2018年以降は配信作品数が日本最大級となり、最近では働き方改革でも注目されるなど、順調に成長を続けています。
⑤オイシックス・ラ・大地
有機野菜宅配のオイシックスと大地を守る会は2017(平成29)年10月に経営統合し、オイシックスドット大地となりました。この経営統合で、業界1位に躍り出ています。
そして、2018(平成30)年10月、業界2位のらでぃっしゅぼーやを吸収合併し、社名もそれに先駆けてオイシックス・ラ・大地と変更したのです。
業界内で最大限のスケールメリットを得るための合併でした。
⑥ENEOS
2017(平成29)年4月、JXエネルギーが東燃ゼネラル石油に対して吸収合併を行った際に、JXTGエネルギーに商号を変更しました。さらに、2020年6月、JXTGエネルギーはENEOSに商号を変更しています。
ENEOSは、ガソリンスタンド数、ガソリン販売量ともシェア1位を獲得しており、合併戦略がもたらした成功といえるでしょう。
⑦RIZAPグループ
「結果にコミットする」ことで人気となったトレーニングジム運営のRIZAPは、これまで多くの企業との間で合併や買収を行ってきました。
しかし、本業とは直接関連のない業種の合併や買収も多く、経営状態のよくない企業を再建する前にM&Aを繰り返してきたことから、業績が大きく落ち込む事態を迎えてしまいます。
M&Aを行う際は事前の統合計画や統合後のマネジメントが重要ですが、RIZAPはスピードを重視し過ぎたために合併のメリットを得られず、合併の失敗事例としてニュースになりました。
ただし、その後、専門の取締役を迎え、RIZAPグループでは経営改善の難しい企業の売却を行い、業績は改善されてきています。
なお、RIZAPグループの子会社間で行われた最近の合併としては、2016年4月に北斗印刷がエーエーディを吸収合併しました。
⑧デンコードーと池田
2015(平成27)年8月、家電量販店のケーズホールディングスは、北海道や東北での店舗運営を効率化するために、北海道・東北地域の家電量販店でケーズホールディングスの子会社であるデンコードーに、ケーズデンキのフランチャイジーであった池田を吸収合併しました。
北関東を中心に東北や北海道の地盤を強化してきたケーズデンキは、業績も好調で、最近では働きやすい会社としても好評を得ています。
⑨日本航空とジャルエクスプレス
日本航空の子会社だったジャルエクスプレスは、2014(平成26)年10月に日本航空に吸収合併されました。
合併後もジャルエクスプレスの塗装のまま最近まで運行してきましたが、2018年11月5日をもって全てのジャルエクスプレス塗装の航空便は終了しています。
子会社としてのメリットが薄くなったことやコスト削減の目的から、合併が行われました。
⑩イー・アクセスとウィルコム
2014(平成26)年6月、ソフトバンクグループ傘下のイー・アクセスとウィルコムが合併し、新たにワイモバイルとなりました。これにより、格安SIMのY!mobileサービスを開始しています。
最近、格安SIM市場は激しい競争を繰り広げていますが、ワイモバイルは強さを見せて他社に差をつけている状況です。
⑪日本製紙
日本製紙では、2012(平成24)年10月に子会社4社を合併し、さらに2013(平成25)年4月には日本製紙に吸収合併しています。
合併した子会社は日本製紙・日本大昭和板紙・日本紙パック・日本製紙ケミカルで、存続会社となった日本製紙が持株会社の日本製紙グループ本社とさらに合併するという形です。これにより重複する分野を統合して効率化し、成長分野への集中を実現しています。
最近では洋紙の国内需要が落ち続けていて、紙包装・紙パッケージといった新たな成長分野を伸ばすことが経営課題です。
⑫日本製鉄
2012(平成24)年10月、新日本製鉄と住友金属工業が合併し、新日鐵住金が誕生しました。その後、2019(令和元)年4月、商号を日本製鉄に変更しています。
そして、2020年4月には、完全子会社である日鉄日新製鋼を吸収合併しました。
世界経済の影響が直撃する鉄鋼業界にあって、日本製鉄は業界再編を中心的に行うことにより、経営基盤の安定化を図っています。
⑬幻冬舎
出版社の幻冬舎は2010(平成22)年、見城徹社長が上場廃止するために特別目的会社を作りMBOを開始しました。しかし、突然正体不明のファンドが株式を買い占め始め、上場廃止ができない危機に陥ります。
もし上場廃止して特別目的会社を幻冬舎に吸収合併できなければ、見城徹社長は60億円以上の借金を抱えることになってしまう状態でした。
最終的に、2011(平成23)年3月、幻冬舎を上場廃止して特別目的会社への合併はできたものの、敵対ファンドの正体はいまだにはっきりしていません。
見城徹社長は、一連の出来事は私怨によるもので、誰なのか見当はついていると語っています。しかし、正体は明かしていません。今回掲示した合併事例一覧の中でも、特に前代未聞の非常にレアな事例です。
⑭セブン&アイ・ホールディングスとミレニアムリテイリング
そごうと西武百貨店の経営統合により誕生したミレニアムリテイリングは、2006(平成18)年6月にセブン&アイホールディングスの完全子会社となります。
2009(平成21)年8月にはミレニアムリテイリングと西武百貨店、そごうが合併し、そごう・西武となりました。しかし、百貨店業界の不振から、そごう・西武も長期低迷が続いています。
⑮マルハニチロ
水産加工大手のマルハとニチロは2007(平成19)年10月に経営統合し、2014(平成26)年4月には子会社5社と合併を行っています。しかし、合併企業の1つで元グループ企業のアクリフーズで冷凍食品への農薬混入事件が起きてしまったのです。
合併前に信用を大きく損なう事件が起きたものの、その後、企業体質の改善に努めて信頼と業績を回復させています。
⑯J.フロントリテイリング
大丸と松坂屋は2007(平成19)年9月に経営統合し、2010(平成20)年には松坂屋を存続会社として大丸と合併し大丸松坂屋百貨店が誕生しました。
不振が続く三越伊勢丹ホールディングスに対して、大丸松坂屋を経営するJ・フロントリテイリングは2012(平成24)年頃から経営状態が上向きです。
最近では不動産事業にも力を入れていて、脱百貨店を目指していくことになるでしょう。
⑰エディオン
家電量販店のエディオンは、2005(平成17)年4月にミドリ電化を子会社化、2006(平成18)年7月には石丸電気を関連会社化し、2010(平成22)年10月には、この2社を吸収合併しています。そして、一連のM&Aにより、エディオンは業界シェア3位になりました。
エディオンは、2018年前期には増収増益を達成するなど、最近ではよいニュースが続いています。大手家電量販店の業績が厳しい中、エディオンは順調に業績を伸ばしています。
⑱アステラス製薬
製薬業界では2005(平成17)年から2008(平成20)年まで大型合併が続きました。その中でも、2005年4月、山之内製薬と藤沢薬品工業の合併によって誕生したアステラス製薬は合併後に業績を伸ばし続けています。
合併後、癌の治療薬に特化して経営資源を集中させた結果、大きな成果が出たのです。
⑲ユニー・ファミリーマートホールディングス
2004(平成16)年9月に、コンビニエンスストアのサークルKとサンクスは経営統合の結果サークルKサンクスとなり、その後、合併しています。
そのサークルKサンクスは、2016(平成28)年9月にファミリーマートがサークルKサンクス親会社のユニーホールディングスを吸収合併しました。
ファミリーマートに吸収合併された当初は、サークルK、サンクスの名称は残して店舗運営されていましたが、今現在では全てファミリーマートに名称統一されています。
⑳アークス
アークスは、北海道・東北を中心にスーパーマーケットなどを展開しています。アークスは、1989(平成元)年3月に丸友産業と行った合併を皮切りに、吸収合併や買収を繰り返し、巨大なグループを築いてきました。
2018年には、グループ企業のシステム統合がニュースになるなど、最近では大きくなったグループ企業のシナジーメリットを追求し始めています。
6. 会社合併による株価はどうなる?
合併時に消滅会社の株主に対して渡す株式数は、存続会社と消滅会社の合併比率で決まります。
合併で株価が上昇するメリット・デメリットや、株価の変動に影響する市場心理を見ていきましょう。
株価が上昇するメリット・デメリット
合併の影響で株価が上昇すると、企業はメリットを享受できます。
一方、株価の上昇にはデメリットもあるため、それぞれの面を見ていきましょう。
株価上昇によるメリット
- ブランド力が高まる
- 資金調達が容易になる
まず、株価の上昇に伴って、会社の信用力・知名度も高まります。信用力・知名度が高くなるとブランド力が高まるため、価格競争の影響を回避しながら優位性が保てるのです。
また、新たに株を発行することで資金調達が容易になります。また、信用があるので銀行からの融資を受けることも可能です。
株価が上昇すれば、会社側から資金調達せずとも投資機関の方から投資させてほしいといわれるようにもなるでしょう。
株価上昇によるデメリット
- 実態とそぐわない株価上昇だと後で急落する恐れがある
- 会社売却が難しくなる
株価は、ただ上昇すればよいというわけではありません。株価が会社の成長に関連がない要因で上昇すると、後で急落する恐れがあります。市場評価が落ち着いた後、これまでの株価を下回る場合があるのです。
また、株価が上昇して割高感があると、会社売却を検討していても買い手が見つかりにくい場合があります。会社売却はタイミングが重要ですが、株価の上昇が逆にデメリットとなるかもしれません。
株価の変動による市場心理
合併に伴って発生する株価の変動は、市場心理によって上下します。そこで、株価の変動による市場心理を確認しましょう。
- 株主の期待と心配
- 世間的な意見やイメージ
- 合併までに起きたこと
このような市場心理によって株価がどのように変動するのか確認してみましょう。
株主の期待と心配
合併直後は、合併への期待感で株価が上昇しがちです。
しかし、合併効果がなかなか現れなければ、株主は今後を心配して株を売り始めます。合併の効果が生まれるまでには時間が必要な業種があるため、株主に対して経営プランを提示しなければなりません。
業績が上がっていなくても、勝つ見込みのある経営プランが提示されれば、反対に株価の上昇も考えられます。
世間的な意見やイメージ
合併に際して、さまざまな専門家や投資家が表明した見解を参考に、投資家が調査と予想を反復して株価が上昇するのです。また、合併に伴う広告宣伝や企業イメージの変化から、投資家がよい印象を得れば株価が上がります。
企業側は、投資家が合併に対して、よいイメージを持てるようにする宣伝戦略も重要なのです。
合併までに起きたこと
合併時の株価は、それまでの経緯によっても変化します。競合企業や大企業の合併では、交渉が長引いた末に決裂するなど問題も多いです。
合併交渉の最中に、経営陣同士の対立や株主の反対、合併に対する意見の食い違いから、社内に派閥が発生することもあります。ネガティブな出来事が外部に漏れてしまうと、仮に合併にこぎ着けても投資家の目線では不安であるため、株価に悪影響が出てしまうのです。
会社合併に際して発生する株価の変動については、以下の記事で詳しく説明しています。変動する要因や実例を交えた推移も紹介しているので、内容をご覧ください。
7. まとめ
企業合併を利用して企業を大きくさせるといった経営戦略は、日本でも珍しくなくなってきました。しかし、これまで合併によって多くのメリットを得た企業がある一方で、思うようにメリットを享受できなかった企業もあります。
何をもって成功・失敗とするかはさまざまな見方がありますが、事例一覧で紹介した企業のように、合併の結果が出るまでに数年かかることも少なくありません。
合併の際は、長期の見通しを立てながら行うようにすることも肝要です。
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