株式譲渡益の課税の仕組みを解説!法人・個人で課税率は変わる?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株式を取得価額より高い価格で他者に譲渡した際に得られる株式譲渡益は、どのような仕組みで課税されるのでしょうか。この記事では、個人や法人の株式譲渡益に対してどのような税金が課税されるのか、どのように計算されるのかなど、概要について解説します。

目次

  1. 株式譲渡益とは
  2. 株式譲渡益への課税について
  3. 株式譲渡益の確定申告
  4. まとめ
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1. 株式譲渡益とは

株式譲渡益とは

出典:https://www.tadapic.com/

株式譲渡益とは、保有している株式を他者に譲渡した際に、売却した価格から購入した価格を差し引いて出た利益のことをいいますが、株式配当金とは何が異なるのでしょうか。また、株式の種類には上場株式と一般株式などがありますが、それぞれ何をさすのでしょうか。概要と、それぞれの例について解説します。

株式配当金との違い

株式譲渡益と株式配当金との違いは、株式譲渡益が株そのものを売買することで生じることに対し、株式配当金は保有していることで法人から受けることができる利益の分配であるという点です
 
つまり、株式配当金は、会社が利益を出していれば得ることができるため損失は出ませんが、株の売買では売却価額が購入価額を下回れば、損失が出る可能性があります。
 
また、課税の方法も異なります。株式譲渡益については、譲渡所得として申告分離課税が求められますが、配当金は申告分離課税や総合課税などがあり、いずれかを選択することが可能です。
 
加えて、株式譲渡益については、売買により損失が出る可能性があることから、売買で損失が出た場合には確定申告を行うことにより配当所得や譲渡益などと通算できるほか、残った損失も繰り越しできます。一方、株式配当金についてはこのような制度はありません。

上場株式と一般株式の違い

株式の定義は非常に幅広く、会社が発行する株式のほか、投資信託の受益権や社債的受益権、公社債、優先出資などがあります。
 
非常に幅広く定義される株式ですが、株式の分類として、上場株式と一般株式という種類があります。上場株式は、東証などの取引所に上場されている株式をさし、店頭売買登録銘柄として登録されている株式や、金融証券取引所に上場している株式、国債や地方債などを含みます。一般的に取引をされている株式をイメージするとよいでしょう。
 
一般株式は、上場株式以外の非上場株式や、私募株式投資信託の受益権などを含むその他の株式をさします。大きくは証券取引所などで取引されていない、私募の株式などと考えておくとよいでしょう。

2. 株式譲渡益への課税について

株式譲渡益への課税について

出典:https://www.tadapic.com/

株式の売買によって生じる株式譲渡益への課税は、どのような仕組みで行われているのでしょうか。また、個人や法人、非居住者などの場合でどのような違いがあり、それぞれの場合で課税率としては、どの程度が課されるのでしょうか。概要について解説します。

株式譲渡益の税金の区分

株式譲渡益に対して課税される税金の区分としては、所得税、住民税、法人税の3つがあります。

所得税

個人が株式譲渡益を得た場合、その譲渡益に対し所得税が課税されます。課税率は15%です。これは上場株式・一般株式ともに同様です。

住民税

個人が株式譲渡益を得た場合、その譲渡益に対して、住民税5%が課税されます。つまり、個人の株式譲渡益に対しては合計で20%の課税率で課税されることとなります。これは上場株式・一般株式ともに同様です。

法人税

法人が株式譲渡益を得た場合、その他の損益も含めて、法人全体の利益に対して法人税が課税されます。法人税は、法人の課税所得により、累進課税方式で課税率が決定されます。

株式譲渡益に課税される仕組み

株式譲渡益に課税される仕組みは、基本的には取得価額と譲渡価額との差額を計算し、そこに課税率をかけることで計算されますが、どのような経費が取得価額に算入されるのかなど、個人の場合、法人の場合に分けて、株式譲渡益を計算する際の計算式も含めて紹介します。
 
ただし、無償株式譲渡についてはやや特殊な事例となるため、下記リンクもご参考ください。

【関連】無償の株式譲渡の税金や手続き・契約書の書き方を解説!

個人の場合

個人の株式譲渡益に対しては、申告分離課税が適用されます。つまり、株式譲渡益については、その他の給与所得や事業所得などと区別して計算されることに加え、上場株式と一般株式についても分離して計算し、課税金額を計算します。
 
計算方法としては、まず上場株式の譲渡損益と一般株式の譲渡損益をそれぞれ計算します。譲渡損益の計算方法は、下記のとおりです。
 

  • 株式などの譲渡による収入額(株式などの取得価額+株式などを取得するために借りた負債の利子の金額+株式などの譲渡のために支払った委託手数料+その他の経費+管理費+手数料など各種経費に掛かる消費税など)
 
ただし、管理費を控除できるのは、株式譲渡益が事業所得か雑所得に該当する場合のみになります。また、手数料などについては、株式を取得する際にかかった経費は株式の取得価額に含まれます。
 
なお、株式譲渡益がどの所得に区分されるかについては、個人の場合、基本的には譲渡所得に該当する場合が多いですが、営利を目的に継続的に行われている、と判断される場合には事業所得や雑所得として扱われる場合があるため、懸念がある場合には専門家に確認を依頼するとよいでしょう。
 
それぞれの譲渡損益を計算したのち、マイナスの金額となった際には、上場株式などであれば配当などとの損益通算や繰り越し控除が可能であるため、配当所得などの計算に反映します。一般株式などの場合はなかったものとみなされ、今期の課税はありません。
 
株式譲渡益がプラスであった場合には、所得税15%・住民税5%の合計20%の税金が課税されます。また、2037年までは、復興特別所得税(課税率2.1%)が別途課税されます。

法人の場合

法人の株式譲渡益については、総合課税方式により、株式譲渡益以外の損益と通算され、合計金額に対して所得金額に応じ29~42%の課税率で法人税が課税されます
 
法人の株式譲渡益の計算方法は、譲渡金額−(取得原価+譲渡経費)です。譲渡経費や取得原価などの考え方は基本的に個人の場合と同様で、株式の取得に要した経費などについては取得原価に算入されます。
 
なお、法人が株式を譲渡する場合、M&Aの手段の1つとして用いられることが多くあります。株式譲渡は他のM&Aに比べてメリットの多い手法です。株式譲渡によるM&Aを検討されている場合は、下記記事も参照ください。

【関連】株式譲渡とは?手続きからメリット・デメリット、税金に関して解説【成功事例あり】

株式譲渡益の課税率

株式譲渡益の課税率は、個人と法人によって異なります。それぞれ、どの程度の課税率で税金が計算されるのでしょうか。個人と法人に分けて整理します。

法人の場合の課税率

法人については、株式譲渡益は総合課税方式により、その他の所得と通算のうえ合計所得に対して所得金額に応じ、29~42%の課税率で法人税が課税されます
 
ただし、譲渡価額と時価の差額が著しく大きい場合は、取り扱いが異なる場合があります。譲渡価額が時価より著しく低い場合、売手の法人は譲渡価額と時価の差額が寄付金とみなされ、損金不算入の取り扱いを受ける可能性があるのです。

逆に譲渡価額が時価より著しく高い場合は、譲渡価額と時価の差額が受贈益として法人税の課税対象となる可能性があります。

個人の場合の課税率

個人の株式譲渡益については譲渡所得として、所得税15%・住民税5%の合計20%が課税率として課税されます。また、東日本大震災からの復興財源の確保のため、2013年1月1日から2037年12月31日までは所得税額に対し、2.1%が追加的に課税されます。

3. 株式譲渡益の確定申告

株式譲渡益の確定申告

出典:https://www.tadapic.com/

確定申告とは、所得にかかる税金の額を計算し、税金を支払うための手続きのことで、一定以上の所得を獲得していたり、譲渡所得を含む特定の所得を得ていたりする個人が行う必要があります。

株式譲渡益が発生した場合には、確定申告が必要なのでしょうか。また、確定申告が不要となる場合もあるのでしょうか。確定申告が必要な場合と確定申告が不要となる場合について、概要を解説します。

株式譲渡益の確定申告は必要

そもそも、どのような人が確定申告をする必要があるのでしょうか。確定申告が必要な人の条件は、「配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、譲渡所得、山林所得、一時所得、雑所得」を得た個人と定められています。
 
株式譲渡益は、このうちの譲渡所得に該当するため、基本的には確定申告が必要であるということです。

確定申告をしなくても良い場合

ただし、株式譲渡益については必ずしも確定申告が必要というわけではなく、確定申告が不要であるケースがいくつかあります。それは、譲渡損が発生している場合、源泉徴収ありの特定口座を利用している場合、所得控除額よりも低い場合、NISAなどで運用している場合、が挙げられます。それぞれについて概要を解説します。

譲渡損が発生している場合

確定申告は、不要なケースの1つとして譲渡損が発生している場合です。譲渡損が発生している場合で、複数の口座を保有している場合については、利益が出ている口座と損失が出ている口座の株式譲渡損益を通算することで、支払う税金を少なくすることが可能です。

そのため、確定申告が必要ですが、すべての口座で損失が出ている場合については、譲渡所得が発生していないことになるため、確定申告をする必要はありません
 
なお、過去3年以内に譲渡損失の繰り越し控除をしている場合については、確定申告が必要となるため、留意が必要です。「今年は損失ばかりだった」ということで確定申告を行わないでいると、前年までに繰り越した損失が無効となり、翌年益が出た場合に相殺ができなくなるため、必ず確定申告をしましょう。

源泉徴収ありの特定口座の場合

確定申告が不要なケースの2つ目が源泉徴収ありの特定口座を利用している場合です。
 
株式の売買には、一般口座を利用するケースと特定口座を利用するケースがあります。一般口座では、個人で年間取引報告書を作成し、確定申告によって税金を納付しなくてはなりません。
 
一方、特定口座を利用する場合には、取引している証券会社が年間取引報告書を作成してくれます。特定口座には源泉徴収なしのタイプと、源泉徴収ありのタイプがありますが、源泉徴収なしの場合には、証券会社が作成した年間取引報告書をベースとして、自分で確定申告を行う必要があります。
 
源泉徴収ありの特定口座を利用する場合には、年間の取引をベースとして、証券会社が売却益などから納めるべき税金を源泉徴収してくれるため、確定申告が不要となります
 
ただし、譲渡益が20万円以下の場合には、譲渡所得にかかる税金を納めなくてもよいため、小額で運用している場合などは、払わなくてよい税金を支払ってしまう可能性もあることには留意が必要です。自身の取引金額なども勘案しながら、適切な口座を選択しましょう。

所得控除額よりも低い場合

3つ目は所得控除額より譲渡所得が低いケースです。源泉徴収ありの特定口座の場合で説明したとおり、譲渡所得は年間20万円以下の場合、譲渡所得にかかる税金を納める必要はないため、確定申告を行わなくて良いのです
 
給与所得以外の所得(副業における不動産運用での所得など)がある場合には、その所得も足して20万円以下かどうかを判断しなければなりません。しかし、株式投資のみを行っており、その譲渡益が20万円以下なら確定申告はしなくて良いです。

ただ、上記の3つのケースでも、複数の口座間の損益通算をするためなど、確定申告を必要とすることもあります。できる限り手間を減らしたい場合は、特定口座を開設しましょう。

特定口座を開設すると、年間取引報告書が翌年1月末までに本人へ交付されるので、それをもとに確定申告を行うと1年間の上場株式などの取引の詳細を計算する必要がありません。

NISAなどでの運用の場合

確定申告が不要なケースの4つ目はNISAなどで運用している場合です。NISAは、2014年から始まった制度です。2023年までの間の口座開設により、5年間、毎年120万円の非課税投資枠が与えられ、その年に120万円投資した株価が値上がりした場合の益が非課税となります。
 
NISA口座での取引については、利益は基本的に非課税となるため、確定申告は不要です。また、損失が出た場合についても、NISA口座で出た損失については、他の所得の利益と相殺できないため、その調整を行うための確定申告も不要となります。

4. まとめ

まとめ

出典:https://www.tadapic.com/

株式譲渡益は、個人と法人で課税率や課税の仕組みが異なりますが、特に個人の場合は、NISAなどの制度もあり、確定申告が不要となるケースもあるため、積極的に制度を活用して、税金を計算する手間を省けます。
 
逆に法人では、他の所得と損益を通算したり、損失を繰り越したりするため、計算が複雑になるケースがあります。また、譲渡価額によっては寄付金扱いや受贈益とみなされる場合があるため、専門家による確認が必要です。
 
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