譲渡制限株式の譲渡承認請求・買取請求の手続きを解説!スケジュール・価格の決め方は?

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

譲渡制限株式の譲渡承認請求・買取請求の手続きはどう進めるのかと気になる経営者の方もいるでしょう。この記事では譲渡制限株式の譲渡承認請求・買取請求について詳しく解説しています。承認請求・買取請求のスケジュールや株式売却価格の決め方もわかりやすく説明しています。


目次

  1. 譲渡制限株式とは
  2. 譲渡制限株式の承認機関
  3. 譲渡制限株式の譲渡承認のスケジュール
  4. 譲渡制限株式の譲渡承認請求の手続き
  5. 譲渡制限株式の譲渡買取請求の手続き
  6. 譲渡制限株式の売却価格の決め方
  7. 定款による譲渡制限株式の承認規定作成例
  8. 譲渡制限株式の譲渡をお考えの際は
  9. まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談

1. 譲渡制限株式とは

譲渡制限株式とは

今回は「譲渡制限株式」の譲渡承認請求や買取請求についてまとめていきます。この章では、譲渡承認請求・買取請求の手続きやスケジュールについて詳しく解説していく前に、大前提となる「譲渡制限株式」について説明していきます。

会社が発行する「株式」は通常、自由に取引・売買することができます。上場企業が発行する株式は、証券取引所などの公的な取引市場において、自由な取引が行われ、誰でも・いつでも株式を売買できることは、みなさんもイメージしやすいと思います。

一方、当記事で取り上げている「譲渡制限株式」とは、文字通り「譲渡することに制限がかけられている株式」のことです。

通常自由に譲渡することができる株式ですが、株式譲渡を実施する際に「会社の承認を得なければいけない」旨の規定を定款に定めることで、自社が発行する株式に譲渡制限を設けることができます。譲渡制限株式を発行する会社を「株式譲渡制限会社」と表現します。

譲渡制限株式の目的

自社が発行する株式を譲渡制限株式にする目的としては、自分たちの会社の不利になる第三者に株式が譲渡されることを防ぐためです。譲渡制限株式を譲渡する場合には、必ず会社の承認が必要となるため、株式譲渡先を見極めることが可能となります。

また、自社が発行する株式の所有者(株主)が誰なのかを明確にさせるという目的もあります。

その他、自社が発行する株式に譲渡制限をかけて「株式譲渡制限会社」となることのメリットをまとめると、以下のようなポイントが挙げられます。

【「株式譲渡制限会社」となることのメリット】

  • 相続クーデターを防止できる
  • 取締役会や監査役の設置義務がない
  • 役員の任期が最大10年まで延長することができる
  • 請求がなければ「株券」を発行しなくてもよい
  • 株主総会招集の手続きが楽
  • 計算書類の作成が簡単
  • 株式の発行制限がない etc.

非公開会社と公開会社

発行している株式に譲渡制限が設けられている会社のことを「非公開会社」と呼びます。一方、発行している株式に譲渡制限が設けられておらず、自由に株式譲渡することが認められている会社を「公開会社」と呼びます。

上場会社以外にも、株式を自由に譲渡することができる会社は「公開会社」になります。また、日本に存在する多くの中小企業では、自社の株式に譲渡制限を設けていることから、中小企業の多くが「非公開会社」ということもできます。

譲渡制限株式の譲渡承認請求とは

これまで説明した通り、譲渡制限株式とは「株式譲渡の際に制限が設けられている」株式のことです。ここで言う「制限」とは「株式の譲渡を実施する場合、取締役会あるいは株主総会による承認、代表取締役による審査・承認が必要となる」ということを指します。

つまり、取締役会か株主総会による承認と代表取締役による審査・承認をもらえないと、譲渡制限株式を第三者に譲渡することができません。この承認をもらうために、株式譲渡をしようと検討している株主は、会社側に「譲渡承認請求」をする必要があります。

譲渡制限株式がどのようなものか、譲渡制限株式を株式譲渡する際には「譲渡承認請求」を行わなければいけないことが分かる分かったところで、次の章から「譲渡制限株式の譲渡承認請求」について、詳しく解説していきます。

【関連】譲渡制限株式とは?メリット・注意点を解説!

2. 譲渡制限株式の承認機関

譲渡制限株式の承認機関

会社は「譲渡制限株式の譲渡承認請求」を受けた場合、「規定の承認機関」で譲渡請求を承認すべきかどうかを決定する必要があります。この「承認機関」は、会社の特徴や規定内容により異なってくるので、確認しておきましょう。

取締役会設置会社の場合

「取締役会設置会社」が譲渡承認請求を受けた場合、「取締役会」を開催し、取締役会において譲渡を承認するかどうかを決定します。取締役会で承認決議を行う場合、原則として、「取締役の過半数の出席」と「出席した取締役の過半数の賛成」が必要になります。

また、譲渡請求に対する承認決議には「期間」が定められていて、譲渡請求を受けてから2週間以内に「承認・不承認」の通知を出さなければなりません。2週間以内に通知を行わないと、たとえ「不承認」という決定がなされていても「承認したもの」とみなされます。

非取締役会設置会社の場合

譲渡請求を受けた会社が「非取締役会設置会社」の場合、臨時の「株主総会」を開催し、株主総会にて承認決議を行います。株主総会で承認決議を実施する場合、「『議決権の過半数』を持つ株主の出席」と「出席した株主が持つ議決権の過半数の賛成」が必要です。

取締役会での承認決議は、「参加した取締役の過半数の賛成」が必要でしたが、株主総会での承認決議では、「参加した株主が持つ議決権の過半数の賛成」が必要であるという点に注意が必要です。

また、承認通知の期間は、取締役会での承認決議と同様に、2週間以内に通知を行わなければいけません。

取締役会よりも下位の機関の場合

場合によっては、「代表取締役」の承認があることで、譲渡請求が認められるケースもあります。例えば、小さな中小企業などでは、「株主=代表取締役だけ」ということもしばしばみられます。

この場合、株主(=代表取締役)が譲渡に同意さえすれば、取締役会の承認が無くても譲渡制限株式を譲渡することができます。

定款に別機関の規定がある場合

たとえ取締役会設置会社であっても、定款に「別機関が承認機関となる」旨の規定がある場合は、その規定に従うことになります。

譲渡承認機関は定款内に定めることにより、自由に決めることができます。そのため「代表取締役が承認する」や「(取締役会設置会社であっても)株主総会で決議を行う」などと規定されている場合は、その定款に従った承認機関が決議を行うことになります。

3. 譲渡制限株式の譲渡承認のスケジュール

  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談
譲渡制限株式の譲渡承認のスケジュール

続いて、譲渡制限株式の譲渡承認スケジュールについて解説していきます。譲渡承認のスケジュールは以下のようになっています。

【譲渡承認のスケジュール】

  1. 株式譲渡承認の請求
  2. 取締役会・臨時株主総会での承認
  3. 株式譲渡承認の通知
  4. 株式譲渡承認の締結
  5. 株主名義の書き換え請求
  6. 株主名簿記載事項の証明書の交付

スケジュール①:株式譲渡承認の請求

譲渡制限株式の株式譲渡を希望する株主、あるいは株式の買収を検討している買い手は、会社に対して「株式譲渡承認の請求」を行う必要があります。譲渡制限株式の場合は、譲渡制限が設けられているため、既定の承認機関から「株式譲渡の承認」を得なければいけません。

その承認決議を行ってもらうために、譲渡承認の請求を行います。譲渡承認請求を行うのは、株式の譲渡側・取得側どちらでも構いません。ただし、取得側が承認請求する際は、譲渡側と「協同」で行う必要があります

ちなみに、承認請求の手続きを進める際には、手続き内容に関する書面を発行しておくことが大切です。譲渡承認請求に関する書類は、発行が義務付けられているわけではありませんが、トラブル回避の目的も兼ねて、譲渡株式数や譲渡相手の氏名などを記載しましょう。

【関連】株式譲渡承認請求書とは?書き方・手続き方法【テンプレート/雛形あり】

スケジュール②:取締役会・臨時株主総会での承認

株式譲渡側あるいは譲受側から譲渡承認請求がされたら、会社側は承認機関による「承認決議」を行うというスケジュールになります。先述している通り、承認機関は「取締役会設置会社であるかどうか」または「定款に規定があるかどうか」で変わってきます。

取締役会で決める場合

取締役会で承認決議を行う場合は、「取締役の過半数の出席」ならびに「出席した取締役の過半数の賛成」が必要です。

臨時株主総会で決める場合

株主総会での承認決議が行われる場合、「『議決権の過半数』を持つ株主の出席」ならびに「出席した株主が持つ議決権の過半数の賛成」があった場合、譲渡承認請求が承認されたことになります。

不承認の場合は買取請求へ

承認機関によって、譲渡承認請求が「不承認」となった場合には、会社側が「会社による株式の買い取り」または「指定買取人による株式の買い取り」あるいは「会社と指定買取人の共同による株式の買い取り」のどれかを選択し、買取請求が行われます。

譲渡制限株式の譲渡承認請求を受けた会社側は、その請求を「不承認」とすることが可能です。「不承認」とすることができれば、会社にとって不都合な第三者に自社の株式を取得されないよう、対策することができます

ただ、すべての株式譲渡の請求に関して不承認にできてしまうと、株主側にとっては、自分が保有する株式の流動性がより低くなってしまい、損失を被る危険性も考えられます。

そこで、「譲渡承認請求」をする譲渡側(株主)は、承認請求時に、「会社または指定買取人による買取請求」をすることが認められています。

買取請求をすることで、たとえ会社の承認機関から譲渡請求を不承認とされてしまっても、その後「会社」または「会社が指定した買取人」によって自分が保有する株式を買い取ってもらうことができます

スケジュール③:株式譲渡承認の通知

スケジュール②が完了したら、続いて「株式譲渡承認の通知」が行われます。会社側は、譲渡承認請求がされてから「2週間以内」に承認請求に対する回答を通知しなければいけません。

もし2週間以内に通知が行われなかった場合、「みなし承諾」によって「譲渡が承認されたもの」となります。もし、承認機関が不承認の決定を下していた場合でも、「承認されたもの」と認識されるので、会社側はスケジュールをしっかり理解しておく必要があります。

スケジュール④:株式譲渡契約の締結

スケジュール③が完了したら、「株式譲渡契約の締結」へと移ります。「株式譲渡契約の締結」では、譲渡側と譲受側がそれぞれ「株式譲渡契約書」に必要な内容を記載して、取りまとめを行う手続きです。

株式譲渡契約書に記載する内容としては、以下のようなものがあります。

  • 株主の氏名
  • 株式譲渡の価格
  • 対価の支払い方法と支払い期限
  • 株主からの除名手続きに関する内容
  • 新しい株主として株主名義の書き換え請求をする内容 etc.

スケジュール⑤:株主名義の書き換え請求

スケジュール④で契約を締結したら、続いて「株主名義の書換請求」を実施します。ここでは、株式譲渡側・譲受側が共同で、会社に対して、株主名義を「新しい株主の氏名」に書き換えてもらうための請求をします。

株式譲渡において、譲渡側・譲受側での株式の受け渡しがあれば完了というわけではなく、会社が保有している「株主名簿」を書き換える手続きを行うことで初めて株式譲渡が成立します。

そのため、株式譲渡契約を締結したら新しく株主となる者は、必ず会社に「株主名義の書き換え」を請求する必要があります。

【関連】譲渡制限株式の株主の相続の対処法!名義書換や売渡・買取請求に関しても解説!

スケジュール⑥:株主名簿記載事項の証明書の交付

株主名義の書き換え請求を行ったら、「株主名簿記載事項証明書の交付」も行いましょう。証明書を交付してもらうことで、会社の株主名簿に自分が新しい株主として記載されているかを確認することができ、また自分が株主であることを証明することもできます。

【関連】株式譲渡の方法を徹底解説【非上場会社/有限会社】

4. 譲渡制限株式の譲渡承認請求の手続き

譲渡承認請求の手続き

次に、譲渡制限株式の譲渡承認請求の手続きについて、細かく説明していきます。具体的に、株式譲渡側・取得側それぞれの承認請求の手続きについて、取締役会・臨時株主総会での決議について、譲渡制限株式の買取請求手続きについてそれぞれまとめていきます。

譲渡側が承認請求を行う場合

譲渡側(株主)が譲渡制限株式を譲渡しようとした場合、会社に対して譲渡承認請求を行う必要があります。

承認請求の人数

譲渡側(現株主)が譲渡制限株式を第三者に譲渡しようとしている場合、承認請求は譲渡を考えている株主が、単独で実施することができます。承認請求をする際は複数人で行わなければならないという決まりはありません。

開示情報

譲渡側(株主)が譲渡制限株式の承認請求を行う場合、「譲渡する株式数」「取得側(譲受人)の氏名または名称」を明らかにしなければいけません。これは会社法によって定められており、会社側が承認決議を行う際に必要となる情報です。

取得側が承認請求を行う場合

譲渡制限株式を取得しようと考えている「取得側(譲受人)」も、会社に対して承認請求をすることができます。

承認請求の人数

譲渡制限株式の取得側(譲受人)が承認請求を行う際には、原則として株式の譲渡側(株主)と共同で承認請求をする必要があります。取得側(譲受人)が単独で承認請求することは、株主を含めた関係者の利益を害する危険性があるため認められていません。

開示情報

取得側(譲渡人)が承認請求手続きを進める際には、「取得する株式数」「取得側(譲渡人)の氏名または名称」「会社が譲渡請求を不承認とした場合に、会社または指定買取人に対して譲渡制限株式の買取請求をする旨の内容」を開示する必要があります。

取締役会・臨時株主総会で決議

譲渡承認請求手続きが株式譲渡側または取得側から行われたら、次に「取締役会・臨時株主総会での決議」が実施されます。この承認機関での決議に関する手続きについて、詳細に説明していきます。

①承認された場合

承認機関の決議によって、株式譲渡が承認した場合、会社側は、「株式譲渡を承認する」という決定内容を請求者(株式譲渡側・取得側)に通知しなければいけません。承認が通知されたら、当事者間同士で株式譲渡が行われます。

②不承認された場合

承認機関が開催され、決議が行われた結果「不承認」となった場合も、承認されたときと同様に「決定内容(不承認であること)の通知」手続きが必要になります。通知期間は、譲渡承認請求がされてから「2週間以内」です。

また、請求者(株式譲渡側・取得側)によっては、譲渡承認請求をする際に、「会社または指定買取人による買取請求」をしているケースがあります。

この場合、株式譲渡が不承認となったら、会社側は「会社自身が対象株式を買い取る」か、「指定買取人を指定する」かを決定しなければいけません。

③みなし承諾の規定

先述している通り、承認機関が下した決定内容の通知は、譲渡承認請求が行われてから「2週間以内」に行われなければいけません。特に、株式譲渡が「不承認」となった場合には注意が必要です。

その理由は、「会社側が、一定期間(2週間以内)に、譲渡承認請求の承認・不承認に関する通知を怠った場合に、その請求を承認したものとみなす」という「みなし承諾の規定」があるためです。

「みなし承諾の規定」によって、もし承認請求が「不承認」となっても、2週間以内に通知を行わなかった場合、「承認したもの」とみなされる(みなし承諾)ことになります。

また、譲渡請求者から「会社または指定買取人による買取請求」が行われている場合にもみなし承諾に注意が必要です。

承認請求の不承認が通知された日から「『40日以内』に会社が買い取る旨の通知」を、または「『10日以内』に指定買取人による買取の通知」をしなかった場合も、みなし承諾となり、譲渡を承認する決定が下されたことになってしまいます。

ちなみに、承認・不承認の通知期間(2週間以内)や買取請求に関する通知期間(40日以内/10日以内)は、譲渡請求者と会社との間で合意があれば、通知期間を変更することが可能です(定款の変更が必要)。

【関連】非上場株式を譲渡する際の税金まとめ!個人から法人、個人から個人に売却するとどうなる?

5. 譲渡制限株式の譲渡買取請求の手続き

譲渡制限株式の譲渡買取請求の手続き

会社側が株式譲渡の承認請求を「不承認」とした場合、承認請求時に請求者から「会社または指定買取人による買取請求」を受けているならば、譲渡買取請求の手続きを進める必要があります。

①会社、または指定買取人による買い取り手続き

買取請求があった場合には、会社または指定買取人による買い取り手続きが必要です。「会社が買い取る場合」「指定買取人が買い取る場合」に分けて、手続きの流れを説明します。

会社が買い取る場合

「会社が買い取る」ことになった場合、たとえ「取締役会設置会社」であっても、株主総会を開いて、「株式を買い取ること」と「買い取る株式数」について、特別決議で決定します。

その後、必要な供託を実施し、供託を証明する書面を交付、会社が株式を買い取ることを請求者に通知するという流れになります。

ちなみに、会社が株式を買い取る場合、会社自身が自己株式を取得することになるため、「財源規制」が適用されます。「財源規制」とは、取得できる自己株式は、自己株式取得日における会社の「分配可能額」の範囲内」にとどめる規制のことです。

「分配可能額」は、余剰金の額を基準として、一定の項目を加算・減産することで算出された金額のことです。この「財源規制」があるため、余剰金の金額を超える額の自己株式は取得できません。

指定買取人が買い取る場合

一方、「指定買取人が買い取る」場合、定款に定めがある場合を除いて、「取締役会設置会社」は取締役会の決議が、「取締役会非設置会社」は株主総会の特別決議が必要となります。

決議が行われた後は、指定買取人が必要な供託を行い、供託を証明する書面を交付して、「指定買取人として指定されたこと」と「買い取る株式数」についての通知を行う必要があります。

②買い取りの承認

「会社による買い取り」もしくは「指定買取人による買い取り」が承認されたら、譲渡承認請求者に通知を行います。「会社が買い取る」場合は、譲渡を不承認とする旨の通知をした日から「40日以内(定款で短縮することが可能)」に買取通知を行わなければいけません。

また、「指定買取人が買い取る」場合には、譲渡を不承認とする旨の通知をした日から「10日以内(定款で短縮することが可能)」での通知が必要です。

それぞれ定款に定められた期間内に通知することを怠った場合は、譲渡承認請求を「承認したもの」とみなされます。さらに、買取請求が承認されたら、「売却価格の協議」へと進むことになります。

6. 譲渡制限株式の売却価格の決め方

譲渡制限株式の売却価格の決め方

会社または指定買取人による買取請求が承認されたら、譲渡制限株式の売却価格の決定へと移っていきます。譲渡制限株式の売却価格の決め方は、主に以下の3つの場面に分けることができます。

【譲渡制限株式の売却価格決定の場面】

  1. 譲渡買取請求の承認時に当事者間で決定
  2. 裁判所への申立にて決定
  3. 裁判所への申立を行わずに決定

①譲渡買取請求の承認時に当事者間で決定

まずは、買取請求が承認された段階で、当事者間(譲渡請求者と会社または指定買取人)の協議によって、譲渡制限株式の売却価格を決定します。

発行する株式に譲渡制限がある「非公開会社」の株式売却価格の算出方法には、以下のようなものがあります。

  1. 時価による算定方法
  2. 純資産価格による算定方法
  3. 類似業種比準による算定方法
  4. 配当還元による算定方法
  5. DCF法による算定方法

上記で挙げた算出方法のいずれかを用いて、株式の売却価格が決定されます。算出された価格に対して、譲渡側・会社または指定買取人の双方に不満が無ければ、買取が行われます。

しかし、この段階で協議が成立することは珍しく、多くの場合、以下2つの手段が用いられます。

②裁判所への申立にて決定

譲渡制限株式の売却価格の協議が当事者間で上手くいかなかった場合、「買取通知」から「20日以内」裁判所に対して譲渡制限株式の売却価格の決定を申し立てすることができます。

裁判所に申し立てをした場合は、最終的に裁判所が譲渡制限株式の売却価格を決定することになります。

③裁判所への申立を行わずに決定

買取請求の承認時に当事者間で協議が成立されず、買取する旨の通知から「20日以内」に裁判所への「譲渡制限株式の売却価格の決定」に関する申し立ても行わなかった場合、「供託金額」が譲渡制限株式の売却価格となります。

【関連】株式譲渡の金額・価格の決め方!低額譲渡・高額譲渡の注意点も解説!

7. 定款による譲渡制限株式の承認規定作成例

定款による譲渡制限株式の承認規定作成例

自社が発行する株式を譲渡制限株式とするためには、定款の中に、「自社株式の譲渡には、取締役会あるいは株主総会による承認、代表取締役による承認が必要となる」という旨の規定を加える必要があります。

そこでここでは、定款による譲渡制限株式の承認規定作成例をご紹介しておきます。定款の内容は主に、「取締役会設置会社」か「取締役会非設置会社」かによって変わってきます。

【定款記載例:取締役会設置会社の場合】

(株式の譲渡制限)
第〇条 当会社が発行する株式はすべて譲渡制限株式とし、この株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する。

【定款記載例:取締役会非設置会社の場合】

(株式の譲渡制限)
第〇条 当会社が発行する株式はすべて譲渡制限株式とし、この株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。

【定款記載例:取締役会設置会社・非設置会社のどちらでも可能な規定】

(株式の譲渡制限)
第〇条 当会社が発行する株式はすべて譲渡制限株式とし、この株式を譲渡により取得するには、代表取締役の承認を要する。

(株式の譲渡制限)
第〇条 当会社が発行する株式はすべて譲渡制限株式とし、この株式を譲渡により取得するには、代表取締役の承認を要する。ただし、当会社の株主に譲渡する場合には、代表取締役が承認したものとみなす。

【関連】株式譲渡した際、登記申請や定款変更は必要?

8. 譲渡制限株式の譲渡をお考えの際は

譲渡制限株式の譲渡

ここまで、譲渡制限株式の譲渡に関する手続き・スケジュール・売却価格の決定方法などを解説してきました。譲渡制限株式は、いくら譲渡側・取得側で合意が成されていても、自由に譲渡することはできないものです。

会社側に譲渡承認請求をして、会社が定めた承認機関の決議を経て、譲渡契約の締結や価格の決定などが行われます。ここまでの解説を読み進めてくださった方ならお分かりいただけるかと思いますが、譲渡制限株式の譲渡の際は複雑な手続きを進める必要があります。

「複雑な手続きを自分ひとりでやるのは不安がある」「譲渡制限株式の譲渡について、詳しい専門家に相談したい」といった方は、【M&A総合研究所】の利用をご検討ください。

【M&A総合研究所】は、株式譲渡をはじめとした「M&A・事業承継」の実績が豊富で、専門的な知識を有したスタッフが、一から専任でサポートしてくれます。

相談は無料となっていますので、「譲渡制限株式の譲渡」に関して気になることがある方は、【M&A総合研究所】までお気軽にお問い合わせください。

M&A専門会計士が対応します/

【無料相談】
M&Aのプロに相談する>>
【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはコチラ>>【※無料】M&Aの資料請求はコチラ>>

9. まとめ

まとめ

当記事では、「譲渡制限株式の譲渡」の際の譲渡承認請求・買取請求の手続き・スケジュールや、売却価格の決定方法、定款の記載例などをまとめてきました。

【譲渡承認のスケジュール】

  1. 株式譲渡承認の請求
  2. 取締役会・臨時株主総会での承認
  3. 株式譲渡承認の通知
  4. 株式譲渡承認の締結
  5. 株主名義の書き換え請求
  6. 株主名簿記載事項の証明書の交付

【譲渡承認請求手続きのポイント】

  • 譲渡制限株式の取得側が承認請求をする際は、譲渡側と「共同」で実施する必要がある
  • 譲渡承認請求が「不承認」となっても、規定の期間(基本的に「2週間以内」)に通知を行わないと、「承認したもの」とみなされる(みなし承諾)
  • 譲渡承認請求が「不承認」となった際、承認請求時に「買取請求」が行われている場合には、会社側は「会社または指定買取人による買い取り」を決定しなければいけない

【譲渡制限株式の売却価格決定の場面】

  1. 譲渡買取請求の承認時に当事者間で決定
  2. 裁判所への申立にて決定
  3. 裁判所への申立を行わずに決定

譲渡制限株式の譲渡・取得をご検討の方は、ぜひ当記事を参考に、譲渡手続きを進めるようにしてください。

【関連】株式譲渡制限会社とは?株主総会の許可がなければ株式譲渡できない?

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

秘密
厳守

M&A専門会計士が対応します

お電話で相談 03-6427-8841メールで相談
  • 【国内最安値水準】
    M&A仲介サービス

    Img hand

    公認会計士が国内最安値水準でM&A・事業承継をフルサポートいたします。
    まずはお気軽にご相談ください。会社、事業の譲渡または買収をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。

    M&A仲介はこちら
  • 資料請求

    Img book

    M&A・事業承継を成功させるポイントやM&Aの実態をまとめた「後悔しない会社売却・事業承継 M&Aのために抑えておきたいポイント」(16ページ)を無料で進呈いたします。

    資料請求はこちら
  • 【無料】企業価値
    算定サービス

    Img graph

    M&A総合研究所の会計士が貴社の企業価値を無料で算定いたします。
    無料企業価値算定をしても、無理にM&Aや会社売却を勧めることは致しませんのでまずはお気軽にお問い合わせください。

    お申し込みはこちら

関連するまとめ

人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ