2025年11月13日更新
退職金の税金はいくら?計算方法と控除額をわかりやすく解説|確定申告は必要?
退職金には税金がかかりますが、長年の功労に報いるため税負担が軽くなるよう配慮されています。この記事では、退職金の税金の計算方法や控除額、確定申告の要否について、図解を交えながらわかりやすく解説します。
目次
1. 退職金にかかる税金の基礎知識
長年勤め上げた証として受け取る退職金ですが、給与や賞与と同じく「所得」とみなされるため税金がかかります。ただし、退職金は老後の生活を支える重要な資金であることから、税負担が軽くなるよう様々な優遇措置が設けられています。
退職金の税金を計算する方法は、普通の給料の場合とは違う部分もあるので、退職金の場合における計算方法を知っておく必要があります。
退職金の税金は、原則として会社側が源泉徴収します。受け取る側が必ずしも計算の詳細を知る必要はないかもしれません。しかし、ケースによっては確定申告で還付を受けられる場合もあるので、計算方法を知っておくことはやはり重要といえるでしょう。
参考:厚生労働省 退職金の金額
そもそも退職金(退職所得)とは?
退職金(退職所得)は、会社を退職する時に会社から支払われる一時金や年金です。給料やボーナスとは別に支払われ、今まで会社に勤めてきたことを労う意味合いがあります。
退職所得と呼ぶものは、定年退職や中途退職だけはありません。会社が従業員を解雇する時に支払う解雇予告手当や、会社が倒産して給料の支払いが滞った時に、国から立て替えてもらったお金も含まれるので注意しましょう。
退職金の支払いは法律上の義務ではなく、会社の就業規則や退職金規程によって定められています。そのため、退職金制度の有無や内容は企業によって異なります。ご自身の退職金については、勤務先の規定を事前に確認しておくことが大切です。
退職金にかかる税金は所得税・住民税・復興特別所得税の3種類
退職金(退職所得)にかかる税金は、所得税と住民税であり、普通の給料やボーナスにかかる税金と同じです。ただし、退職金は税金の計算方法が違ってくるのが注意点となります。
ここではまず、そもそも所得税・住民税とは何か、基礎的な事項を確認していきます。
【退職金(退職所得)にかかる税金】
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
①所得税
所得税とは個人の所得にかかる税金です。一年間に得た所得額をもとに、一定の税率をかけて計算します。所得税は、給料や個人事業の事業所得に対してかかる税金なので、なじみがあるでしょう。退職金も所得の一種なので、同様に所得税がかかります。
所得税は累進課税で、所得が大きくなるほど税率が高くなる仕組みとなっています。会社員の場合、原則として会社側が源泉徴収で所得税を納税するので、確定申告を行う必要はありません。
所得税の税率は下の表にあるとおりです。課税所得とは、収入のうち課税対象となる部分で、収入から各種控除を引いた額になります。収入が全て所得税の対象となるわけではありません。
令和19年12月31日までは、通常の所得税に加えて復興特別所得税もかかります。
【所得税の税率と控除額】
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
| 1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
②住民税
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に収める税金です。都道府県に支払う住民税は、東京都は都民税、他の道府県は道府県民税といいます。市区町村に支払う住民税は、東京23区が特別区民税、その他が市町村民税です。
住民税は所得税と違って累進課税ではありません。所得額に関わらず税率は合計10%となります。内訳は都民税・道府県民税が4%、特別区民税・市町村民税が6%です。これに加えて、所得額に関わらず均等割という一定額の住民税が課せられます。
住民税の税率と均等割の額は下の表のとおりです。2024年度からは、東日本大震災の復興財源として上乗せされていた1,000円(年額)に代わり、新たに「森林環境税(国税)」として年額1,000円が個人住民税とあわせて徴収されます。そのため、多くの自治体では納税者の負担額は実質的に変わりません。
【住民税の税率と均等割】
| 所得割の税率 | 均等割 | |
| 都民税・道府県民税 | 4% | 1,500円 |
| 特別区民税・市町村民税 | 6% | 3,500円 |
| 合計 | 10% | 5,000円 |
③復興特別所得税
復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源を確保するために創設された税金です。2013年(平成25年)から2037年(令和19年)までの間、その年に納めるべき所得税額に対して2.1%が上乗せで課税されます。退職金にかかる所得税も対象となるため、忘れずに計算に含める必要があります。
2. 退職金にかかる税金の計算方法
退職金にかかる税金の計算は、給与所得などとは異なる特別な方法で行われます。これは、退職金が長年の勤労に対する報奨的な意味合いを持つため、税負担が軽減されるように配慮されているからです。
退職金の税金は、まず退職所得と退職所得控除額を計算し、それをもとに所得税と住民税を計算します。所得税と住民税の計算は、給料やボーナスの場合と同じです。退職所得と退職所得控除額の求め方がポイントとなります。
この章では、退職金にかかる税金の計算方法について、各ステップを詳しく解説していきます。
退職金(退職所得)の計算方法
退職金は退職所得として取り扱われます。ほかの所得と同じように、各種控除を差し引いた残りの額だけが課税対象(課税退職所得)となるのです。
退職金(退職所得)から引かれる控除額は退職所得控除額といいます。退職金(退職所得)から課税退職所得を求める方法は、まず退職金(退職所得)から退職所得控除額を引いて、さらにその額を2分の1にします。
【退職金(退職所得)から課税退職所得を求める計算方法】
- 課税退職所得={退職金(退職所得)-退職所得控除額}÷2
例えば、退職金(退職所得)が2,000万円、退職所得控除額が800万円なら、課税退職所得は(2,000万円-800万円)÷2=600万円となります。
退職所得となるもの
退職所得は退職金と同じ意味ではなく、もう少し広い意味があります。例えば、従業員が役員に就任した際に、従業員として勤務した期間の退職金を受け取ったとしましょう。その場合、会社を退職はしていないものの、退職金を退職所得として取り扱うのです。
ほかにも、退職後に支払われるはずの年金を一時金として受け取った場合も退職所得となります。解雇予告手当や未払賃金立替払制度による立替払いも退職所得となります。これらは一見退職所得かどうかわかりにくいので、退職所得に含まれることを覚えておきましょう。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額の計算方法は、勤続20年以下なら勤続年数×40万円です。勤続21年以上なら、20年×40万円=800万円に加えて、20年を超える分に対して勤続年数×70万円を加算します。
例えば勤続12年なら、12年×40万円=480万円が控除額です。勤続25年なら800万円(20年×40万円)+350万円(5年×70万円)=1,150万円が控除額となります。
年度の途中で退職した場合は、繰り上げて勤続年数をカウントするので注意しましょう。例えば、勤続10年2か月の場合は11年として計算します。
勤続年数が非常に短く、この計算方法で80万円を下回る場合は、控除額は80万円です。例えば、勤続年数が1年の場合、控除額は1年×40万円=40万円となるはずですが、この場合は80万円が控除額になります。
所得税の計算方法
退職金(退職所得)の所得税の計算方法は、給料やボーナスなどの計算方法と同じです。課税退職所得に所得額に応じた税率をかけて、控除額を引いた額が所得税額となります。それに加え、所得税額に2.1%を掛けた復興特別所得税を足したものが合計金額となります。
例えば、課税退職所得が500万円の場合、所得税率が20%で控除額が427,500円なので、所得税は(5,000,000円×0.2)-427,500円=572,500円です。
そして、復興特別所得税は572,500円×0.021=12,022.5円となり、端数は切り捨てて12,022円となります。
住民税の計算方法
退職金(退職所得)の住民税は、課税退職所得に10%を掛けて計算します。例えば、課税退職所得が500万円の場合、500万円×0.1=50万円が住民税の額となります。
退職金の税金に関する手続きと確定申告
退職金を受け取る際の手続きや、確定申告の要否は多くの方が気になる点です。ここでは、重要な書類の提出と確定申告について解説します。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出が重要
退職金を受け取る際は、会社から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を求められます。この書類を提出することで、会社側が退職所得控除などを適用した正しい税額を計算し、源泉徴収を行ってくれます。その結果、原則として自分で確定申告をする必要がなくなります。
もしこの申告書を提出しない場合、退職金の額面に対して一律20.42%の税率で源泉徴収されてしまいます。この場合、本来よりも多くの税金を支払うことになるため、後で自分で確定申告を行い、払いすぎた税金の還付を受ける必要があります。
確定申告が必要になるケース
原則として確定申告は不要ですが、以下のようなケースでは必要となります。
- 「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しなかった場合
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
- 医療費控除やふるさと納税の寄付金控除など、年末調整では適用できない控除を受けたい場合
- 退職所得以外に不動産所得など他の所得がある場合
確定申告が不要なケース
以下の条件を満たす場合、原則として確定申告は不要です。
- 退職時に勤務先へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出している
- 退職所得以外の所得がなく、源泉徴収で納税が完了している
多くの会社員は、申告書を提出すれば会社側で手続きが完了するため、確定申告は不要となります。
退職金の2つの受け取り方と税金
退職金の受け取り方は、会社が規定します。大きく分けて、一時金として一括で受け取る方法と、年金として分割で受け取る方法です。会社によっては、両者を併用した受け取り方ができるところもあります。
退職金の税金を計算する方法は、一括で受け取るか年金で受け取るかで違ってくるので注意が必要です。
【退職金の受け取り方】
- 一時金として一括で受け取る
- 年金として分割で受け取る
一時金として一括で受け取る
退職時に一時金として退職金を受け取った場合、退職所得として税金を計算します。
退職金(退職所得)から勤続年数に応じた退職所得控除を引き、2分の1にした額が課税退職所得です。これを基準に所得税と住民税を計算します。
退職所得は分離課税になるのが特徴です。分離課税とは、ほかの所得とは別に税金を計算する方法です。累進課税の所得税を計算する時は有利になります。
例えば、退職金の課税退職所得が300万円で、それ以外に200万円の所得があった場合、総合課税なら課税所得が500万円となり所得税率が20%になります。
しかし、退職金(退職所得)は分離課税なので、300万円だけを独立した課税所得として計算するため、所得税率は10%となるのです。
年金として分割で受け取る
退職金を年金として分割で受け取る場合は、退職所得ではなく雑所得として取り扱い、税金も総合課税で計算することになります。ほかに受け取っている国民年金や厚生年金と合算したうえで、公的年金等控除額を差し引いた残りが課税所得となるのです。
控除額の計算方法はやや複雑です。大まかにいうと、まず退職金の額に応じて定められる75%から100%までの割合を掛けて、そこから退職金の額に応じて定められた控除額を差し引きます。65歳未満と65歳以上の場合で、掛ける割合や控除額が少し違ってきます。
一時金と年金、税制面で有利なのはどちら?
一時金と年金、どちらの受け取り方が税制上有利かは、個々の状況によって異なります。一般的には、退職所得控除という大きな控除が適用され、さらに税負担が半分になる「2分の1課税」や他の所得と分離して計算する「分離課税」のメリットがある一時金の方が、税負担を抑えられるケースが多いです。ただし、計画的に資金を使いたい方や、公的年金等控除を有効活用できる場合は年金形式も選択肢となります。
3. 退職金にかかる税金シミュレーション
ここまでの章で退職金にかかる税金の計算方法を詳しく見てきました。具体例がないと理解しづらい部分もあるでしょう。
この章では、勤続年数が比較的短いケースと長いケースを一つずつ取り上げ、退職金の税金がそれぞれどのように計算されるか、具体例を紹介します。自身の退職金の税金を計算する時に参考にしてみてください。
勤続年数10年5ヵ月・退職金支給額930万円の場合
最初に、勤続年数が比較的短い場合の例として、勤続年数10年5ヵ月・退職金支給額930万円の場合に、税金がどのように計算されるか見ていきましょう。年金ではなく一括で退職金を受け取った場合を想定します。勤続年数は5ヵ月分を繰り上げて11年とします。
【退職所得控除額】
11年×400,000円=4,400,000円
勤続年数は20年以下なので、一年につき40万円控除です。次に、課税退職所得を求めます。
【課税退職所得額】
(9,300,000円-4,400,000円)÷2=2,450,000円
この245万円をベースに所得税・住民税を計算します。
①所得税と復興特別所得税を求める
先ほど求めた課税退職所得245万円をもとに、所得税と復興特別所得税を計算します。下の表を見ると、課税所得245万円の場合の所得税率は10%、控除額は97,500円となっています。所得税額・復興特別所得税額・所得税の合計額は以下のとおりです。
【所得税額】
(2,450,000円×0.1)-97,500円=147,500円
【復興特別所得税額】
147,500円×0.021=3,097円(端数は切り捨て)
【所得税の合計額】
147,500円+3,097円=150,597円
【所得税の税率と控除額】
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
| 1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
②住民税を求める
住民税は、先ほど計算した課税退職所得245万円に10%を掛けて245,000円となります。よってこのケースで支払うトータルの税金は、所得税の150,597円と住民税の245,000円を足して、395,597円となります。
勤続年数30年・退職金支給額2500万円の場合
次に、勤続年数が長いケースとして、勤続年数30年・退職金支給額2500万円の場合を考えてみましょう。勤続年数が長くても基本的な計算方法は先ほどのケースと同じです。まずは退職所得控除額を計算していきます。
【退職所得控除額】
(20年×400,000円)+(10年×700,000円)=15,000,000円
勤続年数が20年を超えているので、控除額は最初の20年が年40万円、残りの10年は年70万円となります。
【課税退職所得額】
(25,000,000円-15,000,000円)÷2=5,000,000円
①所得税と復興特別所得税を求める
先ほど求めた課税退職所得500万円をもとに、所得税と復興特別所得税を計算します。課税所得500万円の所得税率は20%、控除額は427,500円です。
【所得税額】
(5,000,000円×0.2)-427,500円=572,500円
【復興特別所得税額】
572,500円×0.021=12,022円(端数は切り捨て)
【所得税の合計額】
572,500円+12,022円=584,522円
②住民税を求める
住民税は所得額に関わらず10%なので、前回の例と同様に500万円×0.1=50万円と計算します。最終的に所得税と住民税を足すと、支払う税金の合計額は584,522円+500,000円=1,084,522円となります。
4. 短期間で退職した場合における退職金の注意点
5年以内に退職すると、税金の計算方法が変わります。役員と従業員の場合で説明します。
役員が短期間で退職したケース
役員で5年以内に退職した場合の計算のポイントは以下のとおりです。
- 退職金は「特定役員退職手当等」として扱われる
- 勤務年数ごとの控除は可能ですが、2分の1にはできない
- 計算は、退職金から(勤務年数×40万円)を引いた金額が課税される
例えば、役員として4年間勤務し、退職金として500万円が支払われた場合、課税対象となる退職所得金額は次のように計算できます。
- 500万円 - (40万円 × 4年) = 340万円
「4年3ヵ月」や「4年6ヵ月」といった1年未満の期間がある場合は、繰り上げて5年として計算します。
従業員が短期間で退職したケース
次に、従業員で5年以内に退職した場合の計算のポイントは以下の通りです。
- 退職金は「短期退職手当等」として扱われる
- 2022年1月1日からの計算方法が変わった
- 退職金から控除後の金額が、300万円以下なのか、それ以上なのかで計算が違う
退職金から退職所得控除額を差し引いた金額について、300万円以下であれば「(退職金-退職所得控除額)×1/2」、300万円超であれば「150万円+(退職金-(300万円+退職所得控除額))」の計算式を用います。
例えば、退職金が300万円で勤続年数が5年の場合、退職所得控除額は200万円です。この場合、課税退職所得の金額は次のように計算されます。
- (300万円 - 200万円) × 1/2 = 50万円
また、退職金が1,000万円で勤続年数が5年の場合、退職所得控除額は200万円です。この場合、課税退職所得の金額は次のように計算されます。
- 150万円 + (1,000万円 - (300万円 + 200万円)) = 650万円
これらの課税退職所得金額に対して、所得税および復興特別所得税の税率をかけて税額を求めます。
5. 退職金の税金は確定申告で還付される可能性もある
退職金は会社側が源泉徴収するので、原則として確定申告は必要ありません。しかし、場合によっては確定申告で税金が還付されることもあります。
還付される可能性があるのは、例えば「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出しなかった場合です。この申告書を提出しないと、一律で20.42%の所得税が源泉徴収されます。本来の税率がそれ以下の場合は、確定申告すれば差額が還付されるのです。
退職した年の年収が前年より大幅に少ない場合は、源泉徴収で多めに引かれている可能性があります。もしそうならば、確定申告すれば差額が還付されます。
退職所得の受給に関する申告とは
退職金を受け取る際に、会社の退職金支払者に対して、所定の「退職所得の受給に関する申告書」に必要事項を記入し提出します。記入する内容は所得税法で定められています。勤務先から渡されない場合は、国税庁のホームページからダウンロードするとよいでしょう。
この書類は、所管の税務署から提出を求められない限り、提出する必要はありません。会社の退職金支払者が保管しておくものです。
退職所得の受給に関する申告書の重要性
退職金を受け取る際に、「退職所得の受給に関する申告書」を会社側に提出しないと、退職所得控除が受けられません。この書類を提出しなかった場合、所得税額が高くなってしまいます。
提出しなかった、もしくは提出を忘れてしまった場合は、確定申告をすれば払い過ぎた税金は還付されます。しかし、正確な税申告、スムーズな退職手続きを行うためには、退職する際に会社側にこの書類を提出することが重要です。
6. 退職金の税金に関してよくある質問
退職金の税金に関してよくある質問と回答をまとめました。
退職金を非課税で受け取れる場合はある?
退職金にかかる税金は、通常の給与や賞与、不動産所得、雑所得などと異なり、他の所得と分離して計算されます。このため、税制上はほかの所得よりも優遇されており、税負担が軽くなる仕組みになっています。
退職金から差し引かれる「退職所得控除額」は、税額を計算する際の重要な要素です。この控除額が退職金の金額を上回る場合、税金は発生しません。
退職所得控除額は勤続年数に応じて増加し、たとえば勤続30年の場合は1,500万円が控除されます。つまり、退職金が1,500万円以下であれば、全額非課税で受け取ることができます。
退職金を受け取った後に確定申告が必要となるケースは?
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しないと、退職所得控除が適用されません。その結果、退職金に対して所得税および復興特別所得税が合計20.42%の税率で一律に源泉徴収されることになります。
本来であれば、勤続年数に応じた退職所得控除を受けることで税負担を軽減できますが、申告書を提出しない場合はその恩恵を受けられません。
このようなケースでは、退職金にかかる税額を正しく精算するために、退職後に確定申告を行う必要があります。申告によって過剰に徴収された税金が還付される可能性もありますので、忘れずに手続きを行いましょう。
7. M&Aにおける退職金の相談先
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8. 退職金にかかる税金の計算方法のまとめ
退職金(退職所得)の税金の計算はやや特殊な部分があるので、正しい方法を理解しておくことが大切です。一時金か年金かの選択や、確定申告で還付を受けられるかの判断など、計算方法を知っておく利点は大きいといえます。
【退職金(退職所得)にかかる税金】
- 所得税
- 住民税
【退職金(退職所得)から課税退職所得を求める計算方法】
課税退職所得={退職金(退職所得)-退職所得控除額}÷2
【退職金の受け取り方】
- 一時金として一括で受け取る
- 年金として分割で受け取る
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