電気工事会社の事業承継の方法は?後継者がいなくても会社を残そう!

執行役員 企業情報部 部長 兼 企業情報第一部 部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

電気工事会社の事業承継を考えるとき、身近に後継者がいなくて困っているケースも珍しくありません。しかし、M&Aを行えば自社を残せるので、すぐにあきらめるのはもったいないことです。電気工事会社の事業承継方法やその成功ポイントについて掲示します。

目次

  1. 電気工事会社の3つの事業承継方法
  2. 電気工事会社のM&A解説動画
  3. 電気工事会社が廃業するとどうなる?
  4. 電気工事会社の後継者がいなくてもM&Aで簡単に解決できる!
  5. 電気工事会社が事業承継する流れ5ステップ
  6. 電気工事会社が事業承継に失敗する5ケースと対策
  7. 電気工事会社の事業承継でかかる税金と利用すべき制度
  8. 電気工事会社の事業承継は早めに専門家にご相談を!
  9. まとめ
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    1. 電気工事会社の3つの事業承継方法

    電気工事会社の事業承継方法には、以下の3つがあります。
     

    1. 親族内事業承継
    2. 社内事業承継
    3. M&Aによる事業承継

    身近に後継者候補がいなければ廃業を考えがちですが、あらためて事業承継の方法を確認することで、事業承継を実現する可能性も見えてくるはずです。1つずつ内容を見てみましょう。

    ①親族内事業承継

    まず挙げられるのが、親族内事業承継です。この方法は、自分の親族を後継者にします。

    できるなら親族内事業承継で、電気工事会社を引き継がせたいと思っている経営者は珍しくありません。親族に事業承継できれば、会社は身近なままですから安心してリタイアできるためです。

    また、親族には贈与だけではなく相続でも財産(会社の株式)を譲れるので、経営者がギリギリまで働き続けることも不可能ではありません。後継者側としても相続であれば、納税に関して時間の猶予ができます。

    しかし、近年では親族が事業承継するケースは減ってきています。その主たる理由は、少子化により後継者候補の一番手である子供の数が減っていることと、仕事に対する価値観の多様化により、親も子も必ずしも親族内事業承継を第一に考えなくなってきたからです。

    したがって、親族内に後継者が見つからないなら、早期に以下の2つの事業承継方法に切り替えるとよいでしょう。

    ②社内事業承継

    親族内事業承継が難しい場合の次善の策として行われてきたのが、社内事業承継です。社内事業承継では、会社の従業員や役員を後継者に選びます。

    一緒に働いてきて、すでに業務のノウハウや経営理念を把握している後継者を選べるのがメリットです。もしも、社内に後継者にしたい人がいるなら、一度、話し合ってみましょう

    注意するべき点は、後継者側の事業承継の資金作りについてです。社内事業承継では、経営者の株式を譲渡、または贈与して渡すことになります。譲渡であれば取得費用、贈与であれば贈与税が発生し、いずれにしろ後継者は一定額の資金が必要です。

    後継者にこの資金がなければ株式は渡せず事業承継は行えません。その場合、社内事業承継も断念せざるを得ませんが、まだ、以下で説明するM&Aによる事業承継方法が残っているので大丈夫です。

    ③M&Aによる事業承継

    親族内事業承継と社内事業承継のいずれも難しいときでも実行できるのが、M&Aによる事業承継です。M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、Mergers=合併、Acquisitions=買収という意味です。

    つまり、他社と合併することや、他社に会社を売却することで事業承継する方法です。M&Aであれば単に事業承継するだけでなく、買収側の資金や事業とのシナジー効果により、これまで以上の事業の発展が期待できます。

    過去には、M&Aというと買収による乗っ取りのようなイメージもありましたが、現在、日本で行われているM&Aのほとんどは友好的な交渉のもとで実施されており、特別に心配や警戒をするような必要はありません。

    それどころか、買収側が電気工事会社に価値を感じた場合は、高額な売却益を受け取れます

    帝国データバンクの「全国・後継者不在企業動向調査(2019年)」によると、電気工事会社が属する設備工事業においては後継者不在企業が71.7%となっており、全業種平均を上回る高い数値です。

    引退年齢がきて事業承継ができずに慌てないためにも、身近に後継者候補がいないのであれば、早期にM&Aによる事業承継を見据えて準備にかかるのが賢明といえるでしょう。

    なお、事業承継についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にご覧ください。

    2. 電気工事会社のM&A解説動画

    電気工事会社のM&Aを、当社のM&Aコンサルタントがわかりやすく解説しています。
    業界の動向からM&Aによる課題解決まで解説しておりますので、ご視聴いただけますと幸いです。

    3. 電気工事会社が廃業するとどうなる?

    仮に電気工事会社の事業承継を断念し廃業するとなると、さまざまな損失があります。その内容は事前に確認しておくべきです。電気工事会社が廃業すると、主に以下の4つの損失が生じてしまいます。
     

    1. がんばってくれた従業員の仕事がなくなる
    2. お世話になった取引先に迷惑がかかる
    3. 設備の廃棄などに費用がかかる
    4. 経営者が精神的なダメージを負う

    周囲も含めてさまざまなところに影響が出るので、できる限り廃業は避けるべきです。廃業を決める前に、それぞれの損失の内容について確認しておきましょう。

    ①がんばってくれた従業員の仕事がなくなる

    電気工事会社を廃業してしまうと、従業員を解雇せざるを得ませんから、彼らは職を失い路頭に迷うことになります。

    事前に告知して転職先を探してもらうことになりますが、必ずしもよい職場がスムーズに見つかるとは限りません。優秀な技術者なら転職自体はできる可能性は高いものの、スキルを生かせる環境かどうかは確実ではないでしょう。

    従業員の仕事がなくなれば、従業員の家族にも影響が出ます。したがって、廃業を従業員に告知することを心苦しく思う経営者は多いのが現実です。

    そして、経営者の心情はどうであろうと、廃業で最も迷惑を被るのは従業員ともいえるでしょう。

    ②お世話になった取引先に迷惑がかかる

    電気工事会社が廃業してしまうと、お世話になった取引先にも迷惑がかかります。今まで定期的に仕事を受注してきた取引先がいるなら、今後は別の会社に依頼してもらわなければならないのです。

    さらに協業していたような取引先があるのなら、その相手先にとっては、よりダメージがあるでしょう。いずれにしても、急な廃業では取引先に大きな迷惑がかかります。

    従業員のときと同様に、廃業を伝えるのは非常に心苦しいでしょうが、できるだけ先方に迷惑をかけないように、廃業を決めた段階で取引先にきちんと伝えることが必要です。

    ③設備の廃棄などに費用がかかる

    電気工事会社の廃業には、設備の廃棄など、さまざま出費があることも知っておかなければなりません。

    電気工事会社ならば、資材や工具を廃棄する費用が必要です。また、賃貸事務所ならば入居時の状況に戻す原状回復費用も必要でしょう。会社の規模によって費用は変動しますが、どんなに規模が小さくてもざっと100万円以上はかかります。

    仮に、M&Aで事業承継すれば、売却益を得られるのに廃業ではただただ出費が待っているだけなのです。

    ④経営者が精神的なダメージを負う

    今まで経営してきた電気工事会社を廃業するということで、現経営者が精神的ダメージを負うことも避けられません。

    「もうリタイアするからどうなっても構わない」と今は思っていても、いざ廃業手続きを行うときには残念に感じる経営者がほとんどです。

    どの方法でも事業承継さえ行っておけば、会社は存続します。会社が続いていればリタイア後も安心して見守れるので、廃業は極力避けるべきでしょう。

    電気工事会社が廃業することによって、上述したような損失が出てきます。親族内事業承継や社内事業承継ができないとしても、M&Aでの事業承継を検討するべきです。

    繰り返しますが、M&Aで事業承継をすれば損失全てを回避できるうえ、売却益という創業者利益も得られます。リタイア後の生活も加味して考えると、有用な方法であるといえるでしょう。

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    4. 電気工事会社の後継者がいなくてもM&Aで簡単に解決できる!

    電気工事会社の後継者がいなくても、M&Aをすることで簡単に解決できます。専門知識がなくても、M&A仲介会社に依頼すればほとんど手間はありません

    廃業手続きを自分で進めていく方が労力はかかるといってもいいぐらいです。したがって、後継者がいない場合でも、M&Aでの会社の存続を検討しましょう。

    「自社を買いたいと思う人なんているのだろうか?」と、不安に思う場合もあるかもしれません。しかし、電気工事業界は、現在、M&Aで会社を売りやすいのでチャンスです。

    電気工事会社の業界は人材不足のためM&Aをしやすい

    電気工事業界は、人材不足になっているのでM&Aによる売却がしやすい状況です。

    一例として、第1種電気工事士は、2020(令和2)年に想定している需要よりも2万人ほど不足する見込みとなっています。これは、高齢となった電気工事士が退職する一方で若年層が業界に入ってきていないためです。

    また、将来的には第2種電気工事士も不足していくと考えられています。さらには、電気主任技術者も知名度不足によって、入職率の低さが問題となっているのが現状です。

    このように、業界では人材不足の傾向があるので、優秀な人材をM&Aをしてでも集めておきたいと考える経営者も少なくありません。

    つまり、どの電気工事会社においても買い手がつく可能性は高いので、安心して手配を進めてみましょう。

    M&A仲介会社とは

    M&Aを進めるに際し、欠かせない存在がM&A仲介会社です。M&A仲介会社とは、M&Aで会社を売却、または買収を実施したい会社双方の間に入って仲介するか、どちらか一方のアドバイザーとなってM&Aの実現をサポートします。

    多くの中小企業にとってM&A取引は初めてのことであり、またM&Aには専門的知識も多方面にわたって必要なので、自力だけで進めるのは難しいため、M&Aを検討する際にはM&A仲介会社を起用しましょう。

    現在はM&A仲介会社も多数あり、どこにすればいいかわからないという場合には、ぜひM&A総合研究所へご相談ください

    M&A総合研究所では、電気工事会社の事業承継に対しても深い実績を持つM&Aアドバイザーが専任となって、電気工事会社のM&Aによる事業承継実現をフルサポートします。

    随時、無料相談を受けつけておりますので、電気工事会社の事業承継にお悩みの際には、お気軽にお問い合わせください。

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    5. 電気工事会社が事業承継する流れ5ステップ

    ここでは、電気工事会社が事業承継する流れについて見ていきます。流れは大きく分けて、以下の5ステップです。
     

    1. 事業承継方法を決めて後継者を探す
    2. 事業承継の計画を立てる
    3. 技術者だけではなく経営者としても後継者教育をする
    4. 事業承継に必要な資金を準備させる
    5. 事業承継を実行する

    これらのステップを順番に踏むことで、事業承継を完了できます。何をすればよいのかがわかれば、事業承継への不安も少なくなるはずです。それぞれのステップについて、順番に見ていきましょう。

    ①事業承継方法を決めて後継者を探す

    まずは、事業承継方法を決める必要があります。すでに述べた「親族内事業承継」、「社内事業承継」、「M&Aによる事業承継」の中から、できる方法を考えましょう。

    お悩みなら、以下のように順番に考えれば簡単に決められます。
     

    • 親族で事業承継に乗り気な人がいれば入社してもらい判断する(親族内事業承継)
    • 社内で経営者にふさわしい人がいて乗り気なら経営陣に入れてみて判断する(社内事業承継)
    • 親族と社内で後継者候補がいなければM&Aを選択する

    後継者候補が親族や社内にいても、必ずしもふさわしいとは限りません。冷静に話し合い、実際に経営を少し任せてみるなどして様子を見てから決定するのがよいでしょう。

    それぞれの方法での後継者選びのポイントも見ておきます。

    電気工事会社を親族内事業承継する際の後継者選び

    電気工事会社を親族内事業承継するのであれば、後継者候補が熱意を持って知識や能力をつけていけるかを、まず考えましょう。

    今まで電気工事業務をやったことがない人が、電気工事会社の経営者になるのは簡単なことではありません。第1種電気工事士や第2種電気工事士、電気主任技術者などの専門性の高い従業員をまとめられるように、じっくり教育をしてください。

    せっかく事業承継をしても、従業員が不満を覚えて退職してしまっては成功とはいえません

    経営者として思い入れのある会社を、親族に継いでほしいという気持ちはありでしょうが、経営者として冷静な目線でふさわしい人物を判断してください。

    電気工事会社を社内事業承継する際の後継者選び

    電気工事会社を社内事業承継するのであれば、後継者候補が他の従業員や役員とうまく行っていけるのかを、まず考えましょう。

    社内から後継者を選ぶのは、経営の実力がある人を選びやすいです。しかし、単に経営能力の素質だけで判断してしまうと、不満に思った他の従業員や役員が今までどおり働いてくれないこともあります。

    また、技術者としては一流でも、経営者としては性格が向いていないということも珍しくありません。実際に経営陣に迎え入れて、安心して会社を任せられる経営者になれそうかを判断してください。

    電気工事会社をM&Aで事業承継する際の後継者選び

    電気工事会社をM&Aで事業承継するのであれば、後継者となる買い手の条件をまず考えましょう。その後、自社の強みを考えて最適な買い手を探していきます。

    買い手の条件としてよく挙げられるのが、従業員の待遇がよいことです。せっかく事業承継するのに、今までがんばってくれた従業員の立場が悪くなるのを避けたいと考える経営者は少なくありません。

    そして、電気工事会社の強みとしては、技術者の数や工事実績、取引先の数が挙げられます。条件どおりの買い手を見つけたら、自社の強みをうまく伝えて興味を持ってもらいましょう。

    ②事業承継の計画を立てる

    後継者候補が決まったら、事業承継の計画を立てていきます。

    具体的には、以下のような内容を決めると事業承継を進めやすいでしょう。
     

    • 引き継ぐ資産など事業承継の概要
    • 経営理念
    • 中長期目標
    • 後継者教育の方法とスケジュール
    • 財産の分配方法

    事業承継計画を立てる際は、無理のない内容にしなければなりません。現状を整理しながら、計画を立てていきましょう。

    また、引き継ぐ資産は具体的に範囲を決めるべきです。経営者個人が持っている資産を事業で使っている場合、事業承継後はどのようにするのか考えてください。

    ③技術者だけではなく経営者としても後継者教育をする

    後継者候補には、安心して会社を任せられるように教育をしなければなりません。

    電気工事会社の後継者ということで、ついつい技術的な面ばかり伝えたくなることも多いです。しかし、会社を動かしていく経営者としても教育しておくことが必要です。

    実際に経営陣に迎え入れて重要な判断をさせてみるなど、実務を通して教育していくのが効率的です。

    また、民間企業や商工会議所による後継者教育セミナーもあります。外部の人からも教育を受けてバランスよく成長してほしいなら、セミナーに参加させるのもよいでしょう。

    ④事業承継に必要な資金を準備させる

    事業承継を実行する前に、後継者は必要な資金の準備が必要です。

    事業承継では現経営者から後継者に株式などの財産を渡さなければなりません。親族内事業承継や社内事業承継では、その際に贈与税や相続税が発生しますし、社内事業承継では株式の買取りとなることもあります。

    なお、M&Aによる事業承継の場合は、売却益を得た経営者個人に所得税の納税義務が生じると同時に、M&A仲介会社社への報酬も必要です。売却金全てを丸々取得できるわけではないので、注意しましょう。

    ⑤事業承継を実行する

    ここまでの準備が整ったら、事業承継を実行します。

    事業承継のタイミングに決まりはありません。たとえば親族内事業承継なら、現経営者が生存中に行うケースと、亡くなったときに相続で行うケースが考えられます。

    後継者と話し合いながら、安心して任せられるタイミングを考えてみてください。事業承継後にサポートができるので、生前に行った方がトラブルは少ないでしょう。

    また、事業承継の実行前に、現経営者と後継者で取引先や従業員にあいさつをしておくことも大切です。急に経営者が変わると周囲が混乱するので、事前に告知しておいてください。

    電気工事会社が事業承継をする際に準備すべき書類もあるので、内容を確認しましょう。

    電気工事会社が事業承継で準備すべき書類

    電気工事会社の事業承継を実行する際には、登録電気工事業者承継届出書や添付書類を提出しなければなりません。提出先は、都道府県知事です。

    事業承継の日から30日以内に出す必要があるので、事前に準備しておくとスムーズに提出できます。

    添付書類は、相続なら登録電気工事業者相続証明書と承継に係る誓約書、承継者の住民票です。場合によって提出書類は異なるので、念のため地方振興事務所など都道府県の窓口に確認しましょう。

    6. 電気工事会社が事業承継に失敗する5ケースと対策

    前項で事業承継の手続きプロセスを確認しましたが、どこかで不備があると事業承継が失敗してしまうので気をつけるべきです。ここでは、電気工事会社が事業承継に失敗する5つのケースを具体的に見ていきます。

    失敗する5ケースとは、以下のとおりです。
     

    1. 条件が多過ぎて後継者が見つからない
    2. 後継者の教育不足で経営がうまくいかない
    3. 取引先や従業員への説明が足りず離れられる
    4. 後継者に口を出しすぎて引き継ぎを拒否される
    5. 後継者が事業承継にかかる資金を準備できない

    事業承継では、このような失敗がよくあります。事前に確認して、失敗を回避するべきです。それぞれのケースについて、順番に見ていきましょう。

    ①条件が多過ぎて後継者が見つからない

    事業承継のよくある失敗が、後継者への条件が多ぎて誰も候補に挙がらないというものです。

    今まで経営してきた会社を引き継いでもらうので、妥協したくないという気持ちがあるのは当然です。しかし、事業承継で大切なのは、後継者にある程度は任せることだとされています。

    現経営者と後継者の方針が異なることで会社がより発展するという例も珍しくありません。したがって、条件が多くあるときは、譲れない条件をさらにピックアップして後継者を探しましょう

    ②後継者の教育不足で経営がうまくいかない

    後継者の教育不足で経営がうまくいかなくなるということも、よくある失敗例です。

    後継者教育には、最低でも5年程度はかかると考えておいた方がよいとされています。焦って事業承継をしても、後継者や従業員、取引先などあらゆる人が困ってしまうのです。

    現経営者が高齢となった場合や病気の場合など急いで事業承継をしたいなら、M&Aにより、経営に慣れた買い手に事業承継した方が安定した経営が望めるでしょう。

    ③取引先や従業員への説明が足りず離れられる

    事業承継について説明が足りず、取引先や従業員が離れていってしまうこともあります。

    特に、中小規模の電気工事会社の場合、現経営者の人柄にひかれている人は多いはずです。その場合、十分な説明のないまま後継者に事業承継してしまうと、周囲は納得しません。

    最悪のケースでは、取引先から一気に取引を中止されてしまうことや、従業員が大量離職することも考えられます。そのようなことを避けるために、後継者が確定したら少しずつ関係者に説明していきましょう。

    取引先や従業員の不安を聞き取りケアすることでも、事業承継が失敗する確率は大幅に下げられます。

    ④後継者に口を出しすぎて引き継ぎを拒否される

    後継者のやることに口を出し過ぎて、引き継ぎを拒否されるということも考えられます。思い入れのある電気工事会社の経営について、現経営者はさまざまな希望があるはずです。

    しかし、後継者本人も会社をより発展させるために多くのことを考えています。したがって、一方的に意見を押しつけるのはやめておくべきです。

    相手の意見を冷静に聞きながら、どうすれば会社がよくなるのかを話し合いましょう。どうしても話がまとまらないときは、後継者を信じて任せてみるのも重要だといえます。

    ⑤後継者が事業承継にかかる資金を準備できない

    後継者はいるのに、事業承継にかかる資金が準備できそうにないということもあります。

    事業承継には多くのお金が必要ですから、準備せずに支払おうとするのは非常に難しいです。特に親族内事業承継や社内事業承継で必要となる納税資金や株式取得資金は、高額になりやすいとされています。

    後継者が相続や贈与・取得した会社の株式を換金して使うわけにはいきませんから、どうしても現金が必要です。

    もし、後継者がどうしても資金を準備できないなら、M&Aで会社を事業譲渡し、後継者として考えていた人を役員待遇にしてもらえないか話し合うのもよいでしょう。ただし、あきらめる前に利用を検討するべき制度もあるので、それについては次項で説明します。

    7. 電気工事会社の事業承継でかかる税金と利用すべき制度

    電気工事会社を親族内事業承継か社内事業承継する際に気になるのが、贈与税と相続税です。後継者に現経営者が保有する株式や事業用資産を譲る際に、税金の発生は避けられません。

    贈与税と相続税の税率はそれぞれ以下のとおりですから、おおよその納税額を試算してみましょう。

    【贈与税】

    課税額 贈与税の税率 控除額
    200万円以下 10% 0円
    300万円以下 15% 10万円
    400万円以下 20% 25万円
    600万円以下 30% 65万円
    1,000万円以下 40% 125万円
    1,500万円以下 45% 175万円
    3,000万円以下 50% 250万円
    3,000万円超 55% 400万円
     
    【相続税】
    課税額 相続税の税率 控除額
    1,000万円以下 10% 0円
    3,000万円以下 15% 50万円
    5,000万円以下 20% 200万円
    1億円以下 30% 700万円
    2億円以下 40% 1,700万円
    3億円以下 45% 2,700万円
    6億円以下 50% 4,200万円
    6億円超 55% 7,200万円

    原則、贈与税の基礎控除額は110万円、相続税は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。贈与や相続を受けた額から基礎控除額を引けば、課税額になります。

    たとえば、500万円分の資産を贈与で譲るとしたら、「(500万円-110万円)×20%=78万円」が贈与税です。

    試しに計算してみて、金額に驚いた方もいるのではないでしょうか。そこで、納税額を後継者が準備できそうにないときに、利用を検討するべき制度を見ておきましょう。

    電気工事会社が事業承継の際に行いやすい節税方法

    電気工事会社が事業承継の際にまず検討するべき節税方法は、以下の2つです。
     

    • 事業承継税制
    • 暦年贈与制度

    この2つの制度は幅広いシーンで利用しやすいものです。それぞれの制度について、順番に見ていきましょう。

    事業承継税制

    事業承継税制とは、中小企業の事業承継をサポートするための制度です。非上場株式を後継者に譲る際の税金(贈与税・相続税)が猶予されます。

    したがって、現時点で納税資金を準備できない場合でも事業承継が可能です。また、条件を満たせば税金が免除されることもあるので、積極的に利用しましょう。

    通常は相続税100%、贈与税80%の猶予ですが、現在は特例措置によってどちらも100%です。特例措置は2028(令和10)年までで、手続きは2023(令和5)年までに行えば適用されます。

    ただし、事業承継税制の利用には、都道府県知事の認定を受けるなど手続きが複雑な点がネックです。そこで、利用できる確率を高めるためにも、税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

    なお、専門家への相談前に事業承継税制についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

    暦年贈与制度

    暦年贈与制度とは、1年間のうち110万円以内の贈与なら税金が発生しないというものです。したがって、事業承継までに時間があるなら、少しずつ財産を後継者に渡せば納税額を大幅に抑えられます。

    電気工事会社を引き継ぐにあたって、そこまで渡す資産がないのなら暦年贈与制度でも対応可能です。

    ただし、毎年同じ額だけ贈与し続けると連年贈与とみなされて、全てを合計した額に贈与税がかかることもあります。したがって、暦年贈与を利用して節税する場合も税理士に相談した方がよいでしょう。

    以上、電気工事会社の事業承継でかかる税金と利用すべき制度でした。せっかく後継者がいるのに金銭面であきらめるのはもったいないです。

    まずは、制度を利用して解決できないかを考えてみましょう。そして、解決が難しいのであればM&Aでの事業承継に切り替えていってください。その際には専門家に相談することで納得できる事業承継ができます。

    8. 電気工事会社の事業承継は早めに専門家にご相談を!

    電気工事会社の事業承継は、早めに専門家に相談することをおすすめします。まだ時間があると思っていても、いざ事業承継をしようというタイミングでは、もっと早めに取り掛かればよかったと後悔する経営者が非常に多いのが現状です。

    特に、現時点で身近に明確な後継者候補がいない電気工事会社の場合は、依頼するM&A仲介会社を見定め早めに準備に取り掛かるとよいでしょう。

    M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。豊富な実績・知識を持つM&Aアドバイザーが専任となってフルサポートします。

    通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月でスピード成約した実績も有しており機動力に強みをもっています。

    当社は完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっており、着手金は完全無料です随時、無料相談を受けつけておりますので、電気工事会社の事業承継でお悩みの際には、お気軽にお問い合わせください。

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    9. まとめ

    電気工事会社の後継者が身近にいない場合でも、すぐにあきらめるのは禁物です。

    事業承継の方法には、親族内事業承継や社内事業承継以外にM&Aによる事業承継もあります。電気工事会社を引き継ぎたいと考えている人が外部にいないかを確かめてから、廃業を検討しても遅くはないでしょう。

    事業承継は身近な人を後継者にしなければならないわけではありません。幅広い視野で後継者を探し、今まで経営してきた電気工事会社を残すことに主眼を置くべきでしょう。

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