電気工事会社は株式譲渡/会社譲渡で生き残る!譲渡のメリットと方法を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

電気工事会社の株式譲渡/会社譲渡についてお調べですね。電気工事会社の属する建設業は、事業承継のため株式譲渡/会社譲渡が多く行われている業界の一つです。 今回は電気工事会社が株式譲渡/会社譲渡を行うメリットや基本的な流れを解説しています。

目次

  1. 電気工事会社における株式譲渡/会社譲渡の特徴とは
  2. 電気工事会社がM&Aで株式譲渡/会社譲渡を選ぶべき理由
  3. 電気工事会社における株式譲渡/会社譲渡の成功事例
  4. 電気工事会社が株式譲渡/会社譲渡を行う手順
  5. 株式譲渡/会社譲渡にかかる税金
  6. 【参考】譲渡価格はどう決める?非上場企業の株価算定方法
  7. 電気工事会社の株式譲渡/会社譲渡は専門家に相談しよう
  8. まとめ
  • 電気工事・管工事会社のM&A・事業承継

1. 電気工事会社における株式譲渡/会社譲渡の特徴とは

電気工事 株式譲渡 特徴

電気工事会社の事業承継において、株式譲渡が使われるケースは非常に多くなっています。

株式譲渡とは、企業のオーナーが持っている株式を法人、または個人に譲渡することです。多くの株式を渡すほど、譲り受けた相手は会社に対して強い影響力を持つようになります。

たとえば、譲渡の割合はケースによって異なりますが売り手が一度株式を100%手元に集め、まとめて譲受人に売却し経営権を渡すという手順で行われることも少なくありません。

ここからは株式譲渡と他の手法との違い、電気工事会社が株式譲渡を行う目的について解説していきます。株式譲渡に興味を持っている方、会社を何らかの手段で譲りたいと考えている方はぜひチェックしてください。

1-1.株式譲渡と他M&A手法との違い

M&A手法は大きく分けて以下の3つです。

  • 買収
  • 合併
  • 分割
合併は複数の会社が1つの会社としてまとまること、分割は会社を複数の法人格に分けることを指します。

M&A手法の中でよく使われるのが「買収」で、株式譲渡は買収という手法です。買収の中には他に事業譲渡がありますが、会社の資産や経営権を渡す株式譲渡に対し、事業譲渡が渡すのは特定の事業のみとなっています。

会社全てを渡すのが株式譲渡、会社の中にある事業のみを渡すのが事業譲渡だと考えておけば良いでしょう。

事業譲渡では譲渡する事業の範囲や渡す資産の内容を細かく決めなければいけないのに対して、株式譲渡は株式を買ってもらうだけなのでより短期間でM&Aを成立させることができます。

また新たに法人格を取得し新会社としてスタートする合併と比べ、従業員や取引先の反発が起こりにくいと言えるでしょう。

1-2.電気工事会社が株式譲渡/会社譲渡を行う目的

電気工事業界では後継者不足が大きな課題です。特に中小企業ほど後継者を見つけられず、会社を残す手段として株式譲渡を選ぶ経営者は多くなっています。

またアーリーリタイアをしたい経営者が、「なるべく早く会社を手放したい」という理由で手続きの簡単な株式譲渡を選ぶことも少なくありません。

一方後継者を見つけやすい大企業では、取引先や従業員を増やす目的で株式譲渡による買収を選択することが多いです。なので、自社を売ろうと思っていた時に大企業に買われるという可能性もあります。

株式譲渡は会社を丸ごと渡すという大きな決断ですが、廃業コストの大きい電気工事会社だと廃業より会社譲渡の方が得になるかもしれません。廃業を決断する前にM&A仲介会社などの専門家に相談し、自社の正しい価値を知っておきましょう。

以上が、株式譲渡/会社譲渡の基本と電気工事会社の特徴でした。

後継者不足が問題になっている電気工事会社では、今後も株式譲渡などのM&Aが増えていくと考えられます。会社を残したい、まとまった資金を得たいと考えているなら、電気工事会社の株式譲渡に向け前向きに動き出していきましょう。

ここからは、株式譲渡/会社譲渡のメリットを詳しく解説していきます。今後会社をどうすべきか、どのM&A手法を選ぶべきか迷っている方はぜひチェックしてください。

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2. 電気工事会社がM&Aで株式譲渡/会社譲渡を選ぶべき理由

株式譲渡 理由

中小企業の場合、数あるM&A手法の中で株式譲渡を選ぶ理由は多数あります。

ここから解説していく株式譲渡/会社譲渡のメリットは以下の4つです。

  • 後継者がいなくても買い手を見つけられる
  • 雇用関係や契約を変える必要がない
  • まとまった売却資金が得られる
  • 他のM&A手法と比べ手続きが簡単である
小さな企業であっても、株式会社であれば株式の譲渡は可能です。株式譲渡を行い、スピーディに会社を引き継ぎましょう。

理由1.後継者がいなくても買い手を見つけられる

株式譲渡を行うことで、後継者がいない場合の会社引継ぎもできます。

電気工事会社が所属する建設業は、2017年時点で最も後継者不足の企業が多くなっている業界です。今後会社を残したいのに、後継者候補がおらず困っているという経営者は多いでしょう。

そこで有効なのが、株式譲渡による会社売却です。株式譲渡なら、親族や社内の後継者だけでなく外部の人にも簡単に会社を譲り渡すことができます。

現在後継者が見つかっていないならアドバイザリーやM&A仲介会社に相談し、新たな買い手を探すことも可能です。特に現在は東京オリンピックを前に電気工事会社が注目されているので、相場より高い金額で株式を買い取ってもらえることもあります。

「後継者はいないけれど会社を残したい」という場合、M&A仲介会社などに相談し早めに買い手を見つけることが大切です。

理由2.雇用関係や契約を変える必要がない

株式譲渡の場合、株主が変わるだけなので雇用関係や契約が大きく変化するわけではありません。

他のM&A手法では雇用の契約を結び直す必要がありますが、株式譲渡なら関係そのものは変わらないので従業員や契約先全てを変更する必要がなく簡単です。

実務に関しても株式譲渡で変わるのは基本的に経営者だけになりますので、焦って買い手の体制に合わせる必要もありません。株式譲渡なら、これまでの会社の良さをうまく生かすこともできるでしょう。

雇用の継続に関しては従業員の同意が必要となるので、今後の雇用に関する説明は必須です。今後の待遇や雇用条件などをしっかり説明し、働き続けてもらえるようにしましょう。

ただし新経営者が株式を買ったのち、雇用を継続するかは定かではありません。新経営者が経営権を持った後は、ある程度会社の人事や方針を変えることが可能になってしまいます。

「譲渡後も従業員の雇用は変わらず続けて欲しい」「会社のこの部分は変えないで欲しい」などの希望があるのであれば、譲渡前に確約を取り付けておくべきでしょう。

理由3.まとまった売却資金が得られる

株式譲渡を行うことで、株式の対価としてまとまった現金が得られます。

親族や社内の後継者に会社を引き継ぐ場合、譲受人が会社の株すべてを買えるだけのお金を持っていないことが多いです。その場合自社の株式の引き下げを行わねばならず、手続きが大変です。

一方仲介会社などに相談し、株式を市場価格のまま買い取ってくれる会社を見つければまとまった資金が手に入ります。もちろん税金が引かれるため満額貰えるわけではありませんが、現金があればリタイア後の暮らしにも役立ちます。

また株式譲渡/会社譲渡で得た利益をもとに、新たな事業を始めることも可能です。

理由4.他のM&A方法と比べ手続きが簡単である

株式譲渡で必要な手続きは、株式に関するものだけです。そのため事業譲渡や合併といった他のM&A手法と比べ、手続きは簡単になっています。

特に引き継ぐ事業の範囲を話し合いで細かく決めていく事業譲渡と比べ、会社丸ごと引き渡す100%の株式譲渡は短時間で完了するでしょう。

また譲渡に伴い、債権者保護手続きなどを行う必要もないため細かな手続きも不要になります。複数の業務を少人数で行う中小企業の場合、短期間で終わる株式譲渡であれば時間的コストはかかりにくいです。

以上が、株式譲渡/会社譲渡のメリットでした。

株式譲渡/会社譲渡の手続きは簡単ですが、買い手探しや今後の経営方針に関する話し合いなどにはしっかり時間をかける必要があります。株式譲渡を行う際はM&A仲介会社など専門家のアドバイスを聞くようにしましょう。

ここからは、電気工事会社における株式譲渡の成功事例を解説していきます。成功のポイントに注目し、自社の譲渡計画に生かしてください。

3. 電気工事会社における株式譲渡/会社譲渡の成功事例

株式譲渡 成功事例

電気工事会社では多くのM&Aが行われています。

事業拡大のため、または人材確保のため会社を買いたいと考えている経営者は多くいるので、実際の事例から成功のポイントを見ていきましょう。

ここからは、以下3つの電気工事会社の株式譲渡/会社譲渡成功事例を解説していきます。

  • ミライトテクノロジーと西日本電工
  • ラックランドとニイクラ電工
  • オーテックとフルノ電気工業
成功のポイントや目的をチェックし、自社のM&A戦略に生かしていきましょう。

成功事例1.ミライトテクノロジーズと西日本電工

通信インフラなどの事業を行うミライトテクノロジーズは2017年、西日本電工の株式を取得し子会社化しました。

このM&Aの目的は、事業範囲の拡大にあります。

西日本電工は電気設備工事、空調設備工事などのノウハウを持っている会社です。今回の株式譲渡を行うことで、ミライトテクノロジーはさらに広い範囲の設備工事事業を行えるようになりました

この例のように、電気工事業界では事業拡大を目的とした買い手が積極的に株式の取得を進めることもあります。

成功事例2.ラックランドとニイクラ電工

食品工場の企画・設計・施工を行うラックランドは2013年、ニイクラ電工の株式を取得し、子会社化しました。

今回の株式譲渡の目的は、技術力の獲得です。

ニイクラ電工は神奈川県に拠点を置く設備工事会社で、高い技術力とスピード感のある対応で評価されています。このM&Aでラックランドは、高い技術を持った人材とノウハウを獲得することができました

この事例のように、近い事業を行う会社同士が人材やノウハウの獲得を目的としてM&Aを行うケースもあります。

成功事例3.オーテックとフルノ電気工業

空調制御システムの販売・施工などを行うオーテックは2016年、フルノ電気工業の株式を全取得し、子会社化すると発表しました。

この株式譲渡の目的は、施工エリアの拡大です。

フルノ電気工業は道北地域で実績を上げている企業で、今回のM&Aには新たに道北地域での工事を受注したいという意図がありました。この例のように、会社が展開できる範囲を広くするため買収を行う企業も少なくありません

そのため得意としている地域が全く異なる買い手から興味を持たれることも十分あり得るでしょう。

以上が、電気工事会社における株式譲渡/会社譲渡の成功事例でした。

株式譲渡は大企業から中小企業まで、電気工事事業を行う会社で良く使われている手法です。株式と一緒に会社を譲り渡したい場合、なるべく早く手続きを終えたい場合には株式譲渡を選択しましょう。

ここからは株式譲渡を行う手順について詳しく解説していきます。手順を知っておくことで話し合いがよりスムーズに進みますので、ぜひ読んでみてください。

4. 電気工事会社が株式譲渡/会社譲渡を行う手順

株式譲渡 会社譲渡 手順

株式譲渡の手続きは事業譲渡などと比べ簡単ですが、譲渡を成立させるまでには複数の手順を経ることが必要です。

ここからは以下の通り電気工事会社が株式譲渡/会社譲渡を行う際の手順を簡単に解説していきます。

  1. 譲渡株式を確認する
  2. 株式譲渡承認請求を行う
  3. 株式譲渡承認決議を行う
  4. 株式譲渡契約を結ぶ
  5. 株式名簿の書き換え請求を行う
  6. 株式名簿記載証明書の交付請求を行う
  7. 引き継ぎ内容に応じたケアを行う

株式譲渡/会社譲渡の基本的な流れを押さえ、スムーズに譲渡を行いましょう。

手順1.譲渡株式を確認する

株式譲渡/会社譲渡を行うと決めたら、まず株式が「譲渡制限株式」であるか確認する必要があります。譲渡制限株式とは、会社の承認が無ければ自由に売買できないという制限の付いた株式のことです。

制限が付いているかどうかは、定款で定められているので必ずチェックしてください。

ちなみに譲渡制限株式が無い、もしくは一部しかない会社は公開会社、株式すべてが譲渡制限株式である場合は非公開会社と呼ばれます。

手順2.株式譲渡承認請求を行う

中小企業の多くは、会社に不利な売買が無断で行われないよう譲渡制限を設けているケースが多いです。株式が譲渡制限株式となっている場合、株式を譲り渡す人物(譲渡人)は会社に対して株式譲渡承認請求書を提出します。

株式譲渡承認請求書には、

  • 譲渡する株式の数
  • 株式の種類
  • 譲渡先の氏名・名称
などの記載が必要です。

一方株式が譲渡制限株式ではない場合、承認請求は不要ですので自分の希望する譲渡先との話し合いを進めてください。

手順3.株式譲渡承認決議を行う

そして会社は請求を受け取った後、株主総会を実施し株式を譲り渡して良いかを決定します。もし承認されなかった場合、株式譲渡の手順は終了です。

「どうしても株式を買い取ってもらいたい」という場合は、不承認の際会社か、会社が指定する譲渡先に株式を買い取ってもらうという条件を請求の段階で付けておきましょう。

自分で指定した譲渡先には株式を引き継いでもらえませんが、会社または会社指定の譲渡先に株式を譲渡することができます。

また株式譲渡請求から2週間が経過しても会社から通知が来ない場合、対象の会社は譲渡を承認したとみなされるので承認時の手続きを進めましょう。

以下では、株式譲渡請求が株主総会で承認された場合の手順を説明していきます。

手順4.株式譲渡契約を結ぶ

株主総会で株式の譲渡が承認されたら、具体的な譲渡契約に進みましょう。株式を譲る人と受け取る人との間で、株式譲渡契約を結ぶことで株式の譲渡が成立します。

通常は有償での契約となっており、この段階で株式の対価をもらうことが可能です。株式譲渡契約にそれぞれ記名、押印をして契約を成立させましょう。

株式の値段は譲渡人と譲受人の間で決めることができます。後継者が株式すべてを譲り受けるだけの資金を持っていない場合、評価額より値段を下げて譲渡するケースも少なくありません。

しかし低額譲渡の場合、適正時価との差額が贈与とみなされ、贈与税が課税されるリスクがあります。

特にこの後に見出しで説明する「みなし贈与」の対象になってしまうと課税額が大きくなる可能性もあるので、適正価格と同じ額で譲渡するのが基本です。

株式の価格については、M&A仲介会社に相談しながらお互い納得できる形で決めましょう。

手順5.株式名簿の書き換え請求を行う

株式譲渡契約を行えば、譲渡人と譲受人の間では株式の受け渡しが成立することになります。しかし株式譲渡契約を行っただけでは、第三者に対して株式を取得したことを証明できません。

そこで譲渡人と譲受人が共同で会社に対して株式名簿の書き換え請求を行うことが必要です。株式名簿を書き換えることで、外部の人から見ても譲受人が確かに株式を受け取ったと分かるようになります。

手順6.株式名簿記載事項証明書の交付請求を行う

請求に応じて、会社は請求通り株式名簿を書き換えます。

そしてその後、株式を取得したという証明を行うため株式記載事項証明書の請求を行いましょう。株式名簿記載事項証明書は、買い手が請求を行い取得するものとなっています。

しかし証明書の交付には会社の代表取締役による捺印が必要となるので、場合によっては買い手と協力して動くことも考えられるでしょう。仲介会社などに相談しながら、早めに交付請求を行ってください。

手順7.引き継ぎ内容に応じたケアを行う

株式譲渡の手続きは他のM&A手法と比べ簡単ですが、全ての株式を渡し経営者が入れ替わった場合、従業員が反発する恐れも少なくありません。事業の引継ぎや後継者教育を終えるまで、元経営者が残った方が良いケースも多いです。

リタイアまでの時期は会社によってそれぞれですが、従業員や取引先の混乱を防ぐため1~2年ほどは前任の経営者がアドバイスなどを行った方が良いでしょう。

以上が、株式譲渡/会社譲渡の基本的な手順でした。会社が公開会社の場合、手順1~3は不要になりますので注意してください。

株式譲渡の手続きは譲受人と協力して行う必要があります。手順は簡単ですが、価格やスケジュールなどについて事前にきちんと話し合っておくことが大切です。

ここからは、株式譲渡/会社譲渡でかかる税金について解説していきます。税金の内容を知ることで価格についての話し合いも進みやすくなるので、ぜひチェックしてください。

5. 株式譲渡/会社譲渡にかかる税金

株式譲渡 会社譲渡 税金

株式を買い取ってもらうことで利益が出るため、税金の支払は避けられません。税金の内容は株式を渡すのが個人の場合、法人の場合によって異なります。

経営者個人が非上場株式を譲渡する場合にかかる税金の中で影響が大きいのは以下の3つです。

  • 譲渡所得税
  • 相続・贈与税
  • みなし贈与課税
法人でかかるのは、基本的に
  • 法人税
のみとなっています。法人の方がかかる税金が少なく見えますが、法人の売上によっては法人税がかなり大きくなるケースも少なくありません。

ここからは各税金について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

3-1.譲渡所得税

個人が株式譲渡で利益を出した場合、譲渡所得税が課されます。

譲渡所得税とは、以下の3つをまとめたものです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 特別復興所得税
利益に関わらず所得税で15%、住民税で5%、特別復興所得税で0.315%が課税されます。3つ全て合わせると20.315%の課税額となっており、譲渡で1億円の利益を得た場合約2,000万円を税金として支払わなければいけません。

これらは節税できないので、最低限かかる税金として頭に入れておきましょう。

3-2.相続・贈与税

非上場株式を相続、贈与する場合には税金がかかります。

相続税の税率は、以下の表の通りです。

控除後の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 控除なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円

表にある「控除後の取得金額」とは相続の際に課税対象となる金額のことで、

「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、計算される基礎控除額を引いたものになります。実際に税率を計算する場合は、相続する株式の価格から基礎控除額を引いた金額で税率を考えましょう。

例えば1億円(10,000万円)分の株式を1人で相続する場合、「10,000万円-3,600万円=6,400万円」が課税対象となり、税率は30%です。

実際に支払う相続税には表右端の控除額が適応されるので、1億円を相続するときの相続税は「6,400万円×30%-700万円=1,220万円」となります。

ちなみに課税額が6億円を超える場合税率は一律で55%とかなり大きいので、高額の相続になりそうな場合は税理士などの専門家に相談しながら節税方法について考えていきましょう。

贈与税は、以下の表で確認できます。
 
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 控除なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

贈与税の計算方法は相続税と同じで、取得金額から基礎控除額を引いたものが課税対象です。譲渡税については、1年間の贈与額に対して110万円の基礎控除があります。

例えば1年間で1,000万円分の株式を譲渡する場合、「1,000万円-110万円(基礎控除)=890万円」が課税対象となり、税率は30%です。

実際に支払う相続税には表右端の控除額が適応されるので、1,000万円を相続するときの贈与税は、「890万円×30%-90万円=177万円」となります。

以上の計算で分かる通り、相続税、贈与税の額は大きなものとなっています。

しかし相続税、譲渡税の税率自体を変えることはできませんが、制度を上手く使えば株式譲渡時に支払う税金を減らせるかもしれません。株式譲渡を考えている方は、以下の制度もチェックしてください。

3-2-1.事業承継税制

事業承継税制とは事業承継を行う時の相続税、贈与税の納付を猶予してくれる制度のことです。この制度を使えば、相続税が100%、贈与税が80%が5年間支払い猶予の対象となります。

現在は特例措置により相続税、贈与税共に100%が支払い猶予となるので(2028年まで)、株式譲渡を考えるなら早いうちが良いでしょう。

課税対象が1億円の企業の場合、相続時には約3,000万円、譲渡時には5,500万円もの納税が猶予されることとなり、手元に大きな資産がない場合でも事業承継が可能です。ただし適応条件が複雑なので、一度専門家に相談した方が良いでしょう。

3-2-2.相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、贈与税に関連する制度の一つです。この制度を使うことで、贈与額から2,500万円が控除されます。そして贈与時の財産価格で相続の際に相続税を計算するのです。

もし制度を利用しない場合、贈与額が3,000万円の場合55%の課税で、支払う額は1,650万円です。しかし相続時精算課税制度を利用することで贈与額が500万円になり、支払う税金は100万円になります。

多額の贈与を行う場合、非常にお得な制度だと言えるでしょう。特に今後価格が上昇しそうな資産を持っている場合、相続の時に課税される相続時精算課税制度を使うのが効果的です。

ただしこの制度の対象となるのは、60歳以上の父母、祖父母から子・孫に対する贈与のみとなっています。親族ではない人に株式を渡す場合には利用できないので注意してください。

3-3.みなし贈与課税

株式を受け取った個人に発生する税金が、みなし贈与課税です。みなし贈与課税とは、個人が株式を適正価格より低い価格で取得する場合、利益分に対して課される税金のことを指します。

例えば株式の適正価格が1,000万円の場合、適正価格より低い750万円で譲受人が株式を買うと250万円がみなし贈与課税の対象です。

みなし贈与の課税割合は通常の贈与税と同じで、課税対象が250万円であれば税率が10%なので25万円の税金がかかります。

ただしみなし譲渡となるケースがはっきり定められていないので、一度税理士などの専門家に相談することが大切です。

3-4.法人税

法人から個人または法人に株式を渡す場合、会社が利益を得たと考えられるため法人税が発生します。法人税の額は利益の大きさによって異なりますが、平均的には譲渡益の約30%を支払わなくてはいけません。

法人の場合、売却価格-取得費=譲渡益 として計算されます。

取得費は個人で株式譲渡を行う時と同じく株式を最初に取得した際の費用、つまり資本金です。

譲渡益が1億円の場合約3,000万円が法人税となりますので、税金の支払いのことを頭に入れて譲渡額を決めましょう。

以上が、株式譲渡/会社譲渡でかかる税金でした。株式を売って利益を受け取る以上、税金の支払いは発生するものです。

無理に節税を行うと、会社が信用を失うだけでなく追加の税金が発生することもあります。税金に関しては必ず公認会計士や税理士などの専門家に相談しましょう。

ここからは参考として、非上場企業の株価算定方法について解説していきます。「何を基準に株価を把握すればいいのか分からない」という方は、ぜひ一度チェックしてください。

6. 【参考】譲渡価格はどう決める?非上場企業の株価算定方法

株価算定方法 非上場

株式譲渡/会社譲渡を決断したものの、どうやって自社の株価を算出すれば良いか分からないという経営者は多いでしょう。

非上場企業の場合、株価の算出方法は様々です。

ここからは大まかに以下3つの手法について解説していきます。

  • コストアプローチ
  • マーケットアプローチ
  • インカムアプローチ
正確な株価の算出には専門家の知識が不可欠ですが、どんな方法があるのか事前に押さえておくことで話し合いがよりスムーズに進むでしょう。株式譲渡で会社を残したい方は、ぜひチェックしてください。

方法1.コストアプローチ

コストアプローチは、株式を譲り渡す会社の純資産をもとに株価を算定する方法です。

コストアプローチの中には、以下4つの手法があります。

  • 薄価純資産法
  • 修正薄価純資産法
  • 時価純資産法
  • 純資産価額方式
この中で使われやすいのが、純資産価額方式です。純資産価額方式とはその場で会社を解散させたと仮定し、株主の手元に残る金額をもとに株価を算定する方式を指します。

細かいルールはありますがこの方式なら会社の純資産から法人税を引いた額として大まかに計算可能です。具体的な株価の話し合いに入る前に、一度会社内で計算してみると良いでしょう。

方法2.マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、市場における企業の価値から株価を算定する方法です。上場している場合株式市場における価値が会社の価値となりますが、非上場企業の場合類似する取引や類似業種の上場企業から算定することになります。

マーケットアプローチに属する方式は、以下の通りです。

  • 市場株価法
  • 類似会社比較法
  • 類似取引比較法
  • 類似業種比較法
自社に近い取引や企業があれば、上場していなくても参考価格として株価を算出することができます。近いケースがない場合、「類似業種比較法」を使い国税庁が発表している基礎データをもとに株価を算定することが多いです。

しかしこのマーケットアプローチでは、会社の将来的な価値を正しく算出できないためM&Aにおける株価算出にはあまり向いていないと言えます。

株式譲渡を行う際は、一度別の手法でも株価計算を行ってみましょう。

方法3.インカムアプローチ

インカムアプローチとは、会社が将来獲得する利益やキャッシュフローをもとに今の会社の価値を算出する方法です。

インカムアプローチに属するのは、以下の手法などとなっています。

  • DCF法
  • APV法
  • ECF法
  • 収益還元法
  • 配当還元法
インカムアプローチでは、企業の将来性や株式譲渡によって起こるシナジー効果まで会社の価値として考えることができます。そのため将来どれだけ会社や事業が成長するかが重視されるM&Aにおいては、最もポピュラーな方式だと言えるでしょう。

しかしインカムアプローチの場合、算出方法が不確実なことから算定する人により大きく価格が変わってしまうこともあります。この方式を利用する場合はM&A仲介会社など、中立な立場の第三者に協力してもらうことが特に必要となるでしょう。

以上が、非上場企業の株式価格算定方法でした。

算定方法は多数ありますので、どの方法を使うかはM&Aの専門家や買い手と相談しながら決めていく必要があります。また使う手法によって株価が大きく変わることもありますので、どの方法を選んで計算したのか買い手にしっかり伝えましょう。

ここからは、株式譲渡/会社譲渡を成功させるポイントについて解説していきます。おすすめの相談先についても紹介しているので、株式譲渡/会社譲渡に少しでも興味のある方はぜひチェックしてください。

7. 電気工事会社の株式譲渡/会社譲渡は専門家に相談しよう

株式譲渡 会社譲渡 専門家

株式譲渡/会社譲渡を行いたいと考える電気工事会社は多数ありますが、買い手探しから契約まで全て自社で行うのは非常に難しいことです。特に異業種とのM&Aの場合、お互いの業務に対する認識の違いからトラブルが起こってしまうことも少なくありません。

M&Aに少しでも興味があるなら、最初にM&A仲介会社に相談するのが良いでしょう。

M&A仲介会社はM&Aの専門家で、買収相場や手続きに関する知識も豊富です。また買収価格がアップするよう経営に関するアドバイスも行ってくれるので、「少しでも高く会社を高く売りたい」という方は事業承継に向けて動き出す前に相談しましょう。

相談は基本的に無料となっており、仲介会社によっては着手金なしで買い手探しを行ってくれるところもあります。自社の経営について不安のある方、M&Aに興味があるという方は仲介会社の利用を検討するのが良いです。

M&A仲介会社をお探しなら、M&A総合研究所にご依頼ください。

M&A総合研究所は相談料、着手金、中間報酬無料となっており、少額のM&Aにも対応しています。小さな会社であってもM&Aは可能なので、まずは相談してみることが大切です。

事業承継について少しでも不安があるなら、M&A総合研究所で仲介の手数料や成功事例などを詳しくチェックしてみてください。

8. まとめ

手続きが簡単な株式譲渡を行うことで、非上場企業であっても会社をスムーズに譲渡することが可能です。電気工事会社では株式譲渡が盛んに行われています。

ただし経営者だけでなく会社の体制が大きく変わる可能性もあるので、正しく手続きを行わなければ後々大きなトラブルになるので気をつけなければなりません。株式譲渡/会社譲渡を行う際はM&A仲介会社などの専門家に相談し、譲渡を成功させましょう。

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