2023年11月02日更新
M&Aのプロセスまとめ!検討からクロージングまでの流れを徹底解説
基本的なM&Aのプロセスには、目的の明確化からM&A契約締結後のPMIの実施まで、合わせて11の手順があります。一つひとつのプロセスを、流れに沿って手順を進めていくことが大切です。この記事では、M&Aのプロセスを、重要なポイントとともに手順に沿って解説します。
目次
1. M&Aのプロセスとは
そもそもM&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の略であり、企業の合併や買収の意味があります。
企業の合併とは、複数の企業が統合することであり、買収とは企業が他企業の株式や事業などを買い取ることをいいますが、広義の意味では、シェアの拡大や人材確保などを目的とした業務提携も含まれます。
M&Aは、事業に悩みを抱えている会社にとっては、問題を解決するための手段として注目されており、M&Aを利用して事業戦略を実現したいと願う会社にとっても、多くのメリットがあるでしょう。
2005年までのM&Aは、「大企業が行う特別な経営方法」といったイメージがありましたが、2005年のライブドアによるニッポン放送の買収騒動によって、M&Aが広く世の中に知れ渡ることになりました。
今後は中小企業でも経営戦略の一環として、M&Aを利用するケースが増えていくでしょう。
基本的なM&Aのプロセスには、さまざまな手順があります。M&Aを成功させるために、スキーム決定の流れは重要なポイントです。スキーム決定を含めたM&Aのプロセスを解説します。
2. M&Aのプロセスは3つのステップ
基本的なM&Aのプロセスは、後述する11の手順ですが、売り手側・買い手側のおかれている状況によって、プロセスが追加される場合や、手順が前後することがあります。
しかし、M&Aにおける基本的な大きな流れは変わりません。後述する11のプロセスは、3つのステップに分けられます。1つずつ段階を踏みながら、流れに沿ってM&Aのプロセスを進めていくことが大切です。
- M&Aスキームの決定まで
- 企業にアプローチするまで
- PMI実施まで
①M&Aスキームの決定まで
M&Aのプロセスのうち、スキームの決定までの手順は、会社の内部で行われるものです。「スキーム」とは、計画や案を表す英語「Scheme」からきており、ものごとの計画や仕組みを表します。
M&Aが失敗する原因として考えられるものは、多くあります。しかし、その大部分を占めているのはM&Aの流れのうち、戦略を考えるプロセスが欠如していることです。まずは、目的を明確にし、計画を練ることが大切でしょう。
M&Aでは、的確な戦略やスキーム決定までのプロセスが最も重要な手順です。M&Aは、失敗する可能性が高いともいわれています。そもそも会社が売りに出されている場合、その会社が何らかの問題を抱えていることには違いなく、買収する時点でリスクを抱えることになります。
売りに出されている会社の全てが、業績不振に陥っているわけではありません。業績が良いにもかかわらず、売りに出されている会社は、競争率も高く、その分高値で売買されます。
業績不振に陥っている会社を買うよりは、リスクが少ないかと思われがちです。しかし、業績が良い会社を買ったからといって、その後の業績も安定している保証はありませんし、何より高値で取引した分の利益を出さなければいけないため、難易度も高いといえるでしょう。
自社の経営戦略のうえで、M&Aの目的は何か、M&Aを行わなければいけない理由は何かを検討しましょう。さまざまなリスクを予測し、的確な計画を練るためのプロセスが、M&Aを成功に導くための最も重要なポイントです。
②企業にアプローチするまで
M&Aの目的を明確にし、M&A仲介会社が決まると、M&Aを行う具体的な企業を選定するプロセスに移行します。明確な目標や、スキームをM&A仲介会社に伝えると、候補先のリストが渡されるでしょう。
その後、候補先のリストから、候補を決定するために、企業分析を行います。対象先のホームページなどから、概要・事業内容・業績など、必要な情報をリサーチする必要があるでしょう。
M&A仲介会社を利用することで、このような企業分析の手順にかかる時間を大幅に短縮できます。候補先の企業が、上場している場合は、有価証券報告書からも推察できます。非公開会社の場合は、調査会社を利用し、報告書を手に入れることも手段の一つです。
M&A仲介会社に依頼する場合は、具体的な戦略を決めておくことが大切です。曖昧な戦略で依頼してしまうと、M&A仲介会社から多すぎる数の候補先の情報が持ち込まれ、候補先の決定までに多くの会議を重ね、検討しなければいけません。
自社が考える候補先と、M&A仲介会社が提供する候補先との間に大きな差異が生まれてしまう可能性もあります。M&A仲介会社に依頼する前に、社内でしっかりと綿密な計画を練っておきましょう。
何社か、候補先が決定したら、直接対象先にアプローチをかけ、事前に調査した会社の情報とのすり合わせを行います。M&A仲介会社に依頼し、調査した情報では不足していた部分を、ヒアリングにより補います。
現地の様子は直接行ってみなければわかりません。職場環境などを視察し確認する手順を踏むことで、より対象先が抱えている問題について理解を深められます。
M&A仲介会社を利用することで、面談の日程の調整をしてくれるほか、当人同士では話しづらい内容の条件を話し合ってくれます。これにより、具体的なM&A戦略を練ることが可能で、スムーズに条件交渉を実施できます。
③PMI実施まで
面談や調査を通し候補先選定のプロセスが終わると、いよいよトップ面談のプロセスへ移行します。この手順ではじめて、企業の経営者同士が顔を合わせることになります。
M&Aにおける大企業同士のトップ面談であれば、ニュースで報道される場合や記者が取材に入る場合も多く、表面的には華やかなセレモニーのようになるでしょう。中小企業同士であれば、じっくりと話をすることが多く、お互いの企業に対する思いや、考えを聞くことのできる貴重な手順となります。
トップ面談を終えると、基本合意書の締結をします。基本合意書とは、売り手と買い手お互いの条件を記載した書面です。この書類にお互いが同意することによりはじめて、M&Aの交渉を約束することになります。
基本合意書の締結が問題なく進めば、デューデリジェンスを実施します、デューデリジェンスとは買収監査のことで、最終譲渡契約書を締結するために欠かせないプロセスです。買い手側がこれまでの手順を通して得た、情報が正しいかどうかを、専門家に確認の依頼をします。
デューデリジェンスが完了すると、最終譲渡契約書を締結します。そして、決済や株券の譲渡などの手順が終わればクロージングとなります。M&Aにおけるクロージングのプロセスは、M&Aのはじまりともいえるでしょう。
クロージングの後、実際に企業の統合作業を行います。M&Aを成功させるためには、常にこのクロージング後の流れを考えることが大切です。
3. M&Aのプロセス詳細
上記では、M&Aのプロセスを、大まかに3つのステップに分けてご説明しました。ここでは、プロセスを一つひとつ具体的に解説します。
このプロセスの流れは、企業の状況によって、少し変わることもありますが、どの手順も抜けてはならない非常に重要なものです。重要なポイントを確認し、M&Aを成功に導きましょう。
M&Aスキーム決定までのプロセス
M&Aスキーム決定までのプロセスは、以下の流れで進みます。M&Aにおいてスキーム決定のプロセスは非常に重要なポイントです。スキームとは、「計画や枠組み」のことで、統合するのか、買収するのかなど、どのようにM&Aを進めていくのかを表す重要なプロセスです。
M&Aの目的明確化
M&Aは、あくまで経営戦略の手法であり、M&Aをすることが目的となってはいけません。なぜM&Aを行うのか、M&Aを行うことでどのようなメリットが考えられ、どのようなデメリットが危惧されるのか、しっかりと目的を明確化することが大切です。
これは、M&Aのクロージングの後に行われるPMIの実施に深く関わります。クロージング後のPMIの実施によって、どのような企業を目指したいのかを考えることがM&Aを実施する目的の明確化につながります。
例を挙げると、企業は後継者不足に困っており、M&Aを考えていたとしましょう。この場合の目的は、後継者を見つけることです。後継者を見つける手法は、M&Aだけに限りません。
人員の募集をかけることも、後継者不足の解消につながる可能性があります。このように、目的を明確化することで、今後の経営改善に最適な方法を見つけることが大切です。
M&Aの目的明確化が完了したら、M&Aに携わるメンバー全体で共有し、理解を深めましょう。M&Aに携わるメンバー全員が一丸となるためには、同じ目標を見据えることが大切です。この手順は、M&Aのプロセスの中で、最も重要なプロセスといっても過言ではないでしょう。
M&A仲介会社の選定
M&A仲介会社選定のプロセスは、候補先の調査から決定、対象先との交渉など、M&Aのさまざまな手順で非常に重要です。一部の業種では自ら候補先の調査から決定を行い、対象先との綿密な交渉まですべてを自社で行う企業もあります。
しかし、企業自ら情報を調査するとなると、情報漏えいのリスクも考えられるでしょう。企業の買収によるM&Aとなると、金額や株式の話など、なかなか条件を決めていくのが難しいこともあります。
自社で候補先を選定するとなると、自社とつながりがある企業の中から選定を行わなければなりません。候補にできる企業が少なければ少ないほど、統合や買収に最適な対象企業を見つけ出すことも難しくなります。
以上の理由から、M&Aを行うときは、M&A仲介会社に依頼するのが一般的です。M&A仲介会社を利用することで、仲介会社が持っている幅広いネットワークを利用できるだけでなく、情報漏えいリスクからも自社を守れます。そして何より、M&A担当者の負担を大きく軽減できます。
FA契約締結
FA契約とは「ファイナンシャル・アドバイザリー契約」のことで、M&A仲介会社が行う業務の範囲に関する契約で、それに伴う報酬金額も含まれます。FA契約締結のプロセスを踏むことで、M&A仲介会社に自社のM&Aのアドバイザーとして正式に依頼することになります。
FA契約の流れとともに結ばれるのが、NDA契約です。NDA契約とは「機密保持契約」のことで、M&Aを行ううえで必要なプロセスです。
M&Aを行うときは、候補先企業の事業情報を調査することになりますが、相手企業にアプローチをかける際には、自社の情報をM&A仲介会社や相手企業に知らせなければなりません。機密保持契約締結の流れを踏むことで、他社への情報漏えいを防げます。
M&A仲介会社は、上記のプロセスで結んだNDA契約とFA契約に従い、企業の情報調査を行う場合や企業同士の面談の調整を行います。FA契約締結のプロセスは、M&Aを行う前提となるプロセスです。
M&Aのスキーム決定
M&A仲介会社が決定したら、はじめのプロセスで決定した目的を元に、仲介会社へ候補先選定の依頼をします。M&A仲介会社から送られてきた候補先の情報からM&Aスキーム策定を行います。
M&Aを実行すると、企業の業績はどうなるのか、どのようなメリットがあり、デメリットが考えられるのか、自社の事業と候補先の事業など、さまざまな情報を元に検討が必要です。
買収の場合は、買収金額の算定まで検討します。大企業になればなるほど、M&Aは複雑なスキームになることが予想されます。法律や財務など専門的な内容も含まれますので、弁護士や税理士など専門家への相談もM&Aスキーム決定のプロセスでは有効な手段です。
このプロセスで策定したM&Aスキームを元に、候補先とM&Aの交渉を行っていきます。非常に重要なプロセスになるので後で詳しく解説します。
企業にアプローチするまでのプロセス
M&Aスキームを元に、候補先とM&Aの交渉を進め、クロージングまで進んでいきます。実際に統合や買収が実現すると、自社と社風が合うかどうかも重要になってくるでしょう。
企業へのアプローチの手順は、その後のPMI実施のプロセスに深く関わります。しっかりと情報を調査し、M&Aを成功に導くために、企業へのアプローチは重要なプロセスです。ここでは、企業にアプローチするまでのプロセスを詳しく紹介します。
企業分析
自社がどのようなスキームでM&Aを進めていくのか決定したら、候補先に関する細かな分析を行うプロセスに移行します。このプロセスは、実際に企業へのアプローチをかける際に重要になるプロセスです。
M&Aを行う企業にとって最大の目的となるのは、お互いの企業のシナジー効果を引き出すことです。シナジー効果とは相乗効果のことで、お互いの事業のメリットを引き出し、デメリットをカバーすることで、さらなる企業改善を図ります。そのためには、M&Aを行う相手企業を詳しく理解する必要があります。
候補先企業には、どのような強みがあり、どのような悩みを抱えているのか調査するだけでなく、企業が属する業界全体の特徴なども調査しておくと良いでしょう。業界の特徴を知ることは、今後M&Aを行うときだけではなく、自社の事業拡大や成長のために重要なプロセスにもなります。
企業へのアプローチ
候補先企業の分析を十分に終えたら、実際に企業へのアプローチを行うプロセスに移行します。まず、「ノンネームシート」といわれる、企業名を伏せた紹介資料を相手企業に提出します。これは、相手企業がM&Aを行う意思があるのかを確認するためのものです。
ノンネームシートは、候補先企業に細かい情報が知られないように、概略のみが記載されたもので、企業名も伏せることで情報漏えいを防ぎます。M&A仲介会社を利用して候補先を探すために必要な書類として「企業概要書」があります。企業概要書は、ノンネームシートとは対照的に、企業のデータが細かく記載されたものです。
M&Aでは相手の企業調査を重ねることも大切ですが、それと同時に自社の情報を改めてしっかり把握できる資料です。これらの資料を的確に用いることが、企業へのアプローチのプロセスでは重要となります。相手企業の資料を元に候補先と直接面談を行い、資料だけでは調査しきれなかった部分を補います。直接候補先に出向くことで、資料だけでは不足していた社風などの現地の様子を確認もできるでしょう。
PMI実施までのプロセス
M&Aの候補先が決定したら、いよいよ本格的なM&Aが進んでいくことになります。買い手の希望と売り手の希望を、すり合わせていく段階に入ります。ここでは、PMI実施までのプロセスを紹介しましょう。
トップ面談
候補先企業への訪問を含む企業へのアプローチを終えると、いよいよトップ面談のプロセスへ移行します。ここまでのプロセスを経て、ようやく企業の経営者どうしが顔を合わせることになります。M&Aの詳細な条件を決めるプロセスの中での集大成となるでしょう。
ここまでの候補先企業へのアプローチによって、ほとんどの条件は決まっているのが一般的ですが、トップ面談を行うことで、その条件にお互いが同意することを確かめ合います。
大企業同士のM&Aのトップ面談ともなれば、記者が取材に来る場合や、面談の様子がテレビで放送されるケースもあるでしょう。トップ面談のプロセスを踏むことで、ここからM&Aは、より本格的に締結へと進んでいくことになります。
基本合意書の締結
トップ面談を終えると、それまでに調査や面談を重ねてきた内容を元にM&Aにおける「基本合意書」作成のプロセスへ移行します。
買収によるM&Aの場合は、買い手側が買い取る方法や、金額の詳細などを明記した「意向表明書」を作成し、売り手に提出するのです。その後、基本合意書を作成・提出し、お互いの合意の元で押印をします。
基本合意書を締結した相手とのみ、M&Aを進めることが可能です。つまり、これにより候補先とのM&Aの独占的な交渉権を得ることが可能です。
このタイミングで締結するM&Aの基本合意書は、通常法的な拘束力をもちません。しかし、その後のデューデリジェンス実施のプロセスや、M&Aを進めていくに当たり、重要な書類となるので締結しておくようにしましょう。
この時点では、今後のM&Aを進めていくにあたって自社が不利になるような項目は、極力明記しないようにするのが良いでしょう。
デューデリジェンス実施
M&A基本合意書の締結が終わると、デューデリジェンス実施のプロセスに移行します。デューデリジェンスとは、買収監査のことで、財務・法律・人事・ITなど、さまざまな視点から、これまでのプロセスで得た、候補先の情報が正しいかどうかの調査を行うプロセスのことです。
このタイミングで締結するM&Aの基本合意書は、通常法的な拘束力をもちません。しかし、その後のデューデリジェンス実施のプロセスや、M&Aを進めていくに当たり、重要な書類となるので、締結しておくようにしましょう。
この時点では、今後のM&Aを進めていくにあたって自社が不利になるような項目は、極力明記しないようにするのが良いでしょう。
企業分析のプロセスでも、専門家に依頼することがありますが、弁護士などの専門家が本格的にM&Aに関わるのは、このデューデリジェンスのプロセスです。企業の規模によって、かかる期間はさまざまですが、中小企業のM&Aの場合は2日から長くても1週間ほどで終わります。
クロージング
デューデリジェンスを実施し、最終的な条件が決まれば、譲渡契約書の締結などによるクロージングのプロセスへ移行します。
買収によるM&Aの場合は、「最終譲渡契約書」を双方の合意の元で締結します。その後、対価の支払いや株式の譲渡など、実際に譲渡が行われることによって、クロージングの流れとなるでしょう。
最終譲渡契約書は、基本合意書とは異なり、契約であるため、法的拘束力をもちます。これまでの企業調査や、面談、デューデリジェンスを通して得た情報を元に、的確な条件で契約を締結しましょう。このプロセスで、M&Aの契約に関するプロセスは終了となります。
PMIの実施
M&Aは、クロージングをすることで完結するものではありません。M&Aにおけるクロージングは、あくまで譲渡などの契約が締結されることであり、M&Aの流れではスタート地点にあたります。最終譲渡契約の締結が完了すると、PMI実施のプロセスへ移行します。
PMIの実施とは、M&A実施後における企業統合の作業のことです。M&Aのプロセスを実行していくにあたって、常に忘れてはならないのが、M&A実施後のPMI実施の流れでどのような企業を目指していくのか想定することです。PMIに備えることで、M&A本来の目的を明確化が可能になり、成功に導けるでしょう。
PMIは、具体的に短期的な取り組みと長期的な取り組みに分かれます。
短期的な取り組みでは、M&A(企業合併や買収)が決まった後の最初の3~6ヶ月間、新しい組織をしっかりと立て直すための短期的な計画を立て、早急に実行に移します。この計画では、組織の形やルール、人事、財務などの見直しを行い、リソースを共有して効率を上げることを目指します。これにより、M&Aの効果を社内全体で感じられるようにします。
長期的な取り組みでは、短期的な計画の実行と同時に、長い目で見た計画も考えます。現在の状況をしっかりと分析し、未来のビジョンを明確にし、それを実現するための手順を具体的に考えます。
計画を実行する際には、その進行状況をきちんとチェックし、必要に応じて修正も行います。最初の1年間で、小さな成功体験を積み重ねることが、この合併や買収を成功させる鍵となります。
4. M&Aのプロセスをスムーズに進めるポイント
M&Aのプロセスをスムーズに進めるポイントは、情報を開示するタイミングでしょう。一般的にM&Aのプロセスを進めていくうえで、M&Aを公表するタイミングは慎重に決定される事項です。
早期に情報が漏えいしてしまと企業の信用・信頼が低下させるだけでなく、企業の利益を失うなどの可能性も高くなるなど、多くの事柄に影響を与えてしまうのです。取引先との関係が悪化してしまうかもしれません。
情報を開示するタイミングによっては、従業員はモチベーションの低下から退職を選択してしまう可能性もあるでしょう。M&Aのプロセスをスムーズに進めるためにも、細心の注意を払ってプロセスに組み込む必要があります。
最適な情報開示のタイミングの目安は、最終契約締結後です。ただし、企業の体制によっては、早期に公表した方がよいケースなどもあるでしょう。M&Aのプロセスを進めるには、M&A仲介会社など、専門家に相談してアドバイスやサポートを受けるのがベストです。
5. M&Aのプロセスを進行させる際の注意点
M&Aのプロセスを進行させる際の注意点は、専門家のサポートを受けることでしょう。M&Aのプロセスを検討して進める際は、専門家のサポートなしには難しいかもしれません。
M&Aは株式譲渡・合併・事業譲渡・会社分割などのさまざまな手法があります。手法によって手続きや進め方も異なるため、M&Aの各プロセスでは専門的な知識や経験が欠かせないでしょう。
したがって、M&Aを安心して任せられる専門家と契約するのが、成功の第1歩ともいえます。特に買い手側のM&Aの目的は、M&Aの成約・最終契約の締結ではなく、経営統合のプロセスです。
予定していたシナジー効果が得られ、事業のさらなる成長や利益増が達成できるかどうかは、PMIにかかっているともいえます。企業によっては体制を構築することは難しい場合が多いため、M&A成約後に外部のPMIの専門家へ依頼するケースもあります。
6. M&Aのスキーム決定方法
M&Aのプロセスにおいて、スキーム決定は大変重要な流れの一つです。M&Aといっても、その手法はさまざまであり、その方法に合わせてスキームを決めていくことが大切です。スキーム決定のためには、まず手法を決めていく必要があります。
主な手法としては、M&Aの手法の中で最もメジャーである「株式譲渡」、社内の事業の一部のみを譲渡する場合や、新しい事業を他社から取り入れる場合に選ばれる「事業譲渡」、企業同士が協力し合う「合併」などが挙げられます。
M&Aを行う際に、自社が買い手となる場合に重視するのが、企業や事業を買収する際の価格です。
安価で手に入れたい気持ちもわかりますが、無理な価格を押し通そうとしても、契約締結の流れに進めないこともあります。自社が買い手の場合のM&Aでも、売り手のことを考えることが大切です。
M&Aを行う際に、自社が売り手となる場合に重視するのが、会社や事業を売却するときの価格と売る時期です。M&Aでの売却価格が重要であることは前述のとおりです。売却する時期が重要なのは、特に株式譲渡や株式交換による売買の場合でしょう。
株式は現金とは異なり、時期によって価格が変動します。したがって、売却する時期も売り手にとっては重要な流れとなります。
自社のメリット・デメリットを考えることはもちろんのこと、相手企業のメリット・デメリットも考慮して、スキーム決定の流れを進めていくことが大切です。
7. M&Aのプロセスまとめ
M&Aのプロセスで最も大切なのは、「目的明確化」の手順です。M&Aを行うことによって、どのようなメリットがあるのか、何のためにM&Aを行うのか、しっかりと検討し、目的を明確にすることが大切です。
そして、M&Aのプロセスを進めていくときは、最初の目的を見失うことなく、候補先の策定やスキームの決定を行いましょう。M&Aの目的をしっかりもつことで、クロージング後のPMIを実施するときの様子を想像でき、M&Aを成功に導けるでしょう。
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