2023年10月03日更新
M&Aの譲渡価格の相場はいくら?決め方を解説!
当記事では、M&Aの相場価格を詳しく解説します。M&Aの相場価格についてしっかり理解していないと、相場より高い金額で買収したり、相場より低い金額で売却したりするかもしれません。当記事を参考にして、M&Aの相場価格の理解を深めましょう。
目次
1. M&Aの価格相場とは
「M&A」とは、「Mergers(合併) & Acquisitions(買収)」の略称であり、合併などの企業組織再編行為と会社・事業の売買取引の総称です。企業は、事業拡大、新規事業進出、事業承継、イグジット戦略など各社それぞれの目的のもと、経営戦略としてM&Aを用いています。
M&Aは、総じて売買取引ですから、そこには価格の目安となる相場があります。ただし、M&Aの相場は、一般的な相場とは異なり、一概に定数があるわけではありません。まずは、M&Aにおける相場とは何かについて確認しましょう。
相場の重要性
M&Aの相場は、M&Aの買収対象となっている会社の価値を考慮に入れて算出され、事業売却したり企業買収したりする際に支払う金額の目安とされるものです。
実際のM&Aでは、基本的にM&A仲介業者を介して売買交渉が行われます。M&Aの際に実際に支払われる金額は、買い手と売り手の見積もりをすり合わせて決定されることも多いでしょう。
ただし、M&Aの相場金額がどのくらいか理解していないと、相場よりも安い価格で事業売却してしまったり、相場よりも高い価格で企業買収してしまったりするかもしれません。M&Aを行うからには、M&Aの相場価格をしっかり理解しておくことが大切です。
買い手の相場
会社売買の相場価格とひとくくりにいっても、会社買収・事業買収をする買い手側の相場価格と、会社売却・事業売却をする売り手側の相場価格では、多少の相違があるものです。まず、買い手側の立場で考えた場合、会社売買の相場価格は低く見積もる傾向にあります。
M&Aの相場価格は「会社の価値を考慮に入れて算出」と説明しましたが、会社の価値は目に見えるものだけではありません。そのような目に見えない価値に対して、不用意に会社の大事な資金を使うわけにはいかないでしょう。
会社買収後は、買収した会社のオーナー・経営者となるケースが多いです。会社のトップが代わったことで、業績が落ちたり、退職者が増えてしまったりするリスクも伴います。このようなことから、買い手の相場金額は低めに見積もられるでしょう。
売り手の相場
M&Aによって会社売却したり、事業売却したりする売り手側の相場価格は、買い手が考えている金額よりも高く見積もられる傾向にあります。それは、これまで一生懸命成長させた会社の売却で、多額の売却益を期待するからにほかなりません。
ただし、売り手側は自分たちの会社・事業を過大評価し過ぎる部分もあり、高い相場金額を提示してしまいがちです。あまりにも会社の価値からかけ離れた金額を提示してしまうと、会社売買・M&Aは成立しにくくなってしまいます。
したがって、事業売却・会社売却を検討している側も、M&Aの適切な相場価格を理解しておく必要があるでしょう。
2. M&Aの譲渡価格を決める要素
ここでは、M&Aの金額を決める要素に関して説明します。M&Aの取引金額の目安は、M&Aの対象となる企業・事業の価値が大きなポイントです。企業・事業の価値の中には、貸借対照表の数字としては表れない「目に見えない価値」があります。それを1つずつ見ていきましょう。
取引先
M&Aの金額を決める要素として、取引先が挙げられます。企業買収の対象先が、多くの取引相手を抱えていれば、企業買収が成立した後も「取引先を新しく見つける必要がない」という価値があるからです。
企業買収する側からみると、信頼関係がすでに確立している取引先があれば、新しいビジネスチャンスを見つけられるかもしれません。取引先は、M&Aで「見えない価値」と考えられます。
顧客リスト
M&Aの金額に影響を与える要素として、顧客リストもあります。企業買収を検討している買い手は、新規事業に参入するためにM&Aを利用するケースが少なくありません。新しく事業・ビジネスを始める際、最初の顧客を獲得するのは非常に難しいことです。
すでに多くの顧客リストを抱えている企業をM&Aによって獲得できれば、「最初の顧客を獲得する」ステージをクリアできます。このため、M&Aの金額を決定する要素として、顧客リストの存在は大きな要素です。
従業員
従業員の存在も、M&Aの金額決定に影響を与える要素の1つです。たとえば、ノウハウをまだ持っていない新規市場に参入する場合、知識・技術を持つ従業員を集めることが必要になります。しかし、能力のある従業員を一から集めるのは時間・資金の両方が必要です。
M&Aによって、すでに知識・技術を持った従業員を獲得できるのは、買い手にとって非常に魅力的な要素といえます。
市場シェア
企業の価値を測るうえで、M&Aの対象となる企業の市場シェアは、非常に重要な要素といえます。すでに一定の市場シェアを獲得している会社を買収できれば、M&A後も順調にビジネスを展開していける確率が高いからです。
一から新規市場に参入するよりも、すでに市場シェアを獲得している会社や事業をM&Aによって買収した方が、新規参入の成功率を高められます。
技術力
高い技術力、他社がまねできない技術力を持っている場合、M&Aの際にも売却金額は高くなります。なぜなら、技術力には魅力的な価値があるからです。同じ業績・利益を上げている会社同士でも、他社と差別化できるような技術力がある方が、売買金額は高くなります。
経営者のビジョンや人間性
M&Aの取引金額を決定する要素であり、会社の見えない価値として挙げられるものに、経営者のビジョンや人間性があります。これは、金額や数字としては表しにくいものです。
しかし、企業買収を考えている買い手の中には、経営者がその会社を「どのようなビジョンを持って成長させてきたのか」を重視している場合もあります。経営者のビジョンや人間性をみることで、企業風土が自社に合うかどうかを判断できるでしょう。
将来的に期待される利益
買収企業は、将来的に一定の利益を獲得できるといった見込みを想定してM&Aに取り組みます。そこで、買収の際は、先々見込まれる利益としてのれんを勘案し算出します。のれんは、将来の価値を反映するものです。会社売却の基礎となるため、非常に大切なものといえます。
のれんを算出する際にベースとなるのは、過去の営業利益です。たとえば、中小企業の場合、過去3年間の営業利益の平均値を割り出し、その3~5年分をのれんとして上乗せします。原則として、のれんを検討するのは黒字企業のみです。
ただし、赤字企業の場合でも、のれんを上乗せされるケースがあります。優れた技術力、強力なブランド力など希少性の高い企業であれば、現在は赤字企業であってものれんを上乗せできる可能性があるでしょう。
3. M&A価格相場の算出方法
ここからは、M&A相場価格の算出方法を解説します。相場価格の専門的な算出方法は数多く確立されていますが、ここでは代表的な3つの算出方法を選びました。
- 修正純資産法
- DCF法
- 類似会社比準法
修正純資産法
修正純資産法は、会社売買で使用頻度の高い相場価格の算出方法です。事業売却・会社売却する側の企業の財務諸表にある資産と負債を時価評価し、総資産額から総負債額を差し引いた純資産額をベースに企業価値を計算します。
修正純資産法で算出された相場価格には、会社売買の対象となる会社の将来的な価値が含まれていないため、この算出方法で導き出された金額では納得できない売り手が多いのが現実です。
DCF法
M&Aでよく使われる計算方法が、DCF(Discounted Cash Flow)法です。これは、企業買収後に予想されるキャッシュフローを加味して、それを現在価値に割り引いて価格を決定します。将来的に期待できる価値も価格算出の際に加味されている点が特徴です。
ただし、キャッシュフローの予測に用いる事業計画において、計画策定者の主観や恣意性が否定できない点がデメリットとされています。
類似会社比準法
類似会社比較準法は、M&Aの対象の会社と同一業種で類似する事業規模の上場企業の株価をもとに、相場価格を見定めます。客観性に優れている点が特徴です。
類似会社比較準法は、M&Aの対象となる会社の価値が低くても、その業界自体の価値が高い場合には、相場金額も高くなる可能性があります。欠点としては、同一業種で類似する事業規模の上場企業が見つからない場合には、算定そのものが不可能です。
4. M&Aの譲渡価格・金額とは
ここでは、M&Aの譲渡価格を解説します。
譲渡価格の適正価格
会社や事業を譲り渡す側と譲り受ける側では、譲渡価格のイメージに大きな隔たりが発生する場合があります。譲渡価格を判断する際に重要なのは、「譲渡価格は適正価格であるか」という点です。
譲渡価格が適正価格であれば、譲渡側と譲受側の価格イメージに多少の違いがあっても、M&Aを成立させられます。
譲渡価格の算出方法
譲渡価格の適正価格は、譲渡対象の会社の時価純資産額に実質営業利益を足し合わせる計算方法で算出されるケースが多くなっています。時価純資産額とは、譲渡側が現時点で行っている事業の価値です。
具体的には、まず、貸借対照表の簿価を時価に修正したうえで、総資産額から総負債額を差し引くことで純資産額が求められます。実質営業利益は、M&Aの対象となる企業が「本業によって得られる利益」のことです。
実質営業利益の計算は、「売上総利益-諸経費」から算出される営業利益に、節税対策額を加えたものになります。この「時価純資産額+実質営業利益」によって算出される価格が、M&Aにおける譲渡価格の目安となるでしょう。
5. M&Aの事業売買と会社売買の価格差
ここでは、M&Aを事業売買と会社売買という2つの観点に分け、それぞれの価格に関して解説をします。
事業売買の価格
企業が新規事業に進出するにあたり、すでに顧客が存在し多くの利益を生み出してている事業を他社から買収する戦略は、よく行われています。多角化経営から転換し、事業の選択と集中のため事業売却を行う会社も増えてきました。このような事業売買における価格を確認しましょう。
事業売却の価格は会社売却よりも低い
事業売却する場合、対象事業とそれに関連する資産、権利義務などが売却されます。会社の全ての資産を売却する会社売買と比較すると、事業売買の価格は低くなるのが常です。
事業を売却する際に、売却する事業を子会社化してM&Aを行うケースも見られます。これは、事業を切り出して子会社化すると、単なる事業売却よりも高い金額で売却が可能だからです。
事業売買時の税金(事業売却・事業買収ともに税金アリ)
事業売買では、売り手・買い手それぞれに税金が発生します。
- 売り手:売却益に対して法人税が課税
- 買い手:買収対象資産に消費税課税資産が含まれている場合、消費税が課税
売り手への法人税は、事業譲渡益単独に課されるのではなく、その年度の損益全てと通算した金額に課税されます。したがって、他に大きな損金があり、決算が赤字の場合は法人税は課税されません。
買い手の消費税は、事業買収の対価支払いに加算して売り手に渡します。売り手が買い手より消費税を預かり、税務署への納付を行います。
会社売買の価格
会社売買における価格や税金を確認します。
会社売買の価格は「事業売却」する場合より高くなる
会社売買は、事業売買と異なり、売却側の資産全てが買収側に移転します。一部の資産のみが売買対象である事業売却と比べて、売却金額の相場が低くくはなりません。
会社売買時の税金
会社売買時に発生する税金は、売却側のみです。売却側が個人か法人かによって、課税内容は異なります。
- 個人:譲渡所得(譲渡して得た利益分)に対して所得税15%、住民税5%の分離課税を受ける
- 法人:譲渡益(譲渡所得と同様の意味)に対して実効税率約31%の法人税が課税される
個人の場合、2037(令和19)年までの時限措置として復興特別所得税0.315%が合わせて課税されます。法人税は、事業売買で説明したとおり、他の損益との通算後の課税です。
6. M&Aの譲渡価格決定へのアプローチ
M&Aにおける売却価格決定の目安となる企業価値評価(バリュエーション)の方法は以下の3体系があり、それぞれの概要を説明します。
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
なお、動画での解説も合わせてご覧ください。
コストアプローチ
コストアプローチは、企業の純資産額をベースに企業価値を算定します。純資産額とは、貸借対照表における総資産額から総負債額を引いた数値です。具体的な算定方法には、簿価純資産法、時価純資産法などがあります。
メリット・デメリット
コストアプローチのメリットは、以下のとおりです。
- 純資産額を用いることで評価の平等性を担保
- 計算がしやすい
貸借対照表の純資産額を基準としており、算出された価値が客観性に優れています。買い手と売り手の双方が納得感を持って交渉に臨めるでしょう。
一方、コストアプローチのデメリットは、以下のとおりです。
- 将来的な収益が反映されていない
- 価格変動が考慮されない
中小企業の場合、上場企業とは違うため市場価値の算定が難しく、将来的な事業予想も立てづらいといったことがあります。
インカムアプローチ
インカムアプローチは、会社・事業の将来的に期待される利益を、見込まれるリスクなどを考慮した割引率で割り引くことで企業価値を算定します。具体的な算定方法としては、DCF法、収益還元法、配当還元法などです。
メリット・デメリット
インカムアプローチのメリットは、以下のとおりです。
- 将来の収益獲得能力も計算に反映
- 固有の性質も評価に反映
M&Aを行う時点で利益が出ていない場合でも、インカムアプローチを用いることで企業の将来性が重視され、高い評価を受ける可能性もあります。企業は通常、将来的な収益を見込んで投資を行うため、事業投資や設備投資を行う際はインカムアプローチによる評価が最も重要です。
インカムアプローチのデメリットは、以下になります。
- 客観性に欠け主観的になりやすい
- 企業が継続するのが前提であり、将来的な収益が予測できないと適用できない
将来の収益見込みは事業計画書をベースとするため、計画策定者の恣意性が否定できない点がネックです。評価時点から数年で消滅・倒産する見込みがある場合は、インカムアプローチによる評価はできません。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、市場で成立する価格を目安として企業価値を算定します。具体的な算定方法としては、市場株価法、類似会社比較法(マルチプル法)、類似取引比較法などです。市場株価法は上場企業専用の算定方法で、直近1~3カ月程度の平均株価をベースに企業価値を算定します。
類似会社比較法(マルチプル法)は、買収対象企業と同業種で企業規模が類似する上場企業の株価を参照して企業尾価値を算定し、類似取引比較法は、過去に成立したM&A取引の中から類似する事例を探し、その取引価格を参照して企業価値を算定する方法です。
メリット・デメリット
マーケットアプローチのメリットは、以下のとおりです。
- 株式市場の株価を反映するため客観性が高い
- 現在の市場動向が反映されたものになる
株価は、経済の景気動向や他社との競争環境などが反映されるため、フラットな視点で判断できる指標となります。
マーケットアプローチのデメリットは、以下のとおりです。
- 市場の影響により評価が変動するリスクがある
- 類似する会社やM&A取引がない場合は適用が不可能
類似会社比較法は、類似企業の選定が重要となります。なぜなら価格の妥当性に関わるため、できるだけ類似する企業を選定しなければなりません。以下の動画で、M&Aアドバイザーが計算例を用いてマルチプル法に関して解説しておりますので、合わせてご覧ください。
譲渡価格を算定する際の注意点
企業価値評価は、要素によって計算方法が異なるため、同じ企業であるのに価格に差が出ることもよくあります。売り手と買い手では立場が異なるため、提示する価格に差が出やすいでしょう。しかし、最終的な譲渡価格の決定は、売り手と買い手が交渉を行い合意した価格になります。
したがって、円滑なM&Aを進めるためには、適正価格を知っておくのが非常に重要です。中小企業のM&Aでは、適正価格として「時価純資産額+営業利益×3年」を採用しているケースが多くあります。
7. M&Aの価格交渉方法
M&Aの取引が成立する目安金額は、これまで説明してきた価格算出方法によって導き出されます。ただし、最終的には、企業買収・事業買収したい買い手と、事業売却・会社売却をしたい売り手がお互いに交渉して、納得できる金額まですり合わせなければなりません。
M&Aによって事業売却などを検討している場合、買い手とうまく交渉するための方法として、大きく2つの交渉方法があるので、それらについて解説します。
個別交渉方式
個別交渉方式は、企業買収・事業買収を検討している買い手の候補者リストの中から、自分たちの条件に合う買い手を1社選び、その買い手とM&Aの条件交渉を行う方式です。お互いに合意が得られると、M&Aの案件が成立します。
選んだ相手と交渉を重ね、結果的に合意に至らなかった場合は、再び別の買い手と交渉をスタートしなければなりません。
オークション方式
オークション方式では、事業売却・会社売却を希望する売り手の情報を匿名で公開し、広く買い手を募ります。集まった買い手の中から興味のある2~3社を候補先とし、それぞれにM&Aに関する条件を提示してもらい、最終的にM&Aの取引相手を決定します。
会社・事業を「できるだけ高い金額で売却したい」と考えている場合は、このオークション方式が向いているでしょう。ただし、オークション方式で決定された交渉相手とは契約する必要があり、途中で売却をやめられないので注意が必要です。
8. M&Aの譲渡価格を相場よりも高めるポイント
譲渡価格を高めるには、自社の魅力を買い手側にわかってもらえる見せ方を工夫しましょう。買い手側の需要に合うように、提案書に具体的な情報をしっかりと記載する必要があります。
魅力ある企業であれば、買い手候補先を多く募れるはずです。したがって、オークション形式にするなどして、候補者同士で競わせるのも1つの方法でしょう。複数の候補先があれば、譲渡価格を引き上げられる可能性があります。
買収側は買収価格を相場よりも安く抑えるべき?
買収側は、買収価格を少しでも安くするために売り手と交渉するのは可能ですが、あまりおすすめしません。なぜならば、交渉の結果、想定よりも低い金額でM&Aを成立させたとしても、買収後の事業の引き継ぎや社員のやる気を失わせてしまうケースもあるからです。
したがって、買収後の事業をスムーズに進行するためにも買収価格の低額化にこだわり過ぎずに行うのが良いでしょう。
9. M&Aの手数料価格の相場
M&Aを実施する際は、M&A仲介会社を利用するのがベストといえるでしょう。M&A仲介会社に依頼して相談しながら進めると、会社売買に関して多くの知識がなくても、安心してM&Aが行えます。
ここで確認しておくべきなのが、M&Aの仲介会社を利用する場合、さまざまな手数料の支払いが必要になることです。M&A仲介会社を利用する際に発生する主な手数料として相談料、着手金、成功報酬がありますので、それぞれの手数料の相場の目安を紹介します。
相談料の相場
M&A仲介会社には、M&A案件の依頼をする前に事前相談が可能です。この事前相談では、「どのような企業買収を検討しているのか」「どの事業を売却したいのか」といった内容の相談をM&A仲介会社と行います。
この事前相談によって、そのM&A仲介会社が「M&Aの実績をしっかり積んでいるか」「自社の企業買収案件を任せても問題ないか」「信頼できそうか」といったことを判断するのが可能です。
M&A仲介会社によってばらつきはあるものの、基本的には相談料は無料としているM&A仲介会社が多くなっています。
着手金の相場
M&A仲介会社に依頼をして企業買収や事業売却を行う際、業務委託契約の締結時に着手金という手数料が発生する場合があります。着手金の名目に該当するのは、初期の段階での人件費や資料作成費などです。
各社によって料金体系が異なるため一概には言い切れませんが、着手金の相場は100万~500万円程度でしょう。ただし、近年では、完全成功報酬制のM&A仲介会社も増えてきており、その場合、着手金は発生しません。
なお、着手金を支払った場合、M&Aが成約しなかったとしても返還されないことも注意点です。
成功報酬の相場
M&Aによる企業買収や事業売却が成立した際に、M&A仲介会社に支払う手数料が成功報酬です。M&A仲介会社に支払う成功報酬は、レーマン方式という計算方法が導入されています。レーマン方式とは、基準金額の段階的な金額帯ごとに、異なる料率を掛け合わせ、それらを合計する方法です。
成功報酬の目安となる料率(多くのM&A仲介会社で採用)
- 基準額5億円以下:5%
- 基準額5億円超~10億円以下:4%
- 基準額10億円超~50億円以下:3%
- 基準額50億円超~100億円以下:2%
- 基準額100億円超:1%
成功報酬の計算方法
レーマン方式の基準額がM&A成約金額という前提で、成約額7億円の場合の成功報酬の計算例を示します。
- 5億円までの部分=5億円×5%=2,500万円
- 5億円超~10億円以下の部分=2億円×4%=800万円
- 上記を合計し、成功報酬額は2,500万円+800万円=3,300万円
成功報酬の注意点
レーマン方式の基準額は、M&A仲介会社によって異なっていますが、大体、以下の3系統に分かれます。
- M&Aの成約額(≒売却企業の株式価格)
- 企業価値(売却企業の株式価格+有利子負債)
- 移動総資産(売却企業の株式価格+負債総額)
金額の大きさを表すと、「M&Aの成約額<企業価値<移動総資産」です。つまり、同じレーマン方式の料率だったとしても、基準額が何であるかによって成功報酬額は変わります。
10. M&A仲介会社に依頼するメリット
M&Aを行う際には、数百万円の小額取引でない限り、M&A仲介会社に依頼して会社売買を進めていくことがほとんどでしょう。そこで、ここではM&A仲介会社に依頼するメリットを説明します。
効率的に「売買相手」を探し出せる
M&A仲介会社を利用せず、独力で売買相手を探すことは非常に困難です。もし見つけられたとしても、買収するに値しない会社であったり、相場価格とはかけ離れた金額を提示されたりする危険性も考えられます。
M&A仲介会社に依頼すれば、M&Aに関する幅広い知識と実績によって、自社のニーズに合った売買相手を見つけることが可能です。
適切な相場価格でM&Aを実施できる
M&Aの経験がない場合、提示されている金額が「相場からかけ離れていないか」「適正価格になっているのか」を判断するのは難しいといえます。会社が持つ見えない価値も考慮に入れるとなると、適切な相場価格を判断するのは困難です。
M&A仲介会社に依頼をすれば、M&Aのプロが、適正な相場価格を導き出します。したがって、相場よりも安い金額で自分たちの大事な会社・事業を手放してしまったり、相場よりも高い価格で中身のない会社を買収してしまったりなどのM&Aのリスクを取り除けるでしょう。
面倒な手間を省ける
M&Aを開始すると、売買相手探しから、売買相手との交渉、デューデリジェンス、契約書の作成、経営統合の実施など、しなければいけないことが多くあります。それらのM&Aの手続きを、普段の自分たちの仕事をしながら並行して進めることは非常に大変なことです。
M&A仲介会社に依頼れば、M&Aに伴う面倒で手間のかかる作業から解放され、本業に集中できます。
11. M&Aの譲渡価格の相場に関するQ&A
M&Aの譲渡価格の相場に関連して、よく寄せられる質問の1つが、「休眠会社を売買する場合の相場」です。
休眠会社の相場はどれくらい?
休眠会社とは、現在、事業活動を停止している企業のことです。便宜上、休眠会社は2種類に分類されます。
- 看板用休眠会社:過去の経歴などに不明な部分があったり会社の預金口座に動きがあったりなどするケース。
- 事業用休眠会社:過去の経歴に問題などはなく純粋に長期間、休眠状態にあるケース。
休眠会社の場合も、売買価格は交渉によって決まります。したがって、一概に相場を断定はできませんが、一例として相場予測を掲示します。
- 資本金1千万以上の有限会社:相場金額30万円程度
- 看板用休眠会社(株式会社):相場金額30万~50万円程度
- 事業用休眠会社(株式会社):相場金額35万~65万円程度
12. M&Aの譲渡価格の相場に関する相談先
「企業買収を検討している」「事業売却したいけれどM&Aの知識が少ない」など不安を抱えている経営者の方は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には経験や知識の豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、親身になって案件をフルサポートします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談を行っていますので、M&Aをご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
M&A総合研究所の手数料率 | |
---|---|
M&A成立金額 | 手数料率 |
5億円以下 | 5% |
5億円超~10億円以下 | 4% |
10億円超~50億円以下 | 3% |
50億円超~100億円以下 | 2% |
100億円超 | 1% |
13. M&Aの譲渡価格の相場まとめ
M&Aの譲渡価格は、最終的には売り手・買い手の交渉で決まるものです。ただし、目安となる金額がないと、売り手・買い手の主張が平行線のまま、M&Aが成約できない場面も危ぶまれます。そのためにポイントとなるのが本記事で紹介した企業価値評価です。
専門的な算定方法はプロに任せるとしても、その概要や成り立ちを知っておくと、M&Aの専門家に相談する際により理解がしやすいでしょう。
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