2023年03月30日更新
プロラタ(プロラタ方式)とは?用語の意味、返済の計算方法を紹介
企業が複数の金融機関から借入を受ける際、プロラタ(プロラタ方式)を利用することがあり、M&Aの資金調達にも活用できるので内容を把握すると選択の幅を広げられます。本記事では、プロラタ(プロラタ方式)の意味や返済の計算方法などを紹介します。
目次
1. プロラタ(プロラタ方式)とは
プロラタ(プロラタ方式)とは、企業が複数の金融機関からの借入を受ける場合に、返済額を借入金額に応じて比例的に決める返済方法をさします。
何らかの影響で企業の返済能力に変化が生じるとリスケジュール(返済計画の見直し)を行うため、融資を行っている全ての金融機関の間で不公平が生じないように取られている方法です。
プロラタ(プロラタ方式)による返済は、「残高プロラタ」と「信用プロラタ」の2つに分けられます。
プロラタ(プロラタ方式)の意味
プロラタ(プロラタ方式)の由来は、「比例配分できる」を意味する言葉「Proratable」にあります。企業から金融機関への返済を比例配分させることで不公平を生じさせなくするために活用する手法です。
金融機関側の債権回収に関する不安要素を取り除くことが可能です。各金融機関からの信用を得られやすく融資も受けやすくなります。
残高プロラタについて
残高プロラタとは、各金融機関からの借入残高に比例して、返済額を決めるプロラタ(プロラタ方式)です。単純に借入残高を参照するため、多く融資している金融機関が最も多い比率での返済となります。
プロラタ(プロラタ方式)の形態は各金融機関の意向によっても変わりますが、一般的に残高プロラタを採用することが多いです。借入金を5,000万円、毎月の返済額を100万円とした場合、各金融機関への返済額は下表のとおりです。
借入残高 | 返済額 | |
メインバンク | 3,000万円(60%) | 60万円 |
A銀行 | 1,500万円(30%) | 30万円 |
B銀行 | 500万円(10%) | 10万円 |
合計 | 5,000万円 | 100万円 |
信用プロラタについて
信用プロラタとは、各金融機関における無担保部分の借入残高に比例して、返済額を決めるプロラタ(プロラタ方式)をさします。無担保とは、預金担保や不動産担保などが提供されておらず、債権回収の保証がされていない部分のことです。
債権回収の保証がされていない部分を優先的に返済していくので、金融機関の立場としては無担保の融資ならば信用プロラタ、担保ありの融資ならば残高プロラタが有利になります。
借入金を5,000万円、毎月の返済額を100万円とした場合、各金融機関への返済額は下表のとおりです。
借入残高 | 担保金額 | 無担保部分の借入残高 | 返済額 | |
メインバンク | 3,000万円(60%) | 担保2,500万円 | 500万円(25%) | 25万円 |
A銀行 | 1,500万円(30%) | 担保500万円 | 1,000万円(50%) | 50万円 |
B銀行 | 500万円(10%) | 担保なし | 500万円(25%) | 25万円 |
合計 | 5,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 100万円 |
上記の例で見ると、融資金額が最も大きいメインバンクが、月々の返済額ではA銀行よりも低くなる結果となりました。これは、債務者からの2,500万円相当の担保提供により債権回収が保証されているため、優先的に返済を受けられないためです。
2. プロラタ(プロラタ方式)の手順・流れ
この章では、プロラタ(プロラタ方式)の一般的な手順・流れを解説します。
最初に各金融機関の借入残高がいくらあるのか、顧問税理士や公認会計士などの専門家へ依頼して把握します。次に、借入先の金融機関へ、プロラタ(プロラタ方式)での支払いに同意してもらえるか協議しましょう。
プロラタ(プロラタ方式)の計算は、借入残高を案分する方法です。他に担保のない借入残高を優先して返済する方法、当初設定した返済額から案分する方法などもあります。この際も、弁護士やM&A仲介会社などの専門家に同席してもらうのが望ましいです。
最後に、各金融機関と個別に調整しながら返済を整えます。すべての金融機関へ平等に返済することを念頭に置いて、進めてください。
3. プロラタ(プロラタ方式)のメリット
プロラタ(プロラタ方式)のメリットは、金融機関からの信用を損ないにくいことです。取引先銀行を含めた複数の金融機関から融資を受けるため、取引実績を考慮することがないプロラタ(プロラタ方式)はすべての金融機関にとって安心材料となります。
すべての金融機関が公平に返済を受ける権利を与えられるので、普段から付き合いのない銀行からも信用を得られやすくなります。結果的に迅速な資金調達が可能となり、資金を必要とするM&Aや事業承継などの目的も達成しやすくなるでしょう。
4. プロラタ(プロラタ方式)の注意点
不平等な返済にならないことが、プロラタ(プロラタ方式)の注意点です。
ある金融機関には有利な条件でも、他の金融機関には不平等といったトラブルなどが生じる可能性があります。そのため、単純に借入残高の案分なのか、公平さを出すために他の計算方法で返済額や返済期間を決めるのかなどを税理士などと相談し交渉しなければなりません。
プロラタ(プロラタ方式)を金融機関に持ちかけるときは、一度に複数の金融機関と協議すれば公平性を保てるでしょう。スムーズに返済できる金額を判断し、経営コンサルタントやM&A仲介会社と一緒に経営改善計画書類などを作成することをおすすめします。
5. プロラタ(プロラタ方式)による返済の計算方法
プロラタ(プロラタ方式)による返済の計算では、まず各金融機関の借入残高の確認です。抱えている債務を全て明確にしたうえで、すべての債権者(金融機関)にプロラタの採用を提案します。
プロラタ(プロラタ方式)の月々における返済額は、全体の借入残高に比例して返済額を決める「残高プロラタ」もしくは無担保部分の借入残高に比例して返済額を決める「信用プロラタ」を用いて算出します。
プロラタによる返済は、全行一致が原則です。すべての金融機関における公平性を保つことが目的なので、開始時期や採用方式をすべて一致させなくてはなりません。
調整が終わったら返済を開始します。残高プロラタと信用プロラタを使った場合の返済額は、下表のとおりです。
借入残高 | 返済額 | ||
残高プロラタ | 信用プロラタ | ||
メインバンク | 1億円 (無担保部分2,000万円) |
250万円(50%) | 100万円(20%) |
A銀行 | 5,000万円 (無担保部分3,000万円) |
125万円(25%) | 150万円(30%) |
B銀行 | 5,000万円 (無担保) |
125万円(25%) | 250万円(50%) |
合計 | 2億円 | 500万円 | 500万円 |
6. プロラタ(プロラタ方式)による返済のスケジュール
プロラタ(プロラタ方式)による返済のスケジュールは、リスケジュールと呼ばれています。リスケジュールとは返済条件の変更をさし、全ての金融機関に対して同一の条件で返済するように設定することです。
具体的なスケジュールは、すべての金融機関における同意を得たうえで決定します。返済能力に準じた設定により月々の返済額を決め、全ての金融機関の間で返済完了するタイミングを一致させます。
プロラタ(プロラタ方式)は、適切な設定をすることで最大限に有効活用できますが、入念なスケジュール策定が必要になるので、専門家を交えたうえで慎重に検討しましょう。
プロラタ(プロラタ方式)による返済を検討の際におすすめの相談先
プロラタ(プロラタ方式)は、各金融機関からの了承を得た計画的な返済が可能になる反面、返済計画やリスケジュールなどの細かい調整が難しい問題もあります。
プロラタ(プロラタ方式)のメリットを最大限に活用したご返済をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、プロラタ(プロラタ方式)に詳しいM&Aアドバイザーが親身になって案件をフルサポートします。電話またはWebより無料相談を受け付けていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
7. プロラタ(プロラタ方式)が採用される理由
企業が融資を受ける際にプロラタ(プロラタ方式)が採用される理由は、すべての金融機関に対して平等に返済することを明言するためです。
企業が巨額の債務を抱えている場合、特定の金融機関から優先して返済しようとする場合があります。これでは返済を後回しにされた金融機関から見れば不公平になるため、法的な部分も含めて問題になるケースもあるでしょう。
プロラタ(プロラタ方式)を採用していれば平等に返済することを約束できるため、各金融期間との信用が保たれ、融資を受けやすくなります。
8. プロラタ(プロラタ方式)のまとめ
本記事では、プロラタ(プロラタ方式)の意味や返済の計算方法を解説しました。企業経営には資金が必要不可欠であるため、複数の金融機関からの借入が求められることもあります。
借入を受ける企業側もプロラタ(プロラタ方式)の特徴を把握すれば、最大限に有効活用できます。M&Aや事業などで資金が必要の際は、選択肢の一つとしてプロラタ(プロラタ方式)を検討しましょう。
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