精密部品製造業界のM&A・事業承継の動向!事例や案件例・価格相場を解説

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、精密部品製造業界のM&A・事業承継に関して、近年の動向や価格相場を解説します。また、精密部品製造業界のM&A・事業承継の事例、精密部品製造業界のM&A・事業承継を成功させるポイントも紹介します。

目次

  1. 精密部品製造業界を取り巻く環境
  2. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の動向
  3. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の理由
  4. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の案件例
  5. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の事例
  6. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の価格相場
  7. 精密部品製造業界のM&A・事業承継を成功させるポイント
  8. 精密部品製造業界のM&A・事業承継でおすすめの相談先
  9. 精密部品製造業界のM&A・事業承継まとめ
  10. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧
  11. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧
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1. 精密部品製造業界を取り巻く環境

はじめに、精密部品製造業界を取り巻く環境をお伝えします。

精密部品製造業界の市場規模

精密部品市場は、2022年時点で約1,423.6億米ドルと推定され、今後も年平均成長率(CAGR)13.3%で拡大を続け、2035年には約1,702億米ドルに達すると予測されています。製造技術の進化に伴い、2023年末までには市場規模が15兆米ドルに達する見込みで、年成長率は3.57%とされています。

特にCNC加工や3Dプリンティング、先進素材の利用が進化し、複雑かつ高精度な部品製造が可能となったことで、精密部品への需要が急増しています。

アジア太平洋地域では日本が主要な市場となる見通しです。日本の高度な製造技術と革新性が、精密部品市場の成長を強力に支えています。日本では製造業全体が年1.21%の成長を遂げており、高品質で複雑な部品の需要増加に伴い、今後も大きなビジネスチャンスが期待されています。

参考:Research Nester Analytics LLC「精密部品市場の規模は2035年までに約1,702億米ドルに達するとResearchNester.jpリサーチアナリストが調査」

精密部品製造業界の課題と展望

電子情報技術産業協会による「電子部品技術ロードマップ」をみると、2028年までの技術進化をけん引する4大領域が、ヒューマンライフ・モビリティ・インダストリー・6次産業とされています。これらに共通する点は、2050年に起こると考えられる超スマート社会Society5.0です。

Society5.0の実現に向けて、日本はIoT・AI・ビッグデータ・ロボット・センサーを生かしながら、社会システムにおける効率化・全体最適化の推進に取り組んでいます。電子部品の技術進化は、Society5.0を支える基礎といえます。

参考:電子情報技術産業協会「電子部品技術ロードマップ 電子部品技術基礎編の公開」

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2. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の動向

近年の精密部品製造業界におけるM&A動向は、主に以下のとおりです。

  1. 精密部品製造の技術目的のM&Aが行われている 
  2. アジア諸国の低単価の影響により競争力が求められる
  3. 同業種・異業種からのM&Aが活発

①精密部品製造の技術目的のM&Aが行われている

近年の精密部品製造業界では、技術獲得を目的とするM&Aが目立っている状況です。精密部品業界で製造される製品は受注案件ごとのオーダーメイドも多いため、製造技術を獲得するとその分野における受注を半ば独占できます。

大手企業からの精密部品製造を安定受注している企業を、M&Aにより買収するケースがみられます。

②アジア諸国の低単価の影響により競争力が求められる

日本の精密部品製造業界は、精度の高い精密部品製造技術で差別化を図ってきました。しかし、近年はアジア新興国メーカーの品質が向上し、価格競争が起きている状況です。

そこで、新興国メーカーが日本の技術をM&Aなどで獲得し、低価格で精度がある程度高い精密部品製造を行うケースも増えています。日本の精密部品製造企業に対しても、一定以上の精度で低価格の製品を短期間で製造するよう要求されるケースが増えている状況です。

③同業種・異業種からのM&Aが活発

近年は、IoT(モノのインターネット)の普及や自動車業界の大転換などにより、多様な業種からのM&Aが増加しています。

特に海外で戦うには、幅広い要求に応えられる製造力が求められるため、海外展開している異業種企業によるM&Aが見られる状況です。

3. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の理由

精密部品製造業界のM&A・売却理由を当事会社それぞれの立場に分けて解説します。

売却側の理由

精密部品製造業界では、主に以下のような理由でM&A・事業承継による売却が実施されています。

  1. 後継者問題の解決 
  2. 将来的な競争力の不安
  3. 独自では海外進出が難しいと判断
  4. 倒産・廃業を回避
  5. 売却益の獲得

①後継者問題の解決

精密部品製造業界は町工場のような中小企業が支えていますが、多くの企業が後継者問題を抱えている状況です。

かつては親族や社内に後継者がいない場合は廃業を選択するケースが大半でしたが、国や地方自治体による認知度向上施策もあり、近年は第三者へのM&A・事業承継によって会社を売却するケースが急増しています。

②将来的な競争力の不安

海外企業との競争激化により、発注企業からの要求はますます厳しくなっています。しかし、原材料費の高騰などにより、多くの中小精密部品製造企業は不安を抱えながら事業を続けている状況です。

そこで、M&A・事業承継により大手資本の傘下に入り、会社の存続を図るケースも多いです。

③独自では海外進出が難しいと判断

海外企業からの受注も多い精密部品製造業界ですが、海外に製造・販売拠点を設けるには、資金力・コネクション・指導者人材の面で課題のある企業もあります。そのような理由から、他企業と協業して海外展開を図るケースもみられます。

④倒産・廃業を回避

倒産や廃業は負債を抱えたり従業員や取引先を困らせたりするなどデメリットが多いため、なかなか踏み切れない経営者が少なくありません。

近年はM&A・事業承継による売却のメリットが周知され、倒産や廃業を回避するためにM&A・事業承継を選択する企業が増えています。

⑤売却益の獲得

M&A・事業承継の場合、経営者は譲渡・売却益を獲得できるため、負債を抱えながら経営を続けている多くの中小精密部品製造企業にとって大きなメリットです。

負債の解消やリタイア後における生活費確保などの目的で、M&A・事業承継による売却を選択するケースも比較的多いです。

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買収側の理由

精密部品製造業界では、主に以下のような理由でM&Aによる買収が行われています。

  • ほかのエリアの生産拠点を確保できる
  • ほかの分野の生産技術を獲得できる
  • 相手側企業の顧客に対しても提案できるうえに、アッセンブリーの受注も狙える

アッセンブリーとは、部品などの組立てのことです。企業によっては、ライン作業全般をアッセンブリーと呼ぶこともあります。

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4. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っている精密部品製造業界のM&A・事業承継の案件例として、関東地方の精密金属部品製造業をご紹介します。

高い技術力・設計ノウハウを有し、複雑な形状の部品でも高精度・高品質に対応可能です。手のひらサイズの部品であれば、難削材も対応可能です。
 

エリア 関東・甲信越
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

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5. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の事例

ここからは、精密部品製造業界のM&A・譲渡理由による売却・買収事例を紹介します。

田中精密工業による米谷製作所の買収

2024年12月25日、田中精密工業は米谷製作所の全株式を取得し、子会社化することを発表しました。田中精密工業は自動車やオートバイ部品の製造・販売を手掛け、米谷製作所は自動車エンジン向けアルミダイカスト部品の鋳造金型設計・製作や高度な加工技術を有しています。

このM&Aの目的は、自動車の電動化に伴うアルミ部品の大型化に対応し、受注拡大と技術力の強化を図ることです。特に田中精密工業のアルミダイカスト技術を支える上流工程として、米谷製作所の金型設計製作技術を取り入れることで、競争力のある製造体制を構築する狙いがあります。

株式会社米谷製作所の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

トーカロによる寺田工作所の買収

2024年8月23日、トーカロは寺田工作所の全株式を取得し、子会社化することを発表しました。トーカロは表面改質ソリューションを提供しており、寺田工作所は多様な素材を用いた精密機械部品の製造技術を持つ企業です。

今回のM&Aにより、寺田工作所の優れた機械加工技術とトーカロの表面改質技術を融合させることで、製品の付加価値を高め、顧客へのサービス向上を目指します。この連携を通じて、両社のシナジー効果を最大化することが狙いです。

株式会社寺田工作所の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

湖北工業によるエピフォトニクスの買収

2024年3月28日、湖北工業はエピフォトニクスの全株式を取得し、子会社化を決定しました。湖北工業は光通信部品や石英ガラス製品の製造を手掛け、光アイソレータ市場で50%以上のシェアを誇ります。一方、エピフォトニクスは、次世代光通信技術で注目される「PLZT薄膜形成技術」を活用した光デバイスの開発で実績があります。

この買収により、両社の技術を融合し、次世代情報通信インフラ向け製品の開発を加速させます。さらに、光通信市場の拡大に対応するため、製品ラインアップと販売ネットワークを強化し、シェア拡大を目指します。また、光量子コンピュータ分野での応用も期待されています。

エピフォトニクス株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

フジオーゼックスによるピーアンドエムの買収

2024年3月28日、フジオーゼックスはピーアンドエムの全株式を取得し、子会社化することを決定しました。フジオーゼックスは、自動車部品やエンジンバルブの製造・販売を主力とし、事業拡大を図っています。一方、ピーアンドエムは精密部品や医療器具を高い技術力で製造し、堅実な成長を遂げてきました。

両社の共通する経営理念である「ものづくり力と信頼性」を基盤に、相互の技術やリソースを結集し、部品業界が抱える課題解決や新分野進出を加速させることが本件の目的です。この買収により、事業規模の拡大と競争力強化が期待されています。

株式会社ピーアンドエムの全株式取得に関するお知らせ

横浜ゴムによるWheel Systems事業の買収

2022年3月、横浜ゴムはスウェーデンのTrelleborg ABより、Trelleborg Wheel Systems Holding AB社の株式すべてを取得すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、古河グループのタイヤ・ゴムメーカーです。ヨコハマタイヤのブランド名で知られているほか、ドイツのコンチネンタルタイヤの販売元でもあります。対する売却側は、スウェーデンを拠点に、農業機械用や産業車両用タイヤなどの生産販売事業を展開している企業です。

本件M&Aにより、買収側では、商品ブランド体系の完成・サービス体制・DXの活用・販売における地域補完・新車装着タイヤ納入などの強化を図っています。今後はタイヤ商品やサービスの研究開発・生産・販売・品質・ESGなどの領域において、両社の強みを融合させ、オフハイウェイタイヤ事業のさらなる成長を目指すと発表しています。

大泉製作所によるフェローテックHDとの資本業務提携

2021年3月、大泉製作所はフェローテックホールディングスと資本業務提携契約を結ぶことを決めています。

大泉製作所は、フェローテックホールディングスにおけるグローバルネットワークの活用が高品質製品の販売強化となり、フェローテックホールディングスが持つ生産技術・品質管理ノウハウなど経営資源の効果的な活用が両社の企業価値向上にもつながると考え、契約に合意しました。

日清紡HDによる新日本無線とリコー電子デバイスの合併

2021年1月、日清紡ホールディングスは日清紡グループの連結子会社である新日本無線とリコー電子デバイスを合併して統合することを決めています。新設の会社名は「日清紡マイクロデバイス」です。

これにより、日清紡ホールディングスは、電子デバイス製品・マイクロ波製品の設計・製造販売などを行うことを狙っています。

フェローテックHDによるRMT社の買収

2020年10月、フェローテックホールディングスは連結子会社のFerrotec Europe GmbHを通じて、RMT Ltd.,の出資金持ち分のうち78.96%(議決権所有割合:60.0%)を得て連結子会社にしました。

これにより、フェローテックホールディングスは、サーモモジュール製品のラインアップ強化、5Gなどの通信基地局、EV用各種センサーなど付加価値が高い製品の需要を積極的に取り込むことによる電子デバイス事業の成長・企業価値の向上を見込みます。

シークスによるSIIX EMS(THAILAND)への事業譲渡

2020年9月、シークスは連結子会社であるSIIX Bangkok Co., Ltd.の全事業を連結子会社のSIIX EMS(THAILAND)CO.,LTD.へ譲渡することを決めました。これにより、シークスは、タイでの事業をSIIX EMS(THAILAND)CO.,LTD.に集約し、業務コストの削減などを狙います。

ウイルテックによるサザンプランの買収

2020年6月、ウイルテックはサザンプランの全株式を得て、完全子会社にすることを決めました。これにより、ウイルテックは、今までに築いた修理サービス事業などとサザンプランが有する再生技術との連携、流通のノウハウを活用した電子部品の販売力強化によるさらなる企業価値向上を狙います。

テクノホライゾンHDによるブルービジョンの買収

2020年5月、テクノホライゾン・ホールディングスは、連結子会社であるタイテックがブルービジョンにおける発行株式のうち1,460株(81.11%)を得ることを決めました。

これにより、テクノホライゾン・ホールディングスは、ブルービジョンの製品や技術をグループ内に取り込んでシナジー効果を高めることを狙っています。

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6. 精密部品製造業界のM&A・事業承継の価格相場

精密部品製造業界のM&A・事業承継の価格は、どのように算定されるのでしょうか。ここでは、企業価値の算定方法や、精密部品製造企業の企業価値算定にプロのサポートが必要な理由を解説します。

企業価値評価の算定方法

精密部品製造企業の企業価値評価は、直近の会社資産価値をベースに、将来の収益力や買い手企業との事業シナジー・製品力や販売力など、有形および無形の営業権(のれん)を上乗せして算定します。

精密部品製造企業の場合は、製品の精度が差別化要因となるため、高精度な製品製造技術を持っていると、企業価値評価も高くなるのが一般的です。

企業価値の算出はプロに任せるべき理由

簡易的な企業価値算定は、企業の決算資料を読むことで、専門家でなくても可能です。しかし、実際には精密部品製造企業の場合、景気の波や製造業界のトレンド動向、業績などに大きく左右されます。

数値化するのが難しい無形資産の価値も的確に分析する必要があるため、本格的な企業価値算定を行うのであれば、プロのサポートが必要です。

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7. 精密部品製造業界のM&A・事業承継を成功させるポイント

精密部品製造業界でM&A・事業承継による売却を成功させるには、主に以下のポイントを押さえる必要があります。

  1. 計画的にM&Aの準備を行う 
  2. M&Aを行う目的を明確にする
  3. 自社の強み・製品・特許などをアピールする
  4. 売却先に譲れない条件をはっきりする
  5. M&Aの専門家に相談する

①計画的にM&Aの準備を行う

精密部品製造業界は景気の波や製造業大手の動向に先行きが左右されるため、同じ会社でも売却タイミングや戦略の立て方によってM&Aの結果が変わります。

M&A・事業承継による売却を成功させるためには、早い段階から計画的に準備を行い、戦略を立てて進めることが重要です。

②M&Aを行う目的を明確にする

会社の売却目的が、売却益の獲得、社員・取引先の保護、会社の成長、業績不振、先行きの不安などによって、交渉の妥協ラインやアドバイザーのサポート内容・買い手との関係などが変わります。

自社がM&Aを行う目的を明確にすれば交渉の優先順位もはっきりし、柔軟な交渉が可能です。

③自社の強み・製品・特許などをアピールする

買い手に自社を正しい価値基準で認めてもらい、高く売却するためには、強みや将来性を明確にアピールすることが重要です。M&Aの準備段階で自社データの整理や強みの整理などを行い、経営上の課題などは買い手に指摘される前に先回りして把握・整理しましょう。

④売却先に譲れない条件をはっきりする

売却を急がないときは交渉も余裕を持って行えますが、業績が悪いなど何らかの理由で売却を急いでいる場合は、買い手に足元を見られ、条件交渉が不利になるおそれがあります。

自社に譲れない売却条件を明確にし相手企業にしっかり伝えれば、理性的な交渉が可能です。

⑤M&Aの専門家に相談する

M&A仲介会社は、売却をトータルでサポートする役割を担います。M&Aを実施している売り手は、先行きの不安や会社への思いなどによって、理性的な判断を欠くケースも少なくありません。

そのような場合でも、丁寧に話を聞き方向修正できるのが、M&A仲介会社など専門家の持つ強みです。売却を行う際はM&Aの専門家に相談し、最大限に活用することも成功のカギといえます。

8. 精密部品製造業界のM&A・事業承継でおすすめの相談先

精密部品製造業界のM&A・事業承継でおすすめの相談先をご紹介します。

金融機関

金融機関は、M&Aにおいて資金調達や融資に関する相談を受ける役割を担っています。近年、M&A需要の増加により、専門窓口を設ける銀行が増加。買い手企業にとって融資の可否は重要であり、審査結果がM&Aのリスク評価に影響を与える場合もあります。

金融機関の専門窓口では、経験豊富な担当者が資金繰りや計画のアドバイスを提供。企業との長期的な関係性を活かした定期的な支援も期待できます。

大企業向けが中心で、中小企業やスタートアップのM&Aには対応が限定的な場合があります。また、報酬が高額で、組織として迅速な対応が難しい点も課題です。

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公的機関

中小企業や小規模事業者の後継者問題を支援する公的機関として、事業承継・引継ぎ支援センターがあります。各都道府県に設置され、事業承継やM&Aに関するアドバイス、情報提供、マッチング支援を行っています。大規模かつ複雑な案件では外部専門家の協力を得る場合もあります。

全国に相談窓口があり、地方都市でも利用可能です。地元自治体との連携で法制度情報を得られるほか、専門家の紹介を受けられます。公的機関のため相談は無料で、公平なアドバイスを提供。小規模なM&Aにも対応しています。

事業承継を目的とするため、M&A案件の対応件数が少なく、複雑な案件には対応が難しい場合があります。また、スピーディーな対応や広範な相手先探しには限界があり、条件に合う企業を見つけるには民間仲介会社の利用が適しています。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業間のM&Aを中立的にサポートし、条件交渉や計画立案から契約締結、クロージングまでを一括して支援します。一部の仲介会社ではFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)として、譲渡側または譲受側の専属アドバイザーとしてサポートを提供します。

仲介会社は独自のネットワークを活用して適切な相手企業を見つけるため、希望に沿ったM&Aを実現しやすい点が強みです。また、専門知識や豊富な実績を活かし、実行からアフターフォローまで幅広く対応します。さらに、業界動向や費用相場などの最新情報も提供され、細かな相談にも応じてもらえます。

成功報酬は売却額の5~10%程度が一般的で、規模が小さいM&Aでも数百万円以上の負担が発生することがあります。また、相談料や着手金が必要な場合もあり、契約時に注意が必要です。ワンストップのサービスが特徴ですが、その分費用が高額になりがちです。

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9. 精密部品製造業界のM&A・事業承継まとめ

本記事では、精密部品製造業界のM&A動向や事例などを紹介しました。精密部品製造業界でM&A・事業承継を成功させるには、業界動向を見極めて戦略的に進めることが重要です。精密部品製造業界のM&A・事業承継を進める際は、業界やM&Aに関する知識や交渉力が必要となるため、高い専門性と豊富な実績を持った専門家のサポートを受けましょう。

10. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧

11. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧

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