2023年08月27日更新
マイクロM&Aとは?流れや成功ポイント、注意点を解説【完全マニュアル】
規模の小さなM&Aでの売買に「マイクロM&A」があります。マイクロM&Aとは、売買価額1,000万円以下の企業や店舗のM&Aのことをさします。通常のM&Aと進め方などでは共通する部分も多いですが、マイクロM&A特有の注意すべきポイントもあります。
目次
1. マイクロM&Aとは
マイクロM&Aは、1,000万円以下の企業や店舗、事業の売買のことです。
1,000万円以下の売却希望がどのようにして出るのかという観点から、具体的に以下でご説明します。
マイクロM&Aの主な対象事業
1,000万円以下のマイクロM&A案件というと、主に以下の3つが対象となります。
- 赤字経営で悩む小規模事業
- 後継者問題を抱える個人事業
- ベンチャー企業(マイクロM&Aの現状で後述)
赤字経営で悩む小規模事業
通常のM&Aでは、収益力や資産が大きな要素となる価額で行われるので、赤字垂れ流しのような状態ではほとんど価値はつきません。特に、小規模であればなおさらです。
よって、1,000万円以下のマイクロM&Aの対象には、こうした事業が多くなります。
売却側にとっては赤字垂れ流しの状態であれば、安くても売却できれば良いというのはありますが、買収側の立場に立つと安く買収できてもその後がさらに重要になります。
買収側は、当面の赤字負担と、黒字化のための投資を行っていかなければなりません。つまり買収した価額以上の支出が生じます。
後継者問題を抱える個人事業
通常、個人事業は企業に比べれば、当然事業規模が小さいのでM&Aの価額も低いです。1,000万円以下は珍しくありません。
多いのは、後継者がいない個人経営の店舗が売却を考えているケースです。また最近では、後継者とはあまり関係ありませんが、個人で運営しているWebサイトがマイクロM&Aで売りに出されているケースも増えています。
買収側にとっては、後継者がいない個人事業については、チャンスであることが多いです。何年にも渡って経営している実績があれば、規模が小さくとも継続して利益を出していることがほとんどだからです。
買収後はあまり手を加えなくても、ある程度の期間は安定的に収益が上がることが期待できます。
スモールM&Aとの違い
マイクロM&Aは、1,000万円以下の企業や店舗、事業の売買のことをさします。しかし、規模の小さいM&Aの案件にはと「スモールM&A」もあります。
「スモールM&A」も「マイクロM&A」もM&Aであることに違いはありません。両者は、案件価額の大小によって便宜的に名前をつけているだけです。
したがって、M&A仲介会社によってはそれぞれがどのくらいの価額の案件のことをさすのか、違っていることもあります。また、「マイクロM&A」という言葉は使っていないケースも多々あります。
ただ、「スモールM&A」と「マイクロM&A」を分けて分類する場合、一般的には以下の定義づけになります。
- マイクロM&A:1,000万円以下
- スモールM&A:数千万円~10億円規模
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2. マイクロM&Aの現状
売り手が出てきた一方、マイクロM&Aでの積極的な買い手も増えてきました。
それは、以下の2つの現状からになります。
- ベンチャー企業を対象としたM&A
- 起業家の増加による需要拡大
①ベンチャー企業を対象としたM&A
かつてベンチャーは、IPOを目指すことが一般的でしたが、近年はM&Aを目指すベンチャーが増えています。
理由としては以下のとおりです。
- IPOの基準を満たすまで、早くても数年以上かかってしまう
- 上場基準を満たすために、莫大な費用、業務が発生する
これらのハードルに比べたら、M&Aは短期間で実現可能です。またシナジー効果のある企業に買収してもらえれば、事業の成長が加速する可能性もあります。
ただし、創業から日が浅いベンチャーは収益基盤が整っていなかったり、買収側からすれば将来性を判断したりするのは難しくもあります。そのため、M&Aの評価額がマイクロM&Aの範疇に入ってしまうことも多く、ベンチャーのマイクロM&Aが増えています。
②起業家の増加による需要拡大
会社を設立して起業するとなると、各所への申告や店舗・従業員の確保など、手続きの時間や初期費用が必要となります。また、何もない状態から起業すると、サービスを立ち上げ、軌道にのり、安定した売上げを立てるのもかなりの時間を要します。
しかし、M&Aによってすでにできあがっている事業や会社を買う場合、投資する費用はかかりますが、人材や資産、ノウハウなどはすでにあるので、少ない時間で安定した経営を実施できる可能性は格段に高くなります。つまり、起業によるリスクが軽減されるわけです。
近年は、このM&Aのメリットを使った形の起業が増えてきています。もちろん、起業は個人が行う行為なので、個人で売買できる範囲のマイクロM&Aの需要が増えました。
3. 資金の集め方
マイクロM&Aで買収したい場合の資金面についてです。自己資金の投入のほかに、以下の2とおりが主に考えられます。
- 政策投資金融公庫
- 制度融資
創業や事業承継の支援を前提としたものが多いですが、それぞれ制度はいくつかあり、また時の政策により要件などが変わることがありますので、詳しくは調べて相談に行きましょう。
①政策投資金融公庫
日本政策金融公庫は国の施策のもとの「国民生活事業」で、小規模事業者や創業したての企業に対しても、事業資金を融資しています。
事業承継やM&Aを理由に融資をしてくれる制度もありますので、M&Aによる起業・創業をする場合は、まず日本政策金融公庫を優先して検討すべきです。
②制度融資
信用保証付きの自治体の制度融資を利用する方法もあります。
こちらの申込窓口は地銀・信金などの各種金融機関です。自治体および信用保証協会の認定を経て、各金融機関から融資が実行されます。
ただし、日本政策金融公庫に比べると融資実行まで時間がかかり(通常2カ月~3カ月)、また要件が厳しめではあります。
4. マイクロM&Aを成功させる5つのポイント
マイクロM&Aでの買収を成功させるポイントは、以下のとおりです。
①相手企業の信用を調査する
通常の新しい取引先などに対しては必ず行うことですが、M&Aにおいても、買収候補先が見つかれば信用調査は必須です。
まずは対象先のホームページなどから、概要・事業内容・業績など、必要な情報を調べ上げます。また企業相手の買収の場合、信用調査会社を利用し、報告書を手に入れることも手段の1つです。
またこの点では、M&A仲介会社を利用すれば、仲介会社が取り扱っている表面上は出てこない情報を得ることもできます。結果、高い精度における企業分析と、分析にかかる時間の大幅短縮が可能です。
②買収後の事業展開を描ける
買収候補先の信用調査も大事ですが、単に買収して終わりではなく、M&Aの成否は買収後にかかっています。したがって、買収候補先を買収した場合の、買収後の事業展開を描けるかどうかも重要なポイントです。これは、買収後のイメージと言い換えても良いです。
具体的なイメージは業種によって異なってくる部分ではありますが、どのような業種のM&Aであっても共通するものとして、数字や量で測れない以下の部分のイメージを固めておきましょう。
- 買収候補先との社風や企業文化の融合
- 買収候補先と自社の従業員の協力体制
- 買収候補先の事業の運営責任者
③PMIやシナジー効果を考える
PMIやシナジー効果を考えることも大事です。これは、描いた買収後の事業展開を、具体化していくためです。
PMIについて
PMIはPost Merger Integrationの略で、M&Aによる買収効果を確実にするための、統合プロセスとマネジメントのことです。PMIの対象となる要素は無数にありますが、代表的なものとして以下の3点は、具体的なスケジュールを持って詰めていかなければなりません。
- 経営戦略(ビジョン、戦略、ビジネスモデル、マーケティングなど)
- 管理体制(組織、業務管理、人事制度など)
- 運用体制(業務、システム、従業員意識など)
シナジー効果について
シナジー効果とは、自社と買収した事業が統合して運営される場合の価値が、それぞれの企業あるいは事業を単独で運営するよりも大きくなる効果のことです。
シナジー効果も個別具体的にはさまざまですが、どのような業種のM&Aでも共通して検討すべきものとして、以下の4つが挙げられます。
このシナジー効果を、具体的な数字や量で検討し計画していく必要があります。
- どのくらい売上が増えるか
- どのくらいコストが削減できるか
- 流通チャネルの拡大
- 生産効率のアップ
④M&A先を焦らずに選択する
マイクロM&Aを成功させるためには、M&Aの選定先をじっくりと選びましょう。マイクロM&Aでは、自社だけで売り手や買い手を見つけて、交渉や契約を行うこともあります。
そのため、対象会社を選ぶときは、時間をかけることが必要になります。専門家と相談しながら、候補に上がった企業をじっくりと比較してください。
売り手は雇用、事業や会社を引き継いでもらえるか確認を行い、買い手は上記でもお伝えしたシナジー効果、PMI、財務情報の正確性などを確認して、時間をかけてM&Aを進める必要があります。
⑤マイクロM&Aが得意なアドバイザーを探す
アドバイザーの選定にあたって、「担当者が話しやすい」「対応が早い」というような相手の人柄による部分が大事なのは、マイクロM&AだからといってスモールM&Aや規模の大きいM&Aと変わることはありません。
あえてマイクロM&Aのアドバイザー選びで重要な点を挙げると、個人経営などの小規模なM&A案件の実績や経験が豊富であることです。
規模の小さいM&Aに特有の進め方や成約のためのポイントもありますが、アドバイザーの経験が豊富な案件の規模が異なると、そのポイントが大きくずれてしまうためです。
5. マイクロM&Aが得意なアドバイザーの特徴
マイクロM&Aが得意なアドバイザーの特徴は以下のとおりです。マイクロM&Aで買収する場合のアドバイザーを想定しています。
過去にマイクロM&AやスモールM&A案件の実績がある
経験や実績に勝てるものはありません。「マイクロM&Aの成功させる4つのポイント」でも載せましたが、マイクロM&AやスモールM&Aの経験や実績があるアドバイザーは、それだけでマイクロM&Aが得意であるといえます。
マイクロM&Aで買収可能な企業情報を豊富に持つ
マイクロM&Aに限りませんが、M&Aは多くの候補先の選択肢があるほうが良いです。
そもそも自分が興味を持ったからといって、相手も興味を持ってくれるとは限りません。スモールM&Aやそれ以上のM&Aを含めて、お互いの希望がマッチしてM&Aが成功する確率は、5%以下ともいわれています。
1社だけあたって決まることもありますが、ほとんどのM&Aは数の勝負でもあります。自分が行おうとしている規模のM&A案件を持っていないアドバイザーにいくら相談しても、なしのつぶてとなってしまう可能性があります。
したがって、マイクロM&AやスモールM&Aの案件情報を豊富に持っているアドバイザー選びも大事なのです。
スムーズなやり取りが可能
こちらもマイクロM&Aに限った話ではありませんが、M&Aの成功はスムーズなやり取りとスピードの速さも大切です。
M&Aは数が重要な要素であることは述べたとおりですが、仮に自分の希望する買収候補先が少なかったとしても、次から次へと対応のスピードが速ければ、同じ限られた時間でも良い案件に出会う可能性は上がります。チャンスを伺える時間(タイミング)が増えるわけです。
良いアドバイザーは、対応の早さの重要性をよく理解しています。
一度相談したくらいではわからないところではありますが、相談した後には続けてやり取りを行う場面があります。その際は、担当者の対応の早さを気にしてみましょう。
6. マイクロM&Aにおける注意点
マイクロM&Aならではの注意点もあります。マイクロM&Aで買収する場合を考えると、具体的には以下のとおりです。
同じM&A目的のライバルを把握
マイクロM&Aは、小規模な事業や店舗が多く、1,000万円以下のM&Aとしては小さな金額での取引です。これはすなわち、M&Aの範疇としてはハードルが低くライバルも多いことを意味します。
また、M&A仲介会社に相談したり、さまざまな案件を眺めたりしていると、誰でも欲しがるような案件に出くわす可能性も高いのがマイクロM&Aです。例えば、集客の見込める一等地にある飲食店や美容室などは、ライバルがいることが想定されます。
こうしたライバルが存在しそうな案件をどうしても買収したい場合は、スピードをもって交渉に手を挙げ、最初から売り手側に「ぜひ売りたい」と思わせるような条件を打診しながら始めることが重要です。
こうした案件は、M&Aでは珍しい売り手市場です。あまり買い叩くようなことをしていると、相手の熱も冷め、他の買い手を検討し頓挫しかねません。
デューデリジェンスの徹底
しっかりしたデューデリジェンスも大事です。デューデリジェンスは、M&Aにおける売り手側と買い手側の「情報の非対称性」の解消を目的に行うものです。
売り手側は自分の経営情報はよく把握していますが、買い手側にはわからないことも多くあります。いわば、M&Aで買い手側は情報弱者で、そこには「情報の非対称性」が存在しています。
そのため、デューデリジェンスは買い手側の知りたいことや目的に沿って行います。知りたいことや目的をはっきりさせて、適切なデューデリジェンスを行いましょう。
一般的には以下の項目について行います。しかし、費用がかかるだけでなく、マイクロM&AやスモールM&Aでは不要と考えられる、もしくは対象がないこともあります。可能な限りは行った方が良いですが、本当に必要かという観点も大事になってきます。
【財務】
書面で示された資産が実在しているか、書面に記載のない負債が隠れていないか、損益計算書は正しく作成されているか(粉飾はないか)などを調べます。
【法務】
企業が締結しているさまざまな契約書はM&Aを進めるうえで妨げにならないか、法令を遵守した経営がなされているか、などを調べます。
【労務】
就業規則、賃金規定、退職金規定などの各種規程や残業代や有給休暇、組織上の内規や稟議のルールなどを調べます。
【ビジネス】
営業の進め方、在庫管理方法、集金方法などを調べます。
7. マイクロM&Aの流れ
マイクロM&Aで買収する場合の流れは、スモールM&Aやその他通常のM&Aの流れと基本は同じです。以下は大事な要素と共通する部分のみを紹介しています。
ただし個人事業のマイクロM&Aでは、特段PMIという事柄を考えて行う必要はありません。
①事前準備をする
事前準備としては、当然ながら戦略を考えることと、それについて相談したりアドバイスを受けたりすることまで行います。
対象企業へのM&A戦略は正しいか
M&A戦略の最初の一歩として、売却条件の検討と優先順位付けが必要です。
具体的には、以下の項目を1つずつ決めていきます。
- 全部の事業を売却するのか、それとも一部にするのか
- 売却価格をいくらに設定するか
- どのような方法で売却するか
また、この売却条件にもしっかりと優先順位を決めておくことで、交渉がうまく進まないときにも、自社が譲れるものと譲れないものを明確にし、プロセスを前に進めやすくなります。
第三者やアドバイザーの意見を聞く
第三者やアドバイザーといっても、M&A仲介会社に相談すればどちらも担ってもらえます。
M&A仲介会社に売却に関する条件希望をよく説明して、こちらの気持ちや考えまで十分に理解してもらうことが大切です。
M&A仲介会社はそれをもとに、実現の可能性などについてアドバイスを行います。
また、会社を売却する際に最も関心が高いのは、自社がいくらで売れるのかということですが、ほとんどのM&A仲介会社からはこの時点で、簡易評価によるおおよその金額を算定してもらえます。
②適切な企業を選ぶ
自社の要望に合う買収候補先が見つかることはあまりないですが、買収候補先を選定していきます。また、M&Aを進めていることが必要以上に漏れてはいけないため、M&A仲介会社とは秘密保持契約を締結します。
信頼できる評価基準を設定する
M&A仲介会社からは、相手となる買収候補先企業をいくつか選んでもらえます。
リストアップの基準としては、業種・企業規模・地域・事業内容・資力などから、自社の条件や希望に合いそうな企業です。
ただし、ここで当初思い描いていたのとは違う買収候補先が出てくるのはよくあることです。例えば「ここがこんなに優れた会社なら、当初考えた条件とは違うけどこっちの会社のほうが良いではないか?」などです。
こうした場合、評価基準を考えて固めていきながら、相手を選んでいくことになります。評価基準は相手をどう考えるかが中心で、業界でのポジションから取引先、売上や利益など、あらゆる面の中から相手に希望したい点です。
評価基準をもとに、買収候補先企業への持ち込みについての可否、ならびに持ち込みの順位付けをします。
秘密保持の徹底
M&A仲介会社を通して、買収候補先企業に自社の情報を持ち込んでもらうために、M&A仲介会社と秘密保持契約書を締結します。
M&Aで「会社を売りたい」という情報が売却希望企業の従業員や取引先などに漏れると、動揺などから業務に支障をきたす恐れがあるため、秘密保持契約書をきちんと締結したうえで、情報を提供する手順が必須です。
また、通常は買収候補企先業もM&A仲介会社に対して秘密保持契約を結んでいるため、相手先から情報が漏れるような心配はありません。
③契約を結ぶ
面談から基本合意、そしてM&Aの最終契約に至る流れになります。
経営陣同士の面談
売却側と買収側のお互いに関心があれば、経営者同士のトップ面談となります。
ただし、最初はあくまで「交流」が中心となることがほとんどです。
その後、M&A仲介会社に「緩衝材」の役割を担ってもらいつつ、条件のすり合わせを行います。ここでいう条件とは、例えば売却金額や売却予定日などです。
条件交渉・契約
トップ面談や条件交渉を通じて、自社と買収候補先企業が双方ともおおむねお互いを理解し、M&Aを進めることに合意ができたところで、買収候補先企業と基本合意書の締結です。
ただし基本合意書は、まだ仮契約の段階で、本契約ではありません。あくまでもM&Aの検討をお互いに続けることを確認するにとどまります。
基本合意書の後のデューデリジェンスを経て、M&Aの最終条件や細目事項の決定をし、M&Aの最終契約書の締結です。
最終契約書には、一般的に以下の項目が含まれます。
- M&A取引(売却)価格
- 退職金をどのようにするか
- 従業員の処遇
- 役員の処遇
- 支払い方法
- 連帯保証や担保提供の解除方法
- 契約書に書いていない債務が発生した場合、どのようにするか
- その他細目事項の決定(社宅をどのようにするか、骨董品やゴルフ会員権の取り扱い、役員人事など)
④PMIに取り組む
「マイクロM&Aの成功させる4つのポイント」で述べたPMIです。
売り手側と買い手側の統合後の新体制のもとで、統合後のシナジー効果を発揮するために計画し、経営戦略に落とし込んで徹底していきます。
経営戦略の徹底浸透
買収側は売却側を、どの程度の早さで自社および自社グループに統合していくか、またどのような手順・スキームで統合していくのか、などの検討から入り、それをプランとして作成します。
ただし、あまり性急なPMIを考え実行してしまうと、現場の従業員労働に対するモチベーションの低下や、現場のオペレーションの混乱が生じることもあります。
したがって、経営トップや経営幹部の強力なリーダーシップとマネジメントと、現場の従業員が納得できるようなコミュニケーションのもとで、M&A後の経営戦略の徹底浸透を、まずは確実に行う必要があります。
シナジー効果を発揮させる
シナジー効果はいろいろと考えられますが、新規顧客の獲得やサービス向上、共通する業務の一本化によるコスト削減などが挙げられます。M&Aにおいては、このシナジー効果が発揮できるかが、成否の鍵となるともいえます。
このシナジー効果発揮のために行うこととしては、例えば以下のようなものです。
- 財務面での無駄を省く作業
- 統一的な経営システムの構築
- 企業文化や風土の融和施策
- 各社員の能力を引き出し、モチベーションをあげる施策
もちろんPMIの計画において、これらをしっかり実行するための具体的な計画を描いておくことが、計画の実行とシナジー効果発揮の大前提となります。
8. マイクロM&Aの事例紹介!
マイクロM&Aで成約した案件事例をいくつか、一覧でまとめています。
売買価格は1,000万円以下のものです。マイクロM&Aのおおよその金額感や、どのような業務内容が売買されているのか、おおよその見当がつかめます。
業務内容 | 拠点 | 売却理由 | 売上/利益 | 売買価額 | 備考 |
ペットサロン2店舗 | 岐阜県 | 本業への集中 | 不明 | 1,000万円 | |
和食居酒屋 | 東京都 | 本業への集中 | 約3,600万円/約240万円 | 950万円 | 総額1,500万 |
猫カフェ | 関西 | 新規事業への集中 | 約1,300万円/約300万円 | 850万円 | 税別、敷金なし |
学童保育所 | 東京都 | 新規事業への集中 | 約1,200万円/不明 | 750万円 | |
ラーメン店 | 埼玉県 | 事業承継 | 約2,400万円/約600万円 | 650万円 | 税別 |
ネイルサロン | 東京都 | 不明 | 約2,400万円/約240万円 | 500万円 | 税別、保証金別途 |
脱毛サロン2店舗 | 東京都 | 他事業への集中 | 約2,200万円/約250万円 | 500万円 | |
脱毛エステサロン | 東京都 | 家庭の事情 | 約2400万円/約150万円 | 500万円 | |
認可外保育 | 埼玉県 | 他事業への集中 | 約3,300万円/約240万円 | 500万円 | 税別 |
9. マイクロM&A解説のまとめ
規模の小さなM&A案件には、「スモールM&A」と「マイクロM&A」があります。
スモールM&Aは、数千万円~10億円規模の案件のことをいいます。一方でマイクロM&Aは、1,000万円以下の企業や店舗、事業の売買のことです。対象となる事業が最初から限定されているわけではありませんが、1,000万円以下の売買価額の範疇に入るのは、その多くが飲食店などの店舗です。
また店舗でなくても、赤字経営や後継者問題の理由から、マイクロM&Aでの売却になることもあります。最近では、ベンチャー企業がマイクロM&Aで売買される事例も増えてきました。
マイクロM&Aといえども、大まかなM&Aの流れはその他のM&Aの流れと変わりません。ただし、アドバイザー選定にあたっては、マイクロM&Aが得意なアドバイザーを選ぶことが重要になってきます。
マイクロM&Aが得意なアドバイザーかどうかを判断するには、過去にマイクロM&AやスモールM&A案件の実績があり、マイクロM&Aで買収可能な企業情報を豊富に持っていることを目安とするべきです。
マイクロM&Aの流れは、以下のとおりです。
①事前準備をする
→対象企業へのM&A戦略は正しいか
→第三者やアドバイザーの意見を聞く
②適切な企業を選ぶ
→信頼できる評価基準を設定する
→秘密保持の徹底
③契約を結ぶ
→経営陣同士の面談
→条件交渉・契約
④PMIに取り組む
→経営戦略の徹底浸透
→シナジー効果を発揮させる
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