2025年08月26日更新
中小企業のM&A戦略:メリット・デメリット、成功のポイントを徹底解説
中小企業のM&Aは、成長戦略として重要な選択肢です。本記事では、中小企業M&Aのメリット・デメリット、成功ポイント、そして最新の動向を解説します。
目次
1. 中小企業M&Aとは?
近年、M&Aの成約件数は増加傾向にあり、特に中小企業が買収されるM&Aの成約件数の増加が目立っています。
この記事では、中小企業の買収についてメリットや成功するポイントを解説しますが、まずは中小企業の定義や日本国内の割合について確認しましょう。
日本の中小企業の割合
中小企業のM&Aとは、中小企業基本法に定められた定義に該当する企業を対象とした合併や買収を指します。近年、後継者不足や事業承継問題の解決策、また企業の成長戦略として注目を集めています。
2. 中小企業M&Aの増加要因
中小企業M&Aが増加している背景には、事業承継問題の深刻化、デジタル化への対応、そしてコロナ禍による事業再編の必要性などが挙げられます。
3. 買収におけるメリット・デメリット
買収側にとってのメリットは、新たな市場への参入、技術・ノウハウの獲得、事業規模の拡大などが期待できます。一方で、企業文化の相違やPMI(買収後統合)の難しさといったデメリットも存在します。
①時間短縮できる
中小企業買収の1つ目のメリットは、時間を短縮できることです。経営多角化のために事業の新規参入を行う場合、従業員育成の準備や経営ノウハウを獲得までに相応の時間と手間がかかります。
しかし、目的の中小企業を買収した場合、育成とノウハウ取得までの時間を一気に短縮でき、早期に新規参入が実現するのです。
ただし、新規参入した事業が成功するかどうかは、実際に事業を開始してみなければわかりません。仮に失敗となれば、損失はとても大きくなります。したがって、買収前に売却側企業をしっかり調査検討してから買収を決めることが大切です。
②買収後にすぐ収益が得られる
中小企業買収の2つ目のメリットは、買収後にすぐ収益が得られる点です。一から事業を立ち上げた場合、安定した収益を得るまでにはかなりの時間を要するため、すぐに収益を上げることは難しいでしょう。
しかし、既存の会社を買収すれば、その会社の持っているノウハウや販売経路、取引先も引き継げるため、問題なく事業が継続できれば、基本的にはすぐに収益が得られます。
③事業規模の拡大
中小企業買収の3つ目のメリットは、事業規模の拡大ができることです。特に同業種の買収では、例えば製造業であれば同じような生産設備を得られるため、規模の経済性が優位になり(スケールメリット)、生産コストを減らせます。
また、買収により市場シェアが拡大すれば、生産量が増加して短時間で経験曲線効果が表れるので、これも生産コスト削減につながるでしょう。
4. 売却におけるメリット・デメリット
売却側にとってのメリットは、事業承継問題の解決、経営資源の集中、資金調達などが挙げられます。デメリットとしては、従業員の雇用不安や企業文化の変化などが考えられます。
①売却益・譲渡益を得られる
中小企業を売却するメリットの1つ目は、売却益・譲渡益が得られる点です。後継者がいない場合、自社を売却するか廃業するか、いずれかを選択しなければなりません。
廃業するためには「廃業コスト」と呼ばれる費用が必要になりますが、自社を売却すると売却益・譲渡益を得られるので、新たな事業立ち上げや老後の生活資金に充当できます。
会社の経営状態に重大な問題がなく、後継者がいないために廃業を検討している場合は、会社売却を選択したほうが得られるメリットは大きいはずです。
また、仮に経営状態が赤字であっても、独自ノウハウなどの強みがある場合は買い手が見つかることも少なくないので、まずは仲介会社などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
②新しい事業への挑戦
中小企業を売却するメリットの2つ目は、新しい事業に挑戦できることです。会社を売却すると競業避止義務を負うことになるため、20年間は同じ地域で売却した事業と同業種の経営を行うことはできません。
しかし、会社を売却した後は資金となる売却益が手元にある状態なので、新事業を立ち上げる1つのきっかけにもなるでしょう。
③廃業にかかるコストがなくなる
中小企業を売却するメリットの3つ目は、廃業にかかるコストがなくなる点です。先述のように、廃業を選択した場合もコストや手間がかかります。
廃業する場合は、廃業届や官報公告への掲載が必要になるため、それらの作成に関するサポート費用や、機材・設備の廃棄費用など、待っているのは出費です。
しかし、会社を売却すれば廃業コストは当然不要になり、そのうえ上述のように売却益・譲渡益を得られます。
5. 失敗事例と成功のポイント
M&Aは必ずしも成功するとは限りません。文化の衝突やPMIの失敗は、M&Aに失敗したケースでよく起こることです。成功のためには、綿密なデューデリジェンス、明確な統合計画、そしてM&Aアドバイザーの活用が不可欠です。
①経営統合の失敗
中小企業買収のデメリット1つ目は、経営統合が失敗する可能性があることです。会社買収を行った後は、売却側・買収側の企業が1つにまとまるために経営統合(PMI=Post Merger Integration)を行います。
経営統合にはソフト面とハード面とがあり、そのどちらが欠けても十分な組織の融合にはなりません。
経営統合はM&Aのプロセスで最も難しい行程ともいわれており、入念な準備をして計画的に進める必要があります。
多額の費用をかけて企業を買収しても、経営統合がうまくいかなければM&Aが成功したとはいえないので、事前に両社で十分な協議をしておき、専門家のサポート下で計画的に進めていくようにしましょう。
②期待通りのシナジー効果が得られない
中小企業買収のデメリット2つ目は、期待したとおりのシナジー効果が得られない場合があることです。会社買収はシナジー効果を期待して行いますが、なかには買収を行ってもシナジー効果が得られないこともあります。
シナジー効果が得られない原因は、対象企業の調査が不十分だった場合や経営統合に失敗した場合など、さまざまです。
場合によっては、アナジー効果(負の相乗効果)が出てしまうこともあるので、買収を検討する際は十分な調査と注意が必要になります。
③簿外債務などによる負債
中小企業買収のデメリット3つ目は、簿外債務などによる負債も承継しなければならないことです。会社買収は包括承継が原則であるため、簿外債務を引き継いでしまうリスクもあります。
負債の金額によっては買収後の経営に大きく影響を及ぼすこともあるため、買収前は徹底的なデューデリジェンス(対象企業の精密監査)を実施することが重要です。
6. 中小企業M&Aの最新動向
2025年現在、中小企業M&A市場は活況を呈しています。特に、事業承継を目的としたM&Aが増加傾向にあり、M&A仲介会社のサービスも多様化しています。また、中小企業庁もM&A支援施策を強化しており、今後の動向に注目が集まっています。
①従業員の意識の低下
中小企業売却のデメリット1つ目は、従業員の意識が低下する可能性があることです。会社を売却する際、従業員雇用の維持が最優先と考える経営者は多いでしょう。
しかし、愛社精神の強い従業員の場合は、売却後に雇用が維持されたとしても、勤労意識が急激に低下するかもしれません。
したがって、売却先を探す際には、従業員のモチベーションが維持できる環境であるかどうかも、判断基準にする必要があります。
②事業に対する制約の発生
中小企業売却のデメリット2つ目は、事業に対するさまざまな制約が発生することです。主な制約には、先述した競業避止義務があります。
そのほか、売却後も引き継ぎのために、売却側の経営者が一定期間勤務する制約(ロックアップ条項)を受けるかもしれません。
自社を売却する際は、競業避止義務だけでなく、ロックアップの有無や条件・期間などについても、買収側とよく協議しておくことが大切です。
③一部からの批判
中小企業売却のデメリット3つ目は、一部のステークホルダーから批判を受ける可能性があることです。会社売却を行うとき、従業員・取引先・出資者などステークホルダーの全てが、必ずしも肯定的・好意的であるとは限りません。
逆に、その一部からは批判的意見が上がってくる可能性もあります。そのような事態を避けるためには、会社売却に納得してもらえるよう、関係者に対して丁寧に説明することが必要です。
7. M&Aアドバイザーの役割と選び方
M&Aアドバイザーは、M&Aプロセス全体をサポートする専門家です。企業価値評価、候補先の選定、交渉支援、契約締結まで、幅広い業務を担います。アドバイザー選びの際は、実績、専門性、そして企業との相性などを考慮することが重要です。
①デューデリジェンスの徹底
中小企業買収の成功ポイント1つ目は、デューデリジェンスの徹底です。会社買収は包括承継が原則であるため、売却会社の簿外債務などの負債も引き継がなければならず、債務額が大きければ買収後に経営難に陥る可能性すらあります。
このようなリスクを最小限に抑えるためには、買収前にデューデリジェンスを徹底して行い、財務リスクや法務リスクの有無を精査しておくことが大切です。
②統合プロセスの実施
中小企業買収の成功ポイント2つ目は、統合プロセス(PMI)の実施です。統合プロセスとはクロージング後に行う手続きの1つで、その難易度はとても高いとされています。
統合プロセスに成功しなければシナジー効果を得られないので、戦略を立てて計画的に統合プロセスを実施することが重要です。
③友好的な買収の実行
中小企業買収の成功ポイント3つ目は、友好的な買収の実行を心がけることです。買収先の同意なしに会社買収を行う「敵対的買収」という方法もありますが、ステークホルダーからの反感を買ったり、デューデリジェンスが行えなかったりすることによる買収リスクも大きくなります。
中小企業の買収を行う際は、売却側・買収側ともにメリットが得られるような友好的買収を行うほうが、結果的には成功につながるでしょう。
④M&A専門家への相談
中小企業買収の成功ポイント4つ目は、M&Aの専門家へ相談することです。M&Aでは、会社買収に関する専門的な知識が必要であるため、M&Aの専門家に相談することにより、会社買収の成功確率を上げられます。
近年はM&Aが広く認知されたこともあり、中小規模の案件を取り扱うM&A仲介会社や専門家も増えました。そのなかから自社に合った専門家を選び相談することが、M&Aを成功させる近道ともいえるでしょう。
8. M&Aに関する相談窓口
ここでは、中小企業のM&Aにおすすめの仲介会社としてM&A総合研究所を紹介するとともに、M&A総合研究所が担当する売却案件の一例を掲示します。
中小企業M&Aに関する相談窓口としては、中小企業庁、商工会議所、M&A仲介会社などが挙げられます。それぞれの機関の役割やサービス内容を理解し、適切な窓口に相談することが重要です。
M&A総合研究所
M&A総合研究所は4つの強みを持つ仲介会社で、中小規模案件を主に取り扱っています。
1つ目は着手金・中間金完全無料の完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系であること、2つ目は実績豊富なM&Aアドバイザーが在籍していることです。
3つ目は通常半年~1年以上かかるM&Aを最短3ヶ月で成約した実績を有する機動力、4つ目は中小企業のM&Aに数多く携わって築き上げた幅広い情報で、希望のM&A先と迅速にマッチングを可能にしていることです。
特徴 | 4つの強みがあること |
対応エリア | 全国 |
得意業種、案件規模 | 中小企業のM&A |
公開されている案件数 | 100件 |
お問い合わせ先 | 0120-401-970 |
サイトURL | https://masouken.com/ |
公開中の案件事例①
紹介する案件は、関東・甲信越地方のSES事業者の売却です。希望譲渡金額は2億5,000万円、新規事業の資金需要のための売却となっています。アピールポイントとしては、現在急成長中であり、高収益を上げている点です。
公開中の案件事例②
近畿地方の総合不動産業者の売却希望案件です。希望譲渡金額は1億円〜2億5,000万円、経営戦略の見直しにより売却を希望しています。
アピールポイントとしては、不動産売買から中古物件のリフォーム&リノベーションまで一貫した総合不動産会社であり、特定地域においてはリーディングカンパニーとして位置づけられている点です。
9. デューデリジェンスの重要性
デューデリジェンスは、M&Aにおける重要なプロセスです。財務、法務、事業、税務など、多岐にわたる分野の専門家が、買収対象企業の状況を詳細に調査します。これにより、リスクを洗い出し、適切な買収価格を決定することができます。
財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスでは、買収対象企業の財務状況を詳細に分析します。過去の財務諸表、資産負債状況、収益性などを精査し、潜在的なリスクや問題点を明らかにします。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスでは、買収対象企業の法令遵守状況、契約関係、訴訟リスクなどを調査します。これにより、法的な問題点やリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることができます。
事業デューデリジェンス
事業デューデリジェンスでは、買収対象企業の事業内容、市場環境、競争状況、将来性などを分析します。これにより、買収後の事業戦略を策定するための基礎情報を得ることができます。
10. M&A関連情報サイト
中小企業庁や経済産業省のウェブサイトでは、M&Aに関する最新情報や各種支援施策が公開されています。これらの情報を活用することで、M&Aに関する理解を深めることができます。
①M&Aプラットフォーム(M&A総合研究所)
1つ目は、M&A総合研究所が運営しているM&Aプラットフォームです。無料会員登録のみで、希望案件の企業と直接交渉を進められます。
M&Aプラットフォームは、独自AIによる高精度マッチングが特徴です。譲受希望の条件を掲載しておくことで、譲渡希望企業から直接アプローチが受けられたり、条件に合った案件があったりする場合は、M&A総合研究所から紹介を受けられます。
特徴 | 独自AIによる高精度のマッチング |
公開されている案件数 | 100件以上 |
サイトURL | https://masouken.com/platform |
②TRANBI
2つ目のマッチングサイトは、TRANBIです。登録者数は約30,000人を超えており、非常に注目度の高いマッチングサイトといえます。
特徴 | 国内最大級のマッチングサイト |
公開されている案件数 | 1,000件以上 |
サイトURL | https://www.tranbi.com/ |
③Batonz(バトンズ)
3つ目のマッチングサイトは、バトンズです。日本M&Aセンターのグループ会社が運営しているため、プラットフォームの信頼性は非常に高いことが特徴になります。
特徴 | 信頼性の高いプラットフォーム |
公開されている案件数 | 1,000件以上 |
サイトURL | https://batonz.jp/ |
④M&A PARK
4つ目は、M&A PARKです。特徴は、サイトへの登録・着手金が無料で、37ヶ国以上の海外投資家が登録していることになります。
特徴 | 登録・着手金無料、海外に向けたアピール可 |
公開されている案件数 | 20件以上 |
サイトURL | https://www.ma-park.com/ |
⑤M&Aナビ
最後に紹介するおすすめのマッチングサイトは、M&Aナビです。ほかのマッチングサイトよりも成約率は高く、スピーディーに交渉できるところが特徴になります。
特徴 | 成約率が高い、スピーディーな交渉 |
公開されている案件数 | 100件以上 |
サイトURL | https://ma-navigator.com/about/seller |
11. 中小企業M&Aで成功を収めるために
中小企業M&Aは、企業の成長戦略において重要な役割を果たします。成功のためには、事前の準備、綿密な計画、そして専門家との連携が不可欠です。
本記事の概要は、以下のようになります。
【中小企業の買収のメリット】
- 新規事業参入時の時間短縮・コスト削減ができる
- 買収後にすぐ収益が得られる
- 事業規模の拡大ができる
【中小企業の売却のメリット】
- 売却益・譲渡益を得られる
- 新しい事業へ挑戦できる
- 廃業にかかるコストがなくなる
【中小企業の買収のデメリット】
- 経営統合を失敗する可能性がある
- 期待どおりのシナジー効果が得られないケースもある
- 簿外債務などによる負債を引き継ぐリスクがある
【中小企業の売却のデメリット】
- 従業員の意識が低下する可能性がある
- 事業に対する制約が発生する
- 一部のステークホルダーからの批判を受けることがある
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