2021年03月12日公開
事業承継の遺贈!相続方法や気を付けるポイントなどを解説

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遺贈とは、遺言によって指定した人物へ財産を無償で譲渡することを指します。事業承継で遺贈を用いるメリットは、法定相続人以外の人物に財産を譲渡できる点です。本記事では、事業承継の遺贈による相続方法や、遺贈で気を付けるポイントなどについて解説します。
目次
1. 事業承継の遺贈とは
事業承継を円滑に進めるためには、経営者が元気なうちに事業承継の準備を進めておく必要がありますが、その方法のひとつに遺贈があります。本章では、事業承継における遺贈の意味や相続との違いについて解説します。
遺贈とは
遺贈とは、遺言によって指定した人物へ、財産を無償で譲渡することをいいます。事業承継で遺贈を作成するメリットは、法定相続人以外の人物へ財産を譲渡できる点です。事業承継の際の遺贈は包括遺贈と特定遺贈に分けることができます。
包括遺贈とは
包括遺贈とは、遺贈する財産の割合を決めて引き継ぐ方法です。事業承継の際、指定した人物に財産の3分の1を遺贈したいといった場合に活用します。
包括遺贈は財産の割合を指定する方法であって、事業承継における財産の種類を指定する方法ではありません。そのため、事業承継の財産を受け継ぐ受贈者側は、財産の内容によっては事業承継に伴って負債を受け継ぐケースもあります。
受贈者は遺贈による事業承継で損をする事態を防ぐために、限定承認や相続放棄といった方法で遺贈による損失を回避できます。
限定承認とは、事業承継で遺贈した財産を超えて負債を払う必要がない承認方法です。一方、相続放棄とは、負債も含めて事業承継に伴う財産をいっさい相続しないという選択方法です。
そのほか、単純承認という、事業承継の際に遺贈財産を丸ごと受け入れる承認方法もあります。
特定遺贈とは
特定遺贈とは、事業承継の際に財産の種類を特定して引き継ぐ方法のことです。包括遺贈が「財産の割合」出会ったのに対して、特定遺贈は「財産の種類」である点に違いがあります。
受贈者にとってのメリットは、事業承継の際に負債があった場合、包括遺贈のように負債を受け継ぐ必要がない点です。特定遺贈の場合は遺言に記載されている財産を受け継ぐだけで済みます。
相続との違い
相続と遺贈の大きな違いは、財産を引き継ぐ対象者です。事業承継における相続の場合は法定相続人に事業承継財産が引き継がれます。
法定相続人は配偶者と血族相続人に分かれていて、相続人との関係性で相続順位が分かれています。一方、遺贈の場合は法定相続人以外の人物に事業承継財産を引き継ぐことができます。
相続の場合は相続順位で相続人が決まりますが、遺言がある場合は遺言で指定された人物が優先的に事業承継財産を受け継ぐこととなります。
2. 事業承継の遺贈・相続方法について
事業承継の際の遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言があります。それぞれの書き方について解説します。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、遺言の作成から保管まですべてを遺贈者自身で行うことを指します。事業承継の際に自筆証書遺言を作成するメリットは、遺言書作成コストが遺贈者自身の手間だけで済む点です。
公正証書遺言のように作成を依頼する費用が必要ありません。また、遺言の内容は遺言者自身しか知らないので、事業承継における遺贈で情報漏洩の可能性を低くすることが可能です。
ただし、自筆証書遺言を作成する場合遺贈者が自力で作成と遺言の管理を行うので、遺贈が無効になってしまう可能性があります。
以下では、事業承継の遺贈で用いる、自筆証書遺言の書き方例を紹介します。遺言書を遺贈者自身で書く場合は、すべての文章を自身で書くこと、具体的な記載内容にすること、遺言の日付を明記することなどが注意点として挙げられます。
自筆証書遺言の書き方
公正証書遺言とは
公正証書遺言書は法律で定められた書き方で書かれるので、事業承継の遺贈が無効になる確率はかなり低くなります。
また、遺言の保管も任せることができるので、紛失や改ざんなどにより事業承継における遺贈ができないといった問題も発生しにくくなります。
ただし、事業承継のために公正証書遺言を作成するには、時間とお金がかかったり、証人を2人用意したりする必要があります。
公正証書遺言の書き方
秘密証書遺言とは
秘密証書遺言とは、自筆証書遺言と公正証書遺言の両方の特徴を取り入れた遺言書です。事業承継の際、遺贈者は公証人を通す必要がありません。
一方で、自筆証書遺言とは違い証人の署名が必要なので、事業承継の際に遺贈を最低限の相手にだけ伝え、遺言の改ざんを防ぐこともできます。
秘密証書遺言の書き方
3. 事業承継の遺贈を行う際に気をつけるポイント
- 自筆証書遺言の紛失
- 自筆証書遺言の改ざん
- 公正証書遺言は重要
自筆証書遺言の紛失
自筆証書遺言は紛失しないように注意が必要です。遺贈者が事業承継前に紛失したことに気づけば良いですが、もし遺贈者が亡くなってから事業承継後に紛失したはずの遺言書が出てきた場合、事業承継に混乱をきたす可能性があります。
なお、公正証書遺言の場合は厳重に保管されるので、紛失の可能性はまずありません。
自筆証書遺言の改ざん
自筆証書遺言の紛失とともに、改ざんも事業承継にとって大きなトラブルとなる可能性があります。
事業承継前に気づくことができればよいですが、事業承継後に気づいた場合は事業承継自体がやり直しになる可能性もあります。
自筆証書の紛失や改ざんは取り返しのつかないことになりかねないので、トラブルを防ぐためには公正証書遺言を作成したうえで事業承継を行ったほうが間違いありません。
公正証書遺言は重要
上記のように、自筆証書遺言の紛失や改ざんは事業承継に重大なトラブルを起こす可能性があります。
公正証書遺言は作成に手間がかかる面もありますが、後継者に安全に事業承継を行うためにも、手間をかけてでも公正証書遺言の形で遺贈したほうがよいでしょう。
4. 20年7月に施行された遺言書保管法とは?
2020年7月から、遺言書保管法が施行されました。遺言書保管法とは、自筆証書遺言を遺言書保管所に預けることができる法律です。
これにより、自筆証書遺言の紛失や改ざんを防ぐことができるようになりましたが、遺言書保管所に預ける際は、作成についての相談はできず、遺言の内容についても確認されることはありません。
そのため、自筆証書遺言の内容が遺贈者の意図したものとは違っていた場合や、事業承継前に誰かに改ざんされていたとしても、遺言書保管所で指摘してもらえるわけではない点には注意が必要です。
5. 遺贈による事業承継をおすすめしない理由
ここまで遺贈による事業承継について解説してきましたが、遺贈による事業承継は最適な選択肢とはいえません。
自筆証書遺言の場合は紛失や改ざんの可能性があり、遺贈者が存命のうちは何度でも遺書を書き換えることができるので、後継者は遺書の内容に振り回されることになりかねません。
また、遺留分を侵害する内容となっている場合は、相続人の遺留分減殺請求の原因ともなります。事業承継の際に遺贈する財産に差をつける場合は、その理由を明確にしておくことでトラブル回避にもつながります。
6. 事業承継の相談におすすめのM&A仲介会社
遺贈による事業承継はさまざまなトラブルの素ともなるので、あまりおすすめできません。トラブルなく事業承継を行うためには、事業承継の専門家に依頼することも大切です。
M&A総合研究所には豊富な経験を持ったM&Aアドバイザーが多数在籍しております。料金体系は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)、着手金は譲渡企業様・譲受企業様ともに無料となっております。
事業承継を行いたいが後継者がいないといった場合は、相手先を探してM&Aを行うことも可能ですので、ますはお気軽にご相談ください。
7. まとめ
事業承継を円滑に進めるためには、経営者が元気なうちに準備を進めておくことが大切です。
後継者がいない場合はM&Aを活用することで事業承継が可能になるので、M&Aの専門家に相談してみることをおすすめします。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
- 自筆証書遺言の紛失
- 自筆証書遺言の改ざん
- 公正証書遺言は重要
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