事業譲渡とは?会社譲渡との違いや手続きの流れを分かりやすく解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
荻野光

事業譲渡とは、会社全体ではなく特定の事業のみを売買する行為です。最近は事業承継の方法としても事業譲渡を選ぶ中小企業が増加していますが、事業譲渡は契約を交わすときに条件を明確にしないとトラブルの元となるため注意しなければなりません。今回は、事業譲渡契約書の注意点や手続きの流れを説明します。まずは、自社にとって事業譲渡が最適な方法なのか判断しましょう。

目次

  1. 事業譲渡とは?事業譲渡の定義
  2. 事業譲渡を選ぶ売り手のメリット 
  3. 事業譲渡を選ぶ買い手のメリット
  4. 事業譲渡を選ぶデメリット
  5. このようなときは事業譲渡を選ぼう
  6. 事業譲渡の譲渡金額
  7. 事業譲渡の手続きの流れ
  8. 事業譲渡の契約書を作成するときの注意点
  9. 事業譲渡で支払う税金
  10. 事業譲渡をしたときの会計処理
  11. 事業譲渡を検討するなら必ずM&Aアドバイザーに相談しよう
  12. 事業譲渡をするならM&A総合研究所がおすすめ
  13. まとめ
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1. 事業譲渡とは?事業譲渡の定義

事業譲渡とは

事業譲渡とは、企業が運営している事業を対象に、範囲を指定して売買するM&A手法です。株式譲渡とは違い企業をまるごと売買するわけではありませんから、経営権は保有したままとなります。

事業譲渡の対価は多くのケースで現金となりますが、受け取るのは経営者ではなく会社であることには注意してください。

会社分割と事業譲渡の違い

事業譲渡と似た行為として、会社分割が挙げられます。会社分割とは、会社内の事業を整理したり事業を独立させたりするために使われる手法です。

事業譲渡のように事業を売買するのではなく、会社分割は自社のみでも行えます。事業を売買しないため、事業譲渡とは区別して捉えられている手法です。

株式譲渡と事業譲渡の違い

事業譲渡は、株式譲渡と混同されることがありますが、全く異なるため注意しましょう。株式譲渡とは、会社を売買するときに使われる手法です。そもそも譲渡範囲が異なっています。

事業譲渡では事業を切り出して売買しますが、株式譲渡は会社全体を売買する行為です。株式譲渡と会社譲渡は、同じ意味で使われています。

したがって、会社譲渡と事業譲渡の違いも譲渡範囲にあると考えましょう。

営業譲渡と事業譲渡の違い

営業譲渡は、旧会社法のもとで使用されていた言葉です。現在は会社法の改正によって事業譲渡という呼称に改められたため、営業譲渡と事業譲渡は本質的に同義といえます。

基本的には営業譲渡ではなく事業譲渡という言葉を用いますが、商法が適用されるケースでは現在でも営業譲渡と呼称することが多いです。

事業承継と事業譲渡の違い

事業承継も事業譲渡と類似する言葉ですが、両者の意味は大きく異なります。事業承継は後継者を見つけて新たな経営者に据える行為である一方で、事業譲渡は会社が営む事業の一部または全部を売り渡す行為です。

つまり、すでに後継者が決まっているケースや会社をまるごと売却したいケースでは事業承継が、後継者が決まっていないケースや会社の外枠は残しておきたいケースでは事業譲渡がそれぞれ採用されます。

事業譲渡をするならM&A総合研究所へ!

事業譲渡を検討しているのであれば、M&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所は、公認会計士が事業譲渡をフルサポートしているM&A仲介会社です。専門家による手厚いコンサルタントが受けられるため、安心してお任せいただけます。

国内最安値水準の手数料体系に強みがあるほか、着手金・中間報酬なしの完全成功報酬制を採用しているため、事業譲渡が成立するまで一切の費用がかかりません。相談料は無料となっておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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【関連】会社譲渡とは?手続きやメリット、リスクを解説!相場や案件一覧あり

2. 事業譲渡を選ぶ売り手のメリット 

事業譲渡を選ぶ売り手のメリット 

事業譲渡は、売り手にとって以下の3つのようなメリットがあります。

  1. 後継者問題を解決できる
  2. 法人格を継続して使える
  3. 会社経営における選択と集中ができる

それぞれ詳しく確認していきましょう。

①後継者問題を解決できる

事業譲渡では、後継者問題を解決できます。なぜなら、事業譲渡をすれば事業の持ち主が変わるのみで、事業を存続させられるためです。

もしも社長の引退で会社を清算する場合、これまで雇っていた従業員・商品を販売していた顧客・取引先などに迷惑がかかります。「将来性のある事業は継続させたい」といったときに、事業譲渡は適した手法です。

②法人格を継続して使える

事業譲渡をした場合、法人格を継続して使えます。そのため、「Aという事業は売却したいけどBという事業は同名の法人格として継続させたい」といった場合に適した手法です。

既存の事業をすべて売却したうえで、同名の法人格で新しい事業を始めることもできます。現在保有する会社の法人格を継続して使いたいときには、事業譲渡を選びましょう。

③会社経営における選択と集中ができる

事業譲渡を行うことで、会社経営における選択と集中ができます。事業譲渡は株式譲渡と異なり、事業を切り出して売却できるためです。

事業譲渡で得た利益を会社の資金として、残した事業に注力もできます。不採算事業やメインでない事業を切り離し、採算のある事業に集中できる体制を構築できるのです。

【関連】中小企業の後継者問題とは?原因や解決策・対策を徹底解説!

3. 事業譲渡を選ぶ買い手のメリット

事業譲渡を選ぶ買い手のメリット

一方の買い手側にもメリットはあります。事業譲渡をしたときの買い手のメリットは以下の2つです。

  1. 取得したい資産を選べる
  2. 節税効果がある

それぞれ詳しく確認していきましょう。

①取得したい資産を選べる

買い手にとって最大のメリットは、取得したい資産を選べることです。事業譲渡の場合、契約時に買い手と売り手で何を承継するのか選別できます。そのため、会社にとって必要な資産だけを承継できるのです。

これにより、事業譲渡の実行時点では予見できない簿外債務や偶発債務などの承継も回避できます。承継したくない資産や負債があれば、売り手との協議で承継しないようにしましょう。

②節税効果がある

買い手は、事業譲渡を選択することで節税効果が期待できます。譲受した償却資産やのれんを償却することで、資金流出のない損失が計上されるため、他の手法と比べると節税効果があるのです。

のれんや償却については、後の会計処理の章で詳しく説明します。

【関連】会社売却・M&Aで問題になる簿外債務とは?粉飾発見方法と対処方法

4. 事業譲渡を選ぶデメリット

事業譲渡を選ぶデメリット

事業譲渡を選ぶとデメリットもあります。事業譲渡をしたときのデメリットは以下の4つです。

  1. 手続きが複雑になる
  2. 譲渡範囲の決定が難しい
  3. 売り手会社は競業避止義務を負う
  4. 買い手会社は資金調達する必要がある

それぞれ詳しく確認しましょう。

①手続きが複雑になる

事業譲渡の手続きは、複雑かつ手間がかかります。事業をそのまま承継させるわけではないため、買い手からすると取引先や従業員との契約も1つずつ契約し直さなければなりません。

例えば、事業譲渡をすると、従業員の雇用契約はすべて白紙になります。そのため、買い手企業は改めて雇用契約を結ばなければならないのです。

一方の売り手からすると、債権者保護手続きは不要ですが、個別で債権者の同意が必要となります。このように、一つひとつ契約を巻き直さなければならないため手続きは複雑です。

②譲渡範囲の決定が難しい

事業譲渡では、譲渡範囲の決定が困難とされています。なぜなら、「何を承継させて、何を承継させないか」細かく決めなければならないためです。もちろん、売り手は負債も承継してほしいと考えます。

ただし一方の買い手は、負債や不要な資産は承継したくないと考えるのが当然です。

このように、双方の意見が食い違う可能性が高いため、譲渡範囲の決定が難しくなります。

③売り手会社は競業避止義務を負う

事業譲渡した会社は、20年間にわたって同一の区域内や隣接する市町村の区域内において、譲渡事業と同一の事業を行うことが禁止されます。そのため、事業譲渡後も同じ事業を行う予定がある会社は注意が必要です。

④買い手会社は資金調達する必要がある

買い手会社は、ほしい事業を買うための資金を調達する必要があります。

ここでは事業譲渡の買収資金だけでなくその後の運用資金も当然に必要となるため、先を見据えた資金調達が求められるのです。

事業譲渡の実施後には人件費や運営費など継続した資金調達が必要となる可能性もあるため、計画的な事業譲渡の実施が重要となります。

【関連】事業譲渡をする際の会社法上の注意点は?定義・手続きから特別決議・競業避止義務も解説!

5. このようなときは事業譲渡を選ぼう

こんなときは事業譲渡を選ぼう

事業譲渡のメリットとデメリットを説明してきました。しかし、どのようなときに事業譲渡を選ぶべきかわからないという人もいるはずです。

以下のような場合では、事業譲渡を選ぶとメリットが大きくなるため検討の参考にしてください。

  1. 売り手企業が法人を継続したいとき
  2. 会社のすべての資産・債務を譲渡したくないとき

上記2つに当てはまる場合には、事業譲渡を選ぶことで解決します。他のM&Aの手法では、上記のような希望はかなわないため注意しましょう。

6. 事業譲渡の譲渡金額

事業譲渡の譲渡金額

事業譲渡の譲渡金額を算定する際には、一般的に「譲渡資産時価+営業権」という計算式が用いられます。この計算式で導き出される金額は、「事業譲渡における適正価格」と考えられるのです。

譲渡する事業の「時価純資産」に、その事業の収益力を反映する「営業権(のれん代)」を加算することで、「コストアプローチからなるバリュエーション」と「インカムアプローチからなるバリュエーション」をうまく合わせて算出できます。

営業権は、事業が生み出す正常利益の2年~3年分の金額を用いるのが一般的です。ただし、対象事業の業界・買い手のニーズ・事業規模・事業の安定性などにより営業権の算定方式は異なります。

具体例を挙げると、競争環境が厳しく市場が不安定とされる外食業界・建設業界では1.5年分で計算されるケースが多いです。その一方で、参入障壁が高い病院・クリニックや、最先端技術を扱える人材を持ったソフトウエア業界では5年分で評価されるケースが多くあります。

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7. 事業譲渡の手続きの流れ

事業譲渡の手続きの流れ

ここでは実際に事業譲渡するときの流れを確認していきましょう。事業譲渡をする手続きは、大きく10のステップに分けられます。

  1. M&Aアドバイザーとの契約
  2. 買い手企業探し
  3. 意向表明・基本合意
  4. デューデリジェンス
  5. 事業譲渡契約の締結
  6. 臨時報告書の提出
  7. 公正取引委員会への届出
  8. 株主への通知・公告と株主総会の特別決議
  9. 監督官庁による許認可
  10. 名義変更の手続き

順番に事業譲渡の流れを確認していきましょう。

①M&Aアドバイザーとの契約

事業譲渡を考えている場合、まずはM&Aアドバイザーとアドバイザリ-契約を結びましょう。

M&Aアドバイザーは、総合的にサポート・アドバイスを担当してくれるコンサルタントです。複雑な手続きを請け負うほか、事業譲渡のリスクまで丁寧に調べてくれるため、安全に進めるためにも依頼しておくと良いです。

M&Aアドバイザーは具体的な戦略・スケジュールを策定してくれるため、情報漏えいによるトラブルを未然に防ぐことも可能となります。

M&Aアドバイザーに心当たりがない、相談すべき機関かわからないということであれば、『M&A総合研究所』にお声掛けください。

M&A総合研究所にはM&Aアドバイザーが在籍しており、公認会計士から税理士までそろっているので細かい悩みまで丁寧に対応いたします。まずは無料相談を活用して、お話だけでもお気軽にお聞かせください。

②買い手企業探し

M&Aアドバイザーから買い手となる企業をいくつか紹介してもらった後は、自社にとって最適な相手先を探してみましょう。

M&Aを検討している場合、明確な目的が定まっているはずです。買い手となる企業として自社の目的を達成できる会社を選ばなくてはならないため、必ずアドバイザーに対して意見を伝えましょう。

最適な相手を見つけられれば、必要な書類を作成して打診します。打診はアドバイザーが主軸となって動いてくれるため、手続きは難しくはありません。

売買相手が今後も話し合いをして前向きに検討したいという旨の意思が届いたら、重要な情報のやり取りも含めた交渉に進みます。

機密情報をやり取りするため、必ず秘密保持契約を締結して外部へ情報が漏えいしないようにしておきましょう。

③意向表明・基本合意

秘密保持契約を問題なく締結したら、社名から内部情報までを取り交わしつつ詳細に話し合いをしていきます。

まず行うのは、お互いが今後も話し合いを進めたいという意向表明をしていくプロセスです。基本的には意向表明後は経営者同士がトップ面談を行うことになります。アドバイザーに依頼していれば、立ち合ってもらうことも可能です。

トップ面談では、売買の理由から方針に至るまで幅広く話して交流を深めます。お互いが意気投合すれば、ある程度の売買内容をまとめて基本合意契約を結ぶのです。

この後の手順からは本格的に調査や手続きが進んでいくため、念入りに確認しておきましょう。

④デューデリジェンス

基本合意契約を結んだ後は、非常に重要な手続きの1つであるデューデリジェンスです。

デューデリジェンスでは、買い手が売り手企業を調べることで、簿外債務の存在から財務状況までを幅広く確認します。このとき、買い手は失敗しないようリスクについても念入りに調査するのです。

正しく行われることでお互いが納得して進められるため、必ず資料提出などの場面で協力して進めるようにしてください。

ここで問題が起きなければ、調査内容を精査して売買条件に盛り込みます。そして、次の手順に進むのです。

⑤事業譲渡契約の締結

それぞれの会社の取締役会決議で事業譲渡の承認が下りた後は、事業譲渡契約を締結します。

事業譲渡契約書には、以下の内容を記さなければなりません。

  • 効力発生日(事業譲渡する日)
  • 買い手企業が売り手企業の株主に対して交付する対価
  • 対価の算出方法

そのほか、新役員の選任や株主総会の日時など、双方において必要と判断される内容を盛り込むこともあります。

⑥臨時報告書の提出

有価証券報告書を提出している企業の場合、臨時報告書の提出が必要となることがあります。

以下の条件に当てはまる場合は、臨時報告書の作成と提出が必要であるため注意しましょう。

  • 事業譲渡によって、純資産額が30%以上増減する場合 
  • 事業譲渡によって、売上高が前年比で10%以上増減することが予想される場合

いずれかの条件に当てはまる場合は、臨時報告書を国に提出してください。

⑦公正取引委員会への届出

国内売上高の合計額が200億円を超えている買い手企業は、公正取引委員会への届出が必要となる場合があります。

以下の条件に当てはまる場合には、公正取引委員会への届出が必要であるため注意しましょう。

  • 国内での売り上げが30億円を超えている企業の買収
  • 売り手事業の重要な部分を含み、また上記の売上に該当する企業の買収
  • 固定資産のすべて・売り手事業の重要な部分を含み、固定資産による売り上げが30億円を超える企業の買収

届出の受理後30日間は、事業譲渡を行ってはいけない決まりがあります。ただし、公正取引委員会が認めた場合に限り、禁止期間を短縮することも可能です。

⑧株主への通知・公告と株主総会の特別決議

株主に対しては、事業譲渡に関する通知・公告をしなければなりません。ここでは、事業譲渡をする20日前までの通知・公告が必要です。

事業譲渡に反対する株主に対しては、株主買取請求を行う機会を与えるために通知・公告を行います。売り手企業および買い手企業双方の株主総会にて、事業譲渡契約の承認を得るプロセスが必要です。

株主総会による承認は、事業譲渡をする前日までに受けなければなりません。

この承認では、議決権の3分の2以上を確保する必要があります。反対した株主から株式の買い取り請求があったときには、応じなければなりませんので注意してください。

⑨監督官庁による許認可

事業内容によっては監督官庁による許認可がなければ、買い手企業が営業できない事業もあります。

許認可が必要な事業を譲り受ける場合には、買い手企業が許認可を再度取得しなければなりません。

⑩名義変更の手続き

最後に、財産・債務・権利・契約などを移転するための名義変更手続きを行います。

登記が必要な財産や従業員の雇用契約手続きは買い手企業が行うことになりますが、売り手企業でも必要な情報の開示や資料作成が必要です。

できるだけスムーズに承継できるよう、準備を進めておきましょう。

【関連】事業譲渡の手続き・流れやスケジュールを徹底解説!期間はどれぐらい?

8. 事業譲渡の契約書を作成するときの注意点

事業譲渡の契約書を作成するときの注意点

ここまでは、事業譲渡の流れを説明しました。

しかし、事業譲渡の契約書の作成時に注意しなければ、後々トラブルに発展するおそれがあります。注意点は、以下の3つです。

  1. 譲渡範囲
  2. 従業員の転籍
  3. 免責登記

それぞれ詳しく確認していきましょう。

①譲渡範囲

事業譲渡の契約書にサインする前には、譲渡範囲が明確であるか確認しましょう。譲渡するのかしないのか不明確な資産・負債があると、トラブルになりかねません。

事業譲渡をする場合、対象となる財産には資産・債権・債務が挙げられます。事業譲渡契約書には、買い手企業に承継する資産・債権・債務を特定する目録を作成することが一般的です。

例えば、不動産であれば、住所地まで特定します。第三者が見ても「あの不動産のことだ」とわかるような目録を作っておきましょう。

また、取引先の契約は原則として引き継がれません。引き継ぐためには、取引先の同意が必要であるため合わせて注意しましょう。

②従業員の転籍

従業員をどのように扱うのか、事業譲渡契約書で決定しておきましょう。

譲渡する事業で働く従業員との雇用契約は、従業員の同意がない限り承継させることはできません。そのため、従業員の処遇については2つのパターンが取られます。

  • 1人1人から同意を得て、買い手企業へ転籍させる
  • 転籍させずに、違う事業部で継続して雇用する

基本的には、事業を運営するためにも買い手企業へ転籍させるケースが多いです。その場合には、転籍後の処遇をしっかりと定めておかなければなりません

以上のことから、必ず事業譲渡契約書に明記しておきましょう。

③免責登記

事業譲渡では、商号継続時の免責登記をするのかしないのかも明確にしておきましょう。商号継続時の免責登記は、売り手企業の持つ未払い債務の責任を免除するときに必要です。

原則として買い手企業が商号や屋号を承継する場合には、事業譲渡前の未払い債務の責任を負うことが会社法上で定められています。なぜなら、事業譲渡がされたことで、取引先に不利益が被らないようにするためです。そのため、買い手企業には事業譲渡前に発生した債務の弁済責任が発生します。

しかし、商号続用時に免責登記をすれば、買い手企業は事業譲渡前に発生した債務の弁済責任は必要ありません。事業譲渡契約に免責登記が記載されている場合、しっかりと検討するようにしましょう。

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9. 事業譲渡で支払う税金

事業譲渡で支払う税金

事業譲渡で支払いが必要な税金は、売り手・買い手によって異なります。簡単にまとめると、以下のとおりです。

  1. 売り手:消費税・法人税
  2. 買い手:消費税・不動産取得税・登録免許税

売り手・買い手に分けて、事業譲渡で発生する税金を詳しく確認していきましょう。

①【売り手側】事業譲渡で支払う税金

売り手側が支払う税金は、消費税と法人税です。それぞれの特徴を見ていきましょう。

消費税

事業譲渡で売り手側が支払う税金の1つ目が、消費税です。

消費税とは、譲渡する資産に対して発生する税金をさします。事業譲渡では事業に必要なさまざまな物を売却しますが、売却する中に課税対象の資産が含まれているときに発生する税金です。

つまり、事業譲渡で渡したものの中に消費税法で定められている課税資産が入っているなら、消費税の支払いを行います。ここでは、課税資産と非課税資産を分けてから計算することがポイントです。

消費税は、事業譲渡による利益がプラスの場合にだけ発生するわけではありません。事業譲渡の利益がマイナスの場合でも消費税の支払いが発生する可能性があるため、気をつけましょう。

法人税

事業譲渡で売り手側が支払う税金の2つ目が、法人税です。

法人税とは、事業譲渡で手に入れた利益に対して発生する税金をさします。事業を売った側の企業は、事業譲渡した分の対価を受け取っているため法人税を支払わなければなりません。

事業譲渡で得た利益というのは、事業譲渡の対象となった当該事業の資産と負債の差額を超えている部分の売却金額です。つまり、「事業譲渡で得た利益=売却金額−譲渡資産の簿価」という関係になっています。売却金額がそのまま事業譲渡で手に入れた譲渡益となるわけではない点に注意しましょう。

法人税には法人住民税・地方法人税・事業税といった種類がありますが、実際にはそれぞれの税率を合計した額の割合となる実効税率を使って計算します。

②【買い手側】事業譲渡で支払う税金

買い手側が支払う税金は、消費税・不動産取得税・登録免許税です。こちらもそれぞれ見ていきましょう。

消費税

事業譲渡で買い手側が支払う税金の1つ目が、消費税です。

売り手側のときと同様、消費税は譲り渡してもらう資産に対してかかる税金をさします。買い手側の場合でも、買収する資産の中にある課税資産に対して消費税は発生するのです。

事業譲渡で支払うことになる消費税は、納税について注意が必要となります。

消費税は事業の買い手側が消費税を売り手側に渡して、売り手側が申告と納税を行う仕組みです。事業を売却する企業から買い手側は消費税を請求されますが、支払う前に必ず金額を確認しておきましょう。

基本的に、事業を買うための金額と一緒に請求されるケースが多いです。

不動産取得税・登録免許税

事業譲渡で買い手側が支払う税金の2つ目が、不動産取得税と登録免許税です。

不動産取得税は、不動産を手に入れたときに支払うことになる税金をさします。不動産とは、土地や建物のことです。事業譲渡で不動産を手に入れることになったら、不動産取得税を支払う準備しましょう。

不動産取得税では、手に入れた不動産の固定資産税評価額の4/100の部分に税金が課されます。

登録免許税とは、登記手続きを行うときに支払うことになる税金です。事業譲渡に限りませんが、不動産を手に入れたら所有権を登記しなければなりません。

事業譲渡によって不動産を手に入れた場合には、不動産取得税だけではなく登録免許税の支払いも必要なため忘れないようにしましょう。

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10. 事業譲渡をしたときの会計処理

事業譲渡をしたときの会計処理

事業譲渡をした場合、会計処理も適切に行わなければなりません。譲渡した事業は資産として扱うためです。

売り手企業と買い手企業に分けて、会計処理を確認していきましょう。

売り手企業の会計処理

まずは、売り手企業の会計処理方法を確認していきましょう。

事業の株主資本相当額と実際の売却対価との間で差額が発生した場合には、移転損益として扱います。つまり、譲渡益=移転損益となるのです。

事業譲渡によって支出が発生した場合は、その事業年度の費用で処理しなければなりません。ここからは、具体的な仕訳の例を確認してみましょう。

  • 譲渡資産の帳簿価格:500万円
  • 譲渡負債の帳簿価格:200万円
  • 付随費用:50万円
  • 譲渡価格:400万円

借方 貸方
譲渡資産 500万円 譲渡負債 200万円
移転損益 100万円 現預金 400万円
現預金 50万円 付随費用 50万円

上記のように、譲渡益は移転損益として会計処理をします。

買い手企業の会計処理

続いて、買い手企業の会計処理方法を確認していきましょう。

買い手企業の会計処理では、のれんを加味しなければなりません。買い手企業の個別財務諸表に、買収した事業の純資産(資産・負債)を時価で入れたうえで、のれんを計上する必要があります。

のれんとは、買収した事業の純資産の時価と取得原価の差額のことです。基本的に買収した事業の資産と負債の時価よりも、取得原価の方が高い価格となります。なぜなら、買収した事業のブランド力・ノウハウ・従業員の能力・特許などは純資産に反映されておらず、その分を上乗せして取得原価を決めているためです。

のれんは、無形固定資産として計上します。

ここからは、具体的な仕訳の例を確認してみましょう。

  • 譲受資産の時価:400万円
  • 譲受負債の時価:100万円
  • 取得原価:500万円

借方 貸方
譲受資産 400万円 譲受負債 100万円
のれん 200万円 取得原価 500万円

このように、譲受資産から譲受負債・取得原価の差額をのれん代として会計処理します。

事業譲渡の会計処理ならM&A総合研究所にお任せください

事業譲渡を検討しているのであれば、M&A総合研究所へ相談しましょう。

M&A総合研究所は、公認会計士が事業譲渡をフルサポートしているM&A仲介会社です。会計士自らが事業譲渡のコンサルタントをいたしますので、安心して会計処理をお任せください。

会計のことでお困りであれば、必ずお役に立ちます。M&A総合研究所では、国内最安値水準の手数料体系に強みがあるほか、完全成功報酬制を採用しているため、事業譲渡が成立するまで一切の費用がかかりません。

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11. 事業譲渡を検討するなら必ずM&Aアドバイザーに相談しよう

事業譲渡を検討するなら必ずM&Aアドバイザーに相談しよう

事業譲渡を検討するなら、必ずM&Aアドバイザーに相談しましょう。

その理由を説明するために、事業譲渡における役割とM&Aアドバイザーの役割・相談するメリット・気になる費用についても解説していきます。

M&Aアドバイザーの業務

まずは、M&Aアドバイザーが行う業務は以下のとおり紹介します。

  • M&Aのアドバイスとサポート
  • 買い手・売り手の紹介
  • 条件に関する交渉
  • 法務・税務の専門家を紹介する

1つずつ詳しく確認していきましょう。

M&Aのアドバイスとサポート

M&Aアドバイザーの業務として最初に挙げられるのが、M&Aのアドバイスとサポートです。

M&Aを進めるには、専門的な知識が多く必要となります。M&Aアドバイザーのような専門家に助言してもらいながら進めていくのが主流です。

M&Aアドバイザーには公認会計士や税理士などの士業も多く、実際に手続きを行う際にサポートしてもらえます。M&Aを成功させるためにも、何か困ったことがあれば積極的にM&Aアドバイザーに相談してアドバイスをもらうと良いでしょう。

買い手・売り手の紹介

M&Aアドバイザーの業務には、買い手・売り手の紹介も含まれます。

M&Aによる事業譲渡は、自社のみで成り立つ行為ではありません。相手企業を見つけて手続きを進めていくことが必要ですが、自社にとって最適な相手を見つけるのは非常に難しいです。

M&Aアドバイザーに相談することによって、事業譲渡の目的や条件に合わせて、最適な買い手・売り手を紹介してもらえるでしょう。ネットワークが広いM&Aアドバイザーに依頼すれば、短期間で理想の相手を紹介してもらえるケースも珍しくありません。

条件に関する交渉

M&Aアドバイザーの業務には、事業譲渡の条件に関する交渉も含まれます。

たとえ事業譲渡の相手となる買い手・売り手が見つかったとしても、条件交渉に失敗して破談になることは少なくないです。事業譲渡の条件交渉には、コツがあります。

例えば、うまく要望を相手に伝えるスキルや、折れるべき条件は折れてしまう決断力などが必要です。

M&Aアドバイザーに相談すれば事業譲渡について的確なアドバイスがもらえるため、条件交渉がスムーズに進みやすくなります。

法務・税務の専門家を紹介する

M&Aアドバイザーの業務には、法務・税務の専門家の紹介も含まれます。

M&Aは専門的な知識が必要ですが、特に法務と税務が大切です。たとえ自社に顧問弁護士や顧問税理士がいたとしても、必ずしも事業譲渡に関わる法務・税務に詳しいとは限りません

そこで、M&Aアドバイザーに事業譲渡について経験豊富な弁護士や会計士を紹介してもらいましょう。M&Aアドバイザーは社内に在籍する専門家はもちろん、提携する外部の専門家を紹介してくれることもあります。

M&Aアドバイザーに相談するメリット

多種多様な業務を遂行できるアドバイザーに相談すると得られるメリットは、以下の3つです。

  • 悩みに対して即座に回答をもらえる
  • 自身の意見をM&Aに反映しやすい
  • リスクを抑えてメリットを増やせる

順番に見ていきましょう。

悩みに対して即座に回答をもらえる

M&Aアドバイザーに相談する1つ目のメリットに、事業譲渡の悩みに対して即座に回答をもらえることが挙げられます。

事業譲渡を進めていくと、大きな悩みから小さな悩みまでさまざまな悩みが生まれるはずです。疑問点や不安点をすぐに相談できるパートナーが身近にいれば、事業譲渡を安心して進められるでしょう。

M&Aアドバイザーに積極的に質問すれば、事業譲渡に対する自身の理解が急速に深まります

自身の意見をM&Aに反映しやすい

M&Aアドバイザーに相談するメリットには、自身の意見をM&Aによる事業譲渡に反映しやすくなることも含まれます。

事業譲渡を行おう場合、何らかの理由があるはずです。自身では事業譲渡する相手にいいにくい理由であっても、M&Aアドバイザーに条件交渉へと立ち会ってもらうことでうまく伝えてもらえます。

M&Aアドバイザーの業務内容には、依頼主の意見や要望を事業譲渡によってかなえるためのサポートも含まれているのです。

リスクを抑えてメリットを増やせる

M&Aアドバイザーに相談すると、リスクを抑えてメリットを増やせます。

事業譲渡を含むM&Aは、リスクなしにメリットだけを簡単に得られるという行為ではありません。M&Aアドバイザーは、豊富な知識と経験をうまく活用することによって、リスクを最小限に抑えます。リスクを抑えれば、事業譲渡によるトラブルの可能性が減少するのです。

自身ではわからなかった事業譲渡で得られる良い面も見つけやすくなるうえに、メリットも増やせます

M&Aアドバイザーの手数料相場

M&Aアドバイザーに依頼するにはどうしても費用が必要となります。しかし、設定されている費用は企業ごとによって異なっているのです。

ただし、手数料相場については、ある程度の目安を計算できます

ここでは、計算式として使われるレーマン方式について確認していきますので参考にしてみてください。

レーマン方式とは

レーマン方式とは、M&Aの譲渡額によって手数料の割合を計算する方法です。

割合は必ずしも一定ではなく、仲介会社によって設定が違う場合があるため注意してください。

とはいえ、一般的に採用されている水準がありますので、譲渡額ごとに見てみましょう。

譲渡額 手数料の割合
5億円以下の部分 5%
5億円超・10億円以下の部分 4%
10億円超・50億円以下の部分 3%
50億円超・100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%

このように、レーマン方式は譲渡額に合わせて手数料の割合が変動します。

あくまでも該当する譲渡額の部分に割合が掛かり、10億円×4%と単純に譲渡額に手数料の割合を掛ければ良いというわけではないため、注意してください。

ここからは、具体例を見ながら計算方法を確認していきましょう。

レーマン方式の計算例

レーマン方式の具体的な計算例は、以下のとおりです。

レーマン方式の計算例

このようにレーマン方式での報酬額算出は複雑です。紹介したのはあくまでも例であるため、実際には割合が変わる・譲渡金額によって差が生じることがあります。

レーマン方式を設定する企業に依頼する場合には、手数料の割合を確認したうえで実際に計算してください。

【関連】M&Aアドバイザーって?選び方と利用するメリットを解説!

12. 事業譲渡をするならM&A総合研究所がおすすめ

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出典:https://masouken.com/lp01

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13. まとめ

事業譲渡とは、会社全体ではなく特定の事業のみを売買する行為です。事業すべてを移譲する必要はなく、目的に合わせて事業のすべてや事業の一部を売買する行為を、事業譲渡と呼んでいます。

メリットや手続きの流れ、注意点を把握したうえで、事業譲渡するべきか十分に検討しましょう。

事業譲渡すると決断した場合には、M&Aアドバイザーに必ず相談してください。上手にM&Aアドバイザーを頼りながら、自社の成長に向けて事業譲渡を成功させましょう。

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