会社譲渡とは?手続きの流れやメリット、リスクを解説【相場・案件一覧あり】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

会社譲渡とは何かを解説します。会社譲渡における手続きの内容や流れ、実施するメリット、注意すべきリスクとは何かなど、知っておきましょう。会社譲渡の相場や案件も併せて紹介します。これから手続きを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 会社譲渡とは
  2. 会社譲渡と事業譲渡との違い
  3. 会社譲渡を自主的に検討する理由
  4. 会社譲渡のメリット
  5. 会社譲渡のデメリット・リスク
  6. 会社譲渡の全体の流れ
  7. 会社譲渡の手続き
  8. 会社譲渡の手続きに必要となる書類一覧
  9. 会社譲渡した後の処遇
  10. 会社譲渡で課される税務
  11. 会社譲渡の相場
  12. 会社譲渡における売却価格の主な算定方法
  13. 会社譲渡で発生する費用
  14. 会社譲渡を成功させるポイント
  15. 会社譲渡の成功事例
  16. 会社譲渡の案件一覧
  17. 会社譲渡を行う際の相談先
  18. 会社譲渡のまとめ
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1. 会社譲渡とは

会社譲渡とは

この記事では、会社譲渡とはどのようなものか詳しく見ていきます。「よく耳にするけど会社譲渡とは何のこと?」と疑問に感じている方は少なくありません。会社譲渡とは何かを理解し、自社の経営に生かしましょう。

会社譲渡とは、会社の経営権を第三者に譲渡することをいいます。具体的にいうと、会社が保有する株式を第三者に譲渡し会社の経営権を第三者に譲り渡すことです。会社譲渡は事業承継でもよく活用されます。

株式譲渡との違い

会社譲渡・事業譲渡と類似した用語に「株式譲渡」があります。株式譲渡は、会社譲渡と同様の意味で使われることが多いです。会社が保有する株式を第三者に譲渡することを「株式譲渡」といいます。

株式譲渡を行う結果、株式を譲受した第三者に会社の経営権が移行されるため、「会社譲渡」と同義です。

株式譲渡も非常によく利用されるM&A手法の一つになります。したがって、企業の経営戦略としてM&Aを考えるなら、「会社譲渡とは何か」「事業譲渡とは何か」「株式譲渡とは何か」をしっかり区別しましょう。

【関連】事業譲渡と株式譲渡の違いを解説!税務面などメリット・デメリットを徹底比較!

2. 会社譲渡と事業譲渡との違い

会社譲渡と事業譲渡との違い

会社譲渡と似た用語に「事業譲渡」があります。「事業譲渡」とは、会社が運営する「事業」の一部または全部を第三者に譲渡することです。

会社全体を譲渡する会社譲渡とは異なり、会社が保有している事業のみを取引します。会社譲渡と事業譲渡は混同されやすいですが、企業の経営戦略として活用したい場合は、しっかりと違いを押さえてください。

事業譲渡は「M&A手法」の一つで、事業承継のためのM&Aなどで利用されることが多いです。買い手にとって必要な事業だけを譲渡できるので、事業承継の後継者がいない場合でもM&Aで事業を引き継いでもらえます。

企業経営者で後継者不足に悩んでいる場合は、事業譲渡によるM&Aも覚えておきましょう。

会社譲渡を採用すべきケース

ファンドによる買収のケースでは、会社譲渡を採用すべきでしょう。

買収側がPE( プライベート・エクイティ)などのファンドであれば、一般的に買収企業を成長させてから売却して利益を得るのが目的です。そのため、企業体を保ったスタイルによる買収を求めるので、会社譲渡が選択されやすいでしょう。

社員が多い会社も、会社譲渡を採用すべきケースです。事業譲渡を選ぶと、全社員と買収側とで新労働契約を要します。社員が多いとコストが多額になるので、会社譲渡が選ばれやすいのです。

事業譲渡を採用すべきケース

経営破たん・負債が多い会社は、事業譲渡を採用すべきケースでしょう。経営破たんの程度が重大だったり負債が多かったりすると企業体を保った売却は困難です。会社すべてを買収する株式譲渡では、債務を引き継がなければなりません。

負債が多い会社を売却するときは、利益が期待できる将来性のある事業のみ切り出したいニーズにより、事業譲渡が採用されることが多いです。

3. 会社譲渡を自主的に検討する理由

会社譲渡を自主的に検討する理由

「会社譲渡とは何をさしているのか」が何となくわかっても、「自主的に会社譲渡を実施する理由とは何か?」と疑問に感じている方もいるでしょう。ここでは、経営者が自主的に会社譲渡を検討する理由を見ていきます。

自主的に会社譲渡を検討する理由は、以下です。
 

  1. アーリーリタイアを考えた
  2. 企業経営について将来性を感じなくなった
  3. 新しい事業・会社を起ち上げたくなった

経営戦略のほかに、さまざまな理由で会社譲渡は検討されています。会社譲渡の理由はどのようなものか、確認しましょう。

①アーリーリタイアを考えた

自主的に会社譲渡を検討する理由の一つとして、「企業経営者からのアーリーリタイアを考えるようになった」が挙げられます。「アーリーリタイア」とは、定年を待たずに自身の仕事をリタイア・退職することです。

アーリーリタイアをすることで、仕事のプレッシャーから解放されたり時間に余裕ができたり、自分がやりたいことに没頭したりできます。

アーリーリタイアは、会社に勤めているサラリーマンに限らず、会社を経営している社長・経営者も実施するケースが多いです。ただし、社長・経営者がアーリーリタイアする際は、単に辞めれば良いわけではありません。

突然社長・経営者が自分の会社を閉じてしまうと、従業員や取引先、顧客に大きな迷惑をかけます。そこで、会社譲渡を希望する第三者・後継者を募集し会社を譲り渡すことで、社長・経営者のアーリーリタイアを実現するのです。

【関連】アーリーリタイアとは?成功するポイントや必要な資金・貯金はいくら?

②企業経営について将来性を感じなくなった

会社譲渡を実施する理由として、「企業経営について将来性を感じなくなった」があります。会社で展開する事業の成績が芳しくなければ、いつまでたっても経営状況・財政状態が改善されないため、事業の撤退を検討する経営者が少なくありません。

その際に、会社譲渡や事業譲渡相手を募集して、第三者に事業を譲り渡せば、譲渡金額を受け取れるなどのメリットがあるため、会社譲渡・事業譲渡を実施しようと考えるのです。

③新しい事業・会社を起ち上げたくなった

「新しい事業・会社を起ち上げたくなった」という理由で、積極的な会社譲渡を検討するケースも多いです。新規事業を起ち上げたり、会社を発起させたりするには、ある程度まとまった資金が必要になります。

しかし、新事業や新企業をスタートさせる資金が十分にある経営者ばかりではありません。

そこで、株式譲渡や事業譲渡などの取引相手を募集して、第三者に会社・事業を譲り渡すことで譲渡金額を獲得し、譲渡金額を新しい事業・会社の起ち上げ費用として利用します。

4. 会社譲渡のメリット

会社譲渡のメリット

ここからは、会社譲渡を実施するメリットを5つ解説します。
 

  1. 後継者問題のスムーズな解決
  2. 売却・譲渡益を得る
  3. 従業員の雇用を確保する
  4. 企業を存続・発展させる
  5. 個人保証や担保の解消

会社譲渡のメリットを順番に確認しましょう。

①後継者問題のスムーズな解決

会社譲渡のメリットとして、「後継者問題を解決できる」が挙げられます。近年は、人材不足と経営者における高齢化の影響により、多くの中小企業で「後継者問題」が深刻化しているのが現状です。

M&A仲介会社などを利用して、会社譲渡や事業譲渡などを実施すれば、スムーズな事業承継が実現し後継者問題を解消できます。

②売却・譲渡益を得る

会社譲渡を実施すると、譲渡する株式の対価として現金を獲得できます。これは売却益や譲渡益と呼ばれ、まとまった資金を獲得することが可能です。特に、経営者に大きな利益が生まれるので「創業者利益」と呼ばれることもあります。

③従業員の雇用を確保する

特に中小企業では、後継者問題に直面していたり、経営状況の悪化や資金難で会社を継続するのが困難となり「廃業」に追い込まれたりするケースがあります。廃業すると、その会社で働く従業員は職を失ってしまうでしょう。

しかし、会社譲渡に成功すれば廃業せずに済むため、従業員の雇用を確保できます。会社譲渡を行って、今まで頑張ってくれた従業員の将来も確保してください。

④企業を存続・発展させる

会社譲渡することで、大手企業の傘下・グループ企業に入れます。大手企業が持つ資本力や経営資源をフル活用すれば、企業を存続させたり、収益力を向上させて発展させたりすることが可能です。

⑤個人保証や担保の解消

会社譲渡・株式譲渡を実施した場合、その会社が持つ資産・負債などをすべて譲受・買収側に引き継げます。会社が抱える負債や担保、経営者が抱える個人保証なども買い手側に引き継げるので、個人保証や担保から解放されるのも嬉しいメリットです。

個人保証で悩んでいる場合は、会社譲渡を検討するのが良いでしょう。

5. 会社譲渡のデメリット・リスク

会社譲渡のデメリット・リスク

上記で会社譲渡のメリットを紹介しましたが、会社譲渡には以下の「リスク」も伴うので注意が必要です。
 

  1. 旧経営者として拘束を受ける可能性
  2. 簿外債務などの発覚や情報漏えいにより破談になる可能性
  3. 従業員や役員の処遇が交渉時と変わる可能性
  4. 会社名が変わってしまう可能性
  5. 希望どおりの売却先が見つからない

①旧経営者として拘束を受ける可能性

「アーリーリタイア」を目的に会社譲渡の実施を検討する経営者もいますが、会社譲渡をした際に、旧経営者として「拘束」を受ける可能性があります。

株式譲渡や事業譲渡によるM&Aを実施したときに、売却側企業の経営者を「複数年」会社に残るよう定めることを「ロックアップ」というので覚えておきましょう。

ロックアップは、買収した会社の経営者がすぐに抜けたために事業・企業運営の引継ぎがうまくいかなって事業が回らなくなるのを防ぐ目的があります。ロックアップが定められると、指定期間内は会社を辞められません。

②簿外債務などの発覚や情報漏えいにより破談になる可能性

これは買収・譲受側企業が抱える可能性のあるリスクですが、会社譲渡後に「簿外債務」が発覚したり、「情報漏えい」による交渉の破談が発生したりする危険性があります。

これらのリスクを未然に防ぐために、M&A仲介会社を利用して、徹底したデューデリジェンスを行うことが大切です。
 

③従業員や役員の処遇が交渉時と変わる可能性

会社譲渡後、従業員や役員の処遇がM&A交渉時と変わってしまうリスクが考えられます。このようなことを避けるためにも、M&A仲介会社を利用して安全な交渉を実現することが必要です。

④会社名が変わってしまう可能性

会社譲渡を実施した後、買収・譲受側企業の意向によって会社名が変わってしまう可能性があります。このようなことが発生すると、従業員を困惑させるため、事前に説明をしたり、アフターケアをしっかり行ったりするなどの対策が必要です。

急に会社名が変わってしまうと周囲が驚くので、事前に告知のスケジュールを考えましょう。

⑤希望どおりの売却先が見つからない

会社譲渡をはじめ、事業譲渡などを利用してM&Aを実施する際によくあるリスクとして、募集を行っても「売却先が見つからない」ことが挙げられます。

売却先がスムーズに見つからなければ、結果的に廃業に追い込まれてしまう可能性もゼロではありません。

スムーズに株式譲渡・事業譲渡の交渉相手を見つけたい場合は、優秀なM&A仲介会社のネットワークを駆使して、自社を買収・譲受してくれる企業を募集することをおすすめします。

6. 会社譲渡の全体の流れ

会社譲渡の全体の流れ

会社譲渡はどのような流れで進められるのでしょうか。ここでは、会社譲渡の実施における一連の流れを解説します。

  1. M&A仲介会社と契約
  2. 自社の価値算定
  3. 譲受企業の募集・決定
  4. 会社譲渡の手続き
  5. 会社譲渡の成立
  6. 会社譲渡の公表
  7. 会社の引継ぎ

会社譲渡の流れを理解して、スムーズに手続きを進めましょう。それぞれの手続きについて、順番に確認します。

①M&A仲介会社と契約

会社譲渡の実施を検討している場合、手続きを始める前に、「M&A仲介会社」などのM&A専門家に相談して契約を行いましょう。

会社譲渡・株式譲渡や事業譲渡の手続きをスムーズに進めるためには、会社の財務・税務に関する専門的知識が必要です。自社のみでM&A手続きを進めたり、契約書を作成したりするのは非常に難しく、失敗するリスクも伴うのでおすすめしません。

株式譲渡や事業譲渡に関する知識・ノウハウ・実績が豊富なM&A仲介会社を利用すれば、安全に会社譲渡を進められます。

株式譲渡とは何かという基本知識から教えてくれる専門家に相談すれば、安心して最後まで会社譲渡の手続きができるでしょう。

②自社の価値算定

会社譲渡を成功させるためには、自社の価値・譲渡金額相場を適切に把握する必要があります。譲渡金額の相場価格を理解していなければ、本来よりも過小評価された金額でM&A手続きが進められるリスクが伴うからです。

ただし、自社の価値・譲渡相場金額などを算定するのは非常に難しいため、企業価値算定サービスを提供しているM&A仲介会社に算定を依頼しましょう。

M&A総合研究所では、M&Aに関する専門知識・経験を豊富に持つM&Aアドバイザーが、会社譲渡をフルサポートいたします。無料の「企業価値算定サービス」も提供しておりますので、「自社の価値・譲渡相場を知りたい」という方もご相談ください。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問合せください。

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③譲受企業の募集・決定

自社の価値・譲渡相場を把握したら、会社を譲り渡す相手を募集・決定します。近年は、後継者不足などの影響で、会社譲渡・事業譲渡を行う相手を見つけられない問題が発生しがちです。

しかし、幅広い情報を持つM&A仲介会社を利用すれば、スムーズに自社に適した譲受相手を探し出してくれます。自分だけで適切な会社譲渡の相手を見つけるのは困難です。できるだけ早い段階で、会社譲渡についてM&A仲介会社へ相談しましょう。

④会社譲渡の手続き

譲受企業を決定したら、「会社譲渡の手続き」に移ります。会社譲渡の手続き方法・手続きの流れは、後述しますのでそちらをご覧ください。

⑤会社譲渡の成立

会社譲渡の手続きが無事に完了すれば、会社譲渡の成立です。この時点で譲渡金額の受け渡しなどが実施されます。

⑥会社譲渡の公表

会社譲渡の手続きが完了したら、会社譲渡の実施を公表します。中小企業は、従業員や取締役への説明、大企業はマスコミへの発表などを行いましょう。

会社譲渡の公表タイミングを誤ると、従業員や取引先などに不信感を与える可能性があります。会社譲渡が確実になってから丁寧に公表してください。

⑦会社の引継ぎ

最後に、会社譲渡を実施したら、「会社の引継ぎ」作業を慎重に進めてください。この引継ぎ作業をおろそかにすると、従業員の退職や会社経営失敗などの原因となり、譲受企業に大きな迷惑をかけてしまいます。

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7. 会社譲渡の手続き

会社譲渡の手続き

ここからは、上記で紹介した「会社譲渡の手続き」をより詳しく解説します。会社譲渡の手続きは具体的にどのようなことを行うのか、どのような流れで手続きが進むのか、以下で確認してください。

  1. 会社譲渡の承認請求
  2. 取締役会・株主総会の招集
  3. 会社譲渡契約
  4. 株主名簿の書き換え請求
  5. 株主名簿記載事項証明書の交付請求・交付
  6. 会社譲渡の完了

ここで紹介する会社譲渡の流れは、会社が発行する株式に「譲渡制限」が設けられた際の流れです。「譲渡制限」は、定款に定めることで「株式を自由に取引できないようにする」制限です。

通常、会社は「公開市場で自由に株式を売買できる」上場会社と、「公開市場で自由に株式を売買できない」非上場会社に分かれます。

原則、株式は自由に取引することが可能です。上場会社が発行する株式は、公開市場をとおして売買が可能で、非上場会社の株式は、当事者間で売買交渉を行う「相対取引」が利用されます。

ただし、非上場会社のほとんどが、発行する株式に対して「譲渡制限」を設けるのが現状です。会社にとって望ましくない第三者に自社の株式が渡ることを防いだり、会社が乗っ取られるのを防止したりする目的があります。

譲渡制限が設定された株式を「株式譲渡」することで会社譲渡を実施する場合、「株式譲渡の承認請求」や「取締役会・株主総会での承認決議」など、譲渡制限がない株式を譲渡する場合とは多少異なる手続きが必要です。

それでは、具体的な会社譲渡の手続きを確認しましょう。

①会社譲渡の承認請求

まずは「会社譲渡の承認請求」を行う必要があります。譲渡制限株式を譲渡する場合、株式の譲渡者は「株式譲渡承認請求書」に必要事項を記載して、譲渡の承認請求を行わなければいけません。

ただし、中小企業における会社譲渡の場合は、会社の経営者と株式譲渡者が同じ人物であるケースが多く、「譲渡承認請求」の手続きを踏む前に合意を得られることがあります。

②取締役会・株主総会の招集

会社譲渡の承認請求が行われたら、承認決議を実施するために、会社側は「取締役会または株主総会」を招集します。

承認請求を受けた会社が「取締役会設置会社」であれば、原則として「取締役会」が承認機関です。一方、「非取締役会設置会社」である場合は、「臨時株主総会」を開催して承認決議を進めます。

③会社譲渡契約

承認決議の結果、会社譲渡請求が承認され、「承認通知」を受け取ったら、会社譲渡契約の締結を行います。会社譲渡契約の締結では、具体的に、株式の譲渡側・譲受側の双方が「株式譲渡契約書」と呼ばれる契約書を作成しなければなりません。

④株主名簿の書き換え請求

会社譲渡契約を締結したら、「株主名簿の書き換え請求」手続きを進めます。株式譲渡・会社譲渡をする場合、ただ株式を第三者に譲り渡せば成立するのではなく、会社が保有する「株主名簿」を書き換えることで初めて有効となる点に注意が必要です。

そのため、株式の譲渡者・譲受者は会社に対して「株主名簿書き換え請求」を行い、株主の名簿を変更してもらいます。

⑤株主名簿記載事項証明書の交付請求・交付

続いての手続きは「株主名簿記載事項証明書の交付請求・交付」です。特に、新しく株主となる株式譲受者は、株主名簿がしっかり書き換えられ、自分が株主となっているか確認するために、株主名簿記載事項証明書の交付を請求します。

⑥会社譲渡の完了

上記で説明した手続きがすべて実行されると、会社譲渡の完了です。ここでは「会社譲渡」の用語を使って説明しましたが、一連の手続きは「株式譲渡の手続き(譲渡制限株式の場合)」と同様なので覚えておいてください。

会社譲渡にはさまざまな手続きがあり、専門知識が必要なものもあります。会社譲渡をスムーズに進めるには、専門家のサポートが必要不可欠です。

M&A総合研究所では、M&Aの経験と知識が豊富なM&Aアドバイザーが会社譲渡の交渉からクロージングまで案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問合せください。

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8. 会社譲渡の手続きに必要となる書類一覧

会社譲渡の手続きに必要となる書類一覧

続いて、会社譲渡の手続きに必要となる書類をまとめていきます。会社譲渡を成立させるためには、以下で紹介する書類の種類・内容をしっかり理解しましょう。

  1. 株式譲渡承認請求書
  2. 株主総会招集に関する取締役の決定書
  3. 臨時株主総会招集通知
  4. 臨時株主総会議事録
  5. 株式譲渡承認通知書
  6. 株式譲渡契約書
  7. 株式名義書換請求書
  8. 株主名簿
  9. 株主名簿記載事項証明書交付請求書
  10. 株主名簿記載事項証明書

会社譲渡を行う際は、さまざまな書類がなければ手続きが進みません。会社譲渡の手続き書類を、順番に確認しましょう。

①株式譲渡承認請求書

会社譲渡の手続きに必要な書類に「株式譲渡承認請求書」があります。これは、譲渡制限が設けられている株式を譲渡する際に提出が必要で、株式の発行会社に対し「株式譲渡を承認」するよう請求する書類です。

「株式譲渡承認請求書」には、「譲渡する株式の種類および株式数」と「株式を受け取る側の氏名または名称」を記載します。

②株主総会招集に関する取締役の決定書

株式譲渡承認請求書を受け取った会社側は、承認決議を行うために「承認機関の招集」手続きを実施しなければいけません。「非取締役会設置会社」の場合は、臨時株主総会を開く必要があり、「株主総会招集に関する取締役の決定書」が要ります。

③臨時株主総会招集通知

臨時株主総会が承認機関となる場合、会社側は、株主総会が開催される1週間前までに「臨時株主総会招集通知」を発送しなければいけません。

④臨時株主総会議事録

株主総会が開催された場合、議事経過の要綱を記載する「株主総会議事録」の作成が、会社法によって義務付けられています。株式譲渡承認請求を決議するための「臨時株主総会」が開かれた際も、「臨時株主総会議事録」の作成が必要です。

⑤株式譲渡承認通知書

取締役会・臨時株主総会で決議が行われた後、会社側は承認請求者に対して「株式譲渡承認通知書」を送付する手続きを実施します。

この通知は期限が決まっており、承認請求が行われた日から「2週間以内」に「承認・不承認の通知」を行わなければいけません。2週間以内に「株式譲渡承認通知書」が送付されなかった場合は、「株式譲渡の承認がされたもの」と認められます。

そのため、株式譲渡請求を「不承認」とした場合、会社側は期限内での通知書送付に注意することを覚えておきましょう。

⑥株式譲渡契約書

株式譲渡契約を締結するために必要な契約書が「株式譲渡契約書」です。「株式譲渡契約書」は、株式譲渡側・譲受側の双方が必要事項を記載しなければいけません。

⑦株式名義書換請求書

株式譲渡を成立させるために、株式譲渡側・譲受側は「株式名義書換請求書」を作成して、会社に提出します。

⑧株主名簿

「株主名簿」には、会社の各株主に関する基本情報が記載されています。「株主の氏名・名称および住所」「株主が所有する株式数および株式の種類」「株式が株式を取得した日」が基本です。

⑨株主名簿記載事項証明書交付請求書

株主名簿がきちんと書き換えられているか確認するには、「株主名簿記載事項証明書交付請求書」を会社に提出する必要があります。

⑩株主名簿記載事項証明書

「株主名簿記載事項証明書交付請求書」を提出すると、会社側から「株主名簿記載事項証明書」が発行されるので、この証明書を見て自分が株主となっているか確認可能です。

以上が、会社譲渡の手続きに必要な書類でした。多くの書類が会社譲渡に必要なので、忘れずに準備してください。

9. 会社譲渡した後の処遇

会社譲渡した後の処遇

会社譲渡は成立させたらそれで終わりではありません。会社譲渡を実施した後、対象会社の経営者や従業員、関係のあった顧客や取引先がどのようになるのか解説します。

経営者の処遇

会社譲渡が実施されたら、対象会社の経営権は譲受会社に移行します。経営権がなくなった経営者の処遇は、以下です。

  • 会社譲渡が完了した後、すぐに退任する
  • 譲受企業の相談役や顧問などの役職について、一定期間会社にとどまり引継ぎ作業などを行う

会社譲渡後に経営者の処遇がどのようになるかは、M&A交渉を進める中で決定します。交渉を入念に行い、後悔のないようにしましょう。

経営者・会社が持つ債権・債務・保証など

会社譲渡・株式譲渡を実施した場合、経営者・会社が持つ債権や債務、保証などはすべて、譲受会社に引き継がれます。経営者は債務・個人保証から解放されるのです。

「事業譲渡」を実施した場合は、債券・債務・保証がすべて引き継がれないため、注意してください。

従業員の処遇

会社譲渡が実行されると、従業員は全員、譲受側企業に引き継がれます。基本的に処遇も従来どおりとなるケースが多いです。会社譲渡が実施された後、リストラの実施や雇用条件の悪化などが起こるケースはめったにありません。

顧客・取引先の処遇

会社譲渡によって、環境が変化してしまうことで、関係のあった顧客や取引先に迷惑をかける可能性があります。顧客や取引先に不安を感じさせないようケアすることが大切です。

企業名の処遇

社員・取引先が混乱しないよう企業名は継続した方が有効なケースが多いため、譲渡側企業の企業名は、継続となるケースがほとんどです。ただし、譲受側のグループ企業であることを企業名で示すと、会社の成長にプラスとなることもあります。

企業名はどのようにするか、M&Aを行う際の契約で取り決めると納得できる処遇が取れるでしょう。

10. 会社譲渡で課される税務

会社譲渡で課される税務

会社譲渡・株式譲渡を実施すると税金が発生します。個人が株式を譲渡した場合は「所得税+住民税」が、法人が株式譲渡した場合は「法人税」がかかるのです。この場合、株式の売却益に課税されます。

所得税の金額は、「株式の譲渡所得×15%」で算出できます。住民税の金額は、「株式の譲渡所得×5%」です。法人税の金額は「譲渡益×法人税率(29%~42%)」で求められます。

税金について覚えておかなければ、後にトラブルとなるので注意しましょう。

【関連】会社譲渡の税金まとめ!株式譲渡と事業譲渡どちらが節税対策になる?

11. 会社譲渡の相場

会社譲渡の相場

会社譲渡を実施する際の「相場価格」が気になる方も少なくありません。しかし、会社譲渡の相場を断言するのは難しいです。会社譲渡の譲渡金額は対象企業の価値・資産・負債などによって差が出るからです。

会社譲渡を実施する会社の規模やその業界における動向などにより、それぞれの譲渡金額が変わります。「相場価格がこれくらい」と一概に表現できませんが、自社を会社譲渡する際にどれくらいの譲渡金額になるかは判断できます。

企業価値算定を行い自社の譲渡金額がどれくらいの相場になるのか把握すれば、会社譲渡手続きを進める際に相場よりも低い価格で交渉が進むのを未然に防げるのです。

12. 会社譲渡における売却価格の主な算定方法

会社譲渡における売却価格の主な算定方法

企業価値を算定する方法は、以下があるので紹介します。

  1. 時価純資産法
  2. DCF法
  3. 類似会社法

それぞれの企業価値算定方法を順番に確認しましょう。

①時価純資産法

「時価純資産法」は、帳簿上の全資産と負債を「時価」で評価し、純資産の金額を計算することで企業価値を算定する方法です。

②DCF法

「DCF法」とは、将来のキャッシュフローを「現在価値」に割り引くことで企業価値を算定する方法をいいます。会社譲渡をはじめとしたM&A実施の際に、最もよく利用される算定方法です。

③類似会社法

「類似会社法」は、会社譲渡の対象である会社と「同一業種・同一業界」の上場企業における株価を基にして、企業価値を算定します。

【関連】M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?算定方法を解説【事例・図解あり】

企業価値算定はM&A仲介会社に依頼を!

自社における譲渡価額の相場を把握するために、企業価値算定を実施することは非常に大切です。しかし、自分だけで行うのは簡単ではありません。企業価値算定サービスを提供するM&A仲介会社に算出を依頼しましょう。

M&A仲介会社をお探しの場合は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、無料の企業価値算定サービスを提供しております。

会社譲渡をご検討の方や自社の譲渡価額相場をお知りになりたい方は、どうぞお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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13. 会社譲渡で発生する費用

会社譲渡で発生する費用

ここでは、会社譲渡で発生する費用を見ていきましょう。

①着手金

一般的に着手金に相場はなく、会社の規模により算出されるので数十万円のケースもあれば数百万円のケースも見られます。会社譲渡が不成立となっても、着手金は返金されないことを覚えておきましょう。着手金がかからないM&A仲介会社もあります。

②中間金

会社譲渡の基本合意成立時に生じるのが中間金です。基本合意になると、一般的に売却側と買収側は会社譲渡に合意しているので、合意まで交渉を調整した成功報酬の意味合いがあります。

ただし、基本合意は会社譲渡の成立ではないため、合意してから買収をやめる会社もあるのです。着手金と同じく、中間金がかからないM&A仲介会社もあります。

③成功報酬

会社譲渡の成立時に生じる費用が成功報酬です。成功報酬は多くの場合、「レーマン方式」で算出されます。売却価格、総資産、負債額を基準として料率が変わるので、M&A仲介会社と契約する際に成功報酬の算出方法を確認してください。

14. 会社譲渡を成功させるポイント

会社譲渡を成功させるポイント

この章では、会社譲渡を成功させるポイントを解説します。譲渡側・譲受側それぞれが、会社譲渡の手続き前・手続きをするときに意識すべきポイントを押さえましょう。
 

  1. 他社にはない強み・アピールポイントを持つこと
  2. 事前準備を入念に行う・タイミングを誤らないこと
  3. 企業価値評価を行い適正価格の算出をすること
  4. 簿外債務などを事前に把握すること
  5. 会社譲渡の専門家に相談すること

①他社にはない強み・アピールポイントを持つこと

会社譲渡を成功させるためには、「他社にはない強み・アピールポイントを持つこと」が大切です。他社と差別化を図れるアピールポイントを提示できれば、スムーズに譲受企業・買い手企業を探し出せます。

②事前準備を入念に行う・タイミングを誤らないこと

会社譲渡の手続きに入る前に、「事前準備」を入念に行うことが大切です。「何を目的に会社譲渡を実施するのか」「どのような手法でM&Aを行うのか」などを十分に考える必要があります。

会社譲渡のタイミングを誤らないことも重要です。業界の市況が悪い・自社の業績が悪いタイミングで会社譲渡相手を募集すると、相手が見つからない、企業価値よりも低い金額で交渉が進んでしまうなどのリスクが起こり得ます。

③企業価値評価を行い適正価格の算出をすること

先述したとおり、企業価値評価を実施して自社の適正価格をしっかり把握すれば、過小評価された金額で交渉が進むのを防ぐことが可能です。

④簿外債務などを事前に把握すること

会社譲渡を成功させるために、「簿外債務などを事前に把握すること」が欠かせません。簿外債務などを把握するためには、「デューデリジェンス」を徹底します。

⑤会社譲渡の専門家に相談すること

会社譲渡を成功させたい方は、「M&A仲介会社」などのM&A専門家に相談することが大切です。M&A仲介会社では、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーが、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供します。

15. 会社譲渡の成功事例

会社譲渡の成功事例

ここでは、2021年に行われた会社譲渡の成功事例を紹介します。

2021年10月、トランスジェニックがルナパス合同会社の全株式を得て子会社化することを発表しました。株式の取得予定日は2021年11月1日で、取得価額は公開されていません。

トランスジェニックは、創薬支援と投資・コンサルティングを主に手掛けるグループ企業の持株会社で、ルナパス合同会社は、長期毒性試験やがん原性試験の病理ピアレビューサービスを行う会社です。両社とも、医療業界に属しています。

買収側であるトランスジェニックのM&Aにおける目的は、主な事業である創薬支援サービスを補完し強めることです。

ルナパス合同会社は、需要が高く経験・専門知識が求められる長期毒性試験やがん原性試験の病理ピアレビューを実施しているので、子会社にすることで創薬支援事業のブランド力を上げ国内の医薬品開発における試験データの質と信頼性の確保を狙っています。

16. 会社譲渡の案件一覧

会社譲渡の案件一覧

M&A総合研究所に登録されている会社譲渡案件を紹介します。どのような会社が譲渡希望・買い手募集をしているのか、また、どのくらいの譲渡金額を希望しているのか、以下の案件でご確認ください。

建設会社
所在地エリア 関東・甲信越
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡・売却希望価額 1億円〜2.5億円
譲渡・買い手募集の理由 後継者不足の解消
アピールポイント ・宅地造成、盛土、整地などの土木工事や造成工事、道路改良工事、外構工事など実績が多種
・1級土木施工管理技士:1名、2級土木施工管理技士:3名

イベント企画・運営
所在地エリア 中部
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡・売却希望価額 5,000万円〜1億円
譲渡・買い手募集の理由 戦略の見直し(新規事業への取り組み)
アピールポイント ・さまざまな業種や業態からの依頼に対応でき企画力がある
・イベントの口コミにより全国から依頼あり

給食委託業務
所在地エリア 四国
売上高 5億円〜10億円
譲渡・売却希望価額 1億円〜2.5億円
譲渡・買い手募集の理由 後継者不足の解消
アピールポイント ・大手企業との強固な顧客基盤があるため安定的な売上を毎年確保
・ほかの大手企業との取引も予定している(業績拡大の予定)

17. 会社譲渡を行う際の相談先

会社譲渡を行う際の相談先

「会社譲渡の手続きを安全・スムーズに進めたい」「自社の譲渡価額相場を把握しておきたい」「会社譲渡時の契約書をしっかり作成したい」などと考える際は、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。

M&A総合研究所では、M&A・事業承継に関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問合せください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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18. 会社譲渡のまとめ

会社譲渡のまとめ

当記事では、会社譲渡とは何か、会社譲渡の手続き方法や流れ、会社譲渡のメリット・リスク、会社譲渡を成功させるためのポイントなどを解説しました。

【自主的に会社譲渡を検討する理由】

  1. アーリーリタイアを考えた
  2. 事業の将来性を感じなくなった
  3. 新しい事業・会社を起ち上げたくなった

【会社譲渡を成功させるためのポイント】

  1. 他社にはない強み・アピールポイントを持つこと
  2. 事前準備を入念に行う・タイミングを誤らないこと
  3. 企業価値評価を行い適正価格を知ること
  4. 簿外債務などを事前に把握すること
  5. 会社譲渡の専門家に相談すること

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