新設合併とは?メリット・デメリットを解説!【事例10選あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

新設合併とは合併方法の1つで、さまざまなメリットやデメリットがあります。本記事では、新設合併とはどのような合併方法なのか、新設合併の合併手続きやメリット・デメリットについて、事例と共に解説します。新設合併の事例ではさまざまなケースをご紹介します。


目次

  1. 新設合併とは?
  2. 新設合併のメリット
  3. 新設合併のデメリット
  4. 新設合併の手続き・流れ
  5. 新設合併の事例10選
  6. 市町村の新設合併とは
  7. 新設合併についてのまとめ
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1. 新設合併とは?

新設合併とは?

新設合併のメリット・デメリットをご紹介する前に、まず新設合併とはどのような合併方法なのかを解説します。そもそも合併とは何なのでしょうか。

合併を行うことで、2つ以上の法人格は資産や負債などを統合します。他のM&A手法と違うのは、合併すると被合併会社は消滅会社となり法人格を失うことです。買収の場合は売却企業の経営権を取得しますが、買収された会社の法人格は残ります。

合併方法には吸収合併と新設合併がありますが、本記事では新設合併のメリット・デメリットを事例と共にご紹介します。

新設合併とは何か、新設合併と吸収合併の共通点と違いを解説します。

【関連】合併(吸収合併)と買収の違いは?M&A手法を徹底解説!

会社法第2条28号が定義する新設合併

新設合併とは、合併当事会社とは別に新しく会社を設立し、当事会社の全ての資産や負債などを新設会社に引き継ぐ合併方法です。この時合併当事会社の法人格はどちらも消滅します。

新設合併と吸収合併の違いについては後述しますが、新設合併の方が吸収合併よりもメリットが少なくデメリットが多いため、大半の合併は吸収合併を採用しています。

新設合併と吸収合併の共通点と違い

新設合併とは当事会社の法人格が消滅し、新設会社に資産や負債などが引き継がれる合併方法と解説しました。一方吸収合併とは、存続会社に消滅会社の資産や負債などが引き継がれる合併方法のことです。

新設合併と吸収合併には共通するメリット・デメリットもあれば、違ったメリット・デメリットもあります。新設合併と吸収合併の共通点と違いについて解説します。

共通点

新設合併と吸収合併には、どちらも存続会社と消滅会社が存在します。消滅会社のサービスや技術、人材などは全て消滅会社から存続会社に渡されます。

また、新設合併と吸収合併は存続会社に引き継ぐ財産を選択できないという共通点もあります。事業譲渡の場合は引き継ぐ財産と引き継がない財産を選択することができますが、新設合併や吸収合併では負債も丸ごと引き受けなければなりません。

違い

吸収合併では基本的に消滅会社の許認可や免許も引き継がれますが、新設合併では存続会社に消滅会社の許認可や免許は引き継がれません。合併後に再度許認可や免許の取得をすることとなります。

また、吸収合併の場合は何事もなければ上場が取り消されることはありませんが、新設合併の場合は一旦上場廃止となります。合併後上場の再申請が必要です。

合併の申請時にかかる登録免許税にも違いがあります。吸収合併の場合は、資本金の増加分のみに対して1000分の1.5を乗じた登録免許税がかかります。しかし新設合併の場合は、資本金自体に1000分の1.5を乗じた登録免許税がかかります。

合併規模が大きくなるほど、吸収合併と新設合併で登録免許税にかかる金額の差は大きくなります。

  共通点 違い
新設合併 ・存続会社と消滅会社が存在する
・引き継ぐ財産を選択できない
・許認可や免許が引き継がれない
・上場廃止となる
・資本金に対して登録免許税がかかる
・合併の対価として現金の受け渡しができない
吸収合併 ・存続会社と消滅会社が存在する
・引き継ぐ財産を選択できない
・許認可や免許を引き継げる
・上場が維持される
・資本金の増加分に対して登録免許税がかかる
・合併の対価として現金の受け渡しができる

【関連】【保存版】吸収合併とは?吸収合併・新設合併との違いやメリット・デメリットを解説!

2. 新設合併のメリット

新設合併のメリット

メリットの多さから吸収合併が選択されることがほとんどですが、新設合併にもメリットがあります。新設合併のメリットには

  • メリット①新設合併による見込めるシナジー効果
  • メリット②新設合併により拡大する会社の規模
  • メリット③新設合併におけるイメージ

主にこれらのメリットがあります。それぞれのメリットについて解説します。

新設合併による見込めるシナジー効果

新設合併によって企業のリソースをうまく統合することができれば、さまざまなシナジー効果が得られるメリットがあります。

関連事業を営んでいる企業同士が新設合併すれば事業シナジーのメリットが得られます。優秀な従業員が1つの会社に集まることで人材のシナジーを発揮できるメリットもあります。

システムの統合により業務の効率化やコスト削減が見込めるというメリットも考えられます。

新設合併により拡大する会社の規模

新設合併によってスケールメリットが得られます。同業種同士の新設合併により、業界のシェアを拡大できるメリットがあります。商品の販売網やサービスの提供範囲が広がります。

大量仕入れや大量生産が可能になることでコストを抑えることができるメリットもあります。

他業種同士の新設合併では経営の多角化によるメリットが得られます。変化の速い現代では、1つのビジネスだけで生き残っていくことが厳しくなっています。事業を多角化することによって経営のリスクヘッジができるというメリットがあります。

新設合併におけるイメージ

吸収合併された消滅会社の従業員は、吸収された側という立場の弱さや肩身の狭さなど、ネガティブなイメージを持ちやすいというデメリットがあります。また、買収されて子会社化された企業の従業員やも同じくネガティブなイメージを抱きがちです。

世間的なイメージでも、吸収合併や買収された企業は経営状態が良くなかったから吸収合併や買収をされたのではないかと思われてしまうことがあります。

しかし新設合併は当事会社が解散して新設会社での新たなスタートとなります。平等な合併なのだということをアピールしやすいので、従業員としても世間的にも良いイメージが付きやすいというメリットがあります。

3. 新設合併のデメリット

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新設合併のデメリット

新設合併にはメリットがありますが、デメリットもいくつかあります。

  • デメリット①新設合併までに多くの手続きが必要
  • デメリット②企業文化の違いによるPMI負担
  • デメリット③被合併会社の株主への対応

これらのデメリットについて解説します。

新設合併までに多くの手続きが必要

新設合併は新たに会社を設立することになるので、吸収合併に比べて多くの手続きが必要となるデメリットがあります。

吸収合併では存続会社のシステムをある程度そのまま使うこともできますが、新設合併では統合後のシステムやルールなどを整備し直さなければなりません。

また、前述したように許認可や免許の取得、上場企業の場合は上場の再申請など、吸収合併に比べて手間と時間のかかる手続きが多くなるデメリットがあります。

企業文化の違いによるPMI負担

新設合併では、企業文化の違う会社同士が1つの会社として融合することになります。理念や風土、ルールの違う会社同士がスムーズに融合するには、合併前にPMIをしっかりと練っておく必要があります。

PMIとは、一言で言うと統合後の管理方法のことです。新設合併に限らず、M&Aを進める際にはこのPMIをどれだけ的確に計画できるかが重要です。PMIに失敗すると、役員や優秀な従業員の大量流出を招いてしまいます。

新設合併の場合は吸収合併や他のM&A手法に比べて、統合後マネジメントの負担が大きいというデメリットがあります。

合併前に当事会社同士が納得のいく統合計画を立てて、合併後には速やかに役員や従業員の不安や不満を解消していくことで、デメリットは抑えることができます。

被合併会社の株主への対応

新設合併のデメリットとして、株主への対価の違いもあります。吸収合併では合併の対価として、消滅会社の株主に現金の受け渡しが可能です。しかし新設合併では現金の受け渡しはできません。

吸収合併の場合は存続会社に既に株主が存在しますが、新設合併の場合は存続会社の株主を確保する必要があります。そのため、株主へ現金の受け渡しはできないというデメリットがあります。

4. 新設合併の手続き・流れ

新設合併の手続き・流れ

新設合併の手続き・流れは、下に作成したフローチャートのように進んでいきます。

新設合併を行うことが決定したら、合併の手続きに入る前に債権者や各方面の関係者に説明をします。その後取締役会で承認が得られれば、具体的な合併の手続きに進みます。

合併当事会社で合併契約が締結されたら、債権者や株主保護のための手続きを進めます。株主総会で株主の承認が得られて新設合併の効力発生日を迎えることができれば、速やかに登記申請手続きなどを済ませることで新設合併の手続きは完了となります。

新設合併の手続き・流れ①

5. 新設合併の事例10選

新設合併の事例10選

実際に新設合併を行った事例を10例集めました。株式会社の新設合併だけではなく、さまざまな組織の事例を集めています。

  • 株式会社三越(現:三越伊勢丹ホールディングス)
  • アドバンス・レジデンス投資法人
  • 株式会社スマートメディア
  • 富士ゼロックスマニュファクチュアリング
  • 野村不動産マスターファンド投資法人
  • 東洋製罐グループホールディングス株式会社
  • 大阪公立大学
  • 堺平成病院
  • 鹿児島みらい農業協同組合
  • 栃木県栃木市
これらの新設合併事例をご紹介します。

事例①株式会社三越(現:三越伊勢丹ホールディングス)

新設合併の事例10選①

平成15年に三越は、子会社である名古屋三越、千葉三越、鹿児島三越、福岡三越と新設合併を行い、新しく株式会社三越を設立しました。新設合併により上場廃止となり、改めて新規上場しています。

その後三越は伊勢丹と合併し、三越伊勢丹ホールディングスとなっています。

事例②アドバンス・レジデンス投資法人

新設合併の事例10選②

アドバンス・レジデンス投資法人は、不動産に投資する投資信託を扱う投資法人です。賃貸住宅に特化した投資信託を扱っています。

アドバンス・レジデンス投資法人は、2010年に旧アドバンス・レジデンス投資法人と日本レジデンシャル投資法人の新設合併によって設立されました。どちらも東証REIT市場に上場していましたが、新設合併によって新規上場しています。

事例③株式会社スマートメディア

新設合併の事例10選③

PR会社のベクトルは、WEBメディアを運営する子会社「ラフティック」「オープナーズ」「JION」「ラグル」の四社を合併して新会社「スマートメディア」を設立しました。

スマートメディアは、恋愛やファッション、ライフスタイルなど、複数のWEBメディアでさまざまなジャンルの記事を提供しています。ゼロから育てるのは時間とお金がかかるWEBメディアですが、買収と合併によって急成長しています。

事例④富士ゼロックスマニュファクチュアリング

新設合併の事例10選④

富士ゼロックスは、新会社の富士ゼロックスマニュファクチュアリングを存続会社として、子会社の富士ゼロックスイメージングマテリアルズ、鈴鹿富士ゼロックス、新潟富士ゼロックス製造を新設合併しました。

新設合併によって富士ゼロックスマニュファクチュアリングは、各社に分散していた業務を効率化し、優秀なエンジニアを補強して生産力と技術力を高めました。

事例⑤野村不動産マスターファンド投資法人

新設合併の事例10選⑤

旧野村不動産マスターファンド投資法人は、2015年に野村不動産オフィスファンド投資法人、野村不動産レジデンシャル投資法人と新設合併を行い、新野村不動産マスターファンド投資法人となっています。

この新設合併により、不動産投資ポートフォリオの半分近くをオフィスが占めています。合併後も格付け会社から高い評価を得ている投資法人です。

事例⑥東洋製罐グループホールディングス株式会社

新設合併の事例10選⑥

東洋製罐グループホールディングス株式会社は、平成25年にタイにある子会社3社を、新設合併によって新子会社を設立しました。事業内容はプラスチック製品の製造販売やペットボトルの製造販売などを行なっています。

東洋製罐グループホールディングスは容器包装製造事業を中心として、国内だけでなく世界中にグループ会社が存在します。タイでも複数の会社を展開していますが、新設合併によって主力事業の効率化を進めています。

事例⑦大阪公立大学

新設合併の事例10選⑦

大阪公立大学は、公立大学法人大阪府立大学と、公立法人大阪私立大学の新設合併によって2019年から経営開始することが決まっています。

多くの私立大学が厳しい経営状態に陥っている中、公立大学も少子化によって今後経営が厳しくなっていくことが予想されます。近年新規の大学設立が難しくなっている中、大学同士の合併などによって再編が進んで行く可能性が高くなっています。

事例⑧堺平成病院

新設合併の事例10選⑧

大阪にある堺温心会病院と浜寺中央病院が合併し、2019年に堺平成病院が新設されます。堺温心病院は昭和41年設立、浜寺中央病院は昭和26年設立と、どちらの病院も長く経営を続け、その間病院の増改築を繰り返しています。

建物の老朽化が進んだことから合併の話が進み、新病院の設立となりました。これにより設備投資の効率化や人材の集中が可能になります。病院の老朽化による合併の例は他にも増えてきています。

事例⑨鹿児島みらい農業協同組合

新設合併の事例10選⑨

鹿児島みらい農業協同組合は、2018年3月にJAグリーン鹿児島、JAかごしま中央、JA東部の新設合併によって生まれました。国や農協自体が合併を推進していることもあって、農協の市町村単位での広域合併は年々進んでいます。

農協の合併推進が始まって20年以上経ちますが、農協の広域合併はスケールメリットや経営の効率化が見込めるとして、まだまだ再編は進む予定です。

事例⑩栃木県栃木市

新設合併の事例10選⑩

栃木県の栃木市は、平成22年に栃木市、下津加群大平町下津加群藤岡町、下津加群都賀町の新設合併によって誕生しています。栃木市はその後平成23年にも編入合併を行なっています。

市町村合併はこれまで多くの市町村で進められてきましたが、これからまだ合併の予定がある市町村は多くの都道府県に存在しています。地方の過疎化が進む限り市町村の合併再編もまだまだ進んで行くことになります。

6. 市町村の新設合併とは

市町村の新設合併とは

事例の1つに市町村の新設合併をご紹介しました。市町村合併には新設合併と編入合併があります。合併の定義は企業の合併とほぼ同じです。

市町村の新設合併は、2つ以上の市町村が合併して新たな法人格が発生します。編入合併は、既に存在する市町村に消滅する市町村が編入されます。法人格は編入する法人格が継続します。

市町村合併は企業の合併とは別物ですが、定義や考え方には近いものがあります。

7. 新設合併についてのまとめ

新設合併についてのまとめ

新設合併とはどのような合併方法なのかについて、メリット・デメリットや事例も踏まえながら解説してきました。

新設合併では新しい会社に全ての資産や負債などが引き継がれます。合併当事会社にとって平等感のあることがメリットですが、手続きの多さや税金の支払いなどにデメリットがあります。

そのため実際の合併ではデメリットの少ない吸収合併を選ぶ企業がほとんどです。しかし複数の子会社同士の合併などではデメリットよりもメリットの方が大きい場合もあることから、新設合併を選ぶケースもあります。

新設合併を行う場合は、新設合併のメリット・デメリットを総合的、長期的に判断し、デューデリジェンス(企業調査)やPMIを徹底的に行う必要があります。

適格なデューデリジェンスやPMIには豊富な経験と実績を持った専門家の協力が欠かせません。合併を検討する際は、専門家に相談することをおすすめします。

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