精密部品製造業界のM&A・売却・買収!事例や動向、価格相場を解説

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事は、精密部品製造業界のM&A・売却・買収に関して、近年のM&A動向やM&A価格相場を解説します。精密部品製造業界のM&A・売却・買収事例、精密部品製造業界のM&A・売却・買収を成功させるポイントも紹介します。

目次

  1. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収・事業承継
  2. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収事例19選
  3. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収動向
  4. 精密部品製造業界のM&A・売却理由
  5. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収価格相場
  6. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収のフロー
  7. 精密部品製造業界のM&A・売却を成功させるポイント
  8. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収時におすすめの相談先
  9. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収まとめ
  10. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧
  11. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧
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1. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収・事業承継

本記事では、精密部品製造業界のM&A事例や動向を紹介しますが、まずは精密部品製造業界の定義や、M&A・事業承継の意味を解説します。

精密部品製造業界とは

精密部品製造業界とは、精密機器を構成する高精度の部品製造を行う業界のことです。

精密部品を用いた機器は、家電などの電気機器・IT機器・検査機器・計測機器・医療機器・福祉機器・通信機器・事務機器など多岐に渡ります。

電子部品業界の定義

電子部品などを製造する業界が、電子部品業界です。電子部品は、自動車やスマートフォンなどに組み込まれます。電子回路に用いる部品を電子部品といい、能動部品・受動部品・機構部品の3種類に分かれます。

電子部品業界の特徴

日本の電子部品業界には高い技術があり、海外へのシェアを広げています。電子部品業界は、組立メーカーと関わりが深く、最終製品メーカーの新製品登場や新技術台頭に多大な影響を受ける特徴があります。

ただし、電子部品業界は、海外の格安スマートフォンが登場により、生産量と利益率が下がっている状況です。とはいえ、「IoT=Internet of Things」向けの需要が広がっており、昨今は新規市場開拓に取り組んでいます。今後の電子部品業界の有望市場は、5G無線通信サービスです。

電子部品業界の市場規模

IHSマークイットジャパン合同会社の「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子デバイス産業及びその関連産業における市場動向及び政策動向調査)報告書」をみると、2017年における電子部品業界の市場規模は約24兆円です。

日本の電子部品市場は世界の電子部品市場に対して約7%ですが、日系電子部品メーカーの世界におけるシェアは38%で高い海外売上比率を記録しています。自動運転技術の発達により車載機器の需要増加が見込まれるため、今後は日本市場のシェア回復が期待できます。

参考:IHSマークイットジャパン合同会社「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子デバイス産業及びその関連産業における市場動向及び政策動向調査)報告書」2019年2月28日

電子部品業界の課題と展望

電子情報技術産業協会による「電子部品技術ロードマップ」をみると、2028年までの技術進化をけん引する4大領域が、ヒューマンライフ・モビリティ・インダストリー・6次産業とされています。これらに共通する点は、2050年に起こると考えられる超スマート社会Society5.0です。

Society5.0の実現に向けて、日本はIoT・AI・ビッグデータ・ロボット・センサーを生かしながら、社会システムにおける効率化・全体最適化の推進に取り組んでいます。電子部品の技術進化は、Society5.0を支える基礎といえます。

参考:電子情報技術産業協会「電子部品技術ロードマップ 電子部品技術基礎編の公開」

M&A・売却・買収とは

M&Aとは、会社・事業の売買や法人の統合などに用いる手法の総称です。M&Aによる売却・買収の場合は、株式譲渡事業譲渡などの手法を用いて会社・事業の売買を行うことを意味します。

精密部品製造業界では、M&Aによる売却・買収が活発に行われており、事業規模の拡大や製品・技術・人材の獲得、経営資本の獲得、経営の立て直しなど、さまざまな目的が掲げられています。

事業承継とは

事業承継とは、現経営者から後継者へ経営権を渡す行為のことです。精密部品製造企業数の多くを占める中小企業は、後継者不在のため事業継続が困難となり、貴重な技術が失われる事態に陥っています。

近年、製造業と地域経済を守るため、国や地方自治体・民間機関などが連携し、事業承継を積極的に支援している状況です。

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2. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収事例19選

ここからは、精密部品製造業界のM&Aによる売却・買収事例を紹介します。

  1. 横浜ゴムによるWheel Systems事業の買収
  2. 大泉製作所によるフェローテックHDとの資本業務提携
  3. 日清紡HDによる新日本無線とリコー電子デバイスの合併
  4. フェローテックHDによるRMT社の買収
  5. シークスによるSIIX EMS(THAILAND)への事業譲渡
  6. ウイルテックによるサザンプランの買収
  7. テクノホライゾンHDによるブルービジョンの買収
  8. マルカによるミヤザワの買収
  9. ムロコーポレーションによるイガリホールディングスの買収
  10. 由紀ホールディングスによる仙北谷の買収
  11. ヤマシナによる山添製作所の買収
  12. 進和によるダイシンの買収
  13. 平山ホールディングスによる平和鉄工所の買収
  14. 加賀電子による富士通エレクトロニクスの買収
  15. カネミツによる松本精工の買収
  16. シェアリングテクノロジーによる電子プリント工業の買収
  17. あいホールディングスによるイシモリテクニックスの買収
  18. ブイ・テクノロジーによるLumiotecの買収
  19. ツバキ・ナカシマによるNN, INC.の精密ベアリング部品製造事業譲渡

①横浜ゴムによるWheel Systems事業の買収

2022年3月、横浜ゴムはスウェーデンのTrelleborg ABより、Trelleborg Wheel Systems Holding AB社の株式すべてを取得すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、古河グループのタイヤ・ゴムメーカーです。ヨコハマタイヤのブランド名で知られているほか、ドイツのコンチネンタルタイヤの販売元でもあります。対する売却側は、スウェーデンを拠点に、農業機械用や産業車両用タイヤなどの生産販売事業を展開している企業です。

本件M&Aにより、買収側では、商品ブランド体系の完成・サービス体制・DXの活用・販売における地域補完・新車装着タイヤ納入などの強化を図っています。今後はタイヤ商品やサービスの研究開発・生産・販売・品質・ESGなどの領域において、両社の強みを融合させ、オフハイウェイタイヤ事業のさらなる成長を目指すと発表しています。

②大泉製作所によるフェローテックHDとの資本業務提携

2021年3月、大泉製作所はフェローテックホールディングスと資本業務提携契約を結ぶことを決めています。

大泉製作所は、フェローテックホールディングスにおけるグローバルネットワークの活用が高品質製品の販売強化となり、フェローテックホールディングスが持つ生産技術・品質管理ノウハウなど経営資源の効果的な活用が両社の企業価値向上にもつながると考え、契約に合意しました。

③日清紡HDによる新日本無線とリコー電子デバイスの合併

2021年1月、日清紡ホールディングスは日清紡グループの連結子会社である新日本無線とリコー電子デバイスを合併して統合することを決めています。新設の会社名は「日清紡マイクロデバイス」です。

これにより、日清紡ホールディングスは、電子デバイス製品・マイクロ波製品の設計・製造販売などを行うことを狙っています。

④フェローテックHDによるRMT社の買収

2020年10月、フェローテックホールディングスは連結子会社のFerrotec Europe GmbHを通じて、RMT Ltd.,の出資金持ち分のうち78.96%(議決権所有割合:60.0%)を得て連結子会社にしました。

これにより、フェローテックホールディングスは、サーモモジュール製品のラインアップ強化、5Gなどの通信基地局、EV用各種センサーなど付加価値が高い製品の需要を積極的に取り込むことによる電子デバイス事業の成長・企業価値の向上を見込みます。

⑤シークスによるSIIX EMS(THAILAND)への事業譲渡

2020年9月、シークスは連結子会社であるSIIX Bangkok Co., Ltd.の全事業を連結子会社のSIIX EMS(THAILAND)CO.,LTD.へ譲渡することを決めました。これにより、シークスは、タイでの事業をSIIX EMS(THAILAND)CO.,LTD.に集約し、業務コストの削減などを狙います。

⑥ウイルテックによるサザンプランの買収

2020年6月、ウイルテックはサザンプランの全株式を得て、完全子会社にすることを決めました。これにより、ウイルテックは、今までに築いた修理サービス事業などとサザンプランが有する再生技術との連携、流通のノウハウを活用した電子部品の販売力強化によるさらなる企業価値向上を狙います。

⑦テクノホライゾンHDによるブルービジョンの買収

2020年5月、テクノホライゾン・ホールディングスは、連結子会社であるタイテックがブルービジョンにおける発行株式のうち1,460株(81.11%)を得ることを決めました。

これにより、テクノホライゾン・ホールディングスは、ブルービジョンの製品や技術をグループ内に取り込んでシナジー効果を高めることを狙っています。

⑧マルカによるミヤザワの買収

2019年7月、マルカは精密機械板金や精密部品加工などを行っているミヤザワを株式取得により子会社化しました。食品機械を扱う部門を作り、東南アジアや国内における食品機械の販売拡大に力を注いでいるマルカは、今回の子会社化により、食品機械事業を広げるためのシナジーの最大化を見込んでいます。

⑨ムロコーポレーションによるイガリホールディングスの買収

2019年3月、ムロコーポレーションは精密樹脂成形部品メーカーのイガリホールディングスと株式譲渡契約を締結し、子会社化しました。

ムロコーポレーションは自動車向け精密プレス部品を製造・販売しており、イガリHDとその子会社であるいがり産業を中心とした「いがりグループ」を傘下に加えることで、自動車向け精密樹脂部品のラインアップを拡充し、取引先への提案力強化を図ります。

⑩由紀ホールディングスによる仙北谷の買収

2019年2月、由紀ホールディングスは航空宇宙関連部品を製造する仙北谷の全株式を取得し、子会社化しました。由紀HDグループの由紀精密は精密切削加工を営み、仙北谷とは長年取引や交流を続けています。

由紀HDは、自社グループと事業シナジーの高い仙北谷をグループに迎え、航空宇宙関連部品や産業機器部品分野の事業強化を図っています。

⑪ヤマシナによる山添製作所の買収

2019年2月、ヤマシナは自動車向けネジメーカーの山添製作所と株式譲渡契約を締結し、子会社化しました。ヤマシナは山添製作所と同じく自動車向けのネジ製造を主事業とし、山添製作所を子会社化することで、ネジの開発・製造・営業分野でシナジー効果を得る見込みです。

⑫進和によるダイシンの買収

2019年1月、進和は自動車向けプラスチック精密樹脂製品の製造・販売を行っているダイシンを、株式譲渡と簡易株式交換により完全子会社化しました。

進和は自動車関連産業向け製品の製造・販売を中心とした事業を展開しており、ダイシンを子会社化することで、車載部品の製造・販売分野へ新規参入し、新規顧客の獲得や既存顧客から新たなニーズを引き出すことを期待しています。

⑬平山ホールディングスによる平和鉄工所の買収

2018年12月、平山ホールディングスは産業機械部品などの製造を行っている平和鉄工所と株式譲渡契約を締結し、子会社化しました。平山HDは製造業界の請負・人材派遣・コンサルティングなどを行っていますが、平和鉄工所を子会社化することで、平和鉄工所の技術獲得と請負・派遣先の拡大を図っています。

⑭加賀電子による富士通エレクトロニクスの買収

2018年9月、加賀電子は電子デバイス製品の設計・開発・販売を行っている富士通エレクトロニクスと株式譲渡契約を締結し、子会社化しました。メーカー系列に属さない独立系商社の加賀電子は独自技術や商品を持たないことが弱みでしたが、富士通エレクトロニクスを子会社化し、商材や事業領域の拡大を図り世界で通用する企業を目指しています。

⑮カネミツによる松本精工の買収

2018年5月、カネミツは自動車用電装部品などの製造・販売を行う松本精工と株式譲渡契約を締結し、子会社化しました。カネミツは、自動車用・農業機械用鋼板製プーリの開発・製造・販売をコア事業とし、海外展開も行っていますが、松本精工の子会社化で、内燃機関以外における部品開発の強化を図ります。

⑯シェアリングテクノロジーによる電子プリント工業の買収

シェアリングテクノロジーは2018年2月、電子機器部品であるプリント配線板の製造・販売を行う電子プリント工業と株式譲渡契約を締結し、子会社化しました。シェアリングテクノロジーは電子プリント工業が大手電機メーカーから安定的な受注を獲得しているため、グループに迎えることで両社の企業価値拡大につながると判断し、買収に至っています。

⑰あいホールディングスによるイシモリテクニックスの買収

2018年2月、あいホールディングスは電気器具用精密部品の製造・販売を行っているイシモリテクニックスと株式譲渡契約を締結し、子会社化しました。あいHDはセキュリティ機器・カード機器・事務用機器などの開発や販売を行っており、イシモリテクニックスの子会社化により、IoT機器の開発でシナジー効果を得ています。

⑱ブイ・テクノロジーによるLumiotecの買収

2018年2月、ブイ・テクノロジーは有機EL照明パネルの製造・販売を行っているLumiotecを、親会社の三菱重工業から譲受しました。ブイ・テクノロジーは、自社グループで取り組んでいる有機EL関連ビジネスとのシナジー効果が高いと判断し、Lumiotecの買収に至っています。

⑲ツバキ・ナカシマによるNN, INC.の精密ベアリング部品製造事業譲受

2017年7月、ツバキ・ナカシマはアメリカを拠点に精密ベアリング部品や産業用プラスチック製品、精密金属部品の製造・販売を行っているNN, INC.から、精密ベアリング部品製造事業を譲受しました。

ツバキ・ナカシマは精密ベアリング部品製造事業の取得により、サービスレベルの向上とグローバル展開の強化、製品の相互補完による成長を見込みます。

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3. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収動向

近年の精密部品製造業界におけるM&A動向は、主に以下のとおりです。

  1. 精密部品製造の技術目的のM&Aが行われている 
  2. アジア諸国の低単価の影響により競争力が求められる
  3. 同業種・異業種からのM&Aが活発

①精密部品製造の技術目的のM&Aが行われている

近年の精密部品製造業界では、技術獲得を目的とするM&Aが目立っている状況です。精密部品業界で製造される製品は受注案件ごとのオーダーメイドも多いため、製造技術を獲得するとその分野における受注を半ば独占できます。大手企業からの精密部品製造を安定受注している企業を、M&Aにより買収するケースがみられます。

②アジア諸国の低単価の影響により競争力が求められる

日本の精密部品製造業界は、精度の高い精密部品製造技術で差別化を図ってきました。しかし、近年はアジア新興国メーカーの品質が向上し、価格競争が起きている状況です。

そこで、新興国メーカーが日本の技術をM&Aなどで獲得し、低価格で精度がある程度高い精密部品製造を行うケースも増えています。日本の精密部品製造企業に対しても、一定以上の精度で低価格の製品を短期間で製造するよう要求されるケースが増えている状況です。

③同業種・異業種からのM&Aが活発

近年は、IoT(モノのインターネット)の普及や自動車業界の大転換などにより、多様な業種からのM&Aが増加しています。

特に海外で戦うには、幅広い要求に応えられる製造力が求められるため、海外展開している異業種企業によるM&Aが見られる状況です。

  • 業務・産業用機械製造会社のM&A・事業承継

4. 精密部品製造業界のM&A・売却理由

精密部品製造業界のM&A・売却理由を当事会社それぞれの立場に分けて解説します。

売却側の理由

精密部品製造業界では、主に以下のような理由でM&A・事業承継による売却が実施されています。

  1. 後継者問題の解決 
  2. 将来的な競争力の不安
  3. 独自では海外進出が難しいと判断
  4. 倒産・廃業を回避
  5. 売却益の獲得

①後継者問題の解決

精密部品製造業界は町工場のような中小企業が支えていますが、多くの企業が後継者問題を抱えている状況です。

かつては親族や社内に後継者がいない場合は廃業を選択するケースが大半でしたが、国や地方自治体による認知度向上施策もあり、近年は第三者へのM&A・事業承継によって会社を売却するケースが急増しています。

②将来的な競争力の不安

海外企業との競争激化により、発注企業からの要求はますます厳しくなっています。しかし、原材料費の高騰などにより、多くの中小精密部品製造企業は不安を抱えながら事業を続けている状況です。

そこで、M&A・事業承継により大手資本の傘下に入り、会社の存続を図るケースも多いです。

③独自では海外進出が難しいと判断

海外企業からの受注も多い精密部品製造業界ですが、海外に製造・販売拠点を設けるには、資金力・コネクション・指導者人材の面で課題のある企業もあります。そのような理由から、他企業と協業して海外展開を図るケースもみられます。

④倒産・廃業を回避

倒産や廃業は負債を抱えたり従業員や取引先を困らせたりするなどデメリットが多いため、なかなか踏み切れない経営者が少なくありません。

近年はM&A・事業承継による売却のメリットが周知され、倒産や廃業を回避するためにM&A・事業承継を選択する企業が増えています。

⑤売却益の獲得

M&A・事業承継の場合、経営者は譲渡・売却益を獲得できるため、負債を抱えながら経営を続けている多くの中小精密部品製造企業にとって大きなメリットです。

負債の解消やリタイア後における生活費確保などの目的で、M&A・事業承継による売却を選択するケースも比較的多いです。

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買収側の理由

精密部品製造業界では、主に以下のような理由でM&Aによる買収が行われています。

  • ほかのエリアの生産拠点を確保できる
  • ほかの分野の生産技術を獲得できる
  • 相手側企業の顧客に対しても提案できるうえに、アッセンブリーの受注も狙える

アッセンブリーとは、部品などの組立てのことです。企業によっては、ライン作業全般をアッセンブリーと呼ぶこともあります。

5. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収価格相場

精密部品製造業界のM&A価格は、どのように算定されるのでしょうか。ここでは、企業価値の算定方法や、精密部品製造企業の企業価値算定にプロのサポートが必要な理由を解説します。

企業価値評価の算定方法

精密部品製造企業の企業価値評価は、直近の会社資産価値をベースに、将来の収益力や買い手企業との事業シナジー・製品力や販売力など、有形および無形の営業権(のれん)を上乗せして算定します。

精密部品製造企業の場合は、製品の精度が差別化要因となるため、高精度な製品製造技術を持っていると、企業価値評価も高くなるのが一般的です。

企業価値の算出はプロに任せるべき理由

簡易的な企業価値算定は、企業の決算資料を読むことで、専門家でなくても可能です。しかし、実際には精密部品製造企業の場合、景気の波や製造業界のトレンド動向、業績などに大きく左右されます。

数値化するのが難しい無形資産の価値も的確に分析する必要があるため、本格的な企業価値算定を行うのであれば、プロのサポートが必要です。

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6. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収のフロー

この章では、精密部品製造業界のM&A・売却・買収のフローを確認します。

①M&A仲介会社への相談・依頼

まずは、M&A仲介会社などへの相談・依頼です。M&Aには専門的な知識が欠かせないため、経営者・経営陣のみで実施するのは現実的ではありません。日々の経営を行いながら進めるため、交渉先を探すことに時間を作るのも難しいのが現状です。

M&A仲介会社などの専門家に相談・依頼すると、専門的なアドバイスやサポートをもらいながら、円滑にM&Aが進みます。日々の常業務に対する影響も最小限に抑えられます。

②相手先企業とのマッチング

次は、相手先企業とのマッチングです。M&A仲介会社が紹介してくれる希望条件に合う複数の候補から、交渉を進めたい会社を絞り込みます

相手先との交渉・トップ同士の面談後に、買収側により意向表明書(買収を進めたい意思を示す書類)が提出されますが、この提出は義務ではありません。

しかし、売却側へ真剣にM&A契約を検討していることが伝えられるため、交渉が円滑に進みやすくなるために意向表明書を提出するケースは多くみられます。

③基本合意書の締結

取引金額・条件などに両社が大筋で合意すると、次は基本合意書の締結です。M&A手法・スケジュール・取引額などの基本的な事項を、基本合意書に記載します。

ただし、法的拘束力はないため、内容を後で変更できます。デューデリジェンスの結果によって、条件の変更・追加が可能です。

④デューデリジェンス(買収監査)の実施

次は、デューデリジェンス(買収監査)の実施です。買収側が、売却側における資産や負債の確認、税務・財務に関するリスクの有無などを調査します。

そのほか、法務に関する訴訟や公害問題におけるリスクの有無などもチェックし、買収に値するかどうかを見極めるプロセスです。

⑤最終契約書の締結

デューデリジェンス後に買収の意思が固まれば、最終契約書の締結です。両社が最終的な条件や内容に合意すると、最終契約書を締結します。この契約書は法的な拘束力があることから、原則として一方的な破棄は認められないため内容をしっかり確認しましょう。

最終契約書の具体的な記載内容は、取引価格・経営者資産の扱い・譲渡後の体制・契約日などです。

⑥クロージング・経営統合

最終契約を締結し、重要な文書・印鑑・対価の受け渡しを行う調印式を開いた後は、M&Aのクロージングと経営統合に移行します。

売却側の従業員に成約発表を行うときは、誠意を持って丁寧に説明してください。従業員の気持ちを重視しない説明を行うと、M&A後の離職や勤労意欲の低下につながることもあるため、真摯に説明しましょう。

7. 精密部品製造業界のM&A・売却を成功させるポイント

精密部品製造業界でM&A・事業承継による売却を成功させるには、主に以下のポイントを押さえる必要があります。

  1. 計画的にM&Aの準備を行う 
  2. M&Aを行う目的を明確にする
  3. 自社の強み・製品・特許などをアピールする
  4. 売却先に譲れない条件をはっきりする
  5. M&Aの専門家に相談する

①計画的にM&Aの準備を行う

精密部品製造業界は景気の波や製造業大手の動向に先行きが左右されるため、同じ会社でも売却タイミングや戦略の立て方によってM&Aの結果が変わります。

M&A・事業承継による売却を成功させるためには、早い段階から計画的に準備を行い、戦略を立てて進めることが重要です。

②M&Aを行う目的を明確にする

会社の売却目的が、売却益の獲得、社員・取引先の保護、会社の成長、業績不振、先行きの不安などによって、交渉の妥協ラインやアドバイザーのサポート内容・買い手との関係などが変わります。

自社がM&Aを行う目的を明確にすれば交渉の優先順位もはっきりし、柔軟な交渉が可能です。

③自社の強み・製品・特許などをアピールする

買い手に自社を正しい価値基準で認めてもらい、高く売却するためには、強みや将来性を明確にアピールすることが重要です。M&Aの準備段階で自社データの整理や強みの整理などを行い、経営上の課題などは買い手に指摘される前に先回りして把握・整理しましょう。

④売却先に譲れない条件をはっきりする

売却を急がないときは交渉も余裕を持って行えますが、業績が悪いなど何らかの理由で売却を急いでいる場合は、買い手に足元を見られ、条件交渉が不利になるおそれがあります。

自社に譲れない売却条件を明確にし相手企業にしっかり伝えれば、理性的な交渉が可能です。

⑤M&Aの専門家に相談する

M&A仲介会社は、売却をトータルでサポートする役割を担います。M&Aを実施している売り手は、先行きの不安や会社への思いなどによって、理性的な判断を欠くケースも少なくありません。

そのような場合でも、丁寧に話を聞き方向修正できるのが、M&A仲介会社など専門家の持つ強みです。売却を行う際はM&Aの専門家に相談し、最大限に活用することも成功のカギといえます。

8. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収時におすすめの相談先

精密部品製造業界のM&A・事業承継を成功させるには、M&Aの高い専門性を持ち製造業界に精通した専門家のサポートを受けることがおすすめです。

M&A総合研究所では、M&Aの知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが案件をフルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談を受け付けますので、精密部品製造業界のM&A・事業承継をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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9. 精密部品製造業界のM&A・売却・買収まとめ

本記事では、精密部品製造業界のM&A動向や事例などを紹介しました。精密部品製造業界でM&A・事業承継を成功させるには、業界動向を見極めて戦略的に進めることが重要です。精密部品製造業界のM&A・事業承継を進める際は、業界やM&Aに関する知識や交渉力が必要となるため、高い専門性と豊富な実績を持った専門家のサポートを受けましょう。

10. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧

11. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧

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