M&Aの表明保証とは?条項の内容や注意ポイントを解説!違反したらどうなる?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
荻野光

現在では、M&Aの契約を締結する際に表明保証を行うことが一般的になっています。本記事では表明保証についての基本的なことから、表明保証条項の内容や抑えておくべきポイント、更に表明保証条項に違反した場合の補償や賠償について解説します。

目次

  1. M&Aの表明保証とは
  2. M&Aの表明保証条項の主な内容
  3. M&Aの表明保証保険とは
  4. M&Aの表明保証条項作成の注意ポイント
  5. M&Aの表明保証条項に違反した場合
  6. M&Aの表明保証条項違反の事例
  7. M&Aの表明保証に関するおすすめの相談先
  8. まとめ
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1. M&Aの表明保証とは

M&Aの表明保証とは

表明保証とは、売り主が、契約締結日や譲渡日などのある時点における財務や法務などの一定項目について、その内容が正しいことを表明し保証することです。

売り主側が、M&A契約の成否に係わる重要な情報を正確に買い主に開示し、それが正しいことを保証するものになるため、表明保証条項に虚偽や不正確な点があれば、損害賠償請求される可能性もあります。

表明保証を行うことで、買い主側は、デューデリジェンスだけではみつけることができないリスクを回避することができます。

表明保証条項の意味

英米法での契約スタイルに由来している表明保証は、買い主を保護するためにできたものです。

売り主が、契約にあたり誤解を与えるような虚偽の内容などを表明した場合、故意・過失を問わず、買い主は売り主に責任を追及することができます。

日本での表明保証も英米法の場合と同様であり、契約と関連がある重要な項目について、売り主が正確に真実を表明し保証することが、表明保証条項の重要な意味となっています。

表明保証条項の目的

表明保証条項の目的は、リスクを回避し円滑にM&Aを締結することにあります。一般的に、M&Aを行う場合、買い主はデューデリジェンスを実施し、得られた対象企業の情報を元に買収価格などを審査・決定します。

しかしながら、デューデリジェンスには時間も費用もかかり、調査にも限界があるというのが現実です。交渉中や買収後に、デューデリジェンスでは調査しきれなかったリスクが現れることも考えられます。

売り主と買い主が表明保証条項を議論し、売り主が表明保証という形で正確な情報を開示、保証することで、デューデリジェンスよりも確実にリスクを回避することが可能になります。

【関連】M&AにおけるDD(デューデリジェンス)項目別の目的・業務フローを徹底解説!

表明保証条項の効果

表明保証条項の最大の効果は、売り主側の表明保証条項違反があった場合、買い主側は損害賠償請求やM&A契約解除などを実行できることです。

ただし、日本の法律上は表明保証条項に違反があった場合でも債務不履行にはあたらないため、損害賠償請求は難しいと考えられています。そのため、契約に際しては、表明保証条項違反時の効果を明確に定めておく必要があります。

1.損害賠償請求

表明保証条項に明らかな違反があった場合には、契約内容に従って損害賠償請求を行うことができます。

過去には、M&A契約時の表明保証条項に違反があったと裁判所で認められ、損害賠償請求がなされたケースもあります。

買い主側の重過失が認められない限り、表明保証条項は効果を持つことが、裁判でも証明されています。

2.M&A契約の解除

損害賠償請求と同様、表明保証条項に違反があった場合には、契約に従ってM&A契約の解除ができます。

しかし、M&A契約にあたって、売り主・買い主双方とも大きな時間と労力と資金を費やしていることを考えると、経済的には有効な手段とはいえません。

クロージング後の損害賠償請求や補償請求を前提に契約を締結した方が、双方にメリットがある場合もあるので、慎重に考える必要があります。

【関連】【M&A完全攻略マニュアル】M&Aとは?流れ・成約期間、譲渡額の決め方まで徹底解説!

2. M&Aの表明保証条項の主な内容

M&Aの表明保証条項の主な内容

表明保証条項の内容はM&A案件によって異なるため、個別に決定しなければなりませんが、一般的には以下のような内容を記載します。

【表明保証条項に記載される主な内容】

  • 財務諸表に間違いがなく、全てが記載されていること
  • 年金や保険、法人税など不払いや滞納がないこと
  • 訴訟や紛争がないこと
  • デューデリジェンスの情報に間違いがなく、全てが記載されていること

M&A契約締結後、数年経った後に表明保証条項違反が発覚するというケースもあるので、契約のなかに保証期間を明記しておくケースが大半です。

また、表明保証条項違反が発覚した場合の損害賠償請求や、契約の解除などを具体的に契約に盛り込んでおくことは、表明保証条項違反発覚後の円滑な損害賠償請求のためにも重要なポイントです。

【関連】M&Aの契約書(基本合意契約書、最終契約書)について

3. M&Aの表明保証保険とは

表明保証保険は、表明保証条項が違反された際に被った経済的損害を補てんします。

保険の加入によって、万が一の場合の経済的な損失を補てんできることから、M&A交渉を積極的にかつ円滑に進めるうえで重要なものです。

しかしながら、英文での保証証券・英語での引受審査・英文のデューデリジェンスが必要となるため、日本企業間でのM&Aにおける表明保証保険の加入には高いハードルがあるのが現状です。

売り主用表明保証保険

売り主用表明保証保険は、表明保証条項違反が認められ、損害賠償請求された際の金銭的補償に対する保険です。

表明保証条項違反による損害を保険でカバーでき、賠償リスクを抑えることができるため、買い主側との交渉を円滑に進めることができます。

買い主としても、売り主が表明保証保険に加入していることで、万が一発生した損害を保険により補てんできるので、積極的にM&A交渉を進めることができるというメリットがあります。

買い主用表明保証保険

買い主用の表明保証保険の特徴は、売り主による表明保証条項違反が発覚した際の経済的損失を補てんすることです。

M&A交渉中だけでなく、クロージング後も補てんの対象となります。買い主用表明保証保険には、主に以下のメリットがあります。

【買い主用表明保証保険のメリット】

  • M&Aで契約した損害賠償請求額の上限額や期間を超えての損害を補てんできる
  • 保険会社の信用力により、確実に損害を補てんできる

M&A契約に際しては、表明保証条項違反時の損害賠償上限額や、請求可能期間が定められることが多いですが、表明保証保険ではM&Aで契約した上限額や期間を超えて、損害を補てんすることも可能です。

これにより、売り主の責任上限額や期間を抑えることができ、売り主側の積極的な情報開示や表明保証が実現しやすくなります。

また、万が一表明保証条項違反が発覚しても、売り主の経済的状況によっては損害賠償がなされない可能性もありますが、信用力の高い保険会社での保険の加入により、確実に被った金銭的被害を補ってくれます。

しかし、保険会社へ支払う費用は補償内容を幅広くすると負担が大きくなり、保険会社による審査や保険契約交渉などにかかる費用も発生する点はデメリットともいえるでしょう。

4. M&Aの表明保証条項作成の注意ポイント

表明保証に関する考え方は、売り主側と買い主側で180度異なります。売り主側は、損害賠償や契約解除などのリスクを最小限に抑えるため、表明保証条項の項目をできるだけ少なくしたいと考えます。

一方、買い主側はM&A契約での経済的損失のリスクを回避するために、表明保証条項をできるだけ多くしたいと考えます。ここでは、双方の立場から表明保証条項作成の注意ポイントを解説します。

売主側の注意ポイント

損害賠償請求を受けるリスクを回避するために、売り主側が表明保証条項作成する際の注意すべきポイントは以下の2つです。

  1. 明確な情報開示を行う
  2. 虚偽申告を行わない

1.明確な情報開示を行う

明確な情報開示は、表明保証条項の違反かどうかを争う際の重要なポイントになります。近年では、表明保証条項違反を争って裁判となるケースもみられます。

多義的な文言で表明保証条項を作成した場合、裁判の際に本来の意味とは異なる意味で捉えられてしまい、損害賠償が必要になる可能性もあり、リスク回避のためには明確な情報開示を行うことが必要です。

2.虚偽申告を行わない

虚偽申告は、絶対に行ってはなりません。売り主側は、M&A契約を進めるうえで不利な情報を開示することが迫られる場面もあります。

売り主側に隠したいという思惑があったとしても、最終的に表明保証条項違反による損害賠償によって大きな損失を被る可能性も考えられるため、たとえ開示したくない情報でも必要であれば表明保証条項に正確に盛り込む必要があります。

買主側の注意ポイント

表明保証条項を多くして、できるだけリスクを回避したい買い主側の表明保証条項作成における注意ポイントは以下の2つです。

  1. デューデリジェンスを徹底する
  2. 深刻な問題を放置した

1.デューデリジェンスを徹底する

M&Aにおいて、買い主側が売り主側を調査するデューデリジェンスは、表明保証条項の作成に非常に重要なポイントです。

徹底したデューデリジェンスにより、表明保証条項作成において売り主が隠したいことを記載させることができます。

デューデリジェンスが不十分な場合、売り主側が表明保証条項作成の主導権を握ってしまい、将来的な経済的損失となる重要な項目が見過ごされてしまう可能性もあります。

有利に交渉を進めるためにも資金を十分にかけて、徹底的にデューデリジェンスを行うことが重要です。

【関連】M&AにおけるビジネスDD(デューデリジェンス)とは?手法と目的を解説!

2.深刻な問題を放置した

徹底したデューデリジェンスの結果、表明保証条項違反が買い主側から発覚するということもあります。このような場合に備えて契約にサンドバッキング条項を盛り込むことが重要です。

サンドバッキング条項とは、契約前に買い主側が表明保証条項に違反があると認識していたとしても、将来的に経済的な損失が発生した場合には損害賠償請求ができるというものです。

サンドバッキング条項を記載することで、深刻な問題を放置して契約したとしても買い主側は損害賠償請求ができるため、リスクを回避することができます。

5. M&Aの表明保証条項に違反した場合

M&Aの表明保証条項に違反したと認められた場合には、売り手側には下記のようなリスクがあります。ここでは、損害賠償請求と補償請求のそれぞれのケースを解説していきます。
 

  1. 損害賠償請求を受ける可能性
  2. 補償請求を受ける可能性

1.損害賠償請求を受ける可能性

表明保証条項に記載された内容が事実と異なっていた場合には、故意・過失にかかわらず損害賠償請求を受ける可能性があります。

損害賠償請求では、表明保証条項違反により買い主側が被った経済的な損失を補てんするために金銭や物品などを請求されます。

2.補償請求を受ける可能性

補償請求も損害賠償請求と同様で、表明保証条項に記載された内容が事実と異なっていた場合に、故意・過失にかかわらず受ける可能性があります。

法律上、賠償と補償には明確な違いがあります。賠償は、違法な行為によって受けた損害の埋め合わせをすることですが、補償は適法な行為によって生じた損害の埋め合わせをすることです。

M&Aにおいて、表明保証条項違反は違法とは言い切れないので、損害賠償請求も補償請求も一般的に同じ意味で使用されています。

6. M&Aの表明保証条項違反の事例

M&Aの表明保証条項違反の事例

通常、表明保証条項に違反した場合は買い主が損害賠償請求を行いますが、請求が認められないケースもあります。

平成18年には、買い主側が損害賠償請求を求めた消費者金融会社をめぐる表明保証条項違反の裁判で、買い主側に重大な過失があった場合には、買い主側の損害賠償請求は認められないという判決がでています。

重大な過失とは、デューデリジェンスが不十分であったり、契約時に表明保証条項違反があることに気付いていたにも関わらず、放置して契約を交わしたなどが挙げられます。

この事例では、買い主側のデューデリジェンスは十分行われていたと判断され、損害賠償請求が認められました。しかしながら、買い主側に重大な過失があった場合には売り主側の責任は免れるということが示された重要な判例となっています。

一方で、売り主側の正確な表明保証により、買い主側の損害賠償請求が認められなかったケースもあります。

このケースでは、売り主はM&A締結前に重要な情報を正確に開示していました。そのため、買い主側は買収を実行するか否かを判断するための重要な情報をM&A締結前に知りえていたと判断され、売り主の表明保証条項違反は認められませんでした。

このように、様々な表明保証条項違反の判例がでていますが、いずれも一筋縄ではいかない問題であり、これをM&A交渉中に正確に判断するのは非常に困難です。表明保証条項違反における訴訟リスクを抑えるためにも専門家に相談してみましょう。

7. M&Aの表明保証に関するおすすめの相談先

表明保証についてお悩みの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、M&Aアドバイザー・会計士・弁護士の3名体制でフルサポートを行っています。

表明保証条項の内容に関するアドバイスを含め、M&Aの相談から、交渉を有利に進め円滑にM&Aをクロージングさせるための一貫したサポート体制でお客様の満足のいくM&Aを多数実現しています。

M&A総合研究所では着手金・中間金・月額報酬は頂きません。M&A成約まで一切費用は発生しない、完全成功報酬制(譲渡対価によるレーマン方式)を採用しております。

無料相談を随時受け付けておりますので、表明保証条項に限らずM&Aに関するご相談の際は、お気軽にお問い合わせください。

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8. まとめ

まとめ

本記事では、表明保証の基本知識から、表明保証条項の内容、表明保証条項に違反した場合や違反事例などを解説してきました。現在は、表明保証はM&Aにおけるリスクを回避するうえで非常に重要で欠かすことのできないものとなっています。

【表明保証とは】

  • M&A契約において売り主が、財務状況などの正確で偽りのない事実を開示し、それらを保証すること。

【M&Aにおける表明保証の役割】
  1. デューデリジェンスでは見つけきれないリスクを回避する
  2. 表明保証条項違反があった場合、損害賠償請求できる

【表明保証条項に違反した場合】
  1. 損害賠償請求を受ける可能性
  2. 補償請求を受ける可能性

リスクを回避しM&Aを成功させるためには表明保証は必要不可欠です。M&A総合研究所では、実務経験豊富なアドバイザーと会計士、弁護士チームが一丸となり、希望に沿ったM&A実現に向けて徹底サポートします。

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