資産管理会社は事業承継税制の適用外?適用される場合の定義を解説

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企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

事業承継税制の適用を受ける条件の一つに「資産管理会社に該当しないこと」があります。しかし、いくつかの要件を満たすことで資産管理会社の判定を回避して適用を受けることも可能です。今回は、事業承継税制が適用される定義について解説します。

目次

  1. 資産管理会社は事業承継税制の適用外?その理由とは
  2. 資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義
  3. 資産管理会社判定のフロー
  4. 事業承継税制を受ける際の資産管理会社判定の時期
  5. 事業承継税制の相談は専門家にお任せ
  6. まとめ
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1. 資産管理会社は事業承継税制の適用外?その理由とは

資産管理会社は事業承継税制の適用外?その理由とは

事業承継税制とは、事業承継の際に相続税・贈与税の納税猶予措置を受けられる制度です。引継ぎの際の悩みの種である後継者の納税負担を大幅に抑えられます。

中小企業者・個人事業者は積極的に活用したい制度ですが、資産管理会社の判定が下された場合は対象外となり、納税猶予措置を受けられません。

判定は保有する資産を基準に下されます。この章では、資産管理会社の概要や事業承継税制の適用要件を解説します。

資産管理会社とは

「資産保有型会社」または「資産運用型会社」であり、事業実態の要件を満たしていない会社を指します。

資産保有型会社は総資産のうち特定資産の割合が70%以上を占める会社のことを指し、資産運用型会社は総収入金額のうち特定資産の運用収入が75%以上を占める会社を指します。

活動内容は不動産や株の管理・運用が主で、オーナー・経営者自身の資産管理を目的に設立されていることが多いです。事業実態が認められない場合は、プライベートカンパニーと呼ばれることもあります。

特に不動産賃貸業を行う個人事業主が節税目的で設立することが多いです。所得税と法人税では税率に最大20%以上の開きがあるので設立するメリットの1つになっています。

また、グループ全体を管理する持株会社も資産管理会社になることが多いです。事業の多角化などに伴い規模が大きくなると、持株会社化して経営と事業の分散による効率化が必要になることがあります。

持株会社は各事業会社の管理に専念するため事業用資産はほぼ保有せず、資産の大半は子会社の株式等で占められることになります。

資産管理会社の対象となる特定資産

特定資産とは、特定の目的のために使途・保有・運用等に制約がある資産のことです。主に有価証券等の金融商品や土地・建物等の遊休不動産が含まれます。

法人が自ら使途・保有・運用等に制約を課す場合は、一般正味財産(法人の意思で使途を決定できる正味財産)、基金及び負債を財源とします。

判定の際に対象になる特定資産は以下の5つに分類され、含まれる資産が総資産・総収入金額の一定割合を超えると判定が下されて猶予措置を受けられなくなります。

【資産管理会社の対象となる特定資産】

  • 国債・株券・有価証券等の金融商品
  • 遊休不動産・賃貸用不動産
  • ゴルフ・スポーツクラブ・リゾート等の会員権
  • 販売・事業用以外の貴金属・動産
  • 現金預金

金融商品に関しては、判定会社の子会社が資産管理会社に該当しない特別子会社の場合はその分の株式・持分は特定資産から除外されます。

つまり、特別子会社の特別子会社(判定会社の孫会社)の株式等は、特定資産に含まれないということになります。

特別子会社の定義

事業承継税制の猶予措置を受ける要件は認定を受ける会社だけではなく、その会社の特別子会社も対象に含まれます。

特別子会社とは、会社の代表者とその同族関係者で総株主等議決権数の過半数を有している内国会社および外国会社のことです。

特別子会社が資産管理会社である場合は特別子会社が保有する株式等も特定資産に含めます。判定会社だけでなく特別子会社の保有資産状況によっても特定資産の総価額が変わることに注意しなくてはなりません。

また、特別子会社が上場企業や風俗営業会社である場合は、親会社も事業承継税制を活用した節税対策が行えなくなります。

事業承継税制の適用要件

事業承継税制の利用には複数の条件が定められています。相続税・贈与税の猶予措置を受けるために必要な要件は以下の6つです。

【事業承継税制の適用要件】

  • 中長期業法の中小企業であること
  • 非上場会社であること
  • 風俗営業会社でないこと
  • 資産管理会社でないこと
  • 総収入金額がゼロでないこと
  • 従業員数がゼロでないこと

要件を全て達成しないと事業承継税制の優遇措置は受けられません。ただし、資産管理会社の判定に関しては、特別な要件を達成することで適用を受けることも可能です。

この場合は、事業の実態があると認められるかどうかが判定のポイントになります。資産管理会社が事業承継税制を受けるための条件については、次の章で詳しく解説します。

2. 資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義

資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義

資産管理会社でも事業承継税制の適用を受けることは可能です。その際に満たすべきポイントは以下の3つです。

【資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義】

  1. 3年以上継続して商品販売・役務提供などを行っている
  2. 常時一定親族を除いた従業員が5人以上いる
  3. 事務所や店舗など、固定施設の所有や賃借を行っている

1.3年以上継続して商品販売・役務提供などを行っている

1つ目の条件は3年以上継続して業務を営んでいることです。ここでいう業務とは、租税特別措置法施行規則の第23条の9第5項で定められる業務のことです。

【租税特別措置法施行規則の第23条の9第5項】

  • 商品販売・資産の貸付・役務等の提供で、継続して対価を得て行われるもの(商品の開発・生産又は役務の開発を含む)
  • 商品販売等を行うために必要な資産の所有又は賃借
  • 前二号の業務に関連するもの

資産の貸付には不動産賃貸も含まれます。ただし、第三者に対する貸付に限定されるなどの制限はあります。

2.常時一定親族を除いた従業員が5人以上いる

2つ目の条件は常時使用する従業員が5人以上雇っていることです。従業員数として認められる基準は社会保険に加入しているかどうかです。

【事業承継税制における従業員の定義】

  • 社会保険に加入している
  • 後継者と生計を一にする親族を除く
  • アルバイト・パートを除く
  • 会社役員を除く

3.事務所や店舗など、固定施設の所有や賃借を行っている

3つ目の条件は事務所や店舗などの固定施設の所有・貸借を行っていることです。子会社からの賃貸を受けている場合も含まれます。

事業承継税制を受ける場合の定義で問題になるのは従業員の要件です。というのは、資産管理会社に該当する会社は業務量が少なく、従業員5名以上を雇うことは少ないからです。

実質的には、何かしらの事業活動を行っている会社でなければ、事業承継税制を適用を受けることができません。

【関連】事業承継税制とは?メリットとデメリットを紹介!ポイントは?

3. 資産管理会社判定のフロー

資産管理会社判定のフロー

資産管理会社の事業承継税制の適用は、形式要件と事業実態要件が重要なポイントになります。ここまでの流れをまとめると、以下のようなフローになります。

【資産管理会社の判定フロー】

【形式要件】
総資産のうち特定資産の割合が70%未満
総収入金額のうち特定資産の運用収入が75%未満
はい
70%未満、75%未満
いいえ
70%以上、75%以上
【事業実態要件】
1.業務の3年以上継続
2.従業員が5人以上
3.事務所の所有や賃借
はい
要件を全て満たす
いいえ
要件を満たさない
資産管理会社ではない
事業承継税制を適用できる
資産管理会社に該当
事業承継税制を適用できない

【関連】事業承継特例とは?特例の内容と要件、申請の注意点を解説

4. 事業承継税制を受ける際の資産管理会社判定の時期

事業承継税制を受ける際の資産管理会社判定の時期

事業承継税制を受ける際の資産管理会社の判定時期は、贈与あるいは相続する年の直前の事業年度開始の日から納税猶予の期限確定日までです。

判定時期は資産保有型会社と資産運用型会社による違いはなく、どちらも同期間中の純資産や総収入金額をもとにして形式要件の判定を行います。

事業承継税制の適用に向けて早期から準備を進められる場合、形式要件や事業実態要件を満たせるように調整を行うことも可能です。

5. 事業承継税制の相談は専門家にお任せ

事業承継税制の相談は専門家にお任せ

事業承継税制の適用を受けられると税金負担を軽減することができます。ですが、資産管理会社の事業承継税制は注意しなければならないポイントが多いです。

事業承継税制の猶予措置を受けながら事業承継をスムーズに進めるためには、M&A・事業承継の専門家のサポートが不可欠といえるでしょう。

M&A総合研究所はM&A・事業承継サポートを行っているM&A仲介会社です。あらゆる業種・幅広い規模で豊富なサポート実績があり、事業承継税制の対応も行っています。

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無料相談をお受けしておりますので、M&A・事業承継をご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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6. まとめ

まとめ

資産管理会社は原則として事業承継税制の対象外ですが、事業実態要件を満たすことで判定を回避して猶予措置を受けることも可能です。

また、要件以外にも事業承継税制自体の手続きも行う必要があります。複雑な手続きが多いので早期段階からM&A仲介会社などの専門家に相談しておくことをおすすめします。

【資産管理会社のまとめ】

  • 資産管理会社とは総資産や総収入金額のうち特定資産の割合が一定以上の会社
  • 資産管理会社は事業実態要件を満たすことで事業承継税制の適用を受けられる

【資産管理会社が事業承継税制の適用となる場合の定義】
  1. 3年以上継続して商品販売・役務提供などを行っている
  2. 常時一定親族を除いた従業員が5人以上いる
  3. 事務所や店舗など、固定施設の所有や賃借を行っている

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