IT・ソフトウェア業界のM&A事例25選!業界動向・M&Aの流れ・成功のポイントまで

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

IT・ソフトウェア業界のM&Aは、近年活発に行われています。今回はIT・ソフトウェア業界のM&A事例、業界動向やM&Aの流れをわかりやすく解説していきます。M&Aにおける成功のポイントも紹介するので、ポイントを押さえてM&Aを成功させましょう。

目次

  1. IT・ソフトウェア業界のM&Aの事例25選
  2. IT・ソフトウェア業界の定義と最近の動向
  3. IT・ソフトウェア業界でM&Aが活発である4つの理由
  4. IT・ソフトウェア業界でM&Aをするときの6つの流れ
  5. IT・ソフトウェア業界でM&Aを成功させる2つのポイント
  6. まとめ
  • IT会社のM&A・事業承継
    プレミアム案件・お役立ち情報

1. IT・ソフトウェア業界のM&Aの事例25選

IT・ソフトウェア業界のM&Aの事例25選

まずは、実際に行われたIT・ソフトウェア業界でのM&Aの事例を確認していきます。

同業種間、異業種間それぞれに分けて事例を紹介していきます。事例を知って、どのようなM&Aが業界内で行われているのか確認しましょう

IT企業→IT企業の事例 IN-INの買収事例

まずは、同業他社間での買収事例から見ていきます。IT企業同士のM&Aは、国内外を問わず活発に行われています。

事例1.ソースネクストによる筆まめの買収

2017年4月、パソコンやスマートフォンのソフト・ハードウェア製品の企画・開発・販売を事業とするソースネクストは、「筆まめ」などを展開する株式会社筆まめの買収を決定しました。
 
ソースネクストは筆まめが保有するすべての製品を保有することとなりました。

今後それら製品の家電量販店などでの販売に加え、ソースネクストグループの顧客基盤を活かしたオンライン販売など、企画開発力を活かした製品の改善・既存クラウドサービス・アプリ事業への展開などを積極的に推進したいとの考えです。

筆まめの企業拡大を通じてグループ全体の経営基盤強化を狙ったM&Aといえるでしょう。

事例2.クラウドワークスによる電縁の買収

2017年11月、WEB上で仕事のマッチングサービスを提供するクラウドワークスはガイアックスが保有する電縁の株式を取得し、子会社化することを発表しました。
 
電緑は、仮想通貨などで話題のブロックチェーンテクノロジー(分散型台帳技術)を利用したシステムの開発、コンサルティング事業を行う企業です。

この買収により、クラウドワークスは電縁との研究開発で連携しました。ブロックチェーンテクノロジーにおける知見を活かすことで、シェアリングエコノミーとFintechによる「クラウド経済圏」の形成を加速させたのです。

多くの個人に届ける報酬の最大化とさらなる企業価値向上を目指しています。

事例3.sMedioによるミックステクノロジーズの買収

2017年5月、ワイヤレスコネクティビティ事業を運営しているsMedioは、デジタルAV事業を営むミックステクノロジーズを完全子会社化することを発表しました。
 
sMedioは、無線接続・著作権認証技術を活用したワイヤレスコネクティビティ事業を展開している企業です。

組み込みブラウザやデジタルAVなどに優れた技術力を持つミックステクノロジーを傘下に入れることで、2020年に向けて隆盛が見込まれる放送サービス分野でのビジネス拡大を計画しています

事例4.ユニリタによる無限の買収

2018年2月に、データ活用ソリューションを提供しているユニリタは、システムインテグレーションを手掛ける無限を子会社化しました。
 
無限は、「らくらくBOSS」という企業における通勤費の管理、経費の精算や申請業務を効率化するシリーズのパッケージを提供しています。

この買収により、対象会社のシステム開発力を活かすことで、既存顧客のニーズへの対応力の強化に成功しました。両社の技術力や業務ノウハウへの知見を合わせることで、新たなサービスソリューションを開発したいとしています。

事例5.SAMURAI&J PARTNERSによるヴィオの買収

2018年1月、SAMURAI&J PARTNERSはITソリューション、システム受託開発を手がけるヴィオの全株式を取得し完全子会社化しました。
 
ヴィオは1977年設立で、流通や金融、官公庁系ビジネスアプリケーション開発などに実績を持つ企業です。

この買収により、買い手のSAMURAIは主力のデータ通信高速化ミドルウエア「astConnector」シリーズを拡大するとともに、新規分野と位置付ける「金融×IT」関連での相乗効果を狙っています。

事例6.スタートトゥデイによるVASILYの買収

2017年10月に、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ(現ZOZO)は、ファッションメディア「IQON(アイコン)」の運営会社VASILYを子会社化しました。
 
VASILYは2008年に設立し、ユーザーがファッションアプリを自由に組み合わせてコーディネートを作成できるサービス「IQON」を提供し、200以上のECサイトと連携しています。

VASILYは「IQON」やその他受託のソフトウェア開発を通じて、AI(人工知能)を活用した機械学習や画像認識の技術があり、スタートトゥデイの提供するサービス「WEAR」に技術を応用することで、さらに事業を拡大することを目指しています。

事例7.Yahoo! JAPANによるdelyの買収

2018年7月、フーはレシピ動画「クラシル」を運営するdelyを子会社化しました。ヤフー傘下のYJキャピタルがすでに投資を行っていましたが、株式の所有割合を引き上げ、子会社化を行いました。
 
買収の目的は、Yahoo!ショッピングLIVEの本格稼働と広告配信先プラットフォームの拡大といわれています。Delyの子会社化を通じ、ライブコマース事業に注力していくことでしょう。

事例8.グリーによる3ミニッツの買収

2017年2月、ゲーム業界大手のグリーは、3Minute(スリーミニッツ)を子会社化しました。
 
3Minute社は、主に20~30代の女性をターゲットにしたファッション動画メディアの「MINE BY 3M」の運営、インスタグラムやYouTubeを通じた動画マーケティングやインフルエンサーネットマーケティングなどを展開しており、国内最大級のインフルエンサーネットワークを持つともいわれています。
 
グリーのゲーム事業が縮小傾向にある中、新たな成長分野を求めた新規事業への参入の一環です。動画広告市場における更なる成長を実現するため、インフルエンサーと連動した動画プロデュース力を活用し、マーケティングや動画制作のノウハウを強化します。

事例9.KDDIによるソラコムの買収

2017年8月、大手通信キャリアKDDIがIoT通信ベンチャーの「ソラコム」を買収しています。

ソラコムは、通信ベンチャー企業です。NTTドコモとMVNO(仮想移動体通信事業者)の契約(L2卸契約)を締結し、コアネットワークとサポートシステムをクラウドサービス「Amazon Web Services (AWS)」に実装することにより、さらに手軽にIoT/M2M(機械間通信)を提供するサービスとして注目を浴びました。
 
KDDIは、この買収により、「来たるべきIoT/M2M通信普及期に向けた一手を打ちにきた」と考えられています。

事例10.SHIFTによるエスエヌシーの買収

2020年4月、ソフトウェアの品質保証・テストなど幅広く事業展開を行っているSHIFTは、エスエヌシーを子会社化することを発表しました。エスエヌシーはソフトウェア関連事業を行っています。

今回の買収によって、開発プロジェクトをとおしたシームレスなオペレーションが可能になります。また、SHIFT PLUSが展開するカスタマーサポートサービスの強化が見込まれるため、さらなる顧客を対象に、IT領域での多様な支援が可能となることを図っています。

事例11.アジャイルメディア・ネットワークによるpopteamの買収

2020年7月、アジャイルメディア・ネットワークは、SNSマーケティングオートメーションツールであるDIGITAL PANDAを展開するpopteamの子会社化を発表しました。

今回の買収により、アジャイルメディア・ネットワークは、提供サービスの付加価値を上げ、業容の拡大を推進することを図っています。

IT企業→IT企業の事例 IN-OUTの買収事例

次は、同業他社間でのIN-OUTの買収事例をご紹介します。

事例12.NTTコミュニケーションによるネットマジックの買収

2012年1月、NTTコミュニケーションズはインドのデータセンターサービス事業者・ネットマジック・ソリューションズの株式の74%を取得することを発表しました。
 
ネットマジック・ソリューションズはムンバイ、バンガロールなどインド国内7カ所でデータセンターを運営しています。

今回の株式取得により、NTTコミュニケーションズはインド市場におけるICTソリューションの提供能力の強化を図りました。さらに、今後はグローバルでのクラウドサービス展開を加速させていく方針です。
 
その後、NTTコミュニケーションズは、買収したネットマジックを通じて、インドでデータセンターを拡大しています。

事例13.日立製作所によるソシエダ―ド・デ・コンサルトレス・アプティーボの買収

2011年1月、日立製作所はスペインの孫会社を通じて、スペインのITコンサルティング事業会社ソシエダード・デ・コンサルトレス・アプティーボを買収しました。

買収によって、日立はアプティーボの持つスペイン国内の有力顧客を獲得し、ITコンサルティング事業をより強化していくとみられています。

事例14.NTTデータによるキューデータサービスの買収

2019年12月、データ通信やシステム構築事業を行うNTTデータはアメリカのIT人材派遣会社キューデータサービスを買収しました。

キューデータは金融業や地方自治体への派遣事業を展開しており、NTTデータはシナジーが生めると見込んでいます。

ほかにもNTTデータはアメリカの会社を数社買収し、アメリカでの市場開拓に意欲を見せているのです

事例15.楽天による米OverDriveの買収

2015年3月、楽天は、図書館向け電子書籍配信サービス事業者である米OverDriveの全発行株を約4.1億米ドル(約490億円)で取得し完全子会社化しました。

この買収により、OverDriveが特化する図書館マーケットや可能性のある教育分野での電子書籍貸出ビジネスを開始することを発表しています。

しかし、その後2019年12月にはアメリカの別会社へ株式譲渡することを発表しました。経営資源配分の最適化を図るためとしています。

事例16.ソフトバンクによるスプリントの買収

2013年、大手通信キャリアソフトバンクは、約2兆円で当時米携帯電話業界3位であったスプリントを買収しています。米携帯事業の拡大を狙ったものでした。
 
しかし、スプリントは業績悪化が続き、同業のTモバイルUSに265億ドル(約2兆9,000億円)相当で売却することを合意したと報じられています。

IT企業・ソフトウェア企業ではプレーヤーも大きく変動することがあるため、買収後のシナジーが計画通りにいかなかった事例の一つといえるでしょう。

事例17.テクノホライゾンHDによるブルービジョンの買収

2020年5月、テクノホライゾンHDは、連結子会社のタイテックがブルービジョンの発行株式81.11%を取得すると発表しました。ブルービジョンは、高度なマシンビジョンカメラを展開しており、中国やヨーロッパなどで技術力に定評があります。

今回の買収で、テクノホライゾンHD は、ブルービジョンの製品や技術によるシナジー効果を得られると考えています。

IT企業→IT企業の事例 OUT-OUTの買収事例

次は、同業他社間でのOUT-OUTの買収事例をご紹介します。

事例18.AmazonによるPillPackの買収

2018年、WEBサービス会社大手Amazonは消費者が処方箋薬を購入できるオンライン薬局PillPackの買収を実施しました。今後ヘルスケア業界で直接的かつ商業的な役割を担うことを狙ったものといわれています。
 
Amazonの買収は、eヘルスのマーケットが活発になりつつあることを示しています。

またAmazonはこのオンライン薬局を、消費者(そして医療機関も)がヘルスケア分野で必要としており、同社が取り込むべき主要な未開拓領域ととらえているようです。

事例19.MicrosoftによるGitHubの買収

2018年10月、マイクロソフトはGitHubを75億ドル(約8,200億円)で買収しました。

今回の買収はマイクロソフトにとって、AWS(アマゾンウェブサービス)に対抗する強力な武器となるとみられています。
 
GitHubは、2,400万ユーザーを抱えています。マイクロソフトは、今回の買収によりユーザーを手に入れることができるうえに、GitHubを自社のクラウドサービス「Microsoft Azure」に統合できれば、クラウドサービスを差別化できると考えているようです。

事例20.Appleによるララの買収

2009年12月、デジタル製品に関するソフトウェア製品を開発している大手Appleは、8,500万ドルで音楽サービスのLalaを買収しました。

Appleは従来よりiTunesを展開し、音楽を購入・ダウンロードするサービスを提供してきました。しかし、今後はストリーミングのサービスを提供したいと目論んでいたようです。
 
その後2013年にはiTunes Radioというストリーミングサービスを提供開始し、2018年には音楽ストリーミングの新サービスApple Musicを発表しています

事例21.GoogleによるYouTubeの買収

2006年のGoogleによるYouTubeの買収は、買収額16億5,000万ドルと巨額の買収となり、金額ベースで非常に大きな買収でした。
 
Googleの収入は広告がメインですが、次の主戦場が動画サイトであると見込み、当時拡大していた動画サイトであるYouTubeを買収したといわれています。

後に動画サイトの中で、YouTubeが圧倒的な地位を築いたことを考えると、Googleの選択肢は正しかったといえるでしょう。

事例22.FacebookによるInstagramの買収

2012年の大手SNSサービス運営会社FacebookによってInstagramが買収されました。

Facebookは2006年に一般向けにサービスを開始して以降、2018年までに合計66社を買収するなど、積極的な買収戦略をとっています。

従来までの買収は優秀人材の確保を狙ったものであった一方、Instagramの買収ではサービスの獲得を目指したものでした。
 
Instagramはサービス開始から2年弱という短期間でモバイルアプリでの利用者数を3,000万人まで伸ばしていました。Instagramを買収することでモバイル利用者のデータを多く手に入れる目的があったのです。
 
また、Facebook側の主な収益源である広告のノウハウをInstagramに拡大することで売上の拡大が見込まれています。

Instagramの月間アクティブユーザー数は10億人を突破しており、売上拡大という観点からメリットの大きい買収といえます。

異業種→IT企業の事例

近年では、異業種がIT企業を買収する例も見られます。ここでは、その一部をご紹介します。

事例23.駿台グループによるマナボの買収

駿台グループのSATTは、2018年5月にマナボの全株式を取得することを発表しました。

SATTとはeラーニングシステム・人材開発事業・大規模な教育関連システムの開発などを手がけている会社です。一方、マナボはスマホ家庭教師「manabo」の開発・運用を手がけています。
 
買収によって、SATTのeラーニングシステム「学び~と」と「manabo」のそれぞれが持つシステムを融合し、強化することに成功しました。

企業向けの教育研修をはじめ、病院、自治体への医療福祉など他業種に向けた新サービスの開発や駿台グループの海外校と連携したグローバル展開、駿台グループの教育ノウハウとmanaboの強みを活かしたEdTech開発の推進などによる事業の拡大を目指しています。

事例24.キリンホールディングスとNTTデータが情報システムで資本提携

2012年3月、飲料メーカー大手キリンホールディングスとNTTデータが情報システム分野で資本提携することを発表しました。

キリングループの情報システム分野を担ってきたキリンビジネスシステムの発行済み株式の49%をNTTデータに譲渡する形で資本提携を行います。
 
これにより、経営管理の高度化や戦略実行に向けた業務システムの開発・情報インフラの構築を行い、ビジネスの発展につなげる方針です。

事例25.トヨタによるLINEとの協業

2017年6月、トヨタ自動車とLINEが協業することを発表しました。

その後2019年には、LINEの持つ独自AI「クローバ」とトヨタ自動車のナビシステムを融合させたLINEカーナビを発表しています

高度な自動運転技術の実現に向けて必要な事業提携の一環として、トヨタ以外にもホンダが米Google傘下のwaymoの買収を検討するなどさまざまな動きがあります。
 
今後も自動運転の確立に向けて、自動車メーカーとIT企業がさらに接近することが見込まれます。今後のM&Aの動向にも注視が必要です。

以上、IT・ソフトウェア業界のM&Aの事例でした。IT・ソフトウェア業界に関連するM&Aは増加すると見込まれています。

IT・ソフトウェア業界のM&Aに興味のある方は、M&A総合研究所へご相談ください。IT・ソフトウェア業界に精通したアドバイザーや専門家がM&Aをサポートいたします。

また、ご相談は無料であり、費用についても国内最安値水準の完全成功報酬制となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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2. IT・ソフトウェア業界の定義と最近の動向

IT・ソフトウェア業界の定義と最近の動向

ITとは、コンピューターやインターネットで扱われる情報技術(Information Technology)のことです。

IT企業とは、こうした情報技術を扱う企業の総称ですが、その中にはソフトウェアを扱う企業やハードウェアを扱う企業、また情報処理系の業務をする企業などさまざまです。

  • 情報処理系の業務を行うSIer(システム会社)
  • インターネットを通じ、サービスを提供するWEB会社
  • ウェブブラウザでゲームを提供するソーシャルゲーム会社

このように3つに分けることができます。いずれのIT・ソフトウェア会社も近年目覚ましい成長を遂げており、爆発的に伸びている市場です。

現在、どのような動向が見られるのか確認しておきましょう。IT・ソフトウェア業界の動向は以下のとおりです。

  • 動向1.市場はいまだに拡大中
  • 動向2.技術者不足
  • 動向3.多重下請け構造の是正
  • 動向4.今後地方に拡散すると予想
  • 動向5.技術の組み合わせによるシナジー効果大

順番に見ていきましょう。

動向1.市場はいまだに拡大中

令和時代に突入した現在も、市場の規模は拡大傾向にあります。

特にIoT(Internet of Things)と呼ばれる、あらゆる製品とインターネットがつながる「モノのインターネット化」が加速しており、それをサポートしているIT企業・ソフトウェア企業へのニーズも拡大しているのです。
 
これに加えて、ビッグデータやクラウドなどの新しい技術の範囲も拡大し続けているため、今まで以上にIT企業への需要は拡大しています。

今後もIT・ソフトウェア業界は成長し続けるといえるでしょう。

動向2.技術者不足

一方で、IT技術者の数が不足している現状があります。IT系の技術は非常に早い速度で進歩し顧客のニーズも拡大し続けているにもかかわらず、人手が足りないのです。

そのため、IT企業・ソフトウェア企業にとっては人員確保が大きな課題となっています。

IT技術は日進月歩のため、競合他社よりも早くIT技術をサービス化させることが重要です。そのためにも技術者の確保は欠かせません。

経済産業省のIT人材需給に関する調査(2019年)によると、2030年には約45万人程度のIT人材が不足すると予測されています。

 

動向3.多重下請け構造の是正

IT・ソフトウェア企業は、多重下請け構造となっている場合が多くあります。

なぜなら、IT・ソフトウェア企業は20年ほど前に起業した会社が多くまだまだ若い業界だからです。新しい技術がベンチャー企業から生まれる傾向も強くあります。

しかし、多重下請け構造で下層にいる下請け企業は利幅が圧縮されてしまい、利益が出ません。こうした下請け企業が低利益率から脱却すべく、事業拡大に向け同業と資本業務提携などに踏み切ることが多くなってきました。
 
多重下請け構造は法的にグレーゾーンなので、国も法整備を進めているところです。現状の低利益率では生き残りが難しいため、特にSIerは生き残るためにM&Aを選択しているケースも少なくありません。

動向4.今後地方に拡散すると予想

IT企業・ソフトウェア企業が今後、地方に拡散していくことが考えられます。

現在は顧客に近いということもあり、IT企業・ソフトウェア企業の多くが東京に集中しています。しかし、今後はクラウドの開発や保守・メンテナンスなどが主流になっていくでしょう。そのため、遠隔地からでも事業を行うことができるようになると考えられているのです。

近年では、福岡でのIT企業が活発に活動しています。

動向5.技術の組み合わせによるシナジー効果大

IT企業・ソフトウェア業界内での技術の組み合わせによるシナジー効果はとても大きいです。
 
IT業界は非常に幅広い業務を担っています。さらに多様化が進む一方、顧客のニーズはすべての領域に広がっていくでしょう。

自社にないサービスを拡大することで、今後のビジネスの拡大に役立つことが期待されているのです。そのため、業務提携をしたり会社をグループ化したりする動きが出てきています。

IT・ソフトウェア業界では以上のような動向が見られます。その上でM&Aが実施されることも多くなってきました。

次の章でIT・ソフトウェア業界でM&Aが活発な理由を確認していきましょう。

3. IT・ソフトウェア業界でM&Aが活発である4つの理由

IT・ソフトウェア業界でM&Aが活発である4つの理由

IT・ソフトウェア業界でM&Aが活発な理由は、4つあります。

  • 理由1.薄利な多重下請け構造から脱出したい
  • 理由2.大企業傘下で経営を安定させたい
  • 理由3.技術者不足を解消したい
  • 理由4.新しい技術を早く獲得したい

順番に確認していきましょう。
 

理由1.薄利な多重下請け構造から脱出したい

IT・ソフトウェア業界の薄利な多重下請け構造から脱出するために、M&Aで会社売却を決意する経営者は多いです。

多くのIT・ソフトウェアの中小企業は、3次・4次請けとなっており、仕事はあっても利益を獲得できない状況に陥っています。経営は安定せず、常に不安を抱えているでしょう。

しかし、3次請けから2次請けになれば同じ仕事内容であっても、多くの利益を獲得できます。経営は安定し、従業員にも満足のいく給料を支払うことができます。

このように多重下請け構造から脱出するために、M&Aを決意する経営者は多いです。

理由2.大企業傘下で経営を安定させたい

M&Aを実施することで大企業傘下に入り、経営を安定させたいと考えるケースも増えています。IT・ソフトウェア会社にはベンチャー企業が多く、サービスや商品の開発を続けるために大手企業の傘下に入ろうとするのです。

そうすることで経営基盤が安定し、IT技術の向上やサービス・商品開発に時間と経営資源を投入することができます

せっかく技術力があるのに資金不足で事業を断念するベンチャー企業は多いです。しかし、M&Aで大手企業傘下に入れば、大手企業に資金援助をしてもらえます。

理由3.技術者不足を解消したい

技術者不足を解消するためにM&Aを実施するケースが増えています。IT・ソフトウェア業界全体で技術者不足が課題となっているからです。

技術力があっても技術者が足りず、サービス・商品開発に時間がかかってしまっています。一方でIT・ソフトウェアの需要は急速に拡大しています。

新しく技術者を育てたり、1人ずつ採用したりしていては追いつきません。そこで、M&Aを活用して会社ごと技術者を獲得したいと考えるIT・ソフトウェア企業が増えているのです。

理由4.新しい技術を早く獲得したい

新しい技術を早く獲得するためにM&Aを実施する企業は多いです。今会社で持っている技術と他の技術を掛け合わすことで、今までになかった新しいサービス・商品が生まれることはよくあります。

IT・ソフトウェアサービスにおいては、このようなシナジー効果が顕著です。競合他社よりも早くサービス・商品を発表するなら、一から技術開発していては間に合いません。

そこで、M&Aを活用して他社の持っている技術を取得するのです。

また、今までIT・ソフトウェアの技術を持っていなかった会社が業務効率やサービス・商品提供のためにIT・ソフトウェア会社を買収するケースも増えています。

例えば、物流会社の輸送システムを作るためにIT会社を買収し、そのまま自社のIT部門として採用することもあるのです。

このように、IT・ソフトウェアサービスの可能性は無限大にあります。日本の人口減少に伴って総人口も減っている今、IT・ソフトウェアサービスを活用したいと考える企業が増えています。

以上、IT・ソフトウェア業界でM&Aが増えている4つの理由を紹介しました。IT・ソフトウェア会社のM&Aを検討するのであれば、事前にM&Aを行うときの流れを確認しておきましょう。

  • IT会社のM&A・事業承継

4. IT・ソフトウェア業界でM&Aをするときの6つの流れ

IT・ソフトウェア業界でM&Aをするときの6つの流れ

IT・ソフトウェア業界でM&Aを行うときの流れは、以下の6つに分けることができます。

  • 流れ1.買い手企業の選定をする
  • 流れ2.M&Aの条件交渉を行う
  • 流れ3.基本合意書を締結する
  • 流れ4.デューデリジェンスを受ける
  • 流れ5.最終契約書を締結する
  • 流れ6.引き継ぎ・統合作業を行う

順番に確認していきましょう。

流れ1.買い手企業の選定をする

まずは、買い手企業の選定です。IT・ソフトウェア企業を買収したいと考える企業は業界内外にたくさんいます。

そのため、あまり「同業界の買い手」などと固執しない方が良いでしょう。ただし、どれくらいの規模なのか、活動エリアはどこなのか、といった買い手企業の理想像を決めておくとスムーズに決定できます。

買い手企業の候補がない場合は、M&A仲介会社に相談すると多くの企業を紹介してくれるのでおすすめです。

流れ2.M&Aの条件交渉を行う

買い手企業にアプローチし、互いにM&Aを検討していくことになったらM&Aの条件交渉を行いましょう。

まずは経営者同士でトップ面談を行い、企業理念やM&Aに至った経緯などを話します。

トップ面談のあと、買い手企業から意向表明書を提示されることがあります。意向表明書とは、M&Aを前向きに検討したい旨や買収の条件、スケジュールなどが記載された書類です。

意向表明書に書かれた内容を元に、条件のすり合わせを行っていきましょう。

流れ3.基本合意書を締結する

互いに納得のいく条件となったら、基本合意書を締結します。

基本合意書とは、両者が納得したM&Aの条件やスケジュールを明確にした書類のことです。基本合意を結ぶことで、基本的にM&Aを実行することが約束されます。

流れ4.デューデリジェンスを受ける

続いてデューデリジェンスを受けましょう。デューデリジェンスとは、買い手企業による売り手企業の内部調査です。

このとき、法務・税務・会計などあらゆる情報を専門家によって調べられます。求められた資料を素早く提出できるよう、まとめておきましょう。

また、デューデリジェンスでは企業価値評価も行われます。企業価値評価によって売却価格が決定するのです。

IT・ソフトウェア会社にとって企業価値を高める大きな要因は、保有するIT技術力の高さと技術者の多さです。

そのため、過去にどのようなサービス・商品の提供を行ってきたのかをまとめたり、技術者の持つ資格や経験・実績をリストにしたりしておくとアピールできます。

このようにデューデリジェンスでは売り手企業も行うことが多いです。しっかりと対応しましょう。

流れ5.最終契約書を締結する

デューデリジェンスが無事に終われば、最終契約書を締結します。

最終契約書の締結によってM&Aは正式に成立となります。一度締結すると撤回するなど条件を変更することはできません。契約書の内容をよく確認したうえで、記名・捺印をしましょう。

流れ6.引き継ぎ・統合作業を行う

最終契約書のあとは、経営者による引き継ぎや従業員同士の統合作業へと移行します。

買い手企業に統合される場合、社内で使うITシステムや人事評価の基準が変わることもありえるため、多くの変更があると、従業員は通常業務ができなくなってしまいます。

スムーズに移行できるよう、買い手企業と協力して従業員の働きやすい環境を作っていきましょう

以上がIT・ソフトウェア会社がM&Aを行うときの流れです。事前に確認して、スムーズな取引を実現させましょう。

5. IT・ソフトウェア業界でM&Aを成功させる2つのポイント

IT・ソフトウェア業界でM&Aを成功させる2つのポイント

最後にIT・ソフトウェア業界でM&Aを成功させる2つのポイントを確認しておきましょう。

  • ポイント1.ソフトウェアなどの特許は移転させる
  • ポイント2.ITに強いM&A仲介会社に相談する

それぞれ確認していきましょう。

ポイント1.ソフトウェアなどの特許は移転させる

ソフトウェアなどの特許を持っているのであれば、必ず買い手企業に移転をしてください。移転をしなければ、買い手会社が特許権を侵害してしまい、トラブルに発展する可能性があります

ただし、特許権の移転作業が必要となるのは事業譲渡という手法を選んだ場合のみです。事業譲渡とは、事業の一部または全部を譲渡する手法のことをさします。

事業譲渡にてM&Aを行った場合、特許権は自動で買い手企業に移行しません。

そのため、自社が単独で保有する特許権を譲り渡さなければ、営業ができなくなることも考えられます。譲り渡す特許権がある場合、特許庁に対して買い手企業へ特許権を移転することを伝えましょう。

【関連】IT企業の事業譲渡・事業売却を成功させよう!事例や相場など解説

ポイント2.ITに強いM&A仲介会社に相談する

IT・ソフトウェア会社のM&Aを行う場合は、必ずITに強いM&A仲介会社に相談しましょう。なぜなら、ITに強いM&A仲介会社でなければ、会社の持つ技術力を正しく評価してくれないからです。

正しく評価してもらえると、適切な買い手企業を選定してくれるので売却価格が高くなる可能性が高まります。特許の移転についても詳しくアドバイスしてくれるので、安心して任せることができるのです。

もし、M&Aをご検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。豊富な実績や経験を持つM&Aアドバイザーが、M&Aをフルサポートいたします。

ご相談は無料であり、費用についても国内最安値水準の完全成功報酬制となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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6. まとめ

まとめ

IT・ソフトウェア業界では業界内・外とのM&Aが活発に行われています。

人材不足・後継者不足・経営の不安などから脱却するためにM&Aを選択することは1つの経営戦略といえます。事前にポイントをおさえ、M&Aを成功させましょう。

また、IT・ソフトウェア業界でのM&Aを成功させるためには、M&A仲介会社へ必ず相談しましょう。M&A総合研究所ならIT企業・ソフトウェア業界の企業のM&Aにも強く、最適な相手企業をご紹介します。

M&Aが成立するまで費用は一切かかりませんので、お気軽にご相談ください。

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