IT・ソフトウェア業界のM&A事例25選!業界動向・M&Aの流れ・成功のポイントまで

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

IT・ソフトウェア業界のM&Aは、近年活発に行われています。今回はIT・ソフトウェア業界のM&A事例、業界動向やM&Aの流れをわかりやすく解説していきます。M&Aにおける成功のポイントも紹介するので、ポイントを押さえてM&Aを成功させましょう。

目次

  1. IT・ソフトウェア業界の定義と最近の動向
  2. IT・ソフトウェア業界でM&Aが活発である4つの理由
  3. IT・ソフトウェア業界でM&Aをするときの6つの流れ
  4. IT・ソフトウェア業界でM&Aを成功させる2つのポイント
  5. まとめ
    • IT会社のM&A・事業承継

    1. IT・ソフトウェア業界の定義と最近の動向

    ITとは、コンピューターやインターネットで扱われる情報技術(Information Technology)のことです。

    IT企業とは、こうした情報技術を扱う企業の総称ですが、その中にはソフトウェアを扱う企業やハードウェアを扱う企業、また情報処理系の業務をする企業などさまざまです。

    • 情報処理系の業務を行うSIer(システム会社)
    • インターネットを通じ、サービスを提供するWEB会社
    • ウェブブラウザでゲームを提供するソーシャルゲーム会社

    このように3つに分けることができます。いずれのIT・ソフトウェア会社も近年目覚ましい成長を遂げており、爆発的に伸びている市場です。

    現在、どのような動向が見られるのか確認しておきましょう。IT・ソフトウェア業界の動向は以下のとおりです。

    • 動向1.市場はいまだに拡大中
    • 動向2.技術者不足
    • 動向3.多重下請け構造の是正
    • 動向4.今後地方に拡散すると予想
    • 動向5.技術の組み合わせによるシナジー効果大

    順番に見ていきましょう。

    動向1.市場はいまだに拡大中

    令和時代に突入した現在も、市場の規模は拡大傾向にあります。

    特にIoT(Internet of Things)と呼ばれる、あらゆる製品とインターネットがつながる「モノのインターネット化」が加速しており、それをサポートしているIT企業・ソフトウェア企業へのニーズも拡大しているのです。
     
    これに加えて、ビッグデータやクラウドなどの新しい技術の範囲も拡大し続けているため、今まで以上にIT企業への需要は拡大しています。

    今後もIT・ソフトウェア業界は成長し続けるといえるでしょう。

    動向2.技術者不足

    一方で、IT技術者の数が不足している現状があります。IT系の技術は非常に早い速度で進歩し顧客のニーズも拡大し続けているにもかかわらず、人手が足りないのです。

    そのため、IT企業・ソフトウェア企業にとっては人員確保が大きな課題となっています。

    IT技術は日進月歩のため、競合他社よりも早くIT技術をサービス化させることが重要です。そのためにも技術者の確保は欠かせません。

    経済産業省のIT人材需給に関する調査(2019年)によると、2030年には約45万人程度のIT人材が不足すると予測されています。

     

    動向3.多重下請け構造の是正

    IT・ソフトウェア企業は、多重下請け構造となっている場合が多くあります。

    なぜなら、IT・ソフトウェア企業は20年ほど前に起業した会社が多くまだまだ若い業界だからです。新しい技術がベンチャー企業から生まれる傾向も強くあります。

    しかし、多重下請け構造で下層にいる下請け企業は利幅が圧縮されてしまい、利益が出ません。こうした下請け企業が低利益率から脱却すべく、事業拡大に向け同業と資本業務提携などに踏み切ることが多くなってきました。
     
    多重下請け構造は法的にグレーゾーンなので、国も法整備を進めているところです。現状の低利益率では生き残りが難しいため、特にSIerは生き残るためにM&Aを選択しているケースも少なくありません。

    動向4.今後地方に拡散すると予想

    IT企業・ソフトウェア企業が今後、地方に拡散していくことが考えられます。

    現在は顧客に近いということもあり、IT企業・ソフトウェア企業の多くが東京に集中しています。しかし、今後はクラウドの開発や保守・メンテナンスなどが主流になっていくでしょう。そのため、遠隔地からでも事業を行うことができるようになると考えられているのです。

    近年では、福岡でのIT企業が活発に活動しています。

    動向5.技術の組み合わせによるシナジー効果大

    IT企業・ソフトウェア業界内での技術の組み合わせによるシナジー効果はとても大きいです。
     
    IT業界は非常に幅広い業務を担っています。さらに多様化が進む一方、顧客のニーズはすべての領域に広がっていくでしょう。

    自社にないサービスを拡大することで、今後のビジネスの拡大に役立つことが期待されているのです。そのため、業務提携をしたり会社をグループ化したりする動きが出てきています。

    IT・ソフトウェア業界では以上のような動向が見られます。その上でM&Aが実施されることも多くなってきました。

    次の章でIT・ソフトウェア業界でM&Aが活発な理由を確認していきましょう。

    2. IT・ソフトウェア業界でM&Aが活発である4つの理由

    IT・ソフトウェア業界でM&Aが活発な理由は、4つあります。

    • 理由1.薄利な多重下請け構造から脱出したい
    • 理由2.大企業傘下で経営を安定させたい
    • 理由3.技術者不足を解消したい
    • 理由4.新しい技術を早く獲得したい

    順番に確認していきましょう。
     

    理由1.薄利な多重下請け構造から脱出したい

    IT・ソフトウェア業界の薄利な多重下請け構造から脱出するために、M&Aで会社売却を決意する経営者は多いです。

    多くのIT・ソフトウェアの中小企業は、3次・4次請けとなっており、仕事はあっても利益を獲得できない状況に陥っています。経営は安定せず、常に不安を抱えているでしょう。

    しかし、3次請けから2次請けになれば同じ仕事内容であっても、多くの利益を獲得できます。経営は安定し、従業員にも満足のいく給料を支払うことができます。

    このように多重下請け構造から脱出するために、M&Aを決意する経営者は多いです。

    理由2.大企業傘下で経営を安定させたい

    M&Aを実施することで大企業傘下に入り、経営を安定させたいと考えるケースも増えています。IT・ソフトウェア会社にはベンチャー企業が多く、サービスや商品の開発を続けるために大手企業の傘下に入ろうとするのです。

    そうすることで経営基盤が安定し、IT技術の向上やサービス・商品開発に時間と経営資源を投入することができます

    せっかく技術力があるのに資金不足で事業を断念するベンチャー企業は多いです。しかし、M&Aで大手企業傘下に入れば、大手企業に資金援助をしてもらえます。

    理由3.技術者不足を解消したい

    技術者不足を解消するためにM&Aを実施するケースが増えています。IT・ソフトウェア業界全体で技術者不足が課題となっているからです。

    技術力があっても技術者が足りず、サービス・商品開発に時間がかかってしまっています。一方でIT・ソフトウェアの需要は急速に拡大しています。

    新しく技術者を育てたり、1人ずつ採用したりしていては追いつきません。そこで、M&Aを活用して会社ごと技術者を獲得したいと考えるIT・ソフトウェア企業が増えているのです。

    理由4.新しい技術を早く獲得したい

    新しい技術を早く獲得するためにM&Aを実施する企業は多いです。今会社で持っている技術と他の技術を掛け合わすことで、今までになかった新しいサービス・商品が生まれることはよくあります。

    IT・ソフトウェアサービスにおいては、このようなシナジー効果が顕著です。競合他社よりも早くサービス・商品を発表するなら、一から技術開発していては間に合いません。

    そこで、M&Aを活用して他社の持っている技術を取得するのです。

    また、今までIT・ソフトウェアの技術を持っていなかった会社が業務効率やサービス・商品提供のためにIT・ソフトウェア会社を買収するケースも増えています。

    例えば、物流会社の輸送システムを作るためにIT会社を買収し、そのまま自社のIT部門として採用することもあるのです。

    このように、IT・ソフトウェアサービスの可能性は無限大にあります。日本の人口減少に伴って総人口も減っている今、IT・ソフトウェアサービスを活用したいと考える企業が増えています。

    以上、IT・ソフトウェア業界でM&Aが増えている4つの理由を紹介しました。IT・ソフトウェア会社のM&Aを検討するのであれば、事前にM&Aを行うときの流れを確認しておきましょう。

    3. IT・ソフトウェア業界でM&Aをするときの6つの流れ

    IT・ソフトウェア業界でM&Aを行うときの流れは、以下の6つに分けることができます。

    • 流れ1.買い手企業の選定をする
    • 流れ2.M&Aの条件交渉を行う
    • 流れ3.基本合意書を締結する
    • 流れ4.デューデリジェンスを受ける
    • 流れ5.最終契約書を締結する
    • 流れ6.引き継ぎ・統合作業を行う

    流れ1.買い手企業の選定をする

    まずは、買い手企業の選定です。IT・ソフトウェア企業を買収したいと考える企業は業界内外にたくさんいます。

    そのため、あまり「同業界の買い手」などと固執しない方が良いでしょう。ただし、どれくらいの規模なのか、活動エリアはどこなのか、といった買い手企業の理想像を決めておくとスムーズに決定できます。

    買い手企業の候補がない場合は、M&A仲介会社に相談すると多くの企業を紹介してくれるのでおすすめです。

    流れ2.M&Aの条件交渉を行う

    買い手企業にアプローチし、互いにM&Aを検討していくことになったらM&Aの条件交渉を行いましょう。

    まずは経営者同士でトップ面談を行い、企業理念やM&Aに至った経緯などを話します。

    トップ面談のあと、買い手企業から意向表明書を提示されることがあります。意向表明書とは、M&Aを前向きに検討したい旨や買収の条件、スケジュールなどが記載された書類です。

    意向表明書に書かれた内容を元に、条件のすり合わせを行っていきましょう。

    流れ3.基本合意書を締結する

    互いに納得のいく条件となったら、基本合意書を締結します。

    基本合意書とは、両者が納得したM&Aの条件やスケジュールを明確にした書類のことです。基本合意を結ぶことで、基本的にM&Aを実行することが約束されます。

    流れ4.デューデリジェンスを受ける

    続いてデューデリジェンスを受けましょう。デューデリジェンスとは、買い手企業による売り手企業の内部調査です。

    このとき、法務・税務・会計などあらゆる情報を専門家によって調べられます。求められた資料を素早く提出できるよう、まとめておきましょう。

    また、デューデリジェンスでは企業価値評価も行われます。企業価値評価によって売却価格が決定するのです。

    IT・ソフトウェア会社にとって企業価値を高める大きな要因は、保有するIT技術力の高さと技術者の多さです。

    そのため、過去にどのようなサービス・商品の提供を行ってきたのかをまとめたり、技術者の持つ資格や経験・実績をリストにしたりしておくとアピールできます。

    このようにデューデリジェンスでは売り手企業も行うことが多いです。しっかりと対応しましょう。

    流れ5.最終契約書を締結する

    デューデリジェンスが無事に終われば、最終契約書を締結します。

    最終契約書の締結によってM&Aは正式に成立となります。一度締結すると撤回するなど条件を変更することはできません。契約書の内容をよく確認したうえで、記名・捺印をしましょう。

    流れ6.引き継ぎ・統合作業を行う

    最終契約書のあとは、経営者による引き継ぎや従業員同士の統合作業へと移行します。

    買い手企業に統合される場合、社内で使うITシステムや人事評価の基準が変わることもありえるため、多くの変更があると、従業員は通常業務ができなくなってしまいます。

    スムーズに移行できるよう、買い手企業と協力して従業員の働きやすい環境を作っていきましょう

    以上がIT・ソフトウェア会社がM&Aを行うときの流れです。事前に確認して、スムーズな取引を実現させましょう。

    • IT会社のM&A・事業承継

    4. IT・ソフトウェア業界でM&Aを成功させる2つのポイント

    最後にIT・ソフトウェア業界でM&Aを成功させる2つのポイントを確認しておきましょう。

    • ポイント1.ソフトウェアなどの特許は移転させる
    • ポイント2.ITに強いM&A仲介会社に相談する

    それぞれ確認していきましょう。

    ポイント1.ソフトウェアなどの特許は移転させる

    ソフトウェアなどの特許を持っているのであれば、事前に買い手企業に移転をしてください。移転をしなければ、買い手会社が特許権を侵害してしまい、トラブルに発展する可能性があります

    ただし、特許権の移転作業が必要となるのは事業譲渡という手法を選んだ場合のみです。事業譲渡とは、事業の一部または全部を譲渡する手法のことをさします。

    事業譲渡にてM&Aを行った場合、特許権は自動で買い手企業に移行しません。

    そのため、自社が単独で保有する特許権を譲り渡さなければ、営業ができなくなることも考えられます。譲り渡す特許権がある場合、特許庁に対して買い手企業へ特許権を移転することを伝えましょう。

    【関連】IT企業の事業譲渡・事業売却を成功させよう!事例や相場など解説

    ポイント2.ITに強いM&A仲介会社に相談する

    IT・ソフトウェア会社のM&Aを行う場合は、ITに強いM&A仲介会社に相談することをおすすめします。適切な買い手企業を選定してくれるだけでなく、特許の移転についてもアドバイスが受けられます。

    IT・ソフトウェア会社のM&Aをご検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。豊富な実績や経験を持つM&Aアドバイザーが、M&Aをフルサポートいたします。

    当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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    5. まとめ

    IT・ソフトウェア業界では業界内・外とのM&Aが活発に行われています。

    人材不足・後継者不足・経営の不安などから脱却するためにM&Aを選択することは1つの経営戦略といえます。事前にポイントをおさえ、M&Aを成功させましょう。

    また、IT・ソフトウェア業界でのM&Aを成功させるためにも、M&A仲介会社など専門家に相談することをおすすめします

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