M&Aのシナジー効果とは?シナジー効果の事例5選!

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

M&Aはシナジー効果を得る目的で行う会社がほとんどです。この記事では、M&Aで得られるシナジー効果にはどのようなものがあるか紹介します。また、実際に日本の企業で見られたM&Aによるシナジー効果の事例について5つ紹介するので参考にしてみてください。

目次

  1. M&Aとシナジー効果
  2. M&Aのシナジー効果とは
  3. M&Aのシナジー効果の具体例
  4. M&Aでシナジー効果を検討するためのフレームワーク
  5. M&Aでシナジー効果を発揮するためのポイント
  6. M&Aのシナジー効果の算出方法
  7. M&Aのシナジー効果と取引価格
  8. 水平型M&Aと垂直型M&Aのシナジー効果
  9. M&Aでシナジー効果を発揮しやすい業界
  10. シナジー効果の事例5選
  11. M&Aのシナジー効果を考えるならM&A総合研究所へ
  12. まとめ
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1. M&Aとシナジー効果

M&Aとシナジー効果

M&Aは近年中小企業を中心に行うケースが増えています。

なぜなら、経営者の高齢化に伴う事業承継のためや、シナジー効果を得ることで事業拡大を狙う動きがあるためです。

そこで、この記事ではM&Aによるシナジー効果がどれほど良い影響を与えるのかを知ってもらい、M&Aの戦略を考えるためにも以下のような内容でお話をしていきます。
 

  • シナジー効果についての解説
  • 具体的なシナジー効果について
  • M&Aによるシナジー効果を検討するためのフレームワークについて
  • M&Aでシナジー効果を発揮するためのポイントについて
  • M&Aの種類によるシナジー効果について
  • M&Aによるシナジー効果の事例について

この記事を読んでいただけると、M&Aによるシナジー効果を理解していただけます。ぜひ、最後までご覧ください。
 

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2. M&Aのシナジー効果とは

M&Aのシナジー効果とは

まずは、シナジー効果の基礎知識から見ていきましょう。

シナジー効果とは日本語で『相乗効果』のことです。つまり、2つ以上の会社が合わさることで1+1以上の成果を残せたときに、「シナジー効果がある」といえます。

例えば、M&Aでシナジー効果があるとは以下のようなことです。
 

  • 下請け企業を買収したことで、より顧客の求める製品に近づけた
  • 販売ルートを増やせる企業を買収したことで、顧客層が拡大した
  • 欲しい技術力の持つ企業を買収したことで、より製品開発に成功した

このように、欲しいものを自社で0から作り上げるのではなく、すでに持っている企業を買収することで自社をさらに成長させられるのがシナジー効果となります。

ケースによっては、たし算以上の効果を得ることも可能です。ただし、どのような会社を買収したいかを明確にし、買収後にどのような経営戦略を行うかというM&Aの戦略をしっかりと考える必要があるでしょう。

より経営戦略に組み込みやすくするためにもう少し詳しくシナジー効果についてお話をしていきます。

2-1.アンゾフによるシナジー効果の4分類

アンゾフとは、経営戦略のマトリックスを提唱したことで有名なアメリカの経営学者のことです。

このアンゾフはシナジー効果についても提唱しており、シナジー効果には以下の4種類あると述べています。

それが以下の4種類です。
 

  1. 販売シナジー
  2. 生産シナジー
  3. 投資シナジー
  4. 経営シナジー

これら4つのシナジー効果について簡単に説明します。

販売シナジー

販売シナジーとは、販売面において相乗効果を得ることです。

買収会社・被買収会社の顧客や流通面を共同で使用することで費用の削減が期待されます。また、両社のブランドイメージを使うことで売り上げも期待することが可能です。

生産シナジー

生産シナジーは、生産面で相乗効果を得ることです。

M&Aによって会社の規模や市場占有率が大きくなることで、大量購入や工場の稼働率向上などによるコスト削減が期待できます。

投資シナジー

投資シナジーは、経営の投資面で相乗効果を得ることです。

研究開発への投資をすることで研究開発シナジーを期待できます。また、ベンチャー企業へ投資して将来自社との相乗効果を期待できるのも強みです。

経営シナジー

経営シナジーは、経営のノウハウを共有することで相乗効果を得ることです。

異業種とのM&Aを行う場合、自社はその業界に新規参入することになります。被買収会社からの経営ノウハウを共有してもらうことで経営シナジーを生み出し、M&Aに成功している例もあるのです。

このような4種類のシナジーから自社で狙えるものを選出し、戦略に組み込む必要があります。

2-2.現代のシナジー効果の種類

ここまでお話をしたシナジー効果の4種類について現代では研究が進み、より細分化されました。

それが以下の4つです。
 

  1. 収益シナジー
  2. コストシナジー
  3. 事業シナジー
  4. 税金シナジー

1つ目は収益シナジーで、M&Aでよく見られる相乗効果のことです。買収会社と被買収会社が連携することでシナジー効果が生まれ、収益が大きく向上する効果があります。

2つ目のコストシナジーは、アンゾフの4つの分類のうち生産シナジーに分類でき、コスト削減効果を期待することが可能です。

3つ目の事業シナジーは、スケールメリットによるコスト削減効果のことを表しています。

4つ目の税金シナジーは、M&Aの際ののれんや繰越欠損金により節税効果がもたらされることです。

現代のシナジー効果の中では、特に収益シナジーやコストシナジーの2つのシナジー効果が注目されています

2-3.類義語は相補効果

シナジー効果の類義語に『相補効果』があります。

シナジー効果は1+1が2以上の効果を期待しているのに対して、相補効果は1+1=2くらいの効果が表れることです。相補効果では、M&Aによる大きな業績向上は見られないが、買収会社・被買収会社の互いの弱点を補うことで業績を改善させます。

こうした相補効果もM&Aの目的とすることがあるので覚えておきましょう。

2-4.対義語はアナジー効果

シナジー効果の対義語として『アナジー効果』があります。アナジー効果の意味は、相互のマイナス効果です。M&Aは、相乗効果が少なくとも相補効果を期待して行います。

しかし、M&Aを行ったが想定よりもシナジー効果が出ない場合や、M&A前よりも業績が低下する場合があるのです。このようなときは、M&Aによりアナジー効果が出ていることになります。アナジー効果が出た場合は、経営戦略を大きく変えるか、次に説明するピュアカンパニー化を行う必要があるでしょう。

アナジー効果という言葉も良く使われるので覚えておくと便利です。

ここで出てきたピュアカンパニー化についてもお話をしておきます。

2-5.ピュアカンパニー化とは

ピュアカンパニー化とは、M&Aによりアナジー効果が出たときに行う対策の1つで、会社もしくは事業を分裂させることです。M&A前の状態に戻すことでアナジー効果をなくし、両社ともに元の業績に戻します。

また、ある業務に資源を集中させるためにピュアカンパニー化を行う場合があります。この事例についてインテルを例に説明します。

インテルはDRAM、MPU、EEPROMを製品化していました。しかし、インテルは当時3つの事業に投資できる程の経営資源を持っていなかったのでピュアカンパニー化を行い、MPUに経営資源を集中させることを決めました。インテルの場合はピュアカンパニー化を行うことにより、MPU事業は成功しました。

こうしたピュアカンパニー化について知っておくことで、業績悪化に対策できるので参考にしてみてください。

では、ここで例をお話をしてきましたが「具体例」をもう少し見てイメージしていきましょう。

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3. M&Aのシナジー効果の具体例

M&Aのシナジー効果の具体例

ここからはM&Aのシナジー効果を具体的に紹介していきます。

シナジー効果をしっかりと理解しておかないとM&Aの戦略を十分に練ることはできません。シナジー効果を得るためのM&Aを考えている経営者の方はここから真剣に読んでいただきたい。

この記事では、M&Aで主にみられる以下の4つのシナジー効果について紹介します。
 

  1. 売り上げシナジー
  2. コストシナジー
  3. 研究開発シナジー
  4. 財務シナジー

順番に確認していきましょう。

具体例①売り上げシナジー

売り上げシナジーとは、M&A後の売上金額がM&A前の買収会社・被買収会社の合計額よりも大きくなることをいいます。

つまり、売上額についてM&Aによる1+1が2以上になることを狙うシナジーです。アンゾフの4種類のシナジー効果の中であれば、販売シナジーに分類されます。

売上シナジーの具体例としては以下のようなものです。
 

  • M&Aを行う前に用いていた被買収会社のブランドもしくは会社の知名度を用いて自社商品のジャンルを増やす戦略。
  • 独自の販売チャネルを買収して自社の売り上げを増やす(川下への進出)戦略。

売り上げシナジーの難易度は、比較的得やすいものに分類されます。そのため、売上シナジーを目的としてM&Aを行うケースでは狙い通りにいきやすいといえるでしょう。

具体例②コストシナジー

コストシナジーはM&Aにより会社の規模を大きくすることでスケールメリットを得て、コスト削減をすることです。アンゾフのシナジー効果では、生産シナジーに分類されます。

コストシナジーの具体例を以下に挙げます。
 

  • 会社の規模が大きくすることで大量に仕入れ、コスト削減する戦略。
  • 流通の川上に進出してコストを減らす戦略。
  • 買収会社と被買収会社の物流を統一して物流コストを削減する戦略。

コストシナジーも難易度は比較的低いと考えられます。

理由は、上の例で紹介した通り、流通の川上を買収すれば得られるシナジーであるからです。また、中小企業同士のM&Aでもシナジー効果は十分に得られます。

具体例③研究開発シナジー

研究開発シナジーは、M&Aでの買収会社・被買収会社の得意な研究分野を融合させて新たな商品開発を行うことです。アンゾフのシナジー効果では、投資シナジーに分類されます。

研究開発シナジーの具体例を以下に挙げます。
 

  • 研究開発におけるノウハウの獲得・共有を狙う戦略。
  • 共有されたノウハウと自社で培ったノウハウを合わせて新たな商品開発を行う戦略。

シナジー効果の得やすさは、比較的難しいと考えられます。

M&Aを行う前にどのようなシナジー効果が得られるか明確に戦略を考えておく必要があるからです。また、買収会社や被買収会社が研究開発シナジーを得られる体制なのかを見極めることも必要となるでしょう。

具体例④財務シナジー

財務シナジーは、M&Aにより資本調達力を増強させる場合や、資金調達コストを下げる効果を得ることです。財務シナジーは、今まで紹介した4つのシナジー効果の中で最も効果を得にくいと考えられます。

その理由は、買収会社・被買収会社ともに財務状態が良くないと財務シナジーを得られないからです。財務シナジーを主な理由としてM&Aを行うケースは非常にまれです。

では、シナジー効果を得るためにはどうする必要があるのか。次の項目でフレームワークについても見ていきましょう。

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4. M&Aでシナジー効果を検討するためのフレームワーク

M&Aでシナジー効果を検討するためのフレームワーク

ここまで紹介した4種類のシナジー効果を生み出すためには、いずれもフレームワークを考えることも大切です。

そこで、M&Aでシナジー効果を検討するために必要となるフレームワークについて、内部リソースと外部ネットワークの2つに分けて紹介します。

難しくはないので、実際に動き出すときに意識してみてください。

フレームワーク1.内部リソース

内部リソースとは、自社もしくは買収される会社が保有している経営資源のことです。

内部リソースの分析を通して、自社もしくは買収相手の会社にはどのような特徴があるか、それらを組み合わせることでどのようなシナジー効果が生まれるか考える必要があります。

これだけではわかりにくいので、内部リソースのフレームワークに当てはまる人材、拠点、資金の3点について簡単にお話をしていきます。

人材

1つ目は人材です。

人材のフレームワークでは、自社や買収される会社の従業員にはどのような技術を持った人がいるか、その人たちはどのような仕事が可能かなどを分析します。

例えば、工場を稼働させている製造業の会社ならば、その分野での技術者が多いでしょう。その技術者たちが買収される会社の技術を共有したら、市場で流通する製品を開発できるのではないかと戦略を立てられます。

経営者は、このような人材のフレームワーク分析に当てはめて、M&Aによってどのようなシナジー効果が生まれるか考えます。そうすることで予想できるシナジー効果の具体性を高め、どう動く必要があるのかにつなげられるでしょう。

拠点

2つ目は拠点です。

拠点については、主に物流の拠点についてのフレームワークを分析することになります。M&Aにより、自社と買収される会社の物流拠点が使用できるため、効率的な物流を生めるか判断するのです。

また、自社と買収される会社で同じ場所に物流拠点があった場合は、その物流拠点をメインとして使えます。その物流拠点を中心として各地域の物流拠点に必要なものを運ぶという流れができれば効率的な物流とコスト削減が期待できるケースはないでしょうか。

このように経営者は、物流拠点を把握してどのようなシナジー効果が期待できるか考えていくのです。

資金

最後に資金です。

M&Aによって無駄な投資をなくし、新たな投資ができるように戦略を考えます。M&Aによって、スケールアップによるコスト削減や資金繰り改善による経営コスト効率化で新たな資金を生み出すことが可能です。この生み出された資金を用いて別方向へ投資できます。

また、自社と買収される会社が同じような事業に投資しようとしている場合は、二重投資を回避して、余った資金は同様に別方向への投資に用いるような戦略を立てます。

こうした資金についても含めて検討できれば、高いシナジー効果が得られるでしょう。

フレームワーク2.外部ネットワーク

外部ネットワークとは、自社もしくは買収される会社と関係のある外部の経営資源のことです。

外部ネットワークの分析を通して、顧客ニーズなどを把握し、どのようなシナジー効果を生み出すのかを考えてみてください。

こちらもわかりにくいので、外部ネットワークのフレームワークに当てはまる顧客と仕入先の2つについて紹介します。

顧客

1つ目は顧客です。

自社や買収される会社はそれぞれどのような顧客を獲得していて、どのような顧客ニーズがあるのかを把握しています。そのため、お互いの顧客フレームワークを分析することによって、M&Aでどのようなシナジー効果を生み出せるか考えていくのです。

例えば、自社と買収予定の会社の顧客層が似ている場合は、顧客の固定化のための戦略と新規顧客獲得のための戦略を立てられます。一方、顧客層にある程度の違いがみられる場合は、両社の顧客を固定化させるような戦略を取ることもできるでしょう。

こうした顧客でのシナジー効果は非常に高いので必ず検討してみてください。

仕入れ先

2つ目は仕入れ先です。

仕入れ先のフレームワークについては、自社や買収される会社はそれぞれどのようなところから仕入れているかを考えます。

例えば、同じ会社から同じ製品を仕入れている場合は、スケールメリットによるコスト削減できます。同じ原料を違う会社から仕入れている場合は、安定供給のことを考えて2社から仕入れ続ける戦略を考えられるでしょう。

仕入れ先については製品の違いでもシナジー効果が変わりますので、慎重に検討してみてください。

ここまで、シナジー効果を考えるためのフレームワークについてお話をしてきました。

では最大限にシナジー効果が発揮できるように知っておきたいポイントも見て成功率を高めていきましょう。

5. M&Aでシナジー効果を発揮するためのポイント

M&Aでシナジー効果を発揮するためのポイント

ここまではシナジー効果の考え方をお話をしてきたので、ある程度はシナジー効果の予想ができるようになっているはずです。

しかし、それだけでは満足できるシナジー効果を得ることはできません。これから戦略として取り入れるためには、知っておきたいポイントがあります。

ポイントは以下の8つです。
 

  1. 技術の相性
  2. 市場規模の大きさ
  3. 投資金額
  4. 競合の存在
  5. サービス提供のチャネル
  6. 相手企業のブランド力
  7. タイミング
  8. リスクの検討

少し多いでしょうが、知っておくと成功率を高めて非常に満足できるシナジー効果につなげられるはずです。

わかりやすくそれぞれ解説しますので見ていきましょう。

ポイント①技術の相性

まずは、技術の相性について知っておきましょう。

技術の相性とは、自社と相手企業が保有している技術で相乗効果を得られるかどうかです。例えば、研究開発シナジーを生み出すためにM&Aを行おうとしても、研究対象の分野が遠かった場合、すぐにシナジー効果を生み出すことはできません。

近年の研究開発では最先端の知識と技術が必要となります。経営者が近い分野だとしても、研究者からすると一から勉強しないといけない分野である可能性があります

そのため、M&Aによる研究開発シナジーを考えている場合は、現場の研究者の声を聴いて技術の相性がよいM&Aを行う必要があるでしょう。

ポイント②市場規模の大きさ

次に市場規模の大きさを考えてみてください。

市場規模の大きさは、単純に大きければ大きいほどメリットが増える傾向があります。ただし、大きすぎることで対応できず、シナジー効果が伸び悩むこともあるので注意しておきましょう。

例えば、被買収会社が得意とする技術分野と自社の技術を用いて研究開発シナジー効果を得るためM&Aを行おうとします。被買収会社が得意とする技術分野の市場占有率について、被買収会社を含めて5社以上参入している状況です。このような場合、市場規模が一番大きい会社を買収した方がいい。理由は2つあります。

1つ目は、ある技術を用いた分野の中で一番顧客ニーズを把握していると考えられるからです。

2つ目が、大きな市場規模を利用して自社の製品や新製品の顧客を得られ、販売シナジーを生み出せるからといえます。

このような事例のM&Aを考えている経営者は、自社と買収する会社の市場規模の大きさについて考えてみてください。

ポイント③投資金額

M&Aによるシナジー効果を得るための新製品開発にかかる開発費(投資金額)も考える必要があります。

なぜなら、新製品を開発したときの予想売り上げが開発費を下回っている場合は、アナジー効果となるからです。投資する金額に対して利益を得られるかの予想は非常に大きなポイントとなります。

もし、投資金額よりも売り上げが低くなる予想があるのなら、シナジー効果が下がる可能性があるため再検討する必要があるでしょう。

ポイント④競合の存在

M&Aによって参入しようとしている分野の競合会社の存在には常に目を向けておきましょう。

M&Aによって買収する会社の市場占有率がM&A後もそのまま維持できるとは限りません。万が一、競合他社に市場占有率1位を取られた場合、M&Aによって得られるシナジー効果が小さくなります。M&Aを行う際には、被買収会社の競合他社の動きには常に注意をし、対策を立てておくほうが良いでしょう。

また、競合の存在を見つけられたなら、どうすればその企業に打ち勝てるのかを考えてみてください。そうすることでシナジー効果の狙いも変わり、新しい目的を見つけることにもつなげられるでしょう。

ポイント⑤サービス提供のチャネル

サービス提供のチャネルは、物流の川下である小売のことです。M&Aを考えている小売がどのような商品の販売、サービス接客を行っているか調査しておく必要があります。

例えば、自社が芳香剤の製造を行っている会社として、車用の芳香剤を販売する戦略を立てていたとします。その戦略を実行するために小売業とM&Aを行う場合、スーパーマーケットのような小売りではなく、カー用品も販売している小売りを買収しないとシナジー効果は生まれないのです。

このように物流の川下である小売にも注目してシナジー効果を考えてみてください。予想外な部分にシナジー効果を狙える部分も見えてくるので、細かく調べ上げるのも成功率を挙げる秘訣です。

ポイント⑥相手企業のブランド力

ブランドに対して顧客はロイヤルティ(忠誠心)を持っているときにはシナジー効果でも検討しなくてはなりません。

例えば、「この製品にはこのブランドといった商品を購入する」という購買意欲を出させる力は大きな強みです。ブランド力を持っている会社とのM&Aを行うと、被買収会社の顧客のロイヤルティを利用して新規顧客の開拓ができる可能性があり、販売シナジーが生まれやすいと考えられます。

大手企業の子会社になることを目的としたM&Aでも注目される部分ですから、覚えておくと良いでしょう。

ポイント⑦タイミング

M&Aを行うにはタイミングを見極めることも大切です。M&Aのタイミングを誤ってしまうとシナジー効果が出ないだけでなく、アナジー効果が出る恐れがあります。

では、最適なタイミングがいつなのか。これは業種や市場規模によって変わることから明確な目安がありません。シナジー効果を検討したときに、狙った効果がいつ最大のタイミングになるのかを考えていくのです。

そうすることで、自然に最適なタイミングを見つけられるでしょう。

もし、不安を感じる場合にはM&A仲介会社などの専門家に依頼するのも良いでしょう。知識と経験から最適なタイミングにM&Aができるようアドバイス、サポートが受けられますから検討してみてください。

ポイント⑧リスクの検討

シナジー効果を狙うあまり、リスクについておろそかにしていては失敗してしまいます

どんな大企業であっても、M&Aを行うことで100%シナジー効果を得られるわけではありません。場合によってはアナジー効果が出る恐れがあります。しかし、M&Aによる負の効果が出ないようにリスクマネジメントを行う必要があるのです。

では、どのようなリスクがあるのか。考えておく必要があるリスクについて4つ紹介します。

隠れ債務の存在

M&Aを行う際、被買収会社に隠れ債務が存在している可能性があります。被買収会社は少しでも会社の価格を高くするために自社の負の部分を公開しない可能性があるからです。

この対策として、デューデリジェンス(企業監査)を行います。デューデリジェンスでは、被買収会社の財務、法務、ビジネスの観点で分析しますから、事前にリスクを知れるでしょう。

デューデリジェンスでは、隠れ債務を発見できるだけでなく、コンプライアンス違反をしているなど、対象会社の負の部分を明らかにすることも可能です。

専門家に依頼すれば費用がかかるのでデューデリジェンスをしたくないという人も中にはいるでしょう。しかし、依頼しないリスクの方が圧倒的に高いでしょう。場合によっては訴訟が起きるケースも。

ですから、隠れ債務の存在などを知れるデューデリジェンスは必ずしておく必要があります

従業員の離脱

M&Aにより従業員が一気に退職してしまうケースもあります。自社がM&Aを行うということは、経営が良くないのではないかと従業員が不安になり一気に退職を選ぶこともあるからです。また、経営陣の新体制に不満を持つため従業員が退職する場合もあります。

このような事態を避けるためには、従業員へのM&Aを公表するタイミングについて十分に注意する必要があります。

PMIの失敗

PMI(買収後の経営統合)は、M&Aを行う際に一番重要で時間のかかるプロセスです。PMIには、ハード面とソフト面の2種類あります。

ハード面では、人事システムや経理システムの統合があります。例えば、PMIでいかに効率的にシステム統合を行うかが重要視されるのです。一方、ソフト面は、企業文化や社員同士の統合のことをいいます。ソフト面の統合はハード面の統合より難しいでしょう。

こうしたPMIの失敗を回避するためには、交渉・契約を担当してもらっていたM&Aアドバイザリーに引き続き行ってもらうという方法があります。

その理由は、自社のM&Aを担当したM&Aアドバイザリーは、両社の雰囲気や社員についてある程度は理解しているため、素早い統合に向けての的確なアドバイスをもらえるからです。

専門家に依頼するなどPMIのリスクについては最小限に抑える必要があるといえるでしょう。

独占禁止法への抵触

M&Aによる独占禁止法への抵触には注意する必要があります。ある業界において市場シェアが独占状態であると、その企業が価格操作を行え、不当な価格で利益を得る可能性があるからです。

独占禁止法では、このような不当な利益が得られないように、独占状態になること自体を禁止しています。

例えば、M&Aにより生産シナジーを得るために会社の規模を大きくするケースがあるとしましょう。しかし、M&A後の自社の市場シェアが大きくなりすぎて、独占状態となると独占禁止法に抵触する恐れがあるわけです。

独占禁止法への抵触は、特に同業種でのM&Aを行う際は、気をつける必要があります

ここまで8つのポイントについてお話をしてきました。

ポイントが多いので、シナジー効果を得るのは難しいと考えることもあります。もし、不安に感じる場合や、疑問点があるなら『M&A総合研究所』の無料相談をご利用ください。

アドバイザーが、最初から最後までM&Aをサポートいたしますのでシナジー効果も最大限に狙うことが可能です。不安な点や疑問もすべて丁寧に説明し、リスクも最小限に抑えるアドバイス・サポートが可能ですからまずはお気軽にお声掛けください。

では、シナジー効果を戦略として取り入れる方法やポイントを確認したところで、どのように具体的な数字を出していくのかを見てみましょう。

【関連】M&Aにおける人事DD(デューデリジェンス)からPMIまでを徹底解説!

6. M&Aのシナジー効果の算出方法

M&Aのシナジー効果の算出方法

ここまでお話をしたポイントを踏まえたうえで、M&Aのシナジー効果を算出する方法は以下3つです。
 

  • M&Aによるシナジー効果=M&Aにより増えた利益 - M&Aにかかった費用
  • M&Aにより増えた利益=M&A後の利益 - M&A前のそれぞれの会社における利益の合計
  • M&Aにかかった費用=買収金額 - M&A前の被買収会社の利益

例として、M&A前の買収会社の利益が10億円、被買収会社の利益が5億円であったとします。

また、買収金額は7億円、M&A後の利益が20億円だったとするとシナジー効果は上の式に当てはめて3億円となります。

このようにシナジー効果の目安をある程度であれば計算式で求められるので、実際に計算して資料の具体例として使うなど参考にしてみてください。

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7. M&Aのシナジー効果と取引価格

M&Aのシナジー効果と取引価格

M&Aによる取引価格において、シナジー効果を含めるかどうかの明確なルールはありません

実際のところM&Aによる取引価格にシナジー効果を含まないものが多いでしょう。

確実性の低いシナジーをM&Aの買収価格に含めてしまうと、シナジー効果を得られなかったときのリスクを買収会社が負うことになります。それを回避するため基本的には、シナジー効果はM&Aの取引価格に含めないのです。

しかし、確実性の高いシナジー効果(生産シナジーなど)の分はM&Aの買収価格に転嫁されることがあります。M&Aにおける会社売却側はできるだけ高い価格で会社を売ろうとしていますが、M&Aの買収価格が低すぎると交渉が成立しない可能性がでてくるでしょう。

そのため、確実性の高いシナジー分だけは価格に含める傾向があります。

8. 水平型M&Aと垂直型M&Aのシナジー効果

水平型M&Aと垂直型M&Aのシナジー効果

ここまでシナジー効果について考え方やリスク、目安などをお話をしてきました。

ここで少し深いM&Aの型について触れていきます。型によっては得られるシナジー効果が変わることもあり得ますから、参考にチェックしてみてください。

M&Aのシナジー効果の型は以下の2つです。
 

  1. 水平型M&A
  2. 垂直型M&A

それぞれわかりやすくお話をしていきます。

型①水平型M&Aのシナジー効果

水平型M&Aは、スケールメリットによる生産シナジーが得られ、コスト削減を狙いとします。

同業種でM&Aを行う場合に選ばれることが多いでしょう。また、研究開発部門においては同業種であるので研究分野が近い場合もあります。

そのため、水平型M&Aにおいて研究開発シナジーが生まれる可能性は高いでしょう。しかし、同業種のM&Aであるため、独占禁止法に抵触しないか注意する必要があります。

型②垂直型M&Aのシナジー効果

垂直型M&Aは、原料製造メーカーから小売業の会社まで、つまり物流の上流から下流までをグループ化するM&Aをさします。

小売業を買収することで、顧客情報や顧客ニーズを開発部門と共有でき、ニーズに合わせた新製品を開発できるのです。また、生産量についても共有できるため生産の無駄をなくし、コスト削減につながります。

垂直型M&Aは異業種間で連携をとることになります。そのため、グループ会社内での緊密な連携システムを工夫して構築していくと良いでしょう。

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9. M&Aでシナジー効果を発揮しやすい業界

M&Aでシナジー効果を発揮しやすい業界

M&Aは多額の資金を用いて行うため、失敗をしたくないと考えている経営者は多いでしょう。

ここでは、M&Aでシナジー効果を発揮しやすい業界を以下4つ紹介します。
 

  1. 環境・エネルギー
  2. 医療
  3. 農業
  4. IT・ソフトウェア

M&Aを検討されている経営者はぜひ参考にしてください。

業種①環境・エネルギー

環境・エネルギー業界を相手とすれば、投資シナジーを狙えます。

これは、再生可能エネルギーが注目され、太陽光や地熱など商業用として利用することを視野に入れられるからです。ですから、投資を行い商業用として確立できれば、大きな効果を得られます。

ただし、すべての業種が狙えるわけではなく、再生可能エネルギーがどのような効果をもたらしてくれるのかを丁寧に調べ上げてから踏み切る必要があるでしょう。

業種②医療

医療業界も高いシナジー効果を狙えます。

都市部に集中することで、地方では人が減っており、それに合わせて収入が減ったという病院は多いでしょう。そうした地方病院を買収し、経営基盤を安定化することで新しい事業を手掛けることもできるでしょう。

導入できなかった医療機器を購入する、新しいサービスによる活性化なども視野に入れます。

売買する相手企業によって異なりますが、医療業界でもこうした効果を狙って活発化しているのがM&Aなのです。

業種③農業

意外な業種としては農業もあります。

生み出しているものがブランド化されている、知名度が高いなどの場合は宣伝に活用することが可能です。宣伝したことによって農業を買収した企業に良い効果が、宣伝による販売数の増加で農家も潤うなど、簡単に考えても見逃せないでしょう。

また、農業の技術やノウハウは別事業でも活用できることがあるかもしれません。買収する機会があれば、投資シナジーなどで何が得られるのかを十分に検討してみてください。

業種④IT・ソフトウェア

IT・ソフトウェア業界も非常に高いシナジー効果を見つけられます。

現代では、多くのものを電子化し、効率を上げることによる生産性の向上が狙えるケースが多いでしょう。ですから、多方面の企業がその技術とノウハウを獲得するために動き出しています。

電子化で人材にかかるコストを削減するなど、多くのメリットが得られるので狙ってみても良いでしょう。

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10. シナジー効果の事例5選

シナジー効果の事例5選

ここまでは、シナジー効果の種類やM&Aによって得られるシナジー効果について解説してきました。

ここからは、M&Aによって実際に得られたシナジー効果の事例を以下5つ紹介します。
 

  1. ソフトバンク
  2. ビックロ
  3. 楽天
  4. ガーデングループ
  5. JT

それでは見ていきましょう。

事例①ソフトバンク

ソフトバンクは日本企業の中でも屈指の高いシナジー効果を得た企業です。

ソフトバンクは日本テレコムとのM&Aにより、規模の拡大とインフラ統合による経費削減というシナジー効果を得ることに成功します。そのあと、イギリスのボーダフォンを1兆円以上かけて買収し、さらに急速な規模の拡大に成功しました。

現在、ソフトバンクは株式の時価総額が日本企業で第2位の日本を代表する大企業に成長しています。

事例②ビックロ

近年話題になったビックロの事例もあります。

ビックロは2012年にビックカメラとユニクロが提携して行った新店舗のことです。ビックカメラとユニクロの両社のノウハウを活かして、さまざまな人に喜びと驚きを提供することをコンセプトにビックロはスタートしました。

専門店を集合させることで得られる販売シナジーと、両社のノウハウを活かす経営シナジーを得ています。

事例③楽天

次は楽天の事例です。現在、楽天はカードや銀行の業務だけでなく旅行などのサービス『楽天経済圏』を提供しています。

楽天経済圏のほとんどは、関係会社とのM&Aによって作られました。今現在でも大きなシナジー効果を得ています。楽天もM&Aによって成功した企業であるといえるでしょう。

事例④ガーデングループ

4つ目は、ガーデングループの事例について紹介します。

ガーデングループは、カラオケ店「サウンドジョイ」を経営している上の3つに比べて規模の小さいグループ会社です。この会社の特徴は、再生型M&Aという最もシナジー効果を得にくいM&Aを行って、事業拡大を成功させている点です。

再生型M&Aとは、経営不振に陥っている会社を買収し、その会社の経営を立て直すことでグループ全体の売り上げを押し上げることをさします。再生型M&Aを成功させるためには、買収会社の経営戦略とノウハウが強いことと事業再生できそうな企業を見分ける力が必要となります。

こうした難しいシナジー効果を得られたのも、綿密に計画された戦略によるものといえるでしょう。

事例⑤JT

最後はJT(日本たばこ産業)の事例について紹介します。JTもM&Aを行うことで会社の規模を拡大し、成長していった企業です。

日本国内の喫煙者の割合は、1970年代から徐々に下がり続けていました。その傾向は、日本専売公社から民営化された後も続いていたため、売り上げは低下したのです。民営化後のJTは、その状況を打開するために1999年にアメリカ企業からたばこ事業を買収します。

M&Aを行った後のたばこの販売本数は約10倍となり、売り上げは大きく向上しました。

JTはその後も、世界のたばこ事業を買収し、現在では世界規模での主要メーカーとなっているのです。

こうしたシナジー効果を得られた多くの企業が、専門家に依頼して綿密な計画と戦略を策定しています。

次の項目で専門家についてもお話をしていきますので、参考にしてみてください。

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11. M&Aのシナジー効果を考えるならM&A総合研究所へ

M&Aによる高いシナジー効果を狙いたい方は『M&A総合研究所』へご相談ください。

高いシナジー効果を得るためには綿密な計画と戦略が必要不可欠です。そして、計画や戦略は専門知識がある方が有利に立てられます。

M&A総合研究所はM&Aについて専門的な知識を持ったアドバイザーが在籍しており、M&Aのシナジー効果に関してアドバイスをすることが可能です。

また、M&A総合研究所には以下のような特徴があります。
 

  • M&Aの知識などを組み合わせてシナジー効果を数値的に算出
  • シナジー効果の強い売却会社を探して紹介が可能

中小企業の案件にも対応可能です。

相談料は無料、M&Aが成立するまで費用を必要としない完全成功報酬型を採用しております。金銭面で不安な人でも満足できるM&Aを実施し、シナジー効果を狙うことが可能です。

まずは、お気軽にお声掛けください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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12. まとめ

まとめ

M&Aのシナジー効果とは、日本語で相乗効果と訳せます。

2つ以上の会社が合わさることで1+1以上の成果を残せたときに、「シナジー効果がある」といえるのです。

例えば、M&Aでシナジー効果があるとは以下のような状態のこととなります。
 

  • 下請け企業を買収したことで、より顧客の求める製品に近づけた
  • 販売ルートを増やせる企業を買収したことで、顧客層が拡大した
  • 欲しい技術力の持つ企業を買収したことで、より製品開発に成功した

このように、欲しいものを自社で0から作り上げるのではなく、すでに持っている企業を買収することで自社をさらに成長させられます。

M&Aによるシナジー効果でたし算以上の効果を得るためには、以下のシナジー効果を意識しましょう。
 
  1. 売り上げシナジー
  2. コストシナジー
  3. 研究開発シナジー
  4. 財務シナジー

これらのシナジー効果を得るために、M&A実施をする前にしっかりと自社分析やM&Aの目的を明確化させることが大切です。

できることなら、M&Aの専門家に相談しながら一緒にM&A戦略を立てていきましょう。

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