2022年08月26日更新
M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?算定方法の種類、メリット・デメリットを解説【事例・動画あり】
企業価値評価(バリュエーション)はM&Aで実施されるプロセスです。企業価値評価(バリュエーション)は売却企業の取引価額に直結するため、算定方法の内実を知っておくことは、M&Aの成功確度を高めるといっても過言ではありません。
目次
- M&Aの企業価値評価(バリュエーション)簡単まとめ
- M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?
- M&Aの企業価値評価(バリュエーション)の種類
- M&Aの企業価値評価(バリュエーション)における売り手側の注意点
- M&Aの企業価値評価(バリュエーション)における買い手側の注意点
- コストアプローチによるM&Aのバリュエーション
- インカムアプローチによるM&Aのバリュエーション
- マーケットアプローチによるM&Aのバリュエーション
- 企業価値評価(バリュエーション)の影響力
- 上場、未上場、ベンチャー企業における企業価値評価(バリュエーション)の相違点
- 企業価値評価(バリュエーション)が向上した会社の事例
- 企業価値評価(バリュエーション)に関するおすすめの本
- M&Aの企業価値評価(バリュエーション)まとめ
1. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)簡単まとめ
企業価値評価とは、会社の価額のことです。「エンタープライズ・バリュー(Enterprise Value = EV)」と呼ばれることもあります。
M&Aにおいて売り手企業の譲渡価額のベースとなるため、企業価値評価は重要です。M&Aでは、インカムアプローチのDCF法がよく用いられます。インカムアプローチを含め、企業価値評価の方法は以下の3つです。
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
この記事では、M&Aにおける企業価値評価の方法や企業価値評価向上のポイントを解説します。なお、企業価値評価は、相応の知識があれば誰でも計算するのが可能です。しかし、M&Aではとても重要な数字なので専門家への相談をおすすめします。
以降の記事を読んで、
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2. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?
企業価値評価を簡単に説明すると会社の値打ちです。「エンタープライズ・バリュー(Enterprise Value =EV)」と呼ばれることもあります。M&Aでは、売り手側と買い手側の金額交渉における判断基準の土台として用いられるでしょう。
企業価値の意味
企業価値とは、言葉そのままに企業全体の価値のことです。企業が行っている事業の価値のみならず、非事業価値も合わせた価値になります。非事業価値とは、非事業用資産の価値です。
- 企業価値=事業価値+非事業用資産
非事業用資産とは、事業には用いていないが企業が所有している資産をさします。一例としては、何らかの遊休資産(使用していないが所有している不動産や機械・設備類など)、有価証券、貸付金、出資金、保険積立金などです。
企業価値と時価総額の違い
企業価値は、企業が現在保有している資産と将来に稼ぐ利益を元に算出します。一方で、時価総額とは上場企業を対象とするもので、発行済み株式数と株価を掛け合わせて算出される金額です。株式価値ともいえます。
- 時価総額=株価×発行済み株式数
企業価値と事業価値の違い
事業に関連する資産や事業活動で生み出されるものの価値が事業価値です。企業価値から非事業用資産を差し引いたものともいえます。
- 事業価値=企業価値-非事業用資産
企業価値と株主価値の違い
株主に帰属する価値が株主価値です。端的にいえば、企業価値から他人資本である有利子負債を差し引いたものが、自己資本である株主価値になります。
- 株主価値=企業価値-有利子負債
企業価値と買収価額の違い
M&Aにおける買収価額は、売り手・買い手の交渉によって決するため、企業価値・事業価値・株主価値のような定義はありません。ただし、交渉の基になる金額として、企業価値評価の数値が重要な役割を持ちます。
企業価値が問われる場面
M&Aでの価額交渉以外にも、企業価値評価は以下のようなシーンで重用されます。
- M&Aでオファーする価額の検討(売り手側)
- M&Aで投資するべきか否かの検討(買い手側)
- 投資判断(ベンチャーキャピタルや金融機関)
- 相続税の評価(株式を譲渡する事業承継の場面)
- 経営戦略の策定
企業価値評価(バリュエーション)の必要性
M&Aでの当事会社には株主がいます。投資を行うベンチャーキャピタルにいるのが出資者です。このように、M&Aや投資では、直接の当事者+利害を受ける関係者の存在があります。当事会社が、利害関係者に対して負うのが説明責任です。
投資判断を論理的に説明するうえで、企業価値評価の数値は大いに説得力を持ちます。企業価値評価の必要性は明らかでしょう。
企業価値評価(バリュエーション)を行うタイミング
M&Aのプロセスの中で、企業価値評価を実施するタイミングは3回あります。なぜ、そのタイミングで企業価値評価を行うのか、その意味合いを確認しましょう。
基本合意契約の締結前
M&Aの売り手・買い手がお互いを交渉相手に定めると、秘密保持契約が締結され、相互に会社の情報も開示しながら交渉が開始されます。交渉が進み、大筋で条件が合意できた段階で締結するのが基本合意書です。
基本合意書に法的拘束力はありませんが、その段階で合意している内容として取引価額も記載されます。取引価額を決めるためには、交渉で基となる数値が必要です。
したがって、基本合意書締結前の具体的な取引価額交渉をする段階では、売り手側に対する企業価値評価を終えていなければなりません。
デューデリジェンス後の最終契約交渉前
基本合意書締結後、買い手によるデューデリジェンス(売り手企業に対する精密監査)が実施されます。デューデリジェンスを経ると最終的な交渉が行われ、合意に至れば最終契約書の締結です。基本合意書締結前の企業価値評価は、売り手から提供された情報に基づき実施します。
売り手側に悪意はなかったとしても、厳密な企業価値評価のためには情報が足りなかったり抜けていたりするかもしれません。そこで、デューデリジェンスで徹底的に調べて得た売り手側の全情報を基に、最終交渉用の精密な企業価値評価を実施する必要があるでしょう。
意思決定の前
投資を実行する前は、上場会社であれば取締役会の開催が必要です。交渉により投資金額が確定した段階で、取締役会の意思決定が必要となります。その際の客観的な判断材料として、企業価値評価が意思決定の前に実施されるケースがあるでしょう。
この場合の企業価値評価は、契約金額を前提としたものであるため、簡易に実施されるケースがほとんどです。
3. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)の種類
企業価値を高めていくにあたっては、企業価値をどのように評価するのか知っておかなければなりません。そこで、企業価値評価を算出する方法で、代表的なものを紹介します。M&Aの現場でよく使われるのは、インカムアプローチの中のDCF法です。
企業価値評価の算定には、以下の3つの体系によるアプローチ方法があります。
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
それぞれ、順番に確認しますが、以下の動画でも解説しておりますので、そちらもご覧ください。
①コストアプローチ
コストアプローチとは、企業の純資産を基準に企業価値評価をする方法です。とても簡単に計算できるため、今すぐに価値を知りたい人に最適な方法でしょう。客観性に優れている点にも着目しておくと活用しやすいです。
コストアプローチのメリットとデメリット
コストアプローチ最大のメリットは、算出方法がとても簡易であり、誰にでもわかりやすい点でしょう。したがって、その企業の現時点での純資産を評価するといった意味合いに適します。
その反面、企業の将来性が全く加味されていない点がデメリットです。M&Aは該当企業の将来性にも着目して実施されるため、コストアプローチでは不十分といわざるを得ないでしょう。
コストアプローチが基本的な手法とされる理由
コストアプローチの代表的なものが「時価純資産+営業権法(のれん)」でしょう。これは時価純資産に、企業のブランド力・技術力・地理的条件・人的資源などの超過収益力を加算する方法です。
将来の価値を加味した継続的な価値を表す方法であり、中小企業のM&Aで多く採用されている手法であり、企業実態を評価結果として反映するのが可能です。
したがってM&Aの初期段階で、時価純資産や超過収益力などを事前に算定したうえで株価目線をそろえておくのが大切になります。
他にも、評価理論がM&Aを進めていくうえで売り手・買い手双方の理解が得やすく客観的な方法である、といったこともコストアプローチが用いられる理由でしょう。
②インカムアプローチ
インカムアプローチとは、将来に発生する収益やキャッシュフローをベースにリスクなどを加味して算出する企業価値方法です。リスクは割引率として算出されるため、多くのリスクを抱えている場合にはやや低めに計算されます。
したがって、安定した経営でリスクが少ない場合には、高く算出されるでしょう。
インカムアプローチのメリットとデメリット
インカムアプローチの特徴ともいえるメリットは、コストアプローチでは欠落してしまっていた企業の将来の収益性が勘案されている点です。算出の基とする中期計画書のテーマの持たせ方によって、複数の「if」シナリオごとの企業価値評価ができます。
そのことにより、資金の調達方法や買収の形式の差による節税効果の違いまでをも反映可能です。ただし、それら事業計画のシミュレーションに時間を要してしまう点はデメリットでしょう。
そして、最も懸念すべきデメリットは、事業計画策定者の恣意(しい)性が入り込む余地がある点です。したがって、いかに客観性を確立するかがポイントとなるでしょう。
③マーケットアプローチ
マーケットアプローチとは、売り手側企業と類似する上場企業や、類似するM&A取引を基にして企業価値評価をする方法です。
マーケットアプローチのメリットとデメリット
マーケットアプローチのメリットは、コストアプローチと同様に算出にあまり手間がかからないことです。該当企業が現在、赤字であったとしても、他社の企業価値評価を連用するマーケットアプローチであれば、プラスの企業価値評価となる可能性がある点もメリットでしょう。
マーケットアプローチ最大のデメリットは、条件に合う既存の企業・取引が見つからなければ、この方法が使えない点でしょう。企業を探した手間も無駄になります。参照できるのは既存企業の現在の価値であって、将来の価値までは参照できない点もデメリットです。
【参考】企業価値評価(バリュエーション)はM&A総合研究所へご相談を!
M&Aを前提とした企業価値評価を、M&A総合研究所では無料で対応します(無料企業価値査定サービス)。M&A総合研究所であれば、一定の企業情報の開示だけで、滞りなく企業価値評価の算出が可能です。
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4. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)における売り手側の注意点
売り手側にとってM&A時の株価は非常に気になる点でしょう。ここではM&Aの企業価値評価における売り手側の注意点を紹介します。
企業価値評価(バリュエーション)を向上させるには?
企業価値評価を常に高めておくことで、経営の安定化や最善の経営戦略を取れます。したがって、企業価値評価を高めることはとても重要といえるでしょう。そこで、企業価値評価を向上させるために、どのようなことをすべきかを紹介します。
企業価値評価を向上させるために必要なことは、以下の4つです。
- 利益を増やす
- 投資先を絞る
- 従業員の待遇を見直す
- 財務を見直す
利益を増やす
1つ目の方法が利益を増やすことです。しかし、今より利益を増やすことは、なかなか難しいでしょう。そこで行いたいのが、コスト削減による利益率の向上です。さまざまな社内業務の見直しにより、コストを削減できるところがあるかもしれません。
売上に注力するあまり、コストがかかり過ぎていることに気づかない場合も多いです。こうして利益を増やせれば、企業価値はそれだけでも十分に上がります。すぐに結果は出なくとも、利益を上げるための施策を行っているだけでも違うので試してみましょう。
安定した利益を出せるようになれば、企業価値は自身が思うよりも伸びているはずです。
投資先を絞る
2つ目の方法が投資先を絞ることです。単純に投資効率を上げるだけでも効果的ですが、投資先を絞り込むようにするといいでしょう。なぜなら、本当に投資に見合うキャッシュフローが得られているかに注目する必要があるからです。
どれだけ投資をしていても、キャッシュフローが見込む値よりも低ければ効率が悪くなります。投資先を絞り込むことが必要となるわけです。いきなり絞り込むことは難しいかもしれませんが、だらだらと投資していることも少なくありません。
再度見直しを行い、キャッシュフローを生み出せる部分に注力してみましょう。
従業員の待遇を見直す
3つ目の方法が従業員の待遇を見直すことです。厳しい経営の中、待遇を見直すにしても難しいことはあるでしょう。しかし、生産性を向上して利益を出していくためには待遇を見直すのも大切です。
最大限にパフォーマンスを引き出せる環境まで待遇を整えられれば、自然に企業価値も向上します。そして、待遇の見直しにあたっては以下の要素も整備しましょう。
- リーダーシップ
- 適度なストレス
- 業務量のバランス
- ゴール・目標の明確化
- 上司との関わり方
- 企業イメージ・ミッション
これらの整備によって、従業員一同が同じ目的に向かって進むこととなり、より生産性を向上させられるでしょう。
財務を見直す
4つ目の方法が財務を見直すことです。財務を見直し、最適化する方法で企業価値の向上を狙います。例えば、負債の節税効果を考えてみましょう。利益を出している事業の負債を増やし、有利子負債にかかる支払利息を税法上の損金に算入します。
すると、納税額を減らせるのでより収益性を向上させられるでしょう。ただし、うまく活用できなければ失敗してしまうこともあります。場合によっては脱税と判断されて厳しい措置を受ける可能性もあるので、税理士に査定してもらうことは忘れないでください。
こうした財務の見直しだけでも大きな効果が得られます。今までを振り返ると同時に見直しを行い、適正な状態に整えましょう。
高い株式価値=良い会社ではない
高い株式価値がついた会社は、全て良い会社であるとは限りません。
正常利益で高い収益力が将来的にも持続可能であると評価された場合、基本的に高い営業権がつくため株価も高くなる可能性が高いでしょう。正常収益力とは、企業あるいは事業の持続的な収益力をさします。
正常利益が少ない場合でも高い株式価値がつく場合があります。それが、純資産が多いケースです。純資産が多額な分、正常利益が少なくても必然的に株価が高くなるでしょう。
ネットキャッシュが潤沢である会社は、良い会社に見える場合もあります。ネットキャッシュとは、企業の手元流動性(現金、預金、有価証券)から有利子負債を差し引いたものをいいます。財務の健全性・安全性の観点では、良い会社です。
しかし、M&Aにおいては必ずしもそうではありません。株価が高く評価された場合、その要因を見極めるのが重要でしょう。M&Aでは企業を成長させていくといった意識が重要な要素です。収益力の高い稼げる企業として正常利益が高いために、高い株式価値の方が魅力的な企業といえるでしょう。
良い会社なのかは、買い手の経営戦略上のシーンや目的によっても違うでしょう。重要なのは当事者間の目的に応じて、その企業の価値を正確かつロジカルに評価するのが大切です。
5. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)における買い手側の注意点
M&Aの企業価値評価(バリュエーション)に関する買い手側の注意点に関して見ていきましょう。ここでは、M&Aに対する投資額の考え方や投資額と投資判断の基準を紹介しましょう。
M&Aに対する投資額の考え方
買収を検討されている買い手は、一般的にあらかじめ投資額の予算を立てています。しかし、投資額の枠内よりも大幅に超えた額が提案された場合、棄却されてしまうのでしょうか。実際のところは、そうでもありません。
例えば、コストアプローチの方法で株価を検討する場合、株価は「時価純資産+営業権」で算定されます。
ここで時価純資産額が高くなった場合、買い手はその要因に関して中身を十分に検討する必要があるでしょう。結果として、M&A時に売り手が退職金などで内部留保を処理する方法で買い手の買収額を大幅に引き下げるのも可能です。
したがって、さまざまな方法でM&Aを検討し、買い手側の手出しをできる限り抑え当初の投資予算枠に抑えつつ、売り手の希望価格を実現するといったことが可能になるでしょう。
投資額と投資判断の基準
M&Aは、買い手にとって企業を買収した時点からがスタートです。そして単に譲り受けだけではなく、成功させなければなりません。
想定していたシナジー効果を得ることや、投資額に見合ったリターンなどの結果を出さなければなりません。成功したか否かを判断するものとして、投資額と投資判断の基準を立てておくのが重要です。
投資額と投資判断の基準があれば、それに合わせて案件を検討できるでしょう。中堅・中小企業のM&Aでは、提案時に対する株価が割高なのかどうか、過去の取引事例などが最も相場として検討できる方法です。
M&A仲介会社へ相談する際は、投資回収の期間や相場やトレンドが反映された株価なのかなどを確認してみるのもいいかもしれません。
6. コストアプローチによるM&Aのバリュエーション
ここでは、具体的なコストアプローチ方法を掲示します。主なコストアプローチとしては、以下の2種類です。
- 時価純資産価額法
- 修正簿価純資産法
①時価純資産価額法
時価純資産価額法とは、帳簿上の全ての資産と負債を時価で再評価し、純資産の金額を計算して企業価値評価をする方法です。この方法では、無形資産も一緒に計算に入れ込みます。無形資産とは、従業員や特許技術などが当てはまるでしょう。
実は、無形資産は企業価値を大きく左右します。企業ごとに従業員の技術や特許などに違いがあるので、計算に入れ込められれば、低いと感じていた企業価値が実は高かったなどのケースもあり得るでしょう。
時価純資産価額法のメリット・デメリット
時価純資産価額法のメリットは、計算が簡単で、客観的な評価額ができる点です。特に、金融機関や不動産会社などは適切な評価を得られます。帳簿上の資産負債の時価も反映されているため、実際の企業価値に近い形で反映されているでしょう。
時価純資産価額法のデメリットは、収益性が考慮されていない点や評価の前提である帳簿金額が間違っていた場合は適切に評価できない点です。
②修正簿価純資産法
修正簿価純資産法とは、時価純資産価額法と似ていますが、全ての資産と負債を再評価はしません。有価証券や土地・建物などで含み損益が大きく、かつ、時価を算出しやすい項目のみ時価を修正して企業価値評価をする方法です。
修正簿価純資産法のメリット・デメリット
修正簿価純資産法のメリットは貸借対照表の項目のうち、市場から時価評価が可能である資産および負債に関して、時価評価額に修正したうえで純資産を計算し、評価額を得られることでしょう。
修正簿価純資産法のデメリットは、資産だけではなく、退職給付債務、金融機関からの借入金や社債などの負債も時価評価額に修正されてしまうといったものでしょう。
時価純資産価額法による算定事例
時価純資産価額法による算定例を簡易な貸借対照表の内容を前提として例示します。
資産 | 負債 | ||
---|---|---|---|
売掛債権 | 100 | 買掛債権 | 50 |
有形固定資産 | 400 | 固定負債 | 300 |
無形固定資産 | 200 | 純資産 | 350 |
合計 | 700 | 合計 | 700 |
【資産の時価算定要素】
- 売掛債権の回収不能分:10
- 有形固定資産(土地)の評価含み益:50
【負債の時価算定要素】
- 他社の債務保証(オフバランス):200×リスク50%
【算定例】
- 資産の時価評価=売掛債権100-10+有形固定資産400+50+無形固定資産200=740
- 負債の時価評価=買掛債権50+固定負債300+債務保証(オフバランス)200×リスク50%=450
- 資産740-負債450=純資産(企業価値評価)340
算定の結果、貸借対照表上の純資産は350でしたが、時価評価した結果の企業価値評価は340となりました。
7. インカムアプローチによるM&Aのバリュエーション
ここでは、インカムアプローチの詳細を掲示します。インカムアプローチの主な具体的手法は、以下の3つです。
- DCF(Discounted Cash Flow)法
- 収益還元法
- 配当還元法
①DCF法
DCF法は、将来期待できるキャッシュフローを現在価値に割り引くことで算出していく方法です。例えば、事業計画書などをベースとして、将来性のある収益はどのくらいあるでしょうか。
できるだけ正確に算出したいなら、起こり得るリスクも加味して収益を出しておかなくてはなりません。面倒かもしれませんが、リスクも含めて計算し、将来性を価値に反映できるのはDCF法の大きな利点です。
DCF法は、無形資産やのれんなど、ほかの方法では含められない部分まで幅広く計算に入れ込むことで、一定の尺度による正確な数字まで導き出せます。多くのケースでDCF法が好んで使われるのは、この理由のためです。
DCFのメリット・デメリット
DCF法のメリットは、対象会社の事業計画を基に株式価値を算定しているため、現在の収益率が芳しくなくても将来の利益計画が明確であれば、買収の妥当性なども検討しやすい点でしょう。
投資リスクを反映した割引率を用いて算定できるほか、遊休資産や余剰資産など実態を表すキャッシュフローの使用できる点もメリットとなります。
DCF法のデメリットは、対象会社の作成した事業計画であるため、作成側の意図により事業価値が変化する点です。したがって、恣意(しい)性や事業計画の不透明性を排除できない点でしょう。事業計画の損益の妥当性やシナジー効果など、自社の評価を高く見積もってしまう可能性もあります。
ほかにも事業計画における資産・負債の内訳などの情報収集、割引率の算定におけるマーケット情報収集など、評価に多くの時間がかかる可能性があるでしょう。
②収益還元法
収益還元法とは、分子に平均収益、分母に資本還元率を用いて企業価値評価をする方法です。こちらは、市場金利や長期国債利回りなどのリスクも含めて計算します。総合的にリスクを判断する場合にも役立つでしょう。
ただし、平均収益を使ったものであり、収益が拡大するベンチャー企業などでは正確な数字を導き出せません。もし、ベンチャー企業で企業価値を知りたいのであれば、専門家に依頼して細かく見てもらう必要があるでしょう。
③配当還元法
配当還元法とは、株式の配当金に着目して企業価値評価を行うものですが、その方法により、実際のところ、M&Aでは、あまり用いられることはありません。算出方法としては、会社の資本金と株式配当金が基準になります。
前期、前々期の2年度分の配当金を10%の利率で割り戻し、その結果で株価を算定します。その会社の株式全体の5%未満程度を主有している株主が、株式譲渡を実施する際に用いられるケースがあるでしょう。
配当還元法のメリット・デメリット
配当還元法のメリットは、過去の配当に着目して計算が行われるため簡易に計算ができ、客観的に優れている点でしょう。一方、配当還元法のデメリットは、配当のみに着目しているため、評価額が適切に評価されない可能性がある点でしょう。
したがって配当還元法は、将来の収益力を加味しないため、成長が見込まれる会社に対しては株式価値が低く計算されてしまい、適切に評価されません。
DCF法による算定事例
DCF法による企業価値評価は、以下のステップで行われます。順番に見ていきましょう。
- 将来のフリーキャッシュフロー予測
- 割引率の算出
- DCF法による企業価値評価
将来のフリーキャッシュフロー予測
フリーキャッシュフローは、以下の計算式です。
- フリーキャッシュフロー=税引後営業利益+減価償却費-設備投資±運転資本などの増減
少なくとも5期分は必要なので、5期分を以下の事例とします。
1期 | 2期 | 3期 | 4期 | 5期 | |
---|---|---|---|---|---|
税引後営業利益 | 20 | 30 | 50 | 50 | 50 |
減価償却費 | 5 | 5 | 10 | 10 | 10 |
設備投資 | 0 | 10 | 30 | 10 | 10 |
運転資本などの増減 | 0 | -5 | -10 | 0 | 0 |
フリーキャッシュフロー | 25 | 20 | 20 | 50 | 50 |
割引率の算出
割引率は、企業の自己資本コストと負債コストを加重平均して計算したものであるWACC(Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト)を使用するのが一般的です。
WACCの算出は複雑なので本欄では詳細を省略しますが、ここでは5%とします。つまり、割引率は5%です。
DCF法による企業価値評価
DCF法による企業価値の算出方法は、以下の計算式です。
- 1期目のフリーキャッシュフロー/(1+割引率)
- +2期目のフリーキャッシュフロー/(1+割引率)²
- +3期目のフリーキャッシュフロー/(1+割引率)³
- +4期目…
これを1から2までを元に当てはめると以下のようになります。
- 1期:25/(1+0.05)≒24
- 2期:20/(1+0.05)²≒18
- 3期:20/(1+0.05)³≒17
- 4期:50/(1+0.05)⁴≒41
- 5期:50/(1+0.05)⁵≒39
- 合計(DCF法による企業価値評価)=139
このDCF法の計算例では、5年後までのキャッシュフローを基に企業価値を算定していますが、5年後のキャッシュフローが6年目以降も永続的に続くものとして算出する方法として、ターミナル・バリューもあります。
8. マーケットアプローチによるM&Aのバリュエーション
ここでは、マーケットアプローチの詳細を見ていきましょう。主なマーケットアプローチには、以下の3種類があります。
- 類似業種比準方式
- 類似会社比準方式
- 類似取引比準方式
①類似業種比準方式
類似業種比準方式とは、企業価値を知りたい業種の標準的な企業をベースに算出する方法です。この方法では、国税庁が提示している「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」を目安として計算されます。
主な要素となるのは、標準的な企業における株価、配当金額、利益額、純資産の帳簿上の額です。とても簡単に企業価値を把握できますが、M&Aでは基本的に使用しません。ただし、純資産を基準にしたときに税負担が大きくなり過ぎるといったケースでは重宝するでしょう。
②類似会社比準方式
類似会社比準方式とは、同じような事業をしている上場企業の株価をベースとして調べる方法です。上場企業をベースとして計算するため、やや企業価値にバラつきが出てしまう特徴を持っています。
これは、上場企業がどれほどの価値を持っているかによって、大きく影響を受けるからです。ただし、ベンチャー企業などの成長が早い会社や、特殊な業種である場合などには上場企業が存在しない場合があります。
目安となる企業がない場合は、算出方法として使えないので注意しましょう。
類似会社比準方式のメリット・デメリット
類似会社比較法のメリットは、類似の複数の上場会社を選び、数値から倍率をベースに株式価値を算定できる方法で、客観性の高い結果が得られます。上場会社の情報を基にするため、情報は入手しやすく、信頼性の高い情報で算定できる点です。
計算方法は簡便的であるため、計算に時間がかかりません。一方、類似会社比較法のデメリットは対象会社に近い事業規模の企業がないケースがある点でしょう。
ほかにもコントロールプレミアムや非流動性ディスカウントなど主観的な判断が入る可能性や、個別の事象を反映できない点もデメリットです。
類似会社比準方式で使用される倍率
類似会社比較法で使用される倍率は、EBITDA倍率、EBIT倍率、PSR倍率、PER、PBRなどが挙げられます。
PBRは純資産を基にした評価方法になり、収益性が反映されません。PERは、計算しやすい指標ですが、一時的な損益による特別損益で、異常値が出る可能性があります。
PSR倍率は事業に関連するものの、収益構造が類似会社と同じとは限らないため、収益性が反映できない点があるでしょう。
PBR、PER、PSR倍率は上記のような問題があるため、通常EBITDA倍率が用いられるケースが多いです。EV/EBITDA倍率法ともいいます。
類似会社比準方式の計算例
EBITDA倍率の計算方法は以下になります。EBITDAは、減価償却費、支払利息控除前税引前利益をさします。経常利益から支払利息と減価償却費を考慮する方法で算定されますが、簡便的に営業利益に減価償却費を足し戻して算定されるケースが多いでしょう。
【EBITDA倍率法での一般的な計算】
- EBITDA倍率 = (株式時価総額 + 純有利子負債 + 少数株主持分)/(営業利益 +減価償却費)
例えば、売り手企業の株式時価総額が2億円、有利子負債が1,000万円、現預金などが2,000万円、営業利益が2,000万円、減価償却費が500万円だったケースで計算しましょう。
- EV = 2億円 + 1,000万円 - 2,000万円 = 1億9,000万円
- EBITDA = 2,000万円 + 500万円 = 2,500万円
- EBITDA倍率 = 1億9,000万円 ÷ 2,500万円 = 7.6
この企業を買収した際にかかるコストを回収するためには、7.6年かかるのがわかります。
③類似取引比準方式
類似取引比準方式とは、過去に実施された同一業種に関わるM&Aで、類似する企業規模・M&A取引規模のものを参照し企業価値を算出する方法です。
過去のM&A事例から企業価値や株式価値の数値を取り出し、そこから各種倍率を導き出したうえで、その倍率を用いて、該当企業の企業価値を求めます。ただし、過去のM&A事例で情報が開示されているのは上場企業だけです。
該当企業が中小企業である場合には、参考にできるM&A事例の情報がほとんどなく、この方式は使えません。
類似取引比準方式のメリット・デメリット
類似取引比準方式のメリットは、具体的な取引を基にして株式価値を算定します。同じ業界や規模など同様の会社の取引をベースとして想定するため、評価額に客観性、説得力があります。
実際の取引金額を基に計算しているため、コントロールプレミアムや非流動性ディスカウントなども考慮された状態で株式価値が算定され点もメリットといえるでしょう。
一方で、類似取引比準方式のデメリットは情報自体が限定されます。その中で取引を選定しなければならず、類似する取引の選定が困難で、同様の取引がない可能性もあるでしょう。
公開される情報が限定的です。類似した取引であったとしてもシナジーの考慮の有無や個別の事象の有無は加味できず、適切に評価できないケースもあります。
類似業種比準方式による算定事例
類似業種比準方式の計算式は以下のとおりです。類似業種のデータは、国税庁のWebサイトにあるので、自社に該当する数字を当てはめます。
- 類似業種の株価
- ×(自社の配当/類似業種の配当+自社の利益/類似業種の利益+自社の簿価純資産/類似業種の簿価純資産)/3
- ×0.7(大会社)or 0.6(中会社)or 0.5(小会社)
なお、株価、配当、利益、純資産は、いずれも1株当たりの数字です。大会社か中会社、もしくは小会社のどれに該当するかは細かい規定がありますが、本欄では省きます。
そしてここでは、従業員100人、純資産5億円、売上高100億円の総合スーパー(小売業)が該当する大会社の前提です。
【類似業種の株価】
「各種商品小売業」の2年間平均を採用するとして、今回は392です。
※課税時期の属する月、その前月および前々月と、過去2年間の平均から選べます。
【自社の1株当たりの数字】
- 自社の配当金額:1
- 自社の利益:5
- 自社の簿価純資産:200(つまり、発行済み株式数は250万)
【類似業種の1株当たりの数字】
- 類似業種の配当金額:2.6
- 類似業種の利益:21
- 類似業種の簿価純資産:180
以上を計算式に当てはめます。
- 392
- ×(1/2.6+5/21+200/180)/3
- ×0.7
- ≒155(1株当たりの株価)
1株当たりの株価155円×発行済み株式数250万=3億8,750万円が算定結果です。
9. 企業価値評価(バリュエーション)の影響力
この項では、企業価値評価がどのような場面につながり、影響力を発揮するのかを紹介します。企業価値評価が影響を及ぼすとされる事柄は、以下のとおりです。
- M&AやTOBに影響
- 金融機関の融資に影響
- 中小企業は倒産対策に影響
- 株価への影響
①M&AやTOBに影響
企業価値評価は、M&Aで売るか買うかの意志決定における大きな指標です。売る側にとっては、企業価値評価をして会社がどのくらいで売れそうかわからないと、誰に売ればよいかわかりません。
買いたい相手が現れたとしても、その相手が提案した買収価額が適切であるか理解できないでしょう。これらは、買う側から逆に考えても同様です。
上場企業に対してTOB(株式公開買付)を実施する場合も、その買付価額は一般的にDCF法などにより算定された株式価値を参考にして決定されます。ここでも、企業価値評価が大きな役割を果たすでしょう。
②金融機関の融資に影響
金融機関の融資に影響を与える可能性も考えられます。なぜなら、金融機関で行われる融資の判断の中には、企業価値を算定するのと似たような工程があるからです。当然ながら、返済できるだけのキャッシュフローが見込めないときには融資してもらえせん。
つまり、インカムアプローチなどで企業価値評価が高い場合はキャッシュフローが見込めるため、銀行からの融資を受けやすいと考えられます。
必ずしも100%当てはまるわけではありませんが、企業価値を磨き上げることにより、融資を受けやすくなる可能性も知っておくと便利です。
③中小企業は倒産対策に影響
中小企業は倒産対策にも影響してくると考えられます。なぜなら、企業価値によって融資の金額が変わってくるからです。つまり、企業価値が低い状態であれば満足できるほどの融資を受けられず、資金ショートして倒産に向かってしまう可能性があります。
倒産対策として、十分に融資を受けられるようになるためにも、企業価値を正しく知って磨き上げることが必要です。中小企業で融資を満足に受けられなくて悩んでいる場合は、企業価値を正しく算定してもらい磨き上げる手段も検討してみるとよいでしょう。
④株価への影響
最後に、株価への影響も知っておきましょう。企業価値は、株価にも少なからず関連するものだからです。例えば、株価に反映されている市場の期待値や予想などは、企業価値に影響されます。当然、企業価値が高ければ株価も上がるはずです。
そして、株価が上がると企業価値が上がることにもなります。これは、高い株価を維持している企業は市場でもしっかりとした基盤を得ているからです。絶対とはいいきれませんが、こうした影響が少なからずあることは知っておいて損はないでしょう。
以上のように、企業価値評価は大きく経営に影響を及ぼします。どれを見ても、経営をしていくうえで大切なことばかりです。つまり、常に企業価値評価を高めておくことが経営者に求められています。
どのように企業価値評価を高くしていくべきか、考える必要があるといえるでしょう。
10. 上場、未上場、ベンチャー企業における企業価値評価(バリュエーション)の相違点
企業価値評価(バリュエーション)は対象とする会社によって異なります。企業価値評価は、M&Aの意思決定をするうえで、非常に重要です。上場、未上場、ベンチャー企業それぞれの評価は異なりますので、詳しく紹介しましょう。
上場企業の企業価値評価(バリュエーション)の方法
上場企業の企業価値は、株式をベースとして計算できます。具体的には、1株当たりの株価×株式数で、株式の時価総額で計算する方法です。これは、実際に取引されている純資産をベースに算出します。
しかしながら、時価総額は市場の期待と予想、つまり市場に参入している多くの人のバイアスがかかって算出されたもので、企業価値評価の方法で算出される金額とは乖離(かいり)が生まれることがほとんどです。
そこで上場企業は、株価を参考にしつつ、複数の企業価値評価方法を折衷させて企業価値評価を算出するケースがあります。つまり、絶対的な評価はありません。
未上場企業の企業価値評価(バリュエーション)の方法
未上場の企業では、株式の市場価値相場からは算出できません。したがって、価格は交渉次第となることがほとんどです。しかし、ある程度の目安がなければ交渉をするにあたっても不便でしょう。そこで主に使われるのがDCF法となります。
DCF法であれば無形資産まで価値に含めるので、市場価値相場がなくてもある程度の概算を出せるのが可能だからです。以上のことから、未上場企業の価値を調べたい場合には、専門家に依頼するとよいでしょう。
M&A総合研究所の「無料企業価値査定サービス」をご利用ください。無料で企業価値を算定します。
ベンチャーの企業価値評価(バリュエーション)の方法
ベンチャー企業での企業価値評価(バリュエーション)の方法は、未上場会社の方法と同じ方法で計算されるケースが多いでしょう。ただし、未上場会社の場合とは少し異なる点があります。
ベンチャー企業が計画を作成する場合、大きく伸びる計画、強気の計画で作成されているケースがあります。しかし、計画に沿って伸びる可能性もありますが、失敗するケースも多いでしょう。
したがって、ベンチャー企業の事業計画はリスクが非常に高いといえます。そのリスクに備え、割引率にはベンチャーキャピタルのIRRを採用する場合が多いです。
IRRは、内部収益率をさし、投資総額とキャッシュインの現在価値の総額が同等になる割引率で、投資判断する際の重要指標の一つとされています。
11. 企業価値評価(バリュエーション)が向上した会社の事例
日本取引所グループが、企業価値向上表彰を行っています。2019(令和元)年度の大賞は、コマツが選ばれ受賞しました。受賞のポイントは、以下のように発表されています。
- 資本コストを意識した経営目標・指標を掲げ、長期にわたり企業価値向上実現に向け継続し実行している。
- 経営管理に関して資本生産性を踏まえた仕組みにより、企業価値向上実現に向けた体制が構築できている。
- ステークホルダーや投資者らとの意見交流の重要性に関して社をあげて認識し、経営トップ自らが積極的に実践・行動している。
コマツは施策を実施しただけでなく、それをきちんと成果として表せたことが、大賞受賞の大きな評価要素だったようです。ポイントは、自社の資本コストを上回る企業価値に到達すべく、その創造を目指し1つずつ実践している点といえるでしょう。
12. 企業価値評価(バリュエーション)に関するおすすめの本
企業価値評価についてもっとよく知りたいと考えたら、以下の本をおすすめします。
- 企業価値評価 第7版[上][下]〜バリュエーションの理論と実践
- バリュエーションの教科書
- 企業価値評価ガイドライン
①企業価値評価 第7版[上][下]〜バリュエーションの理論と実践
本のおすすめ第1弾は、上下巻2冊編成の「企業価値評価 第7版〜バリュエーションの理論と実践」です。まずは、上巻の情報は下記の通りです。
出版社 | ダイヤモンド社 |
ページ数 | 624ページ |
価格(税込) | 4,950円 |
DCF法による企業価値評価の本家、マッキンゼー・アンド・カンパニーがまとめた企業価値評価の一冊で、発売以来25年超のロングセラーです。やや学者向けの本格的なもので高価ですが、時代の実務ニーズに細やかに対応すべく改訂されてきました。
第6版では、「スタートアップのように発生時点で費用計上される研究開発費やマーケティング費用」への対応や、「必要資本が小さいビジネスへの対応法」などが加えられています。2022年に入り、第7版が刊行されています。全体的に引用事例が大幅改訂されました。
「企業価値評価 第7版〜バリュエーションの理論と実践」の下巻の情報は以下の通りです。
出版社 | ダイヤモンド社 |
ページ数 | 520ページ |
価格(税込) | 4,950円 |
②バリュエーションの教科書
本のおすすめ第2弾は、「バリュエーションの教科書」です。
出版社 | 東洋経済新報社 |
ページ数 | 244ページ |
価格(税込) | 2,860円 |
著者はグロービス経営大学院教授で、ゴールドマン・サックスにてM&Aアドバイザー業務に従事した経験もあります。M&Aを題材にしたテレビドラマと映画の監修も行いました。
複雑な理論やモデルよりも、企業価値評価の全体像や、「そもそも価値とはどういうことか?」といったところから、実務に即した形で企業価値評価を解説しています。
全く財務的な知識がなければ難しいかもしれませんが、企業価値評価のビジネスにおける立ち位置や意味を含めて理解しやすい一冊です。
③企業価値評価ガイドライン
本・おすすめ第3弾は、「企業価値評価ガイドライン」です。
出版社 | 日本公認会計士協会出版局 |
ページ数 | 431ページ |
価格(税込) | 2,860円 |
日本公認会計士協会が、株式の価値を評価する場合の実施・報告に関してまとめた企業価値評価ガイドラインです。企業価値評価ガイドラインには、実務で使えそうな内容が、丁寧に凝縮されて書かれています。
13. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)まとめ
企業価値評価とは、ひとことでいえば会社の値打ちです。M&Aでは、売り手側と買い手側の価格交渉における、判断基準の土台として用いられます。経営をしていくにあたって、企業価値評価は常に高い状態を保っておくことが重要です。
算出方法を詳しく知っておくことで、企業価値をどのようにあげていくべきか、経営戦略を考えることが可能です。
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