2020年10月13日更新
M&AにおけるDD(デューデリジェンス)項目別の目的・業務フローを徹底解説!

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
M&AにおいてDD(デューデリジェンス)は、重要なプロセスです。DDの5つの項目には、M&Aを成功に導くための目的があり、手順に沿い対象企業を調査するようにしましょう。この記事では、M&AにおけるDD(デューデリジェンス)項目別の目的・業務フローを解説します。
目次
1. M&AにおけるDD(デューデリジェンス)とは
まず、M&AにおけるDD(デューデリジェンス)とは、どのような意味か、どんな役割をもつのか、簡単に解説します。DD(デューデリジェンス)を行う際にかかる費用や種類についても、詳細に解説します。
意味
DD(デューデリジェンス)とは、日本語に訳すと「買収審査」です。合併や買収によるM&Aを行う場合、対象企業を細かく詳細を調査したうえで買収価格を決定し、スキーム策定を行う必要があります。
そのために、M&Aのプロセスには、DD(デューデリジェンス)と呼ばれる買収審査を行うプロセスがかかせません。
費用
M&AにおけるDD(デューデリジェンス)の費用は、DD(デューデリジェンス)を行う対象企業の規模によって大きく異なります。
費用は、DD(デューデリジェンス)を行う弁護士や会計士の「1時間あたりの単価×作業時間数」で計算されることがほとんどです。1時間あたりの単価は、弁護士や会計士によって異なりますが、大体2〜5万円程度です。
作業時間数は、DD(デューデリジェンス)を行う企業の規模によって大きく異なります。
役割
M&AにおけるDD(デューデリジェンス)の役割は、対象企業と今後M&Aを進めて、どのようなメリットがあり、どのようなデメリットが考えられるのか、調査で得られた情報から検討しましょう。
また、買収価格が適正であるかも検討できるので、特に買い手側にとっては、かかせないプロセスです。
種類
M&AにおけるDD(デューデリジェンス)では、さまざまな視点から、対象企業について詳細に調査する必要があります。
DD(デューデリジェンス)の種類としては、主要なものとして「人事DD(デューデリジェンス)」「技術DD(デューデリジェンス)」「法務DD(デューデリジェンス)」「事業DD(デューデリジェンス)」「財務DD(デューデリジェンス)」の4つに分けられます。
ここでは、それぞれの概要について解説します。
人事DD(デューデリジェンス)
M&Aにおける人事DD(デューデリジェンス)とは、M&Aの最終契約書締結後に行われるPMI実施を想定して、メリットやデメリットを調査します。M&Aによりシナジー効果を得るためには、社員の協力が必要不可欠です。
また、DD(デューデリジェンス)を行う企業にとって、役員が担う事業に対するウエイトが大きい会社であればあるほど、人事DD(デューデリジェンス)は、重要な調査になります。
技術DD(デューデリジェンス)
M&Aにおける技術DD(デューデリジェンス)とは、M&Aの対象企業は、どのような商品やサービスを提供するための技術を保有しているのかを調査します。
調査の方法としては、対象企業の技術的分野を専門としている社員へインタビューを行い、弁理士などの専門家が、その内容を評価します。
大きな企業であればあるほど、商品やサービスは多くなり、内容も複雑になるため、技術DD(デューデリジェンス)には膨大な時間を要します。
法務DD(デューデリジェンス)
M&Aにおける法務DD(デューデリジェンス)とは、対象企業とM&Aを実施した場合、法務上どのようなリスクが考えられるかを調査します。
調査の方法としては、M&Aを行う対象企業が法的手続きをもって届け出している書類などを確認します。法務DD(デューデリジェンス)により、M&Aを行う際にどのような手続きが必要なのかが明確になります。
事業DD(デューデリジェンス)
M&Aにおける事業DD(デューデリジェンス)とは、対象企業が所属する市場において、どのようなポジションにあり、合併や買収によるM&Aを行うことで、どのようなシナジー効果が得られるかを調査します。
事業DD(デューデリジェンス)では、市場全体から対象企業を見る「外部環境分析」と、企業内の経営を見る「内部環境分析」に分けて調査が行われます。
財務DD(デューデリジェンス)
M&Aにおける財務DD(デューデリジェンス)とは、M&Aの対象企業は、どのような資産をどのくらい持っていて、財務的な取引はどのくらい行っているのかを調査します。
主な内容としては、土地や株式などの資産はどのくらいあるのか、債権はどのくらいあるのか、職員に対する賞与や退職金などの契約はどのようなものなのか、などが挙げられます。
その他
M&Aの実行前に行われるDD(デューデリジェンス)は上記がメインに行われますが、場合によっては下記のDD(デューデリジェンス)も実施されます。調査内容に対応できる専門家に依頼し、調査結果をもとに対象企業の価値を定めます。
不動産DD(デューデリジェンス)
不動産DD(デューデリジェンス)とは、M&Aの際に、対象企業の不動産の分析や権利関係に関する調査、鑑定評価などの不動産鑑定業務を行います。
DD(デューデリジェンス)によって物件の価値が明らかになるため、値下げ交渉やM&A自体を見送りといった判断が可能です。また不動産は、地価によって大きく変動するリスクがあるため、不動産鑑定士による分析、評価が必須です。
環境DD(デューデリジェンス)
環境DD(デューデリジェンス)とは、対象企業が工場・研究開発施設などを所有している場合に、環境汚染のリスクや、土壌汚染や大気汚染などが発覚した際の影響などを事前に調査します。
将来、環境汚染リスクの懸念がある場合、事業計画に反映させる必要が出てきます。あるいは原状回復に多額のコストが見込まれ場合、その関連する事業については譲渡対象から切り離すなどの対応が可能です。
知的財産DD(デューデリジェンス)
知的財産DD(デューデリジェンス)は、対象企業が著作権や特許権、技術などを取得している場合、知的財産の実効性の確認、特許権に無効となる理由がないかなどを確認します。
市場における技術評価やブランド力、将来予測などを評価してもらうことで、対象会社の価値を把握できます。
顧客DD(デューデリジェンス)
顧客DD(デューデリジェンス)は、M&AのDD(デューデリジェンス)においてそれほど多くはありません。新規顧客や既存の顧客など、顧客の本人確認を行い、マネーロンダリングなどをしていないかを調べるために実施されます。
タイミング
M&Aの全てのプロセスにおいて、DD(デューデリジェンス)が実施されるのは、対象企業が決定されてトップ面談などを終え、M&Aの内容が決定し、基本合意書が締結した後です。
DD(デューデリジェンス)を行い、実施するM&Aが本当に事業戦略にとってメリットの多いものなのか、買収価格は適正なのかを査定したうえで、M&Aの最終契約書を締結します。最終契約書締結後のPMI実施を考慮し、調査しましょう。
DD(デューデリジェンス)を実施する場合、専門家による調査が必要です。M&Aを検討されている経営者の方は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをサポートいたします。
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2. M&AにおけるDD(デューデリジェンス)の目的
M&AにおけるDD(デューデリジェンス)の目的は、対象企業についてこれまで社内で調査・検討した情報は正しいものなのか、そしてさらなるリスクが潜んでいないかの調査です。
それは、売り手側と買い手側の意思表示には、異なる目的があるためです。買い手側は、M&Aを行うことで、不利益がないようにしっかりとDD(デューデリジェンス)を行います。
ここでは、M&AにおけるDD(デューデリジェンス)の目的を、詳細に解説します。
ディールブレイカーの有無確認
ディールブレイカーとは、M&Aをとりやめなければいけない程の大きな問題のことです。
例えば、買収によるM&Aを行う際に、対象企業が保有する技術が目的でM&Aを持ちかけたのにも関わらず、対象企業が目的の技術を所有していないことが判明した場合、M&Aを取る辞めざるを得ません。
このような大きな問題がないかどうかを、DD(デューデリジェンス)によって確認します。
買収価格の検討
技術・事業・財務などさまざまな視点から、M&Aの買収価格は適正なものなのか、検討します。
買収価格の検討において大きなウエイトを占めるのは、事業DD(デューデリジェンス)です。対象企業の事業は市場の中でどれほどの価値があるのか、さらに調査することで、買収によるM&Aを行った際の価値を検討し、買収価格を査定します。
買収スキームの検討
DD(デューデリジェンス)の調査結果によっては、買収スキームの変更も視野に入れる検討も必要です。
M&Aを行う対象企業全体を買収しようと計画していたけれども、実際自社にとってメリットのある事業が一部であった場合、その事業のみを買収するスキームへ変更することで、買い手側はより多くのメリットを得られる可能性があります。
スキーム策定は、M&Aの最終契約書締結後のPMI実施を予想して行いましょう。
契約内容の検討
DD(デューデリジェンス)によって、これまで調査してきた内容と差異があった場合、契約内容を再検討する必要があります。
例えばM&Aを行う対象企業が、これまで調査してきた内容よりも多くの技術を持っていた場合、対象としていた事業だけではなく、買収する範囲を広げることも検討します。
契約の内容は事業だけでなく、買収後、人材をどう活用するかも検討する内容に含まれます。
買収手続きの確認
M&AのDD(デューデリジェンス)によって調査した内容をもとに買収手続きの確認を行うのも、DD(デューデリジェンス)の目的の一つです。
M&Aの対象企業が保有している権利等によっては、より多くの法的手続きが必要な場合もあります。法的手続きを怠ると、罰則が課される可能性もあるため、DD(デューデリジェンス)は正確に慎重に行いましょう。
買収後の事業運営方針の検討
M&AのDD(デューデリジェンス)の実施によって、最終契約締結後に行われるPMIの実施をより具体的に検討できます。
そもそもM&Aは事業戦略を進めていくうえで、M&A締結後の事業運営をより良いものにできるように、目的をもって行いましょう。
DD(デューデリジェンス)で分かった内容をもとに、買収後の事業運営方針の検討に役立てましょう。
3. M&AにおけるDD(デューデリジェンス)の業務フロー
上記に挙げた目標を果たすため、M&AにおけるDD(デューデリジェンス)の業務フローを解説します。手順にそって、プロセスごとに詳細にご説明します。
資料開示請求
M&AにおけるDD(デューデリジェンス)において、はじめに行われるのが資料開示請求です。この段階では、DD(デューデリジェンス)を行う対象企業についての資料や情報は、ほとんどないといっても過言ではありません。
そのため対象企業が所持していると思われる資料について、開示請求を行います。対象企業がその資料を所持していなかった場合は「該当資料存在せず」と回答する場合もあります。
資料精査
資料開示請求によって入手した資料を精査します。このタイミングで不足している資料があった場合は、即時開示請求を行います。
資料開示請求がなされなかった資料に関しては、DD(デューデリジェンス)を受ける企業側は、自主的に資料を開示する責任はありません。
そのためDD(デューデリジェンス)を行う企業側は、不足がないように開示請求を行う必要があります。
方針の検討
資料の精査が終了後、その結果をもとに、どのような内容でDD(デューデリジェンス)を進めていくか、方針の検討をします。
DD(デューデリジェンス)を行う対象企業によって、必要となる調査内容は異なりますし、どの部分を重視して調査するかも変わってきます。資料の内容をもとに、対象企業にふさわしいDD(デューデリジェンス)の方針を検討し決定します。
インタビュー
方針が決定した後、まずはインタビューを行います。M&A担当者や会社役員をメインに、DD(デューデリジェンス)対象企業の事業に関することや技術に関することなど、資料だけでは不足していた情報をインタビューによる質疑応答によって補います。
DD(デューデリジェンス)を行う時点では、M&Aの最終契約書は締結前のため、インタビューを行う際は、必要以上に対象企業の社員に悟られないように注意しましょう。
現地調査
インタビューを終えたら、実際にDD(デューデリジェンス)対象企業へ出向き、現地調査を行います。「百聞は一見に如かず」との言葉があるように、実際に見て確認するのもDD(デューデリジェンス)を行ううえで重要なプロセスです。
現地調査を行う際は、必要以上に社員に悟られないよう注意が必要です。対象企業のことを考え、休日に出向くなどの心遣いも必要でしょう。
報告書作成
現地調査まで終えることができたら、これまで資料やインタビューなどを通して得た情報も含め、報告書の作成を行います。
ここまでのDD(デューデリジェンス)プロセスで分かった対象企業の情報が漏れることのないように、報告書にまとめます。
結果の検討
最後に、報告書にまとめた内容をもとに、結果の検討をします。DD(デューデリジェンス)によって得られた情報から買収価格の見直し、契約内容の見直しを行い、M&Aを成功に導くための検討をします。
またM&A締結をした後、事業をどう展開していくか、将来の運営方針について検討することも大切です。
M&Aをご検討されている経営者の方は、その都度M&A仲介会社、アドバイザリーに実務をサポートしてもらうのがベストです。M&A総合研究所は完全成功報酬制となっておりますので、M&Aをご検討される際には気軽にご相談ください。
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4. 人事DD(デューデリジェンス)の目的・業務フロー
M&Aにおける人事DD(デューデリジェンス)とは、DD(デューデリジェンス)の中でも、人事面に特化して調査することです。主な内容としては、経営戦略において重要となる能力をもつ人事についての分析、人件費や退職金などお金に関する項目などが挙げられます。
ここでは、人事DD(デューデリジェンス)の目的と、その目的達成のための業務フローについて解説します。
目的
人事DD(デューデリジェンス)の目的は、M&A最終契約締結後のPMI実施を見据えてリスクを検討します。最終締結後、PMIを実施する際に、人事の異動を含む手続きが行われます。
そのためPMIを実施するときは、人事が非常に重要な役割をもちます。人事DD(デューデリジェンス)では、PMI実施を見据えたリスクの検討や、DD(デューデリジェンス)対象企業の人事に関する現状を把握するのが目的です。
業務フロー
人事DD(デューデリジェンス)では、まず全体の人事について調査します。全体で何名の人員があり、どこにどれくらい配置されているのかを把握します。
次に役員や技術者など、DD(デューデリジェンス)の対象企業にとってキーポイントとなる人材について調査します。次に、人員を雇うためにかかっているお金の調査をします。
全体にかかっている人件費から、ひとりひとりの人件費まで調査します。次に労働組合があるかなど、人事の周りに関することを調査します。最後に役員と社員の関係性など、人員同士のつながりについて調査します。
5. 技術DD(デューデリジェンス)の目的・業務フロー
技術DD(デューデリジェンス)とは、対象企業がもっている商品やサービスを開発・販売するための技術について調査します。M&Aを行う際には、DD(デューデリジェンス)対象企業の技術が目的であることも多く、技術DD(デューデリジェンス)は、それほど重要な項目であるといえます。
ここでは技術DD(デューデリジェンス)の目的と、その目的達成のための業務フローについて解説します。
目的
技術DD(デューデリジェンス)の目的は、対象企業が持つ技術について調査し、その技術がM&A後どれほどの市場価値があるのかを見極めます。
対象企業がもつ技術はどのようなものかを把握するとともに、対象企業が所属する市場において、その技術はどのくらいのレベルであるかも調査するようにしましょう。
業務フロー
技術DD(デューデリジェンス)では、はじめに対象企業がもっている技術について、調査します。次にその技術が対象企業の属する市場において、どのくらいのレベルなのかを調査します。
今後M&Aを締結した後、どのようなポジションを取れるのかを検討します。技術の価値は、その技術の模倣困難性が高いか、希少性が高いかなどを基準として価値を求めます。
6. 法務DD(デューデリジェンス)の目的・業務フロー
M&Aにおける法務DD(デューデリジェンス)とは、企業がどのような権利等を保有しているのか、法律面から調査します。
法務DD(デューデリジェンス)に不備があると、今後M&Aにより統合や買収を行った場合、重大な問題が発覚してしまう恐れがあります。そのため弁護士などの専門家に依頼し、不備がないように実施します。
目的
M&Aにおける法務DD(デューデリジェンス)の目的は、法律面からDD(デューデリジェンス)の対象企業について調査し、M&Aを行って重大なリスクが生じないか、新しく手続きが必要なものはないかを調査します。
重大なリスクが判明した場合、新しく手続きが必要なものについて把握していないと、法律により罰則が与えられてしまう可能性もあります。そのため、しっかりと現状を把握するとともに、M&A締結後に問題が生じないかを検討しましょう。
業務フロー
法務DD(デューデリジェンス)は、細かく手順が分かれています。ここでは、法務DD(デューデリジェンス)の業務フローを手順に沿って、詳細に解説します。
社内規定の閲覧
まずDD(デューデリジェンス)の対象企業の社内規定の閲覧を行います。社内規定は、法律にもとづいて作られているものであり、企業全体でルールとして守られているものです。
DD(デューデリジェンス)対象企業に、社内規定の開示請求を行い閲覧します。社内規定には、法律に関するものもあれば、社内独自で規定している内容も含まれます。
法的事項の検討
次に閲覧した社内規定のうち、法律に関わる規定を抜き出します。そしてその法的事項は、どのようなものなのか、どのような法律にもとづいて作られた規定なのかを検討します。
現在施行されている法律と照らし合わせるとともに、今後施行予定の法律も加味して検討する必要があります。
契約書記載事項の検討
次にM&Aを行う際に交わした、またはこれから交わす予定の最終契約書に記載している事項と照らし合わせ、検討を行います。
社内規定と契約書に記載している内容に食い違いがないかを検討するとともに、合併や買収によるM&Aを行った際に、問題となる事項がないかも検討しましょう。リスクが生じるようであれば、どう改善すれば良いのかなども検討します。
許認可の精査
次に、許認可についての精査を行います。M&Aを行う際には、対象企業がもっている技術や許認可の取引が重要になります。
対象企業が保有している技術や商品には特許があるのか、許認可の申請はしてあるのかなどを精査します。合併や買収によるM&Aを行った際に、新しく届出が必要なものがないかについても検討します。
Change of control条項の確認
Change of controlとは、日本語で、「支配権の変更」と意訳されます。Change of control条項の確認とは、DD(デューデリジェンス)対象企業が保有している支配権を把握し、合併や買収によるM&Aを行った際には、その権利はどのように移行するのかを確認します。
例えばDD(デューデリジェンス)対象企業が、商品を開発しており、販売は提携している企業に依頼していたとします。この場合の販売店契約は、M&A締結後はどう変更されるのかを確認します。
金銭リスクの確認
法務DD(デューデリジェンス)では、法務的な債権なども調査の対象になります。DD(デューデリジェンス)対象企業の債権の有無、債権をもっているのであれば、どのような条件のものなのかを調査します。
債権についても詳細に調査することで、M&Aを行った際に考えられる金銭リスクを確認できます。
企業価値の調整
法務DD(デューデリジェンス)の最後のプロセスは、これまでの法務DD(デューデリジェンス)によって入手した情報から対象企業の価値を再検討し、調整を行います。
特に債権に関する情報は、M&Aの売り手となるDD(デューデリジェンス)対象企業は、最初は情報を開示したがらないことがあります。そのため、法務DD(デューデリジェンス)で得られた情報をもとに、対象企業の価値について、検討し直す必要もあります。
7. 事業DD(デューデリジェンス)の目的・業務フロー
M&Aにおける事業DD(デューデリジェンス)とは、M&Aを行う対象企業が行っている事業を、外部環境と内部環境、両方の視点から調査します。
企業が行う事業は、企業内部で生産・販売されますが、外部からの影響を強く受けます。そのため、内部環境・外部環境の両方の視点から調査が必要です。
目的
M&Aにおける事業DD(デューデリジェンス)の目的は、M&A対象会社の事業を内部・外部の両方から調査し、将来性を見極めましょう。
M&A締結後の事業のあり方が分かることで、合併や買収によるM&A締結後、より多くのシナジー効果が期待できます。M&A対象企業の事業について、客観的な視点で調査しましょう。
業務フロー
M&Aにおける事業DD(デューデリジェンス)は、外部環境分析と内部環境分析に分けて調査を行います。外部環境分析では、M&Aの対象となる企業の事業を経済や政治、世論など、外部から受ける影響に重点置いて調査します。内部環境分析では、対象企業の事業を内部的要因から調査します。
外部環境分析
事業DD(デューデリジェンス)における外部環境分析で、よく用いられるフレームワークは、「PEST分析」と「5フォース分析」です。PEST分析とは、政治的要因・経済的要因・社会的要因・技術的要因の英語の頭文字をとったものです。
5フォース分析とは、事業にとって脅威となる要因を、新規参入・競合・代替品・供給者・購入者の5つに分けて分析します。
内部環境分析
事業DD(デューデリジェンス)における内部環境分析で、よく用いられるフレームワークは、「VRIOフレームワーク」と、「バリューチェーンモデル」です。VRIOフレームワークとは、事業の価値を内部で分析する際に、経済価値・希少性・模倣困難性・組織の4つの視点から調査します。
バリューチェーンモデルとは、事業が商品やサービスとして価値を生み出す際に行っている活動を主活動と支援活動に分け、それぞれの活動の価値とつながりについて調査します。
8. 財務DD(デューデリジェンス)の目的・業務フロー
財務DD(デューデリジェンス)とは、M&Aの対象企業を、資産や取引があるオーナーとの関係など、財務面に焦点をあてて調査します。財務DD(デューデリジェンス)は、対象となる会社が、公認会計士による監査を受けているか受けていないかによって、調査する手続きが異なります。
公認会計士による監査を受けている場合は、しっかりと管理されているはずなので、財務的な信頼性はあるといえます。
目的
財務DD(デューデリジェンス)の目的は、M&A対象企業の所有している資産をきちんと把握し、M&A締結後、有効的に使えるよう調査します。
財務状態の把握
大きな目的の1つが、財務状況の把握です。財務DD(デューデリジェンス)の対象企業のお金の動き方について知るためには、どのような資産をどれほど所有しているのかの把握が大切です。
そしてその資産はどのように運用されているのか、財務状況を確認し、対象企業のお金の流れについて詳細に把握できます。
リスク分析
対象企業の財務状況が把握できたら、その財務状況には、どのようなリスクが考えられるのかを分析します。
財務DD(デューデリジェンス)では、企業が実際に所有しているビルなどの資産だけでなく、取引のある企業も、財務状況の一つと考えます。M&Aを行うことで、取引のあった企業との関係が変わってしまうようであれば、リスクがあると捉えます。
業務フロー
財務DD(デューデリジェンス)は、細かく手順が分かれています。ここでは、財務DD(デューデリジェンス)の業務フローを手順に沿って、詳細に解説します。
資料の準備
まずは財務DD(デューデリジェンス)を行ううえで、必要となる書類の準備を行います。M&Aの対象となる企業が、公認会計士による監査を受けている場合は、財務管理を行っている資料を提出してもらいます。
また、公認会計士による監査を受けていない場合は、詳細な資料を受け取ったうえで、精査する必要があります。
意思決定機関の議事録等確認
次に、意思決定機関の議事録等を確認します。どのような経緯で決定がなされたのか、議事録を確認することで、確認ができます。
会計方針の確認
次に意思決定機関の議事録等確認の情報を踏まえて、会計方針はどのような基準で、どのように決定してきたのかを確認します。
そして会計方針を理解することで、その企業がもつ事業の将来性についても検討できます。
外部調査
企業の財務状況は、内部の資料だけではなく、取引のある外部からの情報でも調査できます。財務状況も客観的にみることで、より正しい判断ができるでしょう。
損益計算書の精査
損益計算書とは事業においてどこにどれくらいのコストがかかり、どのくらいの収益が得られたのか、記載されている書類です。損益計算書を精査することで、対象企業の財務状況を数字でしっかり把握ができます。
貸借対照表の精査
貸借対照表とは、対象となる企業の現時点での資産にあたる部分と、負債に当たる部分を左右に記載し、企業としての全体の損益を把握できます。さまざまな資料から細かい損益を把握するとともに、全体的な把握も大切です。
税務リスクの把握
M&A対象企業の財務状況について、これまでの調査で分かった内容から、どのような税務リスクがあるのかを把握します。税金はどのような事業にも関係してくる法律ですので、きちんと把握しておくようにしましょう。
財務リスクが把握できておらず、必要な税金が未納になってしまうと、その事業だけではなく企業全体が損害を被る危険性があるため注意するようにしましょう。
9. M&AのDD(デューデリジェンス)なら会計士がベスト!
M&AのDD(デューデリジェンス)は、M&Aの専門家に依頼するのがおすすめです。
M&A総合研究所はM&A専門アドバイザーが企業におけるDD(デューデリジェンス)をサポートいたします。
そして、DD(デューデリジェンス)は、M&Aを行うにあたって、避けては通れないプロセスです。また、M&A総合研究所は経験豊富なM&A専門アドバイザーが多数在籍していますので、M&Aや財務の知識が豊富なアドバイザーがサポートをお約束します。
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10. M&AにおけるDD(デューデリジェンス)まとめ
M&AにおけるDD(デューデリジェンス)は、M&Aの最終契約書締結前に必ず行う重要なプロセスです。内容は、人事DD(デューデリジェンス)・技術DD(デューデリジェンス)・法務DD(デューデリジェンス)・事業DD(デューデリジェンス)・財務DD(デューデリジェンス)に分けられます。
DD(デューデリジェンス)は、専門家へ依頼するようにしましょう。M&A総合研究所であれば、M&A経験豊富なアドバイザーが、DD(デューデリジェンス)をサポートするのでおすすめです。
それぞれにM&Aを成功に導くための目的があり、ひとつひとつプロセスを踏みながら、M&A対象企業についてしっかりと調査しましょう。M&AにおけるDD(デューデリジェンス)は、非常に複雑なプロセスであり専門的な知識も必要なため、M&A担当者のみで行うのは困難です。
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