2023年01月19日更新
事業承継・M&Aエキスパート試験を徹底攻略!難易度・勉強時間は?
事業承継・M&Aエキスパート試験では、M&Aの基本的な知識を習得できます。事業承継・M&Aエキスパートは、全部で3つの資格があるM&Aエキスパート認定制度の1つです。本記事では、事業承継・M&Aエキスパート試験の難易度や勉強時間などを解説します。
目次
1. 事業承継・M&Aエキスパート試験とは
M&A支援を行ううえで有効活用できる民間資格には、M&Aシニアエキスパートや事業承継エキスパートなどがあります。事業承継・M&Aエキスパート試験もその1つであり、一般社団法人金融財政事情研究会と日本M&Aセンターによる共同企画・運営です。
事業承継・M&Aエキスパートでは、M&Aや事業承継に関する基本的な知識を習得できます。
制度の目的
近年は、事業承継ができず廃業せざるを得ない中小企業が増えており、国も事業承継を支援する施策などを行っています。
M&Aエキスパート認定制度は、後継者がいない中小企業にとって非常に有効な選択肢となるM&Aに精通した人材の養成を行い、中小企業の経営の安定や成長、日本経済の発展と成長に役立つことが目的です。
資格の種類
M&Aエキスパート認定制度には以下の3つの資格があります。
- M&Aシニアエキスパート
- 事業承継シニアエキスパート
- 事業承継・M&Aエキスパート
M&Aシニアエキスパート
M&Aエキスパート認定制度の3つのなかで最も難易度が高くなっており、中小企業のM&A実務に関する資格です。ケーススタディは日本M&Aセンターの成約事例を基に行われ、実務に関するノウハウを習得できます。
M&Aシニアエキスパートは、M&Aエキスパート認定制度のなかの上級認定資格です。現在、3,300名以上が取得しています。
事業承継シニアエキスパート
事業承継の実務に関するプロフェッショナルであることを証明する資格です。事業承継シニアエキスパートのケーススタディは、青山財産ネットワークスの豊富な事例に基づいており、実務ノウハウを習得できます。
事業承継シニアエキスパートは、2017(平成29)年から開始された資格です。現在では250名以上が取得しています。
事業承継・M&Aエキスパート
事業承継・M&Aエキスパート試験では、事業承継と中小企業のM&Aの基本的な知識を持っているかを確認します。資格取得後は、上位資格であるM&Aシニアエキスパートの養成スクール講座を受講できるシステムです。
M&Aエキスパート認定制度のなかではスタンダードの位置付けになり、基本的な知識を習得できます。非常に多くの人が資格を取得しており、その数は現在、26,000名超です。
一般社団法人M&A仲介協会とは
M&Aエキスパート認定制度の資格取得者に対し、交流イベントや各種情報提供、フォローアップ研修などを、事業承継・M&Aエキスパート協会が担ってきていましたが、2022(令和4)年3月をもって当該協会は活動を終了しています。
それに代わって2022年4月以降は、一般社団法人M&A仲介協会が、事業承継・M&Aエキスパート認定制度に対し、企画協力などで関わることになりました。
一般社団法人M&A仲介協会とは、以下の活動をする目的で大手M&A仲介会社5社が理事となり、2021(令和3)年10月に設立されたM&A仲介業界の自主規制団体です。
- M&A仲介の公正・円滑な取引の促進
- 中小M&Aガイドラインを含む適正な取引ルールの徹底化
- M&A支援人材の育成サポート
- M&A仲介に関する苦情相談窓口の運営
2. 事業承継・M&Aエキスパート試験の難易度
M&Aエキスパート認定制度には、M&Aシニアエキスパート、事業承継シニアエキスパート、事業承継・M&Aエキスパートの3つがあり、それぞれの難易度は異なるものです。ここでは、各試験の難易度を解説します。
M&Aシニアエキスパート
M&Aエキスパート認定制度のなかでは、M&Aシニアエキスパートが最も難易度の高い資格とされていますが、認定講座「M&Aシニアエキスパート養成スクール」などでしっかり学習しておけば、難し過ぎることはないでしょう。
この「M&Aシニアエキスパート養成スクール」を3日間受講して修了しなければ、M&Aシニアエキスパート認定試験を受けられません。M&Aシニアエキスパート養成スクールには、以下のような受講資格が設けられています。
- 事業承継・M&Aエキスパートの試験に合格している者
- 5年以上に渡って証券・銀行・生命保険の会社に勤務しており、かつ現在も在籍中である者
- 公認会計士・弁護士・司法書士・税理士
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 会計事務所などでの実務経験(5年以上)を有し、かつ現在も在籍中である者
受講資格の詳細は公式サイトに記載されているので、資格取得を検討している場合は事前に確認しましょう。
事業承継シニアエキスパート
事業承継シニアエキスパートは、事業承継・M&Aエキスパートの上位にあたる資格であるため、比較すると難易度もやや上がります。
M&Aシニアエキスパートと同じように、3日間の認定講座「事業承継シニアエキスパート養成スクール」を受講し修了しなければ受験できないため、スクールでしっかり学んでおけばそれほど難しくはないでしょう。
事業承継シニアエキスパート養成スクールにも受講資格が設けられています。前述のM&Aシニアエキスパートと同じ内容ですが、受験を検討している場合は確認しておきましょう。
事業承継・M&Aエキスパート
事業承継・M&Aエキスパートは、事業承継やM&Aの基礎知識を確認するため、難易度はさほど高くはありません。試験方法はComputer-Based Testing(CBT)となっており、出題方法は四答択一式30問と事例問題10題の計40問を120分で解答します。
合否はその場でスコアボードが渡されて確認可能です。ほかの2つの資格とは違い、受験資格はありません。
3. 事業承継・M&Aエキスパート試験合格に必要な勉強時間は?
事業承継・M&Aエキスパート試験の難易度はさほど高くないとはされていますが、中小企業のM&Aや事業承継に関する基礎知識は必要です。ここでは、事業承継・M&Aエキスパート試験合格に必要な勉強時間、勉強方法を解説します。
試験合格のための勉強時間
試験に合格するために必要と考えられる勉強時間は、どの程度、M&Aや事業承継に関する知識を既に身につけているかによっても変わってきます。
資格情報サイトなどでは事業承継・M&Aエキスパートの難易度はCランクとされており、試験に必要な学習ボリュームもおよそ3カ月で終えられる程度です。関連教材として紹介されている通信講座も3カ月コースなので、3カ月が勉強時間の目安と考えてよいでしょう。
試験合格のための勉強方法
事業承継・M&Aエキスパートは、試験に向けた公式問題集や通信講座などの教材が用意されています。基礎知識があまりなく独学で進めたい場合は、まず公式問題集を1冊購入して、わかるまで繰り返し勉強するのもよいでしょう。
勉強方法は個人によってさまざまですが、わからない部分や曖昧な部分はしっかり解決しながら、少しずつでも進めることが大切です。
4. 事業承継・M&Aエキスパート試験の流れ
最後に、事業承継・M&Aエキスパート試験の流れを紹介します。受験を考えている人は一連の流れを把握しておくと、スケジュールを立てる際などに役立つでしょう。
- 申し込み
- 試験・合格発表
- 認定証の受け取り
①申し込み
事業承継・M&Aエキスパート試験は通年実施されているので、受験者自身が希望する日時を申し込みます。
試験の予約は、希望受験日を含む月の3カ月前の月初から受験日の3日前までに行え、予約が完了すると予約内容が記載されたメールが送られてくるシステムです。受験票はありませんが、受験日の前日に確認メールが送られるようになっています。
②試験・合格発表
事業承継・M&Aエキスパート試験の時間は120分、CBT(Computer-Based Testing)方式で行われます。四答択一式の問題が30問と事例問題が10題の合計40問となっており、100点中70点以上で合格です。
合格発表は、試験終了後に合否がわかるスコアレポートが渡されるため、自身で確認できます。
③認定証の受け取り
事業承継・M&Aエキスパート試験合格の認定証は、試験日の翌日以降であれば資格認定証をPDF形式で出力でき、その出力されたものが認定証として扱われます。
5. 事業承継・M&Aエキスパート試験のまとめ
事業承継・M&Aエキスパート試験はM&Aエキスパート認定制度の資格であり、上位資格であるM&Aシニアエキスパートと事業承継シニアエキスパートを合わせて全部で3つの資格があります。
各資格は難易度が異なり、事業承継・M&Aエキスパート試験は、M&Aや事業承継に関する基本的な知識を確認する内容です。独学でも十分取得可能な資格であり、試験も通年実施されているため、興味がある場合はチャレンジしてみるとよいでしょう。本記事の概要は以下のとおりです。
・M&Aエキスパート認定制度
→M&Aシニアエキスパート(受験資格あり)
→事業承継シニアエキスパート(受験資格あり)
→事業承継・M&Aエキスパート
・事業承継・M&Aエキスパート試験の流れ
→申し込み:希望する受験日を含む月の3カ月前の月初から受験日の3日前までに自身で予約
→試験:試験時間は120分で試験方式はCBT方式
→合格条件:問題は四答択一式の問題が30問と事例問題が10題の合計40問、70点以上で合格
→認定証の受け取り:試験日の翌日以降に資格認定証をPDF形式で出力
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