M&A成功事例25選!【2018年最新版】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

M&Aに成功した25の事例を紹介します。日本や海外の企業がM&Aに成功した事例をひとまとめにした内容です。近年の事例や、中小企業・大企業が行った買収のほか、日本と世界におけるM&Aの違いや、買収・合併の目的、失敗した事例も取り上げています。

目次

  1. M&Aの事例~世界と日本それぞれの特徴~
  2. M&Aの目的とは?
  3. 近年のM&A成功事例5選!【2018年最新版】
  4. M&A成功事例5選!~日本の大企業のシナジー効果
  5. 日本のM&A成功事例5選!~大企業の大型買収
  6. 中小企業のM&A成功事例5選
  7. 2017年度の主なM&A事例
  8. なぜ?M&Aに失敗するケースの特徴
  9. M&Aの失敗事例10選!
  10. M&Aの成功にはM&A仲介会社のサポートが不可欠
  11. まとめ
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1. M&Aの事例~世界と日本それぞれの特徴~

M&Aの事例~世界と日本それぞれの特徴~

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世界と日本では、実行されるM&Aについての違いがあるのでしょうか。ここでは、日本と世界が行ってきたM&Aの事例を交えつつ、それぞれに見られる特徴を解説します。

世界のM&A

トムソン・ロイター社の調査によると、2018年の上半期に取引されたM&Aの買収額は総額2.5兆米ドル、M&Aの件数は23,050件となっており、2017年の上半期よりも10%低い値でした。

それでも、増加額は近年稀に見る上昇率といわれており、2018年の上半期は2017年の同期と比べて61%の増加が見られ、トムソン・ロイター社が記録を始めて以来の数字といわれています。

近年はクロスボーダーのM&Aが増加

2018年の上半期におけるクロスボーダーM&A(他国の企業を対象としたM&A)の取引額は、総額で1.0兆米ドルと報告されています。

2017年の同期と比べ84%の増加であり、M&Aに占めるクロスボーダーM&Aの割合は41%という高い値で、2007年の同期に記録した44%に迫る数値でした。

このように、近年世界ではM&Aは活発に行われており、中でもアジアの新興国を対象とした買収事例が増えていることから、アメリカで主流だったM&Aの動きは、ヨーロッパから太平洋側のアジアに移っているといえます。

日本のM&A

近年における日本のM&Aは、2018年の上半期で約2410億米ドルの取引額を記録しました。これは過去最高の数字で、2017年の同期と比べると267.8%もの増加が見られました。

上半期に行われたM&Aの案件は2,025件で、2017年の同時期よりも15.3%増加しています。また、10億米ドルもの大型事例が23件行われ、2017年の同時期と比較すると522.7%の増加となっています。

近年では、取引額や案件の数が増えており、2017年度は2015・2016年に比べて、取引額が落ち込んでいたことも増加が顕著に表れた要因です。

それでも、2018年度の上半期だけで、2015・2016年の取引額を上回っています。つまり、2018年の上半期で、一年分の取引額を超える買収・合併が行われたことがわかります。

買収・合併対象はヘルスケアと電気通信分野

日本のM&Aにおける買収・合併対象は、ヘルスケアと電気通信に集中しており、2つの事業だけで全体の半分を超えています。

ヘルスケア分野の割合は33.3%、取引額は802億米ドルという値です。また、もうひとつの電気通信はシェアを24.4%まで伸ばし、取引額は587億米ドルとなっています。

そのほかの買収・合併の対象分には、先の2つに続いて、ハイテクやエネルギー・電力分野、不動産などが挙げられます。

2. M&Aの目的とは?

M&Aの目的

出典: https://pixabay.com/ja/%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E7%BD%B2%E5%90%8D-%E5%A5%91%E7%B4%84-%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-%E5%8F%96%E5%BC%95-%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF-%E6%89%8B-962355/

企業は、自社の利益を守るためにM&Aを行います。とはいえ、買い手と売り手は、どのような目的から買収・合併、売却を選択するのでしょうか。

ここでは、M&Aの具体的な目的がわかるように、買い手・売り手に分けてM&Aの目的をみていきましょう。

買い手側の目的

企業が達成したい目的とは、どのような内容でしょうか。M&Aを使って買い手が買収を行う目的には、次の3つが挙げられます。買収を望む企業は、買収・合併を叶えるために、M&Aを実行に移します。

  1. 規模の経済
  2. 範囲の経済
  3. 多角化経営

買収側の目的① 規模の経済

買い手が望む目的には、規模の経済があります。簡単に言えば、多くの製品をつくり製造にかかる費用を抑えることが目的です。

生産費用を抑えられれば多くの収益が得られるため、企業は同業他社の買収・合併を画策します。そのため、買収・合併される企業は、同業の会社のほか、同業でエリア外、小規模の会社が対象になります。

同業やエリア外の会社を買い取ることで、企業が所有する生産性・販売エリアを獲得でき、規模の小さい会社なら数社をまとめて買い取ることで、規模の経済を実現することができます。

買収側の目的② 範囲の経済

2つ目の目的は、範囲の経済です。これは、ひとつの企業がいくつかの製品・サービスを生産した方が、別々の企業でつくるよりも、コストや無駄を抑えられることを意味しています。

ひとつの企業で生産を行うことができれば、設備や資源の共有が図れるため、企業は買収と合併を行います。

また、中間素材などの製造が自社で賄えることも目的のひとつで、他社に依頼する費用や運搬による時間のロスを減らすため他社を買収します。

買収先の企業には、自社の川上・川下に位置する会社を選ぶことが多く、資源の調達・研究開発などを強化したり、販売部門を新たに加えたりして、企業の垂直統合を図ります。

買収側の目的③ 多角化経営

3つ目に挙げる目的は、多角化経営です。新しい事業を始めるときに、M&Aによって既存の企業・事業を買収すれば、新規参入にかかる費用・時間・リスクを減らすことができます。

エリア外や海外への進出では、土地の風土やルール、許認可などの問題が存在します。一から事業を始めると、多大なコストを強いられることも少なくありません。

そこで、買収を行い進出先で事業を営む企業を獲得できれば、短期間で人材やノウハウを得ることが可能になります。
 

売り手側の目的

会社や事業の一部を売却する企業は、どのような目的で会社を手放すのでしょうか。売り手側は、3つの目的からM&Aを行っています。

  1. カーブアウト
  2. 事業承継
  3. 会社の存続

売却側の目的① カーブアウト

売却する企業の目的には、カープアウトがあります。カーブアウトとは、子会社や事業の一部を切り離して、新しい会社をつくることです。

大企業の場合、子会社・事業の更なる成長を求めるために、会社などの譲渡が行われます。会社を独立させることで、新しい資本や経営陣が加わり、所有する技術・ノウハウの正当な価値を引き出すのです。

カーブアウトは、新会社の創設のほか、ノンコア事業を切り離すときにも行われます。事業の選択を行い、人材や設備、得られた売却益をコア事業に集中させることも目的のひとつです。

売却側の目的② 事業承継

売却する目的の2つ目は、事業承継です。会社の経営を任せる人材が見つからない場合、M&Aによる事業承継を行い、第三者へ会社を譲ることで会社の承継することができます。

また、親族内での継承が難しい場合にも、M&Aを利用した事業承継が行われます。子どもや親族に経営権を譲ると、個人保証や相続税などの負担がかかり、身内の中で引き継ぐ人物が現れないケースも少なくありません。

そのため、親族から後継者が見つけられないケースでも、第三者に会社を売却する事業承継が選ばれます。

売り手側の目的③ 会社の存続

売り手側が望むM&Aの目的には、会社の存続も挙げられます。資金力に乏しい中小企業のなかは、優れた技術やノウハウがあっても、利益につなげられないケースも少なくありません。

大企業に会社の売却・合併を、グループ企業として大企業の傘下に入ることができれば、資本を得ることができます。

必要な資金が得られれば、研究開発や特許技術を活かすことができ、財務状況の改善も見込めるようになります。

3. 近年のM&A成功事例5選!【2018年最新版】

近年のM&A成功事例5選!【2018年最新版】

ここでは、近年行われたM&Aの成功事例を5つ取り上げて紹介します。M&Aを希望される経営者は、具体例を参考に、国内外の企業を対象としたM&Aを学んでおきましょう。

M&A成功事例①〜村田製作所が米社を買収

M&Aが成功した事例のひとつ目は、日本の村田製作所が近年に行った事例です。村田製作所は、2017年にアメリカのヴァイオス・メディカルを買収しました。

譲渡側企業の概要

譲渡した企業は、アメリカのヴァイオス・メディカルです。医療機器の開発を手掛けるベンチャーで、IoTを駆使した院内・患者の監視システムや、胸部に取りつけるワイヤレスセンサーの開発(呼吸数・心拍数・姿勢などのモニター)を行っています。

譲受側企業の概要

譲渡を行った企業は、日本の村田製作所です。セラミックスを用いた電子部品の研究・製造・販売を行っています。

会社の売上高は1,371,842百万円(連結・2018年3月期)で、従業員75,326名(連結・2018/03/31現在)を抱える大企業です。

M&Aの目的・背景

村田製作所が行ったM&Aの目的は、安定した収入を得ることです。自社が取り組む電子部品業は、市場の影響を受けやすいため、収益が安定している医療機器の会社・ヴァイオス・メディカルの買収を行いました。

M&Aのプロセス・スキーム

日本の村田製作所は2017年、買収に114億円をつぎ込み、ヴァイオス・メディカルを完全子会社としました。

M&Aの手法は、現地の子会社を通じた買収・三角合併であり、ヴァイオス・メディカルの大株主は、売却を受け入れる代わりに、所有する自社株を50万株強およそ29億円の現金を得ています。

主要製品と見込む医療用の小型センサーは、米食品医薬品局(FDA)から製造の認可を受けたばかりで、数年後の販売を目標としており、買収の時点ではインドなどの現場で試験を続けている状況です。

M&A成功事例②〜味の素がトルコの食品会社を買収

2つ目に紹介するM&Aの成功事例は、日本の味の素株式会社が近年に行った買収です。トルコにある2社の食品会社を買収し、3つの会社を統合しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は2つあり、ひとつはキュクレ食品社で、トルコで液体調味料やピクルスなどの製造・販売を手掛けてる会社です。

もうひとつの企業はオルゲン食品社で、粉末調味料や粉末スープ・デザートなど、加工食品の製造と販売を行っている会社です。

譲受側企業の概要

買収を行った企業は、日本の味の素株式会社です。有名な味の素をはじめとする調味料のほか、インスタント食品・飲料・健康食品などの製造・販売を行う大企業です。

味の素株式会社は35の国と地域に事業所を置き、従業員の数は34,452名(連結・2018/03/31現在)、2018年3月期の売上高は1兆1,502億円です。

M&Aの目的・背景

日本の大企業・味の素株式会社がM&Aを行った目的は、トルコを中心とした事業の拡大です。キュクレ食品社・オルゲン食品社の販売網や収集・解析したマーケティングを利用し、事業の強化を図ります。

また、自社の技術を活用した新製品の開発のほか、中東エリアに向けた商品の輸出も高めることも狙いとしています。

統合は2018年の7月を予定しており、イスタンブール味の素食品販売社と買収したキュクレ食品社・オルゲン食品社の統合を行います。

M&Aのプロセス・スキーム

トルコでの事業拡大を目指し、2013年にキュクレ食品社の株式を50%、2017年8月に100%の株式を取得しました。

2017年の4月には、オルゲン食品社の株式を100%取得し、同じく子会社化しています。このように、味の素株式会社は、統合に向けた準備を着々と進めてきたのがわかります。

味の素株式会社は、強化による事業の規模について、2020年で100億円越えを想定しています。

M&A成功事例③〜第一生命が豪州大手の生命保険会社を買収

3つ目に取り上げる近年のM&A事例は、第一生命の豪州子会社・TAL Dai-ichi Life Australia Pty Limited(以下TAL)による、豪州のSuncorp Group Ltdを買収です。

TALがSuncorp Life & Superannuation Limitedの買収を行い、この買収で得られた対価は、総額で約725百万豪ドルと報告されています。

譲渡側企業の概要

M&Aによる株式譲渡を行った企業は、豪州のSuncorp Group Ltdで、生命保険とその関連事業を展開しています。

設立は1996年の7月で、2017年6月期に保険料などから得た収入は、約804百万豪ドルでした。

譲受側企業の概要

M&Aで買収を行った豪州のTALは、日本の第一生命ホールディングスの子会社で、生命保険や保険事業を行っています。

2011年に資本金1,630百万豪ドルで設立し、2017年3月期に保険料などから得た収入は、約2,593 百万豪ドルであり、豪州の保険市場では一番のシェアを誇っています(2018年3月末時点)。

M&Aの目的・背景

TALがM&Aを行った目的は、生命保険の商品数を増やすことと、販売経路の拡大です。Suncorp Life & Superannuation Limitedは、豪州Suncorp Group Ltdのグループ企業で、生命保険業の核として事業を展開しています。

自社の商品や販売網では成長に限りがあると判断し、顧客の細かい要望に応えるため、Suncorp Life & Superannuation Limitedの買収を行いました。

M&Aのプロセス・スキーム

買収では、TALがSuncorp Group Ltdの連結子会社・Suncorp Life Holdings Limitedが持っているSuncorp Life & Superannuation Limitedの全株式を買い取りました。

そのほかにも、Suncorp Group Ltdと、20年間の販売提携契約が結ばれています。

M&A成功事例④〜シャープが東芝パソコン事業を買収

近年に行われた4つ目の成功事例は、シャープ株式会社が、東芝の子会社・東芝クライアントソリューション株式会社(以下、TCS)の買収を決めた事例です。発表は、2018年の6月。シャープは、東芝が所有するTCSの株式80.1%を4,005百万円で買い取りました。これにより、シャープはTCSを子会社としています。

譲渡側企業の概要

売り手側のTCSは、東芝の子会社でパソコン・ソリューションシステムの事業を国内外で展開しています。

2017年度の売上高は1,673億円(連結)、従業員数は2,400名(連結・2017/04/01現在)となっています。

譲受側企業の概要

買い手側企業は日本のシャープ株式会社、電子通信・電子機器・電子部品の製造と販売を行う会社です。

国内外の関連会社を含めた従業員数は52,548名、2018年3月期の売上高は2兆4,272億7,100万円(連結)となっています。

M&Aの目的・背景

シャープがM&Aを行った目的は、自社の持つAIoTプラットフォームを強化するためです。

TCSが開発・提供するパソコン機器やサービスにシャープのAIoT技術を組み合わせ、世界の市場でのシェア獲得を目指します。

M&A成功事例⑤〜旭化成が米セージを買収

近年に行われた成功事例の5つ目は、旭化成株式会社によるアメリカのセージ・オートモーティブ・インテリアズの買収です。

旭化成は、セージ・オートモーティブ・インテリアズの株式を所有する、アメリカの投資会社クリアレイク・キャピタルから全株式を取得しました。買収額は、利子付きの負債を加えた1,060百万米ドルとされています。

譲渡側企業の概要

M&Aで譲渡されるアメリカの米セージ・オートモーティブ・インテリアズは、革素材を中心に、車内のインテリアを手掛ける会社です。

デザイン・品質・機能性に優れた製品を提供しており、織物・編物でつくられたシートにおいて、世界一のシェアを誇ります。

2017年12月期の売上高は474.9百万米ドル、従業員の数はおよそ2,200名(連結・2018/03/31現在)です。

譲受側企業の概要

買収を行ったのは日本の旭化成株式会社で、国内外に事業所を置く大企業です。住宅・建材・繊維・エレクトロニクス事業を展開、新薬・医療機器のほか、関連する医療機器のシステム開発を手掛けています。

2017年度の売上高は20,422億円、従業員数は2018年3月31日現在で34,670人です。

M&Aの目的・背景

旭化成がM&Aを行った背景には、マテリアル事業の拡大があります。自動車産業は今後も成長すると判断し、中長期の計画で掲げた自動車メーカーとの関係強化を求めていました。

そこで、セージ・オートモーティブ・インテリアズの買収を実行しました。対象事業を取り込むことで自動車市場の動きをいち早くつかみ、自動車内装に自社の素材・技術を加えることで、付加価値の高い製品・サービスの提供を狙いとしています。

M&Aのプロセス・スキーム


セージ・オートモーティブ・インテリアズへ働きかけ、交渉による買収を行いました。

2017年の10月から交渉を進めて、2018年の7月に合意に至りました。買収が交渉で行われた理由は、以前から取引があったためだといわれています。

4. M&A成功事例5選!~日本の大企業のシナジー効果

M&A成功事例5選!~日本の大企業のシナジー効果

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続いて、日本の大企業が行ったM&Aから、シナジー効果を生んだ5つの事例を紹介します。

企業を買収することで、販売のノウハウ・販売網・設備などを共有したり、大量生産によるコストダウンを図ったりと、お互いの企業に利益がもたらされます。

M&A成功事例①~JT

日本の大企業がM&Aによるシナジー効果を得られた事例には、JTによる買収例が挙げられます。

大企業のJTは、1999年に米RJRナビスコの米国外たばこ事業を買収、2007年には、イギリスのギャラハーをM&Aにより獲得しました。

譲渡側企業の概要

売り手先の企業は、アメリカのRJRナビスコホールディングスで、たばこをはじめスナック・ビスケットなどの食料品の製造・販売を行う会社です。

もうひとつの売り手企業はイギリスのギャラハー、タバコの製造・販売事業を展開し、ヨーロッパやアフリカ、中央アジアなど販売を行っていました。買収当時は、紙タバコの販売数で世界第5位に位置していた大企業です。

譲受側企業の概要

JT(日本たばこ産業株式会社)は、たばこ事業を中心とした日本の大企業です。海外に数多くの子会社を置き、従業員数は57,963人(2017/12/31現在)です。

紙タバコにおける世界シェアは第3位で、日本では第1位を死守しています。2016年度の売り上げによる収益は、2兆1,433億円でした。

M&Aの目的・背景

アメリカとヨーロッパ市場で買収を行った目的は市場とシェアの拡大にあり、海外の既存企業を買収することで、ブランド力・販売網・ノウハウなどを共有し、コストの削減や自社のブランドと技術の組み合わせにより、シナジー効果を得ようとしました。

近年、電子タバコへの進出が遅れたことで株価の低迷を受けたため、海外市場のブランド強化や、新興市場のシェア獲得に狙いを定めたのです。

2016から2017年にかけては、アメリカのNatural American Spirit、ロシアのJSC Donskoy Tabakを買収し、高価格帯・低価格帯の市場を強化しました。

新興市場へは、エチオピアやインドネシア、フィリピン、バングラデシュなど、アフリカ・東南アジアでのシェア獲得を図っています。

M&A成功事例②~日本電産

シナジー効果を生んだ2つ目の成功事例は、日本電産が2017年に行ったEmerson Electric Co.のモータ・ドライブ・発電事業の買収です。

譲渡側企業の概要

売り手先のアメリカのEmerson Electric社は、電気や電子部品の開発・製造・販売を手掛けています。

産業向けのほか、一般向けにもサービスを提供しており、。売上高は2015年9月期で22,304 百万米ドルです。

譲受側企業の概要

買収側は日本電産株式会社で、小型・大型モータ、精密機器・電子部品などの製造と販売を行う大企業です。

1980年代からM&Aを実施し、自社の技術力と買収により業績を伸ばしてきました。2018年3月期の売上高は1兆4,880億90百万円(連結)、従業員数は107,554名(連結・2018年3月末現在)です。

M&Aの目的・背景

Emerson Electric Co.の事業を買収した目的は、産業・商業用事業の成長力を高めるためです。この買収前に2社の企業を買い取り、世界での基盤を固めて取り扱う製品の拡充を行っていました。

今回の買収も、成長戦略を進めるための買収といえます。Emerson Electric Co.は、ヨーロッパと北米に強固な地盤を持つ企業です。

買収を実行に移すことで該当エリアでの販売事業を獲得し、自社製品と絡めた製品の提供と細かなニーズに応えられる体制を整えました。日本電産は、買収を行うことで関連商品の購入によるシナジーを期待したといえます。

M&A成功事例③~楽天

3つ目の成功事例は、楽天株式会社が行った買収です。2016年にフリマアプリサービスを提供する株式会社Fablicを買収しました。

楽天はFablicが発行している株式をすべて取得し、完全子会社化しています。

譲渡側企業の概要

会社の株式を売却したのは日本の株式会社Fablicで、個人間の売り買いをサポートするフリマ型の事業を行っていました。

2017年には日本で初めてとなるフリマアプリ「フリル」の提供を開始、女性が好む商品を多く取り扱うことで、若い年齢層から支持を集めていた企業です。

譲受側企業の概要

買収を行った企業は日本の楽天株式会社で、楽天市場を中心としたインターネットサービスのほか、金融サービスやスポーツ事業などに取り組んでいます。

2000年に店頭上場を果たし、29の国と地域にサービスを提供するなどグローバルに事業を展開する大企業です。社内の公用語は英語としており、従業員の数は14,845名(2017/12/31現在)です。

M&Aの目的・背景

楽天がM&Aを行った目的は、個人間取引の事業を強化するためです。M&Aに至った背景には、フリルが抱える客層の獲得があります。

楽天はさまざまなジャンルの商品を取り扱っていたため、特化したジャンルを持っていませんでした。事業の拡大には、500万人を超えるユーザーと女性の支持が必要と考えフリルを買収したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

楽天は、自社のフリマサービス「ラクマ」と買収した「フリル」の顧客が、互いのサービスを利用することでシナジー効果が得られると期待していました。

楽天の予測は見事に当たり、2017年の流通総額はおよそ1,400億円に達しています。

M&A成功事例④~ソフトバンク

4つ目の成功事例は、ソフトバンク株式会社による買収。2013年にアメリカのスプリント・ネクステル・コーポレーションが所有する事業を買収しました。

買収額は約1.8兆円、ソフトバンクはM&Aにより、スプリント株の約78%を取得して子会社としました。

譲渡側企業の概要

売り手側の企業は、アメリカのスプリント・ネクステル・コーポレーション。携帯電話や、長距離通信事業を行っています。資本金は、6,019百万米ドル(2012/12/31現在)。

譲受側企業の概要

買い手側の企業は日本の大企業・ソフトバンク株式会社で、自社では事業を行わない純粋持ち株会社です。

子会社が行う事業は、日本やアメリカでの通信事業・インターネット広告・Eコマースなどです。従業員数は、およそ74,952人(連結・2018/03末現在)です。

M&Aの目的・背景

ソフトバンクがM&Aを行った目的は、世界における事業基盤の確保と、買収した事業の強化を図るためです。自社の経験を活かすことで、アメリカにおけるスプリントの通信事業を強化できると考えました。

ソフトバンクは、固定通信から移動通信への移り変わりを予測し、2004年に日本テレコムを、2006年にはボーダフォン日本法人を買収しました。

ソフトバンクは、日本で培った経験を海外事業に活かせると踏み、アメリカへの参入を決めたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

ソフトバンクは、スプリントを買収したことで、日本とアメリカの顧客数トップに躍り出ました(日米を合わせた市場)。

さらに、移動体通信事業の売上高は世界第3位となり、2014年3月期の決算では、前期に比べて売上高が3,464,115 百万円も増えました。このうち、スプリントによる効果は2,601,031百万円です。

さらに2018年3月期では、売上高を3,601,961百万円まで伸ばしています。このようなことから、ソフトバンクは買収によってシナジーが得られていると考えられます。

M&A成功事例⑤~大正製薬

成功事例の5つ目は、大正製薬株式会社が2016年に、ドクタープログラム株式会社を買収した例です。

この買収で対象企業の株式をすべて取得し、ドクタープログラム株式会社を子会社としました。

譲渡側企業の概要

売り手企業は日本のドクタープログラム株式会社、美肌をつくる基礎化粧品の開発と販売を手掛けています。2016年3月期の売上高が1,285 百万円で、従業員数は38名という中小企業です。

譲受側企業の概要

買収側は日本の大正製薬株式会社で、消費者による健康の維持を目的としたセルフメディケーション事業や、新薬の開発・医薬品の販売事業を行う大企業です。

2018年3月期の売上高は205,164百万円、従業員の数は3,188人となっています。

M&Aの目的・背景

大正製薬がM&Aを行った目的は、通信販売・スキンケア事業を拡大するためです。大正製薬は、セルフメディケーション事業を成長させるために、通信販売の拡充を目標に据えていました。

そこで、スキンケア事業については、自社のセルフメディケーション事業と既存製品のシェア獲得で培ったノウハウを活かせると判断しました。

対象事業を買収することにより、短い期間での成長が見込めると考えたのです。大正製薬による買収は、販売網やノウハウの共有によるシナジー効果を期待しています。

5. 日本のM&A成功事例5選!~大企業の大型買収

日本のM&A成功事例5選!~大企業の大型買収

次は、日本の企業が行った大型の買収例を5つご紹介します。M&Aが成功した要因は、どのような点にあったのか、買収した企業や買収の目的などから、成功につなげたプロセスを紐解いてみてください。

りそなHDがAFC Merchant Bankの全株式取得

日本の大企業による成功事例のひとつ目は、株式会社りそな銀行が、シンガポールにあるAFC Merchant Banを買収した例です。すべての株式を取得して、子会社としました。

譲受側企業の概要

売り手側の企業は、シンガポールに拠点を置くAFC Merchant Bankです。会社は、東南アジアのシンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンの金融会社が中心になって設立されました。資本金は、およそ5,537百万円です。

譲渡側企業の概要

株式を取得した企業は、日本のりそな銀行です。株式会社りそなホールディングスの子会社で、接客を行う店舗は328店、店舗外のATMは、553カ所に設置しています(2018/08/31現在)。2018年3月期の営業粗利益は、345,465百万円です。

M&Aの目的・背景

りそな銀行が買収を行った目的は、日系企業に金融サービスを提供するためです。アジア地域では、インドネシア・シンガポール・バンコック・ホーチミン・上海・香港に事務所を置いていますが、東南アジアまではサポートが行き届いていませんでした。

そこで、AFC Merchant Bankを買収することにより、シンガポールを中心にマレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンへの金融サービスを提供することに至りました。

ソニーが米国Funimationを子会社化

2つ目の成功事例は、Sony Pictures Television Networksが行った買収です。2017年の8月にFunimation Productions, Ltd.の買収を行いました。売却される株式は、全体の95%。売却額は、およそ165億円と報告されています。

譲受側企業の概要

売り手企業はアメリカのFunimation Productions, Ltd.であり、英語版のアニメを配給する会社です。

日本アニメのライセンスや多数のタイトルを抱え、北米エリアでは有名な配給会社として知られています。事業の中では、ストリーミングによる配信サービス「FunimationNOW」が有名です。

譲渡側企業の概要

買い手企業は、Sony Pictures Television Networks。アメリカの企業・Sony Pictures Television  Inc.の中にあるひとつの部門です。

展開する事業は、テレビチャンネルの運営で、世界各国に拠点を置き親会社・ソニー・ピクチャーズエンタテインメント番組や、他社の番組・映画などの配信を行っています。

M&Aの目的・背景

Sony Pictures Television NetworksがM&Aによる株式の取得を行った目的は、アニメの配信先を増やすことです。

買収したFunimation Productions, Ltd.は、さまざまな媒体でアニメ配信事業を展開しており、PlayStation®StoreやGoogle Play、Amazon Appsのほか、モバイルで見られる「FunimationNOW」の配信サービスを手掛けています。

Sony Pictures Television Networksは、これらの媒体を利用することで、さらにサービスの利用者の拡大を図れると考えました。

また、Funimation Productions, Ltd.も、買収側が展開する媒体を利用して顧客を増やせると判断し、テレビやデジタルチャンネルのサービス強化を図ったのです。そのため、M&Aによる買収が成立したと考えられます。

マネックスグループがコインチェックを買収

3つ目の成功事例は、マネックスグループによる買収。2018年の4月に仮想通貨の取引業を行うコインチェックを買収しました。

買収額は36億円であり、コインチェックの株式をすべて取得し、コインチェックを完全子会社とします。

譲渡側企業の概要

売り手企業は、有名な仮想通貨・ビットコインの取引所を運営している日本のコインチェックです。2017年には、ビットコインの取引高で日本一になっており、社員105名で事業を行っている企業です。

譲受側企業の概要

買い手は日本のマネックスグループ株式会社で、金融業の株式を所有する持ち株会社です。傘下の企業には、国内外で事業を営むネット証券があり、ベンチャー企業への投資事業などを行っています。

M&Aの目的・背景

マネックスグループがM&Aを通じて株式を取得した目的は、仮想通貨交換業に将来性を見出しているからです。

成長が見込める仮想通貨の交換業から、利用者の多いコインチェックを買収先に選びました。自社の知識や経験とコインチェック側が持つ仮想通貨のノウハウを合わせれば、成長を早められると考えています。

仮想通貨NEMの不正送金についても、自社の金融業で培った管理能力や顧客へのサポート力により、継続した仮想通貨の交換業が営めると発表しています。

M&Aのプロセス・スキーム

マネックスグループは、コインチェックに対して条件付きで追加による対価の支払いを行います。

支払い額の上限は、2021年3月までの3年間に計上された純利益を合計した値の半分としました。これは、リスクが生じる可能性を鑑みて、追加による支払いを取引の条件に加えているのです。

ビックカメラがエスケーサービスを完全子会社化

4つ目の成功事例は、株式会社ビックカメラによる株式の取得です。2018年8月に株式会社エスケーサービスを完全子会社としました。取引きでは、簡易株式交換が用いられています。

譲渡側企業の概要

売り手側の企業は日本の株式会社エスケーサービスで、家電の配送や製品の納品、産業廃棄物の収集・運搬のほか、家電の取り付け工事などを行っています。

2017年6月期の売上高は2,484百万円で、純資産に214 百万円を計上した中小企業です。

譲受側企業の概要

買い手側は日本で事業を行う株式会社ビックカメラであり、家電製品や白物家電を販売しています。ビッグカメラは、店舗での販売のほかネットを通じた通販による販売事業も展開しています。

2017年8月期(連結)の売上高は790,639百万円で、純資産を145,593百万円も計上する有名な家電量販店です。

M&Aの目的・背景

ビックカメラが株式交換を行った目的は、配送サービスの向上にあります。エスケーサービスは、首都圏を中心に家電の配送と家電工事の事業を行っています。

自社の店舗で家電をエスケーサービスに任せることで、配送サービスの質を上げられると見込んだのです。

さらに、家電の取り付け工事も任せられるため、配送から設置に至るまでをトータルでカバーすることができ、販売・配送・取り付けと一貫したサービスの提供により、利用客の増加を図れると考えたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

株式の交換比率は、ビックカメラ対エスケーサービスで1:301という値です。比率の決定は、第三者機関に算定を依頼しており、示された数字をエスケーサービス側に提示し合意を得られた上で、株式の交換比率を決めました。

住友重機械工業が伊機械メーカーを買収

5つ目の成功事例は、住友重機械工業株式会社による株式の取得です。2018年の6月にイタリアのLafert S.p.Aの株を取得しました。

株式の取得によりLafert S.p.A.を子会社しており、取得額は21,356百万円ですが、株式の取得には追加の支払いを盛り込んでいます。

追加払いの限度額は769百万円としており、2019・2020年の業績によってLafert S.p.A.に支払われます。

譲渡側企業の概要

売り手側の企業はイタリアのLafert S.p.A.で、産業用のモータやモーションコントロールの製造と販売を手掛けています。

一部の機械では顧客の要望に応えた製品を提供し、機械の自動化や省エネルギーを進めています。2017年の売上高は約200億円で2017年9月現在の従業員数は796人、イタリアのほかスロベニアや中国にも製造拠点を置いています。

譲受側企業の概要

買い手の企業は、日本の総合機械メーカー・住友重機械工業。精密・産業・建設機械の製造や、船舶の建造・販売などを行っています。

2017年の売上高は791,025百万円(連結)、従業員21,017名(連結・2018/03/31現在)を抱える大企業です。

M&Aの目的・背景

住友重機械工業が株式を取得した目的は、顧客満足度の向上・ヨーロッパ市場の強化・技術の共有によるシナジー効果を得るためです。

Lafert S.p.A.はヨーロッパの広い市場において、顧客との強いつながりを形成しています。また、顧客の求めに応じたカスタム品の提供も行えるほどの高い技術力を持っています。

そこで、住友重機械工業は子会社化を行い、満足度の高い製品や特殊な機器の提供、ヨーロッパにおける生産拠点の確保と技術の向上、事業領域の拡大を図ったのです。

6. 中小企業のM&A成功事例5選

中小企業のM&A成功事例5選

続いては、中小企業によるM&Aの成功事例です。5つの具体例の中から、各自の状況に似た企業を探してみてください。中小企業は次のような事情を抱えて、M&Aを選択しています。

M&Aで多角化を目指す

具体例のひとつ目は、M&Aの仲介業者を間に入れた中小企業の成功事例です。合成樹脂材料と製品販売を行うA社は、男性用のカジュアルシャツを製造するB社を買収しました。
 

譲渡側企業の概要

事業を譲渡したB社は、中部地区で男性用のカジュアルシャツを製造する中小企業です。資本金が4,000万円、売上高は20億円ほどの規模です。抱える従業員は20名で、経営者が高齢のため後継者を社外に求めていました。

譲受側企業の概要

事業を譲り受けたA社は、中部地区で合成樹脂材料と製品の販売を行う中小企業です。資本金が3,000万円、売上高が100億円ほどの商社であり、アパレルに関連した事業を拡大する目的で、買収先の企業を探していました。

M&Aの目的・背景

B社はM&Aの仲介業者に、事業承継が行える譲渡先を探してもらいました。該当する会社が見つかり交渉を進めるものの、社内整備などが図れないことを理由に中止に至っていたのです。

一方のA社は、アパレル事業の買収先を求めていました。そこで仲介業者から両社が引き合わされて交渉がスタートし、基本合意・デューデリジェンスを経て、譲渡契約に至りました。

M&Aのプロセス・スキーム

A社はB社の株式をすべて取得し、B社の取引先・従業員・不動産をそのまま引き継ぎました。B社のオーナーは、引き継ぎの後に譲渡により社長職を降りています。

B社の社員たちからの藩閥を予想し、B社の営業部長を取締役に据えて、A社の社長がB社の代表取締役に就任しました。

わずか2カ月ほどで譲渡契約に至った理由には、オーナーを除いた株主たちに作成してもらった株式譲渡の委任状があったためです。交渉する人物をオーナーに限ることで、長期に及ぶ交渉を避けることができました。

【関連】アパレル業界のM&A・買収の最新動向【2018年事例あり】

垂直統合を図ったM&A

具体例の2つ目は、M&Aにより製造品の一貫した供給体制を整えた事例です。遊戯機器の製造・販売を行うC社が、ソフトウエアの開発を事業とするD社を買収しました。C社は、M&Aにより株式のすべてを取得し、D社を子会社としています。

譲渡側企業の概要

売り手側の企業は、九州に拠点を置くD社です。事業内容はソフトウエアの開発で、大手からの受注を受けて事業を行っています。

資本金は2,000万円、売上高は1億5,000万円。20人の従業員で構成される中小企業です。

譲受側企業の概要

買収側の企業は関東で事業を営むC社で、遊戯機器の製造と販売を行っています。資本金は5,000万円、売上高はおよそ250億円であり、150人の従業員を擁する中小企業です。

M&Aの目的・背景

D社は安定した経営を目指すべく、一度大手のグループ傘下に入り資本提携を行いました。しかし、求めていた受注量・受注環境には至らなかったため提携を解消し、新たな提携先を探していました。

C社は企業の成長を図るために、機械の製造・開発に加えて、システムの開発事業を検討していました。ソフトウエアの開発から製品の製造までを一貫して行えると、フレキシブルな対応ができると判断をしたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

D社は新たな提携先を求めて、仲介業者へ依頼して数社と交渉を行うものの、条件が合わずにいました。そこへ、九州に関連会社を持つC社と出会い交渉を開始、現地への視察などを経て譲渡契約を結びました。

契約が合意に至った理由は、両者の求める条件にあります。D社の経営者は引退するには若い年齢で、譲渡後も経営に携わりたいと考えを持っていました。

C社は経営権の獲得を希望していましたが、雇用継続する社員たちや取引先との関係などを鑑みて、買収後もD社の経営者に会社のかじ取りを任せたいと考えていたのです。そのため、交渉やデューデリジェンスも滞りなく進み、譲渡契約が完了しました。

M&Aで事業譲渡

具体例の3つ目は、M&Aによる事業譲渡です。通信・電子機器の販売を行うE社が、飲食業を展開するF社から一部の店舗を事業譲渡により、取得した事例です。

譲渡された事業は、E社が出資する100%の子会社へ移り、継続することが決まっています。

譲渡側企業の概要

事業を譲渡した中小企業は、F社。東京に拠点を構える飲食店の経営会社で、いくつかの店舗を経営し、和食ジャンルを中心に出店を図ってきました。売上高は3億円で、10人の従業員を抱える中小企業です。

譲受側企業の概要

事業を譲渡した中小企業のE社は、関東を中心に通信・電子機器を販売する会社で、携帯・PCの販売により事業の拡大を行ってきました。売上高はおよそ100億円、従業員の数は200名です。

M&Aの目的・背景

F社は、出店場所の選択や、外食産業の好調な流れに乗って、店舗を増やしていました。しかし、度重なる出店により開業資金などの借金がかさむ、苦しい財政事情を抱えていたのです。

一方、E社は事業の多角化に乗り出し、通信・電子機器の販売のほかに、サービス業への進出を画策していました。これまでの経営スキルを活かせるとして、飲食業の買収を検討していました。

M&Aのプロセス・スキーム

まずは、F社がM&Aの仲介業者相談を持ちかけました。希望する条件(譲渡する店舗はシナジー効果への関与が少ないところ)を提示、買収側の登場を待ちました。

そこへ、いち早く名乗りを上げたE社とコンタクトを取り、交渉を開始。F社は一刻も早く資金を調達したかったため、E社とだけ交渉を進めました。

そして、条件の折り合いがつき、事業譲渡を締結。設備や在庫、資産を引き継ぎ、従業員の雇用、取引先との契約を改めて結び直しました。

事業継承よりM&Aを選んだ例

具体例の4つ目は、事業承継をせずM&Aを選んだ事例です。金属加工業を営むG社は、地方進出と工場の拡大を検討する同業大手のH社へ、会社を売却しました。

譲渡側企業の概要

事業を譲り渡す中小企業は、金属加工業のG社です。顧客の要望に合わせた製品の加工により、ひとつの生産数を抑えた製品づくりを行ってきました。

G社は周囲の工場からの信頼が厚く、強い経営地盤が確立されていた会社です。

譲受側企業の概要

買収側の企業は、H社。大手の金属加工会社で、G社と同じ事業を展開しています。

M&Aの目的・背景

G社の経営者は、後継者を見つけられずにいました。子どもたちはそれぞれ独立し、自身は還暦を迎え、経理を担当していた妻が体を壊したことで、M&Aによる買収を検討していたのです。

H社は、事業拡大のため、地方に新たな工場の設置を考えていました。

M&Aのプロセス・スキーム

G社は会社の売却先を求めて、信用金庫へ相談。候補者を探しました。しかし、すぐには見つからず、1年半後にようやくH社が現れたのです。交渉から契約まではスムーズで、短期間で売却が完了しました。

従業員の雇用と取引先との関係も継続。H社が提供する職場環境や待遇によって従業員によい環境を与えられ、懇意にする取引先への影響もありませんでした。

会社の売却が成立した要因は、G社が所有する金属加工の技術です。廃業を考えていても、必要とする第三者が見つけてくれれば、会社売却は可能といえます。

家庭の都合をM&Aで解決

5つ目の具体例は、家庭の事情によりM&Aを選択した事例です。ネイルサロンを経営するI社は、健康食品を販売するJ社によって会社の売却を行いました。会社の売却は、株式譲渡が選ばれています。

譲渡側企業の概要

会社を譲り渡した企業は、東京でネイルサロンを運営するI社です。売上高1.5億円の中小企業です。会社の経営者は既婚者で、子どもを抱える主婦でもあります。

譲受側企業の概要

会社を買収した企業は、J社。東京で健康食品の販売業を営む中小企業です。

M&Aの目的・背景

I社の経営者は、第2子の出産を望んでいました。そこへ夫の転勤が重なり、家庭と事業の両立は不可能と判断し、M&Aによる会社売却を希望したのです。

J社は、健康食品の販売のほかに、ネイルサロン業への事業進出を検討していました。そして、自社で新たに事業をはじめるよりも、リスクの少ないM&Aを希望し、買収先を探していたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

I社はM&Aの仲介業者に会社売却を相談しました。提示した条件は、従業員に対するきめ細かな対応・スムーズな売却・譲渡額の下限を提示することです。

その後、仲介業者を通じてJ社が紹介されました。I社の条件に合致したことにより売却が決定し、契約締結までの期間は約2カ月と、短期間による会社売却を実現しています。

【関連】個人・中小企業向けのM&A案件情報を得るには?【売却・買収一覧あり】

7. 2017年度の主なM&A事例

2017年度の主なM&A事例

この章では、2017年に行われたM&Aの事例をご紹介します。

LINEによるファイブの子会社化

ひとつ目の具体例は、2017年の近年に行われたLINE株式会社による、ファイブ株式会社の株式取得です。

LINEは、この資本提携によりファイブの株式をすべて買い取りました。動画広告プラットフォーム事業を営むファイブを子会社としています。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は、東京に本社を置くファイブ株式会社です。主な事業は、スマートフォンに合わせた動画配信プラットフォームの開発とおよび運営です。

譲受側企業の概要

株式を取得したのは、日本の有名企業・LINE株式会社。東京にオフィスを構え、コミュニケーションアプリ「LINE」をはじめとした、スマートフォン向けサービスの開発・運営を行っています。

そのほかには、広告・AI事業を展開しており、単体の従業員数は1,692名(2018/04/30末現在)です。

M&Aの目的・背景

LINEは自社のアプリやサービスを活用し、広告の表示回数を増やしたり、広告選定の精度を高めたりと、広告事業の拡大を図ってきました。

そこで、更なる成長と拡大を目指すために、動画広告に長けたファイブとの提携を決めています。

伊藤忠商事がヤナセを子会社化

2つ目の具体例は、2017年7月に行われた伊藤忠商事株式会社による、株式会社ヤナセの株式公開買付けです。

この買収により、伊藤忠商事は株式の65%取得し、ヤナセを連結子会社としました。

譲渡側企業の概要

株式を譲渡したのは、輸入車販売で有名な株式会社ヤナセです。新車・中古車販売のほか車の保守・点検・パーツの供給などを行うアフターセールス事業や、金融保険業を展開しています。

資本金は69億7,587万2千円、従業員数はグループ全体で5,053名(2018/07/01現在)です。

譲受側企業の概要

株式を取得したのは、日本の有名企業・伊藤忠商事株式会社です。総合商社で、国内外に108つの拠点を持つ大企業です。資本金は253,448百万円、4,380人の従業員を抱えています。

M&Aの目的・背景

伊藤忠商事は、自社が持つノウハウや資金など活用したシナジー効果を得るために、以前より株式を取得していたヤナセを連結子会社としました。

ヤナセが取り扱う輸入車は、国内で販売される内の約15%であり、ヤナセの業績が回復したこと受けて、新車・中古車の販売業が利益を生む投資先と判断をし、株式の取得を行ったのです。

M&Aのプロセス・スキーム

伊藤忠商事は、株式公開買付けによって、ヤナセの株式を取得しました。取得する株式の数には下限と上限を定め、持ち分法適用会社から連結子会社へ移行を実現させました。

トヨタとマツダが資本提携

3つ目の具体例は、近年に行われたトヨタとマツダにによる資本提携です。両社は2017年8月に、マツダの第三者割当増資をトヨタが、トヨタの第三者割当による自己株式をマツダが引き受けることで、関係の強化を図りました。

譲渡側企業の概要

株式を割り当てた企業は、日本のマツダ株式会社です。ガソリンレシプロ・ディーゼルエンジンを搭載した乗用車やトラックの製造・販売を行う大企業。国内外に生産拠点と販売会社を置き、従業員数は連結で48,849人です。

譲受側企業の概要

株式を取得した会社は日本のトヨタ自動車株式会社で、自動車の生産と販売を行う大企業で、世界中で事業を展開しています。

国内外に研究・生産・販売拠点を構えており、従業員数は連結で369,124人(2018/03末現在)です。

M&Aの目的・背景

今回のM&Aは業界の変化に対応するためです。資本提携により、両社の独自性を高めることを目的としています。資本提携の具体的な内容は次の4つです。

  • アメリカで合弁会社を設立すること
  • 共同で行う電気自動車の技術開発
  • マルチメディアシステムと安全運転を支援する技術の開発・連携
  • 国内における小型商用車の供給(マツダからトヨタへ)

M&Aのプロセス・スキーム

両社は第三者割当増資・第三者割当によって株式を引き受けてもらいました。この取引によって得られた資金は、共同で設立する合弁会社の設備資金として使用する見込みです。

明治ホールディングスが化血研の新会社を子会社化

4つ目の具体例は、2017年の近年に行われた明治ホールディングスによる子会社化です。一般財団法人化学及血清療法研究所(以下、化血研)の事業を引き継ぐ新会社の株式を取得。連結子会社とすることを決めました。

化血研から引き継がれる事業は、人体・動物用ワクチン、血漿分画製剤事業などです。新会社への承継は、現物出資で行われます。

譲渡側企業の概要

株式を譲り渡す企業は、日本の一般財団法人化学及血清療法研究所。熊本県で事業に取り組み、ワクチンや血漿分画製剤の研究・開発・製造・供給を行っています。

インフルエンザ・新型インフルエンザ・4種混合・肝炎ワクチンなど提供。研究や技術力に長けた会社です。

譲受側企業の概要

新会社の株式を取得したのは、日本の有名企業・明治ホールディングスです。食品・薬品事業などを抱えるグループ企業であり、2018年3月期の売上高は1兆2,408億60百万円(連結)、従業員の数は16,296人です。

M&Aの目的・背景

明治ホールディングスがM&Aによる株式の取得を行った目的は、次の通りです。

  • 感染から治療までのサポート体制をつくること
  • 薬品事業を通じたワクチン製造の強化と海外への供給
  • 動物用医薬品事業の競争力を高める
  • 業界の流れに合わせたバイオ医薬品の研究・開発の加速化

このようなビジョンを構築した理由は、薬剤耐性菌がもたらす死亡率の上昇や、バイオ医薬品の使用が高まる予測に基づきます。

そこで、明治ホールディングスは、ワクチン・バイオ医薬品の開発力・技術力を持った化血研の事業を買収し、企業価値の上昇を狙ったのです。

M&Aのプロセス・スキーム

設立する新会社に、化血研の事業が承継されます。事業の承継は現物出資が採用されており、明治ホールディングスなどによって、熊本県に買収会社が設立されます。

この買収会社が新会社の普通株式をすべて取得し、両社は合併を行い新会社を存続会社として残すのです。

合併した新会社の議決権は、明治ホールディングスが49%、熊本企業グループも49%、熊本県が2%という割合です。

ハウス食品グループがマロニーを買収

5つ目の具体例は、ハウス食品グループ本社株式会社による買収です。ハウス食品グループは、2017年7月に、マロニー株式会社の株式取得を決めました。

この買収により、マロニーはハウス食品グループの子会社となります。

譲渡側企業の概要

株式を譲渡したのは、日本のマロニー株式会社。取り組む事業は食品の製造業で、製造食品には有名な「マロニー」があります。大阪に本社を置き、従業員162人で事業を営んでいます。

譲受側企業の概要

株式を取得した企業は、日本の大企業・ハウス食品グループです。グループ企業として、香辛料の輸入・製造・販売や、調味加工品の販売、健康食品の製造・販売、海外向け食品の輸出・販売業などを運営しています。

資本金は99億4,832万円(2017/03/31現在)、従業員数は連結で6,248人です(2017/03/31現在)。

M&Aの目的・背景

ハウス食品グループがM&Aを行った理由は、自社が掲げる目標には健康的な食品「マロニー」が不可欠だと判断をしたためです。

また、ハウス食品グループは、自社の技術や開発力、マーケティングを活用することで、更なる価値を付与できると考えました。「マロニー」の価値を高めることによる、国内外での成長を見込んでいるのです。

8. なぜ?M&Aに失敗するケースの特徴

M&Aに失敗するケースの特徴

たくさんの成功事例を見てきましたが、M&Aが失敗に終わってしまうケースも少なくありません。では、どのようなことが失敗につながるのでしょうか。

具体的には次のようなことが、失敗の原因とされています。
 

  • 成約前に条件を変更してしまった
  • 株式の管理を怠っていた
  • 議事録を作成していない
  • 株主と役員の反発
 
  • 不適切なデューデリジェンス
  • デューデリジェンスで発覚した問題の放置
  • 不確かな経営戦略
  • 簿外債務の存在
 
  • 交渉期間内で起きた業績の悪化
  • 法に反した経済活動を続けている
  • 買収によって起こる取引先の喪失
  • 買い時、売り時を逃す

【関連】M&Aのスケジュールを解説!【買収までの流れ・手順】

9. M&Aの失敗事例10選!

M&Aの失敗事例10選!

M&Aで起こった実際の失敗例を紹介します。10の事例から、どのような原因で失敗に至ったのかを、確かめてみましょう。

①丸紅が米穀物大手ガビロン買収後経営不振

失敗事例のひとつ目は、丸紅株式会社が行った買収です。2013年の7月にアメリカのGavilon Holdings, LLC(以下、ガビロン社)が持つ2つの事業を、持分譲渡契約で取得しました。

譲渡側企業の概要

事業を譲渡した企業はアメリカのガビロン社で、穀物や肥料、エネルギーの仲介を行っています。2011年12月期の売上高は連結で、17,852.2百万米ドルです。

譲受側企業の概要

事業を買収したのは、日本の有名企業・丸紅株式会社です。食料や、繊維・資材、紙パルプ・化学品などの輸出入を中心に事業を展開する大企業です。

丸紅株式会社は、66の国と地域に130の拠点を持ち、4,458人の従業員数(2017/03/31現在)が働いています。

損失額

丸紅は2015年3月期の決算(連結)で、1,200億円の減損損失を出しています。

M&A失敗の要因

失敗の要因は、中国への穀物輸出に制限が加えられた点にあります。中国は、丸紅とガビロン社による市場の寡占化を危惧していました。両社が手を組めば、中国国内での穀物の安定供給に陰りが見えはじめます。

そこで、中国商務省は丸紅のガビロン社買収を許可する代わりに、大豆の輸入と販売業務を独立して行うことを命じました。

そのため、ガビロン社は中国での事業が思うように運ばず、事業が持っていた価値を下げる結果となったのです。

②LIXILの独グローエ買収

2つ目の具体例は、株式会社LIXILによる買収です。2017年の1月に、ドイツのグローエ社の株式を取得しました。取

得した株式は87.5%で、この買収により、LIXILはグローエ社とその子会社・ジョウユウを関連会社としています。

譲渡側企業の概要

株式を譲渡した企業は、有名なドイツのグローエ社です。従業員はおよそ9,000人。水栓金具メーカーの中では、ヨーロッパで一番の規模を誇ります。高い品質とデザイン性が特長で、130を超える国々で製品を販売しています。

譲受側企業の概要

株式を取得した企業は、日本の有名企業・株式会社LIXILです。2001年に設立した会社で、住宅やリフォーム、設備、建材関連の事業を行っています。資本金は34,600百万円で、従業員の数は16,638人です。

損失額

ジュウユウの不正会計による損失額は、2014年3月期から2016年の3月期までで、およそ660億円と報告されています。

M&A失敗の要因

買収が失敗に終わった原因は、リスク管理の不備にあります。LIXILは買収によって、グローエ社とその子会社・ジョウユウを取り込みました。

ジョウユウは中国人がトップを務めています。中国ではトップによる不正会計が横行しているため、このような企業を買収する場合は、徹底した調査が必要でした。

しかし、グローエ社は子会社の調査を怠り、ジョウユウを子会社としました。そこへ、LIXILが買収に乗り出し、買収先の子会社が抱える不正会計をそのまま取り込み、多額の損失を被ったのです。

③キリンのスキンカリオール買収

3つ目の具体例は、キリンホールディングス株式会社による買収です。2011年にブラジルのスキンカリオールを買収しました。

スキンカリオールの株式を所有するアレアドリ社の株をすべて買収し、これによりキリンはスキンカリオールを子会社となりました。

譲渡側企業の概要

子会社となった企業ブラジルのスキンカリオールは、ビール・清涼飲料業を営む企業で、ブラジル国内でのビールのシェアは2位、炭酸飲料では3位のシェアを誇ります。

譲受側企業の概要

株式を譲り受けた企業は、日本の有名企業・キリンホールディングス株式会社です。国内外で飲料事業を展開しており、従業員の数は連結で、31,033人です(2018/03/29現在)。

損失額

譲り受けた事業の価値を見直した結果、減損損失は約1,412億円に達すると報告しています。

M&A失敗の要因

キリンがM&Aに失敗した要因は、ブラジルの景気が落ちんだことによる消費の減少や、ライバル企業との競争が激しくなったこと、ブラジルの通貨が安くなったことがあげられます。

これにより売上が減少し、事業の価値を再評価したところ、大幅な評価損を計上する事態となったのです。

④日本郵政のトール・ホールディングス投資

4つ目の具体例は、日本郵政による買収です。2015年の5月に、オーストラリアのトール社の株式をすべて取得しました。この買収によって、日本郵政はトール社を子会社としています。

譲渡側企業の概要

株式を譲渡した企業は、オーストラリアのトール社です。メルボルンに本社を置き、物流事業を展開しています。資本金が2,977百万豪ドルで、2014年6月期の純資産は連結で2,733百万豪ドルです。

譲受側企業の概要

株式を取得した企業は、日本郵政。日本のグループ企業で、郵便・銀行・生命保険業を行っています。資本金は資本金3兆5,000億円、従業員数は2,422名(2018/03/31現在)です。

損失額

日本郵政の損失額は、2017年3月期で4,003億円でした。赤字は、400億円です。

M&A失敗の要因

日本郵政の買収が失敗に終わった要因は、資産価値の正しい評価ができていなかった点です。

中国やオーストラリアの経済が低迷したことや、固定費のコストが削減できなかったことで、資産価値が見直され、4,003億円の特別損失を計上するに至りました。

⑤第一三共の印ランバクシー買収

5つ目の具体例は、第一三共株式会社による買収です。インドのランバクシー社の株式のうち、63.9%を取得しています。

株式の取得にあたっては、公開買付け・第三者割当増資・新株予約権のほか、創業者一族からも株式を買い取りました。

譲渡側企業の概要

株式を譲渡した企業はインドのランバクシー社、デリーなどに拠点を構える製薬会社です。ジェネリック医薬品の開発・製造・販売を行っています。

ランバクシー社は、国内外に製造拠点や子会社を置き、約12,000人の従業員を抱えています。

譲受側企業の概要

株式を取得した企業は、日本の第一三共です。有名な製薬会社で、医薬品の研究・開発・製造・販売事業を営んでいます。資本金は500億円で、グループ全体の従業員は、およそ15,000人です。

損失額

第一三共は、2009年3月期に、3,500億円の評価損が出たことを報告しています。

M&A失敗の要因

第一三共が買収に失敗した要因は、ランバクシー社の医薬品に輸入禁止の命令が出たことです。医薬品のデータ管理に問題が見つかり、米国食品医薬品局から指摘を受けてしまいました。

以前にも抗生物質の扱い方に問題があるとして、同局から問題点を指摘されていたものの、改善には至っていなかったのです。

輸入禁止は第一三共が買収を発表した後だったため、多額の減損損失を強いられたのです。

⑥セブン&アイ・ホールディングスのニッセン買収

6つ目の具体例は、2016年に行われたセブン&アイ・ホールディングスによる、株式会社ニッセンホールディングスの買収です。セブン&アイは、ニッセンの株式をすべて買い取り、完全子会社としました。

譲渡側企業の概要

株式の交換に応じた企業は、日本の株式会社ニッセンです。女性向けの衣料品や雑貨の通信販売を中心に、レディース服の店舗販売なども行っています。

譲受側企業の概要

株式を取得した企業は日本のセブン&アイ・ホールディングス、有名な持ち株会社で、コンビニ・スーパー・デパート・飲食・金融サービス事業などを傘下に収めています。

グループの売上高は、11兆482億1千5百万円(連結・2018/02期)。149,414人(連結・2018/02末現在)もの従業員を雇用する大企業です。

損失額

2016年2月期におけるセブン&アイの通信販売事業は、84億51百万円の営業損失を計上しました。

M&A失敗の要因

セブン&アイの買収が子会社化に失敗した要因は、カタログ通販の行き詰まりにあります。

購入時機を逸したカタログの配布や不十分な品ぞろえ、ファストファッションの台頭によるブランド価値の喪失などにより、通販事業は赤字が続いていたのです。

さらに、親会社であるセブン&アイの力もうまく使えていなかったことも要因のひとつであり、オムニチャネルの戦略に加われずにいたため、相互利用の顧客を獲得することができなかったのです。

⑦マイクロソフトのノキア買収

具体例の7つ目は、マイクロソフトによる買収です。2014年に、フィンランドのノキアから携帯電話の事業を買い取りました。買収額はおよそ72億ドルです。

譲渡側企業の概要

事業を買収した企業は、フィンランドのノキア。主な事業は、携帯電話の通信設備、IoT、ネットワークサービスなどです。

譲受側企業の概要

事業を買い取った企業はアメリカのマイクロソフト、ソフトウエアやタブレット端末などの開発と販売を手掛けている有名企業です。2017年6月期の売上高は、233.2億ドルです。

損失額

マイクロソフトが買収した携帯電話事業は、2015年におよそ76億ドルの評価損を計上しました。

M&A失敗の要因

マイクロソフトが買収に失敗した要因は、スマートフォンの市場シェアが低かったことにあります。

3%の市場シェアにより赤字が続き、マイクロソフトは携帯電話事業を売却し、買収したノキアを手放しています。

⑧パナソニックの三洋電機買収

具体例の8つ目は、パナソニックが三洋電機を買収した事例です。2009年に株式公開買付けにより、三洋電機を連結子会社としました。

譲渡側企業の概要

株式を譲渡した企業は、日本の三洋電機株式会社です。取り組む事業は、電気・電子機器の製造と販売です。

譲受側企業の概要

株式を取得した企業は日本のパナソニック株式会社で、展開する事業は家電・住宅・車載・B2B事業です。グループ会社は592社で、従業員数は274,143人です。

損失額

パナソニックは、2012年3月期の連結決算で7,721億円の赤字を計上しました。

M&A失敗の要因

パナソニックがM&Aに失敗した要因は、リチウムイオン電池事業の価値が下がったことです。

円高とウォン安により、リチウムイオン電池の価値が3割ほど下落してしまい、赤字が続きました。

さらに、三洋電機との間で利用できる技術が少なかった点も、買収が失敗に終わった要因に挙げられます。

⑨古河電工のルーセント・テクノロジーズ買収

具体例の9つ目は、古河電気工業株式会社による買収です。古川電工は、2001年にアメリカのルーセント・テクノロジーズから光ファイバ部門を買収しました。

譲渡側企業の概要

事業を譲渡した企業は、アメリカのルーセント・テクノロジーズです。アメリカのAT&Tから独立した企業で、情報・通信業を展開していました。

譲受側企業の概要

事業を買収した企業は、日本の古河電気工業株式会社です。資本金は694億円、従業員数は52,254人(連結・2017/03末現在)です。

展開する事業は、エネルギー伝送や、光ファイバに代表される通信事業、自動車・電子部品の開発事業などです。

損失額

古河電工は、2004年3月期に1,000億円の評価損を計上しました。

M&A失敗の要因

古川電工が買収に失敗した要因は、北米エリアの不況が考えられます。光ファイバによる通信が好調だったため、3年の間に900億円もの設備資金を投じました。

しかし、不況に陥ったことで、2002年に多額の赤字を計上してしまったのです。獲得した光ファイバ事業は買収してから、4期続けて赤字を出していました。

⑩富士通のICL買収

10例目の具体例は、富士通によるICLの買収です。1990年に1,890億円で買収し、ICLを完全子会社としました。

譲渡側企業の概要

譲渡した企業は、イギリスのICL。国策IT企業で、3社が合併して誕生しました。

譲受側企業の概要

買収した企業は日本の富士通株式会社、展開する事業は、PCや携帯電話の製造・販売、電子部品、ITを利用したソリューションなどのICTサービスです。

2017年度の売り上げは連結で、4兆983億円。従業員数は、140,365名(連結・2018/05/31現在)となっています。

損失額

富士通は2007年3月の単独決算で、約2,900億円の評価損が出たことを発表しています。

M&A失敗の要因

富士通の買収が失敗した要因は、純資産の低下と子会社事業の上場を中止したことです。ドイツ企業や、北欧ビジネスの買収などを続けた結果、純資産が著しく低下しました。

それでも、買収した子会社を上場すれば、株式の売却益が得られるため、投資簿価を下回ることはないと捉えていたのです。

しかし、海外にITサービスを広げるためには、子会社として抱える方が得策と判断し、上場を見送ったため約2,900億円の評価損を計上したのです。

10. M&Aの成功にはM&A仲介会社のサポートが不可欠

M&Aの成功にはM&A仲介会社のサポートが不可欠

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11. まとめ

まとめ

買収・合併を成功させるには、買収前の準備はもちろん、買収後にも気をつけておく点があります。これから買収や合併に取りかかる場合は、失敗した実例にも目を通しておくようにしましょう。

また、M&Aで会社の売却を考えるなら信頼できる仲介業者を探すことも重要です。仲介業者を選ぶときは、自社に合った企業を紹介してくれる・費用が抑えられる・経験豊富なスタッフがついてくれることなどを押さえておきましょう。

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