M&A成功事例25選!【2020年最新版】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

今回は、M&Aの成功事例を25ケースに厳選して紹介します。日本・海外の企業がM&Aに成功した事例のポイントをまとめました。近年の事例や大企業・中小企業が行った買収のほか、日本と世界におけるM&Aの相違点や買収・合併の目的や失敗事例なども取り上げています。

目次

  1. M&Aの事例~世界と日本それぞれの特徴~
  2. M&Aの目的とは?
  3. 近年のM&A成功事例5選!【2020年最新版】
  4. M&A成功事例5選!~日本の大企業のシナジー効果〜
  5. 日本のM&A成功事例5選!~大企業の大型買収〜
  6. 中小企業のM&A成功事例5選
  7. 2017年度の主なM&A事例
  8. なぜ?M&Aに失敗するケースの特徴
  9. M&Aの失敗事例10選!
  10. M&Aの成功にはM&A仲介会社のサポートが不可欠
  11. まとめ
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1. M&Aの事例~世界と日本それぞれの特徴~

M&Aの事例~世界と日本それぞれの特徴~

出典:https://pixabay.com/ja/%E7%96%91%E3%81%84-%E8%82%96%E5%83%8F%E7%94%BB-%E7%96%91%E5%95%8F-%E8%80%83%E3%81%88-%E6%80%9D%E3%81%86-%E6%80%9D%E8%80%83-%E4%BA%BA-%E5%8F%8D%E6%98%A0-%E7%94%9F%E6%B4%BB-2072602/

世界と日本では、実行されるM&Aに関して相違点が見られます。ここでは、世界および日本の企業がこれまで行ってきたM&A事例を踏まえたうえで、それぞれに見られる近年の特徴についてまとめました。

世界のM&A

リフィニティブのデータによると、2019年の第3・四半期における世界のM&A総額は7,290億ドルを記録しており、前年比で16%減少しています。四半期ベースで見ると、2016年以降のデータで過去最低の記録です。

とはいえ、2019年通年のデータを見ると、世界のM&A総額は3兆8,000億ドル(約414兆5,000億円)に達しており、過去4番目の高水準となっています。

また、トムソン・ロイター社の調査によると、2018年の上半期に取引されたM&Aの買収額は総額2兆5,000億ドル・M&A件数は23,050件を記録しており、2017年上半期のデータと比べて10%低い値でした。

しかし、2018年の増加額は近年稀に見る上昇率となっており、2018年の上半期は2017年同期と比べて61%の増加が見られます。このデータは、トムソン・ロイター社による調査開始以来の数字です。

このように、直近の推移を見ると、M&Aは世界規模で盛んに実施されているといえます。

近年はクロスボーダーのM&Aが増加

2018年上半期におけるクロスボーダーM&A(他国の企業を対象としたM&A)の取引額は、総額で約1兆ドルと報告されています。

2017年同期と比べて84%増加したほか、M&Aに占めるクロスボーダーM&Aの割合は41%という高い値を記録しており、2007年同期に記録した44%に迫る数値でした。

近年は世界的にM&Aが活発に行われていますが、中でもアジアの新興国を対象とした買収事例が増加傾向にあります。アメリカが主流だったM&Aの動きは、ヨーロッパから太平洋側のアジア地域に移行している状況です。

日本のM&A

2019年における通年の日本企業が関わったM&Aを見ると、金額ベースで18兆295億円を記録しており、前年比では38.5%減少しています。ただし、件数ベースで見ると4,088件を記録しており、前年比で6.2%増加したほか3年連続で過去最多の数を更新しました。

前年である2018年上半期のデータを見ると、約25兆6,000億円と過去最高の数字を記録しており、2017年の同期と比べると約260%もの増加を記録しています。

2018年上半期に行われたM&A案件は2,025件であり、2017年同時期と比較して15.3%増加しました。また、10億ドル程度の大型事例は23件行われており、2017年同時期と比較すると約522%増加しています。

近年は取引額や案件数の増加が目立っており、2017年度は2015〜2016年に比べて取引額が落ち込んでいたことも増加が顕著に表れた要因です。

上記要因があるにも関わらず、2018年度の上半期のみで、2015〜2016年の取引額を上回っています。つまり、2018年の上半期のみで、1年分の取引額を超える買収・合併が行われていたのです。

買収・合併対象はヘルスケアと電気通信分野に集中

日本のM&Aにおける買収・合併対象はヘルスケアと電気通信分野に集中しており、2つの事業のみで全体の半分を超える年も記録されています。

特に製薬関連のM&Aが活発化
しており、2019年にはアステラス製薬が米バイオ企業のオーデンテス・セラピューティクスを3,200億円で買収しました。そのほか、大日本住友製薬・旭化成・富士フイルムホールディングスの3社は、米欧企業に対して大型買収を実施しています。

上記以外の買収・合併対象分野は、ハイテクやエネルギー分野・電力分野・不動産分野などです。

ベンチャー企業を対象とするM&A件数の増加

近年は、ベンチャー企業を対象とするM&A件数も増加傾向にあります。

2019年のデータを見ると、日本企業が関わったM&A件数のうちベンチャー企業を対象にしたM&A件数は1,375件であり、全体の3割を占めました。

このようにベンチャー企業のM&Aが増加する要因としては、後継者不在問題の深刻化や、ベンチャー企業のイグジット戦略としてIPOではなくM&Aを狙うケースが増えていることなどが挙げられます。

【関連】M&Aの件数は1年でいくつ?2017年の件数は過去最高!

2. M&Aの目的とは?

M&Aの目的

出典:https://pixabay.com/ja/%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E7%BD%B2%E5%90%8D-%E5%A5%91%E7%B4%84-%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-%E5%8F%96%E5%BC%95-%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF-%E6%89%8B-962355/

企業は、自社の利益を獲得・保護するためにM&Aを行います。とはいえ、買い手と売り手ごとに、どのような目的があるのか詳しく把握しておきたい経営者は多いです。

ここでは、M&Aの目的について、買い手・売り手ごとに解説します。

買い手側の目的

M&Aを使って買い手が買収を行う代表的な目的には、以下の3つが挙げられます。
 

  1. 規模の経済
  2. 範囲の経済
  3. 多角化経営

それぞれの項目を順番に見ていきます。

買収側の目的①規模の経済

買い手が望む目的のひとつに、規模の経済があります。簡単にいうと、多くの製品を作って製造にかける費用を抑えることがM&Aのひとつの目的です。

生産費用を抑えられれば多くの収益が得られるため、企業は同業他社の買収・合併を画策します。買収・合併される企業は、同業他社の中でも、自社のエリア外で小規模の会社が対象となりやすいです。

同業でエリア外の会社を買い取ると、企業が所有する生産・販売エリアを拡大できます。規模の小さい会社であれば数社まとめて買い取ることも可能であり、規模の経済を実現しやすいです。

買収側の目的②範囲の経済

2つ目の目的は、範囲の経済の獲得です。範囲の経済とは、ひとつの企業が複数の製品・サービスを生産した方が、別々の企業でひとつひとつ作るよりも、コストや無駄を抑えられることを意味します。

ひとつの企業で生産を行えれば設備や資源の共有が図れるため、近年ではこれを目的に買収と合併を行う企業も多いです。

中間素材などの製造が自社で賄えることも目的のひとつとなり、他社への依頼費用や運搬時間のロスを減らすために他社を買収するケースもあります。

買収先企業にはいわば自社の川上・川下に位置する会社を選ぶケースが多く、資源調達・研究開発などを強化したり販売部門を新たに加えたりして企業の垂直統合を図る仕組みです。

買収側の目的③多角化経営

3つ目に挙げられる目的は、多角化経営です。新しい事業を始めるときに、M&Aによって既存の企業・事業を買収すれば、新規参入にかかる費用・時間・リスクを減らせます。

エリア外や海外への進出では、土地の風土・ルール・許認可などの問題に悩まされるケースが多いです。ゼロから事業を始めると、多大なコストの支払いを余儀なくされることもあります。

買収を行い進出先で事業を営む企業を獲得できれば、短期間で人材やノウハウを得ることが可能です。
 

売り手側の目的

会社や事業の一部を売却する企業は、どのような目的で会社を手放すのでしょうか。一般的に売り手側は、以下4つの目的からM&Aを行っています。
 

  1. カーブアウト
  2. 事業承継
  3. 会社の存続
  4. 売却利益の獲得

それぞれの目的を順番に解説します。

売却側の目的①カーブアウト

売却する企業の目的のひとつに、カーブアウトがあります。カーブアウトとは、子会社や事業の一部を切り離して、新しい会社をつくる経営戦略です。

大企業の場合は、子会社・事業のさらなる成長を求めるために、会社などの譲渡が行われます。会社を独立させることで新しい資本や経営陣が加わるため、所有する技術・ノウハウの正当な価値を引き出せるのです。

カーブアウトは、新会社創設のほか、ノンコア事業を切り離すときにも活用されます。事業の選択を行って人材・設備・得られた売却益をコア事業に集中させることも、目的のひとつです。

売却側の目的②事業承継

売却する目的の2つ目は、事業承継です。今後の経営を任せる人材が見つからない場合、M&Aによる事業承継を行い第三者へ会社を譲ることで、会社を引き継ぐことができます。

親族内での承継が難しい場合にも、M&Aを利用した事業承継は活用可能です。子どもや親族に経営権を譲ると個人保証や相続税などの負担がかかるため、身内で引き継ぎを希望する人物が現れないケースも少なくありません。

親族内で後継者が見つからないケースでは、第三者に会社を売却する事業承継が有効策となります。

売却側の目的③会社の存続

売り手側が望むM&Aの目的には、会社の存続も挙げられます。資金力に乏しい中小企業の中には、たとえ優れた技術やノウハウがあっても、実際の利益につなげられていないケースも少なくありません。

会社を売却してグループ企業として大企業の傘下に加われば、大手の資本を利用可能です。

必要な資金が得られれば研究開発や特許技術に活かせるため、財務状況の改善も見込めます。

売却側の目的④売却利益の獲得

売却利益そのものの獲得も、売却を希望する経営者の目的となるケースがあります。M&Aによる売却は会社や事業を買い手に譲り渡す取引であるため、売り手は売却利益を獲得可能です。

ここで獲得した売却利益は引退後の生活資金として活用できるほか、他の事業への投資資金に充てることもできます。

最近では一般的なサラリーマンの定年よりも早いタイミングで引退を希望する経営者が増加傾向にあり、売却行為による創業者利益の獲得を狙って自社および自社事業を売却する経営者も多いです。

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3. 近年のM&A成功事例5選!【2020年最新版】

近年のM&A成功事例5選!【2020年最新版】

ここでは、近年行われたM&Aの成功事例を5つ取り上げて紹介します。
 

  1. 村田製作所による米のベンチャー企業の買収
  2. 味の素によるトルコの食品会社の買収
  3. 第一生命による豪州大手の生命保険会社の買収
  4. シャープによる東芝パソコン事業の買収
  5. 旭化成による米のセージの買収

それぞれの事例を詳しく見ていきます。M&Aを希望する経営者は、具体例を参考にしつつ国内外の企業を対象としたM&Aを学んでおきましょう。

M&A成功事例①〜村田製作所による米のベンチャー企業の買収〜

M&A成功事例の1つ目は、日本の村田製作所が近年に行った買収です。2017年、村田製作所は、アメリカのヴァイオス・メディカルを買収しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は、アメリカのヴァイオス・メディカルです。医療機器の開発を手掛けるベンチャーであり、IoTを駆使した院内・患者の監視システムや胸部に取りつけるワイヤレスセンサーの開発(呼吸数・心拍数・姿勢などのモニター)を行っています。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は、日本企業である株式会社村田製作所です。主にセラミックスを用いた電子部品の研究・製造・販売などを行っています。

会社の売上高は1,534,045百万円 (連結:2020年3月期)であり、従業員を74,109名 (連結:2020年3月31日現在)抱える大企業です。

M&Aの目的・背景

村田製作所が行ったM&Aの目的は、安定した収入の獲得にあります。村田製作所が取り組む電子部品業は市場の影響を受けやすいため、収益が安定している医療機器の会社・ヴァイオス・メディカルの買収を行いました。

M&Aのプロセス・スキーム

2017年、村田製作所は、買収のために114億円を支払ってヴァイオス・メディカルを完全子会社しました。

M&A手法は現地の子会社を通じた買収・三角合併であり、ヴァイオス・メディカルの大株主は売却を受け入れる代わりに、所有する自社株50万株強(およそ29億円)分の現金を得ています。

主要製品と見込まれる医療用の小型センサーは、米食品医薬品局(FDA)から製造認可を受けたばかりであり、数年後の販売を目標としたために買収時点ではインドなどの現場で試験を実施している状況です。

M&A成功事例②〜味の素によるトルコの食品会社の買収〜

2つ目に紹介するM&A成功事例は、味の素が近年に行った買収です。味の素は、トルコにある2社の食品会社を買収しており、合計3つの会社を統合しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は2つあります。1社目はキュクレ食品社であり、トルコで液体調味料やピクルスなどの製造・販売を手掛けている会社です。

2社目の企業はオルゲン食品社であり、粉末調味料・粉末スープ・デザートなど加工食品の製造や販売を行っています。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は、日本企業である味の素株式会社です。有名な味の素をはじめとする調味料のほか、インスタント食品・飲料・健康食品などの製造・販売を行っています。

味の素株式会社は35の国・地域に事業所を置いており、従業員数は34,504名 (連結:2019年3月31日時点)、2019年3月期の売上高は1,127,483百万円です。

M&Aの目的・背景

日本の大企業である味の素がM&Aを行った目的は、トルコを中心とした事業の拡大にあります。キュクレ食品社・オルゲン食品社の販売網や収集・解析したマーケティングを利用して、事業の強化を図りました。

また、自社技術を活用した新製品開発のほか、中東エリアに向けた商品の輸出力向上も狙っています。

2018年7月、買収したキュクレ・オルゲンおよび、イスタンブールの味の素食品販売会社の統合を行いました。

M&Aのプロセス・スキーム

トルコでの事業拡大を目指した味の素は、2013年にはキュクレ食品社の株式を50%、2017年8月には100%の株式を取得しました。

2017年の4月にはオルゲン食品社の株式を100%取得しており、同じく子会社化しています。このように見ると、味の素は統合に向けた準備を着々と進めていたのです。

味の素は、M&Aによる事業の規模への影響について、2020年に100億円越えを想定しています。

M&A成功事例③〜第一生命による豪州大手の生命保険会社の買収〜

3つ目に取り上げる近年のM&A成功事例は、第一生命の豪州子会社・TAL Dai-ichi Life Australia Pty Limited(以下、TALという)による、豪州のSuncorp Group Ltd社の買収です。

TALによりSuncorp Life & Superannuation Limitedの買収が行われており、本件買収で支払った対価は総額約725百万豪ドルと報告されています。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は、豪州のSuncorp Group Ltdです。生命保険および、その関連事業を展開しています。

設立は1996年の7月であり、2017年6月期に保険料などから得た収入は約804百万豪ドルでした。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は、豪州のTALです。日本企業である第一生命ホールディングスの子会社であり、生命保険や保険事業などを行っています。

2011年に資本金1,630百万豪ドルで設立されており、2017年3月期に保険料などから得た収入は約2,593百万豪ドルです。豪州の保険市場において、1位のシェアを誇っています(2018年3月末時点)。

M&Aの目的・背景

TALがM&Aを行った目的は、生命保険の商品数増加と販売経路の拡大にあります。Suncorp Life & Superannuation Limitedは豪州Suncorp Group Ltdのグループ企業であり、生命保険業を中核事業として展開していました。

自社の商品や自社の販売網では成長に限界があると判断して顧客の細かい要望に応えるため、Suncorp Life & Superannuation Limitedの買収を行っています。

M&Aのプロセス・スキーム

買収では、TALによってSuncorp Group Ltdの連結子会社であるSuncorp Life Holdings Limitedが持っているSuncorp Life & Superannuation Limitedの全株式を買い取りました。

また、Suncorp Group Ltdとは、20年間の販売提携契約を結んでいます。

M&A成功事例④〜シャープによる東芝パソコン事業の買収〜

近年に行われた4つ目の成功事例として、シャープが、東芝の子会社・東芝クライアントソリューション(以下、TCSという)を買収した事例を取り上げます。買収発表は2018年の6月であり、シャープは東芝が所有するTCSの株式80.1%を4,005百万円で買い取りました。

本件買収により、シャープはTCSを子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業であるTCSは東芝の子会社であり、パソコン・ソリューションシステム事業を国内外で展開しています。

買収前となる2017年度の売上高は1,673億円(連結)、従業員数は2,400名(連結:2017年4月1日時点)です。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は日本企業であるシャープ株式会社です。電子通信・電子機器・電子部品の製造と販売を行っています。

国内外の関連会社を含めた従業員数は52,422名、2019年3月期の売上高は2,400,072百万円(連結)です。

M&Aの目的・背景

シャープがM&Aを行った目的は、自社の持つAIoTプラットフォームの強化にあります。

TCSが開発・提供するパソコン機器やサービスとシャープのAIoT技術との組み合わせによって、世界市場におけるシェア獲得を目指しているのです。

M&A成功事例⑤〜旭化成による米のセージの買収〜

近年に行われた成功事例の5つ目として、旭化成によるアメリカのセージ・オートモーティブ・インテリアズの買収を取り上げます。

2018年、旭化成は、セージ・オートモーティブ・インテリアズの株式を所有するアメリカの投資会社クリアレイク・キャピタルから全株式を取得しました。買収額は、利子付きの負債を加えて1,060百万ドルと発表されています。

譲渡側企業の概要

譲渡企業であるアメリカのセージ・オートモーティブ・インテリアズは、革素材を中心に車内インテリア事業を手掛ける会社です。

デザイン・品質・機能性に優れた製品を提供しており、織物・編物で作られたシートでは世界一のシェアを誇っています。

買収前となる2017年12月期の売上高は474.9百万ドル、従業員数は約2,200名(連結・2018日3月31日時点)です。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は日本の旭化成株式会社であり、国内外に事業所を置く大企業です。住宅・建材・繊維・エレクトロニクス事業を展開するほか、新薬・医療機器や関連する医療機器のシステム開発も手掛けています。

2019年度3月期の売上高は2,170,403百万円、従業員数は2019年3月31日時点で39,283人です。

M&Aの目的・背景

旭化成がM&Aを行った目的は、マテリアル事業の拡大にあります。自動車産業は今後も成長するという判断のもと、中長期計画で掲げた自動車メーカーとの関係強化を求めていました。

こうした状況の中で、セージ・オートモーティブ・インテリアズを買収しています。対象事業を取り込むことで自動車市場の動きをいち早く掴むほか、自動車内装に自社の素材・技術を加えることで付加価値の高い製品・サービスを提供する狙いです。

M&Aのプロセス・スキーム

旭化成はセージ・オートモーティブ・インテリアズへ働きかけ、交渉により買収を成功させています。

2017年10月から交渉を進め、2018年7月に合意に至りました。買収が交渉で行われた理由は、従来から取引関係にあったためとされています。

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4. M&A成功事例5選!~日本の大企業のシナジー効果〜

M&A成功事例5選!~日本の大企業のシナジー効果

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ここでは日本の大企業が行ったM&Aから、シナジー効果を生んだ5つの事例を紹介します。企業買収では、販売ノウハウ・販売網・設備などを共有するほか大量生産によるコストダウンを図れるため、お互いの企業に利益がもたらされるケースが多いです。
 

  1. JTによる買収
  2. 日本電産による買収
  3. 楽天による買収
  4. ソフトバンクグループによる買収
  5. 大正製薬による買収

それぞれの事例を詳しく見ていきます。

M&A成功事例①~JTによる買収〜

日本の大企業がM&Aによるシナジー効果を得られた事例のひとつに、JTによる買収が挙げられます。

大企業であるJTは、1999年に米RJRナビスコの米国外たばこ事業を買収したほか、2007年にはイギリスのギャラハーをM&Aによって獲得しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業の1社目はアメリカのRJRナビスコホールディングスであり、たばこをはじめスナック・ビスケットなど食料品の製造・販売を行う会社です。

2社目はイギリスのギャラハーであり、タバコの製造・販売事業を展開してヨーロッパ・アフリカ・中央アジアなどで販売していました。買収当時は、紙タバコの販売数で世界第5位に位置していた大企業です。

譲受側企業の概要

JT(日本たばこ産業株式会社)は、たばこ事業を中心とする日本の大企業です。海外に数多くの子会社を置いており、従業員を61,975名(連結:2019年12月31日時点)抱えています。

紙タバコにおける世界シェアは第4位であり、日本では第1位です。2019年度の売上収益は、2兆1,756億円と発表されています。

M&Aの目的・背景

アメリカおよびヨーロッパ市場で買収を行った目的は、市場とシェアの拡大にあります。海外の既存企業を買収してブランド力・販売網・ノウハウなどを共有することで、コスト削減や自社のブランドと技術との融合によるシナジー効果獲得を狙いました。

近年は電子タバコへの進出が遅れたことで株価の低迷を受けていたため、海外市場のブランド強化や新興市場におけるシェア獲得に狙いを定めています。

2016年から2017年にかけては、アメリカのNatural American SpiritやロシアのJSC Donskoy Tabakを買収しており、高価格帯・低価格帯の市場を強化しました。

新興市場に対しては、エチオピア・インドネシア・フィリピン・バングラデシュなど、アフリカ・東南アジアにおけるシェア獲得を図っています。

M&A成功事例②~日本電産による買収〜

シナジー効果を生んだ2つ目の成功事例として、2017年に日本電産が行ったEmerson Electric Co.のモータ・ドライブ・発電事業の買収を取り上げます。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業であるアメリカのEmerson Electric社は、電気や電子部品の開発・製造・販売を手掛けています。

産業向けのほか一般向けにもサービスを提供しており、売上高は2015年9月期時点で22,304百万ドルです。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は日本電産株式会社であり、小型・大型モータや精密機器や電子部品などの製造・販売を行う大企業です。

1980年代からM&Aを実施しており、自社の技術力と買収によって業績を伸ばしてきました。2018年3月期の売上高は1兆4,754億36百万円(連結:2019年3月期)、従業員数は108,906名(連結:2019年3月末時点)です。

M&Aの目的・背景

Emerson Electric Co.の事業を買収した目的は、産業・商業用事業の成長力向上にあります。本件買収前には2社の企業を買い取っており、世界市場において基盤を固めて取扱い製品の拡充を行っていました。

本件買収も、成長戦略を進めるための買収といえます。Emerson Electric Co.は、ヨーロッパと北米に強固な地盤を持つ企業です。

買収を実行に移すことで、該当エリアでの販売事業を獲得して、自社製品と絡めた製品の提供と細かなニーズに応えられる体制を整えました。日本電産は、買収を行うことで関連商品の購入によるシナジーを期待したものと見られます。

M&A成功事例③~楽天による買収〜

3つ目の成功事例として、楽天が行った買収を紹介します。2016年、楽天は、フリマアプリサービスを提供するFablicを買収しました。

楽天は、Fablicが発行している株式をすべて取得して完全子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は日本の株式会社Fablicであり、個人間の売り買いをサポートするフリマ型の事業を手掛けていました。

2017年には日本初となるフリマアプリ「フリル」の提供を開始しており、女性が好む商品を多く取り扱うことで若い年齢層から支持を集めていた企業です。

譲受側企業の概要

譲渡側の企業は、日本の楽天株式会社です。楽天市場を中心としたインターネットサービスのほか、金融サービスやスポーツ事業などにも取り組んでいます。

2000年には店頭上場を果たしており、29の国と地域にサービスを提供するなどグローバルな事業展開を進める大企業です。社内の公用語は英語としており、従業員数は20,053名(2019年12月31日時点)と発表されています。

M&Aの目的・背景

楽天がM&Aを行った目的は、個人間取引の事業強化にあります。M&Aに至った背景としては、フリルが抱える客層の獲得があるのです。

楽天はさまざまなジャンルの商品を取り扱っていましたが、特化したジャンルを持っていませんでした。事業拡大には500万人を超えるユーザーと女性の支持が必要と考えたために、フリルを買収したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

楽天は、自社のフリマサービス「ラクマ」と買収した「フリル」の顧客がお互いのサービスを利用することでシナジー効果が得られると期待しました。

楽天の予測は見事に当たり、2017年の流通総額は約1,400億円ほどに達しています。

M&A成功事例④~ソフトバンクグループによる買収〜

4つ目の成功事例として、ソフトバンクグループによる買収を紹介します。2013年、ソフトバンクグループは、アメリカのスプリント・ネクステル・コーポレーションが所有する事業を買収しました。

買収額は約1.8兆円です。M&Aにより、スプリント株の約78%を取得して子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は、アメリカのスプリント・ネクステル・コーポレーションです。携帯電話や長距離通信事業を行っています。買収前の資本金は、6,019百万ドル(2012年12月31日時点)でした。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は日本の大企業であるソフトバンクグループ株式会社であり、自社では事業を行わない純粋持ち株会社です。

子会社が行う事業には、日本やアメリカでの通信事業・インターネット広告・Eコマースなどがあります。従業員数は、76,866名(連結:2019年3月末時点)です。

M&Aの目的・背景

ソフトバンクグループがM&Aを行った目的は、世界における事業基盤の確保と買収事業の強化を図る点にあります。自社の経験を活かせば、アメリカにおけるスプリントの通信事業を強化できると考えました。

ソフトバンクグループは固定通信から移動通信への移り変わりを予測しており、2004年には日本テレコムを、2006年にはボーダフォン日本法人をそれぞれ買収しています。

ソフトバンクグループは、日本で培った経験を海外事業に活かせると踏んでアメリカへの参入を決めたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

ソフトバンクグループはスプリントを買収したことで、日本とアメリカで顧客数トップに躍り出ました(日米合わせた市場)。

移動体通信事業の売上高は世界第3位となっており、2014年3月期の決算では前期に比べて売上高が3,464,115百万円も増加しています。このうち、スプリント買収による効果は、2,601,031百万円です。

また2018年3月期には、売上高を3,601,961百万円まで伸ばしています。以上のことを踏まえると、ソフトバンクグループは買収によりシナジー効果を得ているといえるのです。

M&A成功事例⑤~大正製薬による買収〜

成功事例の5つ目として、2016年に大正製薬がドクタープログラムを買収した事例を紹介します。

本件買収では、株式をすべて取得してドクタープログラムを子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は日本のドクタープログラム株式会社です。美肌をつくる基礎化粧品の開発と販売を手掛けています。買収前である2016年3月期の売上高は1,285百万円であり、従業員数38名の中小企業です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は日本の大正製薬株式会社であり、消費者による健康の維持を目的としたセルフメディケーション事業や新薬の開発・医薬品の販売事業を行う大企業です。

2018年3月期の売上高は192,883百万円、従業員数は2,455人(2019年3月31日時点)と発表されています。

M&Aの目的・背景

大正製薬がM&Aを行った目的は、通信販売・スキンケア事業の拡大にあります。大正製薬は、セルフメディケーション事業を成長させるために、通信販売の拡充を目標に据えていました。

スキンケア事業については、自社のセルフメディケーション事業と既存製品のシェア獲得で培ったノウハウを活かせると判断しています。

対象事業の買収により、短期間での成長が見込めると考えたのです。大正製薬による買収では、販売網やノウハウの共有によるシナジー効果が期待されています。

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5. 日本のM&A成功事例5選!~大企業の大型買収〜

日本のM&A成功事例5選!~大企業の大型買収

次は、日本の大企業が行った大型買収事例を5つ紹介します。M&Aが成功した要因はどのような点にあったのか、買収企業や買収目的などから成功につなげたプロセスを紐解いてみてください。
 

  1. りそな銀行によるAFC Merchant Bankの全株式取得
  2. ソニーによる米国Funimationの子会社化
  3. マネックスグループによるコインチェックの買収
  4. ビックカメラによるエスケーサービスの完全子会社化
  5. 住友重機械工業によるイタリアの機械メーカーの買収

それぞれの事例を順番に見ていきます。

M&A成功事例①〜りそな銀行によるAFC Merchant Bankの全株式取得〜

日本の大企業による成功事例の1つ目として、りそな銀行によるシンガポールのAFC Merchant Banの買収を紹介します。本件買収では、すべての株式を取得して子会社化させました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、シンガポールに拠点を置くAFC Merchant Bankです。東南アジアのシンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンの金融会社が中心となり設立されました。資本金は、約5,537百万円です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の株式会社りそな銀行です。株式会社りそなホールディングスの子会社であり、接客を行う店舗は328店・店舗外のATMは553カ所設置しています(2018日8月31日時点)。2019年3月期の業務粗利益は、6,441億円です。

M&Aの目的・背景

りそな銀行が買収を行った目的は、日系企業に対する金融サービスの提供にあります。アジア地域ではインドネシア・シンガポール・バンコック・ホーチミン・上海・香港に事務所を置いていますが、東南アジアまでサポートが行き届いていない状況にありました。

AFC Merchant Bankの買収により、シンガポールを中心に、マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンへの金融サービスを提供しています。

M&A成功事例②〜ソニーによる米国Funimationの子会社化〜

2つ目の成功事例として、ソニー(Sony Pictures Television Networks)が行った買収を紹介します。2017年8月、Sony Pictures Television Networksは、Funimation Productions, Ltd.を買収しました。売却される株式は全体の95%に及び、売却額は約165億円と発表されています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業はアメリカのFunimation Productions, Ltd.であり、英語版のアニメなどを配給する会社です。

日本アニメのライセンスや多数のタイトルを抱えており、北米エリアでは有名な配給会社として知られています。数ある事業の中でも、特にストリーミング配信サービス「FunimationNOW」が有名です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、Sony Pictures Television Networksです。アメリカ企業であるSony Pictures Television  Inc.が抱えるひとつの部門に位置しています。

展開する事業はテレビチャンネルの運営であり、世界各国に拠点を置いて親会社であるソニー・ピクチャーズエンタテインメントの番組や他社の番組・映画などの配信を行っている会社です。

M&Aの目的・背景

Sony Pictures Television NetworksがM&Aによる株式取得を行った目的は、アニメ配信先の増加にあります。

買収したFunimation Productions, Ltd.は、さまざまな媒体でアニメ配信事業を展開しており、PlayStation®Store・Google Play・Amazon Appsのほか、モバイル端末で視聴できる「FunimationNOW」などの配信サービスも手掛けている会社です。

Sony Pictures Television Networksは、これらの媒体を利用して、さらにサービスの利用者拡大を図れると考えました。

Funimation Productions, Ltd.も買収側が展開する媒体を利用して顧客を増やせると判断しており、テレビやデジタルチャンネルのサービス強化を図ったために、M&Aによる買収が成立しています。

M&A成功事例③〜マネックスグループによるコインチェックの買収〜

3つ目の成功事例として、マネックスグループによる買収を紹介します。2018年4月、マネックスグループは、仮想通貨の取引業を行うコインチェックを買収しました。

買収額は36億円であり、株式をすべて取得してコインチェックを完全子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、有名な仮想通貨「ビットコイン」の取引所などを運営する日本のコインチェック株式会社です。2017年にはビットコインの取引高で日本一を記録しています。買収前には、社員105名で事業を行っていました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は日本のマネックスグループ株式会社であり、金融業の株式を所有する持株会社です。傘下の企業には国内外で事業を営むネット証券があり、ベンチャー企業への投資事業などを行っています。

M&Aの目的・背景

マネックスグループがM&Aにより株式を取得した目的は、仮想通貨交換業に将来性を見出した点にあります。

成長が見込める仮想通貨の交換業から、特に利用者の多いコインチェックを買収先に選びました。自社の知識や経験とコインチェック側が持つ仮想通貨ノウハウの融合により、成長を早められると考えています。

仮想通貨NEMの不正送金についても、自社の金融業で培った管理能力や顧客へのサポート力により、継続した仮想通貨の交換業が営めると発表していました。

M&Aのプロセス・スキーム

マネックスグループは、コインチェックに対して条件付きで追加の対価支払いを行います。

支払い額の上限は、2021年3月までの3年間に計上された純利益を合計した値の半分としました。リスクが生じる可能性を鑑みたうえで、追加による支払いを取引条件に加えています。

M&A成功事例④〜ビックカメラによるエスケーサービスの完全子会社化〜

4つ目の成功事例として、ビックカメラによる株式取得を紹介します。2018年8月、ビッグカメラは、エスケーサービスを完全子会社化しました。取引には簡易株式交換の手法が用いられています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は日本の株式会社エスケーサービスであり、家電の配送・製品の納品・産業廃棄物の収集・運搬のほか、家電の取り付け工事などを行っています。

買収前である2017年6月期の売上高は2,484百万円、純資産として214百万円を計上した中小企業です。

譲受側企業の概要

譲渡側企業は日本で事業を行う株式会社ビックカメラであり、家電製品や白物家電などを販売しています。ビッグカメラは、店舗販売のほかネットを通じた通販による販売事業も展開する会社です。

2019年8月期(連結)の売上高は8,940億円21百万円であり、社員を8,742名(連結:2019年8月31日時点)抱える有名な家電量販店となっています。

M&Aの目的・背景

ビックカメラが株式交換を行った目的は、配送サービスの向上にあります。エスケーサービスは、首都圏を中心に家電の配送と家電工事の事業を行っている会社でした。

自社店舗において家電をエスケーサービスに任せることで、配送サービスの質を向上できると見込んだのです。

家電の取り付け工事も任せられるため、配送から設置に至るまでトータルでカバーでき、販売・配送・取り付けと一貫したサービス提供によって利用客増加を図れると考えました。

M&Aのプロセス・スキーム

株式交換比率は、ビックカメラ対エスケーサービスで1:301という割合です。比率を決定する際には第三者機関に算定を依頼しており、示された数字をエスケーサービス側に提示し合意を得たうえで株式交換比率を決めました。

M&A成功事例⑤〜住友重機械工業によるイタリアの機械メーカーの買収〜

5つ目の成功事例として、住友重機械工業による株式取得を紹介します。2018年6月、住友重機械工業は、イタリア企業Lafert S.p.Aの株を取得しました。

株式取得によりLafert S.p.A.を子会社化しています。取得額は21,356百万円ですが、株式取得時には追加の支払いを盛り込みました。

追加支払いの限度額は769百万円としており、2019〜2020年の業績を鑑みてLafert S.p.A.に支払われます。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業はイタリアのLafert S.p.A.であり、産業用のモータ・モーションコントロールの製造や販売を手掛けています。

一部機械では顧客の要望に応えた製品を提供しており、機械の自動化や省エネルギー化を進める会社です。買収前である2017年の売上高は約200億円であり、2017年9月時点の従業員数は796人でした。イタリアのほか、スロベニアや中国にも製造拠点を置いています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の総合機械メーカーである住友重機械工業株式会社です。精密・産業・建設機械の製造や、船舶の建造・販売などを行っています。

2018年度の売上高は903,051百万円(連結)であり、従業員を22,543名(2019年3月31日時点)抱える大企業です。

M&Aの目的・背景

住友重機械工業による株式取得の目的は、顧客満足度の向上・ヨーロッパ市場の強化・技術の共有によるシナジー効果獲得などにあります。

Lafert S.p.A.はヨーロッパの広大な市場において、顧客との強いつながりを形成していました。また、顧客の求めに応じたカスタム品の提供も行えるほど高い技術力を持っています。

住友重機械工業は子会社化して、満足度の高い製品や特殊な機器の提供だけでなく、ヨーロッパにおける生産拠点の確保・技術の向上・事業領域の拡大などを図ったのです。

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6. 中小企業のM&A成功事例5選

中小企業のM&A成功事例5選

ここでは、中小企業によるM&Aの成功事例を紹介します。5つの具体例から、自社の状況に似た企業を探してみてください。
 

  1. 多角化を目指したM&A事例
  2. 垂直統合を図ったM&A事例
  3. 事業譲渡を実現したM&A事例
  4. 事業承継せずM&Aを選んだ事例
  5. 家庭の都合をM&Aで解決した事例

それぞれの事例を詳しく見ていきます。

①多角化を目指したM&A事例

1つ目の具体例として、M&Aの仲介業者を間に入れた中小企業の成功事例を紹介します。合成樹脂材料と製品販売を行うA社は、男性用のカジュアルシャツを製造するB社を買収しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業であるB社は、中部地区で男性用のカジュアルシャツを製造する中小企業です。資本金は4,000万円で、売上高は20億円ほどの規模を持っています。抱える従業員は20名であり、経営者が高齢のために後継者を社外に求めていました。

譲受側企業の概要

譲渡側企業のA社は、中部地区で合成樹脂材料および製品の販売を行う中小企業です。資本金は3,000万円・売上高は100億円程度の商社であり、アパレルに関連した事業を拡大する目的のもと買収先企業を探していました。

M&Aの目的・背景

B社はM&Aの仲介業者に依頼して、事業承継が行える譲渡先を探してもらいました。該当する会社が見つかり交渉を進めましたが、社内整備などが図れないことを理由に中止していたのです。

その一方でA社は、アパレル事業の買収先を求めていました。仲介業者から両社が引き合わされたことで交渉がスタートし、基本合意・デューデリジェンスを経て譲渡契約に至っています。

M&Aのプロセス・スキーム

A社はB社の株式をすべて取得しており、B社の取引先・従業員・不動産をそのまま引き継ぎました。B社のオーナーは、引き継ぎ後に社長職を引退しています。

B社の社員たちからの反発を予想したためB社の営業部長を取締役に据えたうえで、A社の社長がB社の代表取締役として就任しました。

わずか2カ月ほどで譲渡契約に至った理由は、オーナーを除いた株主たちに作成してもらった株式譲渡の委任状があったためです。交渉する人物をオーナーに限定したため、長期間に及ぶ交渉を避けられました。

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②垂直統合を図ったM&A事例

2つ目の具体例として、M&Aにより製造品の一貫した供給体制を整えた事例を紹介します。遊戯機器の製造・販売を行うC社は、ソフトウエア開発を事業とするD社を買収しました。C社は、M&Aにより株式のすべてを取得したうえで、D社を子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、九州に拠点を置くD社です。事業内容はソフトウエア開発であり、大手からの受注を受けて事業を行っています。

資本金は2,000万円で、売上高は1億5,000万円でした。20人の従業員で構成される中小企業です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は関東で事業を営むC社であり、遊戯機器の製造と販売を行っています。資本金は5,000万円で、売上高はおよそ250億円であり、150人の従業員を擁する中小企業です。

M&Aの目的・背景

D社は安定した経営を目指すべく、一度大手のグループ傘下に入る資本提携を行っていました。しかし、求めていた受注量・受注環境に至らなかったため提携を解消しており、新たな提携先を探しています。

C社は企業の成長を図るため、機械の製造・開発に加えて、システム開発事業への進出を検討していました。ソフトウエア開発から製品製造までを一貫して行えると、フレキシブルな対応ができると判断したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

D社は新たな提携先を求め仲介業者へ依頼して数社と交渉を行いましたが、条件が合わずにいました。そこへ九州に関連会社を持つC社と出会って交渉を開始し、現地への視察などを経て譲渡契約を結んでいます。

契約が合意に至った理由は、両者の求める条件にありました。D社の経営者は引退には若い年齢であり、譲渡後も経営に携わりたいという考え持つ人物です。

C社は経営権の獲得を希望していましたが、雇用継続する社員たちや取引先との関係などを鑑みて、買収後もD社の経営者に会社のかじ取りを任せたいと考えました。そのため、交渉やデューデリジェンスも滞りなく進み、譲渡契約を完了させています。

③事業譲渡を実現したM&A事例

3つ目の具体例として、M&Aによる事業譲渡事例を紹介します。通信・電子機器の販売を行うE社は、飲食業を展開するF社から一部店舗を事業譲渡によって取得しました。

譲渡された事業はE社が出資する100%子会社へ移されたうえで、事業の継続が決まっています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、東京に拠点を構える飲食店のF社です。複数の店舗を経営しており、和食ジャンルを中心に出店を図ってきました。売上高は3億円で、10人の従業員を抱える中小企業です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は関東を中心に通信・電子機器を販売するE社であり、携帯・PCの販売により事業拡大を行ってきました。売上高はおよそ100億円で、従業員の数は200名です。

M&Aの目的・背景

F社は、出店場所の選択や外食産業の好調な流れに乗って店舗数を増やしていました。しかし、度重なる出店により開業資金などの借金がかさんだことで、苦しい財政事情を抱えていたのです。

その一方で、E社は事業の多角化に乗り出しており、通信・電子機器の販売のほかにサービス業への進出を画策していました。これまでの経営スキルを活かせるとして、飲食業の買収を検討していたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

はじめに、F社がM&A仲介業者に対して相談を持ちかけました。希望する条件(譲渡する店舗はシナジー効果への関与が少ないところ)を提示して、買収側の登場を待っています。

いち早く名乗りを上げたE社とコンタクトを取ったことで、交渉を開始しました。F社は一刻も早く資金を調達したかったため、E社とのみ交渉を進めています。

条件の折り合いが付いたことで、事業譲渡契約を締結しました。設備・在庫・資産を引き継いだうえで、従業員の雇用・取引先との契約を改めて結び直しています。

④事業承継せずM&Aを選んだ事例

4つ目の具体例として、事業承継せずM&Aを選んだ事例を紹介します。金属加工業を営むG社は、地方進出と工場の拡大を検討する同業大手のH社へ会社を売却しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、金属加工業のG社です。顧客の要望に合わせた製品の加工により、生産数を抑えた製品づくりを行ってきました。

G社は周囲の工場からの信頼が厚く、強い経営地盤が確立されていた会社です。

譲受側企業の概要

買収側の企業は大手の金属加工H社であり、G社と同じ事業を展開しています。

M&Aの目的・背景

G社の経営者は、後継者を見つけられずにいました。子供たちはそれぞれ独立して自身は還暦を迎えており、経理を担当していた妻が体を壊したことでM&Aによる買収を検討していたのです。

H社は、事業拡大のため、地方に新たな工場の設置を考えていました。

M&Aのプロセス・スキーム

G社は、会社の売却先を求めて信用金庫へ相談して候補者を探しました。しかし、なかなか見つからず、1年半後にようやくH社と出会ったのです。交渉から契約まではスムーズに進み、短期間での売却が完了しました。

従業員の雇用と取引先との関係も継続させています。H社が提供する職場環境や待遇によって従業員に良い環境を与えられたほか、懇意にする取引先への影響もありませんでした。

会社の売却が成立した要因は、G社が所有する金属加工の技術にあります。廃業を考えていても必要とする第三者が見つけてくれれば、会社売却は可能です。

⑤家庭の都合をM&Aで解決した事例

5つ目の具体例として、家庭の事情によりM&Aを選択した事例を紹介します。ネイルサロンを経営するI社は、健康食品を販売するJ社に対して会社売却を行いました。会社の売却には、株式譲渡が選ばれています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、東京でネイルサロンを運営するI社です。売上高1.5億円の中小企業であり、会社の経営者は既婚者で子どもを抱える主婦でした。

譲受側企業の概要

会社を買収した企業は、東京で健康食品の販売業を営む中小企業J社です。

M&Aの目的・背景

I社の経営者は、第2子の出産を望んでいました。そこへ夫の転勤が重なり、家庭と事業の両立は不可能と判断したため、M&Aによる会社売却を希望したのです。

J社は、健康食品の販売のほかにネイルサロン業への事業進出を検討していました。自社で新たに事業をはじめるよりもリスクの少ないM&Aを希望し、買収先を探していたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

I社は、M&Aの仲介業者に会社売却を相談しました。提示した条件は、従業員に対するきめ細かな対応・スムーズな売却・譲渡額の下限を提示することなどです。

その後に、仲介業者を通じてJ社が紹介されました。I社の条件に合致したことで売却が決定し、契約締結までの期間は約2カ月と短期間による会社売却を実現しています。

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7. 2017年度の主なM&A事例

2017年度の主なM&A事例

ここでは、2017年に行われたM&A事例をピックアップして紹介します。
 

  1. LINEによるファイブの子会社化
  2. 伊藤忠商事によるヤナセの子会社化
  3. トヨタによるマツダとの資本提携
  4. 明治ホールディングスによる化血研の新会社の子会社化
  5. ハウス食品グループによるマロニーの買収

それぞれの事例を詳しく見ていきます。

M&A成功事例①〜LINEによるファイブの子会社化〜

1つ目の具体例として、LINEによるファイブとの資本業務提携事例を紹介します。

LINEは、本件資本業務提携によりファイブの株式をすべて買い取りました。これにより、動画広告プラットフォーム事業を営むファイブを子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、東京に本社を置くファイブ株式会社です。主な事業として、スマートフォンに合わせた動画配信プラットフォームの開発や運営を手掛けています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、有名企業であるLINE株式会社です。東京にオフィスを構えており、コミュニケーションアプリ「LINE」をはじめとするスマートフォン向けサービスの開発・運営を行っています。

そのほか広告・AI事業も展開しており、単体の従業員数は2,576名(2019年10月末時点)です。

M&Aの目的・背景

LINEは、自社のアプリやサービスを活用して、広告の表示回数を増やしたり広告選定の精度を高めたりと、広告事業の拡大を図ってきました。

さらなる成長と拡大を目指すため、動画広告に長けたファイブとの提携を決めています。

M&A成功事例②〜伊藤忠商事によるヤナセの子会社化〜

2つ目の具体例として、2017年7月に行われた、伊藤忠商事によるヤナセの株式公開買付け事例を紹介します。

本件買収により伊藤忠商事は株式を65%取得しており、ヤナセを連結子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、輸入車販売で有名な株式会社ヤナセです。新車・中古車販売のほか、車の保守・点検・パーツの供給などを行うアフターセールス事業や金融保険業などを展開しています。

資本金は69億7,587万2千円で、従業員数はグループ全体で5,053名(2018日7月1日時点)です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業である伊藤忠商事株式会社です。総合商社であり、国内外に108の拠点を持っています。資本金は253,448百万円であり、4,380人の従業員を抱える大企業です。

M&Aの目的・背景

伊藤忠商事は、自社が持つノウハウや資金など活用したシナジー効果を得るため、従来より株式を取得していたヤナセを連結子会社化しました。

ヤナセが取り扱う輸入車は国内で販売されるうち約15%を占めており、ヤナセの業績が回復したことを受けて新車・中古車の販売業が利益を生む投資先と判断したために株式取得を行ったのです。

M&Aのプロセス・スキーム

伊藤忠商事は、株式公開買付けによってヤナセの株式を取得しています。取得する株式数には下限と上限を定めたうえで、持分法適用会社から連結子会社への移行を実現させました。

M&A成功事例③〜トヨタによるマツダとの資本提携〜

3つ目の具体例として、トヨタとマツダの資本提携事例を紹介します。両社は2017年8月、マツダの第三者割当増資をトヨタが、トヨタの第三者割当による自己株式をマツダがそれぞれ引き受けることで関係強化を図りました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、日本のマツダ株式会社です。ガソリンレシプロ・ディーゼルエンジンを搭載した乗用車や、トラックの製造・販売などを行っています。国内外に生産拠点と販売会社を置き、従業員数は連結で48,849人です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本のトヨタ自動車株式会社です。自動車の生産と販売を行う大企業でああり、世界中で事業を展開しています。

国内外に研究・生産・販売拠点を構えており、従業員数は連結で370,870人(2019年3月末時点)です。

M&Aの目的・背景

本件M&Aは、業界変化に対応するために実施されています。資本提携により、両社の独自性を高めることが主な目的です。資本提携の具体的な内容は、以下の4項目となります。
 

  • アメリカでの合弁会社設立
  • 共同で行う電気自動車の技術開発
  • マルチメディアシステムと安全運転を支援する技術の開発・連携
  • 国内における小型商用車の供給(マツダからトヨタへ)

M&Aのプロセス・スキーム

両社は第三者割当増資・第三者割当によって、それぞれ株式を引き受けてもらいました。本件取引によって得られた資金は、共同で設立する合弁会社の設備資金として使用されます。

M&A成功事例④〜明治ホールディングスによる化血研の新会社の子会社化〜

4つ目の具体例として、明治ホールディングスによる化血研の新会社の子会社化事例を紹介します。明治ホールディングスは、一般財団法人化学及血清療法研究所(通称、化血研)の事業を引き継ぐ新会社の株式を取得して、連結子会社しました。

化血研から引き継がれる事業は、人体・動物用ワクチン・血漿分画製剤事業などです。新会社への承継は、現物出資にて行われています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、日本の一般財団法人化学及血清療法研究所です。熊本県にて事業に取り組んでおり、ワクチンや血漿分画製剤の研究・開発・製造・供給などを行っています。

インフルエンザ・新型インフルエンザ・4種混合・肝炎ワクチンなどを提供しており、研究や技術力に長けた会社です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業である明治ホールディングス株式会社です。食品・薬品事業などを抱えるグループ企業であり、2019年3月期の売上高は1兆2,543億80百万円(連結)であり、従業員を17,608名(2019年3月31日時点)抱えています。

M&Aの目的・背景

明治ホールディングスがM&Aによる株式の取得を行った目的は、以下のとおりです。
 

  • 感染から治療までのサポート体制をつくること
  • 薬品事業を通じたワクチン製造の強化と海外への供給
  • 動物用医薬品事業の競争力を高める
  • 業界の流れに合わせたバイオ医薬品の研究・開発の加速化

このようなビジョンを構築した理由には、薬剤耐性菌がもたらす死亡率上昇や、バイオ医薬品の使用が高まる予測などが関係しています。

明治ホールディングスは、ワクチン・バイオ医薬品の開発力・技術力を持った化血研の事業を買収して企業価値の上昇を狙ったのです。

M&Aのプロセス・スキーム

設立する新会社に、化血研の事業が承継されました。事業承継には現物出資の手法が採用されており、明治ホールディングスなどによって熊本県に買収会社が設立されます。

この買収会社に新会社の普通株式をすべて取得させて、両社が合併を行ったうえで新会社を存続会社として残す仕組みです。

合併した新会社の議決権は、明治ホールディングスが49%・熊本企業グループも49%・熊本県が2%という割合で保有します。

M&A成功事例⑤〜ハウス食品グループによるマロニーの買収〜

5つ目の具体例として、ハウス食品グループによるマロニーの買収事例を紹介します。2017年7月、ハウス食品グループは、マロニーの株式取得を決めました。

本件買収により、マロニーはハウス食品グループの子会社化となっています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、日本のマロニー株式会社です。取り組む事業は食品の製造業であり、製造食品には有名な「マロニー」があります。大阪に本社を置き、従業員162人で事業を営んでいました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の大企業であるハウス食品グループ本社株式会社です。グループ企業として、香辛料の輸入・製造・販売や、調味加工品の販売・健康食品の製造や販売・海外向け食品の輸出や販売業などを運営しています。

資本金は99億4,832万円(2019年3月31日時点)であり、従業員数は連結で6,066名 (2019年3月31日時点)です。

M&Aの目的・背景

ハウス食品グループがM&Aを行った理由としては、掲げる目標を達成するうえで健康的な食品「マロニー」の存在が必要不可欠だと判断したためです。

ハウス食品グループは、自社の技術・開発力・マーケティングを活用して、更なる価値を付与できると考えました。「マロニー」の価値を高めることで、国内外での成長を見込んでいるのです。

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8. なぜ?M&Aに失敗するケースの特徴

M&Aに失敗するケースの特徴

数多くの成功事例を紹介しましたが、M&Aは失敗に終わってしまうケースも少なくありません。それでは、どのような要因が失敗につながるのでしょうか。

具体的には以下のような要因が、失敗を引き起こすとされています。
 

  • 成約前に条件を変更してしまった
  • 株式の管理を怠っていた
  • 議事録を作成していなかった
  • 株主や役員から反発されてしまった
 
  • デューデリジェンスの実施内容が不適切だった
  • デューデリジェンスで発覚した問題を放置した
  • 経営戦略に不備があった
  • 簿外債務が存在していた
 
  • 交渉期間内で業績が悪化した
  • 法に反した経済活動を続けていた
  • 買収によって取引先が喪失した
  • 買い時や売り時を逃してしまった

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9. M&Aの失敗事例10選!

M&Aの失敗事例10選!

ここでは、M&Aで起こった実際の失敗例を紹介します。10の事例から、どのような原因で失敗に至ったのかを確かめてみましょう。
 

  1. 丸紅による穀物大手ガビロンの買収
  2. LIXILによるグローエの買収
  3. キリンによるスキンカリオールの買収
  4. 日本郵政によるトール・ホールディングスへの投資
  5. 第一三共によるランバクシーの買収
  6. セブン&アイ・ホールディングスによるニッセンの買収
  7. マイクロソフトによるノキアの買収
  8. パナソニックによる三洋電機の買収
  9. 古河電工によるルーセント・テクノロジーズの買収
  10. 富士通によるICLの買収

それぞれの事例を順番に見ていきます。

①丸紅による穀物大手ガビロンの買収

失敗事例の1つ目として、丸紅が行った買収を紹介します。2013年7月、丸紅は、アメリカのGavilon Holdings, LLC(以下、ガビロン社という)が持つ2つの事業を持分譲渡契約により取得しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業はアメリカのガビロン社であり、穀物・肥料・エネルギー分野などで仲介を行っています。買収前である2011年12月期の売上高は17,852.2百万ドル(連結)です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業である丸紅株式会社です。食料・繊維・資材・紙パルプ・化学品などの輸出入を中心に事業を展開しています。

丸紅株式会社は60以上の国と地域に130の拠点を持っており、従業員数は4,453名(2019年9月30日時点)です。

損失額

丸紅は、買収後の2015年3月期決算(連結)で、1,200億円の減損損失を出しています。

M&A失敗の要因

失敗の要因は、中国への穀物輸出に制限が加わった点にあります。中国は、丸紅とガビロン社による市場の寡占化を危惧していました。両社が手を組めば、中国国内における穀物の安定供給に陰りが見えるためです。

そこで、中国商務省は丸紅のガビロン社買収を許可する代わりに、大豆の輸入と販売業務を独立して行うよう命じました。

これにより、ガビロン社は中国での事業が思うように運ばず、もともと事業が持っていた価値を低下させる結果となったのです。

②LIXILによるグローエの買収

2つ目の具体例として、LIXILによる買収事例を紹介します。2017年1月、LIXILは、ドイツのグローエ社の株式を87.5%取得しました。

本件買収によって、LIXILは、グローエ社とその子会社・ジョウユウを関連会社としています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、有名なドイツのグローエ社です。従業員はおよそ9,000人抱えており、水栓金具メーカーの中ではヨーロッパで1番の規模を誇っていました。高い品質とデザイン性に特徴があり、130を超える国々で製品を販売しています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業である株式会社LIXILです。2001年に設立した会社であり、住宅のリフォーム・設備・建材関連の事業を行っています。資本金は68,121百万円で、従業員数は74,598人(連結)です。

損失額

2014年3月期から2016年3月期の期間で、ジョウユウの不正会計による損失額は約660億円と報告されています。

M&A失敗の要因

買収が失敗に終わった原因は、リスク管理の不備にあります。LIXILは買収によって、グローエ社とその子会社・ジョウユウを取り込みました。

ジョウユウは中国人がトップを務める企業です。中国ではトップによる不正会計が珍しくないため、こうした企業を買収する場合には、徹底した調査が必要でした。

しかし、グローエ社は子会社の調査を怠りつつ、ジョウユウを子会社化しています。そこへLIXILが買収に乗り出したため、買収先の子会社が抱える不正会計をそのまま取り込んで多額の損失を被ったのです。

③キリンによるスキンカリオールの買収

3つ目の具体例として、キリンホールディンググスによる買収事例を紹介します。2011年、キリンは、ブラジルのスキンカリオール社を買収しました。

スキンカリオールの株式を所有するアレアドリ社の株をすべて買収したことで、キリンはスキンカリオール社を子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、ブラジルのスキンカリオール社です。ビール・清涼飲料業を営む企業であり、ブラジル国内でのビールのシェアは2位、炭酸飲料では3位のシェアを誇っています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業であるキリンホールディングス株式会社です。国内外で飲料事業を展開しており、従業員数は連結で31,040名(2019年12月31日時点)です。

損失額

譲り受けた事業の価値を見直した結果、減損損失は約1,412億円に達すると報告しました。

M&A失敗の要因

キリンがM&Aに失敗した要因としては、ブラジルの景気が落ち込んだことによる消費減少や、ライバル企業との競争が激しくなった点、ブラジルの通貨が安くなった点などが挙げられます。

上記の要因によって売上が減少したため、事業価値を再評価したところ大幅な評価損を計上する事態となったのです。

④日本郵政によるトール・ホールディングスへの投資

4つ目の具体例として、日本郵政による買収事例を紹介します。2015年5月、日本郵政は、オーストラリアのトール社の株式をすべて取得しました。本件買収によって、日本郵政はトール社を子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、オーストラリアのトール社です。メルボルンに本社を置き、物流事業を展開しています。資本金が2,977百万豪ドルであり、2014年6月期の純資産は連結で2,733百万豪ドルです。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本郵政グループです。日本のグループ企業であり、郵便・銀行・生命保険業を行っています。資本金は資本金3兆5,000億円、従業員数は2,422名(2018年3月31日時点)です。

損失額

2017年3月期における日本郵政の損失額は4,003億円でした。赤字は400億円です。

M&A失敗の要因

日本郵政の買収が失敗に終わった要因は、資産価値を正しく評価できていなかった点にあります。

中国やオーストラリアの経済が低迷したことや固定費のコストが削減できなかったことなどにより、資産価値が見直されて4,003億円の特別損失を計上するに至りました。

⑤第一三共によるランバクシーの買収

5つ目の具体例として、第一三共による買収事例を紹介します。第一三共は、インドのランバクシー社の株式のうち63.9%を取得しました。

株式取得にあたっては、公開買付け・第三者割当増資・新株予約権のほか、創業者一族からも株式を買い取っています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業はインドのランバクシー社であり、デリーなどに拠点を構える製薬会社です。ジェネリック医薬品の開発・製造・販売などを行っています。

ランバクシー社は国内外に製造拠点や子会社を置いており、買収当時は約12,000人の従業員を抱えていました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の第一三共株式会社です。有名な製薬会社であり、医薬品の研究・開発・製造・販売事業を営んでいます。資本金は500億円であり、グループ全体の従業員は約15,000人です。

損失額

2009年3月期において、第一三共は3,500億円の評価損が出たことを報告しています。

M&A失敗の要因

第一三共が買収に失敗した要因は、ランバクシー社の医薬品に輸入禁止命令が出た点にあります。医薬品のデータ管理に問題が見つかったため、米国食品医薬品局から指摘を受けてしまいました。

以前にも抗生物質の扱い方に問題があるとして同局から問題点を指摘されていましたが、改善に至っていなかったのです。

輸入禁止は第一三共が買収を発表した後だったため、多額の減損損失を強いられました。

⑥セブン&アイ・ホールディングスによるニッセンの買収

6つ目の具体例として、2016年に行われたセブン&アイ・ホールディングスによるニッセンホールディングスの買収事例を紹介します。セブン&アイホールディングスは、ニッセンホールディングスの株式をすべて買い取り完全子会社化しました。

譲渡側企業の概要

株式の交換に応じた企業は、日本の株式会社ニッセンホールディングスです。女性向けの衣料品や雑貨の通信販売を中心に、レディース服の店舗販売などを運営しています。

譲受側企業の概要

譲渡側企業は、日本の株式会社セブン&アイ・ホールディングスです。有名な持株会社であり、コンビニ・スーパー・デパート・飲食・金融サービス事業などを傘下に収めています。

グループの売上高は12兆180億4百万円(連結:2019年2月期時点)、144,628人(連結・2019年2月末時点)もの従業員を雇用する大企業です。

損失額

2016年2月期においてセブン&アイ・ホールディングスの通信販売事業は、84億51百万円の営業損失を計上しました。

M&A失敗の要因

セブン&アイ・ホールディングスが買収に失敗した要因は、カタログ通販の行き詰まりにあります。

購入時機を逸したカタログの配布や不十分な品ぞろえ、ファストファッション台頭によるブランド価値の喪失などにより、通販事業は赤字が続いていたのです。

親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの能力を十分に使えていなかったことも要因のひとつであり、オムニチャネルの戦略に加われず、相互利用の顧客を獲得できませんでした。

⑦マイクロソフトによるノキアの買収

具体例の7つ目として、マイクロソフト社による買収事例を紹介します。2014年、マイクロソフト社は、フィンランドのノキア社から携帯電話事業を買い取りました。買収額はおよそ72億ドルです。

譲渡側企業の概要

譲受側企業は、フィンランドのノキア社です。主な事業として、携帯電話の通信設備・IoT・ネットワークサービスなどを手掛けています。

譲受側企業の概要

譲受側企業はアメリカのマイクロソフト社であり、ソフトウエアやタブレット端末などの開発・販売などを手掛けている有名企業です。2017年6月期の売上高は233.2億ドルを計上しています。

損失額

2015年、マイクロソフト社が買収した携帯電話事業は約76億ドルの評価損を計上しました。

M&A失敗の要因

マイクロソフト社が買収に失敗した要因は、スマートフォン市場のシェアが低かった点にあります。

3%の市場シェアにより赤字が続いたため、マイクロソフト社は携帯電話事業を売却してノキア社を手放しました。

⑧パナソニックによる三洋電機の買収

具体例の8つ目として、パナソニックによる三洋電機の買収事例を紹介します。2009年、パナソニックは、株式公開買付けにより三洋電機を連結子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は日本の三洋電機株式会社であり、取り組む事業には電気・電子機器の製造と販売などがあります。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本のパナソニック株式会社です。家電・住宅・車載・B2B事業などを展開しています。グループ会社は582社で、従業員数は27万1,869人(2019年3月末時点)です。

損失額

2012年3月期の連結決算において、パナソニックは、7,721億円の赤字を計上しました。

M&A失敗の要因

パナソニックがM&Aに失敗した要因は、リチウムイオン電池事業の価値が下がった点にあります。

円高とウォン安によりリチウムイオン電池の価値が3割ほど下落してしまい、赤字が続きました。

三洋電機との間で利用できる技術が少なかった点も、買収が失敗に終わった要因に挙げられます。

⑨古河電工によるルーセント・テクノロジーズの買収

具体例の9つ目として、古河電工による買収事例を紹介します。2001年、古川電工は、アメリカのルーセント・テクノロジーズから光ファイバ部門を買収しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、アメリカのルーセント・テクノロジーズ社です。アメリカのAT&Tから独立した企業であり、情報・通信業を展開していました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の古河電気工業株式会社です。資本金は約694億円、従業員数は52,215名(連結:2019年3月末時点)と発表されています。

展開する事業は、エネルギー伝送や光ファイバに代表される通信事業・自動車や電子部品の開発事業などです。

損失額

2004年3月期において、古河電工は、1,000億円の評価損を計上しました。

M&A失敗の要因

古川電工が買収に失敗した要因は、北米エリアの不況にあります。光ファイバによる通信が好調だったため、3年間で900億円もの設備資金を投じました。

しかし、不況に陥ったことで、2002年に多額の赤字を計上してしまったのです。獲得した光ファイバ事業は、買収後に4期続けて赤字を出しました。

⑩富士通によるICLの買収

10例目の具体例として、富士通によるICLの買収事例を紹介します。1990年、富士通は、1,890億円で買収してICLを完全子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、イギリスのICLです。国策IT企業であり、3社が合併して誕生しました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は日本の富士通株式会社であり、展開する事業はPCや携帯電話の製造・販売、電子部品や、ITを利用したソリューションなどのICTサービスです。

2018年度の売上収益は3兆9524億円(連結)であり、従業員数は132,138名(連結:2019年3月31日時点)と発表されています。

損失額

2007年3月の単独決算において、富士通は、約2,900億円の評価損が出たことを発表しています。

M&A失敗の要因

富士通の買収が失敗した要因は、純資産の低下と子会社事業の上場中止が重なった点にあります。ドイツ企業や北欧ビジネスの買収などを続けた結果、富士通の純資産は著しく低下しました。

買収した子会社を上場させれば株式の売却益が得られるため、投資簿価を下回ることはないと捉えていたのです。

しかし、海外にITサービスを広げるには子会社として抱える方が得策と判断して上場を見送ったため、約2,900億円の評価損を計上しました。

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10. M&Aの成功にはM&A仲介会社のサポートが不可欠

M&Aの成功にはM&A仲介会社のサポートが不可欠

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11. まとめ

まとめ

買収・合併を成功させるには、買収前の準備はもちろん、買収後も十分に注意しておくべき点があります。これから買収や合併に取りかかる場合には、失敗した実例にも目を通しておくようにしましょう。

また、M&Aで会社の売却を考えるなら、信頼できる仲介会社を探すことも重要です。仲介会社を選ぶときは、自社に合った企業を紹介してくれる・費用が抑えられる・経験豊富なスタッフがついてくれる点などを基準にすると良いでしょう。

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