M&A成功事例60選!取引規模・業界別、海外企業のケースも紹介【2021年最新版】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

今回は、M&A成功事例を厳選して紹介します。日本・海外の企業がM&Aに成功した事例のポイントをまとめました。近年の事例や大企業・中小企業が行った買収のほか、日本と世界におけるM&Aの相違点や買収・合併の目的や失敗事例も取り上げています。

目次

  1. M&A成功事例の最新動向~世界と日本それぞれの特徴~
  2. M&A成功事例10選!【2021年最新】
  3. 近年のM&A成功事例15選!【2020年】
  4. M&A成功事例5選!~日本の大企業のシナジー効果〜
  5. 日本のM&A成功事例5選!~大企業の大型買収〜
  6. 中小企業のM&A成功事例20選
  7. 2017年度の主なM&A成功事例
  8. なぜ?M&Aに失敗するケースの特徴
  9. M&Aの失敗事例10選!
  10. M&Aの目的とは?
  11. M&Aの成功にはM&A仲介会社のサポートが不可欠
  12. M&Aの成功事例まとめ
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1. M&A成功事例の最新動向~世界と日本それぞれの特徴~

世界と日本では、実行されるM&Aに関して相違点が見られます。ここでは、世界および日本の企業がこれまで行ってきたM&A事例を踏まえたうえで、それぞれに見られる近年の特徴をまとめました。

世界のM&A成功事例

トムソン・ロイターの調査によると、2018(平成30)年の上半期に取引されたM&Aの買収額は総額2兆5,000億ドル・M&A件数は23,050件を記録しており、2017(平成29)年上半期のデータと比べて10%低い値でした。

リフィニティブのデータによると、2019(令和元)年の第3四半期における世界のM&A総額は7,290億ドルを記録しており、前年比で16%減少しています。四半期ベースで見ると、2016(平成28)年以降のデータで過去最低の記録です。

しかしながら、2019年通年のデータを見ると、世界のM&A総額は3兆8,000億ドル(約414兆5,000億円)に達しており、過去4番目の高水準となっています。

2020年1~6月(上期)における世界のM&Aは19,923件、1兆2,000億ドルを記録しており、件数は18%、金額は42%減少しています。件数は2013年以来、金額は2012年以来の低水準となりました。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、欧米では2020年4月は壊滅的でしたが、7月から徐々に回復しつつあります。一方で、アジアは2020年6月から中国を中心に戻ったのです。このように、世界のM&Aは世界規模で徐々に上向き傾向であるといえるでしょう。

近年はクロスボーダーM&Aが増加

リフィニティブのデータによると、2020年に行われた世界のクロスボーダーM&Aは、9,670億ドル(前年より9.8%減)と2年連続で減少しました。件数も9,994件(13.7%減)と、昨今に比べると低い水準です。

2020年はコロナウイルス感染症により、多くの国・地域で減少する結果となりましたが、中でもEU向けのクロスボーダーM&Aが大きく減少したのです。

世界のクロスボーダーM&Aは2018年第4四半期をピークに減少傾向となっています。しかし、2020年第4四半期以降は回復が見られました。

2021年第1〜6月は、6,510億ドル(前年同期比37.6%増)、件数は6,058件(同25.8%増)と、金額、件数ともに増加しています。

V字回復がみられるのはEUやアメリカがメインとなっており、中国、ASEAN地域では2018年後半以降の減少が続く結果となっています。しかし今後は、中国、ASEAN地域での底打ちから反転し、回復軌道をたどると予想されるでしょう。

参照:ジェトロ「第Ⅱ章 世界と日本の直接投資(2021年)」

日本のM&A成功事例【2021年最新版】

レコフデータでは、1985(昭和60)年以降に日本の上場企業が実施したM&Aに関する各種統計を公開しています。その中のM&A成立件数を見てみると、2006(平成18)年に2,725件で一度ピークを迎えますが、そこから毎年減少し2011(平成23)年は1,687件でした。

そして、2012(平成24)年から再び毎年上昇に転じたのです。2017年からは毎年、過去最高記録を更新し、2019年には4,088件と4,000件を突破しました。2020(令和2)年も当初は前年記録を超える予測でしたが、コロナ禍の影響を受け前年より減少しています。

それでも、2020年の3,730件という数値は過去3番目に高い数値であり、 M&Aがコロナ禍で完全に下火になったわけではありません。一方、M&A成立金額に目を向けると、2019年は18兆295億円であるの対し、2020年は14兆7,741億円でした。

クロスボーダーM&Aに関しては、2019年が1,088件で全体の26%、2020年が786件で全体の21%となっています。

参照:中小企業庁「2021年版 中小企業白書」

買収・合併対象はヘルスケアと電気通信分野に集中

日本のM&Aにおける買収・合併対象はヘルスケアと電気通信分野に集中しており、2つの事業のみで全体の半分を超える年もあります。

特に製薬関連のM&Aが活発化しており、2019年にはアステラス製薬が米バイオ企業のオーデンテス・セラピューティクスを3,200億円で買収しました。

その他、大日本住友製薬・旭化成・富士フイルムホールディングスの3社は、米欧企業に対して大型買収を実施しています。上記以外の買収・合併対象分野としては、ハイテクやエネルギー分野・電力分野・不動産分野などです。

ベンチャー企業を対象とするM&A件数の増加

近年は、ベンチャー企業を対象とするM&A件数も増加傾向にあります。2019年のデータを見ると、日本企業が関わったM&A件数のうち、ベンチャー企業を対象にしたM&A件数は1,375件であり、全体の3割を占めました。

このようにベンチャー企業のM&Aが増加する要因としては、ベンチャー企業のイグジット戦略として、IPOではなくM&Aを狙うケースが増えていることが挙げられます。

コロナ禍がM&A市場にもたらした影響

レコフの調査によると、2020年の日本企業によるM&Aは、新型コロナウイルス感染症の影響により、4〜5月は大きく減少したものの、6月以降徐々に同水準にまで回復しました。

事業承継M&Aに関しては、2020年は、過去最多の2019年と同じ616件でした。後継者難がさらに深刻化しており、M&Aは事業承継問題解決に向けた手段として、重要性が高まりつつあります。

2021年は、M&Aの件数が過去最多のペースで進捗しています。2021年上半期(2021年1~6月)の日本企業が関連するM&A件数は2,128件となり、2019年上半期の2,087件を上回る結果となりました。

上半期ベースで、2021年は過去最多を記録したのです。コロナ禍の企業経営は、さらなる合理化や資金調達、新たな市場に合わせた事業の変化が必要です。

買い手企業は事業への迅速な投資や、規模の拡大とシナジー効果を求めてM&Aに投資するようになるでしょう。売り手企業は、資金調達の必要性によってM&Aを模索しています。

そのため、2021年は政府主導の成長戦略や事業再編の政策とリンクして、M&A市場が活性化するものと予想されています

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2. M&A成功事例10選!【2021年最新】

2021(令和3)年6月現在において、本年中に実施された最新のM&A成功事例10件を掲示します。

  1. GMOインターネットによるOMAKASEの買収
  2. 凸版印刷によるアイオイ・システムの買収
  3. ベネッセホールディングスによるプロトメディカルケアの買収
  4. ガイアックスによるGENIC LABの買収
  5. 日本商業開発によるツノダの買収
  6. ビジネス・ブレークスルーによるブレンディングジャパンの買収
  7. ダスキンによるEDISTの買収
  8. エレコムによるフォースメディアの買収
  9. ジャパンエレベーターサービスホールディングスによるトヨタファシリティーサービスの買収
  10. タカラレーベンによるACAクリーンエナジーの買収

M&A成功事例①:GMOインターネットによるOMAKASEの買収

2021年6月、GMOインターネットがOMAKASEを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

資本金500万円のOMAKASEは、人気飲食店・レストランに特化した飲食店予約管理サービスの開発・運営(オンラインサービス)を行っている東京の会社です。

譲受側企業の概要

東京のGMOインターネットは、インターネットインフラ、インターネット広告・メディア、インターネット金融、暗号資産、オンラインゲームやモバイルゲームなどのゲーム事業などを行っています。資本金は50億円、連結売上高は2,105億円(2020年12月期)です。

M&Aの目的・背景

OMAKASEが運営・提供しているサービスは、人気飲食店に特化する独自色が強いものです。GMOインターネットは、この点を評価し、自社が行っているインターネットインフラ事業でシナジー効果が創出され、業績拡大できると判断しました。

M&Aのプロセス・スキーム

このM&Aでは、2021年3月に施行された改正会社法により定められた、新しいM&Aスキームである株式交付が用いられています。株式交付は、方法としては株式交換と同様です。売却側株主への対価として、買収企業の株式や新株予約権を交付します。

ただし、株式交換を実施できるのは、売価側企業を完全子会社化するときに限定されていました。株式交付では、この前提が取り払われたため、GMOインターネットのように完全子会社化しない買収を行う際にも、対価として株式を用いられるようになったのです。

M&A成功事例②:凸版印刷によるアイオイ・システムの買収

2021年6月、凸版印刷がアイオイ・システムを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のアイオイ・システムは、物流・製造関連支援システム・機器の開発・製造・販売を行っている会社です。デジタルピッキングシステムやプロジェクションピッキングシステムは、海外の企業にも採用されています。

譲受側企業の概要

東京の印刷大手である凸版印刷が現在行っている事業は、情報コミュニケーション事業、生活・産業事業、エレクトロニクス事業になります。資本金1,049億円、連結売上高は1兆4,669億円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

凸版印刷は、サプライチェーンのデジタル化を進めています。そこで、海外72カ国との取引実績を持つアイオイ・システムを子会社化し、物流業界におけるDX市場に本格参入するのが目的です。

M&Aのプロセス・スキーム

凸版印刷は、株式譲渡によってアイオイ・システムの株式75.8%を取得しました。取得価額は公表されていません。

M&A成功事例③:ベネッセホールディングスによるプロトメディカルケアの買収

2021年6月、ベネッセホールディングスがプロトメディカルケアを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のプロトメディカルケアは、介護・福祉・医療に関する各種メディア運営事業、人材紹介・人材派遣事業、情報誌の出版事業、福祉用具のレンタル事業などを行っています。

譲受側企業の概要

岡山のベネッセホールディングスは、教育事業と介護事業を行っています。資本金137億円、連結売上高は4,275億3,100万円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

ベネッセホールディングスは、介護事業の領域を拡張させ業績向上を図るためにプロトメディカルケアの人材サービス事業などに着目し、子会社化しました、プロトメディカルケアを傘下に加えることで、介護事業の拡大スピードを早められるともくろんでいます。

M&Aのプロセス・スキーム

ベネッセホールディングスは、株式譲渡によってプロトメディカルケアの全株式を取得し完全子会社化しています。なお、譲渡価額は公表されていません。

M&A成功事例④:ガイアックスによるGENIC LABの買収

2021年6月、ガイアックスがGENIC LABを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のGENIC LABは、1万人以上のフォロワーを持つインスタグラマー約100名を擁し、彼らがユーザーの求めに応じた写真・動画を撮影するサービスを展開しています。

譲受側企業の概要

東京のガイアックスは、ソーシャルメディアサービス事業、シェアリングエコノミー事業、インキュベーション事業を行っています。資本金1億円、連結売上高は24億円(2020年12月期)です。

M&Aの目的・背景

ガイアックスとしては、GENIC LABがSNSのコンテンツサプライヤーとして行っているインスタグラム支援やクリエイティブ制作を評価し、GENIC LABを傘下に加えることで、シナジー効果によりSNSマーケティング事業拡大が見込めると判断しました。

M&Aのプロセス・スキーム

ガイアックスは、株式譲渡によってGENIC LABの全株式を取得し完全子会社化しています。なお、譲渡価額は公表されていません。

M&A成功事例⑤:日本商業開発によるツノダの買収

2021年5月、日本商業開発がツノダを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

愛知県のツノダは、主として不動産の賃貸管理事業を行う傍ら、自転車の企画・開発・販売(開発代行商社)事業も行っています。

譲受側企業の概要

大阪の日本商業開発は、不動産投資事業、サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業、企画・仲介事業などを行っています。独自事業として、土地のみを対象とする不動産投資商品「JINUSHIビジネス」の開発・販売が特徴的です。

資本金30億円、連結売上高は298億円(2020年12月期)となっています。

M&Aの目的・背景

日本商業開発の狙いは、不動産事業の拡大・拡張です。ツノダは愛知県のみならず岐阜県など東海エリアの物件を多数、所有しています。ツノダの子会社化によって、グループとして所有する不動産の数が一挙に増え、そして営業エリアも広がりました。

M&Aのプロセス・スキーム

日本商業開発は、株式譲渡によってツノダの全株式を取得し完全子会社化しています。なお、譲渡価額は公表されていません。

M&A成功事例⑥:ビジネス・ブレークスルーによるブレンディングジャパンの買収

2021年5月、ビジネス・ブレークスルーがブレンディングジャパンを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

福岡のブレンディングジャパンは、子ども専用オンライン英会話スクールを運営しています。

譲受側企業の概要

東京のビジネス・ブレークスルーは、社会人対象の人材育成教育事業と、幼児から高校生対象のインターナショナルスクール、バイリンガルスクールなどの学校運営を行っています。資本金は18億円、連結売上高は58億8,800万円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

ビジネス・ブレークスルーの狙いは、子ども向けオンライン英会話市場への参入です。両社にはフィリピン在住の英会話講師を採用している共通点があり、その部分を一体化させることで効率性を上げコストダウンを図ることも見込んでいます。

M&Aのプロセス・スキーム

ビジネス・ブレークスルーは、株式譲渡によってブレンディングジャパンの全株式を取得し完全子会社化しています。なお、譲渡価額は公表されていません。

M&A成功事例⑦:ダスキンによるEDISTの買収

2021年5月、ダスキンはEDISTを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のEDISTは、女性向けファッションのレンタルサイト「EDIST. CLOSET」を運営しています。

譲受側企業の概要

大阪のダスキンは、マット・モップ・タオルなどのレンタルでおなじみですが、それを含めた生活衛生関連サービス事業と、「ミスタードーナツ」などのフードサービス事業を行っています。資本金は113億円、連結売上高は1,537億7,000万円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

EDISTは、家庭・仕事で忙しい女性の生活をサポートする意図で「EDIST. CLOSET」を運営しています。ダスキンとしてはEDISTの事業を取り込むことで、生活衛生関連サービス事業の領域を広げることが目的です。

M&Aのプロセス・スキーム

ダスキンは、株式譲渡によってEDISTの全株式を取得し完全子会社化しています。取得価額は1,800万円でした。

M&A成功事例⑧:エレコムによるフォースメディアの買収

2021年5月、エレコムがフォースメディアを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のフォースメディアは、コンピューター周辺機器やネットワーク対応製品などの輸入販売を行っています。

譲受側企業の概要

大阪のエレコムは、コンピューターおよびデジタル機器関連製品の開発・販売を行っています。自社工場を持たないファブレスメーカーでありながら、シェア1位の製品を多く持つことが特徴です。資本金は69億円、連結売上高は1,080億5,300万円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

従来、エレコムはBtoCモデルの事業でしたが、現在はBtoB事業に転換中です。エレコムにとって、フォースメディアが取り扱う商品や独自のサポート体制は、BtoB事業に足りないピースを埋め業績を拡大させるに十分なものと判断しました。

M&Aのプロセス・スキーム

エレコムは、株式譲渡によってフォースメディアの全株式を取得し完全子会社化しています。なお、譲渡価額は公表されていません。

M&A成功事例⑨:ジャパンエレベーターサービスホールディングスによるトヨタファシリティーサービスの買収

2021年5月、ジャパンエレベーターサービスホールディングスがトヨタファシリティーサービスを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のトヨタファシリティーサービスは、エレベーターなどのメンテナンス事業を行っています。主な営業エリアは、首都圏・関西圏・北海道です。

譲受側企業の概要

東京のジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーターなどのメンテナンス事業を行っている独立系のメンテナンス企業です。国内だけでなく、中国・香港・インド・インドネシアなどでも事業展開しています。

資本金24億円で、2021年3月期の連結売上高は245億2,100万円でした。

M&Aの目的・背景

ジャパンエレベーターサービスホールディングスとトヨタファシリティーサービスは全くの同業です。したがって、このM&Aの目的は、事業規模の拡大と事業基盤の盤石化(シェア拡大)にあります。

同事業の重点エリアである首都圏・関西圏に顧客を持つトヨタファシリティーサービスは、ジャパンエレベーターサービスホールディングスにとって、魅力的なM&A相手でした。

M&Aのプロセス・スキーム

ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、株式譲渡によってトヨタファシリティーサービスの株式60%を取得し子会社化しています。なお、譲渡価額は公表されていません。

M&A成功事例⑩:タカラレーベンによるACAクリーンエナジーの買収

2021年4月、タカラレーベンがACAクリーンエナジーを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のACAクリーンエナジーは、太陽光発電事業および発電所オペレーション・メンテナンスサービス事業を全国展開しています。

譲受側企業の概要

東京のタカラレーベンは、自社ブランドマンション・戸建新築分譲住宅の企画・開発・販売事業、中古マンションの買取・再販事業、不動産物件の賃貸管理事業、ホテル事業、再開発事業、再生可能エネルギー事業、アセットマネジメント事業などを行っています。

これまでの主たる事業は不動産事業で、資本金は48億円、連結売上高は1,483億9,700万円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

タカラレーベンは、多角化させた事業のうち、再生可能エネルギー事業の強化を考えていました。その点、ACAクリーンエナジーの太陽光発電事業は実績も十分であり、子会社化はまさに打ってつけでした。

M&Aのプロセス・スキーム

タカラレーベンは、株式譲渡によってACAクリーンエナジーの全株式を取得し完全子会社化しています。なお、譲渡価額は公表されていません。

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3. 近年のM&A成功事例15選!【2020年】

コロナ禍に見舞われた2020年でしたが、M&Aは積極的に実施されました。ここでは2020年を中心に、近年行われたM&Aの成功事例15件をピックアップします。

  1. 燦キャピタルマネージメントによる早稲田不動産管理の買収
  2. ナルミヤ・インターナショナルによるLOVSTの買収
  3. テノ.ホールディングスによるオフィス・パレットの買収
  4. カクヤスグループによるダンガミの買収
  5. ベルーナによるマキシムの買収
  6. BsmoによるROXの買収
  7. メディアドゥによるNagisaの買収
  8. 大和自動車交通によるトータルメンテナンスジャパンの買収
  9. クスリのアオキホールディングスによるフクヤの買収
  10. トレジャー・ファクトリーによるピックアップジャパンの買収
  11. 第一生命による豪州大手の生命保険会社の買収
  12. シャープによる東芝パソコン事業の買収
  13. 旭化成による米のセージ・オートモーティブ・インテリアズの買収
  14. 味の素によるトルコの食品会社の買収
  15. 村田製作所による米のベンチャー企業の買収

M&A成功事例①:燦キャピタルマネージメントによる早稲田不動産管理の買収

2020年12月、燦キャピタルマネージメントが、早稲田不動産管理を買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京の早稲田不動産管理は、山林の売買・管理および土地造成業を専門に行っている会社です。

譲受側企業の概要

大阪の燦キャピタルマネージメントは、投資事業、ソリューション事業を中心に、それと並行してフィナンシャルアドバイス、M&Aなどの経営コンサルティング、事業会社のビジネスマッチングなどを行っています。

資本金は33億4,500万円、連結売上高は4億7,300万円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

燦キャピタルマネージメントが行っている投資事業には、クリーンエネルギー事業への投資も含まれています。そこで燦キャピタルマネージメントが着目したのは、早稲田不動産管理が持つ多くの山林でした。

それら山林を活用し地熱・バイオマス・マイクロ水力発電事業に参入するのを企図したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

燦キャピタルマネージメントは、株式譲渡により早稲田不動産管理の株式51%を取得し子会社化しました。取得価額は510万円です。

M&A成功事例②:ナルミヤ・インターナショナルによるLOVSTの買収

2020年12月、ナルミヤ・インターナショナルが、LOVSTを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のLOVSTは、子ども向け写真スタジオの経営・写真の販売事業を行っています。譲受企業であるナルミヤ・インターナショナルグループとは2018年に業務提携を締結し、3店舗の写真スタジオを展開してきました。

譲受側企業の概要

東京のナルミヤ・インターナショナルは、ベビー・子ども服の企画販売事業、オリジナル・ライセンスブランド展開による子ども服および関連製品の製造加工販売事業を行っています。資本金は2億5,509万円、売上高は295億1,100万円(2021年2月期)です。

M&Aの目的・背景

ナルミヤ・インターナショナルは、企業成長を図るために既存事業に加えて、子どもおよびその家族を対象にした各種サービス事業への参入を重要戦略として掲げています。その具体的な施策となり、シナジー効果も見込める事業として、LOVSTを傘下に加えたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

ナルミヤ・インターナショナルは、株式譲渡によりLOVSTの全ての株式を取得し完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

M&A成功事例③:テノ.ホールディングスによるオフィス・パレットの買収

2020年12月、テノ.ホールディングスが、オフィス・パレットを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

愛知のオフィス・パレットは、子育て支援事業(認可保育所の運営・ベビーシッター・英語教室など)を行ってきた会社です。具体的には同県名古屋市内で、認可保育所3施設と小規模認可保育所5施設を運営しています。

譲受側企業の概要

福岡のテノ.ホールディングスは、グループとして首都圏を中心に保育所「ほっぺるランド」を運営しています。資本金は9,000万円、連結売上高は107億7,800万円(2020年12月期)です。

M&Aの目的・背景

テノ.ホールディングスとしては、既存の保育事業拡大と愛知県といった新たな事業エリアの獲得ができることから、オフィス・パレットを子会社化しました。

M&Aのプロセス・スキーム

テノ.ホールディングスは、株式譲渡によりオフィス・パレットの全ての株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は8億500万円(アドバイザリー費用など含む)です。

M&A成功事例④:カクヤスグループによるダンガミの買収

2020年12月、カクヤスグループが、ダンガミを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

福岡のダンガミは、福岡県と長崎県を拠点にして業務用酒類販売と酒類一般小売を行っている企業です。一般小売は、福岡県で「酒のガリバー」10店舗を運営しています。

譲受側企業の概要

東京のカクヤスグループは、グループとして酒類小売チェーンストアの運営および顧客(一般および飲食店)への酒類配送業務を行っています。資本金は3億5,595万円、連結売上高は802億2,600万円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

カクヤスグループとしては、既存事業の規模拡大と福岡県と長崎県でのシェア拡大、全国展開への加速などがM&Aの目的です。

M&Aのプロセス・スキーム

カクヤスグループは、株式譲渡によりダンガミの株式を取得し子会社化しました。なお、取得株式数および取得価額は公表されていません。

M&A成功事例⑤:ベルーナによるマキシムの買収

2020年11月、ベルーナが、マキシムを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

兵庫のマキシムは、「KOBE LETTUCE/神戸レタス」その他のブランドを有するアパレル企業です。店舗販売も行っていますが、Eコマースでの事業展開で高いユーザー認知度を誇っています。

譲受側企業の概要

埼玉のベルーナは、総合通販事業、専門通販事業、店舗販売事業、ソリューション・ファイナンス・プロパティ事業などを行っていますが、主力は通販事業です。資本金は106億715万円、連結売上高は2,064億9,900万円(2021年3月期)でした。

M&Aの目的・背景

ベルーナの目的は、ネット通販の強化です。マキシムの持つ商品開発やマーケティングのノウハウを、自社グループのそれと共有化により、シナジー効果を得て企業価値向上につながると判断しました。顧客の相互活用も、両社にとって有効となるでしょう。

M&Aのプロセス・スキーム

ベルーナは、株式譲渡によりマキシムの全ての株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は16億5,000万円です。

M&A成功事例⑥:BsmoによるROXの買収

2020年11月、Bsmoが、ROXを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

神奈川のROXは、AIアプリケーション開発事業・データ解析事業・研修事業などを行っています。実店舗向け需要予測AIツール「AI Hawk」の提供が現在の中心事業でした。

譲受側企業の概要

東京のBsmoは、D2Cマーケティング事業、SNSを利用したグロースハック事業、インターネットに関わるコンサルティング業、イーコマース事業、インバウンドSNS運用事業、オウンドメディア事業を行っています。資本金は1億円です(売上高は非公開)。

M&Aの目的・背景

Bsmoは、SNSマーケティング事業としてグロースハックをワンストップで提供するなどしています。そこに、ITシステム開発を実行できるROXが加わることにより、開発スピード向上とケーパビリティ強化が見込め、企業成長が実現すると判断しました。

M&Aのプロセス・スキーム

Bsmoは、株式譲渡によりROXの全ての株式を取得し完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

M&A成功事例⑦:メディアドゥによるNagisaの買収

2020年10月、メディアドゥが、Nagisaを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のNagisaは、フリーミアム型マンガアプリの開発から運用・保守、2.5次元・声優に特化した動画配信サービスなどを行っています。これまでのスマートフォンアプリ市場での実績は、4,000万超ダウンロードです。

譲受側企業の概要

東京のメディアドゥは、デジタルコンテンツ流通・配信事業、システム開発・提供事業、メディアコンサルティング事業、出版者支援サービス事業、各種研究開発事業などを行っています。資本金18億9,900万円、連結売上高は835億4,000万円(2021年2月期)です。

M&Aの目的・背景

メディアドゥとしては、出版市場におけるデジタルトランスフォーメーション化への対応やマンガを含めたデジタルコンテンツ市場での業績拡大など、Nagisaがグループに加わることで企業価値向上が促進されると判断しました。

M&Aのプロセス・スキーム

メディアドゥは、株式譲渡によりNagisaの株式68.8%を取得し子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

M&A成功事例⑧:大和自動車交通によるトータルメンテナンスジャパンの買収

2020年10月、大和自動車交通が、トータルメンテナンスジャパンを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

東京のトータルメンテナンスジャパンは、ゴルフ場の施設(クラブハウスなど)メンテナンス業務、オフィスビルの清掃・メンテナンス業務などを行っています。

譲受側企業の概要

東京の大和自動車交通は、ハイヤー・タクシー事業と不動産事業を行っています。資本金は5億2,500万円、連結売上高は115億3,300万円(2021年3月期)です。

M&Aの目的・背景

大和自動車交通のM&Aの目的は、新規事業参入による事業の多角化にあります。トータルメンテナンスジャパンの行うゴルフ場などの施設メンテナンス業務への進出により、事業領域を拡張させてリスク分散と企業成長を図る考えです。

M&Aのプロセス・スキーム

大和自動車交通は、株式譲渡によりトータルメンテナンスジャパンの全ての株式を取得し完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

M&A成功事例⑨:クスリのアオキホールディングスによるフクヤの買収

2020年10月、クスリのアオキホールディングスが、フクヤを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

京都のフクヤは、舞鶴市・宮津市で食品スーパー8店舗を運営しています。

譲受側企業の概要

石川のクスリのアオキホールディングスは、北陸地方を中心にドラッグストア・調剤薬局の運営を全国展開で行っています。総運営店舗数は742店(2021年6月22日現在)です。資本金は11億62百万円、2020年5月期の連結売上高は3,001億7,300万円でした。

M&Aの目的・背景

クスリのアオキホールディングスとしては、未進出であった京都北部エリアへの進出が目的です。従来のドラッグストア・調剤薬局とは異なる食品スーパーを運営するフクヤであるからこそ、両社の利点を組み合わせることでシナジー効果が得られると判断しました。

M&Aのプロセス・スキーム

クスリのアオキホールディングスは、株式譲渡によりフクヤの全ての株式を取得し完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

M&A成功事例⑩:トレジャー・ファクトリーによるピックアップジャパンの買収

2020年10月、トレジャー・ファクトリーが、ピックアップジャパンを買収し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

静岡のピックアップジャパンは、総合リユースショップ・質屋の運営、ブランド・貴金属専門リユースショップの運営、時計・ジュエリーの修理などを静岡県内で12店舗の規模で行っています。

譲受側企業の概要

東京のトレジャー・ファクトリーは、リサイクルショップ「トレジャー・ファクトリー」の運営、リユース品のインターネット販売・買取、ファッションレンタルCariruの運営、トレファク引越の運営などを行っています。

資本金は5億2,100万円、連結売上高は187億3,500万円(2021年2月期)です。

M&Aの目的・背景

トレジャー・ファクトリーのM&Aの目的は、リユース事業の拡大でした。グループとして、静岡県のへの進出・シェア獲得にもなります。

M&Aのプロセス・スキーム

トレジャー・ファクトリーは、株式譲渡によりピックアップジャパンの全ての株式を取得し完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

M&A成功事例⑪:第一生命による豪州大手の生命保険会社の買収

2019年2月にクロージングをされた成功事例が、第一生命の豪州子会社・TAL Dai-ichi Life Australia Pty Limited(以下TAL)による、豪州のSuncorp Life & Superannuation Limited(以下Suncorp Life)の買収です。

譲渡側企業の概要

Suncorp Lifeは、豪州のSuncorp Group Ltdの連結子会社であるSuncorp Life Holdings Limitedが親会社の関係でした。Suncorp Lifeが行っていた事業は、生命保険および、その関連事業です。

設立は1996(平成8)年7月であり、2017年6月期に保険料などから得た収入は8億400万豪ドルでした。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は、豪州のTALです。日本企業である第一生命ホールディングスの子会社であり、生命保険や保険事業などを行っています。

2011年に資本金16億3,000万豪ドルで設立されており、2018年3月期に保険料などから得た収入は27億7,000万豪ドルです。豪州の保険市場において、1位のシェアを誇っているのです(2018年3月末時点)。

M&Aの目的・背景

TALがM&Aを行った目的は、生命保険の商品数増加と販売経路の拡大にあります。Suncorp Lifeは豪州Suncorp Group Ltdのグループ企業として、生命保険業を中核事業として展開していました。

自社の商品や自社の販売網では成長に限界があると判断して顧客の細かい要望に応えるため、Suncorp Lifeの買収を行っています。

M&Aのプロセス・スキーム

TALは、Suncorp Group Ltdの連結子会社であるSuncorp Life Holdings Limitedが持っていたSuncorp Lifeの全株式を買い取りました。買収価額は、6億4,000万豪ドルです。Suncorp Group Ltdとは、20年間の販売提携契約を結んでいます。

M&A成功事例⑫:シャープによる東芝パソコン事業の買収

2018年10月に行われたM&Aの成功事例として、シャープが、東芝の子会社・東芝クライアントソリューション(以下TCS)を買収した事例を取り上げます。シャープは東芝が所有するTCSの株式80.1%を40億500万円で買い取りました。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業であるTCSは東芝の子会社であり、パソコン・ソリューションシステム事業を国内外で展開しています。買収前となる2017年度の売上高は1,673億円(連結)、従業員数は2,400名(連結:2017年4月1日時点)です。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は日本企業であるシャープです。電子通信・電子機器・電子部品の製造と販売を行っています。国内外の関連会社を含めた従業員数は50,478名(2021年3月末現在)、2021年3月期の売上高は2兆4,259億1,000万円(連結)です。

M&Aの目的・背景

シャープがM&Aを行った目的は、自社の持つAIoTプラットフォームの強化にあります。TCSが開発・提供するパソコン機器やサービスとシャープのAIoT技術との組み合わせによって、世界市場におけるシェア獲得を目指したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

2018年9月の株式譲渡でシャープの子会社となったTCLは、2019年1月に社名をDynabookに変更しました。そして、2020年8月、東芝の持つ残りのDynabook株式19.9%もシャープが買い取り、これによりDynabookはシャープの完全子会社となったのです。

M&A成功事例⑬:旭化成による米のセージ・オートモーティブ・インテリアズの買収

2018年9月に行われたM&A成功事例として、旭化成によるアメリカのセージ・オートモーティブ・インテリアズの買収を取り上げます。

旭化成は、セージ・オートモーティブ・インテリアズの株式を所有するアメリカの投資会社クリアレイク・キャピタルから全株式を取得しました。買収額は、利子付きの負債を加えて10億6,000万ドルと発表されていました。

譲渡側企業の概要

譲渡企業であるアメリカのセージ・オートモーティブ・インテリアズは、革素材を中心に車内インテリア事業を手掛ける会社です。デザイン・品質・機能性に優れた製品を提供しており、織物・編物で作られたシートでは世界一のシェアを誇っています。

買収前となる2017年12月期の売上高は4億7,490万ドル、従業員数は約2,200名(連結・2018日3月31日時点)です。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は日本の旭化成であり、国内外に事業所を置く大企業です。住宅・建材・繊維・エレクトロニクス事業を展開するほか、新薬・医療機器や関連する医療機器のシステム開発も手掛けています。

2021年度3月期の連結売上高は2兆1,060億5,100万円、従業員数は44,497人(2021年3月31日現在)です。

M&Aの目的・背景

旭化成がM&Aを行った目的は、マテリアル事業の拡大にあります。自動車産業は今後も成長が予想されるといった判断のもと、中長期計画で掲げた自動車メーカーとの関係強化を求めていました。

こうした状況の中で、セージ・オートモーティブ・インテリアズを買収しています。対象事業を取り込むことで自動車市場の動きをいち早くつかむほか、自動車内装に自社の素材・技術を加えることで付加価値の高い製品・サービスを提供する狙いです。

M&Aのプロセス・スキーム

旭化成は、セージ・オートモーティブ・インテリアズへ働きかけ、交渉により買収を成功させています。2017年10月から交渉を進め、2018年7月に合意に至りました。買収が交渉で可能だった理由は、従来から取引関係にあったためです。

M&A成功事例⑭:味の素によるトルコの食品会社の買収

複合的なM&A成功事例として、味の素がトルコで行った2社の買収とそれらの統合を取り上げます。複数年をかけて行われた味の素のトルコ進出は、最終的に2018(平成30)年7月、設立した新会社へ統合が決定しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は2つあります。1社目はキュクレ食品であり、トルコで液体調味料やピクルスなどの製造・販売を手掛けている会社です。2社目の企業はオルゲン食品であり、粉末調味料・粉末スープ・デザートなど加工食品の製造や販売を行っています。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は、日本企業である味の素です。有名な味の素をはじめとする調味料のほか、インスタント食品・飲料・健康食品などの製造・販売を行っています。

味の素は35の国・地域に事業所を置いており、従業員数は32,509名 (連結:2020年3月31日現在)、2021年3月期の連結売上高は1兆714億5,300万円です。

M&Aの目的・背景

日本の大企業である味の素がM&Aを行った目的は、トルコを中心とした中東での事業の拡大にあります。キュクレ食品・オルゲン食品の販売網や収集・解析したマーケティングを利用して、事業の強化を図りました。

自社技術を活用した新製品開発のほか、中東エリアに向けた商品の輸出力向上も狙っています。

M&Aのプロセス・スキーム

まず味の素は、2011(平成23)年7月、トルコにイスタンブール味の素食品販売を設立します。そして、トルコでの事業拡大を目指し、2013(平成25)年にはキュクレ食品の株式を50%、2017年8月には100%の株式を取得しました。

2017年4月にはオルゲン食品の株式100%を取得し、同じく子会社化しています。そして、2018年7月、新たにイスタンブール味の素食品を設立し、上記3社を統合したのです。

M&A成功事例⑮:村田製作所による米のベンチャー企業の買収

2017年10月、村田製作所はアメリカのヴァイオス・メディカルを買収しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は、アメリカのヴァイオス・メディカルです。医療機器の開発を手掛けるベンチャーであり、IoTを駆使した院内・患者の監視システムや胸部に取りつけるワイヤレスセンサーの開発(呼吸数・心拍数・姿勢などのモニター)を行っています。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は、日本企業である村田製作所です。主にセラミックスを用いた電子部品の研究・製造・販売などを行っています。会社の連結売上高は1兆6,301億9,300万円 (2021年3月期)、従業員を75,184名 (連結:2021年3月31日現在)抱える大企業です。

M&Aの目的・背景

村田製作所が行ったM&Aの目的は、安定した収入の獲得にあります。村田製作所が取り組む電子部品業は市場の影響を受けやすいため、収益が安定している医療機器の会社・ヴァイオス・メディカルの買収を行いました。

M&Aのプロセス・スキーム

村田製作所は、買収で114億円を支払い、ヴァイオス・メディカルを完全子会社しました。M&A手法は現地の子会社を通じた買収・三角合併です。

ヴァイオス・メディカルの大株主は売却を受け入れる代わりに、所有する自社株50万株強分の現金およそ29億円を得ています。

主要製品と見込まれる医療用の小型センサーは、米食品医薬品局(FDA)から製造認可を受けたばかりであり、数年後の販売を目標としたために買収時点ではインドなどの現場で試験を実施している状況です。

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4. M&A成功事例5選!~日本の大企業のシナジー効果〜

ここでは日本の大企業が行ったM&Aから、シナジー効果を生んだ5つの事例を紹介します。企業買収では、販売ノウハウ・販売網・設備などを共有するほか、大量生産によるコストダウンを図れるため、お互いの企業に利益がもたらされるケースが多いのです。
 

  1. 日本電産による買収
  2. 大正製薬による買収
  3. 楽天による買収
  4. ソフトバンクグループによる買収
  5. JTによる買収

M&A成功事例①:日本電産による買収

シナジー効果を生んだM&Aの1つ目の成功事例として、2017年2月に日本電産が行ったEmerson Electric Co.(以下エマソン・エレクトリック)のモータ・ドライブ・発電事業の買収を取り上げます。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業であるアメリカのエマソン・エレクトリックは、電気や電子部品の開発・製造・販売を手掛けています。産業向けのほか一般向けにもサービスを提供しており、売上高は2015(平成27)年9月期時点で223億400万ドルです。

譲受側企業の概要

譲受側の企業である日本電産は、小型・大型モータや精密機器や電子部品などの製造・販売を行う大企業です。1980年代からM&Aを実施しており、自社の技術力と買収によって業績を伸ばしてきました。

2021年3月期の連結売上高は1兆6,180億6,400万円、従業員数は117,206名(連結:2020年3月末現在)です。

M&Aの目的・背景

エマソン・エレクトリックの事業を買収した目的は、産業・商業用事業の成長力向上にあります。本件買収前にも2社の企業を買い取っており、世界市場でも基盤を固め、取扱い製品の拡充を行っていました。

本件買収も、成長戦略を進めるための買収といえます。エマソン・エレクトリックは、ヨーロッパと北米に強固な地盤を持つ企業です。

買収を実行に移すことで、該当エリアでの販売事業を獲得して、自社製品と絡めた製品の提供と細かなニーズに応えられる体制を整えました。日本電産は、買収を行うことで関連商品の購入によるシナジーを期待したのです。

M&A成功事例②:大正製薬による買収

成功事例の2つ目として、2016年12月に大正製薬がドクタープログラムを買収した事例を紹介します。本件買収では、大正製薬がドクタープログラムの株式を全て取得して完全子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は日本のドクタープログラムです。美肌をつくる基礎化粧品の開発と販売を手掛けています。買収前である2016年3月期の売上高は1,285百万円であり、従業員数38名の中小企業でした。

譲受側企業の概要

譲受側企業は日本の大正製薬であり、消費者の健康維持を目的としたセルフメディケーション事業や新薬の開発・医薬品の販売事業を行う大企業です。2021年3月期の売上高は1,901億5,600万円、従業員数は2,885人(2021年3月31日現在)となっています。

M&Aの目的・背景

大正製薬がM&Aを行った目的は、通信販売・スキンケア事業の拡大にあります。大正製薬は、セルフメディケーション事業を成長させるために、通信販売の拡充を目標に据えていました。

スキンケア事業は、自社のセルフメディケーション事業と既存製品のシェア獲得で培ったノウハウを生かせると判断しています。対象事業の買収により、短期間での成長が見込めると考えました。他にも、販売網やノウハウの共有によるシナジー効果も期待されています。

M&A成功事例③:楽天による買収

3つ目の成功事例として、楽天が行った買収を紹介します。2016年9月、楽天は、フリマアプリサービスを提供するFablicを買収しました。楽天は、Fablicが発行している株式を全て取得して完全子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は日本のFablicであり、個人間の売り買いをサポートするフリマ型の事業を手掛けていました。2017年には日本初となるフリマアプリ「フリル」の提供を開始しており、女性が好む商品を多く取り扱うことで若い年齢層から支持を集めていた企業です。

譲受側企業の概要

譲受側の企業は、日本の楽天です。楽天市場を中心としたインターネットサービスのほか、金融サービスやスポーツ事業などにも取り組んでいます。

2000(平成12)年には店頭上場を果たしており、30の国と地域にサービスを提供するなどグローバルな事業展開を進める大企業です。社内の公用語は英語としており、従業員は連結で23,841名(2020年12月31日現在)が在籍しています。

M&Aの目的・背景

楽天がM&Aを行った目的は、個人間取引の事業強化にあります。M&Aに至った背景としては、フリルが抱える客層の獲得です。楽天はさまざまなジャンルの商品を取り扱っていましたが、特化したジャンルを持っていませんでした。

今後の事業拡大には、500万人を超えるユーザーと女性の支持が必要と考えたために、フリルを買収したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

楽天は、自社のフリマサービス「ラクマ」と買収した「フリル」の顧客による相互利用でシナジー効果が得られると期待しました。楽天の予測は見事に当たり、2017年の流通総額は約1,400億円に達しています。

そして、2018年7月、楽天を存続会社とする吸収合併をFablicとの間で行いました。

M&A成功事例④:ソフトバンクグループによる買収

4つ目の成功事例として、ソフトバンクグループによる買収を紹介します。2013年7月、ソフトバンクグループは、アメリカのスプリント・ネクステル・コーポレーションが所有する事業を買収しました。買収額は約1兆8,000億円です。

このM&Aにより、スプリント株の約78%を取得して子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側の企業は、アメリカのスプリント・ネクステル・コーポレーションです。携帯電話や長距離通信事業を行っています。買収前の資本金は、60億1,900万ドル(2012年12月31日時点)でした。

譲受側企業の概要

譲受側企業は日本の大企業であるソフトバンクグループであり、自社では事業を行わない純粋持株会社です。子会社が行う事業には、日本やアメリカでの通信事業・インターネット広告・Eコマースなどがあります。従業員数は58,786名(連結:2021年3月末現在)です。

M&Aの目的・背景

ソフトバンクグループがM&Aを行った目的は、世界における事業基盤の確保と買収事業の強化を図る点にあります。自社の経験を生かせば、アメリカにおけるスプリントの通信事業を強化できると考えました。

ソフトバンクグループは固定通信から移動通信への移り変わりを予測しており、2004(平成16)年には日本テレコムを、2006年にはボーダフォン日本法人をそれぞれ買収しています。

ソフトバンクグループは、日本で培った経験を海外事業に生かせると踏んでアメリカへの参入を決めたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

ソフトバンクグループはスプリントを買収したことで、日本とアメリカで顧客数トップに躍り出ました(日米合算値)。移動体通信事業の売上高は世界第3位となっており、2014(平成26)年3月期の決算では前期に比べて売上高が3兆4,641億1,500万円も増加しています。

このうち、スプリント買収による効果は2兆6,010億3,100万円です。2018年3月期には、売上高を3兆6,019億6,100万円まで伸ばしています。ソフトバンクグループは、買収によって十分なシナジー効果を得ているといえるでしょう。

M&A成功事例⑤:JTによる買収

日本の大企業がM&Aによるシナジー効果を得られた事例の1つに、JTによる買収も挙げられます。大企業であるJTは、1999(平成11)年5月に米RJRナビスコの米国外たばこ事業を買収し、2007年4月にはイギリスのギャラハーをM&Aによって獲得しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業の1社目はアメリカのRJRナビスコホールディングスであり、たばこをはじめスナック・ビスケットなど食料品の製造・販売を行う会社です。

2社目はイギリスのギャラハーであり、タバコの製造・販売事業を展開してヨーロッパ・アフリカ・中央アジアなどで販売していました。買収当時は、紙タバコの販売数で世界第5位に位置していた大企業です。

譲受側企業の概要

JT(日本たばこ産業)は、たばこ事業を中心とする日本の大企業です。海外に数多くの子会社を置いており、従業員を58,300名(連結:2020年12月31日現在)抱えています。紙タバコにおける世界シェアは第4位であり、日本では第1位でした。

2020年12月期の連結売上高は、2兆925億6,100万円と発表されています。

M&Aの目的・背景

JTがアメリカおよびヨーロッパ市場で買収を行った目的は、市場とシェアの拡大にあります。海外の既存企業を買収してブランド力・販売網・ノウハウなどを共有し、コスト削減や自社のブランドと技術との融合によるシナジー効果獲得を狙いました。

近年は、電子タバコへの進出が遅れたことで株価の低迷を受けていたため、海外市場のブランド強化や新興市場におけるシェア獲得に狙いを定めています。

2016年から2017年にかけては、アメリカのNatural American SpiritやロシアのJSC Donskoy Tabakを買収しており、高価格帯・低価格帯の市場を強化しました。

新興市場に対しては、エチオピア・インドネシア・フィリピン・バングラデシュなど、アフリカ・東南アジアにおけるシェア獲得を図っています。

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5. 日本のM&A成功事例5選!~大企業の大型買収〜

ここでは、日本の大企業が行った大型買収事例を5件、紹介します。M&Aが成功した要因はどのような点にあったのか、買収企業や買収目的などから成功につなげたプロセスを確認しましょう。

  1. ビックカメラによるエスケーサービスの完全子会社化
  2. 住友重機械工業によるイタリアの機械メーカーの買収
  3. マネックスグループによるコインチェックの買収
  4. ソニーによる米国Funimationの子会社化
  5. りそな銀行によるAFC Merchant Bankの全株式取得

M&A成功事例①:ビックカメラによるエスケーサービスの完全子会社化

1つ目の成功事例として、ビックカメラによる株式取得を紹介します。2018年8月、ビックカメラは、エスケーサービスを完全子会社化しました。取引には簡易株式交換の手法が用いられました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は日本のエスケーサービスであり、家電の配送・製品の納品・産業廃棄物の収集・運搬のほか、家電の取り付け工事などを行っています。買収前である2017年6月期の売上高は24億8,400万円、純資産として2億1,400万円を計上した中小企業です。

譲受側企業の概要

譲渡側企業は日本で事業を行うビックカメラであり、家電製品や白物家電などを販売しています。ビックカメラは、店舗販売のほかネットを通じた通販事業も展開する会社です。

2020年8月期の連結売上高は8,479億500万円であり、社員を9,024名(連結:2020年8月31日時点)抱える有名な家電量販店となっています。

M&Aの目的・背景

ビックカメラが株式交換を行った目的は、配送サービスの向上にあります。エスケーサービスは、首都圏を中心に家電の配送と家電工事を行っている会社でした。自社店舗でエスケーサービスに業務を任せることで、配送サービスの質を向上できると見込んだのです。

家電の取り付け工事も任せられるため、配送から設置に至るまでトータルでカバーでき、販売・配送・取り付けまでの一貫したサービス提供によって利用客増加を図れると考えました。

M&Aのプロセス・スキーム

株式交換比率は、ビックカメラ対エスケーサービスで1:301の割合です。比率を決定する際には第三者機関に算定を依頼しており、示された数字をエスケーサービス側に提示し合意を得たうえで株式交換比率を決めました。

M&A成功事例②:住友重機械工業によるイタリアの機械メーカーの買収

2つ目の成功事例として、住友重機械工業による株式取得を紹介します。2018年6月、住友重機械工業は、イタリア企業Lafert S.p.Aの株を取得しました。この株式取得により、Lafert S.p.A.を子会社化しました。

取得額は213憶5,600万円ですが、株式取得時には追加の支払いを盛り込みました。追加支払いの限度額は7億6,900万円としており、2019〜2020年の業績を鑑みてLafert S.p.A.に支払われます。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業はイタリアのLafert S.p.A.であり、産業用のモータ・モーションコントロールの製造や販売を手掛けています。一部機械では顧客の要望に応えた製品を提供しており、機械の自動化や省エネルギー化を進める会社です。

買収前である2017年の売上高は約200億円であり、2017年9月時点の従業員数は796人でした。イタリアのほか、スロベニアや中国にも製造拠点を置いています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の総合機械メーカーである住友重機械工業です。精密・産業・建設機械の製造や、船舶の建造・販売などを行っています。2021年3月期の連結売上高は8,490億6,500万円、従業員を24,050名(2021年3月31日現在)抱える大企業です。

M&Aの目的・背景

住友重機械工業による株式取得の目的は、顧客満足度の向上・ヨーロッパ市場の強化・技術の共有によるシナジー効果獲得などにあります。Lafert S.p.A.はヨーロッパの広大な市場において、顧客との強いつながりを形成していました。

顧客の求めに応じたカスタム品の提供も行えるほど高い技術力を持っています。住友重機械工業はこのM&Aにより、満足度の高い製品や特殊な機器の提供だけでなく、ヨーロッパにおける生産拠点の確保・技術の向上・事業領域の拡大などを進めようとしました。

M&A成功事例③:マネックスグループによるコインチェックの買収

3つ目の成功事例として、マネックスグループによる買収を紹介します。2018年4月、マネックスグループは、仮想通貨の取引業を行うコインチェックを買収しました。買収額は36億円であり、株式を全て取得してコインチェックを完全子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、有名な仮想通貨「ビットコイン」の取引所などを運営する日本のコインチェックです。2017年にはビットコインの取引高で日本一を記録しています。買収前には、社員105名で事業を行っていました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は日本のマネックスグループであり、金融事業会社の株式を所有する持株会社です。傘下の企業には国内外で事業を営むネット証券があり、ベンチャー企業への投資事業などを行っています。2021年3月期の連結売上高は779億500万円です。

M&Aの目的・背景

マネックスグループがM&Aにより株式を取得した目的は、仮想通貨交換業に将来性を見いだした点にあります。成長が見込める仮想通貨の交換業から、特に利用者の多いコインチェックを買収先に選びました。

自社の知識や経験とコインチェック側が持つ仮想通貨ノウハウの融合により、成長を早められると考えています。仮想通貨NEMの不正送金も、自社の金融業で培った管理能力や顧客へのサポート力により、継続した仮想通貨の交換業が営めると発表しました。

M&Aのプロセス・スキーム

マネックスグループは、コインチェックに対して条件付きで追加の対価支払いを行います。支払額の上限は、2021年3月までの3年間に計上された純利益の合計額の半分としました。リスクが生じる可能性を鑑みたうえで、追加による支払いを取引条件に加えています。

M&A成功事例④:ソニーによる米国Funimationの子会社化

4つ目の成功事例として、ソニー(Sony Pictures Television Networks)が行った買収を紹介します。2017年8月、Sony Pictures Television Networksは、Funimation Productions, Ltd.を買収しました。

売却される株式は全体の95%に及び、売却額は約165億円と発表されています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業はアメリカのFunimation Productions, Ltd.であり、英語版のアニメなどを配給する会社です。日本アニメのライセンスや多数のタイトルを抱えており、北米エリアでは有名な配給会社として知られています。

数ある事業の中でも、特にストリーミング配信サービス「FunimationNOW」が有名です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、Sony Pictures Television Networksです。アメリカ企業であるSony Pictures Television  Inc.が抱える1つの部門に位置しています。

展開する事業はテレビチャンネルの運営であり、世界各国に拠点を置いて親会社であるソニー・ピクチャーズエンタテインメントの番組や他社の番組・映画などの配信を行っている会社です。

M&Aの目的・背景

Sony Pictures Television NetworksがM&Aによる株式取得を行った目的は、アニメ配信先の増加にあります。

買収したFunimation Productions, Ltd.は、さまざまな媒体でアニメ配信事業を展開しており、PlayStation®Store・Google Play・Amazon Appsのほか、モバイル端末で視聴できる「FunimationNOW」などの配信サービスも手掛けている会社です。

Sony Pictures Television Networksは、これらの媒体を利用して、さらにサービスの利用者拡大を図れると考えました。

Funimation Productions, Ltd.も買収側が展開する媒体を利用して顧客を増やせると判断しており、テレビやデジタルチャンネルのサービス強化を図ったために、M&Aによる買収が成立しています。

M&A成功事例⑤:りそな銀行によるAFC Merchant Bankの全株式取得

日本の大企業による成功事例の5つ目として、2017年7月のりそな銀行によるシンガポールのAFC Merchant Banの買収を紹介します。本件買収では、全ての株式を取得して完全子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、シンガポールに拠点を置くAFC Merchant Bankです。東南アジアのシンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンの金融会社が中心となり設立されました。資本金は、約55億3,700万円です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本のりそな銀行です。りそなホールディングスの子会社であり、有人店舗数326店、店舗外ATMは556カ所、設置しています(2021年4月1日現在)。

M&Aの目的・背景

りそな銀行が買収を行った目的は、日系企業に対する金融サービスの提供にあります。アジア地域ではインドネシア・シンガポール・バンコック・ホーチミン・上海・香港に事務所を置いていますが、東南アジアまでサポートが行き届いていない状況にありました。

AFC Merchant Bankの買収により、シンガポールを中心に、マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンへの金融サービスを提供しています。

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6. 中小企業のM&A成功事例20選

ここでは、中小企業によるM&Aの成功事例20件を紹介します。

  1. 多角化を目指したM&A成功事例
  2. 垂直統合を図ったM&成功A事例
  3. 事業譲渡を実現したM&A成功事例
  4. 事業承継せずM&Aを選んだ成功事例
  5. 家庭の都合をM&Aで解決した事例
  6. ITシステム開発会社のM&A成功事例
  7. 運送業のM&A成功事例
  8. 金属プレス加工メーカー同士のM&A成功事例
  9. 飲食事業のM&A成功事例
  10. 異業種へのM&A成功事例
  11. 印刷業のM&A成功事例
  12. 警備事業と人材サービス業のM&A成功事例
  13. 織物メーカー業とECサイトのM&A成功事例
  14. 金融システム開発とその他システム開発のM&A成功事例
  15. 総合リユース業とゲームアプリ開発のM&A成功事例
  16. システム開発のM&A成功事例
  17. 工業メーカーのM&A成功事例
  18. 学習塾のM&A成功事例
  19. 飲食業と教育業のM&A成功事例
  20. 運送業と通信・電子機器製造業のM&A成功事例

①多角化を目指したM&A成功事例

M&Aの仲介業者を間に入れた中小企業の成功事例を紹介します。合成樹脂材料と製品販売を行うA社は、男性用のカジュアルシャツを製造するB社を買収しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業であるB社は、中部地区で男性用のカジュアルシャツを製造する中小企業です。資本金は4,000万円で、売上高は20億円ほどの規模を持っています。抱える従業員は20名であり、経営者が高齢のために後継者を社外に求めていました。

譲受側企業の概要

譲渡側企業のA社は、中部地区で合成樹脂材料および製品の販売を行う中小企業です。資本金は3,000万円、売上高は100億円程度の商社であり、アパレルに関連した事業を拡大する目的のもと買収先企業を探していました。

M&Aの目的・背景

B社はM&Aの仲介業者に依頼して、事業承継が行える譲渡先を探しました。該当する会社が見つかり交渉を進めましたが、社内整備などが行えないことを理由に中止していたのです。

その一方でA社は、アパレル事業の買収先を求めていました。仲介業者から両社が引き合わされたことで交渉がスタートし、基本合意・デューデリジェンスを経て譲渡契約に至っています。

M&Aのプロセス・スキーム

A社はB社の株式を全て取得しており、B社の取引先・従業員・不動産をそのまま引き継ぎました。B社のオーナーは、引き継ぎ後に社長職を引退しています。

B社の社員たちからの反発を予想したため、B社の営業部長を取締役に据えたうえで、A社の社長がB社の代表取締役として就任しました。

わずか2カ月ほどで譲渡契約に至った理由は、オーナーを除いた株主たちに作成してもらった株式譲渡の委任状があったためです。交渉する人物をオーナーに限定したため、長期間に及ぶ交渉を避けられました。

②垂直統合を図ったM&A成功事例

M&Aにより製造品の一貫した供給体制を整えた事例を紹介します。遊戯機器の製造・販売を行うC社は、ソフトウエア開発を事業とするD社を買収しました。C社は、M&Aにより株式の全てを取得したうえで、D社を子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、九州に拠点を置くD社です。事業内容はソフトウエア開発であり、大手からの受注を受けて事業を行っています。資本金は2,000万円で、売上高は1億5,000万円でした。20人の従業員で構成される中小企業です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は関東で事業を営むC社であり、遊戯機器の製造と販売を行っています。資本金は5,000万円で、売上高はおよそ250億円、150人の従業員を擁する中小企業です。

M&Aの目的・背景

D社は安定した経営を目指すべく一度、大手のグループ傘下に入る資本提携を行っていました。しかし、求めていた受注量・受注環境に至らなかったため提携を解消しており、新たな提携先を探しています。

C社は企業の成長を図るため、機械の製造・開発に加えて、システム開発事業への進出を検討していました。ソフトウエア開発から製品製造までを一貫して行えれば、フレキシブルな対応ができると判断しました。

M&Aのプロセス・スキーム

D社は新たな提携先を求め仲介業者へ依頼して数社と交渉を行いましたが、条件が合わずにいました。そこへ九州に関連会社を持つC社と出会って交渉を開始し、現地への視察などを経て譲渡契約を結んでいます。

契約が合意に至った理由は、両者の求める条件にありました。D社の経営者は引退には若い年齢であり、譲渡後も経営に携わりたいとしている人物です。

C社は経営権の獲得を希望していましたが、雇用継続する社員たちや取引先との関係などを鑑みて、買収後もD社の経営者に会社のかじ取りを任せたいと考えました。そのため、交渉やデューデリジェンスも滞りなく進み、譲渡契約を完了させています。

③事業譲渡を実現したM&A成功事例

M&Aによる事業譲渡事例を紹介します。通信・電子機器の販売を行うE社は、飲食業を展開するF社から一部店舗を事業譲渡によって取得しました。

譲渡された事業はE社が出資する100%子会社へ移されたうえで、事業の継続が決まっています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、東京に拠点を構える飲食店のF社です。複数の店舗を経営しており、和食ジャンルを中心に出店を行ってきました。売上高は3億円で、10人の従業員を抱える中小企業です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は関東を中心に通信・電子機器を販売するE社であり、携帯・PCの販売により事業拡大を行ってきました。売上高はおよそ100億円で、従業員の数は200名です。

M&Aの目的・背景

F社は、出店場所の選択や外食産業の好調な流れに乗って店舗数を増やしていました。しかし、度重なる出店により開業資金などの借金がかさんだことで、苦しい財政事情を抱えていたのです。

その一方で、E社は事業の多角化に乗り出しており、通信・電子機器の販売のほかにサービス業への進出を画策していました。これまでの経営スキルを生かせるとして、飲食業の買収を検討していたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

はじめに、F社がM&A仲介業者に対して相談を持ちかけました。希望する条件(譲渡する店舗はシナジー効果への関与が少ないところ)を提示して、買収側の登場を待ったのです。

いち早く名乗りを上げたE社とコンタクトを取ったことで、交渉を開始しました。F社は一刻も早く資金を調達したかったため、E社とのみ交渉を進めています。

条件の折り合いがついたことで、事業譲渡契約を締結しました。設備・在庫・資産を引き継いだうえで、従業員の雇用・取引先との契約を改めて結び直しています。

④事業承継せずM&Aを選んだ成功事例

事業承継せずM&Aを選んだ事例を紹介します。金属加工業を営むG社は、地方進出と工場の拡大を検討する同業大手のH社へ会社を売却しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、金属加工業のG社です。顧客の要望に合わせた製品の加工により、生産数を抑えた製品づくりを行ってきました。G社は周囲の工場からの信頼が厚く、強い経営地盤が確立されていた会社です。

譲受側企業の概要

買収側の企業は大手の金属加工H社であり、G社と同じ事業を展開しています。

M&Aの目的・背景

G社の経営者は、後継者を見つけられずにいました。子どもたちはそれぞれ独立して自身は還暦を迎えており、経理を担当していた妻が体を壊したことでM&Aによる買収を検討していたのです。H社は、事業拡大のため、地方に新たな工場の設置を考えていました。

M&Aのプロセス・スキーム

G社は、会社の売却先を求めて信用金庫へ相談して候補者を探しました。しかし、なかなか見つからず、1年半後にようやくH社と出会ったのです。交渉から契約まではスムーズに進み、短期間での売却が完了しました。

従業員の雇用と取引先との関係も継続させています。H社が提供する職場環境や待遇によって従業員に良い環境を与えられたほか、懇意にする取引先への影響もありませんでした。

会社の売却が成立した要因は、G社が所有する金属加工の技術にあります。廃業を考えていても必要とする第三者が見つけてくれれば、会社売却は可能なのです。

⑤家庭の都合をM&Aで解決した事例

家庭の事情によりM&Aを選択した事例を紹介します。ネイルサロンを経営するI社は、健康食品を販売するJ社に対して会社売却を行いました。会社の売却には、株式譲渡が選ばれています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、東京でネイルサロンを運営するI社です。売上高1億5,000万円の中小企業であり、会社の経営者は既婚者で子どもを抱える主婦でした。

譲受側企業の概要

会社を買収した企業は、東京で健康食品の販売業を営む中小企業J社です。

M&Aの目的・背景

I社の経営者は、第2子の出産を望んでいました。そこへ夫の転勤が重なり、家庭と事業の両立は不可能と判断したため、M&Aによる会社売却を希望したのです。

J社は、健康食品の販売のほかにネイルサロン業への事業進出を検討していました。自社で新たに事業をはじめるよりもリスクの少ないM&Aを希望し、買収先を探していたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

I社は、M&Aの仲介業者に会社売却を相談しました。提示した条件は、従業員に対するきめ細かな対応・スムーズな売却・譲渡額の下限を提示するなどです。

その後、仲介業者を通じてJ社が紹介されました。I社の条件に合致したことで売却が決定し、契約締結までの期間は約2カ月と短期間での会社売却を実現しています。

⑥ITシステム開発会社のM&A成功事例

独立会社であるK社が、持株会社であるL社に株式譲渡した事例です。

譲渡側企業の概要

K社は、広島県でITシステム開発を行っている会社です。

譲受側企業の概要

L社は、傘下にインフラ系のシステム開発会社4社と複数事業を展開する事業会社6社を持つ持株会社でした。

M&Aの目的・背景

K社の目的は、M&Aによる事業承継です。一方、L社は事業の拡大・拡張を目的に、傘下に加える新たな事業会社を探していました。

M&Aのプロセス・スキーム

株式譲渡によって、K社はL社の傘下に加わりました。L社では、グループ横断でプラットフォームを構築する新事業展開に向け、K社の開発力に期待しています。

⑦運送業のM&A成功事例

運送業者であるM社とN社による、M&Aの成功事例です。

譲渡側企業の概要

1984年創業のM社は有限会社で、輸出入貨物・産業廃棄物の処理・事務所の移転・引越などを請け負う運送業を行っています。当時の経営者は2代目でした。

譲受側企業の概要

N社は、運送業者として海上・航空輸送、通関ロジスティクスサービスを行っている会社です。

M&Aの目的・背景

M社の経営者は間もなく70歳と高齢であるにもかかわらず、後継者不在の状態が続いていました。そこで、M&Aによる事業承継を決断したのです。N社は事業拡大のため、同業者を探している最中であり、両社の思惑が合致しました。

M&Aのプロセス・スキーム

M社とN社は、M&Aのマッチングサイトで出会っています。交渉後、株式譲渡を実施しM&Aが成立しました。

⑧金属プレス加工メーカー同士のM&A成功事例

ともに金属プレス加工を行っているO社とP社によるM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

O社は、埼玉県で金属プレス加工を行っている会社です。

譲受側企業の概要

P社は、千葉県で金属プレス加工を行っている会社でした。

M&Aの目的・背景

O社の経営者は年齢が70代に達しており、近々引退するのを決定しましたが、後継者不在での廃業を免れるため、M&Aによる事業承継を決意しました。P社は、事業を拡大し会社を成長させるためにM&Aでの規模拡張を図ったのです。

M&Aのプロセス・スキーム

O社とP社もマッチングサイトにより、めぐり会っています。交渉後、株式譲渡が成立し、O社はP社の子会社となりました。O社の社名は、そのまま継続されています。

⑨飲食事業のM&A成功事例

飲食事業を行ってきたQ社とR社によるM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

Q社は、本場インド料理店7店舗を運営しています。

譲受側企業の概要

R社は、カレー・チェーン店の運営、カレー商品の開発・販売を行っている会社でした。

M&Aの目的・背景

Q社は、手作りの自社商品をデパートなどに卸していましたが、売れ行きは不調でした。そのため、販売力のある相手に、自社工場を含めて事業ごと売却するのを決意したのです。

一方、R社は、インドカレー事業をブランド展開する中で、ハラール料理に対応できる工場を探していました。Q社の工場はハラール料理に対応可能であり、両社のマッチングが実現したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

Q社の自社工場と展開する商品を含めた事業譲渡が、R社との間で締結されています。

⑩異業種へのM&A成功事例

旅館Sと写真スタジオTによる異業種間のM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

旅館Sは、静岡県の伊豆地方にある旅館です。予約が取れない旅館として、旅行好きには知られた存在でした。

譲受側企業の概要

写真スタジオTは、写真スタジオだけでなく、結婚式場の運営も行っています。

M&Aの目的・背景

旅館SのM&Aの目的は、後継者不在によるM&Aでの事業承継です。一方、写真スタジオTは、結婚式場運営事業の業績が減少してきており、思い切って異業種への転換を決意しました。

M&Aのプロセス・スキーム

旅館Sは旅館業について、事業譲渡のスキーム(手法)で写真スタジオTと成約しました。M&A後、写真スタジオTは、通常の旅館業だけでなく、旅館全体を使った結婚式の運営や、旅館にウエディングフォトスタジオを設営するなど、事業が成功しています。

⑪印刷業のM&A成功事例

印刷業を行ってきたA社とS社によるM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手は、富山県で各種販促物や書籍などの企画から企画・印刷のサービスを手がけるA社でした。

譲受側企業の概要

買い手は、福岡県で一般商業印刷業を主軸に運営するS社です。

M&Aの目的・背景

売り手であるA社の経営者自身の高齢化にともない、事業承継を検討していました。しかし、子供や従業員には後継者になりたいといった人材がいませんでした。

A社は社員の雇用を継続するためにも、廃業ではなく第三者に対する事業承継M&Aを検討したのです。一方、買い手であるS社がM&Aを行った目的は、売上の増大です。

A社は公共の仕事を多く手掛けており、S社は顧客層の拡大によってシナジーを生み出せると期待し、M&Aを実施しました。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aは、株式譲渡の手法で行われました。A社は、経営者が従業員に対してM&Aを実施予定であるのを公表しており、従業員からの理解もスムーズに得られたのです。

一方、S社はM&A実施後、社内組織図の明確化や、ルールの明文化などを地道に行い、経営の統合を進めました。双方の経営者の積極的な行動により、経営統合がスムーズに進んだ事例といえるでしょう。

⑫警備事業と人材サービス業のM&A成功事例

警備事業N社と人材サービス業のR社によるM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手は、愛知県で施設の常駐警備事業をメインに行っているR社でした。

譲受側企業の概要

買い手は、紹介予定派遣・人材派遣など、総合人材サービス業を行っているN社です。

M&Aの目的・背景

売り手であるR社は、経営者の高齢化に伴い、事業承継を行う目的で会社売却を行いました。一方、買い手のN社は、自社の求人サイトの登録者の働き先を確保するために、警備事業を手がけるR社を買収したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

R社は株式譲渡の手法を用いて、N社の会社売却を実施しました。R社の経営者は、M&Aが終了した時点で引退を予定していましたが、N社の要望により社長業を継続しています。

⑬織物メーカー業とECサイトのM&A成功事例

織物メーカー業のM社とECサイトA社のM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手は、ネイルチップの販売サイトを行っているA社でした。

譲受側企業の概要


買い手は、石川県に拠点のある織物メーカーM社です。

M&Aの目的・背景

売り手であるA社は、事業の選択と集中のために事業売却を行いました。一方、買い手であるM社は、織物メーカーでありながらも、デジタルマーケティングを強みとした子会社を保有していたのです。

A社は、ECサイトに関するノウハウやリスティング、SEO対策の強みがあります。そのため、M社は、A社の買収によってシナジー効果を得ようとしました。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aは、事業譲渡の手法で実施されました。M社はM&A後にコスト削減を実施し、短期間で利益率を改善したのです。

A社の経営者は売却後に新規事業をスタートしつつも、引き続きネイル事業への協力を惜しまないとしています。買い手が売り手の考えに寄り添う姿勢を取った結果、良好な関係性を維持できている成功例といえるでしょう。

⑭金融システム開発とその他システム開発のM&A成功事例

金融システム開発会社であるS社とその他システム開発会社であるI社のM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

I社はシステム開発やインフラ構築のサービスを行っています。

譲受側企業の概要

S社は、金融分野に特化したシステム開発や支援を事業としている会社です。

M&Aの目的・背景

I社は、第三者への事業承継を目的にS社へ会社売却を実施しました。当初は社内承継の予定で進めていましたが、困難になったことからM&Aを決断したのです。

一方、S社は金融以外のシステムの分野に参入するために事業承継およびグループの成長を目的として資本業務提携を行いました。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aは、株式譲渡の手法で実行しました。I社はS社の傘下企業になり、従業員の主体性向上や経理のデジタル化の効果に成功したのです。

⑮総合リユース業とゲームアプリ開発のM&A成功事例

総合リユース業を営むT社とゲームアプリ開発のD社のM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手であるD社は、ECサイトなどのWeb開発やスマートフォンゲーム、ブロックチェーンゲーム、および受託でのアプリ開発を手がけていました。

譲受側企業の概要

買い手であるT社は、首都圏と関西で総合リユース業を行っています。

M&Aの目的・背景

D社は、新しい事業領域で多種多様なサービスを作り出す事業に対して、意思を尊重してくれたT社に会社売却をしたのです。

一方、T社は技術力の強化を目的に、システム開発をメインとするD社のM&Aを実施しました。このM&Aにより、新サービスの開発に必要な人材・資金・ノウハウなどの課題が解決できたのです。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aは、株式譲渡の手法で会社売却を実施しました。自社サービス開発を得意とする業のグループに参画したことで、従業員からもM&Aに対する高評価の意見が多く挙がりました。

一方、T社の開発者からも同様に前向きな声が挙がり、双方が満足できるM&Aであったといえるでしょう。

⑯システム開発のM&A成功事例

システム開発会社同士のM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手であるE社は、広島県に拠点を構えているITシステム開発会社でした。

譲受側企業の概要

買い手であるA社は、流通系のシステム開発会社と複数の事業を展開する事業会社を保有している企業です。

M&Aの目的・背景

E社は、事業承継を目的にI社とのM&Aを実施しました。一方、A社はさらなる事業拡大を目的に、E社を買収したのです。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aは、株式譲渡の手法で実施されました。コロナ禍の中、直接面談するのが難しかったものの、柔軟な対応により、スピード成約につながりました。

A社は、グループ全体でさまざまなサービスや製品を展開するプラットフォーム構想を進めているため、M&A後は、経営資源を活用してもらいつつ、E社独自の強みを発揮した事業を目指します。

⑰工業メーカーのM&A成功事例

工業メーカーのM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手であるK社は、ホースと継手の加工販売を行っているオーナー企業でした。

譲受側企業の概要


買い手であるN社は、年商100億円を超える中小企業であり、建機、空機、化工機などを製造しています。そして売り手のK社と事業内容が類似していました。

M&Aの目的・背景

K社の創業社長は、社長自身が75歳と高齢であり、親族への承継ではなく第三者によるM&Aを希望していました。N社はホースと継手の加工販売に対する理解がある会社でした。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aの手法は、株式譲渡です。株式譲渡後の経営戦略や譲渡価格などの条件について話し合い、譲渡価格は、希望金額よりも高く売れました。M&A後は両社の強みを生かし、さらなる事業拡大を目指します。

⑱学習塾のM&A成功事例

学習塾のM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手であるA社は、県内有数の進学塾を経営していました。

譲受側企業の概要

買い手であるB社は、大手の総合学習塾です。

M&Aの目的・背景

A社は、経営者自身が他の業務で忙しく、経営に専念できない状況であり、社内には経営を任せられるような人材がいませんでした。そのため、第三者への事業承継を目的にM&Aを実施しました。

一方、B社は地元での基盤強化や進学部門の強化を目指していたのです。こうした双方の思惑が一致し、M&Aがスムーズに進みました。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aの手法は、株式譲渡です。B社の経営陣とA社の幹部職員は何度も面談をし、M&Aによる従業員の流出を防ぐため、人材の円滑な引き継ぎをしっかりと行いました。

⑲飲食業と教育業のM&A成功事例

飲食業と教育業のM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手であるC社は、老舗の飲食店でした。

譲受側企業の概要

買い手であるD社は、予備校を経営しています。

M&Aの目的・背景

C社は、長い業歴と常連顧客がありましたが、後継者不在の問題を抱えていました。店舗の不動産は、個人所有でした。

一方D社は、買収する対象は異業種であったものの、少子化時代の到来に備えて景気変動に左右されない事業を行いたいといった観点から、事業と不動産を同時に買収し、C社の事業を全面的に引き継いだのです。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aの手法は、株式譲渡です。D社はまったくの異業種であったため、C社の経営ノウハウとのれんをスムーズに承継するため、従業員を以前と同条件で雇用継続を行い、D社から派遣する店長に対し、十分にノウハウの承継を受けるなどの配慮をしました。

⑳運送業と通信・電子機器製造業のM&A成功事例

運送業と通信・電子機器製造業のM&A成功事例です。

譲渡側企業の概要

売り手であるS社は、約20台のトラックを保有する運送会社でした。

譲受側企業の概要

買い手であるM社は、精密機器を製造している会社です。

M&Aの目的・背景

S社は、精密機器の輸送にも対応可能な業者でしたが、売上減少により前年決算で赤字となっており、今後もさらなる売上減少が見込まれるなど、資金不足に悩んでいたためM&Aを決定しました。

一方、M社は自社製品を運送する業者に不満を持っており、製品輸送の内製化を図るためS社を買収しました。

M&Aのプロセス・スキーム

今回のM&Aの手法は、株式譲渡です。S社は債務超過の財務に関して不健全な状況でしたが、M社とのM&Aが成立しました。

S社の従業員の勤勉さを評価し、そのまま雇用継続を決定しました。さらにS社の社長に関しても、運送事業における手腕を評価し、買収後も留任が決定したのです。

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7. 2017年度の主なM&A成功事例

ここでは、2017年に行われたM&A事例をピックアップして紹介します。

  1. 明治ホールディングスによる化学及血清療法研究所の新会社の子会社化
  2. LINEによるファイブの子会社化
  3. トヨタによるマツダとの資本提携
  4. ハウス食品グループによるマロニーの買収
  5. 伊藤忠商事によるヤナセの子会社化

M&A成功事例①:明治ホールディングスによる化学及血清療法研究所の新会社の子会社化

1つ目の成功事例として、2017年12月に発表された明治ホールディングスによる化学及血清療法研究所の新会社の子会社化を紹介します。明治ホールディングスが、化学及血清療法研究所の事業を引き継ぐ新会社の49%の株式を取得し連結子会社化する内容です。

化学及血清療法研究所から引き継がれる事業は人体・動物用ワクチン・血漿(けっしょう)分画製剤事業などで、新会社への承継は現物出資にて行われます。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、日本の一般財団法人化学及血清療法研究所です。熊本県にて事業に取り組んでおり、ワクチンや血漿(けっしょう)分画製剤の研究・開発・製造・供給などを行っています。

インフルエンザ・新型インフルエンザ・4種混合・肝炎ワクチンなどを提供しており、研究や技術力に長けた会社です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業である明治ホールディングスです。食品・薬品事業などを抱えるグループ企業であり、2021年3月期の連結売上高は1兆1,917億6,500万円、従業員を17,832名(2021年3月31日現在)抱えています。

M&Aの目的・背景

明治ホールディングスがM&Aによる株式の取得を行った目的は、以下のとおりです。

  • 感染から治療までのサポート体制を作ること
  • 薬品事業を通じたワクチン製造の強化と海外への供給
  • 動物用医薬品事業の競争力を高める
  • 業界の流れに合わせたバイオ医薬品の研究・開発の加速化

このようなビジョンを構築した理由には、薬剤耐性菌がもたらす死亡率上昇や、バイオ医薬品の使用が高まる予測などが関係しています。

明治ホールディングスは、ワクチン・バイオ医薬品の開発力・技術力を持った化学及血清療法研究所の事業を買収して企業価値の向上を狙ったのです。

M&Aのプロセス・スキーム

このM&Aは、最終的に2018年7月に実施されました。化学及血清療法研究所の事業が承継された新会社名は、KMバイオロジクスです。事業承継には現物出資の手法が採用されており、明治ホールディングスなどによって熊本県に買収会社が設立されます。

この買収会社に新会社の普通株式を全て取得させ、両社が合併を行ったうえで新会社を存続会社として残す仕組みです。合併した新会社の議決権は、明治ホールディングスが49%・熊本企業グループも49%・熊本県が2%の割合で保有します。

M&A成功事例②:LINEによるファイブの子会社化

2つ目の成功事例として、2017年12月に行われたLINEによるファイブとの資本業務提携を紹介します。LINEは、本件資本業務提携によりファイブの株式を全て買い取りました。これにより、動画広告プラットフォーム事業を営むファイブを子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、東京に本社を置くファイブです。主な事業として、スマートフォンに合わせた動画配信プラットフォームの開発や運営を手掛けています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、有名企業であるLINEです。東京にオフィスを構えており、コミュニケーションアプリ「LINE」をはじめとするスマートフォン向けサービスの開発・運営を行っています。

その他、広告・AI事業も展開しており、単体の従業員数は2,800名(2020年10月末時点)です。

M&Aの目的・背景

LINEは、自社のアプリやサービスを活用して、広告の表示回数を増やしたり広告選定の精度を高めたりと、広告事業の拡大を図ってきました。さらなる成長と拡大を目指すため、動画広告に長けたファイブとの提携を決めています。

M&A成功事例③:トヨタによるマツダとの資本提携

3つ目の成功事例として、トヨタとマツダの資本提携を紹介します。両社は2017年8月、マツダの第三者割当増資をトヨタが、トヨタの第三者割当による自己株式をマツダがそれぞれ引き受けることで関係強化を図りました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、日本のマツダです。ガソリンレシプロ・ディーゼルエンジンを搭載した乗用車や、トラックの製造・販売などを行っています。国内外に生産拠点と販売会社を置き、従業員数は連結で50,479人(2020年3月31日時点)です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本のトヨタ自動車です。自動車の生産と販売を行う大企業であり、世界中で事業を展開しています。国内外に研究・生産・販売拠点を構えており、従業員数は連結で359,542人(2020年3月末現在)です。

M&Aの目的・背景

本件M&Aは、業界変化に対応するために実施されています。資本提携により、両社の独自性を高めることが主な目的です。資本提携の具体的な内容は以下の4項目となります。

  • アメリカでの合弁会社設立
  • 共同で行う電気自動車の技術開発
  • マルチメディアシステムと安全運転を支援する技術の開発・連携
  • 国内における小型商用車の供給(マツダからトヨタへ)

M&Aのプロセス・スキーム

両社は第三者割当増資・第三者割当によって、それぞれ株式を引き受けました。本件取引によって得られた資金は、共同で設立する合弁会社の設備資金として使用されます。

M&A成功事例④:ハウス食品グループによるマロニーの買収

4つ目の成功事例として、ハウス食品グループによるマロニーの買収を紹介します。2017年8月、ハウス食品グループは、マロニーの全株式を取得し完全子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、日本のマロニーです。取り組む事業は食品の製造業であり、製造食品には有名な「マロニー」があります。大阪に本社を置き、従業員198人(2020年12月時点)です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の大企業であるハウス食品グループ本社です。グループ企業として、香辛料の輸入・製造・販売や、調味加工品の販売・健康食品の製造や販売・海外向け食品の輸出や販売業などを運営しています。

資本金は99億4,832万円(2020年3月31日現在)であり、従業員数は連結で6,122名 (2020年3月31日現在)です。

M&Aの目的・背景

ハウス食品グループがM&Aを行った理由としては、掲げる目標を達成するうえで健康的な食品「マロニー」の存在が必要不可欠と判断したためです。

ハウス食品グループは、自社の技術・開発力・マーケティングを活用して、さらなる価値を付与できると考えました。「マロニー」の価値を高めることで、国内外での成長を見込んでいるのです。

M&A成功事例⑤:伊藤忠商事によるヤナセの子会社化

5つ目の成功事例として、2017年7月に行われた、伊藤忠商事によるヤナセの株式公開買付け(TOBを紹介します。本件買収により伊藤忠商事は株式を65%取得しており、ヤナセを連結子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、輸入車販売で有名なヤナセです。新車・中古車販売のほか、車の保守・点検・パーツの供給などを行うアフターセールス事業や金融保険業などを展開しています。資本金は69億7,587万2千円で、従業員数はグループ全体で5,063名(2021年4月1日現在)です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業である伊藤忠商事です。総合商社であり、国内外に94の拠点を持っています。資本金は2,534億4,800万円であり、4,264人の従業員を抱える大企業です。

M&Aの目的・背景

伊藤忠商事は、自社が持つノウハウや資金など活用したシナジー効果を得るため、従来株式を取得していたヤナセを連結子会社化しました。

ヤナセが取り扱う輸入車は、国内で販売されるうち約15%を占めています。ヤナセの業績が回復したことを受けて、新車・中古車の販売業が利益を生む投資先と判断し、株式取得を行ったのです。

M&Aのプロセス・スキーム

伊藤忠商事は、株式公開買付けによってヤナセの株式を取得しています。取得する株式数には下限と上限を定めたうえで、持分法適用会社から連結子会社への移行を実現させました。

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8. なぜ?M&Aに失敗するケースの特徴

数多くの成功事例を紹介しましたが、M&Aは失敗に終わってしまうケースも少なくありません。個々のケースにより、その理由はさまざまですが、買い手側に共通する特徴としては、以下の3点が挙げられます。

  1. 想定していた効果が得られない
  2. 現地でトラブルに巻き込まれる
  3. 従業員の離職が発生する

①想定していた効果が得られない

M&Aで買い手が期待する効果とは、シナジー効果により買い手と売り手双方の事業の業績が向上するものです。しかし、PMI(Post Merger Integration=M&A後の経営統合プロセス)がうまくいかないなどで、思ったような業績向上が果たせない場合があります。

M&A時のデューデリジェンス(売り手企業の精密監査)は、売り手企業の事業計画やその事業の市場動向など外部環境を十分に精査しないと、想定外の下方修正となることもよく見かけるケースです。

②現地でトラブルに巻き込まれる

近年、実施件数が増してきているクロスボーダーM&Aの場合、国内企業と同じような感覚でM&Aを行っていると思わぬトラブルに遭うケースも報告されています。海外では、法規制や許認可、商慣習など、日本と同じではありません

その地域の法規制や許認可、商慣習を十分にリサーチせずに、M&A後、日本国内と同じ感覚でビジネスを進めようとすると、現地でトラブルに巻き込まれ業績を上げるどころではなくなるケースがあります。

③従業員の離職が発生する

売り手企業の事業計画は、その時点で在籍する社員が従事する前提での立案です。したがって、M&A実施時は、売り手企業の経営者にも協力してもらい、M&A後も従業員が会社にとどまる、あるいは買い手企業に移籍するよう説得するのが必要になります。

売り手企業の従業員にとって、M&Aは今後のことを考える契機となったり、あるいは不安や不満を感じたりするなどで離職しやすい心情になりがちです。特に事業を担うキーパーソンが離脱した場合には、事業は想定どおりには進まず、売上も大きく下がってしまうでしょう。

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9. M&Aの失敗事例10選!

ここでは、M&Aで起こった実際の失敗例を紹介します。10の事例から、どのような原因で失敗に至ったのかを確かめてみましょう。

  1. LIXILによるグローエの買収
  2. セブン&アイ・ホールディングスによるニッセンの買収
  3. 日本郵政によるトール・ホールディングスへの投資
  4. マイクロソフトによるノキアの買収
  5. 丸紅による穀物大手ガビロンの買収
  6. キリンホールディンググスによるスキンカリオールの買収
  7. パナソニックによる三洋電機の買収
  8. 第一三共によるランバクシーの買収
  9. 古河電工によるルーセント・テクノロジーズの買収
  10. 富士通によるICLの買収

①LIXILによるグローエの買収

1つ目の具体例として、LIXILによる買収事例を紹介します。2017年1月、LIXILは、ドイツのグローエの株式を87.5%取得しました。本件買収によって、LIXILは、グローエとその子会社ジョウユウを関連会社としています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、有名なドイツのグローエです。従業員はおよそ9,000人を抱えており、水栓金具メーカーの中ではヨーロッパで1番の規模を誇ってきました。高い品質とデザイン性に特徴があり、130を超える国々で製品を販売しています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業であるLIXILです。2001(平成13)年に設立した会社であり、住宅のリフォーム・設備・建材関連の事業を行っています。資本金は684億1,800万円で、従業員数は59,360人(連結・2020年11月現在)です。

損失額

2014年3月期から2016年3月期の期間で、ジョウユウの不正会計による損失額は約660億円と報告されています。

M&A失敗の要因

買収が失敗に終わった原因は、リスク管理の不備にあります。LIXILは買収によって、グローエとその子会社・ジョウユウを取り込みました。ジョウユウは中国人がトップを務める企業です。

中国ではトップによる不正会計が珍しくないため、こうした企業を買収する場合には、徹底した調査が必要でした。しかし、グローエは子会社の調査を怠りつつ、ジョウユウを子会社化しています。

そこへLIXILが買収に乗り出したため、買収先の子会社が抱える不正会計をそのまま取り込んで多額の損失を被ったのです。

②セブン&アイ・ホールディングスによるニッセンの買収

2つ目の具体例として、2016年8月に行われたセブン&アイ・ホールディングスによるニッセンホールディングスの買収事例を紹介します。セブン&アイ・ホールディングスは、ニッセンホールディングスの株式を全て買い取り完全子会社化しました。

譲渡側企業の概要

株式の交換に応じた企業は、日本のニッセンホールディングスです。女性向けの衣料品や雑貨の通信販売を中心に、レディース服の店舗販売などを運営しています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本のセブン&アイ・ホールディングスです。有名な持株会社であり、コンビニ・スーパー・デパート・飲食・金融サービス事業などを傘下に収めています。資本金500億円、135,332人(連結・2021年2月末現在)もの従業員を雇用する大企業です。

損失額

2016年2月期におけるセブン&アイ・ホールディングスの通信販売事業は、84億51百万円の営業損失を計上しました。

M&A失敗の要因

セブン&アイ・ホールディングスが買収に失敗した要因は、カタログ通販の行き詰まりにあります。購入時機を逸したカタログの配布や不十分な品ぞろえ、ファストファッション台頭によるブランド価値の喪失などにより、通販事業は赤字が続いていたのです。

親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの能力を十分に使えていなかったことも要因の1つであり、オムニチャネルの戦略に加われず、相互利用の顧客を獲得できませんでした。

③日本郵政によるトール・ホールディングスへの投資

3つ目の具体例として、日本郵政による買収事例を紹介します。2015年5月、日本郵政は、オーストラリアのトールの株式を全て取得しました。本件買収によって、日本郵政はトールを子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、オーストラリアのトールです。メルボルンに本社を置き、物流事業を展開しています。資本金が29億7,700万豪ドルであり、2014年6月期の純資産は連結で27億3,300万豪ドルです。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本郵政です。日本のグループ企業であり、郵便・銀行・生命保険業を行っています。資本金は3兆5,000億円、従業員数は2,031名(2020年3月31日現在)です。

損失額

2017年3月期における日本郵政の損失額は4,003億円でした。赤字は400億円です。

M&A失敗の要因

日本郵政の買収が失敗に終わった要因は、資産価値を正しく評価できていなかった点にあります。中国やオーストラリアの経済が低迷したことや固定費のコストが削減できなかったことなどにより、資産価値が見直されて4,003億円の特別損失を計上するに至りました。

④マイクロソフトによるノキアの買収

具体例の4つ目として、マイクロソフトによる買収事例を紹介します。2014年4月、マイクロソフトは、フィンランドのノキアから携帯電話事業を買い取りました。買収額はおよそ72億ドルです。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、フィンランドのノキアです。主な事業として、携帯電話の通信設備・IoT・ネットワークサービスなどを手掛けています。

譲受側企業の概要

譲受側企業はアメリカのマイクロソフトであり、ソフトウェアやタブレット端末などの開発・販売などを手掛けている有名企業です。2017年6月期の売上高は233億2,000万ドルを計上しています。

損失額

2015年、マイクロソフトが買収した携帯電話事業は約76億ドルの評価損を計上しました。

M&A失敗の要因

マイクロソフトが買収に失敗した要因は、スマートフォン市場のシェアが低かった点にあります。3%の市場シェアにより赤字が続いたため、マイクロソフトは携帯電話事業を売却してノキアを手放しました。

⑤丸紅による穀物大手ガビロンの買収

失敗事例の5つ目として、丸紅が行った買収を紹介します。2013年7月、丸紅は、アメリカのGavilon Holdings, LLC(以下ガビロンという)が持つ2つの事業を持分譲渡契約により取得しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業はアメリカのガビロンであり、穀物・肥料・エネルギー分野などで仲介を行っています。買収前である2011年12月期の売上高は178億5,220万ドル(連結)です。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業である丸紅です。食料・繊維・資材・紙パルプ・化学品などの輸出入を中心に事業を展開しています。丸紅は国内と海外を合わせて133の拠点を持っており、従業員数は4,389名です。

損失額

丸紅は、買収後の2015年3月期連結決算で、1,200億円の減損損失を出しています。

M&A失敗の要因

失敗の要因は、中国への穀物輸出に制限が加わった点にあります。中国は、丸紅とガビロンによる市場の寡占化を危惧しました。両社が手を組めば、中国国内における穀物の安定供給に支障が生じる可能性があるためです。

そこで、中国商務省は丸紅のガビロン買収を許可する代わりに、大豆の輸入と販売業務を独立して行うよう命じました。これにより、ガビロンは中国での事業が思うように運ばず、事業がもともと持っていた価値を低下させる結果となったのです。

⑥キリンホールディンググスによるスキンカリオールの買収

6つ目の具体例は、キリンホールディンググスによる買収事例です。2011年8月、キリンホールディンググスは、ブラジルのスキンカリオールを買収しました。

スキンカリオールの株式を所有するアレアドリの株を全て買収したことで、キリンホールディンググスはスキンカリオールを子会社化しています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、ブラジルのスキンカリオールです。ビール・清涼飲料業を営む企業であり、ブラジル国内でのビールのシェアは2位、炭酸飲料では3位のシェアを誇っています。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の有名企業であるキリンホールディングスです。国内外で飲料事業を展開しており、資本金1,020億4,579万3,357円、従業員数は連結で31,151名(2020年12月31日現在)です。

損失額

譲り受けた事業の価値を見直した結果、減損損失は約1,412億円に達すると報告しました。

M&A失敗の要因

キリンホールディングスがM&Aに失敗した要因としては、ブラジルの景気が落ち込んだことによる消費減少や、ライバル企業との競争激化、そして、ブラジルの通貨が安くなったことなどが挙げられます。

上記の要因によって売上が減少したため、事業価値を再評価したところ大幅な評価損を計上する事態となったのです。

⑦パナソニックによる三洋電機の買収

具体例の7つ目として、パナソニックによる三洋電機の買収事例を紹介します。2010(平成22)年10月、パナソニックは、株式公開買付けにより三洋電機を連結子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は日本の三洋電機であり、取り組む事業には電気・電子機器の製造と販売などがあります。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本のパナソニックです。家電・住宅・車載・B2B事業などを展開しています。資本金2,590億円、グループ会社数582社、従業員数は24万3,540人(2021年3月31日現在)です。

損失額

2012年3月期の連結決算で、パナソニックは7,721億円の赤字を計上しました。

M&A失敗の要因

パナソニックがM&Aに失敗した要因は、リチウムイオン電池事業の価値が下がった点にあります。円高とウォン安によりリチウムイオン電池の価値が3割ほど下落してしまい、赤字が続きました。

三洋電機との間で利用できる技術が少なかった点も、買収が失敗に終わった要因に挙げられます。

⑧第一三共によるランバクシーの買収

8つ目の具体例として、第一三共による買収事例を紹介します。第一三共は、2008(平成20)年6月から11月にかけインドのランバクシー社の株式63.9%を取得しました。

株式取得にあたっては、公開買付け・第三者割当増資・新株予約権のほか、創業者一族からも株式を買い取っています。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業はインドのランバクシーであり、デリーなどに拠点を構える製薬会社です。ジェネリック医薬品の開発・製造・販売などを行っています。ランバクシーは国内外に製造拠点や子会社を置いており、買収当時は約12,000人の従業員を抱えていました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の第一三共です。有名な製薬会社であり、医薬品の研究・開発・製造・販売事業を営んでいます。資本金は500億円、グループ全体の従業員は約16,000人です。

損失額

2009(平成21)年3月期に、第一三共は3,500億円の評価損が出たことを報告しています。

M&A失敗の要因

第一三共が買収に失敗した要因は、ランバクシーの医薬品に輸入禁止命令が出た点にあります。医薬品のデータ管理に問題が見つかったため、米国食品医薬品局から指摘を受けてしまいました。

以前にも抗生物質の扱い方に問題があるとして同局から問題点を指摘されていましたが、改善に至っていなかったのです。輸入禁止は第一三共が買収を発表した後だったため、多額の減損損失を強いられました。

⑨古河電工によるルーセント・テクノロジーズの買収

具体例の9つ目として、古河電工による買収事例を紹介します。2001(平成13)年11月、古河電工は、アメリカのルーセント・テクノロジーズから光ファイバ部門を買収しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、アメリカのルーセント・テクノロジーズです。アメリカのAT&Tから独立した企業であり、情報・通信業を展開していました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は、日本の古河電工です。資本金は693億9,500万円、従業員数は48,449名(連結:2021年3月末時点)となっています。展開する事業は、エネルギー伝送や光ファイバに代表される通信事業・自動車や電子部品の開発事業などです。

損失額

2004年3月期に、古河電工は1,000億円の評価損を計上しました。

M&A失敗の要因

古河電工が買収に失敗した要因は、北米エリアの不況にあります。光ファイバによる通信が好調だったため、3年間で900億円もの設備資金を投じました。しかし、不況に陥ったことで、2002(平成14)年に多額の赤字を計上してしまったのです。

獲得した光ファイバ事業は、買収後に4期続けて赤字を出しました。

⑩富士通によるICLの買収

10例目の具体例として、富士通によるICLの買収事例を紹介します。1990(平成2)年11月、富士通は、1,890億円でICLの株式80%を取得し子会社化しました。

譲渡側企業の概要

譲渡側企業は、イギリスのICLです。国策IT企業であり、3社が合併して誕生しました。

譲受側企業の概要

譲受側企業は日本の富士通です。PCや携帯電話の製造・販売、電子部品やITを利用したソリューションなどのICTサービスを行っています。2020年度の連結売上収益は3兆5,897億円、従業員数は126,400名(連結:2021年3月末現在)です。

損失額

2007年3月の単独決算で、富士通は約2,900億円の評価損が出たことを発表しています。

M&A失敗の要因

富士通の買収が失敗した要因は、純資産の低下と子会社事業の上場中止が重なった点にあります。ドイツ企業や北欧ビジネスの買収などを続けた結果、富士通の純資産は著しく低下しました。

買収した子会社を上場させれば株式の売却益が得られるため、投資簿価を下回ることはないと捉えていたのです。しかし、海外にITサービスを広げるには子会社として抱える方が得策と判断して上場を見送ったため、約2,900億円の評価損を計上しました。

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10. M&Aの目的とは?

ここではM&Aを実施する際の目的に関して、買い手・売り手ごとに分けて解説します。

買い手側の目的

M&Aを用いて買い手が買収を行う代表的な目的には、以下の3つが挙げられます。

  • 規模の経済
  • 範囲の経済
  • 多角化経営

規模の経済

買い手が望む目的の1つに、規模の経済があります。簡単にいうと、多くの製品を作って製造にかける費用を抑えることがM&Aの1つの目的です。生産費用を抑えられれば多くの収益が得られるため、企業は同業他社の買収・合併を画策します。

買収・合併される企業は、同業他社の中でも、自社のエリア外で小規模の会社が対象となりやすいです。同業でエリア外の会社を買い取ると、企業が所有する生産・販売エリアを拡大できます。規模の小さい会社であれば数社まとめて買い取ることも可能であり、規模の経済を実現しやすいでしょう。

範囲の経済

2つ目の目的は、範囲の経済の獲得です。範囲の経済とは、1つの企業が複数の製品・サービスを生産した方が、別々の企業で1つ1つ作るよりも、コストや無駄を抑えられることを意味します。

1つの企業で生産を行えれば設備や資源の共有が図れるため、近年ではこれを目的に買収や合併を行う企業も多いです。中間素材などの製造が自社で賄えることも目的の1つとなり、他社への依頼費用や運搬時間のロスを減らすために他社を買収するケースもあります。

買収先企業にはいわば自社の川上・川下に位置する会社を選ぶケースが多く、資源調達・研究開発などを強化したり、販売部門を新たに加えたりして企業の垂直統合を図る仕組みです。

多角化経営

3つ目に挙げられる目的は多角化経営です。新しい事業を始めるとき、M&Aによって既存企業・事業を買収すれば、新規参入への費用・時間・リスクを減らせます。エリア外や海外への進出では、土地の風土・ルール・許認可などの問題に悩まされるケースが多いです。

ゼロから事業を始めると、多大なコストの支払いを余儀なくされることもあります。買収を行い、進出先で事業を営む企業を獲得できれば、短期間で人材やノウハウを得ることが可能なのです。

売り手側の目的

会社や事業の一部を売却する企業は、どのような目的で会社を手放すのでしょうか。一般的に売り手側は、以下4つの目的からM&Aを行っています。

  • カーブアウト
  • 事業承継
  • 会社の存続
  • 売却利益の獲得

カーブアウト

売却する企業の目的の1つに、カーブアウトがあります。カーブアウトとは、子会社や事業の一部を切り離して、新しい会社を作る経営戦略です。大企業の場合は、子会社・事業のさらなる成長を求めるために、会社などの譲渡が行われます。

会社を独立させることで新しい資本や経営陣が加わるため、所有する技術・ノウハウの正当な価値を引き出せるのです。カーブアウトは、新会社創設のほか、ノンコア事業を切り離すときにも活用されます。

事業の選択を行って、人材・設備・得られた売却益をコア事業に集中させることも、目的の1つです。

事業承継

売却する目的の2つ目は、事業承継です。今後の経営を任せる人材が見つからない場合、M&Aによる事業承継を行い第三者へ会社を譲ることで、会社を引き継げます。親族内での承継が難しい場合にも、M&Aを利用すれば事業承継が可能になるのです。

子どもや親族に経営権を譲ると個人保証や相続税などの負担がかかるため、身内で引き継ぎを希望する人物が現れないケースも往々にしてあります。親族内で後継者が見つからないケースでは、第三者に会社を売却する事業承継が有効策です。

会社の存続

売り手側が望むM&Aの目的には、会社の存続も挙げられます。資金力に乏しい中小企業の中には、たとえ優れた技術やノウハウがあっても、実際の利益につなげられていないケースも見受けられます。

会社を売却しグループ企業として大企業の傘下に加われば、大手の資本を利用可能です。必要な資金を得て財務状況を改善できれば、研究開発や特許技術などを生かし新商品の開発も夢ではありません。

売却利益の獲得

売却利益そのものの獲得も、売却を希望する経営者の目的となるケースがあります。M&Aによる売却は、会社や事業を買い手に譲り渡す取引であるため、売り手は売却利益を獲得可能です。

ここで獲得した売却利益は、引退後の生活資金として活用できるほか、ほかの事業への投資資金にも充てられます。

最近では、サラリーマンの定年よりも早いタイミングで引退を希望する経営者が増加傾向にあり、売却行為による創業者利益の獲得を狙って、自社および自社事業を売却する経営者も多いのが実情です。

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11. M&Aの成功にはM&A仲介会社のサポートが不可欠

会社売却・買収を成功させたい場合には、M&A仲介会社のサポートが役立ちます。数ある仲介会社の中でも実績面・手数料面で相談しやすいのは、全国の中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所です。

M&A総合研究所では、豊富な経験と知識を持つアドバイザーが案件ごとに専任となり、相談時からクロージングまでM&Aを徹底サポートいたします。通常は半年~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月でスピード成約する機動力もM&A総合研究所の強みです。

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12. M&Aの成功事例まとめ

買収・合併を成功させるには、買収前の準備はもちろん、買収後も十分に注意しておくべき点があります。これから買収や合併に取りかかる場合には、失敗した実例にも目をとおしておくようにしましょう。

M&Aで会社の売却を考えるなら、信頼できる仲介会社を探すことも重要です。仲介会社を選ぶときは、自社に合った企業を紹介できる・費用が抑えられる・経験豊富なスタッフが在籍している、などを基準にするとよいでしょう。

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