2023年09月21日更新
オーガニックグロースとは?用語の意味やメリットとデメリットも解説!
本記事では、オーガニックグロースのメリットとデメリット、オーガニックグロースとM&Aグロースの違いなどについて解説します。オーガニックグロースとは自社の経営資源のみで会社の成長を成し遂げることを指します。オーガニックグロースについて知りたい方は必見です。
1. オーガニックグロースとは
オーガニックグロースとは、自社の経営資源のみで会社の成長を成し遂げることです。これに対して、M&Aや資金調達などによって成長することを、M&Aグロースまたはノンオーガニックグロース・イン・オーガニックグロースといいます。
スタートアップのようにM&Aを行う資金がなく、なおかつ資金調達を行う信用力もない場合、自社の経営資源(資金・技術・ノウハウ・人材など)のみで成長を図る必要があります。
しかし、限られた資金・人材・ノウハウしか持たない企業がオーガニックグロースによって成長していくのは簡単ではありません。
そこで、近年は速いサイクルで仮説と検証を繰り返すリーンスタートアップを実施したり、小さく複数の事業を始めて大きくなりそうな事業に時間と人材を投入していく方法を採用したりするスタートアップが増えています。
一方で、早い段階から大きな資金調達に成功し、その資金を元手にM&Aなどによって成長していく、ノンオーガニックグロース型のスタートアップも存在します。
ノンオーガニックグロース型の成長戦略であれば短期間で大きく成長できる可能性がある一方で、「失敗したときの負担が大きい」「投資家からの監視が厳しい場合がある」などのデメリットもあるでしょう。
オーガニックグロースとM&Aグロースはそれぞれ一長一短あり、どちらを行うにしてもその方法に合った経営戦略を計画的に構築しなければなりません。
資金調達コストについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
2. オーガニックグロースのメリットとデメリット
オーガニックグロースはメリット・デメリットがあり、状況によってはM&Aを活用した方が効果的な場合もあります。本章では、オーガニックグロースのメリットとデメリットを解説します。
オーガニックグロースの5つのメリット
まずは、オーガニックグロースの主なメリット5つを解説します。
- 少ないリスクで成長できる可能性がある
- 仮説と検証のサイクルが回しやすい
- 投資家を気にせず自由にビジネスができる
- 中長期でビジネスを育てられる
- 失敗したときの方向転換がしやすい
少ないリスクで成長できる可能性がある
オーガニックグロースは、自社の経営資源のみで事業を成長させていくので、ノンオーガニックグロースのように最初から借金を背負うことはありません。資金面のリスクは抑えつつ事業を展開することが可能です。
しかし、資金が少ないと望む事業ができないことにもつながるので、限られた資金でやりたい事業をいかにできるように工夫するかが大切です。
仮説と検証のサイクルが回しやすい
オーガニックグロース型で事業を行う場合、最初の事業は小さく始めざるを得ませんが、逆にいえば仮説と検証のサイクルを回しやすいでしょう。
近年のスタートアップのトレンドとしては、事業が完成する前にまず市場に投入してユーザーの反応を見て検証・改善を繰り返す方法が多く用いられています。
投資家を気にせず自由にビジネスができる
資金調達によって得た資金でビジネスを回していく場合、投資家にもよりますが、一般的にはビジネスの進捗状況をチェックされることになります。投資家によっては早く投資資金を回収することを求めるケースもあるので、資金長達を受けた会社としては投資家の意向に沿った計画を立てざるを得ないことにもなりかねません。
一方、資金用達を行わず自社の経営資源だけでビジネスを作り上げていく場合は、外部の意向に振り回されることなくビジネスがしやすい利点があります。
中長期でビジネスを育てられる
投資家による事業への介入がある場合、ある程度の期間を定めて結果を出すことを求められるケースが多く見られます。しかし、売り上げは上がってもなかなか利益は出ないケースも少なくないので、短期間で利益を出すために無理な事業展開を行ってしまうケースも見られます。
これに対して、投資家の介入がなくビジネスを行える場合は、ビジネスを回せる最低限の利益さえ確保できれば、中長期目線で事業を育てていくことも可能です。
失敗したときの方向転換がしやすい
投資家から資金調達を受けている場合、事業内容を大幅に方向転換するには投資家からの承諾も必要です。場合によっては同意が得られなかったり、経営者の考えとは違う方向性を提示されたりすることもあります。
スタートアップが最初に始めた事業で成長し続けるケースはそれほど多くなく、多くの場合は途中で方向転換を繰り返しながらビジネスを進めます。その際に、外部の声に振り回されて方向性がブレてしまうケースも少なくありません。
しかし、オーガニックグロース型で事業を行っていれば、事業の方向転換は社内の判断で実施することが可能です。
アライアンスについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
オーガニックグロースの5つのデメリット
オーガニックグロースには多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 成長に時間がかかりやすい
- 資金不足に陥りやすい
- 人材の確保が難しい
- 信用を得るまで時間がかかる
- できる事業が限られる
成長に時間がかかりやすい
M&Aや大型の資金調達ができれば、短期間で大幅に事業を成長させることも可能です。しかし、オーガニックグロースによって自社の限られた経営資源内で事業を成長させるためには、多くの場合で地道な積み重ねが必要です。
創業から1〜3年で廃業する企業も多い中で、成長に時間がかかることはリスクの1つでもあります。
資金不足に陥りやすい
オーガニックグロースは自社の経営資源だけでビジネスを進めていくので、早めに売り上げが立たなければ資金不足に陥りやすいです。オーガニックグロース型で事業を行っている企業の中には、売り上げは十分出せていても廃業・倒産に至ってしまうケースもあります。
オーガニックグロースで事業を展開していくには、資金に関する計画性と専門家の助言が大切です。
人材の確保が難しい
M&Aや資金調達を活用できれば優秀な人材の確保も可能になりますが、オーガニックグロースでは人材確保の難しさが課題です。特に近年はさまざまな業種で人材不足が深刻となっており、大企業でなければ十分な人材の確保は難しいでしょう。
信用を得るまで時間がかかる
オーガニックグロースでは宣伝やマーケティングにかけられる資金にも限りがあるので、会社やサービスに信用力が付くまでに時間がかかるケースが多いでしょう。特にスタートアップのような創業から年数の浅い企業にとっては、いかに信用力をつけていくかが死活問題です。
できる事業が限られる
M&Aや資金調達ができれば新たな事業展開もしやすくなりますが、オーガニックグロースの場合は限られた資金と人材でやり繰りしなければならないので、新事業を展開する余裕を作ることは簡単ではありません。
オーガニックグロースで事業展開を加速させるには、まず1つ目の事業を成功させ、その事業の収益でさらに収益性の高い事業を作っていくといった流れが必要です。
事業展開の方法や考え方・戦略については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
3. オーガニックグロースとM&Aグロースの違い
オーガニックグロースとM&Aグロースには、メリット・デメリットの面で違いがあります。
【オーガニックグロースのメリット】
- 少ないリスクで成長できる可能性がある
- 仮説と検証のサイクルが回しやすい
- 投資家を気にせず自由にビジネスができる
- 中長期でビジネスを育てられる
- 失敗したときの方向転換がしやすい
【オーガニックグロースのデメリット】
- 成長に時間がかかりやすい
- 資金不足に陥りやすい
- 人材の確保が難しい
- 信用を得るまで時間がかかる
- できる事業が限られる
【M&Aグロースのメリット】
- 短期間で飛躍的な成長が可能
- 優秀な人材の確保が可能
- 新たな事業を始めやすい
【M&Aグロースのデメリット】
- 買収資金が必要
- M&A先の選別と交渉が必要
- M&A後の統合作業に失敗する可能性
オーガニックグロースとM&Aグロースにはそれぞれメリットとデメリットがありますが、M&Aグロースの場合は適切な専門家のサポートを受けることで成功率を高めることが可能です。M&A総合研究所では、豊富な専門知識を持つM&Aアドバイザーが、M&Aグロースでの成長を戦略的にサポートします。
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イン・オーガニックグロースの種類
オーガニックグロースの対義語であるイン・オーガニックグロースの代表例は以下にまとめました。
- M&A:「Mergers and Acquisitions」の略で企業の合併や買収のこと
- アライアンス:株式の異動を伴う「資本提携」、共同開発などの目的を達成するために協力関係を結ぶ「業務提携」がある
4. オーガニックグロースのまとめ
オーガニックグロースとは、自社の経営資源のみで会社の成長を成し遂げることをさし、多くのメリットがあります。
しかし、成長までに時間がかかったり資金不足に陥りやすかったりするデメリットもあり、M&Aグロースの方が適しているケースもあるので、さまざまな角度からよく検討することが大切です。
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