2022年06月06日更新
中小企業の買収のメリットや成功のポイント【案件事例あり】
近年、M&Aの活発化に伴い、経営戦略として中小企業の買収・売却が増加中です。中小企業の買収・売却のメリット・デメリット、買収を成功させるポイントなどを明らかにするとともに、おすすめの仲介会社と実際の案件例も紹介します。
目次
1. 中小企業とは
近年、M&Aの成約件数は増加傾向にあり、特に中小企業が買収されるM&Aの成約件数の増加が目立っています。
この記事では、中小企業の買収についてメリットや成功するポイントを解説しますが、まずは中小企業の定義や日本国内の割合について確認しましょう。
日本の中小企業の割合
中小企業とは、中小企業基本法で定められた資本金や従業員数の定義に該当する会社を指します。中小企業基本法による定義は以下のとおりであり、これに該当する会社が中小企業です。
【中小企業基本法による定義】
業種分類 | 定義 |
製造業その他 | 資本金3億円以下または従業員数300人以下 |
卸売業 | 資本金1億円以下または従業員数100人以下 |
小売・飲食業 | 資本金5,000万円以下または従業員数50人以下 |
サービス業 | 資本金5,000万円以下または従業員数100人以下 |
経済産業省の発表によると、日本の中小企業は国内の会社数の約99.7%を占めており、日本における中小企業の割合は先進国のなかでも圧倒的に多くなっています。
2. 中小企業の買収が増えている理由
中小企業の買収が増えている理由にはさまざまなものがありますが、買い手側と売り手側ではその目的は異なっています。
まず、買い手側の理由としては、自社の成長を図ることです。日本の市場は人口減少や消費者の多様化などにより、既存事業のままでは将来的に利益が低下することが予測されています。
この打開策として中小企業を買収し、シナジー効果を得ることで自社の成長を図ろうとしているのです。
それに対して、売り手側の理由の主な1つとしてあるのが、後継者問題の解決です。近年では、中小企業経営者の平均年齢が60歳を超えています。平均的な引退年齢は70歳くらいとされていますから、それまでに経営の引き継ぎを行うことが急務となっています。
しかし、昨今は少子化の影響や価値観の多様化などにより、従来は有力な後継者であった経営者の子どもが後継者とならない事態が相次ぎ、親族内での事業承継が難しくなっているのが現状です。
後継者を見つけられなければ廃業を選択せざるを得なくなるため、事業を存続されるために自社の売却を検討する中小企業も増えています。
このように、近年は買い手側と売り手側の需給バランスが一致している状態であるため、中小企業の買収の成約件数が増加しています。
3. 中小企業の買収のメリット
中小企業を買収するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。この章では、主なメリットを3つ紹介します。
【中小企業の買収のメリット】
- 時間短縮できる
- 買収後にすぐ収益が得られる
- 事業規模の拡大
①時間短縮できる
中小企業買収の1つ目のメリットは、時間を短縮できることです。経営多角化のために事業の新規参入を行う場合、従業員育成の準備や経営ノウハウを獲得までに相応の時間と手間がかかります。
しかし、目的の中小企業を買収した場合、育成とノウハウ取得までの時間を一気に短縮でき、早期に新規参入が実現するのです。
ただし、新規参入した事業が成功するかどうかは、実際に事業を開始してみなければわかりません。仮に失敗となれば、損失はとても大きくなります。したがって、買収前に売却側企業をしっかり調査検討してから買収を決めることが大切です。
②買収後にすぐ収益が得られる
中小企業買収の2つ目のメリットは、買収後にすぐ収益が得られる点です。一から事業を立ち上げた場合、安定した収益を得るまでにはかなりの時間を要するため、すぐに収益を上げることは難しいでしょう。
しかし、既存の会社を買収すれば、その会社の持っているノウハウや販売経路、取引先も引き継げるため、問題なく事業が継続できれば、基本的にはすぐに収益が得られます。
③事業規模の拡大
中小企業買収の3つ目のメリットは、事業規模の拡大ができることです。特に同業種の買収では、例えば製造業であれば同じような生産設備を得られるため、規模の経済性が優位になり(スケールメリット)、生産コストを減らせます。
また、買収により市場シェアが拡大すれば、生産量が増加して短時間で経験曲線効果が表れるので、これも生産コスト削減につながるでしょう。
4. 中小企業の売却のメリット
前章では買収側のメリットを紹介しましたが、売却側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、中小企業を売却する3つのメリットを紹介します。
【中小企業の売却のメリット】
- 売却益・譲渡益を得られる
- 新しい事業への挑戦
- 廃業にかかるコストがなくなる
①売却益・譲渡益を得られる
中小企業を売却するメリットの1つ目は、売却益・譲渡益が得られる点です。後継者がいない場合、自社を売却するか廃業するか、いずれかを選択しなければなりません。
廃業するためには「廃業コスト」と呼ばれる費用が必要になりますが、自社を売却すると売却益・譲渡益を得られるので、新たな事業立ち上げや老後の生活資金に充当できます。
会社の経営状態に重大な問題がなく、後継者がいないために廃業を検討している場合は、会社売却を選択したほうが得られるメリットは大きいはずです。
また、仮に経営状態が赤字であっても、独自ノウハウなどの強みがある場合は買い手が見つかることも少なくないので、まずは仲介会社などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
②新しい事業への挑戦
中小企業を売却するメリットの2つ目は、新しい事業に挑戦できることです。会社を売却すると競業避止義務を負うことになるため、20年間は同じ地域で売却した事業と同業種の経営を行うことはできません。
しかし、会社を売却した後は資金となる売却益が手元にある状態なので、新事業を立ち上げる1つのきっかけにもなるでしょう。
③廃業にかかるコストがなくなる
中小企業を売却するメリットの3つ目は、廃業にかかるコストがなくなる点です。先述のように、廃業を選択した場合もコストや手間がかかります。
廃業する場合は、廃業届や官報公告への掲載が必要になるため、それらの作成に関するサポート費用や、機材・設備の廃棄費用など、待っているのは出費です。
しかし、会社を売却すれば廃業コストは当然不要になり、そのうえ上述のように売却益・譲渡益を得られます。
5. 中小企業の買収のデメリット
中小企業の買収には多くのメリットがありますが、反面デメリットもあることも把握しておかなければなりません。この章では、中小企業の買収のデメリットについて、以下の3点を解説します。
【中小企業の買収のデメリット】
- 経営統合の失敗
- 期待通りのシナジー効果が得られない
- 簿外債務などによる負債
①経営統合の失敗
中小企業買収のデメリット1つ目は、経営統合が失敗する可能性があることです。会社買収を行った後は、売却側・買収側の企業が1つにまとまるために経営統合(PMI=Post Merger Integration)を行います。
経営統合にはソフト面とハード面とがあり、そのどちらが欠けても十分な組織の融合にはなりません。
経営統合はM&Aのプロセスで最も難しい行程ともいわれており、入念な準備をして計画的に進める必要があります。
多額の費用をかけて企業を買収しても、経営統合がうまくいかなければM&Aが成功したとはいえないので、事前に両社で十分な協議をしておき、専門家のサポート下で計画的に進めていくようにしましょう。
②期待通りのシナジー効果が得られない
中小企業買収のデメリット2つ目は、期待したとおりのシナジー効果が得られない場合があることです。会社買収はシナジー効果を期待して行いますが、なかには買収を行ってもシナジー効果が得られないこともあります。
シナジー効果が得られない原因は、対象企業の調査が不十分だった場合や経営統合に失敗した場合など、さまざまです。
場合によっては、アナジー効果(負の相乗効果)が出てしまうこともあるので、買収を検討する際は十分な調査と注意が必要になります。
③簿外債務などによる負債
中小企業買収のデメリット3つ目は、簿外債務などによる負債も承継しなければならないことです。会社買収は包括承継が原則であるため、簿外債務を引き継いでしまうリスクもあります。
負債の金額によっては買収後の経営に大きく影響を及ぼすこともあるため、買収前は徹底的なデューデリジェンス(対象企業の精密監査)を実施することが重要です。
6. 中小企業の売却のデメリット
続いては、中小企業を売却するデメリットについて見てみましょう。中小企業を売却する場合、以下3つのデメリットが生じる可能性があります。
【中小企業の売却のデメリット】
- 従業員の意識の低下
- 事業に対する制約の発生
- 一部からの批判
①従業員の意識の低下
中小企業売却のデメリット1つ目は、従業員の意識が低下する可能性があることです。会社を売却する際、従業員雇用の維持が最優先と考える経営者は多いでしょう。
しかし、愛社精神の強い従業員の場合は、売却後に雇用が維持されたとしても、勤労意識が急激に低下するかもしれません。
したがって、売却先を探す際には、従業員のモチベーションが維持できる環境であるかどうかも、判断基準にする必要があります。
②事業に対する制約の発生
中小企業売却のデメリット2つ目は、事業に対するさまざまな制約が発生することです。主な制約には、先述した競業避止義務があります。
そのほか、売却後も引き継ぎのために、売却側の経営者が一定期間勤務する制約(ロックアップ条項)を受けるかもしれません。
自社を売却する際は、競業避止義務だけでなく、ロックアップの有無や条件・期間などについても、買収側とよく協議しておくことが大切です。
③一部からの批判
中小企業売却のデメリット3つ目は、一部のステークホルダーから批判を受ける可能性があることです。会社売却を行うとき、従業員・取引先・出資者などステークホルダーの全てが、必ずしも肯定的・好意的であるとは限りません。
逆に、その一部からは批判的意見が上がってくる可能性もあります。そのような事態を避けるためには、会社売却に納得してもらえるよう、関係者に対して丁寧に説明することが必要です。
7. 中小企業の買収の成功ポイント
中小企業の買収を成功させるためには、どのようなポイントをおさえて行えばよいのでしょうか。ここでは、中小企業の買収を成功させるポイントを4つ紹介します。
【中小企業の買収の成功ポイント】
- デューデリジェンスの徹底
- 統合プロセスの実施
- 友好的な買収の実行
- M&A専門家への相談
①デューデリジェンスの徹底
中小企業買収の成功ポイント1つ目は、デューデリジェンスの徹底です。会社買収は包括承継が原則であるため、売却会社の簿外債務などの負債も引き継がなければならず、債務額が大きければ買収後に経営難に陥る可能性すらあります。
このようなリスクを最小限に抑えるためには、買収前にデューデリジェンスを徹底して行い、財務リスクや法務リスクの有無を精査しておくことが大切です。
②統合プロセスの実施
中小企業買収の成功ポイント2つ目は、統合プロセス(PMI)の実施です。統合プロセスとはクロージング後に行う手続きの1つで、その難易度はとても高いとされています。
統合プロセスに成功しなければシナジー効果を得られないので、戦略を立てて計画的に統合プロセスを実施することが重要です。
③友好的な買収の実行
中小企業買収の成功ポイント3つ目は、友好的な買収の実行を心がけることです。買収先の同意なしに会社買収を行う「敵対的買収」という方法もありますが、ステークホルダーからの反感を買ったり、デューデリジェンスが行えなかったりすることによる買収リスクも大きくなります。
中小企業の買収を行う際は、売却側・買収側ともにメリットが得られるような友好的買収を行うほうが、結果的には成功につながるでしょう。
④M&A専門家への相談
中小企業買収の成功ポイント4つ目は、M&Aの専門家へ相談することです。M&Aでは、会社買収に関する専門的な知識が必要であるため、M&Aの専門家に相談することにより、会社買収の成功確率を上げられます。
近年はM&Aが広く認知されたこともあり、中小規模の案件を取り扱うM&A仲介会社や専門家も増えました。そのなかから自社に合った専門家を選び相談することが、M&Aを成功させる近道ともいえるでしょう。
8. 中小企業を買収する際におすすめの仲介会社と公開中の案件事例
ここでは、中小企業のM&Aにおすすめの仲介会社としてM&A総合研究所を紹介するとともに、M&A総合研究所が担当する売却案件の一例を掲示します。
M&A総合研究所
M&A総合研究所は4つの強みを持つ仲介会社で、中小規模案件を主に取り扱っています。
1つ目は着手金・中間金完全無料の完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系であること、2つ目は実績豊富なM&Aアドバイザーが在籍していることです。
3つ目は通常半年~1年以上かかるM&Aを最短3ヶ月で成約した実績を有する機動力、4つ目は中小企業のM&Aに数多く携わって築き上げた幅広い情報で、希望のM&A先と迅速にマッチングを可能にしていることです。
特徴 | 4つの強みがあること |
対応エリア | 全国 |
得意業種、案件規模 | 中小企業のM&A |
公開されている案件数 | 100件 |
お問い合わせ先 | 0120-401-970 |
サイトURL | https://masouken.com/ |
公開中の案件事例①
紹介する案件は、関東・甲信越地方のSES事業者の売却です。希望譲渡金額は2億5,000万円、新規事業の資金需要のための売却となっています。アピールポイントとしては、現在急成長中であり、高収益を上げている点です。
公開中の案件事例②
近畿地方の総合不動産業者の売却希望案件です。希望譲渡金額は1億円〜2億5,000万円、経営戦略の見直しにより売却を希望しています。
アピールポイントとしては、不動産売買から中古物件のリフォーム&リノベーションまで一貫した総合不動産会社であり、特定地域においてはリーディングカンパニーとして位置づけられている点です。
9. 中小企業の買収検討におすすめのマッチングサイト
中小企業の買収を検討する際は、マッチングサイトを利用する方法も可能です。中小企業の買収検討におすすめのマッチングサイトを5つ掲示します。
【中小企業の買収検討におすすめのマッチングサイト】
- M&Aプラットフォーム(M&A総合研究所)
- TRANBI
- Batonz(バトンズ)
- M&A PARK
- M&Aナビ
①M&Aプラットフォーム(M&A総合研究所)
1つ目は、M&A総合研究所が運営しているM&Aプラットフォームです。無料会員登録のみで、希望案件の企業と直接交渉を進められます。
M&Aプラットフォームは、独自AIによる高精度マッチングが特徴です。譲受希望の条件を掲載しておくことで、譲渡希望企業から直接アプローチが受けられたり、条件に合った案件があったりする場合は、M&A総合研究所から紹介を受けられます。
特徴 | 独自AIによる高精度のマッチング |
公開されている案件数 | 100件以上 |
サイトURL | https://masouken.com/platform |
②TRANBI
2つ目のマッチングサイトは、TRANBIです。登録者数は約30,000人を超えており、非常に注目度の高いマッチングサイトといえます。
特徴 | 国内最大級のマッチングサイト |
公開されている案件数 | 1,000件以上 |
サイトURL | https://www.tranbi.com/ |
③Batonz(バトンズ)
3つ目のマッチングサイトは、バトンズです。日本M&Aセンターのグループ会社が運営しているため、プラットフォームの信頼性は非常に高いことが特徴になります。
特徴 | 信頼性の高いプラットフォーム |
公開されている案件数 | 1,000件以上 |
サイトURL | https://batonz.jp/ |
④M&A PARK
4つ目は、M&A PARKです。特徴は、サイトへの登録・着手金が無料で、37ヶ国以上の海外投資家が登録していることになります。
特徴 | 登録・着手金無料、海外に向けたアピール可 |
公開されている案件数 | 20件以上 |
サイトURL | https://www.ma-park.com/ |
⑤M&Aナビ
最後に紹介するおすすめのマッチングサイトは、M&Aナビです。ほかのマッチングサイトよりも成約率は高く、スピーディーに交渉できるところが特徴になります。
特徴 | 成約率が高い、スピーディーな交渉 |
公開されている案件数 | 100件以上 |
サイトURL | https://ma-navigator.com/about/seller |
10. まとめ
中小企業の買収について、メリットや成功のポイントを解説しました。近年は、事業承継などを理由に売却を検討している中小企業が増加しているため、以前に比べ買収先が見つけやすくなっています。
自社の希望条件にあった買収先を見つけ、買収後により多くのシナジー効果を得るためには、M&A専門家に相談して幅広いネットワークを活用することが有効です。
本記事の概要は、以下のようになります。
【中小企業の買収のメリット】
- 新規事業参入時の時間短縮・コスト削減ができる
- 買収後にすぐ収益が得られる
- 事業規模の拡大ができる
【中小企業の売却のメリット】
- 売却益・譲渡益を得られる
- 新しい事業へ挑戦できる
- 廃業にかかるコストがなくなる
【中小企業の買収のデメリット】
- 経営統合を失敗する可能性がある
- 期待どおりのシナジー効果が得られないケースもある
- 簿外債務などによる負債を引き継ぐリスクがある
【中小企業の売却のデメリット】
- 従業員の意識が低下する可能性がある
- 事業に対する制約が発生する
- 一部のステークホルダーからの批判を受けることがある
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