人材派遣会社は事業承継するべき?技術者派遣業の動向・引き継ぎのコツ解説

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

人材派遣会社や技術者派遣会社でも事業承継は大きな課題です。そこで本記事では、人材派遣会社における事業承継動向を分析し、M&Aで人材派遣会社を事業承継した事例、実施時の流れやポイント、事業承継優遇税制の内容を解説します。

目次

  1. 人材派遣業界の現状
  2. 人材派遣会社はM&Aで事業承継すべき
  3. 人材派遣会社のM&A・事業承継の案件例
  4. 人材派遣会社におけるM&Aでの事業承継の成功事例
  5. 人材派遣会社の事業承継の流れ
  6. 人材派遣会社の事業承継で買い手が見ているポイントとは?
  7. 人材派遣会社の事業承継で知っておくべき税制とは?
  8. 人材派遣会社の事業承継まとめ
  9. 人材派遣業界の成約事例一覧
  10. 人材派遣業界のM&A案件一覧
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1. 人材派遣業界の現状

近年の人材派遣業界は人手不足を背景に需要は増加傾向です。厚生労働省の令和3年度労働者派遣事業報告書の集計結果によると2023年人材派遣業界は微増となっています。ここでは人材派遣業界の現状を紹介します。

人材派遣業界の市場規模

矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2023年)」

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3371

矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2023年)」によると、2022年度の人材関連ビジネスの市場規模は9兆2,355億円でした。内訳を見てみると、人材派遣業市場が8兆8,600億円、ホワイトカラー職種の人材紹介業市場が3,510億円、再就職支援業市場が245億円です。

技術者派遣会社が抱える課題

技術者派遣会社が抱える課題を2つのトピックに分けて解説します。

慢性的な人手不足に陥っている

IT業界ではAIやIoTの技術が進展する一方、それらのノウハウを持つ人材が不足し、慢性的な人手不足が課題となっています。2018年のリクルートキャリア調査では、IoT技術者の求人倍率が4.52倍と非常に高く、Webプログラマーや建設技術者も高倍率を記録しました。

また、IT技術者の派遣料金は2018年度に前年より平均8%上昇し、地域別では半導体エンジニアの求人件数が大幅に増加しています。

しかし、技術者派遣業界は厳しい状況にあります。国内人材への投資が減少し、オフショア開発が進む中、大規模な人材派遣を求める企業のニーズに対応できない中小派遣会社が苦境に立たされています。これにより、経営悪化する企業も少なくありません。

シェアや人材の奪い合いが発生している

技術者やエンジニアの派遣業界は、特別な免許や許可を必要としないため、新規参入が容易で、結果として多くの中小企業が乱立しています。その一方で、業界全体の経営環境が悪化している中、企業間でのシェア争いや人材の確保競争が激化しています。

このような状況では、規模や資金力で劣る中小派遣会社が不利になりやすく、競争力を維持できない企業はさらなる困難に直面する可能性が高いです。業界全体の厳しい環境が、特に小規模事業者にとって深刻な課題となっています。


参考:みずほ情報総研「IT 人材需給に関する調査  調査報告書」

人材紹介の今後の動向

2023年度の人材関連ビジネス主要3業界の市場規模は、事業者売上高ベースで9兆9,107億円の見込みです。

人材派遣業市場はさまざまな業界・業種において人手不足もあるため堅調な推移となりました。昨今はフリーランス・副業・兼業が増加しているため、人材サービス会社にとってフリーランス・副業・兼業向け市場は大きな成長余地があると言えるでしょう。

今後も業界・業種や従業員規模に関わらず、人材採用を目的とした需要は高まっていくとみられます。

2. 人材派遣会社はM&Aで事業承継すべき

人材派遣会社が廃業するのは避けるべきといえます。なぜなら、事業承継を行えば従業員の雇用を守りつつ会社を存続できるからです。

ただ、「最適な後継者がいないので事業承継がうまくいかない」と悩んでいるケースも多いでしょう。そのような場合は、M&Aで事業承継を行う方法が有効です。

M&Aでの事業承継とは、具体的には、会社の経営権をM&Aの買い手に引き継いでもらうことを意味します。

M&Aで事業承継すべき理由は以下のとおりとなっています。
 

  1. 事業承継しやすい状況にある
  2. 後継者で悩まなくてよい
  3. まとまったキャッシュを得られる

①事業承継しやすい状況にある

現在の人材派遣会社は事業承継がしやすい状況にあります。オリンピックの開催準備や、被災地での復旧工事などによって、特に建設業や土木業などの雇用の需要が高まっているからです。

いずれの場合でも、各社同時の人材採用だけでは人数が足りず、人材派遣会社へのニーズが高くなっています。

したがって、現在は人材派遣会社の事業承継はしやすい状況といえるのです。

②後継者で悩まなくてよい

M&Aによる事業承継をすれば、後継者選びで悩むことがなくなります。業界に対するリテラシーの高い会社へ事業を承継できるからです。

M&Aでは、潤沢な資金や業界に対する知識を持つ会社を承継先に選べます。もし、「自分の子供に継がせるのは心配」「業界の今後を考えると子供に継がせたくない」という場合でも、M&Aであれば経営の悪化を防いで事業承継が可能です。

つまり、M&Aによる事業承継は、後継者選びで悩まなくて済むようになります。

③まとまったキャッシュを得られる

M&Aによる事業承継をすれば、廃業を回避し、まとまったキャッシュが得られます。派遣元責任者の資格を持った人材が多ければ、売却金額は高額になるケースも珍しくありません。

得られた売却益で新規事業を起こすこともできれば、老後の生活資金に回すなど、さまざまな使途が考えられます。

【関連】事業承継(M&A)と廃業(清算)を比較!どちらが得する?

3. 人材派遣会社のM&A・事業承継の案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っている人材派遣会社のM&A・事業承継の案件例をご紹介します。

【営利4,000万円/負債引継なし】首都圏の人材派遣業

事業譲渡スキームにつき、負債の引継ぎはありません。譲渡対象は派遣先の契約と無期雇用の従業員(契約の再締結必須)です。
 

エリア 関東・甲信越
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1億2,000万円
譲渡理由 事業の選択と集中

【関連】【営利4,000万円/負債引継なし】首都圏の人材派遣業(その他サービス等) | M&A総合研究所

【独自開発の営業ツール所有】3,000社以上の実績があるDX営業代行・人材派遣業

対象会社が親子関係にあるため、上記財務情報は2社合算での数値を利用しています。3,000社以上のDX営業代行実績を保有しています。
 

エリア 東京都
売上高 5億円〜10億円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 さらなる事業拡大のため

【関連】【独自開発の営業ツール所有】3,000社以上の実績があるDX営業代行・人材派遣業(ウェブサイト・システム) | M&A総合研究所

【ベトナム】日本市場に強みのある人材派遣・職業訓練サービス

日本市場に大きな強みを有す人材派遣・職業訓練業です。最新の設備・プログラムにより、言語・スキル・文化統合等の総合的な職業訓練をサポートしています。
 

エリア 海外
売上高 5億円〜10億円
譲渡希望額 7億円(応相談)
譲渡理由 事業の更なる拡大のため

【関連】【ベトナム】日本市場に強みのある人材派遣・職業訓練サービス(その他サービス等) | M&A総合研究所

【九州/無借金経営】製造業向け人材派遣業

大手製造工場との取引があり、売り上げは拡大基調です。創業間もありませんが、すでに安定的な売り上げを確立しています。
 

エリア 九州・沖縄
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 事業の集中と選択

【関連】【九州/無借金経営】製造業向け人材派遣業(その他サービス等) | M&A総合研究所

【東北】施工管理技士 / 建設系人材派遣業

地元の大手建設会社への取引をメインに行う、建設系人材派遣会社です。施工管理技士や、事務等の派遣業を手掛けます。
 

エリア 東北
売上高 5000万円〜1億円
譲渡希望額 5000万円〜1億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【関連】【東北】施工管理技士 / 建設系人材派遣業(住宅・不動産・建設) | M&A総合研究所
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4. 人材派遣会社におけるM&Aでの事業承継の成功事例

人材派遣会社におけるM&Aでの事業承継の成功事例を紹介します。

イシグロによる技術者派遣業・建物検査業社の2社の買収

2024年11月25日、イシグロは、新日本技術株式会社と株式会社建築システムの全株式を買収し、両社をグループに迎え入れました。イシグロは配管機材商社で、商品・ソリューションの提供拡大を目指しており、今回の買収により、建築技術者派遣や建物検査事業を取り込むことで顧客対応力を強化します。

これにより、業界が抱える人手不足問題に新たなソリューションを提供し、顧客ニーズの多様化に応える狙いがあります。

新日本技術株式会社・株式会社建築システムのグループ化に関するお知らせ

テクノホライゾンによるアイネッツコムの買収

2024年11月22日、テクノホライゾンは、アイネッツコムの全株式を取得しました。テクノホライゾンは、「映像&IT」や「ロボティクス」を活用し、教育や医療、安全・生活、FAなどの市場向けに製品やサービスを提供しています。

一方、アイネッツコムは四国地域を中心にIT技術者派遣や請負事業を展開。本件M&Aにより、テクノホライゾンの広範な営業網や自治体・学校との関係を活用して、アイネッツコムのサービス向上や新規ニーズの掘り起こしを図ることを目的としています。

株式会社アイネッツコムの株式取得に関するお知らせ

パーソルテンプスタッフによるヒューテックの買収

2024年5月、パーソルテンプスタッフはヒューテックを2024年6月3日付けで株式譲渡によって買収することを発表しました。

パーソルテンプスタッフヒューテックおよび子会社のビジネス・サービスの株式を譲受しました。パーソルテンプスタッフは、全国に拠点のある総合人材サービス会社です。対象会社のヒューテックは、佐賀県に拠点を置く製造・事務職の人材派遣会社で、佐賀ではトップのシェアを誇ります。

今回のM&Aにより、佐賀・福岡・長崎・熊本エリアの経営を強化するをとともに、人材派遣・業務受託サービスの地域雇用創出を拡大します。

佐賀県の地域密着型の人材派遣会社 ヒューテックと株式譲受契約を締結

ビジョンクラフトによる人材派遣事業の買収

2024年4月、ビジョンクラフトはG&GホールディングスのM&Aを実施したと発表しました。

ビジョンクラフトは、譲受事業、経営コンサルタント事業、M&Aアドバイザー事業を行う企業です。G&Gホールディングスは富山県に拠点を置く製造業・物流業向けの人材派遣事業を行う企業です。

今回のM&Aにより、地方の中堅・中小企業の経営課題の解決を目指し、さらに人材ビジネスのみならずさまざまな分野の企業のグループインを推進していく予定です。

【譲受事業第1号企業】株式会社G&Gホールディングスのグループ会社化に関するお知らせ
【関連】人材派遣会社は会社譲渡(株式譲渡)すべき!成功事例と仲介会社も紹介

5. 人材派遣会社の事業承継の流れ

こちらでは、事業承継における準備から承継までの流れを紹介します。おそらくは誰にとっても初めての体験でしょうから、流れを知っておけば慌てずに事業承継を進めることが可能です。

人材派遣会社が事業承継をするには、以下の6ステップがあります。
 

  1. 資産・経営状況の把握
  2. 承継方法の決定
  3. 事業承継計画の作成
  4. M&Aのパートナー探し
  5. 事業承継の実行
  6. 事業承継後のケア

事業承継の手続きは、少なくとも3カ月ほど必要です。スムーズに進めるためにも、事前に流れを押さえておきましょう。

①資産・経営状況の把握

まず、会社が持っている資産がどれほどか確認してください。経営状況や資産状況により、事業承継に必要な金額が変わるからです。

具体的には、事業承継の前に以下のポイントを確認しましょう。
 

  • 会社の現状
  • 自社株式の数と評価額
  • 自社が保有する技術、ノウハウ
  • 経営者の資産状況
  • 後継者候補のリストアップ

経営者の資産は、会社と経営者が保有しているものに分かれます。個人が持っている資産を事業に利用している場合は、どこまでを会社の資産とするか定めておかなければなりません。

また、株式数と評価額は、会社の価値を決定する要素の1つです。しかし、未上場の会社であれば、正確に株式の価値を把握することは難しいでしょう。

その場合、M&A仲介会社アドバイザーに相談しながら事業承継の方針を決めるべきです。

②承継方法の決定

会社の資産や経営状況が把握できれば、承継方法を決定します。親族内承継、または社内承継を行うなら、業務の引き継ぎや承継の手続きに時間がかかるので、後継者がいるなら早めに準備を始めてください。

もし、後継者が見つけられない場合はM&Aをすることになります。その場合は、早い段階でM&A仲介会社に相談をして、価格や会社の待遇などの希望を決めておきましょう

注意点としては、事業承継を行うことや後継者が誰かなど、確定していないのに従業員に知らせてはいけません。決まっていない情報を聞いた従業員のモチベーションが落ちたり、社内が混乱したりしてしまう可能性があるからです。

もちろん、従業員や取引先へ事業承継の報告は必要ですが、計画が決まってから行うようにしましょう。

③事業承継計画の作成

親族内承継、または社内承継で事業承継をする場合、事業承継計画を作成しなければなりません。具体的な事業承継計画を立てなければ、事業がいつ誰に承継されるか分からずに社内が混乱してしまうからです。

事業承継計画の内容は、主に以下4つの内容を5~10年ぐらいの範囲でまとめてください。
 

  • 企業理念
  • 中長期経営計画
  • 後継者の承継時期
  • 承継の基本方針

また、事業承継における契約変更の手続きや引き継ぎ期間、後継者教育の内容も決めておきましょう。

④M&Aのパートナー探し

M&Aを行うときは、M&A仲介会社に相談してパートナーを探しましょう。会社の状況やタイミング、地域などによっては買い手が見つかりにくいという可能性があります。

したがって、M&Aの実施を決めたら早めに相談してください。相談先には、都道府県ごとに設置されている公的機関である事業引継ぎ支援センターや商工会・商工会議所、金融機関などもあります。

ただし、それらの機関にはM&Aの専門家が在籍しているわけではありません。すでにM&Aでの事業承継を決心している状況であるのなら、専門家が在籍しているM&A仲介会社に依頼したほうがよいです。

ほとんどの仲介会社が無料で相談できるので、後継者のめどが立たない場合はM&A仲介会社に相談してみましょう。

⑤事業承継の実行

方法やスケジュールが決まり次第、計画どおりに事業承継を実行しましょう。事業承継の中でも、早めにしておくべき3つのことがあります。
 

  • 後継者教育
  • 資産整理
  • 従業員、取引先への説明

M&Aを行う場合は、この段階で最終契約締結に移ってください。親族内承継、もしくは社内承継の場合も、税務や法務、会計の知識が必要なので、何か分からないことがあれば専門家に相談しましょう。

⑥事業承継後のケア

事業承継が終わった後も、経営者は会社のケアをしなければなりません。後継者に対して経営に関する教育を行っていない場合、いきなり仕事を全て任せてしまうとトラブルの原因になってしまうからです。

さらに、従業員や取引先へ事業承継の説明を行わないまま、新しい経営者が会社の方針を変えてしまうと、従業員が大量に離職してしまう可能性が高まります。

さまざまな仕事の引き継ぎがあるため、事業承継後も新しい経営者が仕事に慣れるまでの1年程度は会社に残ってサポートしたほうがよいでしょう

【関連】事業承継の手続きを解説!事業承継の方法と流れ・必要書類・相談先・費用も紹介

6. 人材派遣会社の事業承継で買い手が見ているポイントとは?

人材派遣業界のM&Aを行う企業は多いので、アピールポイントを押さえなければ買い手にとって自社が魅力的に見えません。ポイントが分かれば、数ある会社の中から自社が魅力的であることをアピールできます。

事業承継において、買い手が売り手に求めるポイントは以下の2つです。
 

  1. 人材の経験や資格の有無
  2. 人材育成における方針

少しでも高く買ってもらうために、1つずつ確認していきましょう。

①人材の経験や資格の有無

人材の経験や資格の有無を確認しましょう。英語が話せる、国家資格を持っているなどのスキルがある人材がいれば、買い手企業にアピールしやすくなるからです。

2012(平成24)年に日雇い派遣が禁止されてから、派遣される人材に求められるスキルは高くなっています。自社にはどのようなスキルや経験を持った人材がいるのか、まとめてください。

また、派遣する人材が経験豊富であるということもアピールポイントです。今後も引き続き派遣人材は高いスキルと経験が求められるので、成長が見込める人材は会社に残すべきなのです。

②人材育成における方針

人材育成の方針は、しっかり定めておきましょう。もし、買い手企業と人材育成の方針が近ければ、シナジー効果が見込める一方、方針が異なる場合には企業文化の統合に時間がかかってしまうからです。

人材不足が目立つ中、今在籍している従業員の能力を発揮させることは大切なことといえます。もちろん、買い手側にも多くの従業員がいますので、なるべく似ている方針で経営している企業の方がよりよく見えるのです。

そして、買い手側は売り手企業の会社文化を知りたいと考えています。したがって、抱えている人材や育成方法を具体的に挙げると、会社の雰囲気などもうまく伝えられるでしょう。

【関連】事業承継の戦略策定方法を解説!おすすめのセミナーや本も紹介!

7. 人材派遣会社の事業承継で知っておくべき税制とは?

これまで、事業承継の種類や手順を紹介してきました。しかし、親族内承継をする場合でも、税金は発生してしまいます。

そこで、事業承継をするなら税金制度に関して知っておき、節税対策を取って少しでも後継者の負担を減らすべきです。紹介する税制には以下の2つがあります。
 

  1. 事業承継税制
  2. 相続時精算課税制度


税制を把握して、少しでも金銭的な負担を減らしましょう。

①事業承継税制

事業承継税制は、事業承継の際に発生する相続税と贈与税の納付に猶予を持たせ、場合によっては免除される制度のことです。事業承継で発生する税金の負担が大きいことから、後継者がいるのにも関わらず廃業を選択する企業が増えているため導入されました。

事業承継税制を利用することで、相続税の100%と、贈与税の80%の支払いが猶予されます。2027(令和9)年までは、特例措置により相続税と贈与税は100%が支払い猶予なので、事業承継を検討しているなら早めに行うべきです。

ただし、事業承継税制の適用には、都道府県知事の認定を受けなければなりません。もし、認定が受けられなければ、事業承継税制は適用されないので、M&A仲介会社などの専門家に相談して条件が満たされているか確認しましょう。

また、事業承継税制については以下の記事で詳しくまとめてあるので、そちらもぜひ確認してください。

【関連】事業承継税制の特例とは?内容や要件から申請の注意点まで解説!

②相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、贈与税に関わる課税制度の1つです。相続時精算課税制度を利用することで、贈与額より2,500万円が控除されます。そして、控除後の金額で相続税を計算するのです。

たとえば、相続時精算課税制度を利用しなければ、贈与額が3,000万円であれば55%の課税なので、支払い総額は1,650万円です。しかし、制度を利用すれば贈与額は500万円となるため、支払う税金は100万円まで減額されます。

ただし、相続時には、その分の税金を別で納めることになるので気をつけなければなりません。

この制度はかなり複雑なので、税理士などの専門家と相談しながら活用を検討していきましょう。

【関連】事業承継の相続税対策に悩む経営者に!節税対策を徹底解説!
【関連】人材派遣会社は事業売却(事業譲渡)のチャンス!業界傾向や課題、事例までを徹底解説

8. 人材派遣会社の事業承継まとめ

M&Aによる事業承継を行えば、後継者選びに悩まず会社を引き継いでもらえます。また、人材派遣会社が事業譲渡を行った例もありますので、参考のうえで検討してみてください。

しかし、専門家のサポートを受けずに後継者を探したり、M&Aの契約を行うのはトラブルの元となってしまいます。したがって、M&Aによる事業承継について検討するなら、早期にM&A仲介会社に声をかけてみましょう。

9. 人材派遣業界の成約事例一覧

10. 人材派遣業界のM&A案件一覧

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