コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡!業界動向、最新事例、売却相場を解説

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

コールセンター業界のM&Aに関する情報をまとめました。コールセンターが地方に分散してきた経緯やコールセンターを買収・譲渡・売却する背景、M&Aの売却側・譲渡側それぞれのメリットなどを事例の紹介も交えながら解説します。

目次

  1. コールセンターとは
  2. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡の動向
  3. コールセンターM&Aの相場・売買価格
  4. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡事例
  5. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡ニュース【2022年最新】
  6. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡のメリット
  7. コールセンターのM&Aを成功させるポイント
  8. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡は専門家に相談しよう
  9. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡まとめ
    • コールセンターのM&A・事業承継

    1. コールセンターとは

    一般的に、コールセンターは「電話による企業の窓口」というイメージを持たれることがあります。しかし、昨今では電話による対応を行わないコールセンターなども登場してきました。本章では、まずコールセンター業界の定義や現状などを確認します。

    業界定義

    コールセンターとは、電話などによる顧客対応の窓口業務を専門的に行う事業のことです。CRM(Customer Relationship Management)による顧客満足度の向上や、通信販売の受付、要望や苦情などへの対応など、その内容は多岐にわたります。

    従来は電話受付対応(インバウンド)が主な事業でしたが、昨今は顧客の新規開拓や能動的アフターサービスを行う発信業務(アウトバウンド)のコールセンターも増えてきました。積極的なM&Aを行い、異業種のノウハウを取り入れた新しいコールセンターも登場しています。

    業界主要企業

    ここからは、コールセンター業界の主要企業3社を紹介します。

    • トランスコスモス
    • ベルシステム24ホールディングス
    • りらいあコミュニケーションズ

    トランスコスモス

    トランスコスモスは、2022年3月末時点で全国にオペレーション拠点が67拠点、海外では中国、韓国、ASEAN各国、アメリカ、ヨーロッパ各国に計102拠点を持つ業界最大級のコールセンター会社として知られています。

    トランスコスモスは、海外企業とのM&A(クロスボーダーM&A)にも積極的です。

    2015(平成27)年には東南アジアを拠点にネット事業を展開するメトロディールホールディングスから事業譲渡を受け、2017(平成29)年にはチャットソフトを手がけるアメリカのリプライ社と資本提携を締結しています。

    その後、台湾に子会社を設立し、ベトナム企業にも出資しています。国内では2015年に、通販会社大手の日本直販の一部事業を吸収合併で取得しました。

    電話以外のインフラとしては、2016(平成28)年にLINEとの共同出資でトランスコスモスオンラインコミュニケーションズを設立し、音声以外の新しいコミュニケーションスタイルに積極的に挑戦しています。

    ベルシステム24ホールディングス

    ベルシステム24ホールディングスの筆頭株主は伊藤忠商事で、グループ会社や取引先から業務を請負い、現在コールセンター業界で確固たる地位を築いています。ベルシステム24ホールディングスは、これまでM&Aを繰り返し行ってきた会社です。

    2004(平成16)年、M&Aで日興コーディアル証券の子会社になります。その後、シティグループの子会社となり、2009(平成21)年にはベインキャピタル傘下で経営を立て直すことに成功しました。

    そして、2014(平成26)年に伊藤忠商事に買収され、2017年には凸版印刷と資本業務提携契約を締結し、高度なBPO事業を国内市場だけでなくアジア地域でも展開しています。

    りらいあコミュニケーションズ

    りらいあコミュニケーションズは、金融関連のコールセンター業務を多く請負っている会社です。2011(平成23)年にはコンサルティングのエル・ティー・エスと資本業務提携し、人材開発分野の業務委託を受けています。

    2016年には、フィリピンの独立系の大手アウトソーサー2社を買収し子会社化しました。対象となった2社はフィリピン内で9つの拠点を運営しており、アジア太平洋地域および北米を中心とする英語圏での発展につなげています。

    コールセンターの現状

    従来、コールセンターは首都圏に拠点を置く企業が数多くありました。しかし、昨今は「地方活性化」と「経費節約」の2つの観点で、首都圏から地方にコールセンターを移す企業が増加しています。

    沖縄県や北海道の札幌などでは、地方自治体の雇用対策として企業に補助金を出す施策が行われました。「地元採用」を増加し地方の雇用を活性化させるアイデアが、企業の「地方での雇用は東京と比較して人件費を抑えられる」という思惑に見事にマッチしました。

    全国平均では時給1,200円台の人件費が、ほとんど同じ業務内容でも札幌市・那覇市・福岡市・仙台市に開設すると時給900円〜1,100円台で済むことが多いでしょう。そのほか、コールセンターを置くための事業所の賃料やインフラ整備にも、地方と首都圏では大きな差がありました。

    こうした事情があり、首都圏に置かれていたコールセンターは次々と地方に移転しています。地方に移転したコールセンターは、フリーダイヤルを採用しているケースが多いでしょう。IP電話を最大限に活用し、利用者に通話料の負担を強いることなく、コールセンターの運営費用を半分程度に抑えられるようになっています。

    拠点が札幌・沖縄に集中

    月刊コールセンタージャパン編集部の「コールセンター立地状況調査より、」地方都市のコールセンターの拠点数を見ると、札幌市が81拠点と最も多く、次いで那覇市が62拠点・福岡市が43 拠点・仙台市が41拠点となっています。

    札幌市は、2011年以降に開設された拠点数が27拠点あり、増加傾向です。2017年落成の「札幌フコク生命越山ビル」、2018(平成30)年落成の「さっぽろ創世スクエア」などにコールセンターを開設するなど、新規拠点の立ち上げが多くあります。

    沖縄県では、1998(平成10)年に発表した「沖縄県マルチメディアアイランド構想」から始まり、コールセンター誘致のために高速通信回線や企業の譲渡受け皿を整備し、情報通信産業の誘致や振興に取り組みました。

    これに合わせて首都圏にあるコールセンターの誘致や、地元の若者雇用の促進、通信コストの低減化などに注力しました。その結果、沖縄県内の情報通信関連人口の約70%に当たる17,000人ほどが、コールセンターで勤務しています。

    その一方で、慢性的な人手不足に悩まされており、離職率が4割を超えているなど、人材の観点で見ると多くの課題を抱えている状況です。

    参考:ニッセイ基礎研究所「地方都市のオフィス需要を牽引するコールセンター」

    ノンボイス化が注目されている

    現在、コールセンターでは、電話以外のコミュニケーションが注目されています。ノンボイス化の動きとしては、チャット・インスタントメッセージなどさまざまな動きがあり、その中で特に「LINE」を使ったサービスが人気です。

    スマートフォンの普及率が高くなるにつれて、LINEが個人のメッセージのやり取りだけではなく、企業がカスタマーとやり取りをするために積極的に活用されるようになりました。電話業務のみのコールセンターがM&Aによる事業売却・譲渡を行い、電話以外のコミュニケーションツールを利用し始めているケースが増加傾向にあります。

    コンタクトセンターとは

    コンタクトセンターとは、顧客との電話対応を専門に行うコールセンターに対して、従来の電話応対業務に加えてメールやチャットコミュニケーション、Webのようなマルチメディアを利用した顧客対応を行うセンターのことです。

    基本的にコールセンターとコンタクトセンターは「カスタマー対応を行う」意味では同じカテゴリーですが、その方法が電話か電話以外かという部分で定義が分かれます。なお、企業によってもその呼び方は異なり、統一された呼称ではありません。

    同じコールセンター・コンタクトセンターでも、「ヘルプデスク」「お客様相談センター」「サポートセンター」「カスタマーセンター」などさまざまな名称が用いられています。

    コールセンターの市場規模

    矢野経済研究所の「コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査を実施(2021年)」によると、コールセンターサービス業の2020年度における市場規模は1兆421億円(前年比104.6%)でした。2021(令和3)年度の市場規模予測は、1兆813億円です。

    その一方、コンタクトセンターソリューション業の2020年度の市場規模は5,138億円(前年比101.5%)、2021年度の予測値は5,235億円となっています。

    参考:矢野経済研究所「コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査を実施(2021年)」

    コールセンターの課題と展望

    コンタクトセンターも含めたコールセンターの今後の主な課題は、以下のとおりです。

    • 多言語対応:コロナ後に外国人観光客が増加した場合に必須の機能
    • クラウド化:人員削減と省スペースが実現しコスト削減効果が得られる
    • AI化:24時間対応、迅速対応などを人員コスト削減しつつ体制構築できる

    上記の課題をいち早く実現化させた企業が、コールセンター業界内の競争で勝ち残れると考えられています。

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    2. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡の動向

    順調に業績を伸ばしているコールセンター業界ではありますが、2008(平成20)年のリーマン・ショックにより、不景気の影響を大きく受けました。これにより、昨今のコールセンター業界では、経営を立て直すためのM&Aが積極的に行われています。

    電話以外の新しいコミュニケーションツールを利用するため、異業種企業と事業売買を行うためなど、さまざまな目的でM&A・企業統合が行われています。以下では、コールセンター業界におけるM&Aの動向を解説します。

    ①東京オリンピックを見据えた需要増加

    近年、東京オリンピック・パラリンピックにおいて多くの外国人観光客が訪れることを見据えて、多言語化対応のコールセンターを導入する企業が増加しつつあります。国内ではコールセンターの需要が落ち着きを見せていて伸び率は低いものの、海外からの観光客に向けたコールセンターは拡大傾向にありました。

    しかし、2021年に延期された東京オリンピック・パラリンピックは、コロナ禍のため原則無観客での開催となり、コールセンター業界の思惑は外れてしまいました。

    ②圧倒的な売り手市場

    コールセンター業界は、コロナ禍以前は圧倒的な売り手市場でした。他業界のM&Aと比較しても、事業売却・事業譲渡企業に良い条件でM&A売買交渉を行えました。しかし、現在ではM&A需要が落ち着いきています。

    【関連】新型コロナによりM&Aマーケットはどうなる?業界別に解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

    3. コールセンターM&Aの相場・売買価格

    コールセンターのM&A相場は、各社の規模や条件によって個別に異なるため、一概に金額を掲示できません。一般的にM&Aでの取引価額を決めるには、まず交渉前の段階で売却側の企業価値評価(バリュエーション)を行います。

    M&A仲介会社・公認会計士・ファイナンシャルアドバイザーなどの専門家が、複数の算定方法を用いて「企業価値評価=売買価額」のもとになる金額を算出するのが一般的です。

    近頃では、企業価値評価を簡易的に無料算定しているM&A仲介会社もあるため、自社・コールセンターの売買価額を想定したい場合には、一度相談してみるとよいでしょう。

    もしもコールセンターのM&Aにおける相談先にお困りなら、M&A総合研究所にご連絡ください。M&Aの知識・支援実績を豊富に持つM&Aアドバイザーが専任となり、相談時からクロージングまで徹底サポートします。

    M&A取引は成約まで半年から1年程度かかるケースが多いですが、M&A総合研究所は最短3カ月で成約した実績もあるなど、機動力も強みです。相談料は無料ですので、コールセンターのM&Aをご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。

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    • コールセンターのM&A・事業承継

    4. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡事例

    国内外におけるコールセンターのM&A・買収・売却・事業譲渡には多くの事例があります。それらを体系で分けると、以下の4パターンです。

    1. 「IN-IN」:国内企業同士で行うM&A
    2. 「IN-OUT」:日本企業が海外企業を買収するM&A
    3. 「OUT-IN」:海外企業が日本企業を買収するM&A
    4. 「OUT-OUT」:海外企業同士で行うM&A

    ①IN-INの事例

    国内企業同士で行われたM&Aの事例を紹介します。

    三井物産系のりらいあコミュニケーションズは、2011年にコンサルティング会社のエル・ティー・エスと提携し、eラーニングなどのアウトソーシング業務の展開を行ってきました。

    2013(平成25)年には、電通グループのメディアレップ大手のサイバー・コミュニケーションズとM&Aを行うなど、コールセンターの受託運営業務をメインの事業としながら、さらにCRM事業を強化しています。

    ②IN-OUTの事例

    日本企業が海外企業を買収したM&Aの事例を紹介します。

    コールセンター業界最大手のトランスコスモスは、2011年にイギリスのメルリンへ出資、2015年にイギリスのメトロディールホールディングスを買収、2017年にはアメリカのリプライと資本提携を行うなど、積極的に海外進出を進めてきました。

    そのほかにもアジア方面では、台湾の子会社が台湾で初となるコンタクトセンター拠点「江子翠(こうしすい)センター」を開設しています。ベトナムのホーチミンに5拠点目となるコールセンターの拠点「ホーチミン第三センター」を設立し、順調に事業拡大しました。

    ③OUT-INの事例

    海外企業が日本企業を買収したM&Aの事例を紹介します。

    ベルシステム24はCSKグループの子会社でしたが、2004年に日興コーディアル証券(当時)系の投資会社日興プリンシパル・インベストメンツの完全子会社となり、2005(平成17)年に上場廃止しました。

    その後、海外企業のシティグループの子会社となります。しかし、2008年のリーマン・ショックをきっかけにシティグループの業績が悪化し、翌年にはベインキャピタルに売却されました。その後の2017年には、ベインキャピタルが全株式を日本の凸版印刷に譲渡しています。

    ④OUT-OUTの事例

    海外企業同士で行われたM&Aの事例を紹介します。

    世界的に有名な顧客データベースを扱うSalesforce.comは、2008年にコールセンター用ソフトウェアを手がけるInStranetを買収しました。

    M&AによってSalesforce.comのカスタマーサービスを強化して顧客満足度UPを図るとともに、顧客データベースと電話をコラボレーションした技術を利用して事業拡大を進めています。

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    5. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡ニュース【2022年最新】

    ここでは、最近、実施されたコールセンターのM&A・買収・売却・譲渡事例を紹介します。

    1. ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスの連結子会社間のM&A
    2. ジェイフロンティアとAIGATEキャリアのM&A
    3. インバウンドテックとOmniGridのM&A
    4. ジャパンベストレスキューシステムとアクトコール、TSUNAGUのM&A
    5. 日本PCサービスとミナソルのM&A
    6. サンネクスタグループ子会社間のM&A
    7. デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーといわきテレワークセンターのM&A
    8. インバウンドテックとシー・ワイ・サポートのM&A
    9. Bestエフォートとコール&システムのM&A
    10. セコムとTMJのM&A

    ①ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスの連結子会社間のM&A

    2021年11月、ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスは、連結子会社4社による吸収合併の実施を発表しました。合併予定日は2022(令和4)年2月で、合併するのはMIRAIt Service Design、ソフトワイズ、MSD Secure Service、盛達テクノロジーです。

    存続会社はMSD Secure Serviceで、各社の事業を承継し今後はソフトウェア受託開発業、開発技術系コールセンター事業、システムエンジニアリングサービス業を行っています。

    ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスとしては、事業の集約により経営を効率化させ、顧客への提供サービス内容を充実させる考えです。

    ②ジェイフロンティアとAIGATEキャリアのM&A

    2021年12月、ジェイフロンティアは、AIGATEキャリアの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。ジェイフロンティアは、ヘルスケアセールス事業、メディカルケアセールス事業、ヘルスケアマーケティング事業などを行っています。

    AIGATEキャリアは、医療人材紹介事業、営業人材紹介・派遣事業、コールセンター運営事業などを行っている企業です。ジェイフロンティアとしては、コールセンターの内製化により収益基盤強化を図れると判断しました。

    ③インバウンドテックとOmniGridのM&A

    2021年11月、インバウンドテックは、OmniGridの株式65%を取得し子会社化しました。取得価額は9億2,950万円です。インバウンドテックは、マルチリンガルCRM事業、セールスアウトソーシング事業として多言語コンタクトセンターを運営しています。

    コンタクトセンターとは、通常のコールセンター業務に加えて、Eメール、Web、ソーシャルメディア、チャット、FAX、ハガキなどの手段も含めた対応を行うサービスです。

    OmniGridは、音声予約システム開発・運営、音声通話システム開発・運営、レンタルサーバー事業などを行っている企業です。インバウンドテックとしては、安定収益と音声技術の開発ノウハウ取得を目的としています。

    ④ジャパンベストレスキューシステムとアクトコール、TSUNAGUのM&A

    2021年9月、ジャパンベストレスキューシステムは、株式交換によってアクトコールとTSUNAGUを完全子会社化しました。ジャパンベストレスキューシステムは、コールセンター運営を含む駆けつけ事業、会員事業、保険事業、リペア事業、ライフテック事業などを行っています。

    アクトコールとTSUNAGUは、シック・ホールディングスの100%子会社でした。アクトコールは住生活関連総合アウトソーシング事業、TSUNAGUはコールセンター運営事業を行っている企業です。

    ジャパンベストレスキューシステムとしては、営業リソースやコールセンター業務の効率化により収益性の向上を見込んでいます。

    ⑤日本PCサービスとミナソルのM&A

    2021年8月、日本PCサービスは、ミナソルの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。日本PCサービスは、IT機器の総合サポートサービス業、コールセンター運営、ビジネスソリューション事業などを行っています。

    ミナソルは、コールセンター事業を行っている企業です。日本PCサービスとしては、ミナソルの高い提案力を評価し、シナジー効果が創出できると判断しています。

    ⑥サンネクスタグループ子会社間のM&A

    2021年7月、サンネクスタグループの完全子会社3社の間で、以下のようなM&Aが行われました。

    • スリーSが存続会社、サンネクスタリーシングが消滅会社となる吸収合併
    • 日本社宅サービスがコールセンター事業をスリーSに事業譲渡

    サンネクスタグループは、社宅マネジメント事業、マンションマネジメント事業、マネジメントサポート事業、コールセンター運営を含むインキュベーション事業などを行うグループの持株会社です。

    今回のM&Aにより、マネジメントサポート事業とコールセンター事業がスリーSに集約されました。サンネクスタグループとしては、品質の向上と効率化が図られ収益力が強化されるとの考えです。

    ⑦デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーといわきテレワークセンターのM&A

    2021年5月、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、いわきテレワークセンターの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。いわきテレワークセンターは、M&A後にデロイト トーマツ テレワークセンターに社名変更しています。

    デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、デロイト トーマツ グループのファイナンシャルアドバイザリーファームです。いわきテレワークセンターは、コールセンター事業を主軸としてBPO(Business Process Outsourcing)サービスを行ってきました。

    デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーとしては、グループ内のコールセンター機能の強化を目的にM&Aを実施しています。

    ⑧インバウンドテックとシー・ワイ・サポートのM&A

    2021年4月、インバウンドテックは、シー・ワイ・サポートの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は9,323万7千円です。インバウンドテックは、マルチリンガルCRM事業、セールスアウトソーシング事業(多言語コンタクトセンター運営)を行っています。

    シー・ワイ・サポートは、岩手県に2拠点を持つコールセンター事業を行っている企業です。これまで、インバウンドテックのコールセンター拠点は、東京都と鹿児島県の2拠点でした。M&Aにより、異なる地域のコールセンター拠点の獲得を図っています。

    ⑨Bestエフォートとコール&システムのM&A

    2018年9月、Bestエフォートは、株式交換の手法を通じて、コール&システムを完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取引価額は非公開です。

    買収側は、東京都豊島区に本社を置き、NTT東日本・NTT西日本法人回線取次・販売委託事業、ナチュラルミネラルウォーター販売取次事業、不動産アライアンス事業、助成金・Pマーク・マイナンバー一括コンサルティング業務、自社光回線卸し売り事業、プロバイダー事業、シェアードサービスなどを手掛けている企業です。

    対する売却側は、福岡市を拠点に、コンサル専門のコールセンター業やソフトウェア業などを手掛けています。

    本件M&Aにより、買収側では、コールセンターの情報を一元管理するシステムの開発を図っています。

    ⑩セコムとTMJのM&A

    2017年10月、セコムは、ベネッセホールディングスおよび丸紅よりTMJの株式すべてを取得し、完全子会社化しました。本件M&Aの取得価額はおよそ265億5,000万円です。

    買収側は、東京都渋谷区に本社を構える日本初の警備サービス会社です。グループとして、日本国内のほか、海外21の国と地域に事業展開しています。対する売却側は、東京都新宿区に本社を置く、ベネッセコーポレーションより1992年に分社独立した総合BPOサービス会社です。

    本件M&Aにより、買収側では、売却側の有する経験やノウハウを活用し、高付加価値のサービス開発・提供を図っています。

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    6. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡のメリット

    コールセンターのM&Aには数多くのメリットがあります。本章では、売却側と買収側に分けて、M&Aのメリットを確認します。

    売却側のメリット

    コールセンターのM&Aに関して、売却側企業のメリットは主に以下の6つがあります。

    • 従業員の雇用維持
    • 後継者問題の解決
    • 有力グループ傘下に入れる
    • 売却益の獲得
    • 債務解消
    • 事業存続ができる

    従業員の雇用維持

    会社が廃業や倒産した場合、従業員は解雇されますが、これは経営者としてなるべく避けたい事態です。コールセンターをM&Aで売却できれば、会社は存続します。基本的に従業員も引き継がれるため、雇用は維持することが可能です。

    後継者問題の解決

    後継者不在で経営者が引退時期を迎えた場合、コールセンターは廃業せざるを得ません。しかし、M&Aでコールセンターを売却できれば、買い手が後継者(新たな経営者)となって事業承継を実現させられます。

    有力グループ傘下に入れる

    コールセンターに限らずいかなる業界でも、M&Aでは売り手よりも買い手の企業規模が大きいのが一般的です。M&Aにより大手企業の傘下になれば、これまでになかった経営資源・資金・ノウハウを活用できるようになります。

    売却益の獲得

    M&Aでコールセンターを売却することで、オーナー経営者はその対価を受け取れます。獲得した売却益は、老後の生活資金や新規事業向け資金など、さまざまな目的で使えます。

    債務解消

    コールセンターを株式譲渡(会社売却)した場合、基本的に債務は買い手に引き継がれます。これにより、コールセンターの売り手経営者が負っていた個人保証や担保は解消されるでしょう。

    事業存続ができる

    M&Aを実施することにより、これまで長年にわたり経営してきたコールセンター事業を存続できます。買い手の経営資源・資金・ノウハウを得ることで、経営は安定化し業績の向上も狙えるでしょう。

    買収側のメリット

    コールセンターのM&Aで、買収側の主なメリットは以下の3点です。

    • 経営資源の獲得
    • ノウハウの獲得
    • 事業規模拡大

    経営資源の獲得

    コールセンターを買収する側は、M&Aによって人材・機材・拠点などをまとめて獲得できます。経営者からすると、ゼロの状態から構築することと比べて、短時間での経営資源の獲得は大きなメリットです。

    ノウハウの獲得

    コールセンターのM&Aにおける買い手側では、有形資産だけでなく、コールセンターの運営ノウハウなど無形資産も獲得できます。自社とは異なるノウハウを入手し、両者を融合させることで、他社との競争に勝つノウハウが編み出される可能性もゼロではありません。

    事業規模拡大

    M&Aでは、買収したコールセンターの規模に応じて、事業規模は拡大します。シェアも増大するため、競争に勝つための基盤を構築できるでしょう。

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    7. コールセンターのM&Aを成功させるポイント

    コールセンターのM&Aは活発で、多数の成功事例があります。しかし、焦ってM&Aを進めてしまっては、統合後にトラブルが発生する可能性も少なくありません。コールセンターのM&Aを成功させるポイントは、以下の4つです。

    1. 債務や未払い賃金がないかチェックする
    2. 従業員への対応を早めに行う
    3. 人材の育成方法を話し合っておく
    4. 契約や顧客情報の管理を徹底する

    ①債務や未払い賃金がないかチェックする

    コールセンターは人材の入れ替わりが激しく、未払い賃金が発生しやすい業界です。元従業員は退職後も未払い賃金を請求できるため、賃金支払いがしっかりと行われていなければM&A直後に大きなリスクを抱えてしまいかねません。

    会社の債務もリスクの高い要素です。買い手はデューデリジェンス(売却企業の精密監査)によりチェックするものの、売り手側も認識していない債務(例:簿外債務)は、M&A後に会社経営に大きな悪影響を与える可能性があります。

    したがって、M&Aでは、「売り手が債務や未払い賃金をしっかりと把握しておくこと」「買い手が専門家とともにデューデリジェンスを行い、売り手の経営体制を徹底調査すること」が必要です。

    ②従業員への対応を早めに行う

    人材不足が深刻な問題のコールセンター業界では、人材流出の危険をなるべく抑えることが大切です。M&Aに際して、会社の環境が変わるのを嫌がって退職してしまう従業員も少なくありません。

    従業員が仕事に集中できるよう、経営者は適切な時期を見計らって、今後の予定などをしっかりと説明しておきましょう。

    M&A後に待遇が悪化してしまうと、良い職場を求めて従業員が大量に離職してしまうことも考えられます。売り手・買い手がきちんと話し合い、待遇を悪化させないよう最大限に配慮することが大切です。

    ③人材の育成方法を話し合っておく

    人材不足が問題のコールセンター業界では、人材育成の重要性も高まっています。質の高いサービスが重視される中で、顧客となる企業に合わせた対応が必須です。

    しかし、これまで売り手と買い手は、それぞれ異なる方法で人材育成を行ってきたはずです。育成の方法や指導する人も異なる状況ですから、今後の方針をきちんと話し合っておかなければ、人材育成方法にズレが生じて従業員同士のトラブルに発展するおそれがあります。

    M&Aの際は、お互いの持つ考え方を尊重し、なるべく時間をかけて人材育成の方針をすり合わせましょう。人材育成以外にも、お互いの会社文化を理解し、従業員が働きやすい環境を作っていくような努力が必要です。

    ④契約や顧客情報の管理を徹底する

    コールセンター事業の大きな特徴として、他業種と比べて膨大な数の顧客情報や契約を扱っている点があります。これらの情報管理が適切に行われておらず、仮に外部に漏えいしてしまった場合、当事企業はコンプライアンス違反を問われます。

    したがって、コールセンターの売却側は情報管理を徹底して行っておく必要があります。これと同様に、買収側も売却側がどのような情報管理体制を取っているか入念にチェックする視点が重要です。

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    8. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡は専門家に相談しよう

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    出典:https://masouken.com/

    コールセンターのM&Aを実施する際は、M&A仲介会社などの専門家に相談することをおすすめします。M&Aでは、相手企業の見極めが非常に大切です。

    M&A仲介会社などの専門家は、幅広い選択肢から相手先を探すことが可能です。複雑な手続き・交渉・契約書の作成などのサポートも受けられます。

    コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、経験豊富なM&Aアドバイザーによる一貫した支援を行っております。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

    無料相談を電話・Webより随時、受け付けていますので、コールセンターのM&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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    9. コールセンターのM&A・買収・売却・譲渡まとめ

    コミュニケーションツールが電話からメールに、そしてメールからチャットへ移っていくように、コールセンター業界も電話のみのコミュニケーションでは生き残れない時代になりました。

    コールセンター業界は業績そのものは好調であるため、ITの異業種と事業譲渡・売買などのM&Aを行い、業績を拡大しながらお互いのノウハウを手に入れ、さらに顧客満足度を高める施策を進めています。

    このようなコールセンターのM&Aを行う際は、ノウハウを持っている専門家のサポートを得るとスムーズに進めていくことが可能です。

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