事業承継マッチング支援とは?利用する方法や申込書類について解説!

提携本部 ⾦融提携部 部⻑
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

本記事では、事業承継マッチング支援の概要や利用方法を解説します。2020年4月、日本政策金融公庫は、事業承継マッチング支援事業をスタートしました。後継者問題の経営課題を抱える事業者を対象にした事業です。事業承継マッチング支援について知りたい方は必見です。

目次

  1. 事業承継マッチング支援とは
  2. 事業承継マッチング支援を利用するには
  3. 事業承継マッチング支援の申込書類
  4. 後継者人材バンクによる事業承継マッチング事業
  5. 事業承継マッチング支援のまとめ
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1. 事業承継マッチング支援とは

日本経済を牽引(けんいん)しているのは、証券取引所で株式を売買している上場会社と思われがちですが、2016年に行われた経済センサス活動調査によると、日本企業の小規模事業者を含む中小企業の企業数は99.7%、従業員数は68.8%となっています。

数字上からも、中小企業・小規模事業者が地域経済や雇用を守っていることが分かりますが、近年は経営者の高齢化や後継者不在の影響で事業承継を進められず、廃業を検討している企業が増加しています。

中小企業・小規模事業者の廃業が増えると日本経済の悪化に直結するため、経済状況の改善を目的として事業承継マッチング支援と呼ばれる支援事業がスタートしました。

日本政策金融公庫による無料サービス

事業承継マッチング支援とは、2020年4月に日本政策金融公庫が開始した支援事業です。支援対象は中小企業・小規模事業者となっており、無料で事業承継支援することで日本経済の健全化を目的としています。

具体的な支援内容は、後継者を探す中小企業・小規模事業者と起業を目指す後継者とのマッチングです。ニーズが一致する両者を引き合わせることで廃業を回避させ、技術・ノウハウや雇用の喪失を防いでいます。

日本公庫の融資先の9割は、小規模事業者です。今回の事業承継マッチング支援も小規模事業者の利用が中心となっており、従業員9名以下の個人事業主でもサービスを受けることが可能です。

支援対象は、原則として日本公庫に事業資金の借入残高がある企業・個人事業主となっています。ただし、事業承継による創業を目指す場合や、商工会議所や士業家などの専門家による紹介の場合は、借入残高がなくても利用できます。

事業承継を推奨する2つの理由

日本公庫が無料サービスとして事業承継を推奨する理由は、日本経済の悪化が危ぶまれているためです。

国の政策として取り組まなければ取り返しが付かなくなる恐れもあるため、マッチングの場を提供して事業承継を積極的に促しています。

【事業承継を推奨する理由】

  • 後継者不足による廃業が増加している
  • 後継者問題の解決方法

後継者不足による廃業が増加している

2017年に経済産業省と中小企業庁の試算によると、中小企業・小規模事業者の廃業件数増加により2025年までに約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われることが予測されています。

中小企業・小規模事業者の廃業理由の多くは、後継者不足によるものです。経営者が高齢化していくなかで後継者が見つからない中小企業・小規模事業者が多くなっており、将来的な廃業を予定している企業が急増しています。

帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)」によると、全国の後継者不在率は 61.5%でした。

同企業の「全国企業「休廃業・解散」動向調査(2021 年)」によれば、2021年に全国で休業・廃業、解散を行った企業は54,709件であり、3.76%の企業が市場から退出・消滅しました。

休廃業した企業の中には、財務内容やキャッシュなどある程度の経営余力を残しているにもかかわらず、自主的に会社を休業・廃業・解散した「あきらめ休廃業(資産超過状態での休廃業・解散)」の割合がコロナ禍を境に高まっているのが分かります。

休廃業・解散した企業の代表者年齢は、2021年平均で70.3歳でした。事業承継がスムーズに進まず、経営者の高齢化が進み、休廃業・解散を余儀なくされている可能性があるでしょう。

後継者問題の解決方法

廃業を検討している中小企業・小規模事業者の多くは、後継者問題の解決ができれば事業を存続できる状態にあります。後継者問題に悩みを抱える中小企業・小規模事業者が多いように、事業を立ち上げたくともゼロから取り組むのは難しいと考える起業者も多いです。

日本公庫の事業承継マッチング支援は、両者をマッチングさせることで後継者問題を解決し、廃業を回避させることを目的としています。

事業承継M&Aのメリットとデメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業承継M&Aの件数が急増?メリット・デメリットを解説!

2. 事業承継マッチング支援を利用するには

日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援を利用するためには、一定の手続きを踏む必要があります。大まかな流れは以下のようになっています。

【事業承継マッチング支援を利用するには】

  1. 相談・申し込み
  2. 相手の選定・交渉
  3. 契約書の締結

①相談・申し込み

相談先は、日本政策金融公庫国民生活事業本部の事業承継支援室です。事業承継マッチング支援サービスの内容や、手続きに関する相談を無料で受け付けています。

サービスの申し込み対象者は、中小企業・小規模事業者か、事業を受け継ぐ形での創業希望者です。ただし、日本公庫に事業資金の借入残高がない場合は、商工会議所・商工会など事業承継支援事業に取り組んでいる団体からの紹介が必要です。

所定の書類を用意したうえで申し込みを行います。必要書類は次章で紹介していますので参考にしてください。

②相手の選定・交渉

事業承継マッチング支援サービスでは、利用者の希望に合わせて事業承継の相手を選定します。求める条件や目的に合わせて選定を行い、相手とマッチングした場合は当事者同士でノンネームシート(匿名希望)を交換します。

事業承継を検討している段階で社名や事業者名が公になると、従業員や取引先に影響を与えることが想定されるため、最初のアプローチはノンネームシートで行うのが通常です。

両者がそれぞれノンネームシートに記載された内容を参考に、交渉するかどうかの検討を行います。検討の結果、両者が交渉を希望する場合は、日本公庫が面談場所・日時の調整を行い、交渉の場が設けられます。

なお、事業承継に向けた交渉は事業承継マッチング支援事業のサポート範囲外なので、当事者同士で交渉を行う点に注意が必要です。

③契約書の締結

当事者同士の交渉により事業承継することが決まった場合、交渉内容を書面として残しておくため、譲渡契約に関する契約書を締結することが一般的です。

契約書では、事業承継に関して各当事者の権利義務やリスクの分担を取り決め、取引で発生する可能性のあるトラブルや紛争を予防する役割もあります。

重要な役割を持つものですが、日本公庫のサポート範囲に契約書の締結は含まれていません。当事者同士で締結するには法務を含めた幅広い分野を抑えている必要があるので、別途、専門家のサポートを受けることを推奨しています。

事業承継のご相談はM&A総合研究所へ

日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援は、交渉や契約書の締結に関してはサポート範囲外となっています。交渉トラブルや契約書の不備がないよう事業承継を進めるためには、M&A・事業承継の専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。

M&A総合研究所は、M&A・事業承継の仲介事業を手掛けているM&A仲介会社です。特に中堅・中小規模の案件を得意としており、事業承継サポートにおける豊富な実績を有しています。

無料相談は随時、受け付けています。事業承継やマッチング相手にお悩み際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。経験豊富なアドバイザーが親身になって対応します。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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3. 事業承継マッチング支援の申込書類

日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援の利用するためには、いくつかの申込書類を用意する必要があります。提出書類は返還されないので、決算書などは写しを提出することが推奨されています。

書類の送付はメールあるいは郵送です。送付先のメールアドレスや郵送先の住所は日本政策金融公庫のマッチング支援事業のページに記載されています。
 

申込書類 備考
事業承継に向けた支援申込書 事業承継による譲渡を希望する場合に提出する書類
直前1期分の申告決算書の写し
(個人事業主の場合)
直前1期分の確定申告書・決算書の写し
(法人の場合)
白色・青色決算書など
法人の場合は勘定科目明細書も含む
企業案内・商品・製品パンフレットなど 企業・事業内容が分かるもの
発行していない場合は不要
紹介状 以下の条件のいずれにも当てはまらない場合は専門家による紹介状が必要
①日本公庫に借入残高がある
②日本公庫の借入完済日から5年以内の申し込み
③事業承継により起業を目指す

個人事業主の事業譲渡の手続き方法や注意点については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】個人事業主の事業譲渡の手続き方法・注意点まとめ!税金や契約書の書き方も解説!

4. 後継者人材バンクによる事業承継マッチング事業

後継者人材バンクは、事業承継・引継ぎ支援センターにて実施している事業のうちのひとつです。事業承継・引継ぎ支援センターは、全国の都道府県に設置しているものであり、事業承継とM&A支援をワンストップで行う体制が整っています。

後継者不足の中小企業や個人事業主と、事業を引き継ぎたい企業や個人とのマッチングを事業として行っているのが大きな特徴です。

創業希望者は主に、経験や技術を生かして独立したい、U・I・Jターン希望者なども多く、事業承継・引継ぎ支援センターが後継者不在の会社や個人事業主に対して、引き合わせを実施します。

事業承継・引継ぎ支援センターの相談件数・成約件数は増加しており、令和2年度の実績は相談件数が11,686件、成約件数が1,379件との結果が出ています。

5. 事業承継マッチング支援のまとめ

中小企業・小規模事業者の多くが後継者問題を抱えており、廃業に危機に瀕しています。廃業件数の急増は日本経済への打撃も懸念されており、対応策として日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援がスタートしました。

事業承継問題に悩んでいる場合は、事業承継マッチング支援を受けることで廃業以外の選択肢が見つかる可能性もあります。

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