会社の身売りとはM&Aのこと?社員はどうなる?前兆はある?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
荻野光

会社の身売りと聞くと、あまり良くないイメージがあります。しかし、最近ではM&Aが活発化を見せており、会社の身売りは決してマイナスなイメージだけではなくなってきました。そこでここでは、会社の身売りについて社長や社員の立場から解説します。

目次

  1. 会社の身売りとは?
  2. 会社を身売りする社長のメリット
  3. 会社を身売りする社長のデメリット
  4. 身売りした会社の社員はどうなる?
  5. 身売りが現社員に与える影響
  6. 身売りする際に現社員を守るには?
  7. 会社を身売りする前兆30選
  8. まとめ
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1. 会社の身売りとは?

会社の身売りとは?

事業や営業権など会社売却を行うことを「会社の身売り」と呼びます。会社売却を行うことで社長や社員などにはどういったメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここでは、会社売却による「会社の身売り」について解説します。また、会社売却の前兆も紹介します。

M&Aとの違いは?

「M&A」という言葉と「会社の身売り」の意味の違いはどういったところにあるのでしょうか。結論からいえば、M&Aと会社の身売りの意味は同じです。どちらも社長などの経営者が会社売却によって会社の経営権などを譲ることです。

ただ、「身売り」という言葉があまり良い言葉に聞こえないのも確かです。日本ではM&Aが盛んではなかった時期に、会社売却のことを「会社の身売り」と表現していました。そのため、M&Aと会社の身売りに大きな違いはないということです。

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2. 会社を身売りする社長のメリット

会社を身売りする社長のメリット

それでは、会社を身売りすると社長にはどのようなメリットが発生するのでしょうか。ここでは、会社売却による社長へのメリットについて、以下の6項目に焦点をあてて紹介します。
 

  1. 株主に利益がある
  2. 経営者としてたたえられる
  3. 事業承継ができる
  4. 保証や債務から解放される
  5. 新しいことが始められる
  6. シナジー効果が生まれる

①株主に利益がある

M&Aなどにより会社を身売りした場合の大きなメリットの一つに、株主に利益をもたらすことが挙げられます。大企業の場合、株主はそれぞれですが、中小企業の多くは社長自身が株主であることがほとんどです。

すなわち、社長自身が会社売却により株主として利益を被れるというわけです。これが「会社の身売り」の大きなメリットであり、あまり良い印象を持たれない要因でもあるのです。

②経営者としてたたえられる

「会社の身売り」というと、あまり良いイメージがありません。しかし最近ではM&Aによる会社売却が多くなりました。そしてM&Aによる会社売却は社員や元従業員から称賛を浴びることがあるのです。

ベンチャー企業の中には最終目標の一つを、M&Aによる会社売却としていることもあるからです。実際に、Appleコンビューターの元CEOでもあるスティーブ・ジョブズは自身が起業した会社をAppleに売却して成功を収めています。

また、現在ではGoogleのサービスの一つであるYouTubeも元は一つのベンチャー企業でした。このようにM&Aによる会社売却を成功とみなす状況は増えているのです。

③事業承継ができる

社長の悩みの一つに後継者問題があります。親族や社員など従業員の中に後継者にふさわしい人材がいない場合はなおさらです。こうした後継者問題についても、M&Aによる会社売却で解決を迎えられます

事業承継がもたらすメリットは社長だけではなく、社員や元従業員まで及ぶメリットです。事業承継は会社には大きな問題で、この問題を解決できることは非常に大きなメリットです。

④保証や債務から解放される

多くの場合、会社売却により保証や債務も引き継がれます。そのため、会社売却を行うことで社長は今までどうしても切り離せなかった保証や債務から解放されます。これは、精神的にも非常に安心をもたらす大きなメリットといえるでしょう。

⑤新しいことが始められる

今まで業務に追われていて思い立ってもできなかったことを始められるのも、M&Aによる会社売却のメリットです。新たな事業を立ち上げることもでき、今まで行きたかった場所に行くなどプライベートでの新たな展開も可能となります

⑥シナジー効果が生まれる

社長としてのメリットだけではなく、社員や元従業員など多くの人にメリットとなるのがシナジー効果です。今まで自社だけでは打破できなかった状況を、M&Aによる会社売却により大きな利益をもたらす可能性もあります。会社売却にはこのようなメリットがあるのです。

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3. 会社を身売りする社長のデメリット

会社を身売りする社長のデメリット

会社の身売りによるデメリットは、どういったことがあるのでしょうか。以下の項目に焦点をあてて紹介します。
 

  1. 非難を受ける可能性がある
  2. 競業避止義務の発生
  3. 契約によっては拘束がある
  4. 債務が残る可能性がある

①非難を受ける可能性がある

メリットの部分でも記述しましたが、最近の会社売却は成功とみなす状況があります。しかし、それはベンチャー企業など一部の話です。伝統的な企業である場合、会社売却は社員や元従業員から、無能な経営者と非難を浴びる可能性があります。

②競業避止義務の発生

会社売却を行った場合、会社法により同業種の事業を一定期間行ってはならないという規則があります。そのため、社会状況が変わり売却した事業に大きな需要が見込まれた場合でも、同事業を行えません

③契約によっては拘束がある

事業売却の契約条件によっては、一定期間経営者は会社に残る義務が発生します。せっかく経営から身を引いたというのにこれではあまり気分も良くありません。拘束の条件は売却時の条件に含まれますので、条件によっては拘束期間や立場もそれぞれです。

④債務が残る可能性がある

会社売却は、すべての事業を売却する方法と一部事業の売却があります。買い手側の意向によっては一部事業に売却が限られる場合もあります。そのような場合、債務など一定の負債が残ることもあります

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4. 身売りした会社の社員はどうなる?

身売りした会社の社員はどうなる?

これまでは、会社を身売りした場合の社長の立場について解説しました。それでは、会社を身売りした場合の社員はどういった状況になるのでしょうか。以下の項目について解説します。
 

  1. 確実な雇用を約束
  2. 給与や待遇面の維持
  3. 役員への待遇

①確実な雇用を約束

実は従業員にとっても会社の売却は多くのメリットをもたらします。その中でも雇用の安定というのは非常に重要なポイントです。社員など従業員にとって雇用の保障は非常に大きな意味をもっています。それを約束してくれるのが会社売却です。

雇用が維持される理由

今まで不安定な経営状況であった会社から、会社の身売りが行われることにより、大きな資本の傘下となります。すると、今までは社員など従業員の雇用状況がままならなかった状態から改善が見込まれるのです。

②給与や待遇面が維持

雇用の安定に合わせて、従業員の給与や待遇も基本的には維持されます。場合によっては給与面で上昇が見込める従業員もいるかもしれません。給与や待遇面の維持は従業員にとって大きなメリットです。

待遇が維持される理由

雇用の継続と同じく、より大きな資本に身を委ねるため、従業員の給与や待遇は向上する可能性が大いにあります。大手企業に売却されればされるほど、現在の働き方改革推進の流れによって待遇面は、処遇が改善されることが見込まれます。

③役員への待遇

役員への待遇も大きく変わる場合があります。場合によっては一従業員が役員に昇格することもあります。待遇の改善は社員や役員など会社に関わるすべての従業員にメリットをもたらします

身売り前に事前合意の必要性

役員の処遇は社員などとは違い、身売りをする際にしっかりと決めておかなければなりません。そのため、身売りの前に事前に待遇について合意を行うことが重要です。

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5. 身売りが現社員に与える影響

身売りが現社員に与える影響

会社の身売りを行うことにより、社員は精神的不安を感じます。しかしながら、報酬面や買収先のブランド力などのメリットを感じられれば身売りを前向きにとらえることができるはずです。

ただ、会社の身売りをきっかけとして、退職を選ぶ従業員が出てくることがあります。従業員が不満などをいわなくなったり、今後の待遇を何度も聞いてきたり、有給休暇を消化し始めたりする場合は、退職を考えているケースが多いです。

会社を身売りするメリットを従業員に説明しても、退職を選ぶ従業員をゼロにするのは難しいでしょう。しかし、従業員の事情や不安に寄り添うようにすれば、退職する従業員を少なくすることにつながります。

6. 身売りする際に現社員を守るには?

身売りする際に現社員を守るには?

社長としては、会社の身売りによって従業員を守りたいと思うものです。それではどういった方法で社員を守ることができるのでしょうか。

各種契約書にて確約すること

身売りを行う場合、売却側と買収側で契約書を交わします。その契約書において社員の待遇を確約させるように心がけることが重要です。

事業譲渡では待遇が悪くなるケースも

事業譲渡を行うと最悪のケースでは社員の待遇が悪化する場合があります。こういった事態を招かないようにしっかりと契約書を交わすことが重要です。

身売りではなく子会社を立ち上げる

身売りではなく、子会社を立ち上げる方法も社員を守る方法です。子会社としてM&Aを行い社員の雇用を継続させることで社員を守るのです。

7. 会社を身売りする前兆30選

会社を身売りする前兆30選

会社が身売りを計画しているときにはどういった兆候が見られるのでしょうか。数々の事例から特徴的な兆候である30の事柄について紹介します。

①大量のリストラが行われる

会社身売りの前兆として一番わかりやすいのが大量のリストラです。大量のリストラは経営不振の証です。経営不振からの脱却は業務の改善か身売りのどちらかしかありません。大量のリストラが発生した場合は、身売りの前兆と考えて良いでしょう。

②最終利益が赤字続き

最終利益が赤字続きである場合も、経営陣が身売りを考える前兆となります。そのまま倒産するか身売りするかは経営者の考え方次第です。もし、同業種で雇用を望む場合は、赤字続きの前兆が見られるときに転職を考えても良いでしょう。

③社長の表情が暗くなる

従来は陽気であった社長が暗い表情が続く場合も身売りの前兆の可能性があります。これは単純に経営に難を期している可能性があるからです。

④社内の備品が不足しがちになる

社内の備品にかける経費まで削り始めたら、それは経営不振による身売りの前兆です。会社とともに身を尽くすか、転職を考えるかは自分次第といえるでしょう。

⑤ウォーターサーバーがなくなる

上記と同じ理由ですが、ウォーターサーバーを導入していた場合、ウォーターサーバーがなくなったら身売りの前兆です。経費の節減は本来は大きな効果を見込める物から始めるべきなのですが、得てして目に見える物から始めがちなのです。

例えば新聞や雑誌など、本来は大した経費ではない物でも目につくものから経費を削る傾向があります。そのため、ウォーターサーバーがなくなったら身売りか廃業の前兆という可能性があるのです。

⑥行事やイベントがなくなる

毎年恒例であった社員旅行や暑気払いなど、イベントがなくなった場合も経営不振の前兆です。もちろん、余分な経費を削っている可能性もありますが、社員に還元する資金を渋るということはあまりよい兆候ではありません。

⑦住宅ローン審査がとおらなかった

銀行はいろいろな情報網からローンの審査などを行います。特に借金などがなく住宅ローンなどのローン審査がとおらなかった場合、会社の経営が思わしくない前兆かもしれません。

⑧社長への年賀状が減る

身売りされた会社の事例によると、社長への年賀状が減ったというのも身売りの前兆だったといいます。細かい部分ですがこのような点からも前兆を把握しましょう。

⑨給与の支払いが遅れる

給与の支払いが遅れた場合、間違いなく経営がうまくいっていません。身売りまたは廃業など何かしらの前兆であるのは確かでしょう。

⑩役職者が増え始める

身売りや廃業の前兆として役職者を増やすという方法があります。役職者は残業代が発生しません。残業代を節約するために役職者を増やすのです。

⑪無料のアンチウィルスソフトを使い出す

以前はセキュリティ対策に万全を期していたのに、セキュリティ対策の経費を削り始めた場合は身売りや廃業の前兆です。会社の機密事項などを守るセキュリティをおろそかにするほど経営が圧迫されているといえます。

⑫玄関に塩を盛る

今まで特に何もなかった会社の玄関に盛り塩があったことが前兆だったという事例があります。何気ない事柄ですが、気にしておきましょう。

⑬見切り発車で新事業に手を出す

収益や伸びる見込みがないまま新事業に手を出した場合、身売りの前兆という場合があります。身売りの価格を増やすために企業価値を高めようとしている可能性があるからです。

⑭経理担当者が辞める

会社の財務状況を経営陣の次に知っているのは経理担当者です。経理担当者が前触れもなく退職した場合、身売りまたは廃業など経営が非常に行き詰っている可能性を示唆しています。

⑮先々の予定が曖昧になる

年間行事など、定期的な予定や業務の予定などが曖昧になってきた場合、身売りなど事業が思わしくない状況である前兆です。

⑯社長が現場で働き始める

現場に出てこなかった社長が現場で働き始めている場合は人件費節減の可能性が高く、廃業や身売りといった前兆を意味する場合があります。

⑰社長があまり会社に来ない

いつも会社にいた社長があまりいなくなった場合、金策や身売りの相談に動いている可能性があります。

⑱社内でさまざまな問題が発生する

社内でさまざまな問題が発生するといった異常な雰囲気が漂っている場合、経営者の経営力が低下しており身売りなどの前兆と見て取れる場合があります。

⑲社員のモラルが低下してくる

18項目と同じ理由ですが、経営陣の力が低下すると社内の雰囲気も低下し、ゆくゆくは社員のモラル低下を招く結果となります。

⑳精神論とモットーを掲げる

従来では売り上げ目標や中期計画を掲げていた会社が、精神論などに傾いた場合は、身売りや廃業などの前兆となる可能性が高いです。

㉑打ち合わせが居酒屋になる

これも事例にある前兆ですが、今まで打合せは会社か料亭で行われていたのに、居酒屋など低価格な場所に変わった場合も経営が圧迫されている要因が見て取れます。

㉒経理担当者や社長がよく銀行に行く

経理担当者や社長が銀行に良く出向いている場合は、それだけお金に困っているということです。さらに、貸付もうまくいっていない可能性も見込まれるため、身売りなどの前兆と見て良さそうです。

㉓意味のない報告書が多い

身売りを考えている会社はなぜか報告書が多くなる前兆があります。そして、報告書自体にあまり意味がない場合がほとんどです。

㉔ボーナスがカットされる

しっかりとボーナスが支給されていた場合、理由がないままボーナスカットが行われたら、それは廃業や身売りの前兆です。

㉕社会保険ではなくなる

社会保険であった企業が社会保険でなくなった場合、これは身売りというよりも、もしかしたら廃業の前兆かもしれませんので気を付けましょう。

㉖掃除が行き届かなくなる

掃除を委託している場合、委託会社に支払う資金にも困っている状況が発生すると、掃除が行き届かなくなる場合もあり、前兆として注視する必要性があります。

㉗会議が多くなる

経営不振に陥ると、「何か打開策が見つからないか」と会議が増える傾向があります。会議の雰囲気はどこか殺伐としており、会議の多さや雰囲気から身売りや廃業の前兆を図ることができます。

㉘無駄なコピーが増える

任せられる仕事が少なくなってしまい、コピーばかりをさせられたという事例があります。無駄なコピーが増えたと感じた場合は、会社の事業があまりうまくいっていない前兆かもしれません。

㉙経理担当者が15時には帰宅する

銀行の取引が終了する15時で経理担当者が帰宅するという場合は、15時までで十分な入金や出金しかないということです。これは健全な会社ではありません。

㉚不祥事が起こる

会社の経営がうまく行っていないために不祥事が起きる場合と、不祥事が起きたことにより会社がうまく行かなくなる場合があります。いずれにせよ、不祥事の対処によっては会社経営の危機となるのです。

8. まとめ

まとめ

会社の身売りについて解説しました。社長には利益など、社員には安定的雇用などをもたらす会社の身売りですが、デメリットも数多くあります。デメリットに対してしっかりとフォローを行いながら、身売りを進めていくことが重要といえるでしょう。

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