2020年10月29日更新
会社譲渡とは?メリット・デメリットに、詳しい手続きの流れ、従業員の処遇まで

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
会社譲渡とは、譲渡会社の株主が保有株式を第三者に譲渡することです。会社の経営権は譲渡先の譲受企業に譲ることになります。今回は、会社譲渡をするとどのようになるのか手続き方法も含めて解説します。専門家に相談し、できるだけ高価格で会社譲渡をしましょう。
目次
1. 会社譲渡とは
会社譲渡とは、譲渡会社の株主が保有株式を第三者に譲渡することです。会社の経営権は譲渡先の譲受企業に譲ることになります。
また、会社譲渡は株式譲渡というM&Aの手法をさして使われることが多いです。
株式譲渡は、株主が変わるだけなので、会社名や会社の持つ資産・負債、取引先との契約関係などはそのまま引き継がれることになります。
顧客や取引先から見ると、大きな変化を感じることはありません。また、組織内も別会社と統合するわけではないため、従業員への影響も少ないです。
このように、簡単な手続きでスムーズに経営権を譲渡できます。
2. 会社譲渡の目的
株式譲渡を行う目的は、以下の3つがあります。
- 後継者問題の解決
- 創業者利益の獲得
- 雇用や契約の維持
それぞれ確認していきましょう。
①後継者問題の解決
会社譲渡をすることで、後継者問題を解決できます。
日本政策金融公庫によると、60歳以上の50%を超える経営者が将来の廃業を予定しており、その中で後継者問題が理由の廃業は約30%となっています。しかし、会社譲渡をすることで後継者問題を解決できるのです。
創業時は自分の子どもや社内の後輩に任せようと考えていても、断られてしまうこともよくあります。また、外部から自社の経営者にふさわしい人を探すことは簡単ではありません。
自分が経営から引退することで自分の会社を廃業してしまうのは悲しいものです。廃業をすると、現在の顧客や取引先との信頼関係も無駄にしてしまうことになります。
しかし、会社譲渡をすれば第三者が会社を引き継いで事業を継続させてくれるので、後継者問題が解決できます。
廃業を決めてしまう前に、会社譲渡を検討することをおすすめします。
②創業者利益の獲得
会社譲渡をすると、創業者利益を得ることができます。
創業者利益とは、創業者が会社設立時から保持する自社株を売却することで得られる利益のことです。
通常、会社の株の価値は設立時が1番低いです。しかし、会社を経営し事業が拡大していくと同時に株の価値も上がっていきます。
そのため、会社譲渡をするときには価値が大きく引きあがった株を売却することになるので、大きな利益につながるのです。
もし、廃業をしてしまうとこのような利益を得ることはできません。むしろ会社清算に費用が掛かってしまい、マイナスになってしまうこともあり得るのです。
経営から引退するときには、会社譲渡をすることでリタイア後お金に困らない生活ができます。
③雇用や契約の維持
会社譲渡をすることで、従業員の雇用や取引先との契約を維持することが可能です。
もし、経営者が早期リタイアをしたり、事業への熱意がなくなったりして、会社を手放してしまうと、従業員の雇用や取引先との契約を全て失うことになります。
会社譲渡は、経営者が変わるだけで従業員や取引先との関係はそのまま続くのです。
このように、会社を清算するという選択をせずに、雇用や契約の維持のために会社譲渡を選ぶ経営者は多くいます。
ただし、雇用や契約の維持ができるからといって、全く影響がないわけではありません。
次の章では、会社譲渡したときの従業員の処遇や取引先への影響を確認していきましょう。
3. 会社譲渡をしたときの処遇や影響
会社譲渡を行ったあと、自社で働いている従業員や取引先との関係がどのようになるのか気になるものです。
そこで、以下の4つについて会社譲渡の後どのようになるのか確認しましょう。
- 経営者の処遇
- 従業員の処遇
- 取引先との関係への影響
- 債権者への影響
それでは順番に確認していきましょう。
①経営者の処遇
会社譲渡の後、売り手企業の代表は退任して、買い手企業から新しい社長や取締役員が選任されるケースが多いです。
しかし、退任となった後も、事業の引継ぎのために一定期間会社にとどまる契約になることは多くあります。
期間は3ヶ月~2年とさまざまです。その間は、会長や顧問といった役職につき、事業を引き継ぐための助言をする役割となります。
一方で、会社譲渡したあとも第一線で活躍する経営者も多いです。
経営者が会社譲渡後、どのように過ごしたいのか希望を伝え、できるだけ契約内容で明確にしておきましょう。
②従業員の処遇
会社譲渡のあと、従業員の処遇は良くなることがほとんどです。
理由は2つあります。
1つ目の理由は、買い手企業は基本的に売り手企業よりも資本金など規模が大きいからです。
会社譲渡のあと、従業員の給料形態や福利厚生の内容は買い手企業に合わせることが多いので、条件アップにつながります。
2つ目の理由は、ノウハウ・スキルを持っている従業員は、スペシャリストとして優遇されるからです。
買い手企業は、売り手企業の持つノウハウやスキルに魅力を感じ、会社を譲受します。
そのノウハウ・スキルを持つ従業員は、評価がされやすいのです。
ただし、こういったケースが多いのは事実であっても、しっかりと契約時に従業員の処遇について明確にしておく必要があります。
「数年はリストラをしない」「最低給与は○円」など、契約書に従業員の処遇に関する条件を明記しておきましょう。
③取引先との関係への影響
取引先との契約は、買い手企業の名義に変更されることになります。基本的に契約内容は同じまま、名義だけ変更することが一般的です。
しかし、会社譲渡のあと、契約内容が変更される場合には、取引先から反発があったり、契約打ち切りの事態に陥ったりする可能性があります。
また、中小企業の場合「現在の経営者だから」という理由で取引が成立している取引先も多いでしょう。
そのような場合、「経営者が変わったのなら取引は終わらせたい」という取引先が出てくることもあります。
会社譲渡のあとも良好な関係を続けたいのであれば、会社譲渡をする旨を説明するために経営者が出向くようにしましょう。
そこで、取引継続のお願いをすることで、取引先との関係に影響が出ることは少なくなります。
会社名について
企業を譲渡したときの会社名ですが、一般的には会社名はそのまま継続されます。
取引先や従業員の混乱を避けるために、会社名は継続するほうが有効なことが多いことがその理由です。
ただ、買収側の企業のグループ企業ということを会社名に示すほうが、会社の成長にプラスに働くこともあります。
そのため、会社譲渡を行うときの契約において、今後の会社名に関して取り決めるようにすると、納得できる方法を取ることが可能になります。
④債権者への影響
銀行などの金融機関から借入をしている場合、債権者への影響も気になるはずです。
会社譲渡をして経営者が変わったとしても、現在の債務者(売り手企業)と債権者の関係が変化することはありません。
ただし、現在の経営者が会社の連帯保証人となっている場合には、新しい経営者に連帯保証人を書き換えることが必要です。
連帯保証人の書き換えには時間がかかるため、会社譲渡がスムーズに完了できない恐れがあります。そのため、連帯保証人の書き換えはせずに、会社譲渡をしたタイミングで銀行に一括返済するケースが多いです。
債権者への影響は特にありませんが、現在の経営者が連帯保証人となっている場合には注意しましょう。
会社譲渡をするにはさまざまな専門的な知識が必要となるため、会社譲渡をお考えの場合は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。
M&A総合研究所には、会社譲渡の知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、案件を親身になってフルサポートいたします。
無料相談を行っておりますので、会社譲渡をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
4. 会社譲渡の手続き方法
続いて、実際に会社譲渡をするときの手続き方法を確認していきましょう。
会社譲渡をするときには、大きく8つのステップに分けることができます。
- 社内で検討する
- M&A仲介会社に相談する
- 買い手企業を選定する
- トップ面談を行う
- 基本合意契約を交わす
- デューデリジェンスを行う
- 最終合意契約を交わす
- 統合作業を行う
会社譲渡の手続きの流れを順番に確認していきましょう。
①社内で検討する
会社譲渡をするにあたって、社内で検討する必要があります。
会社譲渡をしようと経営者が決断しても、いきなり手続きに移ることは難しいです。目的を達成するために、どのような方針で譲渡を行うのかを固めていきましょう。
検討する内容は、大まかに3つあります。
1つ目は、会社譲渡が本当に自社にとって最善の経営判断なのかという内容です。他の方法で経営が改善できるかもしれません。
2つ目は、会社譲渡の相手はどのような会社を選ぶのかという内容です。相手選びは会社譲渡の成功に大きく関わります。
3つ目は、何月何日までに会社譲渡を終えるのかという期日です。
②M&A仲介会社に相談する
会社譲渡について社内で検討ができたら、M&A仲介会社に相談しましょう。
できれば自社だけで手続きを完結させたいと思うかもしれません。しかし、会社譲渡は専門家でなければ難しいです。もしも自社だけで実行しようとすると、機密情報が漏洩するなど、思いがけないトラブルになってしまうこともあります。
ですので、M&A仲介会社の協力を受けながら進めていってください。
③買い手企業を選定する
会社譲渡をサポートしてくれる専門家が決まったら、次は買い手となる企業を選んでいきます。自社のもともとのつながりから選ぶのも良いですが、基本的にはM&A仲介会社に買い手候補を提案してもらうことが多いです。
なぜ会社譲渡をしたいのかという目的を明確にしながら、理想の譲渡先を考えてみてください。
目的と希望する条件をM&A仲介会社に伝えれば、当てはまる候補を教えてもらえるでしょう。
④トップ面談を行う
良さそうな買い手候補が見つかって、相手側も会社譲渡を進めたいと考えていれば、トップ面談を行います。
トップ面談とは、経営者同士が実際に会社譲渡について話し合うことです。会社譲渡の経験がなくてどのように話し合えば良いのかがわからない場合でも、M&A仲介会社が間に立って進めてくれるので安心してください。
⑤基本合意契約を交わす
買い手から意向表明書が出されたら、内容を読んで問題がなければ同意してください。
意向表明書に同意することで、次は基本合意契約に進みます。基本合意契約は、お互いが会社譲渡に前向きな姿勢を取ることを示す契約です。
ですので、この後のデューデリジェンスで大きな問題がなければ、会社譲渡が成立する可能性は高いといえるでしょう。
⑥デューデリジェンスを行う
基本合意契約を結んだら、買い手側の会社はデューデリジェンスの手続きを取ります。
デューデリジェンスは、売り手企業の調査をすることです。例えば、法務や税務、会計などの詳細な資料の提出や、会社や工場などへの専門家の訪問といった方法で企業調査が行われます。
買い手企業が会社譲渡によるリスクをできるだけ下げ、対策を取るために行う手続きです。
⑦最終合意契約を交わす
デューデリジェンスで問題がなければ、最終合意契約を交わす準備を始めます。
譲渡価格と支払い方法、従業員の今後の処遇、最終契約に至るまでのスケジュールを決めてください。もちろん、一方的に決めた内容を押し付けるのではなく、お互いに納得するように話し合うのが良いでしょう。
そして、話し合った内容で最終合意契約を行います。
⑧統合作業を行う
最終合意契約を交わしても、実は会社譲渡はまだ完全に終わっていません。
譲渡価格を支払ってもらい、さまざまな契約や権利の譲渡といった買い手企業が円滑に経営を行うための手続きをしていきます。
細かな手続きをしてクロージングしながら、売り手企業にいた従業員を買い手企業のシステムになじませる統合作業も行わなければなりません。
もし、より詳しく流れについて知りたい場合は、以下の記事でまとめていますので併せて参考にしてみてください。
5. 会社譲渡をしたときの会社の価格
会社譲渡をするときに、気になるのは会社の価格でしょう。
会社の価格は、企業価値によって決まります。
譲渡価格決定の目安となる「企業の価値」を算定する方法は以下の3つのアプローチ方法があります。
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
それぞれの方法について、詳しく確認しましょう。
①コストアプローチ
コストアプローチとは、企業の純資産を基準に企業価値評価をする方法です。
コストアプローチの中でも時価純資産価格法と修正簿価純資産法の2つがあります。
時価純資産価額法とは、帳簿上のすべての資産と負債を時価で再評価して、純資産の金額を計算して企業価値評価をする方法です。
一方、修正簿価純資産法は、すべての資産と負債を再評価はしません。
有価証券や土地・建物などで含み損益が大きい項目のみ時価修正して企業価値評価をする方法です。
すでにある帳簿上の結果をもとに算出されますので、客観性に優れています。
しかし、将来会社が生み出す利益を加味されていない点がデメリットです。
②インカムアプローチ
インカムアプローチとは、将来期待される収益を、その実現に見込まれるリスク等を考慮した割引率で割引くことによって、企業価値評価をする方法です。
インカムアプローチでは、DCF法(Discount Cash Flow法)が用いられます。
譲渡する会社の資産や事業計画書などを元に、譲渡後どれだけの収益が見込まれるのかを計算して企業価値を算出する方法です。
DCF法は、将来見込まれる利益やリスクを加味できるため、会社譲渡ではよく使われます。
③マーケットアプローチ
マーケットアプローチとは、株式市場において成立する価格をもとに企業価値評価をする方法です。
マーケットアプローチには、類似業種比準方式と類似会社比準方式による算定方法があります。
類似業種比準方式とは、評価対象の企業と同一業種・同一規模の標準的な企業とを比べて、企業価値評価をする方法です。
ただしこの方法は会社譲渡のときに使われることはなく、相続税の算定をするときに使われます。
一方、類似会社比準方式とは、対象の企業と同一業種・同一業界の上場企業の株価をもとに、企業価値評価をする方法です。
会社の持つ資産が少ない場合でも、その業界自体の価値が高かったり、先進的なビジネスモデルであったりすれば、相場金額が高くなります。
以上が企業価値の算出方法でした。
このように会社譲渡をする時の会社の価格は、企業価値から算出します。
6. 会社譲渡で高い価格がつく条件
会社譲渡するのであれば、できるだけ高い価格で譲渡したいものです。
そこで、M&Aで会社の譲渡価格を上げるための3つの条件をお伝えします。
- 独自の強みを持っている
- 事業の利益が出ている
- 健全な法務・財務状況である
1つずつ条件を確認していきましょう。
①独自の強みを持っている
独自の強みを持っているかは重要です。他社にはない強みといえる部分があるなら、その部分を全面に押していくべきです。買い手は他社と差別化できる部分には敏感ですから、手に入れたいと思ってもらえれば譲渡価格は自然にあがります。
自社には何もないと感じている人もいるでしょう。技術力や権力、ブランド力だけではありません。顧客リスト、独自のエリア、優秀な社員も十分に独自の強みとなり得ます。
もし、それでも思いつかないなら従業員にアンケートをしてみる良いでしょう。経営者が判断するのではなく客観的に見て、どこに強みがあるのか探してみるのです。
小さなことでも独自の強みのある企業は貴重ですから、洗い出しを行ってください。
②事業の利益が出ている
事業に利益が出ているというのは当たり前と感じる人もいるでしょう。では、安定した利益で将来性が見込める状態と制限が付いたらどうなるのでしょうか。
安定した収益性は投資によって今後も事業が伸びることを伝えるポイントです。それは、中小企業でも同じで、今後も経営を続けていくには十分に将来性が認められることも大切な判断基準になります。
どうすれば良いのか悩む場合は、今の収益性と経費を調べてみましょう。そして、無駄な経費を削り、今でも伸ばせるところがあるならすぐに動き出します。
さらに、法務・財務についても一緒に調べておくことをおすすめします。健全な状態でなければ売買のときにトラブルになりますから、問題があるなら対策を施しておきましょう。
このように、単純に事業の利益が出ているだけでも価値を上げられる点となりますから、チェックしてみてください。
③健全な法務・財務状況である
先ほども解説しましたが、健全な法務・財務で運営できているか確認をしましょう。
リスクがあると、価格が下げられてしまうだけではなく、会社譲渡自体がなくなる可能性もあるのです。
- 訴訟問題を抱えていないか
- 取引先との契約に問題がないか
- 会計処理が適正に行われているか
- 簿外債務がないか
買い手企業は、契約を結ぶ前に必ず以上のような項目をチェックするので、確認してください。
7. 会社譲渡するときの注意点
会社譲渡を検討するなら、事前に知っておきたい注意点が3つあります。
- 税金が発生する
- 経営者にロックアップがかけられる
- 新事業の領域が制限される
どれも大切なことなので、しっかりと確認していきましょう。
①税金が発生する
会社譲渡で得た譲渡益には税金が発生します。譲渡益とは、会社の譲渡価格から諸経費を引いた額のことです。
会社譲渡は、会社を売る行為のため、会社譲渡をすると「利益」となるため、税金が発生します。
課税される税金は株主が個人か法人かで違うので、それぞれの税金の額を確認しておきましょう。
株主が個人だったときの税金の額
株主が個人だったときに会社譲渡で発生する税金の額は、譲渡益×20.315%です。
会社譲渡をして、譲渡対価をもらう人が経営者であれば、譲渡益は譲渡所得となります。譲渡所得は、所得税と住民税の課税対象です。
所得税が15.315%、住民税が5%なので、譲渡所得の20.315%の税金を払う必要があるのです。
株主が法人だったときの税金の額
株主が法人だったときに会社譲渡で発生する税金の額は、譲渡益×19%~23.2%程度です。
株主が法人であれば、対価は会社が受け取ります。ですので、譲渡益は営業で発生した利益とみなされるので、法人税の対象となるのです。
法人税は、譲渡益の19%~23.2%程度で、各企業によって税率は異なります。
このように、会社譲渡をするときは税金を加味した譲渡価格を交渉しましょう。
②経営者にロックアップがかけられる
会社譲渡をすると、経営者にロックアップがかけられる可能性があります。ロックアップとは、会社譲渡後に一定期間は譲渡先の会社で働くことを約束することです。
ロックアップの期間は、買い手企業の要望や取引条件によって異なりますが、一般的には2年~3年程度とされています。
なぜなら、ロックアップ期間を設けることで買い手にとって「買収した事業を円滑に運営できる」というメリットになるからです。
会社譲渡後も積極的に働きたい人にとっては問題ありません。しかし、会社譲渡後は働きたくない人や他の事業を立ち上げたい人にとってはデメリットになるでしょう。
ただし、ロックアップを契約条件にしない買い手企業も多くあります。
どうしても必要な場合は、ロックアップの期間を短くするなど経営者にとって有利になる条件交渉が必要です。
③新事業の領域が制限される
会社譲渡をした場合、現経営者の新事業の領域が制限されます。これは、競業避止義務といって、買い手企業の利益を保護するために売り手企業が負う義務です。
例えば、会社譲渡後は売却した事業の人脈や技術などを活用して事業を立ち上げることができません。
なぜなら、買い手企業の競合となってしまい、買い手企業の利益が損なわれる可能性があるからです。そのため、一般的に契約書には競業避止義務が盛り込まれます。
会社譲渡後に新規事業を始めようと思っている人は注意しなければなりません。
8. 会社譲渡を検討するならM&A仲介会社に相談しよう
会社譲渡を検討するなら、必ずM&A仲介会社に相談しましょう。
その理由を説明するために、会社譲渡における役割とM&A仲介会社の役割や相談するメリット、気になる費用について解説していきます。
順番に確認していきましょう。
M&A仲介会社の役割
まずは、M&A仲介会社の役割から見ていきましょう。
- スケジュールと戦略の決定
- 譲渡先の選定
- 譲渡条件の交渉
- 弁護士や会計士などの紹介
1つずつ詳しく確認していきましょう。
スケジュールと戦略の決定
会社譲渡については専門家とされているM&A仲介会社に相談するべきであることをお伝えしました。相談することによって、スケジュールと戦略を決定してもらえます。
会社譲渡は、社内で検討を始めてから買い手企業との統合作業を終えるまでに約3ヶ月から1年はかかることが一般的です。したがって、しっかりとスケジュールを立てなければ、目的を達成するのは難しくなってしまいます。
また、どのような買い手企業を選ぶのかという基準を明確にし、買い手企業にどのようにアピールしていくかを決定することも大切です。
選定基準やアピールポイントを定めておけば、スケジュールどおりに会社譲渡を進めていきやすくなります。
譲渡先の選定
買い手企業の条件は自社で考えることができますが、最終決定の前にM&A仲介会社のアドバイスも受けておくのが良いでしょう。
M&A仲介会社は、さまざまな案件を過去に受け持ってきた会社譲渡のプロです。あなたの会社が行う譲渡と同じようなケースを見てきていることも多く、成功へのイメージが複数あることも珍しくありません。
ですので、M&A仲介会社に譲渡先はどうすれば良いのかを相談することで、社内では思いもよらなかった自社に最適な買い手を見つけられる場合もあるでしょう。
譲渡条件の交渉
会社譲渡でつまずきやすいのが、譲渡する条件を交渉する段階です。
買い手も売り手も最初に考えるのは自社の利益なので、当然だといえます。譲渡条件の交渉を進める際のポイントは、公平性のある提案をしてお互いに不満を持たずに話し合うことです。
過去の似ている事例を参考にしながら条件を提案していけば、公平性を感じてもらいやすくなります。
交渉前にM&A仲介会社に過去の事例にはどのようなものがあるのかを聞いてみてください。また、M&A仲介会社と一緒に要望の上手な伝え方や妥協する条件も事前に考えたうえで、落ち着いて交渉に臨みましょう。
弁護士や会計士などの紹介
M&A仲介会社には、弁護士や会計士といった専門家を紹介してもらえます。
また、M&A仲介会社に弁護士や会計士が所属しているケースも珍しくありません。会社譲渡の際に必要な契約書の作成や正しい会計処理は専門家でなければ難しいです。
したがって、M&A仲介会社に依頼をするか、手続きに慣れている専門家の紹介を受けましょう。
そうすることで、安心して手続きを進めていくことができます。
M&A仲介会社を活用するメリット
「買い手企業は人づてに見つけられる」と思っていても、M&A仲介会社を頼るほうがスムーズに会社譲渡ができます。
会社譲渡を行う際に、仲介会社を利用するメリットは3つです。
- 経営者が本業に専念できる
- 取引の適正さを確保できる
- 思わぬトラブルを回避できる
以上の3つのメリットを順番に見ていきましょう。
経営者が本業に専念できる
M&A仲介会社からサポートを受けることによって、経営者は今までどおり本業に専念できます。
会社譲渡には多くの手続きが必要で、考えることも少なくありません。平常どおりに経営をしながら片手間で会社譲渡を行うのは無理だと思っておいたほうが良いでしょう。
本業がおろそかになって収益性を低くしてしまうのは本末転倒です。M&A仲介会社のサポートを受けて、本業に影響を与えないまま会社譲渡を成功させてください。
取引の適正さを確保できる
M&A仲介会社にサポートしてもらえば、取引を公平に保てるというのもメリットです。
先ほども条件交渉の際には公平性が重要であることをお伝えしました。買い手と売り手という当事者だけで公平性を維持するのは非常に難しいです。
専門家に間に立ってもらうことによって、第三者の視点からのアドバイスが受けられます。専門家に適正な金額を判断してもらえば、一気に交渉もスムーズになるでしょう。
信頼できるM&A仲介会社に依頼すれば、取引の公平感を担保できるのです。
思わぬトラブルを回避できる
会社譲渡を進めていくと、思わぬトラブルにぶつかることもあります。しかし、M&A仲介会社にサポートをしてもらえば、できる限りトラブルを未然に防いでもらえるでしょう。
例えば、最終契約の直前になってお互いが譲ることのできない主張を始めることで、契約自体が破談になることもあります。M&A仲介会社の力を借りておけば、破談になる前に上手く対応してもらえることも多いです。
回避できるトラブルは冷静に回避するため、専門家の力は必須だといえます。
M&A仲介会社の手数料相場
M&A仲介会社の手数料は、一概にいい切れません。
M&A仲介会社によって発生する費用は変わりますが、レーマン方式という成功報酬体系であることが多いです。
レーマン方式とは
M&A仲介会社の手数料を決めるときに頻繁に使用されているのが、レーマン方式です。
譲渡価格に応じて手数料が変わるという算出方法なので、小規模な取引から大規模な取引まで幅広く活用できます。ただし、手数料の割合は一定ではありません。
依頼する仲介会社によって定められている割合は異なりますが、一般的にイメージされるレーマン方式の水準は以下の表のとおりです。
譲渡価格 | 手数料の割合 |
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超・10億円以下の部分 | 4% |
10億円超・50億円以下の部分 | 3% |
50億円超・100億円以下の部分 | 2% |
100億円超 | 1% |
サポートを頼む仲介会社の公式ホームページに割合が記載されていることも多いので、まずは確認してみるのが良いでしょう。
9. M&Aの相談はM&A総合研究所にお声がけください
会社譲渡をお考えの場合は、ぜひM&A総合研究所の無料相談を活用してみてください。
着手金無料でM&Aのお手伝いが可能です。また、専門的な知識を持ち合わせているM&Aアドバイザーが在籍しており、最短3ヶ月でスピード成約をいたします。
完全成功報酬制なので、最終譲渡契約を締結するまでの費用は一切発生いたしません。
会社譲渡をご検討の場合は、どうぞお気軽にM&A総合研究所へお問い合わせください。
10. まとめ
会社譲渡とは、譲渡会社の株主が保有株式を第三者に譲渡することです。会社の経営権は譲渡先の譲受企業に譲ることになります。
後継者問題を抱えているなら、会社譲渡がおすすめです。
また、注意点を克服するためにはM&A仲介会社の存在が不可欠となります。
M&Aアドバイザーに無料相談をして、できるだけ高い価格で会社譲渡をしましょう。
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