2026年08月18日更新
会社を買いたい個人・サラリーマン必見!会社の買い方・流れ・資金調達・探し方・相場を徹底解説【2026年最新】
「会社を買いたい」個人・サラリーマンに向けて、会社の買い方や流れ、資金調達の方法、案件の探し方、相場、失敗しないための注意点を専門家が徹底解説。300万円から始められる個人M&A(スモールM&A)で、起業・独立・事業拡大を実現するための入門ガイドです。【2026年最新】
目次
1. 個人で会社を買うことは可能
「会社を買う・買収する・M&Aをする」とは、大企業が億単位を超える金額を用意して行う印象があるかもしれません。しかし実際には、個人事業主やサラリーマンが、300万円や500万円、1,000万円といった金額で、小さな会社を買える時代です。
また、インターネットの普及によって、ネットで会社を買うことも容易になりました。まずは、なぜ個人で会社を買うのが身近になってきたのか、その要因を説明します。
2. なぜ個人の会社買収が増えているのか?3つの背景
かつて会社買収(M&A)は「乗っ取り」のようなネガティブなイメージを持たれがちでしたが、近年では事業承継や成長戦略の有効な手段として広く認知され、活発に行われるようになりました。
特に個人による小規模な会社買収(スモールM&A)が増えている背景には、主に3つの要因があります。
事業承継を行うため
日本の中小企業は深刻な後継者不足に直面しています。経営者の高齢化が進む一方で、親族内に後継者が見つからないケースが増加しており、黒字経営にもかかわらず廃業を選択せざるを得ない企業が後を絶ちません。
帝国データバンクの「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」によると、2025年時点の後継者不在率は50.1%でした。調査開始以来の最低を更新したものの、依然として企業の約半数が事業の引き継ぎ手を見つけられていない計算です。
なお、この調査では事業承継の形として、血縁によらない「内部昇格」や、買収・出向などの「M&Aほか」が増え、親族以外への承継(脱ファミリー化)が進んでいることも示されています。
こうした状況を打開する有効な手段として、第三者への事業承継、すなわちM&Aが注目されています。廃業を避け、従業員の雇用や技術、取引先を守るためのM&Aは、国も積極的に推進しており、近年増加の一途をたどっています。
マッチングサイトが普及してきているため
個人で会社を買える要因の1つとして、売却を検討している会社自体が「個人によって運営されているもの」であるケースが増えていることも挙げられます。最も典型的な例が「サイト売買・M&A」です。
現在では、インターネットやそれに付随するサービスの普及によって、「アフィリエイトサイト」や「ECサイト」を運営している個人・サラリーマンは少なくありません。そして、個人間でアフィリエイトサイトなどを売買する事例が増加しています。
サイト運営では、月に安定した売上を確保できるようになったり、サイト訪問者が増加したりすると、「サイト売買・M&A」を実施してサイトを売却することが可能です。
売りに出されているサイトを購入できるだけの金額を用意できれば、個人でも「事業化された」アフィリエイトサイトやECサイトを買えます。サイト売買の場合、「サイト運営」の「事業」を買っているので、「会社を買う」との表現が正しいかは微妙なところです。
サイト運営をしている個人は、ある程度売上が出てくると、「節税対策・社会的信用の獲得」などを目的に、「サイト運営」を法人化します。サイト運営を事業とする「法人」が売却されているケースもあり、その観点では、「個人でも会社を買うのが可能」といえるのです。
起業の手段としてM&Aが普及するようになったため
昨今は働き方改革により、柔軟な働き方ができるようになりました。一方で、終身雇用を前提にすることが限界になってきています。このような状況のなか、本業以外に副業に取り組む人も増加しているのが現状です。また、独立して起業する人も増えています。
その際、独立して一から起業するにはさまざまなリスクがあるため、起業手段としてM&Aをするケースが増加してきました。
3. 個人で会社を買うメリット
個人が会社を買うことには、既存の事業基盤を活用できるほか、事業立ち上げにかかる時間やコストを抑えられる、収益の見通しを立てやすいなどのメリットがあります。ここでは、個人が会社を買う主なメリットを解説します。
事業基盤を引き継ぎ、立ち上げコストを抑えられる
最大のメリットは、既存の事業基盤(顧客、取引先、従業員、ノウハウ、許認可など)をそのまま引き継げる点です。これにより、起業当初の最も困難な「ゼロからイチ」のフェーズを省き、事業を早期に安定させやすくなります。
サラリーマンが独立して一から会社を立ち上げる場合、多額の初期費用に加え、人材の確保や顧客・取引先の開拓など、多くの時間と労力が必要です。また、事業を軌道に乗せるまでには、数年を要するケースもあります。
一方、すでに事業基盤が整っている会社を買収すれば、事業立ち上げにかかる時間・費用・労力を抑え、早い段階から会社経営に取り組むことが可能です。その意味で、会社を買うことは、事業を育てるために必要な「時間を買う」ことともいえるでしょう。
ただし、会社の買収には一定のリスクも伴うため、個人で会社を買う際は、必要に応じてM&Aの専門家に相談しながら慎重に検討することが重要です。
収益の見通しが立てやすい
すでに実績のある事業を買うため、過去の財務諸表から将来の収益を予測しやすいという利点があります。これにより、金融機関からの融資も受けやすくなります。全く新しい事業を始めるよりも、事業計画の精度が高まり、リスクを抑えられます。
資産が増える可能性がある
個人で会社を買う最大のメリットは、「個人の資産が増える可能性がある」ことです。会社を買うことで資産を増やす手段は、主に役員報酬と会社売却の2種類が考えられます。
役員報酬
もし、すでに十分な利益を生み出している会社を買うとすれば、役員報酬によってサラリーマンや個人事業主として得られる以上の収入を獲得できます。
たとえば、買った会社を10年間経営する場合、役員報酬を毎年1,000万円もらえると仮定すると、「1,000万円×10年=1億円」となるので、10年間で総額1億円の収入獲得です。
もちろん、会社の規模が小さければ、その分役員報酬の額も下がりますし、会社をもっと大きく成長させられれば、さらに多額の報酬受け取りも可能となります。
会社売却
購入した会社を経営して、これまで以上に利益を伸ばしたり、会社を成長させたりできると、今度はその会社を売却し、会社売却益を得るのも可能です。たとえば、営業利益が100万円の会社を「300万円」で購入したとします。
その後、会社経営の結果、営業利益が400万円まで伸びた場合、会社売却する際の相場価格は「純資産(資産と負債の差)+営業利益×3~5」の計算です。純資産がゼロと仮定した場合、会社売却額はおよそ1,000万円になります。
この会社を300万円で購入していたので、売却益は「1,000万円-300万円=700万円」です。
継続的な収益源を確保できる可能性がある
会社を買うことで不労所得を手に入れられるかもしれません。不労所得とは、労働する必要のない所得のことです。すでに利益を生み出している会社を買う場合、その会社自体が自分の所得を生み出してくれる状態といえます。
会社だけに限らず、法人化されていて、すでに収益が出ているアフィリエイトサイトやECサイトなどを購入し、自分がサイトを構成したり、記事を作成したりする必要のないまま、つまり、不労所得の獲得が可能です。
ビジネスの勉強になる
これまでサラリーマンとして働いていた個人でも、会社を購入して経営をするとビジネスの勉強になります。本を読み、セミナーに参加するのでもビジネス・経営の勉強はできますが、実際に会社を経営してみることほど効果的なビジネスの勉強はないでしょう。
4. 個人が会社を買うデメリット
個人が会社を買うことには多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。特に、簿外債務や偶発債務を引き継ぐリスク、企業文化のミスマッチ、買収時の初期投資が大きくなる点には注意が必要です。
ここでは、個人が会社を買う際に押さえておきたい主なデメリットを解説します。
簿外債務や偶発債務のリスク
財務諸表に記載されていない債務(簿外債務)や、将来発生する可能性のある債務(偶発債務)を引き継いでしまうリスクがあります。
例えば、未払いの残業代や訴訟リスクなどがこれにあたり、買収後に発覚すると深刻な問題になりかねません。
企業文化のミスマッチ
買収した会社の従業員との間で、経営方針や価値観が合わない「企業文化のミスマッチ」が起こることがあります。
これにより、キーパーソンが退職してしまったり、組織がうまく機能しなくなったりするリスクが考えられます。
初期投資が大きくなる
当然ながら、会社を買うためにはまとまった資金が必要です。事業の対価に加え、仲介手数料などの諸経費もかかります。
ゼロから起業する場合に比べて初期投資が大きくなるため、十分な資金計画が不可欠です。
5. メリットを最大化し、デメリットを抑えるポイント
会社を買う成功確率を高めるには、メリットを活かしつつ、デメリットをいかに管理するかが重要です。特に、簿外債務などのリスクを回避するためには、弁護士や会計士といった専門家によるデューデリジェンス(買収監査)を徹底することが不可欠です。
また、買収後の統合プロセス(PMI)を丁寧に進め、従業員とのコミュニケーションを密に取ることで、組織の融合を円滑に進めることができます。
6. 個人が会社を買うまでの具体的な流れ8ステップ
ここでは「個人が会社を買う流れ」を解説します。会社購入を検討している方は、以下で説明する購入の流れを参考にしてください。
- 事前準備を済ます
- 売っている会社を探す
- 売買交渉の申し入れ
- 秘密保持契約などの締結
- 買収対象の代表と交渉
- 買い手によるデューデリジェンス
- 最終契約書の締結
- 代金支払い
①事前準備を済ます
本格的に会社探しを始める前に、買収の目的や予算、希望する業種などの条件を明確にしておくことが重要です。条件を整理せずに案件を探し始めると、魅力的な案件に目移りしたり、自分の資金力や経験に合わない会社を選んだりするリスクがあります。
まず、「なぜ会社を買いたいのか」という買収の目的を明確にしましょう。独立して経営者になりたいのか、既存事業を拡大したいのか、新しい事業へ参入したいのかによって、適した買収先は異なります。
次に、会社の買収に使える予算の上限を決めます。予算を検討する際は、主に以下の項目を考慮しましょう。
- 自己資金:預貯金など、買収に利用できる資金
- 融資可能額:日本政策金融公庫などの金融機関から調達できる資金
- 買収後の運転資金:事業を安定して運営するために必要な資金
- M&Aに伴う費用:仲介手数料や専門家への報酬など
あわせて、購入したい会社の業種や地域、事業規模も具体化しておきましょう。会社の売却案件には多種多様な業種がありますが、単に「予算内で買える」という理由だけで買収先を決めると、その後の経営に苦戦する可能性があります。
特に、サラリーマンが小規模な会社を買って独立する場合は、これまでの職務経験や専門知識を活かせる業種を選ぶことで、買収後の経営をスムーズに始めやすくなります。また、日常的に経営管理ができる地域か、売上高や従業員数などの事業規模が自分の管理能力に合っているかも確認しておきましょう。
こうした条件を整理したうえで、M&A仲介会社やマッチングサイト、公的支援機関などを利用し、具体的な案件探しへ進みます。複数のサービスや専門家を比較しながら、自分の目的や予算、経験に合った買収先を検討することが重要です。
②売っている会社を探す
自分が会社を買う際に使える予算や、今後成長させていきたい業種を決めたら、次は希望条件に合う会社を探します。購入できる会社を探す主な方法は、以下の3つです。
- インターネットで探す
- 公的機関を利用する
- FAやM&A仲介会社に相談する
インターネットで探す
購入できる会社を探す方法として、最も手軽なのがインターネットを利用する方法です。「会社 M&A」などと検索すると、M&Aマッチングサイトや、サイト上で売りに出されている会社・事業の情報を確認できます。
M&Aマッチングサイトを利用するメリットは、予算や業種などの条件から売り手企業を効率的に検索できる点です。数百万円で購入できる小規模な事業から数千万円規模の会社まで幅広い案件が掲載されており、アフィリエイトサイトやECサイトなどの事業が売りに出されている場合もあります。
特に、1,000万円以下の予算で小規模な会社や事業を買いたい場合には、M&Aマッチングサイトを利用する方法が選択肢の一つです。
多くのサイトでは無料で登録や案件閲覧ができるほか、交渉の仲介や契約書作成のサポート、専門家の紹介などを提供している場合もあります。ただし、対応するサービス内容はサイトによって異なるため、利用前に確認しておきましょう。
公的機関を利用する
安心して会社を探したい場合には、公的機関である「事業承継・引継ぎ支援センター」を利用する方法があります。
事業承継・引継ぎ支援センターは各都道府県に設置されており、中小企業の事業承継を支援しています。後継者を探している事業者と、会社を買って起業したい個人などを引き合わせる後継者マッチング支援も行っています。
利用する場合は、最寄りの事業承継・引継ぎ支援センターへ相談し、希望する業種や地域、予算などの条件を伝えます。条件に合う案件があれば紹介を受けられるほか、専門家からアドバイスを受けながら事業承継を進めることも可能です。
公的な支援機関であるため、初めてM&Aや事業承継を検討する方でも相談しやすい点がメリットです。
FAやM&A仲介会社に相談する
より専門的なサポートを受けながら会社を探したい場合は、FAやM&A仲介会社へ相談する方法があります。
FAとは「ファイナンシャル・アドバイザー」のことで、M&Aに関する助言や交渉などを支援する専門家です。M&A仲介会社も、売り手と買い手のマッチングや条件交渉、契約手続きなどをサポートします。
ただし、FAやM&A仲介会社によって得意とする案件の規模や業種は異なります。数億円以上の大型案件を中心に扱う会社もあれば、中小企業や小規模M&Aを得意とする会社もあります。
そのため、個人で会社の買収を検討している場合には、小規模M&Aや個人による買収案件に対応しているかを事前に確認したうえで相談することが重要です。
手軽に多くの案件を探したい場合はM&Aマッチングサイト、安心して事業承継を進めたい場合は事業承継・引継ぎ支援センター、専門家の支援を受けながら案件探しから交渉まで進めたい場合はFAやM&A仲介会社を利用するなど、自分の目的に合った方法を選びましょう。
③売買交渉の申し入れ
自分が希望する予算や業種にマッチしていて、相場価格にも特に問題がない会社が見つかったら、売買交渉の申し入れをしましょう。売買交渉の申し入れとは、「会社を買いたい」意向を相手に伝えることです。
マッチングサイトで買いたい会社を見つけた場合は、そのマッチングサイト上で相手の企業にメッセージを送りましょう。FAやM&A仲介会社を利用している場合は、仲介会社に「買いたい会社が見つかった」旨を報告しましょう。
④秘密保持契約などの締結
売買交渉を申し入れたら、秘密保持契約の締結を行いましょう。秘密保持契約とは、売り手がM&Aの判断材料として提示した会社の情報を外部に漏らさないことを約束する契約のことです。
これはM&Aが成立するまでの情報漏えいのリスクに対応するためであり、違反行為が発覚したケースを想定して、損害賠償請求を定める場合もあります。秘密保持契約を締結したら、売却対象の会社や事業に関する情報が詳細に記載された資料を閲覧できるでしょう。
⑤買収対象の代表と交渉
「ネットで会社を買う」ことを目的に、マッチングサイトを利用している場合は、売り手の代表と直接交渉するケースも多くなります。売買希望価格が300万円以下のような、小さな会社を買う場合には、直接交渉でも問題ないかもしれません。
売り手側、買い手側のお互いが人物、ビジネスの理解を深め、疑問点などがあればそれを解消するため、話し合い(トップ面談)を行います。M&Aを行った後の経営戦略、信頼できる相手かどうかの見極めなど、数字では見えない部分を確認するのが大切です。
ただ、初めて会社を買う場合や、普段はサラリーマンをしているため調べたり考えたりする時間がない場合は、マッチングサイトの仲介サービスの利用を検討してみましょう。
仲介サービスでは成功報酬を支払う必要がありますが、M&Aのプロが売買交渉の仲介をしてくれるため、M&Aについてあまり詳しい知識を持っていない人でも、安心して売買交渉ができます。FAや仲介会社を利用する場合も、交渉をM&Aのプロが代行してくれるので安心です。
会社売買の交渉内容は、会社の売買金額や従業員の雇用など、さまざまな重要事項を話し合います。交渉が大筋でまとまった段階で基本合意書の締結です。基本合意書は合意内容の確認書で、法的拘束力はなく会社を買うことが成約されたわけではありません。
ただし、例外的に以下の事項には法的拘束力を持たせます。
- 買い手の独占交渉権
- デューデリジェンスへの売り手の協力義務
- 秘密保持
⑥買い手によるデューデリジェンス
基本合意書が結ばれた後は、買い手によるデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンス(DD)とは、買い手が士業などの専門家に依頼して、買う対象となる企業・事業に関する情報を収集・分析・検討する手続きのことです。
買い手は、デューデリジェンスによって、企業価値評価に必要な情報や、売買取引を進めるうえで必要な事実、M&Aの支障となり得るリスク要素(簿外債務・訴訟・許認可の問題など)を把握できます。
⑦最終契約書の締結
デューデリジェンスを行った結果、特に問題はなく、基本合意どおりに会社を買うことになれば、「会社譲渡の内容」「売買価格」などを定めた最終契約書の締結が行われます。
最終契約書を作成する際は、表明保証の内容が網羅的に記載されているか、契約の解除可能期間がクロージングまでとなっているかを特に注視するようにしましょう。
また、締結した最終契約書は法的な拘束力を持つため、仮に売り手、買い手のどちらかが定められた事項を遵守せず、取引相手側に被害が生じた際には、損害賠償請求を求めることが可能なため、補償の期間や上限額が定められているかについてもしっかり確認するようにしましょう。
⑧代金支払い
最終契約書の締結が完了したら、会社の買い手は、売買代金を支払います。代金の支払いが完了した段階で、会社は譲渡され、無事にM&Aの完了です。それら一連の契約内容の履行のことをクロージングといいます。
売買代金のほかにも、M&A仲介会社に対しての仲介手数料や着手金、成功報酬などの支払いに加え、法人税や所得税など事業取得に関する税金の支払い義務も発生するので事前に確認しましょう。
7. 個人で会社を買う際の相場金額
個人が会社を買う際の相場金額はどのくらいなのでしょうか。昨今では、専門家が書籍やWebサイトなどで、個人が会社を買うことをすすめているのをよく目にします。
そのような個人レベルでの会社売買に関する本やサイトでは、「300万円~」や「500万円~」などの金額設定がされているケースが多いでしょう。M&Aマッチングサイトで現在売りに出されている会社の希望売却額は、「200万円~1,000万円」の間で設定されているものが多いです。
このようなことから、個人が会社を買う際の相場金額は、およそ「300万円~500万円」と判断できます。ネットで会社を買う際には、最大でも「1,000万円」用意できれば、問題なく売買交渉ができるでしょう。
会社購入の予算を検討する際には、この相場金額を意識しておくことも重要です。売り手企業が、あまりにも相場とかけ離れた金額を提示してくる場合には、失敗リスクも考えられるので、慎重に会社概要・事業内容などを検討する必要があります。
8. 個人で会社を買うときの資金調達方法
会社を買うには、相場価格に加えて仲介手数料や買収後の運転資金も必要です。自己資金だけで足りない場合、主に以下の方法で資金を調達します。
自己資金
最も基本となるのが預貯金などの自己資金です。自己資金の割合が高いほど、買収後の返済負担が軽くなり、経営の安定につながります。
金融機関からの融資
日本政策金融公庫や民間金融機関には、創業・事業承継を支援する融資制度があります。特に日本政策金融公庫は、事業承継・引継ぎを目的とした融資メニューを設けており、個人による小規模M&Aでも利用を検討できます。融資を受けるには、買収対象の事業計画や返済計画を示す必要があるため、案件が固まった段階で早めに相談しましょう。
M&Aローン・セラーファイナンス等
金融機関のなかにはM&A資金に対応したローンを用意しているところもあります。また、売り手が代金の一部を分割で受け取る「セラーファイナンス(売り手による融資)」のように、買い手の初期負担を抑える方法がとられるケースもあります。
経営者保証の引き継ぎに注意
中小企業では、会社の借入に経営者個人が連帯保証(経営者保証)を付けているのが一般的です。会社を買うと、この保証を引き継ぐ必要が生じる場合があります。近年は「経営者保証に関するガイドライン」により保証に依存しない融資への移行が進んでいますが、保証の有無と引き継ぎ条件は資金計画に直結するため、必ず事前に確認しましょう。
9. 個人で会社を買う際の注意点
会社を買う際には注意点もあります。この注意点を意識しないまま、M&Aの手続きを進めてしまうと、自分のお金を無駄にしてしまうかもしれません。会社を買う際には、以下の注意点を確認しましょう。
- 買収する企業は自分でリサーチする
- 顧客や従業員の感情面も考える
- 経営に割けるリソースを明確にする
- 簿外債務が潜む可能性を考慮する
- 会社が連帯保証をしている可能性を考慮する
- 脱税の可能性を考慮する
- 贈収賄の可能性を考慮する
買収する企業は自分でリサーチする
買収する会社・事業は、自分でしっかりリサーチするのが大切になります。特に何も考えずに、何となくという理由で会社を買おうとするのは非常に危険です。
相場金額とかけ離れていないか
売りに出されている会社が提示する売却希望額が、相場価格と離れすぎてはいないか確認できるのはとても大切です。相場がいくらか知らないまま、M&Aに手を出してしまうと、相場価格よりも高い金額で会社を買わされるリスクがあります。
売り手の話をうのみにしない
FAやM&A仲介会社を利用している場合は問題ありませんが、手軽にネットで会社を買うことを目的に、M&Aマッチングサイトを利用する場合、会社の売買交渉などを売り手と直接行うケースがあります。この場合、売り手の話をうのみにし過ぎるのは危険です。
あまり知識がない人と思われてしまうと、会社・事業の内容、業績などに関して虚偽の報告をされてしまう可能性もあるでしょう。自分で相手の会社情報を調べることをせず、相手のいうことを全て信じてしまうと、M&Aに失敗する可能性も高まります。
顧客や従業員の感情面も考える
購入する会社には、そこで働いている従業員や、その会社と取引をしている顧客が存在します。個人が会社を買い、社長・経営者が変わってしまうことを、「良いこと」とは感じない従業員・顧客がいることも頭に入れておくのが大切です。
会社を買うことを考えている場合、その会社に関係する人の感情面にも十分配慮する必要があります。従業員からM&Aの理解が得られない場合、優秀な人材が流出し、シナジー効果が得られないケースもあるものです。
M&Aによって就労環境や労働条件が変化した場合、人材が流出してしまう可能もあるでしょう。優秀な人材流出を防ぐためには、処遇の維持、評価や給与制度の見直し、将来の見通しなどの情報共有や理解を得るのが大切です。
経営に割けるリソースを明確にする
企業を買収する際、経営に割けるリソースを明確にすることが重要です。リソースの把握が不十分だと、適切な会社の選定しづらくなります。
例えば、時間や人材、資金が限られている場合は、自走できる安定企業を選ぶ必要があり、買収する候補が少なくなります。買収後の後悔を避けるためにも、まずは自身のリソースを正確に評価し、それに見合った企業を選定することが不可欠です。
簿外債務が潜む可能性を考慮する
個人で会社を買う際には、簿外債務が潜む可能性をしっかりと考慮しておく必要があります。簿外債務とは、貸借対照表に計上されていない債務のことです。中小企業では、税務会計を実施して決算書を作成します。
その税務会計の際、税金を減らすことを目的に、計上される利益を少なくさせるのはよく行われていることです。その結果、中小企業の貸借対照表では、未払い給与や賞与引当金、退職給付引当金などが簿外債務として計上されることになります。
会社を買う場合、株式譲渡であれば包括承継です。包括承継では簿外債務も引継ぐことになります。賞与引当金や退職給付引当金などの簿外債務であれば大きな問題はありませんが、訴訟などが関係しているような簿外債務・不正な簿外債務などだと、非常に危険です。
リスクがありそうな簿外債務が確認されたら、その会社の購入は控えるようにしましょう。
会社が連帯保証をしている可能性を考慮する
買収を検討している会社が連帯保証をしている可能性を考慮しておくのが肝要です。連帯保証をしている場合、会社を売買したくても取引が成立しない可能性があります。
小さな会社を買う場合、会社のオーナー自身が個人的に連帯保証をしたうえで銀行から借入を行っているのはよくあることです。通常は、会社を買うとその会社のオーナーが結んだ連帯保証も引継ぐ必要があります。
その際に、自分の信用力が低く資金力もそこまで多くない場合には、連帯保証の引継ぎが認められない可能性があるのです。連帯保証を引継げないと、会社自体も買収ができません。
相手の会社をよく調べておかないと、連帯保証などがあるのを知らないまま売買交渉を進めてしまう危険性もあります。連帯保証をしている可能性を考慮して、M&A交渉を進めていくようにしましょう。
脱税の可能性を考慮する
業績のよい買収先が見つかったからといって、その決算書をうのみにし過ぎるのはよくありません。会社によっては、法的に禁止されている脱税行為を行っている可能性もゼロではないからです。
気づかぬうちに脱税行為をしていた会社を買ってしまい、いつの間にか自分が脱税に加担した状態になってしまっては本末転倒でしょう。
ただし、これまでサラリーマンをしていた個人が、一目見ただけでその会社が脱税しているかどうか見分けることは非常に難しいものです。デューデリジェンスを通して、専門家に脱税のようなリスクを洗い出してもらう必要があります。
贈収賄の可能性を考慮する
脱税と同じように、買収する会社が贈収賄をしている可能性がないか考慮しましょう。贈収賄とは、いわゆる賄賂(わいろ)を送ったり、受け取ったりすることです。特にその会社が公的機関と頻繁に取引するような事業を展開している場合には、注意が必要かもしれません。
この贈収賄に関しても、これまでサラリーマンをしていた人には縁遠く、個人の力で見抜くことは困難といえます。デューデリジェンスで、考えられるリスクをしっかり洗い出してから、会社売買を進めていくようにしましょう。
10. 個人が500万円で買える会社5選
ここからは、「現在サラリーマンをしているけれど、会社を買って経営者になりたい」「会社を買収して個人事業主から一歩ステップアップしたい」などと考えている方のために、500万円で買える会社を紹介します。
金額を500万円にしたのは、個人が会社を買う際の相場価格がおよそ「300万~500万円」と考えられるためです。「500万円で買える会社」なので、売却希望価格が200万円や300万円の会社も紹介しています。
ここで紹介するのは、これまでM&Aマッチングサイト上で売りに出されていた案件の例です(掲載済みの案件は成約・掲載終了となっている場合があります)。実際にどのような会社が、どのくらいの価格で売買されているのか、業種ごとの傾向と相場感をつかむ参考としてご覧ください。
500万円で買える会社①:太陽光発電機などの営業会社
たとえば、こうした案件がありました。
創業10年未満の太陽光発電機やオール電化、それに関連するリフォームなどの営業を行う会社(建設・工事業、所在地:大分県)が、M&Aマッチングサイト上で売却を希望しています。
サイト上で掲載されている情報によると、売上は1,000万円を大幅に超える「3,000万〜5,000万円」規模で、譲渡希望価格は500万円程度でした。
500万円で買える会社②:イタリアンレストラン
レストランも売却希望会社としてM&Aマッチングサイトに掲載されています。このイタリアンレストランは、埼玉県内の新興住宅街に店を構えていて、席数は54席、スタッフは17名いるそうです。
売上は「5,000万~7,000万円」と掲載されています。この規模の売上がありながら、譲渡希望価格は「250万円」です。
500万円で買える会社③:映像制作会社
たとえば、こうした案件がありました
この映像制作会社は、テレビ制作会社に長年在籍していた方が社長となり立ち上げました。2018(平成30)年には、ドローンによる映像撮影に精通している人物を役員として迎え入れたそうですが、資金不足のために会社譲渡を検討しているようです。
売上は、「3,000万~5,000万円」、譲渡希望価格は「250万円」とされています。会社売却後も、社長・従業員ともに全員が会社に残る意思があるそうです。
500万円で買える会社④:不動産賃貸・管理業
たとえば、こうした案件がありました
東京都にある不動産仲介会社が売りに出されています。2011(平成23)年に設立され、従業員数は社長と男性従業員の計2名です。売上は約3,000万円で、銀行借入が1,500万円、役員借入が400万円あります。売却金額は「300万円」を希望しているようです。
500万円で買える会社⑤:ビジネスバックの企画・製造・販売
たとえば、こうした案件がありました
東京都にあるビジネスバックの企画・製造・販売事業を行う会社が、M&Aマッチングサイトで売りに出されています。売上は「2億~3億円」です。売上高は非常に高いですが、希望売却金額は「300万円」となっています。
11. 個人が100万円で買える会社5選
個人が会社を買う際の相場価格がおよそ「300万~500万円」ですが、なかには100万円で買えるような会社も存在します。100万円であれば初期投資が少なくても買収可能であり、起業に比べて手間を大幅に減らすことができます。
金融機関から融資を受けなくても買収できる可能性が高いので、低リスクで起業したい方にもおすすめできるでしょう。
100万円で買える会社①:Webメディア
ブログやアフィリエイトサイトなどのWebメディアは、100万円で買える会社の典型例です。実店舗や在庫を持たないため、初期投資が少なくて済みます。
例えば、既に多くの記事を掲載しているWebメディアを購入すれば、一からサイトを立ち上げる手間を省き、リライトや新規記事追加で短期間で運営を開始できます。既存のコンテンツやSEOの基盤を活用することで、早期に収益化を目指せる点が魅力です。
100万円で買える会社②:理美容室
理美容室も100万円で買える会社があります。店舗や営業権だけでなく、経営ノウハウ、店舗のウェブサイトやSNSアカウントも引き継げる会社であれば、集客にも困りません。
後継者不足などで譲渡を検討する経営者が増えており、M&Aが事業承継の手段として選ばれることが多いです。既存の顧客基盤やマーケティング資産を活用できるため、経営リスクを抑えつつスムーズに事業を開始できます。
100万円で買える会社③:エステサロン
エステサロンも100万円以下での譲渡希望価額で売却されることがあります。瘦身やフェイシャルなどを提供するエステサロンは、設備の一部や顧客リストを含めて引き継げる可能性もあるでしょう。
設備投資の初期コストを抑えながら、すぐにエステサロン事業を始めることができます。
100万円で買える会社④:学習塾
小~高校生を対象とした教育サービスを提供する学習塾は、100万円前後での譲渡希望が出される場合もあります。
10年以上の営業実績を持っていたり、自走可能だったりする案件もあるため、個人で買う際におすすめできる選択肢です。新規経営者が事業を引き継ぐことで、即戦力としての立ち上げが可能です。
学習塾の譲渡では、教材や教室の利用権、またはオンライン教育プラットフォームなどのIT資産も引き継げる場合があります。地域密着型の学習塾が後継者不足により事業承継の機会を待っているような状況もあり、金額以上の価値が得られる案件も見つかりやすいです。
100万円で買える会社⑤:フィットネス施設
フィットネス施設も100万円程度で譲渡が可能な事業の一例です。居抜きでの譲渡案件が見られ、トレーニングマシンを含む設備を引き継ぐことができる可能性もあります。多額の設備投資がかかる業種のため、設備も含めた引継ぎは大きなメリットとなるでしょう。
地域密着型のフィットネスクラブが後継者不足から譲渡を検討しているケースもあります。場所柄や地域需要に基づいた顧客基盤も継承できる場合があり、新規経営者の負担を減らしてくれる可能性が高いです。
12. 個人M&A・会社買収を成功させるためのポイント
個人で会社を買うとなれば、成功させたいと考えるのは当然のことですが、成功のカギはどこにあるのでしょうか。個人M&Aや小規模M&Aを成功させるためには、以下の4点が重要なポイントです。
- リスク回避
- 最適なスキームの選択
- 相手先の決定
- スムーズな交渉
これらの要素の1つでもかけてしまうと、M&Aを成功させるのは難しくなるばかりか、時間や費用も無駄にかかってしまうでしょう。特にリスク回避は、専門知識がなければ十分に洗い出せない要素です。
総合的なリスクに対策を講じるためには、M&A専門家のアドバイスを受けながら行うことをおすすめします。M&Aでは、法律・税務の知識だけでなく業界の動向などの知識も必要です。案件ごとに明確な成功パターンはないので、柔軟な対応をしていく必要もあります。
利害関係者全員が納得する交渉をし、成約後のトラブルを防ぐには、豊富な知識と交渉力も必要です。価格交渉の内容次第ではトラブルが発生したり、破談になったりする可能性も少なくないため、M&Aのプロに依頼するのが成功への近道といえるでしょう。
13. 会社を買いたい人からよくある質問
個人で会社を買うことについて、よく寄せられる質問にお答えします。
Q. サラリーマンでも会社を買えますか?
A. 買えます。近年は副業・独立の手段として、サラリーマンが数百万円規模の小さな会社やネット事業を買うケースが増えています。ただし会社を買った後は経営の責任を負うため、事前の準備と専門家のサポートが重要です。
Q. 会社を買うにはいくら必要ですか?
A. 個人の小規模M&Aでは、相場はおおよそ300万〜500万円程度、ネット上の案件では200万〜1,000万円程度が中心です。100万円以下で買えるWebメディアや小規模店舗の案件もあります。買収価格に加え、仲介手数料や買収後の運転資金も見込んでおく必要があります。
Q. 自己資金が少なくても会社を買えますか?
A. 日本政策金融公庫などの融資やM&Aローンを活用すれば、自己資金が限られていても買収できる場合があります。ただし返済負担が経営を圧迫しないよう、無理のない資金計画を立てることが大切です。
Q. 会社を買う一番のリスクは何ですか?
A. 財務諸表に表れない「簿外債務」や、連帯保証・訴訟などのリスクを引き継いでしまうことです。これらを防ぐには、専門家によるデューデリジェンス(買収監査)を徹底することが欠かせません。
Q. 個人でも仲介会社に相談できますか?
A. できます。ただし仲介会社・FAには大型案件中心のところもあるため、小規模M&A(スモールM&A)に対応している会社かを事前に確認して相談するとよいでしょう。
14. 個人で会社を買う方法まとめ
個人で会社を買い、経営者になろうと考える人は増えています。300万〜500万円程度で会社を買うのが可能だからです。
現在、サラリーマンとして生活していても、優良な会社を見つけてうまく会社を経営すれば、サラリーマンのままでは獲得できないような資産を形成できるかもしれません。
ただし、会社を買うとなれば、失敗は許されません。リスクを減らすためにもM&A仲介会社などの専門家に相談すべきでしょう。
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