2021年02月01日公開
経営資源引継ぎ補助金とは?

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
経営資源引継ぎ補助金とは、経営資源引継ぎの売り手・買い手双方への支援により、中小企業の経営資源の引継ぎを促進させるための取り組みです。当記事では、経営資源引継ぎ補助金の概要、コロナの影響の有無、メリット・デメリット、今後の公募予定、申請方法など解説します。
目次
1. 経営資源引継ぎ補助金とは?
経営者の高齢化や少子化の影響による後継者不足、新型コロナウイルスの感染拡大による経営悪化などにより、中小企業の事業承継を取り巻く環境は決してよいとはいえません。
中小企業の事業承継がスムーズに進まなければ、廃業が増えて雇用が大量に失われるため、国としても大きな損失を被ることになります。
このような中小企業の事業承継の状況を改善するために、中小企業庁を中心としてさまざまな支援が始まっています。
ここでは、経営資源引継ぎ補助金の概要、経営資源引継ぎ補助金の対象者と支給条件、経営資源引継ぎ補助金の最大支給額などについて解説します。
経営資源引継ぎ補助金の特徴とルール
経営資源引継ぎ補助金とは、新型コロナウイルス感染拡大の影響が懸念される中小企業者に対して、事業再編・統合を図る費用の一部を助成して、経営資源引継ぎの促進・実現を支援することを目的としています。
経営資源引継ぎ補助金は、経営資源引継ぎに関する売り手・買い手双方が支援対象となっています。経営資源引継ぎ補助金は、には、売り手支援型と買い手支援型、さらに促進支援と実現支援とがあり、それぞれ事業対象者・支給条件・補助上限額などが異なります。
経営資源引継ぎ補助金の対象者と支給条件
経営資源引継ぎ補助金の対象者は、事業承継をしたい人(売り手)及び事業を引き継ぎたい人(買い手)、対象事業者は、日本国内に拠点・居住地があり日本国内で事業を営む中小企業・青色申告の個人事業主等です。
経営資源引継ぎ補助金における中小企業の定義は、中小企業基本法第2条に基づき、業界分類や資本金額・常勤従業員数によって分類されます。ただし、みなし大企業は対象外となっています。
なお、経営資源引継ぎ補助金の売り手支援型では、株式譲渡の場合の支配株主も対象になります。
【経営資源引継ぎ補助金の支給条件】
対象経費 | 専門家活用費用、旅費、外注費、委託費、システム利用料等、廃業費用 |
補助率 | 2/3 |
補助下限額 | 50万円 |
経営資源引継ぎ補助金の最大支給額
経営資源引継ぎ補助金の最大支給額は、支援形態によって異なります。支援形態には、売り手支援型と買い手支援型があり、それぞれの支援型が支援内容による類型別に分類されています。
「経営資源の引継ぎを促すための支援(促進支援)」と「経営資源の引継ぎを実現させるための支援(実現支援)」の2つの類型があり、経営資源引継ぎ補助金の最大支給額(補助上限)は以下のようになっています。
【経営資源引継ぎ補助金の最大支給額(補助上限)】
支援形態 | 補助上限 | 例外 | |
売り手支援 | 促進支援 | 100万円 | ー |
実現支援 | 650万円 | 廃業費用の上限額:450万円 廃業費用を活用しない場合:200万円 |
|
買い手支援 | 促進支援 | 100万円 | ー |
実現支援 | 200万円 | 期間内に完了しない場合:100万円 |
2. コロナの影響は関係あるか?
経営資源引継ぎ補助金は、新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けているであろう中小企業の事業承継に対して支援するための制度です。したがって、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、補助事業に影響がでることはありません。
中小企業庁は、コロナ禍において中小企業に対する支援をより利用しやすく、より手厚い支援にするために、「プッシュ型」第三者承継支援及び中小企業経営力強化支援ファンドを新たに補助事業を追加しています。
経営資源の引継ぎに関して、新型コロナウイルスの影響を受けている中小企業の後継者不在の経営者に対する中小企業庁による支援事業は下表のとおりです。
【中小企業庁による支援事業】
項目 | 概要 |
「プッシュ型」第三者承継支援 | 事業承継引継ぎ支援センターへ相談の来所が困難な事業者や第三者承継に関心のある事業者に対して、M&A出張相談等の実施(売り手・買い手双方への出張支援・マッチング) |
中小企業経営力強化支援ファンド | 官民連携の新ファンドを立ち上げ、再生・第三者承継の両面から支援し、事業承継引継ぎ支援センターとも連携し経営力強化等の成長サポート |
3. 経営資源引継ぎ補助金のメリット・デメリット
経営資源引継ぎ補助金の活用は多くのメリットがある一方、デメリットもあります。ここでは、経営資源引継ぎ補助金のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
経営資源引継ぎ補助金のメリットとデメリットの両局面を理解したうえで、経営資源引継ぎ補助金の利用を検討することが大切です。
経営資源引継ぎ補助金のメリット
新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営にダメージを受け、事業を譲渡したいと考えている経営者も少なからず存在します。
その際にネックとなっているのが、士業専門家の活用費用など手続きにかかる費用です。事業譲渡にかかる費用の一部を補助してもらえる経営資源引継ぎ補助金の活用は、事業承継を考えている中小企業経営者にとっては大きなメリットです。
M&Aという手法に一歩踏み出せないでいる経営者にとっても、経営資源引継ぎ補助金の活用によって、専門家に相談することができ、M&Aを1つの選択肢に組み込めるという点もメリットの1つといえるでしょう。
経営資源引継ぎ補助金のデメリット
経営資源引継ぎ補助金のデメリットとしては、補助金なので一度申請するとスケジュールに縛られてしまうという点があります。
また、経営資源引継ぎ補助金の申請手続きなどの手間と時間がかかるという点もデメリットの1つといえるでしょう。
経営資源引継ぎ補助金交付手続きは、交付申請後の審査を経て交付決定がなされた後に、補助事業を行うことになります。その後、事業報告を行って確定検査を経た後でなければ経営資源引き継ぎ補助金が支給されません。
経営資源引継ぎ補助金は補助事業後でないと拠出されませんが、経営資源引継ぎ補助金交付決定はなされているので、安心して補助事業に取り組むことができます。
4. 経営資源引継ぎ補助金の次回公募予定は?
2020年12月の閣議決定で、事業承継補助金と経営資源引継ぎ補助金をまとめて「事業承継・引継ぎ補助金」がつくられ、2020年度第3次補正予算案と2021年度当初予算案に盛り込まれました。
しかし、2021年1月現在、経営資源引継ぎ補助金の次回公募予定は決定していません。2020年度第3次補正予算案と2021年度当初予算案が2021年開催予定の国会で承認された後、数ヶ月以内に次回の公募予定が公表される見込みです。
【事業承継・引継ぎ補助金の事業目的及び概要】
- 業態転換や経営多角化など新規取組費用・廃業費用・士業専門家の活用費用の支援
- 後継者教育型の提示を目的とした事業承継トライアル実証事業の実施
【事業承継・引継ぎ補助金の新規取組・廃業費用の補助】
類型 | 補助率 | 補助上限額 | 上乗せ額 |
創業支援型 | 2/3 | 400万円 | 200万円 |
経営者交代型 | |||
M&A型 | 800万円 |
【事業承継・引継ぎ補助金の士業専門家の活用費用の補助】
類型 | 補助率 | 補助上限額 | 上乗せ額 |
専門家活用型 | 2/3 | 400万円 | 売り手のみ200万円 |
5. 経営資源引継ぎ補助金の申請方法
経営資源引継ぎ補助金の申請・交付の流れは、以下の手順で進めます。申請前は全体の流れをしっかり把握しておきましょう。
【経営資源引継ぎ補助金の申請・交付の流れ】
- 事前相談後、申請書に必要書類を添付のうえ郵送またはオンラインで申請する
- 交付決定がだされたら補助対象事業を実施する
- 補助事業完了後、事業実績報告を行う
- 確定検査を経た後、補助金が支給される
経営資源引継ぎ補助金の申請窓口は「経営資源引継ぎ補助金事務局」です。申請様式のダウンロード及び必要書類は、交付申請類型により異なるため注意が必要です。
審査後、交付決定がだされたら補助対象事業を実施し、補助事業完了後に事業実績報告を行います。事業報告後、確定検査を経て補助金が支給されます。
6. 経営資源引継ぎ及びM&Aのご相談はM&A総合研修所へ
経営資源引継ぎ補助金は、経営資源を譲渡する売り手、経営資源を譲り受ける買い手双方が利用できる制度です。
経営資源引継ぎ補助金制度を活用してM&Aによる事業承継を行う際は、経験豊富なM&Aの専門家に相談すると円滑に進めることが可能です。
M&A総合研究所は、中堅・中小企業のM&A・事業承継の仲介実績豊富な仲介会社です。ご相談からM&A成立まで、経験豊富なアドバイザーが親身になってフルサポートいたします。
経営資源引継ぎ補助金制度を活用したM&Aによる事業承継では、申請に必要な書類作成などもしっかりサポートいたします。
完全成功報酬制を採用しており、業界最安値水準の手数料体系となっておりますので、安心してご利用いただけます。
無料相談は24時間受け付けておりますので、経営資源引継ぎ補助金制度を活用してM&Aによる事業承継をご検討の経営者様はお気軽にお問い合わせください。
7. まとめ
経営資源引継ぎ補助金は、中小企業者の事業再編・統合を図る費用の一部を助成して、経営資源引継ぎの促進・実現を支援する制度です。
経営資源引継ぎに関する売り手・買い手双方が支援対象となっているため、上手に活用すればスムーズな事業承継が可能となります。
対象となる事業者や支給条件・補助上限・申請方法などをしっかりと把握したうえで、積極的に活用を検討するとよいでしょう。
【支給条件】
対象経費 | 専門家活用費用、旅費、外注費、委託費、システム利用料等、廃業費用 |
補助率 | 2/3 |
補助下限額 | 50万円 |
【補助上限】
支援形態 | 補助上限 | 例外 | |
売り手支援 | 促進支援 | 100万円 | ー |
実現支援 | 650万円 | 廃業費用の上限額:450万円 廃業費用を活用しない場合:200万円 |
|
買い手支援 | 促進支援 | 100万円 | ー |
実現支援 | 200万円 | 期間内に完了しない場合:100万円 |
【申請交付手続きの流れ】
手順 | 説明 |
相談 | 経営資源引継ぎ補助金認定支援機関にて対応 |
申請様式のダウンロード | 交付申請類型によって申請様式が異なります |
必要書類の準備 | 交付申請類型によって必要書類が異なる |
交付申請 | 郵送またはオンライン |
交付決定 | ー |
事業の実施 | 補助事業期間中に事業統合・事業再編の実施 |
報告 | 事業実績を報告 |
確定検査 | 検査後補助金額を決定 |
補助金交付 | ー |
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