電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の事例11選を紹介!動向や相場も解説!

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継・売却・譲渡の事例や動向から売却相場、メリットを解説します。また、M&A・事業承継のポイントや異業種事例も紹介します。M&Aを検討中の方は必見です。

目次

  1. 電子機器・回路基板・部品製造業界の概要
  2. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の事例11選
  3. 電子部品企業と異業種企業のM&A事例3選
  4. 電子機器・回路基板・部品製造の現状とM&A・事業承継の4つの動向
  5. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継におけるメリット
  6. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の4つのポイント
  7. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継で仲介会社を選ぶ5つの基準
  8. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の売却価格の算出方法
  9. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継・譲渡・売却時におすすめの相談先
  10. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継についてまとめ
  11. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧
  12. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧
  • セミナー情報
  • セミナー情報
  • 業務・産業用機械製造会社のM&A・事業承継

1. 電子機器・回路基板・部品製造業界の概要

電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継を詳しく述べる前に、電子機器製造業・電子回路基板製造業・電子部品製造業とはそれぞれどのような業種なのか解説します。

M&Aや事業承継、事業譲渡・売却に関しても説明します。M&A・事業譲渡などの意味が詳しくわからない方は、まずは概要を把握しましょう。

電子機器・回路基板・部品製造業とは

電子機器に該当する製品は多岐にわたり、日常的に使うものから、企業の根幹ともなる大規模システム・機械、その他科学技術や社会インフラを支えるスーパーコンピューターなどが挙げられます。

電子機器は、すべて電子部品が実装されたプリント回路基板が搭載されているでしょう。これらの電子機器・回路基板・部品製造業とはどのような業界なのでしょうか。それぞれ紹介します。

電子機器製造業とは

電子機器製造業とは、電気製品・デバイスを製造することを主な仕事としている業界のことです。電子機器製造業が取り扱っている電気製品・デバイスには、携帯電話やゲーム機、テレビ、ビデオカメラなどがあります。

電子回路基板製造業とは

電子回路基板製造業は、リジッド基盤やフレキシブル基盤などと呼ばれるプリント基板を製造する業界です。電子回路基板製造業が製造しているプリント基板とは、電子機器・デバイスなどに搭載した機能を実現するための部品を配置する板をさします。

電子回路基板製造を行う企業には、日本ファインセラミックス・テクノアルファ・富士化学産業などがあります。

電子部品製造業とは

電子部品製造業とは、電子回路の部品である電子部品の製造をメイン事業とする業界です。電子部品は、電気製品・デバイスなどの心臓部ともいえるものです。半導体は同様の意味で使われることがありますが、正確には電子部品のカテゴリーのうち「受動部品」と呼ばれる部品が半導体に当たります。

電子部品は一般電子部品と電子デバイスの2種類に分類できます。一般電子部品とは、電子の働きに対して補完的な役割を担う部品のことです。コネクタやスイッチなどの「接続部品」や抵抗器などの「受動部品」などに分けられます。

電子デバイスは、電子の働きを応用して能動的な仕事をするものです。半導体素子や液晶デバイスなどに分けられます。電子デバイスや半導体などを製造する電子部品製造業者には、村田製作所・太陽誘電・パナソニック・京セラ・ロームなどの企業があります。

電子機器・回路基板・部品製造業界の特徴

日本の電子機器・回路基板・部品製造業界は世界でも高い技術を誇っています。近年では世界シェアの3~4割程度を確保しているでしょう。電子機器・回路基板・部品製造業界は、モノ作りの根幹である組立メーカーと密接に関わっているため、新製品や新技術に大きな影響を受ける業界であるのがわかります。

スマートフォンの普及とともに堅調に成長を遂げてはいますが、昨今は海外の格安製品の登場とともに生産量と利益率の下降が目立ちます。しかし、自動車の自動運転技術や、工場の自動化などIoT向けの需要が拡大傾向です。

今後IoTにより、新たな市場が誕生し、新規市場開拓へと進んでいくでしょう。新商品提案営業や、製品設計段階からの組み込み提案など、既存取引になかった業界へのアプローチが必須です。

電子機器・回路基板・部品製造業界にとって、有望とされているのが、次世代の無線移動通信システム「5G」の登場でしょう。今後、通信業界だけでなく、自動車業界でも5G無線通信による自動運転では、車載機器の需要の増加が予想されています。電子機器・回路基板・部品製造業界にとって、需要の拡大が期待できるといえます。

電子機器・回路基板・部品製造業界の市場規模

Informa UK Limited発表の「令和2年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」によると、電子機器・回路基板・部品製造業界の市場規模は、産業、車載エレクトロニクスなどの市場が伸びてきており、IoTの主戦場は産業機器分野で拡大期に入っているものと予想されています。

市場を牽引(けんいん)する企業は、日本電産、村田製作所、TDK、オムロンなどの大手が挙げられるでしょう。2021年度の売上高は、日本電産が1兆9,181億円、村田製作所が1兆6,302億円、TDKが1兆4,790億円、オムロンが6,555億円です。

先ほども述べたとおり、自動運転技術の進化とともに、車載機器の需要の増加が予想されるため、将来的にも業界の回復が見込まれています。

電子機器・回路基板・部品製造業界の課題と展望

電子情報技術産業協会が発表している「電子部品技術ロードマップ」によると、2028年までのSociety 5.0(超スマート社会)の実現を牽引(けんいん)する4大領域は次のようにいわれています。

「ヒューマンライフ」「モビリティ(環境対応車、自動運転技術、システムと電子部品など)」「インダストリー(産業用ロボット、物流小売産業)」「六次産業(農業、漁業、畜産、林業など)」です。

日本ではSociety5.0を実現するために、IoT・AI・ロボット・センサーなどの活用によって社会システム全体の効率化・最適化を推進しようと企業だけではなく政府の取り組みもスタートしています。電子機器・回路基板・部品製造業界の技術進化は、Society5.0を支える礎となるでしょう。

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2. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の事例11選

この章では、電子回路基板製造・電子機器製造・電子部品製造業界のM&A・事業承継事例を11件紹介します。

  1. 岩崎通信機による子会社3社の吸収合併
  2. 大泉製作所とフェローテックHDによる資本業務提携
  3. 日清紡HDによる新日本無線とリコー電子デバイスのM&A
  4. フェローテックHDによるRMT社のM&A
  5. メイコーによる十和田ベトナム社のM&A
  6. アクセルによるモーションポートレートのM&A
  7. テクタイトによる双電産業のM&A
  8. 日本電気によるKMD Holding社のM&A
  9. 日東工業による北川工業のM&A
  10. 佐鳥電機によるイノテックのM&A
  11. DICと太陽HDによる資本業務提携

①岩崎通信機による子会社3社の吸収合併

岩崎通信機を存続会社とする吸収合併方式により、岩通ビジネスサービス、岩通ネットワークソリューション、岩通マニュファクチャリングは解散します。

岩崎通信機は、情報通信、印刷システム、電子計測、不動産の事業を展開しています。岩通ビジネスサービスは、ビルメンテナンス業を担当しています。岩通ネットワークソリューションは、情報通信機器の販売を行っています。岩通マニュファクチャリングは、情報通信機器の製造を担っています。

岩崎通信機は、グループ内の経営資源を統合し、経営の効率化を進めるとともに、機動的な組織体制を構築することで収益性の向上と永続的な利益体質の確立を目指して、今回の合併を決定しました。

当社と連結子会社3社との合併(簡易吸収合併)に関するお知らせ

②大泉製作所とフェローテックHDによる資本業務提携

大泉製作所は、2021年3月、半導体やFPDに使用される真空シール、セラミック製品などに使用されるサーモモジュールなどを開発・製造・販売するフェローテックHDと資本業務提携契約を締結しました。

このM&Aにより、フェローテックHDが持つ自動化や生産管理システム導入のノウハウや、セラミックスなどの材料技術、生産技術などの経営資源の効果的な活用が両社の企業価値向上につながることを期待しています

株式会社大泉製作所との資本業務提携契約の締結に関するお知らせ

③日清紡HDによる新日本無線とリコー電子デバイスのM&A

日清紡HDは、2021年1月、連結子会社である新日本無線とリコー電子デバイスを合併しました。マイクロデバイス事業は、新日本無線とリコー電子デバイスを中核として事業発展を推進しています。

このM&Aにより、会社名は「日清紡マイクロデバイス」です。電子デバイス製品・マイクロ波製品の設計・製造販売を行います。

新日本無線株式会社とリコー電子デバイス株式会社との事業統合の概要について

④フェローテックHDによるRMT社のM&A

フェローテックHDは、2020年10月に、連結子会社であるFerrotec Europe GmbHをとおして、サーモモジュールメーカーであるRMT Ltd.,の出資持分のうち、78.96%を取得し、連結子会社となりました。なお、残りの株主も、株式譲渡契約の段階に入っており、完全子会社化の予定です。

このM&Aにより、電子デバイス事業のさらなる成長、企業価値向上を目指します

超小型サーモモジュールメーカー RMT社の出資持ち分取得(子会社化)に関するお知らせ

⑤メイコーによる十和田ベトナム社のM&A

電子回路基板などの設計や製造販売などの事業を展開するメイコーは、2019年9月に、ベトナムのEMS会社である十和田ベトナム社の出資持分を一部取得することで、子会社化しました。取得価額はおよそ8億円です。

メイコーグループは、電子回路基板の設計から組み立てまでを一貫共有すること、およびベトナムでの量産体制強化などを目的に、当事例のM&Aを実施しました。

ベトナムのEMS会社の出資持分取得(子会社化)に関するお知らせ

⑥アクセルによるモーションポートレートのM&A

半導体集積回路および半導体集積回路を組み込んだプリント基板の設計・製造・販売などを手掛けるアクセルは、2019年8月に、連結子会社をつうじてモーションポートレートを株式取得によって子会社化しました。

アクセルは、AIやブロックチェーンなどの領域における新規事業を推進しています。AI領域におけるサービス拡充を目的に当事例のM&Aを実施しました。

アクセル、連結子会社のax株式会社がモーションポートレート株式会社の全株式を取得

⑦テクタイトによる双電産業のM&A

電子部品事業を行うテクタイトは、2019年7月に、電子機器関連部品の卸売や電子関連機器の製造、受託加工を行っている双電産業の全発行株式総数を取得して、子会社化しました。

テクタイトは、電子部品の販売拡大、製品の組立や検査業務におけるノウハウを活用した電子関連機器の製造や受託加工分野の拡大など、シナジー効果を目的に、当事例のM&Aを実施しました。

双電産業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

⑧日本電気によるKMD Holding社のM&A

日本電気は2018年12月に、デンマークに設立した特別目的会社をつうじて、KMD Holding社の全株式を取得しました。株式取得価額は約1,360億円です。

当事例のM&Aを実施することによって、日本電気は事業のグローバル展開を目指しています。

デンマーク最大手のIT企業を傘下におくKMD Holding社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

⑨日東工業による北川工業のM&A

配電盤関連製造事業などを展開する日東工業は、2018年11月に、エレクトロニクス機器の電磁波環境コンポーネントや各種機器機構部品などの生産・販売を手掛ける北川工業に対して、公開買付けを実施しました。

事業領域の拡大やグローバル展開、シナジー効果の創出などを目的に、当事例のTOBが行われました。

日東工業株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ

⑩佐鳥電機によるイノテックのM&A

電子部品・電子機器の販売などを行う佐鳥電機は、2017年9月、電子部品などの輸入販売や自社製品の開発を行うイノテックとHDD販売事業の譲渡に関する基本合意書を締結しました。

このM&Aにより、佐鳥電機は、ストレージ販売事業を強化し、新たな顧客獲得を目指します

イノテック、佐鳥電機とハードディスクドライブ販売事業に関する譲渡契約を締結

⑪DICと太陽HDによる資本業務提携

化学メーカーであるDIC(旧社名:大日本インキ化学工業)は、2017年1月、電子部品用化学品部材の製造・販売を行う、太陽ホールディングスと資本業務提携契約を締結しました。太陽HDの新株と自己株式を第三者割当により引き受け、持分法適用会社とします。

このM&Aにより、DICは、自社の基板技術と太陽HDの持つプリント配線板関連技術を合わせることにより、新製品開発や海外における事業強化、収益拡大につなげます

太陽ホールディングス株式会社との資本業務提携(持分法適用会社化)に関するお知らせ

3. 電子部品企業と異業種企業のM&A事例3選

続いて、電子部品企業と異業種企業のM&A事例を3つご紹介します。

①デクセリアルズが日本政策投資銀行と共同で京都セミコンダクターを子会社化

電子部品・接合材料・光学材料などの製造・販売事業を展開しているデクセリアルズは日本政策投資銀行と共同で、化合物を用いた光半導体デバイスとモジュールの開発・製造・販売事業を展開している京都セミコンダクターを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年3月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:デクセリアルズが京都セミコンダクター全株式を取得し、そのうち18.9%を日本政策投資銀行に譲渡
  • 譲渡金額:約88億円(京都セミコンダクター株式81.1%の取得金額+アドバイザリー費用など)

デクセリアルズ(株)と共同での(株)京都セミコンダクターの株式取得について -「特定投資業務」を活用したイノベーション推進支援-

②巴川製紙所が昌栄印刷を子会社化

紙・不織布・パルプ・プラスチックなどを用いた電気・電子・光機器用素材・部品の製造事業を展開している巴川製紙所は、特殊印刷技術・情報加工技術をベースに有価証券・ICカードなどの製造・加工・販売事業を展開している昌栄印刷を子会社化しました。

  • 実行時期:2020年3月30日
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:巴川製紙所が持分法適用関連会社であった昌栄印刷の株式を追加取得して保有比率を40.01%に高め、同社の意思決定機関を実質的に支配する状態となった
  • 譲渡金額:1億5,700万円

持分法適用関連会社の異動(連結子会社化)に関するお知らせ

③ダイセルがグンゼの電子部品用フィルム事業を譲受

自動車・エレクトロニクス・医療・コスメ・日用品・エネルギーなどの各種産業向け化学品の製造販売事業を展開しているダイセルは、インナーウェアを中心とするアパレルの製造販売事業のほか、複合商業施設やスポーツクラブの運営事業、繊維資材・プラスティック材・電子機能材(電子部品用フィルムとタッチパネル)・メカトロ機器・医療機器の製造販売事業などを展開しているグンゼの電子部品用フィルム事業を譲受しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • 手法:事業譲渡
  • 結果:ダイセルがグンゼの亀岡工場を主体とした電子部品用フィルム開発・製造・販売事業を譲受
  • 譲渡金額:不明

電子部品事業部フィルム部門の株式会社ダイセルへの譲渡に関するお知らせ
  • 業務・産業用機械製造会社のM&A・事業承継

4. 電子機器・回路基板・部品製造の現状とM&A・事業承継の4つの動向

電子機器・回路基板・部品製造の現状とM&A・事業承継動向は次に挙げるように推移しています。

  1. 生産拠点を海外に移す会社の増加
  2. 最新機器の受注を取れるかが会社存続のカギ
  3. 事業所数は減少傾向にある
  4. 特定の技術を有する企業をM&Aする事例の増加

①生産拠点を海外に移す会社の増加

従来、日本の電子機器・回路基板・部品製造業界は、高い性能で他国と差別化を図ってきました。しかし、近年、これまで安価な製品を製造してきた他国の品質が向上しています。

日本も高性能な製品を安く製造するため、海外に生産拠点を移す企業が増加しています。

②最新機器の受注を取れるかが会社存続のカギ

自動車業界やスマートフォンにおける5G無線通信サービス技術の性能向上や、IoTの普及などに伴い、電子機器・回路基板・部品製造業界に対する需要も大きく変化しています。

トレンドの変化に即時に対応し、製品開発をするだけでなく、最新機器の受注を取れるかが会社存続のカギといえるでしょう。

③事業所数は減少傾向にある

電子機器・回路基板・部品製造業界の市場規模は堅調に成長を遂げています。しかし、事業所数は減少傾向です。

大手・中堅企業が自社グループ内でサプライチェーンの構築を図り、M&Aによる統合や経営者の高齢化、後継者不在による廃業などがその理由です。

④特定の技術を有する企業をM&Aする事例の増加

電子機器・回路基板・部品製造業界では、規模は小さくとも、自社にはない特定の技術を有する企業のM&Aが増加しています。規模の拡大を目的としたM&Aはほとんど見られません。必要な技術を自社に取り入れるM&Aが今後も主流となるでしょう。

5. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継におけるメリット

電子機器・回路基板・部品製造業界でM&A・事業承継を行う際に、次のようなメリットが得られます。

【売却側のメリット】

  • 事業承継の実現
  • 社員の雇用維持
  • 取引先や顧客との関係維持

【買収側のメリット】
  • 装置稼働率の向上
  • 販路の獲得
  • 設計力・提案力の強化

売却側のメリット

売却側・買収側のメリットを順に見ていきましょう。まずは買収側のメリットをご説明します。

事業承継の実現

電子機器・回路基板・部品製造業界では、独自の技術を持つ企業が多くあるのが特徴です。M&A・事業承継によってこの技術を承継できます

社員の雇用維持

従業員の雇用を守ることは、経営者にとって重要な課題です。後継者不在や収益悪化による廃業になれば、これまで会社を支えてくれた社員が職を失うことになります。

M&A・事業承継を行うことにより、電子機器・回路基板・部品製造業界にとって貴重な技術者の雇用維持が実現できます

取引先や顧客との関係維持

廃業に追い込まれれば、当然、取引先にも迷惑が掛かります。M&A・事業承継によって事業の存続ができれば、これまでどおり取引先との関係が維持できます。製品の供給を継続することも可能です。

買収側のメリット

買収側のメリットには次のようなものがあります。

装置稼働率の向上

M&A・事業承継を行うことで、売り手側の既存受注をそのまま引き継ぐことが可能です。自社装置の稼働率を上げることは大きなメリットです。特に、基板製造など初期投資がかかる業界にとっては、稼働率の向上は重要なテーマといえるでしょう。

販路の獲得

電子機器・回路基板・部品製造業界において、大手メーカーとの関係性を築くことは非常に重要です。M&A・事業承継することは、大手取引先との販路獲得につながります。その結果、収益拡大も見込めるでしょう。

設計力・提案力の強化

電子機器・回路基板・部品製造業界にとって、設計力や提案力は企業の売上を左右するほど重要なものといっても過言ではありません。相手企業の持つこのノウハウを自社に取り込めれば、大きなメリットになります。自社と売り手企業の技術を組み合わせることが売上の拡大につながります。

6. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の4つのポイント

電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継を成功させるためのポイントを解説します。M&Aを行う際は、以下のポイントを意識して進めていくことが成功のカギといえるでしょう。
 

  1. 元請けに提出する帳簿がある
  2. 溶剤に代表される化学薬品の使用実績
  3. 元請け先・下請け先の数
  4. 製造している製品の需要

①元請けに提出する帳簿がある

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを成功させるためには、元請けに提出する帳簿の有無を確認しましょう。帳簿管理がしっかりされていない場合、M&A・事業承継を実施した後にトラブルに発展する可能性があります。

②溶剤に代表される化学薬品の使用実績

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを進める際には、溶剤に代表される化学薬品の使用実績が豊富にある会社かどうかを調べておきましょう。化学薬品の使用実績が豊富にある企業であれば、信頼度が高く、M&A実施後も安心して業務を継続できます。

③元請け先・下請け先の数

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを実施する際には、対象会社の元請け先・下請先の数を確認しましょう。電子デバイス事業や半導体事業の取引相手が一社だけに偏っている場合などは、突然仕事がなくなる可能性も考えられます。

④製造している製品の需要

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを成功させるには、対象会社が製造している電子デバイスや半導体などの製品の需要を細かく確認しておくことが重要です。

市場全体の需要がそこまで多くないにもかかわらず、事業運営に多額のコストをかけるのは危険なことです。電子デバイスや半導体などの製品の市場成熟度を考慮しましょう。M&Aを実施するに値するかどうかを考えることが大切です。

M&Aによる投資方法と成功ポイントについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aによる投資方法と成功ポイントとは?投資ファンドによるM&Aも解説

7. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継で仲介会社を選ぶ5つの基準

電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継を成功させるためには、M&A仲介会社などの専門家のサポートが不可欠です。M&A仲介会社が数多く存在しているため、どこを選べば良いのかわからないと感じている方も多いでしょう。

この章では、電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の際に利用する仲介会社を選ぶ基準について解説します。

【仲介会社を選ぶポイント】

  1. 過去に同規模の案件を経験した実績がある
  2. その分野の専門的知識・M&A実績を持っている
  3. M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
  4. 手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
  5. 担当スタッフの対応・相性

①過去に同規模の案件を経験した実績がある

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aの際に利用する仲介会社が、過去に同規模の案件を経験したことがあるか確かめることが大切です。

自社と同規模の案件を仲介した実績があり、かつ電子機器・回路基板・部品製造のM&Aの経験がある仲介会社であれば、スムーズなサポートを受けられるでしょう。成功する確率も高くなるといえます。

②その分野の専門的知識・M&A実績を持っている

電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継仲介を安心して任せるには、この分野の専門的知識や、同分野でのM&A実績を持っている仲介会社を選ぶようにしましょう。

この分野に精通している仲介会社や、過去に電気製品・デバイス・半導体メーカーなどのM&A仲介を行った経験があるスタッフがいる仲介会社なら、ノウハウ・経験を生かしたサポートの提供に期待できます。

③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている

電子デバイス事業や半導体事業などの知識に加えて、M&Aに関する幅広い知識・経験を持っていることも重要なポイントです。

M&A手続きを進める際には、会計や税務などの専門的知識も必要です。M&Aに関する知識だけでなく、そのような専門的知識や仕業資格を持つスタッフが在籍している仲介会社であれば、より安心して仲介業務を任せられるでしょう。

④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい

電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の際には、手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい仲介会社を選びましょう。報酬体系がわかりやすく、手数料設定が低い仲介会社を利用すれば、想定外の費用がかかる心配もありません。安心してM&A・売却・譲渡手続きを進められます。

⑤担当スタッフの対応・相性

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを任せる仲介会社を選ぶ際には、担当スタッフの対応・相性も重要なチェックポイントです。M&A・事業承継の手続きは平均して半年ほどかかります。しっかりとした対応をしているか、信頼できるスタッフが在籍しているかどうかも確認しましょう

M&A仲介会社については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&A仲介会社12社を徹底比較!7つの比較ポイントを確認しよう

8. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の売却価格の算出方法

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを検討している場合は、自社を売却・譲渡した際の価格が気になるものです。この業界に限らず、M&A・事業承継時にかかる取引金額の相場は断言できません。

M&Aにおける売却・譲渡価格は、対象会社の保有資産・企業価値・業界動向などによって変化するからです。電子機器・回路基板・部品製造会社を売却・譲渡した際に、どの程度の金額になるのか判断することは非常に困難になるわけです。

自社の売却・譲渡時の概算を知りたい場合は、電子機器・回路基板・部品製造のM&A事例から、自社と同規模の事例を探し、そのときの取引価格を目安にするとよいでしょう

ここからは、電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継の売却価格の算出方法を解説します。

企業価値評価の方法

企業価値評価には、主に以下の3つのアプローチがあります。

  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ
  • コストアプローチ

インカムアプローチでは、企業の将来的な収益力に焦点を当て、事業計画や収益予測に基づいてその価値を評価します。

マーケットアプローチは、市場による評価を基準にする方法です。上場企業の場合、株式の時価総額を企業価値と見なします。非上場企業の場合は、類似する上場企業と比較することで企業価値を算出する「類似会社比較法」などがあります。中小企業のM&A仲介会社では、過去の取引データベースを活用して、同規模・同業種の取引価格を基に企業価値を評価することもあります。

コストアプローチは、貸借対照表の純資産(資産から負債を引いた額)を基に企業価値を評価します。時価純資産法では、資産と負債を時価に換算してその差額を企業価値とします。これは主に清算を前提とした企業評価に使われます。

M&Aにおいては、事業を継続する企業の評価が中心となり、将来の収益力が重視されます。そのため、時価純資産法だけでは不十分です。年倍法は、現在の利益を基に簡便に収益性を見積もる方法で、企業価値を「時価純資産+直近年度の営業利益の数年分」として評価します。この方法は非上場中小企業の売却時や、M&A検討段階での簡易評価としてよく用いられます。

最終的な売却価格の決め方

企業価値評価は、企業の理論的な価値を示すものであり、それがそのまま売却価格になるわけではありません。最終的な売却価格は交渉によって決まりますが、企業価値評価を基に売却価格の上限と下限を見定めることが可能です。

売り手企業が単独で存続する場合と、M&Aによって買い手企業と統合する場合では、収益性が異なるため、企業価値評価も異なります。一般的に「単独存続の場合の企業価値(A)<M&A実施後の企業価値(B)」となり、この差額「B-A」がM&Aによるシナジー効果の大きさを表します。

売り手企業としては、企業価値Aを超える金額でなければM&Aの意味がなく、A以下の金額では納得できません。交渉では、Aを超え、買い手が受け入れ可能な範囲内で最大限の価格を目指します。

一方、買い手企業としては、M&A後の企業価値Bを下回る価格でなければなりません。シナジー効果の全額を支払うのは不合理なため、買い手はAに対して最低限のプレミアム(上乗せ額)を模索しつつ、売り手が納得する価格を目指します。

9. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継・譲渡・売却時におすすめの相談先

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを成功させるためには、M&Aに関する知識・実績を有する専門家のサポートがおすすめです。M&A総合研究所では、電子機器・回路基板・部品製造のM&Aに精通したアドバイザーが専任に就きます。相談からクロージングまで一貫したサポートをします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を随時受け付けますので、電子機器・回路基板・部品製造のM&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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10. 電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継についてまとめ

今回は、電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継を詳しく解説しました。

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを成功させるためには、ポイントを押さえて行うことが必要です。専門家のサポートもおすすめといえるでしょう。

11. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧

12. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧

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