M&Aのメリット・デメリットを買い手・売り手にわけて徹底解説!【大企業/中小企業事例あり】

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

M&Aでは買い手・売り手で立場が違うため、それぞれのメリット・デメリットも異なります。交渉を円滑に進めるためには相手のメリット・デメリットを知ることも必要です。本記事ではM&Aに関するさまざまメリット・デメリットを網羅して解説します。

目次

  1. M&Aの買い手のメリット
  2. M&Aの買い手のデメリット
  3. M&Aの売り手のメリット
  4. M&Aの売り手のデメリット
  5. M&Aのスキーム別メリット・デメリット
  6. M&Aで基本合意を締結するメリット
  7. M&Aによる従業員のメリット・デメリット
  8. M&Aによる顧客のメリット・デメリット
  9. M&Aによる地域社会メリット・デメリット
  10. M&Aによる行政機関のメリット・デメリット
  11. M&Aの成功・失敗事例
  12. M&Aのメリット・デメリットまとめ
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1. M&Aの買い手のメリット

M&Aは、一般的に買い手側の会社を成長させる有力な手段として、会社規模の大小にかかわらず、さまざまな業種・業界で行われるようになりました。

買い手にとってM&Aの最大のメリットは、時間をお金で買うことであるとよくいわれますが、具体的にどのような利点があるのか、以下のメリットについて1つずつ掘り下げて見ていきます。

  1. ローリスクで事業拡大
  2. 事業成長のための時間短縮
  3. 節税対策
  4. 弱点強化
  5. 技術向上
  6. ライバルを取り込める

①ローリスクで事業拡大

新しい事業を一から始めるには、多くの時間とお金がかかります。加えて、さまざまな内的・外的要因により失敗してしまうことも多く、新規事業の成功確率は5%という説もあるほどです。

実際に、今や誰もが知っているカジュアルウェアのトップ企業であるユニクロの柳井氏も、「一勝九敗」という著書の中で新規事業の厳しさを述べています。ECモール大手の楽天グループは、M&Aの利点をうまく活用し事業の拡大に結び付けている会社の1つです。

新規参入のハードルが特に高いといわれている銀行、生命保険、クレジットカードなどの金融サービス事業にM&Aを通じて参入し、その後、国内屈指へのサービスへと成長させてきました。

M&Aを選択することで、買い手は、すでに事業として成り立っているものを自社に取り込めるメリットがあります。何もないところから新しい事業を立ち上げるよりも、はるかに低いリスクで事業を拡大していけるのです。

②事業成長のための時間短縮

新しい事業に限らず、既存の事業を成長させる際にもM&Aは活用されます。それは、成長にかかる時間が短縮されるメリットがあるからです。

たとえば、コンビニエンスストアは立地が業績を左右する重要な要素ですが、国内で条件のそろった場所は他社との競争も激しく、矢継ぎ早に新規出店を行っていくのは容易ではありません。

その中で、業界トップのセブン-イレブンに対して、ローソンはショップ99や成城石井などをM&Aにより取得しました。ファミリーマートはサークルKサンクスを傘下に持つユニーと統合し、ファミリーマートとしての店舗を増やしています。

統合前のファミリーマートはもともと11,000店舗程度でしたが、ユニーとの統合により一気に約6,000店舗増加し、王者セブン-イレブンの20,000店舗まであと一歩の17,000店舗に到達したのです。M&Aによって、出店の時間を飛躍的に短縮した事例といえるでしょう。

③節税対策

あまり知られていないメリットとして、M&Aによって買い手が節税できるものあります。これは売り手が繰越欠損金を抱えていた場合、買い手がそれを引き継げるからです。

欠損金とは、簡単に言うと赤字のことです。欠損金は次年度以降7年間でゼロになるまで黒字額と相殺できる制度があり、その欠損金残高を繰越欠損金といいます。

買い手が黒字の場合には、繰越欠損金のある売り手をM&Aで買収することにより節税できるため、有効なメリットなのです。

④弱点強化

自社の弱い部分をM&Aの利点を生かして強化できます。自社のバリューチェーンの中で弱い部分を補完できる企業を買収することで、競争力が上がり、収益力が強化されるのがよくあるメリットです。

メーカーのバリューチェーンは、一般的に商品企画、材料調達、加工製造、配送、販売活動で構成されます。たとえば、あるメーカーの製品の品質が他社と比較して非常に高く利用者の評判も良いが、営業力が弱いために売上が伸びていないケースを考えてみましょう。

このメーカーが営業力のある販売会社をM&Aにより獲得できたとすると、飛躍的に売上を伸ばせるはずです。弱みを自社で強化するのは、新規事業を行うのと同様に時間もお金もかかるため、M&Aの実施は効果絶大となります。

⑤技術向上

M&Aは、人材や特許、ノウハウなど技術力の源泉を取り込めるため、買い手の技術力、研究開発力が向上する点もメリットです。

先進国における消費者ニーズの多様化を背景として、近年では特に一般消費者向けの市場で製品のライフサイクル(寿命)が短くなっているといいます。一方で、企業側の研究開発には通常、多くの年数がかかり、さらに開発に成功するかどうかも不確定です。

研究開発へ多額の投資を続けるよりも、すでに一定の技術やノウハウを持つ企業をM&Aにより取り込んだ方が、早く確実に新製品を生み出せるため、技術力を目的としたM&Aが増えています。

⑥ライバルを取り込める

需要がピークに達していて、市場としてこれ以上の成長が見込めないような段階を、マーケティング用語で「成熟期」と呼びますが、この段階に入るとライバル同士でシェアの獲得競争が盛んになります。

ここで値下げ合戦による顧客の奪い合いに発展してしまうとプレイヤー全体が消耗してしまうため、M&Aによるライバル同士の統合や買収といった形で業界再編が起きるのも成熟期の特徴の1つです。

M&Aによりライバルを取り込めれば、値下げ合戦から抜け出せて持続性を保てる点でメリットのある選択となります。

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2. M&Aの買い手のデメリット

M&Aの買い手にはさまざまなメリットがある反面、デメリットも存在します。M&Aを検討する際には、メリットだけでなくデメリットも慎重に検討することが必要です。以下に、M&Aにおける買い手の主なデメリットを紹介します。

  1. シナジー効果が生まれない可能性
  2. 買収された企業の従業員の不満
  3. 買収された企業の従業員の離職
  4. 偶発債務・簿外債務などの粉飾が発覚するリスク
  5. 許認可を承継できず事業を継続できないおそれ
  6. 投資以上の利益が得られないリスク

①シナジー効果が生まれない可能性

M&Aの取引では、多くの場合、買い手は1+1が3にも4にもなるようなシナジー効果を見込んで価値を算出し、その価値に基づいて買収金額を決定します。

シナジー効果の例を挙げると、M&Aにより製品のラインアップが拡大して未開拓の顧客を獲得し売上が増加するケース、原材料の一括大量調達や大量生産が可能になり製造コストが低減できるケースなどです。

しかし、いざM&Aを行ってみるとお互い未開拓だった顧客に対してうまく売り込めず売上が伸びない、一括で大量発注ができるような類似品が思ったより少ない、生産効率が思ったほど上がらずコストが下がらないことがよくあります。

それどころか、規模が拡大してしまったことにより間接部門の管理コストが増加してしまうなど、マイナスの影響の方が大きくなってしまうことさえあるようです。

シナジー効果が生まれない可能性があることもあらかじめ念頭に置き、決して過大評価しないことが、シナジー効果の見誤りによるデメリットを防ぐためには必要といえます。

②買収された企業の従業員の不満

M&Aで買収された企業に従業員は、買い手企業の一員になるのが通常です。そのとき、両社間の待遇差があったり、買収先企業の従業員の仕事内容や労働環境が変わったりなどすると、買収先従業員の不満がたまっていきます。

企業の成長の源泉は従業員であると考えると、買収先企業の従業員に不満がたまることによるデメリットは大きなものです。最悪の場合には、従業員が大量に退職してしまい、シナジー効果どころか業務が回らなくなる事態に陥ってしまうでしょう。

したがって買い手は、買収先従業員が不満を抱くことにならないかどうか、不満を抱くような体制があれば改善の方法を慎重に検討し、デメリットを検証しながら必要に応じてそれを解消していく取り組みが求められます。

③買収された企業の従業員の離職

異なる歴史を歩んで来た企業がM&Aによって1つになる際、ITシステムや社内ルールと呼ばれるものの多くは買収された企業が買い手に合わせることになります。そして、その移行過程で必ずと言っていいほどあつれきが生じるものです。

そうした大小さまざまなあつれきを乗り越えていく際に重要なのが、売り手側でキーとなる人材の存在になります。ほかの従業員から信頼を得ているキーとなる人材が、M&A後の統合でリーダーシップを発揮できるかどうかが重要です。

したがって、そのような人材が買収のタイミングで離職してしまうことを回避する必要があります。万が一、彼らが離職してしまった場合に、どのようにカバーするかも決めておくとよいでしょう。

④偶発債務・簿外債務などの粉飾が発覚するリスク

偶発債務とは、債務保証、デリバティブ(先物取引などの金融派生商品取引)、手形割引・裏書譲渡、係争中裁判で敗訴した場合の損害賠償債務などが具体例です。将来、発生することが特定できない債務をさします。

簿外債務とは、帳簿(貸借対照表)に計上されていない債務のことです。未払い残業代、賞与・退職給付引当金、買掛金、リース債務、未払いの社会保険料などがあり、偶発債務も簿外債務に含まれます。

これらは売り手が粉飾しているケースもありますが、売り手自身も気付いていないケースも多いため、M&A実施後に発覚する可能性があり、その場合、内容によっては買い手が受ける経営的ダメージは甚大です。

⑤許認可を承継できず事業を継続できないおそれ

株式譲渡などで買収先企業を子会社にする場合は、買収先企業は株主が代わっただけなので、許認可に何も影響を受けません。しかし、それ以外のM&Aスキーム(手法)では許認可が引き継げないことが多く、買収側が新たに許認可を取得しない限り事業を継続できないのです。

M&A後、許認可の扱いがどうなるか事前に確認し必要な手配を行っておかないと、事業が一時停止してしまうおそれがあります。

⑥投資以上の利益が得られないリスク

買収価額を決める際に、売却側企業を必要以上に高く評価したのれんを加味した場合、M&A実施後、その金額に見合う利益が上げられないなどは起こり得ることです。最悪の場合には、投資金額の回収すら及ばず、のれんの減損損失措置を行っている事例もあります。

どんなに理想の売り手であったとしても、厳密なデューデリジェンス(売却企業の精密監査)と慎重な買収価額の検討は怠らないようにしましょう。

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3. M&Aの売り手のメリット

M&Aは企業同士の結婚と例えられるように、買い手と売り手が相思相愛であることが成立の大事な要素です。ここまでM&Aによるメリット・デメリットを買い手の視点から見てきましたが、ここからは売り手に視点を移します。まずは、M&Aにおける売り手のメリットです。

  1. 事業をつぶさずに済む
  2. 後継者問題の解決
  3. 売却益がある
  4. 従業員を守れる
  5. 経営者が自由になる

①事業をつぶさずに済む

M&Aが実施できれば、直近の業績が悪く債務超過の状態である売り手でも、事業をつぶさずに済むメリットがあります。これは、M&Aの価値評価法として最もよく使われるDCF法が、売り手の事業が将来にわたって生み出すキャッシュフローを元に算定するためです。

つまり、直近の財務状態が多少悪くても、M&A後に事業が安定的な利益を生み出せると予想される場合、買い手にとっては買収する価値があると判断されます。特に買い手と売り手の事業にシナジーがあると、場合によっては高額で取引されるかもしれません。

事業が継続できなくなってしまうことは、取引先、従業員、株主などさまざまなステイクホルダーにとって不幸な結果となってしまいます。そうした事態に備えて、早い段階でM&Aによる売却を選択肢の1つとして検討することも、事業継続のためには重要といえるでしょう。

②後継者問題の解決

2019(令和元)年に行われた中小企業の調査によると、中小企業の経営者のうち、5割超が廃業を予定しており、後継者がいない理由はそのうちの3割弱を占めています。
(出典:日本政策金融公庫総合研究所 中小企業の事業承継に関するインターネット調査

廃業予定企業のうち、3割の経営者が同業他社よりも良い業績を上げている、今後10年間の将来性も、4割の経営者が少なくとも現状維持は可能と回答しているようです。

経営者の高齢化が進んでいる日本において、その解決策としてのM&Aによる売却はメリットが大きく、市場としてのポテンシャルも大きいことがいえるでしょう。

国としても事業承継を目的としたM&Aが中々進んでいない現状を改善するため、「中⼩企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」のもと、「事業承継税制」という特例制度を設けています。

これは一定の要件のもと、非上場株式の承継に係る贈与税・相続税が猶予されるものです。適用されるためにはいくつか要件がありますので、もし検討する場合には税理士や各都道府県の「事業引き継ぎ相談窓口」へ相談するのがよいでしょう。

なお、経営承継円滑化法では税制優遇メリットのほかに、民法の特例や日本政策金融公庫などによる金融支援を受けられるメリットもあります。こうした事業承継全般に関して相談したい場合には、「中小企業基盤整備機構」の各地域窓口へ問い合わせるのがよいでしょう。

M&Aによる事業の円滑な引継ぎには、ノウハウの承継など後継者人材の育成も必要となることから、余裕を持った取り組みが必要です。さまざまな利点を生かすために、早期の準備が望まれます。

③売却益がある

M&Aによる売却を行うと、多くの場合、現金で売却益を受け取れるメリットがあります。その際、買い手が売り手企業の価値を高く評価するほど、多くの売却益を得られる公算です。株式には上場株式と非上場株式の2種類があります。

非上場の株式は、中小企業の場合、売り手の経営者が実質オーナーであることがほとんどのため、買い手と売り手の経営者の話し合いで金額が決まるのが常です。一方で上場株式の場合、売り手の株主は不特定多数になります。

この場合、売り手の経営者の希望金額と買い手の希望金額が一致していたとしても、不特定多数の株主が賛同しない限り、買い手は希望どおり買収できません。買い手はアドバイザリーと相談しながら、多数株主が納得するような金額に設定する必要があります。

④従業員を守れる

事業の存続が危ぶまれている状況でM&Aによる売却を行った場合、基本的には従業員は売り手の一員となりますので、雇用が継続される利点があります。

継続的な事業運営、シナジーの創出といった利点を最大限得るためには従業員の働きによるところが大きく、M&Aの場も従業員をステイクホルダーの一員と捉えて、保護していくことが必要です。

⑤経営者が自由になる

中小企業の場合、経営者と株主であるオーナーが同一であることがほとんどで、実質1人で経営責任を負っているのが実情です。

金融機関からの借入の際に経営者が個人保証を負っていることも多く、株式会社でありながら経営と所有の分離ができていない現実があります。経営者の親や配偶者といった家族が連帯保証を負っているケースもよくあることです。

経営餌がまだまだ現役世代で熱意にあふれた状態であればよいのですが、高齢になってくると相続や自分が病気になってしまったときのことを考え、それがよりプレッシャーとなってきます。

結果的に、精神状態が不安定になってしまうこともあるでしょう。そうしたときに、M&Aによって会社を売却できれば、金銭的な不安や経営に対するプレッシャーから解放されることになり、大きなメリットを得られるのです。

若い経営者であっても、そこまで自社の所有にこだわりがない場合には、M&Aによる売却を行ってアーリーリタイヤし、多くの自由を得るメリットもあります。

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4. M&Aの売り手のデメリット

ここまでM&Aの売り手のメリットを挙げてきましたが、買い手同様に売り手側にもデメリットがあるので注意が必要です。

売り手側は主に経営者にメリットがある場合が多く、一方でデメリットは残された従業員や株主以外のステイクホルダーが受ける場合が多いため、さまざまなステイクホルダーのメリット・デメリットを考慮してM&Aを決めることが重要になります。

  1. 希望どおりの相手先企業が見つかるとは限らない
  2. 自社従業員の不満
  3. 売却後に従業員の待遇が悪くなる可能性
  4. 融合がうまくいかない
  5. 肩書がなくなる

①希望どおりの相手先企業が見つかるとは限らない

M&Aはタイミングの取引ともいわれます。つまり、自社が売却したいタイミングで理想的な買い手が現れるかどうかはわかりません。売却希望企業の多い業種や、現在あまり業績がよくない場合は、売り手からのニーズが低くなります。

ほかの企業が売り手に選らばれてしまい、なかなか交渉のテーブルに着けないこともあるのです。したがって、ある程度の長期戦を覚悟してM&Aに臨む方がよいかもしれません。

②自社従業員の不満

最もデメリットを受ける可能性があるのは従業員です。待遇、勤務地、仕事内容変更、仕事量増加やリストラのリスクなど、従業員は数多くのリスクにさらされることになります。

売り手企業に長く務め経営者や企業に愛着を持っていた従業員は、会社が売却されることでほかの条件が変わらなくても、モチベーションが低下するかもしれません。

そうした不満を持ったまま売却され経営統合が進むと、従業員側の不満が両社のあつれきとなり、業務・管理・人事システムやルールの統合、シナジー効果創出の障害です。

売却後の経営統合を円滑にし、取引が成功だったとステイクホルダー全員が実感するためにも、売り手側従業員のケアは重要となります。

③売却後に従業員の待遇が悪くなる可能性

M&Aでは、売り手がよほど専門性を持った特殊な企業でない限り、売却後に従業員の待遇が上がるケースは少ないでしょう。売り手企業の待遇が買い手企業の待遇よりよかった場合や、売り手の業績が著しく悪かった場合には、売却後に従業員の待遇が悪化する可能性があります。

こうした待遇面のデメリットは、M&Aを実施する前に従業員へ説明しておくことで、売却後の不満も多少やわらぐかもしません。どうしても譲れないポイントがあれば、従業員の待遇維持などを売却の条件とすることも検討しておくのがよいでしょう。

④融合がうまくいかない

多くの場合、融合といっても売り手企業が買い手企業の社風やシステムに合わせることになります。

これまで慣れ親しんだシステムやルールを半ば強制的に変更するのを強いられる融合のプロセスは、従業員にとって大きな不満となり、結果として生産性が落ちるなどのデメリットを生じるかもしれません。

特に、長年、働いて社内ルールや自社システムに熟知して業務をこなしてきたような貴重な人材は、M&Aの際に強いストレスを感じるでしょう。彼らの感情面をフォローするためにも、売却・融合の意義をあらかじめ説明し、納得させておくことが必要となります。

実務的には統合前から双方のキー人材を巻き込み、100日プランというM&A後にやるべきことを具体的なアクションに落とし込んだ計画を策定し、関係者全員が同じ意識のもと、統合初日からアクションを1つずつクリアしていくプロセスが重要です。

100日プランの出来と統合後の着実な遂行が円滑な融合の成否を分けるため、統合前からしっかりと準備しておくことで融合失敗となるデメリットを防げます。

⑤肩書がなくなる

M&Aにより会社を売却する場合、売り手の経営者は経営から退くケースがあり、その場合には肩書がなくなってしまうデメリットがあります。

安定的な事業の継続のため、売却後1〜2年は社長を継続し、その後、交代するケースもありますが、売却後の組織再編により会社自体がなくなってしまう場合には、そもそもポストがないため、社長として居続けられなくなるでしょう。

これまで周囲からは社長の肩書で呼ばれることが多かったはずですので、その肩書がなくなってしまうことを寂しく感じるかもしれません。

メリットの多いM&Aを行うためには仲介会社にご相談ください。

M&Aには売り手・買い手双方にメリット・デメリット、どちらも存在します。メリットをより多く受けとるためには、専門家への相談が得策といえるでしょう。

M&A総合研究所は経営者様の要望に応える形で、豊富な知識と経験を持つアドバイザーが会社売却・事業譲渡を成功させるためフルサポートいたします。

また、M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。メリットの多いM&Aをご希望される際は、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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5. M&Aのスキーム別メリット・デメリット

ここでは、M&Aの各スキーム別に存在するメリット・デメリットを掲示します。

  1. 株式譲渡を選ぶメリット・デメリット
  2. 事業譲渡を選ぶメリット・デメリット
  3. 会社分割を選ぶメリット・デメリット
  4. 株式交換・株式移転を選ぶメリット・デメリット
  5. 新株引受けを選ぶメリット・デメリット
  6. 合併を選ぶメリット・デメリット

①株式譲渡を選ぶメリット・デメリット

買い手が売り手企業の株式を買収することで、その経営権を取得するM&Aスキームが株式譲渡です。株式譲渡の一般的なメリットには以下のようなものがあります。

  • 非上場企業の場合、基本的に株式譲渡契約書で手続きが完結するためM&Aスキームの中で最も手続きが簡便である。
  • ほかの多くのM&Aスキームで必要となる株主総会の開催による特別決議や債権者保護手続きなどを行う必要がない。
  • 外部から見れば株主が代わるだけなので、M&Aを実施しても従前どおりに事業を継続できる。
  • M&Aを実施しても会社組織は以前のままなので独立性が保たれる。
  • 仮に全株式を取得できなくても過半数を得ていれば経営権を握れる。

一方、株式譲渡には以下のようなデメリットがあります。
  • 包括承継取引となるため、簿外債務などの経営リスクを引き取る可能性がある。
  • 売り手側の組織の独立性が保たれるため経営統合が進みにくく、早期にシナジー効果が得られない可能性がある。
  • 完全子会社化が狙いの場合に株主が複数いて株式が分散していると全株式を取得できない場合がある。

②事業譲渡を選ぶメリット・デメリット

事業譲渡とは、売り手側企業の事業やそれに関連する資産などを選別して売買するM&Aスキームです。事業譲渡のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 売り手としては残したい事業・資産は残せること、買い手としては買いたい事業・資産だけを選べること。
  • 買い手としては包括承継ではなく選別できるので、経営的リスクのある簿外債務などを引き取る可能性はほぼない。

続いて、事業譲渡のデメリットです。
  • 譲渡内容の選別は、売り手・買い手の合意がなければ成立しない。
  • 許認可は売買できない(引き継げない)ため、必要な場合は買い手が新たに取得する必要がある。
  • 対外的な取引契約や従業員との労働契約も引き継げないので、それぞれ個別に締結し直す手続きが必要。
  • 譲渡資産の中に消費税の課税対象資産がある場合、買い手は消費税の負担も発生する(買収費用以外に納税費用の準備が必要)。
  • 会社分割や合併のような税制適格組織再編制度(課税優遇措置)の対象外であるため、不動産取得税や登録免許税が発生する。

③会社分割を選ぶメリット・デメリット

会社の事業部門を丸ごと切り出して、買い手側に承継させるM&Aスキームが会社分割です。一見すると、事業譲渡に似て見えます。会社分割のメリットは以下のようなものです。

  • 買い手は対価に株式を用いられるので現金を用意する必要がない。
  • 事業に関わる従業員もセットで承継されるため労働契約を締結し直さなくて済む(同意を得る必要がない)。
  • 買い手企業の中に丸ごと吸収されるので、経営統合が進めやすい。
  • 事業譲渡と比べると、包括承継である分、手続きが簡便である。
  • 税制適格組織再編制度の対象であり、要件を満たせば課税優遇措置を得られる。

そして、会社分割のデメリットは以下のとおりです。
  • 事業部単位ではあるが包括承継のため、簿外債務などを引き継ぐリスクは否定できない。
  • 対価である株式交付によって株主構成が変動し、既存株主の持株比率も変わってしまう。
  • 組織を丸ごと統合することは、混乱が発生する危険性もある。
  • 上場企業が買い手の場合、対価である株式の新発行により株価が下落するリスクがある。

④株式交換・株式移転を選ぶメリット・デメリット

株式交換とは、完全親子会社関係を構築する際に、親会社側が対価として株式を交付するM&Aスキームです。このとき、親会社が新設会社である場合は、株式移転といいます。株式交換・株式移転のメリットは以下のとおりです。

  • 対価は株式であるため現金を用意する必要がない。
  • 完全親子関係でも、子会社側は別組織なので独立した運営は保たれる。
  • 売り手企業の株主総会特別決議(3分の2以上の賛成)があれば、少数株主を排除した全株式取得が可能。

こちらは、株式交換・株式移転のデメリットです。
  • 対価である株式交付によって株主構成が変動し、既存株主の持株比率も変わってしまう。
  • 上場企業が買い手の場合、対価である株式の新発行により株価が下落するリスクがある。

⑤新株引受けを選ぶメリット・デメリット

新株引受けには、第三者割当増資と新株予約権発行の2種類があります。第三者割当増資は、特定の第三者に対して新株を発行・交付することです。新株予約権とは、発行時点に定めた価格で後日、新株を取得できる権利を意味します。新株引受けのメリットは以下のとおりです。

  • 売り手が会社法上の公開会社(新株引受けのための株式発行について株主総会の承認の必要を定款に定めていない会社)であれば、取締役会決議のみで第三者割当増資・新株予約権発行が可能。
  • TOB(Take Over Bid=株式公開買い付け)規制の対象外である。
  • 買い手側にとって、新株予約権であれば即座に資金を用意する必要がない。
  • 新株予約権に履行は義務付けられていないので、将来、新株引受けをやめる選択もできる。

一方、新株引受けのデメリットは以下のとおりです。
  • 既存株主の存在はそのままなので、全株式取得はできない。
  • 経営に影響を与える程度の株式数を得るには、株式譲渡よりも費用が割高。
  • 新株発行価格が適正であるかどうか既存株主から問題視される可能性がある。

⑥合併を選ぶメリット・デメリット

合併とは、複数の会社が1つに統合されるM&Aスキームです。存続する会社以外は、解散し消滅します。合併のメリットは以下のとおりです。

  • 対価に株式を用いることが可能であり、現金を用意せずに実施できる。
  • 存続会社に丸ごと吸収されるので、経営統合が進めやすい。
  • 税制適格組織再編制度の対象であり、要件を満たせば課税優遇措置を得られる。
  • 子会社化と比較して、対等な立場でのM&Aに見える。

以下が、合併のデメリットになります。
  • 包括承継となるため、簿外債務などを引き継ぐリスクがある。
  • 対価である株式交付によって株主構成が変動し、既存株主の持株比率も変わってしまう。
  • 会社を丸ごと吸収するため、PMI(Post Merger lntegration=M&A後の経営統合プロセス)で現場の負担が大きく業務に支障が出る可能性もある。
  • 上場企業の場合、対価である株式の新発行により株価が下落するリスクがある。

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6. M&Aで基本合意を締結するメリット

M&Aの交渉が順調に進み、大筋で条件合意が形成されれば基本合意書(MOU=Memorandum Of Understanding)を締結します。基本合意書は、その時点での合意内容の確認書という位置付けで、基本的に本契約に向けた法的拘束力はありません。

したがって、基本合意書締結後にM&Aが破談となることもあり得るのです。ただし、基本合意書の締結とその内容によって、売り手・買い手双方が得られるメリットは存在します。以下に挙げた基本合意締結メリットの内容を確認しておきましょう。

  1. 重要な論点を合意形成できる
  2. 買収価額の上限を設定できる
  3. スケジュールをはっきりさせられる
  4. 排他的交渉権を獲得できる
  5. 買い手は交渉力を強化できる

①重要な論点を合意形成できる

基本合意書は法的に定められた書面ではありませんから、定型的な書式はありません。ただし、ほとんどのケースにおいて盛り込まれる項目として、以下のようなものがあります。

  • 現時点での取引合意価額
  • 取引の対象
  • 用いるM&Aスキーム
  • 今後のスケジュール
  • 独占交渉権
  • デューデリジェンスについて

いずれも本契約に向けて重要な論点となることであり、各項目ごとに現時点で合意した条件を掲示することから、法的拘束力はなくとも一定の心理的拘束効果は期待できます。

②買収価額の上限を設定できる

M&Aの最終契約では、デューデリジェンスの内容を踏まえて取引価額を最終判断します。したがって、基本合意書に記した取引価額が変更となるのはあり得ることです。そこで基本合意書に、合意した取引価額に加えて、最終契約締結時の取引上限価額を記す場合もあります。

こうすることによって買い手は、基本合意の段階で買収予算の上限を決められるため、資金準備がスムーズに行えるのです。

③スケジュールをはっきりさせられる

基本合意後のスケジュールには、以下のものが考えられます。

  • デューデリジェンス
  • 最終条件交渉
  • 最終契約締結
  • クロージング(契約内容の遂行)
  • PMI(経営統合プロセス:買い手のみ)

これらのスケジュールを明確化させることで、各種の諸準備を進め円滑な手続き実施が可能になります。

④排他的交渉権を獲得できる

基本合意では、買い手に対して独占交渉権を付与する条件を盛り込むのが常です。これには期限が設けられますが、その間、売り手は第三者とのM&A交渉は行えなくなります。この点においては法的拘束力が発現するため、買い手には非常にメリットがある項目です。

⑤買い手は交渉力を強化できる

上場企業間のM&A交渉の場合、基本合意締結段階で情報開示する場合もあります。仮に基本合意締結公表後、M&Aが破談になった場合、デューデリジェンスで売り手側に問題が発生した疑いを持たれるのが一般的です。

売り手としては、そのような風評は経営に悪影響を及ぼすため、M&A成立に向けて動かざるを得なくなります。その結果、買い手側有利に交渉が進められる可能性が高くなるのです。

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7. M&Aによる従業員のメリット・デメリット

M&Aの結果、最も多くの影響を受けるのは実際に働く従業員です。メリットが大きければモチベーションが向上し、よりシナジーが生まれやすくなる一方で、デメリットが大きい場合には、M&Aの失敗という結果に終わってしまいます。

従業員にとってのM&Aのメリット・デメリットを考えてみましょう。

従業員のメリット

M&Aによって外部から新しい文化が入ってくることになるため、相性の良い企業同士であれば社内が活性化され、働きやすくなるメリットがあります。

福利厚生などの待遇面も、業績に問題がなければよい方の制度を積極的に両社へ展開し、結果として待遇が改善するメリットもあるでしょう。もともとの会社で実力を発揮しきれていなかった社員が、統合によりキャリアが広がり、自分の実力を生かせるポジションへ異動できるかもしれません。

従業員のデメリット

両社で異なる給与水準や福利厚生の制度があり、それが統合後も継続した場合、水準の劣る企業の社員は従来、気にならなかったことが気になるようになり、結果として不満を抱くデメリットがあります。

売り手企業は通常、買い手に社内のルールやシステムなどを合わせる必要があるため、M&A後の統合の過程では相当なストレスを抱えることになる点もデメリットです。

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8. M&Aによる顧客のメリット・デメリット

M&Aの実施により、買い手と売り手の顧客にもメリット・デメリットの双方が生じる可能性があります。デメリットの結果、顧客が離れるのは売上に影響しますので、注意が必要です。

顧客のメリット

買い手側の顧客は、買い手の事業基盤が強化されることで顧客にとって一層、安定した取引先になるメリットがあります。買い手企業の扱う商品のラインアップ増加や、スケールメリットによるコスト削減の恩恵を受けられるかもしれません。
 
売り手側の顧客も買い手側の顧客同様に、事業基盤の強化やラインアップの増加、コスト削減の恩恵などのメリットを享受できます。

顧客のデメリット

買い手の顧客と売り手企業が競合だった場合、取引を継続できなくなってしまう可能性があります。買収後の事業再編の一環として、売り手の取扱製品を減らしたり、いくつかの事業を廃止したりすると、従来から付き合いのある売り手の顧客は、製品を買えなくなってしまう点もデメリットです。

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9. M&Aによる地域社会メリット・デメリット

スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど、地域社会に根付いている業種でM&Aが起きた場合、その地域に住む人々にはさまざまな影響が生じます。

地域社会のメリット

スーパーやコンビニのM&Aにより、これまで品ぞろえのよくなかった店舗が、よい方の店舗と同等の品ぞろえになり、その地域に住む顧客の利便性が向上するメリットがあります。

地域社会のデメリット

スーパーやコンビニ店舗がM&A後、事業効率化のために、店舗数の削減などが起きた場合、これまで日常的にその店舗を使用していた顧客の利便性を損なうデメリットがあります。

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10. M&Aによる行政機関のメリット・デメリット

ここでは、M&Aが実施された場合の行政機関に与える影響を考えてみましょう。

行政機関のメリット

中小企業の事業承継を目的としたM&Aが実現すれば、廃業で地域経済の損失が生じるのを防ぐことになり、地域の経済基盤が維持できるため、行政機関としてもメリットがあります。

行政機関のデメリット

過去に問題を起こしていたり、社会的にあまり信用できないような企業がM&Aの買い手となった場合、健全な地域社会の維持に影響を与える可能性があり、行政機関としてもデメリットとなります。

メリットが多く失敗しないM&Aの秘訣

メリットが多く失敗しないM&Aの秘訣は、M&Aの専門家に相談することです。専門知識を持ったプロのサポートを受けるだけで、結果は全く違うものとなるでしょう。M&A総合研究所は、豊富な知識と経験を持ったプロが、フルサポートでM&Aをお手伝いします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。相談も無料となっておりますので、まずは、お気軽にお問い合わせください。

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11. M&Aの成功・失敗事例

M&Aは上場企業、中小企業、個人事業主など、さまざまな規模の企業で行われています。ここでは、実際にどのようなM&Aが行われているか、過去の事例を見てみましょう。

大手企業のM&A成功事例

誰もが知っているような大企業は、さらなる成長のために多くのM&Aを行っています。

楽天グループ

楽天グループはECモールの最大手ですが、ECだけでなくさまざまな事業領域をM&Aによって拡充させてきました。KCカードを運営する国内信販会社を買収し楽天カードへ、イーバンクを子会社化して楽天銀行へ、そして楽天生命も既存の保険会社を買収することで成長しています。

ソフトバンクグループ

ソフトバンクグループは通信会社として大きな成長を遂げていますが、その過程では日本テレコム、ボーダフォン、イー・アクセスなどをM&Aで取得し大きくなった背景があります。最近では売上高3兆円の半導体企業ARMを3.3兆円の巨額で買収した話は有名です。

日本たばこ産業(JT)

JTは本業のたばこ事業を成長させるため、グローバルで同業のM&A(クロスボーダーM&A)を行っています。RJRナビスコの米国たばこ事業の買収により売上が10倍に増加、また英国ギャラハーの買収によりさらに売上が倍に成長しました。

日本電産

日本電産は、1984(昭和59)年から2018(平成30)年までの34年間で60社に対してM&Aを実施しています。年間1〜2社のM&Aを実施しており、驚くべき数値です。日本電産はM&Aを重要な成長戦略として明確に位置付けているのが特徴になります。

武田薬品工業

2018年、武田薬品工業は、アイルランドの製薬大手シャイアーとのM&Aで6.2兆円の巨額買収したことが大きなニュースになりました。シャイアーの買収により海外での存在感が向上し、売上高が世界でも上位に入る製薬企業となったのです。

三井住友海上

三井住友海上は経済成長の著しいASEAN(東南アジア諸国連合)を中心としたアジア市場に狙いを定めて、数千億規模のM&Aを行い、成長中です。現在は、ASEAN10カ国で元受事業を行っている唯一の損害保険グループになるなど、保険事業を通じて中長期的な実績を上げています。

クラレ

総資産7,000億円のクラレが米炭素材料事業大手のカルゴンカーボンを約1,200億円で買収するとの報道がされました。クラレにとって過去最大規模の買収とのことで、社運を賭けたM&Aということがわかります。

日本郵政

日本郵政は2018年に発表した新中期計画において、以後3年間で数千億円を資本提携やM&A、ベンチャー投資に投じると発表しました。そして12月、日本郵政はアフラック・インコーポレーテッドおよびアフラック生命保険との資本業務提携に合意しています。

強い信頼関係を確立してきた日本郵政とアフラック生命は、今回の資本業務提携により、がん保険に関する取り組みの見直しと成長サイクルの実現を目指す目論見です。日本郵政は今後、不動産M&Aも前向きに検討していることを発表しています。

サントリーホールディングス

サントリーホールディングスは、2014(平成26)年にジムビームを保有する米蒸留酒最大手ビーム社を1.6兆円で買収しました。当時、大型買収として話題になりましたが、海外企業とのM&Aでも特に成功した事例といわれています。

当初、サントリーは、創業200年の老舗メーカーで、伝統やこだわりが強いビームと統合がうまくいきませんでした。しかし、ローソン会長だった新浪剛史氏を社長に招き、両社が歩み寄ったことにより世界的なメーカーへと成り上がったのです。

東芝

経営再建中の東芝ですが、2018年に半導体メモリ子会社の東芝メモリを1.4兆円という巨額で売却したとの報道がありました。売却資金をどう使うのか、今後に期待です。

大手企業のM&A失敗事例

成功があれば失敗もあります。大企業の場合にはM&Aに費やす額が大きいため、失敗したときの損失額も数百億から数千億と桁違いです。

パナソニック

パナソニックでは、2009(平成21)年に三洋電機をM&Aにより約4,000億円で取得した後に、のれん代の2,500億円を減損処理したことがありました。

富士通

富士通は、英ICL社をM&Aにより1,800億円で巨額買収した後に、多額の評価損を計上しています。

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスは、そごう・西武の株式を累計2,000億円超をかけて取得したものの、その後約600億円の評価損を計上しています。

丸紅

丸紅は、2012(平成24)年に同社過去最高額となる約2,800億円をかけて買収した米穀物メジャーのガビロンについて、2015(平成27)年には、のれん代500億円の減損処理を行っています。

中小企業のM&A成功事例

中小企業でもM&Aは盛んに行われています。ここからは中小企業のM&Aの実情を見てみましょう。

ソフトウエア受託開発事業

ソフトウエア業界はM&Aの活発な業界の1つです。固定資産が少ないこともあり、技術や人材の取り込みがM&Aの主目的となっているケースもあります。

ネイルサロン

ネイルサロンは参入障壁が低く、競争が激しい業界のため、今後、M&Aによる業界の再編が進むと考えられています。

英会話教室

イーオンの株式をKDDIがM&Aにより取得するとのニュースがありました。英会話や教育業界全般にM&Aの波が押し寄せてきています。

中小企業のM&A失敗事例

中小企業のM&A失敗は、M&Aに関するノウハウの不足、マクロ環境の影響などによるものがあります。

出版会社

出版業界はデジタル化の波が直撃している影響もあり、M&Aによる再編が進行中です。しかしながら、市場自体が縮小傾向にあるため、再編によるスケールメリットが享受できず、失敗しているケースが多くなっています。

温泉旅館

温泉旅館は設備の老朽化、訪問客の減少を背景として売却ニーズが高まっていますが、エリア自体の訪問者が減少していることもあり、成功するケースは少ないです。

デイサービス

デイサービスといった中小規模の介護・医療施設のM&Aでは、取引に精通した専門家が少なく、リスクの洗い出しが不十分なことによる失敗が多くなっています。

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12. M&Aのメリット・デメリットまとめ

M&Aのメリットは、買い手にとって自社の強みの強化や弱みの補完、新規事業への参入を迅速に行える点です。楽天グループやソフトバンクグループが圧倒的なスピードでさまざまな事業を行いながら急激に成長したのも、メリットを最大限に活用したといえるでしょう。

売り手としても、そのような買い手に価値を認めてもらうことで、大きな売却益を得られ、また従業員も成長の機会が広がることでM&Aによるメリットを享受しています。

M&Aには多くのメリット・デメリットがありますので、それらを慎重に検討したうえで、最終的に売り手と買い手の双方がWin-Winとなるよう取引を目指すことが重要です。

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