M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?算定方法を解説【事例あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
荻野光

M&Aには、企業価値評価(バリュエーション)が大事な売買価格の指標になりますが、その算出方法はさまざまあります。また、上場企業では時価総額がありますが、それとは別のものです。企業価値評価(バリュエーション)とは何か?その算出方法はどのようなものか?について解説します。

目次

  1. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)簡単まとめ
  2. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?
  3. 企業価値を評価する算定方法
  4. 企業価値の影響力
  5. 上場企業の企業価値算定方法
  6. 未上場企業の企業価値算定方法
  7. 企業価値評価を向上させるには?
  8. 企業価値評価を向上させている会社の事例
  9. 企業価値評価に関するおすすめの本
  10. まとめ
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1. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)簡単まとめ

M&Aの企業価値評価(バリュエーション)簡単まとめ

企業価値評価とは、会社の価格のことです。「エンタープライズ・バリュー(Enterprise Value : EV)」と呼ばれることもあります。

M&Aにおいて売り手企業の譲渡価格のベースとなるため、企業価値評価は大変重要です。M&Aにおいては、インカムアプローチのDCF法がよく用いられます。インカムアプローチを含め、企業価値評価の方法は以下の3つです。

  1. コストアプローチ
  2. インカムアプローチ
  3. マーケットアプローチ

この記事では、M&Aにおける企業価値評価の方法や企業価値評価向上のポイントを解説していきます。

企業価値評価は、相応の知識があれば計算することが可能です。しかし、M&Aではとても重要な数字ですから、専門家に相談することをおすすめします。

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2. M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?

M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?

企業価値評価を簡単に説明すると「会社の値段」のことです。「エンタープライズ・バリュー(Enterprise Value : EV)」と呼ばれることもあります。

M&Aにおいて、売り手側と買い手側の価格交渉における、判断基準の土台として用いられるものです。

企業価値と時価総額の違い

企業価値は「企業が現在保有している資産」と「将来に稼ぐ利益」を元に算出します。

一方で時価総額とは、ある意味では企業価値と同じとも考えられるのですが、時価総額は主として上場企業を対象とするもので、発行済み株式数と株価を掛け合わせて算出される金額です。そして株価とは、市場の期待と予想によって数字が出され、大きく変動します。

企業価値と株価は全く無関係ではないものの、株価は市場の期待と予想を反映した結果論と言うことができますので、株価を元に算出される時価総額と、企業価値が乖離してしまうことがあり得るのです。

企業価値が問われる場面

では、企業価値はいつ使われるものなのかについてもお話するので確認しておきましょう。

企業価値の評価は、基本的にM&Aで価格交渉するときの目安として使われています。

例えば、以下のようなときにはとても便利な指針となるのです。

  • オファーする価格の検討(売り手側)
  • 投資するべきか否かの検討(買い手側)
  • 投資判断(ベンチャーキャピタルや金融機関)
  • 相続税の評価(株式を譲渡する事業承継の場面)
  • 経営戦略の策定

こうした基準を持っていることで、今後の経営にも活かすことができます。常に企業価値を磨き上げて、より評価が高い会社に育て上げていきましょう。

【関連】M&Aの企業価値評価とは?算出方法を詳しく解説!

3. 企業価値を評価する算定方法

企業価値を評価する算定方法

企業価値を高めていくにあたって、企業価値をどのように評価するのかを知っておかなければなりません。そこで、企業価値評価を算出する方法で、代表的なものを紹介します。

M&Aの現場でよく使われるのは、インカムアプローチの中のDCF法です。

まずは3つのアプローチ方法を確認しましょう。

  1. コストアプローチ
  2. インカムアプローチ
  3. マーケットアプローチ

それでは、順番に確認していきましょう。

ちなみに、もし、企業価値の算出方法を学びたいということであれば、日本公認会計士協会出版局から出版されている『企業価値評価ガイドライン』という本がおすすめです。以下で紹介していること全般に触れているので参考にしてみてください。

企業価値評価方法①:コストアプローチ

コストアプローチとは、企業の純資産を基準に企業価値評価をする方法のことです。

とても簡単に計算することができるため、今すぐに価値を知りたいという人に最適な方法といえるでしょう。また、客観性に優れている点にも着目しておくと活用しやすいです。

コストアプローチには、以下2種類の算定方法があります。

  • 時価純資産価額法
  • 修正簿価純資産法

それぞれの概要説明後、事例も見ていくのでぜひチェックしてみてください。

時価純資産価額法

時価純資産価額法とは、帳簿上のすべての資産と負債を時価で再評価し、純資産の金額を計算して企業価値評価をする方法です。

この方法では、無形資産も一緒に計算に入れ込むことができます。無形資産とは、従業員や特許技術などのことです。

実は、無形資産は意外にも企業価値を大きく左右する部分となります。企業ごとに従業員の技術や特許に違いがあるので、計算に入れ込むことができれば、低いと感じている企業価値も実は高かったということもあり得るでしょう。

修正簿価純資産法

修正簿価純資産法とは、時価純資産価額法と似ていますが、すべての資産と負債を再評価はしません。有価証券や土地・建物などで含み損益が大きく、かつ、時価を算出しやすい項目のみ時価修正して企業価値評価をする方法です。

時価純資産価額法による算定事例

以下の簡易な貸借対照表の内容で例示します。
 

資産 負債
売掛債権 100 買掛債権 50
有形固定資産 400 固定負債 300
無形固定資産 200 純資産 350
合計 700 合計 700

【資産の時価算定要素】

  • 売掛債権の回収不能分:10
  • 有形固定資産(土地)の評価含み益:50

【負債の時価算定要素】

  • 他社の債務保証(オフバランス):200×リスク50%

  • 資産の時価評価=売掛債権100-10+有形固定資産400+50+無形固定資産200=740
  • 負債の時価評価=買掛債権50+固定負債300+債務保証(オフバランス)200×リスク50%=450
  • 資産740-負債450=純資産(企業価値評価)340

貸借対照表上の純資産は350でしたが、時価評価した結果の企業価値評価は340となりました。

企業価値評価方法②:インカムアプローチ

インカムアプローチとは、将来性のある収益やキャッシュフローをベースに、リスクなどを加味して算出する企業価値方法のことです。

リスクは割引率として算出されるため、多くのリスクを抱えている場合にはやや低めに計算されます。したがって、安定した経営でリスクが少ないという場合には高く算出されることもあるでしょう。

このインカムアプローチには、以下2つの種類があります。

  • DCF法
  • 収益還元法

こちらも事例を含めて話を進めていきますので、順を追ってご覧ください。

DCF法

DCF法は、将来性の期待できるキャッシュフローを現在価値に割り引くことで算出していくものです。

例えば、事業計画書などをベースとして将来性のある収益はどのくらいあるでしょうか。できるだけ正確に算出したいなら、起こり得るリスクについても加味して収益を出しておかなくてはなりません。

面倒かもしれませんが、リスクについても含めて計算することで将来性を価値に反映できるのは、DCF法の大きな利点です。なぜなら、無形資産やのれんなども含めることができるからに他なりません。

他の方法では含むことのできない部分まで幅広く計算に入れ込むことで、一定の尺度による正確な数字まで導き出せます。したがって、多くの場合、DCF法が好んで使われるわけです。

収益還元法

収益還元法とは、分子に平均収益、分母に資本還元率を用いて企業価値評価をする方法です。

こちらは、市場金利や長期国債利回りなどのリスクも含めて計算していきます。そのため、総合的にリスクを判断することにも役立つでしょう。

ただし、平均収益を使ったものですから、収益が拡大するベンチャー企業などでは正確な数字を導き出すことができません。もし、ベンチャー企業で企業価値を知りたいのであれば、専門家に依頼して細かくみてもらう必要があるでしょう。

DCF法による算定事例

DCF法による企業価値評価は、以下のステップで行われます。順番に見ていきましょう。
 

  • 将来のフリーキャッシュフロー予測
  • 割引率の算出
  • 企業価値評価

【将来のフリーキャッシュフロー予測
フリーキャッシュフローは、以下の計算式です。

  • フリーキャッシュフロー=税引後営業利益+減価償却費-設備投資等±運転資本などの増減

少なくとも5期分は必要なので、5期分を以下の事例とします。
 
1 2 3 4 5
税引後営業利益 20 30 50 50 50
減価償却費 5 5 10 10 10
設備投資 0 10 30 10 10
運転資本等の増減 0 -5 -10 0 0
フリーキャッシュフロー 25 20 20 50 50

【割引率の算出】
割引率は、企業の自己資本コストと負債コストを加重平均して計算したものであるWACC(加重平均資本コスト)を使用することが一般的です。

WACCの算出は複雑なので本欄では詳細は省略しますが、ここでは5%とします。つまり、割引率は5%です。

【DCF法による企業価値評価】
DCF法による企業価値の算出方法は、以下の計算式です。
 

  • 1期目のフリーキャッシュフロー/(1+割引率)
  • +2期目のフリーキャッシュフロー/(1+割引率)²
  • +3期目のフリーキャッシュフロー/(1+割引率)³
  • +4期目…

これを1から2までを元に当てはめると
 
  • 1期:25/(1+0.05)≒24
  • 2期:20/(1+0.05)²≒18
  • 3期:20/(1+0.05)³≒17
  • 4期:50/(1+0.05)⁴≒41
  • 5期:50/(1+0.05)⁵≒39
  • 合計(DCF法による企業価値評価)=139

このDCF法のケースでは、5年後までのキャッシュフローをもとに事業価値を算定していますが、5年後のキャッシュフローが6年以降も永続的に続くものとして算出する方法として、ターミナル・バリューというものがあります。

企業価値評価方法③:マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、株式市場において成立する価格をもとに、企業価値評価をする方法です。

マーケットアプローチには、以下の2種類があります。

  • 類似業種比準方式
  • 類似会社比準方式

こちらも事例を含めて確認してみましょう。

類似業種比準方式

類似業種比準方式とは、企業価値を知りたい業種の標準的な企業をベースに算出する方法です。

この方法では、国税庁が提示している『類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等』を目安として計算されます。主な要素となるのは、標準的な企業における株価、配当金の額、利益の額、純資産の帳簿上の額です。

とても簡単に企業価値を知ることができますが、基本的には使用することがありません。ただし、純資産を基準にした場合に、税負担が大きくなりすぎるというケースでは重宝するでしょう。

類似会社比準方式

類似会社比準方式とは、同じような事業をしている上場企業の株価をベースとして調べる方法です。

上場企業をベースとして計算することから、やや企業価値にバラつきが出てしまう特徴を持っています。これは、上場企業がどれほどの価値を持っているかによって大きく影響を受けるからです。

ただし、ベンチャー企業などの成長が早い業種や、特殊な業種である場合などには上場企業が存在しない場合があります。そうすると、目安となる企業がないことから算出方法として使えないので注意しておきましょう。

類似業種比準方式による算定事例

類似業種比準方式の計算式は以下の通りです。類似業種のデータは、国税庁のWebサイトにありますので、自社に該当する数字を当てはめます
 

  • 類似業種の株価
  • ×(自社の配当/類似業種の配当+自社の利益/類似業種の利益+自社の簿価純資産/類似業種の簿価純資産)/3
  • ×0.7(大会社)or 0.6(中会社)or 0.5(小会社)

なお、株価、配当、利益、純資産は、いずれも1株当たりの数字です。

また、大会社か中会社、もしくは小会社に該当するかは、細かい規定があるのですが本欄では省きます。そしてここでは、従業員100人、純資産5億円、売上高100億円の総合スーパー(小売業)が該当する大会社としましょう。

【類似業種の株価】
「各種商品小売業」の2年間平均を採用するとして、今回は392です。
※課税時期の属する月、その前月および前々月と、過去2年間の平均から選ぶことができます。

【自社の1株当たりの数字】
  • 自社の配当金額:1
  • 自社の利益:5
  • 自社の簿価純資産:200(つまり、発行済み株式数は250万)

【類似業種の1株当たりの数字】
  • 類似業種の配当金額:2.6
  • 類似業種の利益:21
  • 類似業種の簿価純資産:180

これを計算式に当てはめます。
 
  • 392
  • ×(1/2.6+5/21+200/180)/3
  • ×0.7
  • ≒155(1株当たりの株価)

1株当たりの株価155×発行済み株式数250万=3億8,750万円が算定結果です。

各企業価値評価算定方法のメリットとデメリット

上述した企業価値評価算定のための3つのアプローチには、それぞれメリットとデメリットがあります。その概要を掲示しておきますので、ひととおり確認しておいてください。

コストアプローチのメリットとデメリット

コストアプローチ最大のメリットは、算出方法がとても簡易であり、それこそ誰にでもわかりやすい点です。したがって、その企業の現時点での純資産を評価するという意味合いには、とても適します。

その反面、企業の将来性が全く加味されていない点が表裏一体のデメリットです。M&Aでは該当企業の将来性にも着目して実施されるものですから、その点、コストアプローチでは不十分といわざるを得ないでしょう。

インカムアプローチのメリットとデメリット

インカムアプローチの特徴ともいえるメリットは、コストアプローチでは欠落してしまっていた企業の将来の収益性が勘案されている点です。算出の基とする中期計画書のテーマの持たせ方によって、複数の「if」シナリオごとの企業価値評価ができます。

そのことにより、資金の調達方法や買収の形式の差による節税効果の違いまでをも反映可能です。

ただし、それら事業計画のシミュレーションには時間を要してしまいますから、まずこの点もデメリットでしょう。そして、最も懸念すべきデメリットは、事業計画策定者の恣意性が入り込む余地がある点です。したがって、その点についていかに客観性を確立するかがポイントとなるでしょう。

マーケットアプローチのメリットとデメリット

マーケットアプローチのメリットは、コストアプローチ同様に算出にあまり手間がかからないことです。特に、該当企業が現在赤字であったとしても、他社の企業価値評価を連用するマーケットアプローチであれば、プラスの企業価値評価を出せる可能性がある点もメリットでしょう。

マーケットアプローチ最大のデメリットは、条件に合う既存の企業が見つからなければ、この方法が使えないことです。企業を探した手間も無駄になります。また、参照できるのは既存企業の現在の価値であって、将来の価値までは参照できない点もデメリットです。

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また、守秘義務契約のもとで作業させていただきますので、企業価値算定で知り得た情報について外部に漏れるようなことは決してございません。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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4. 企業価値の影響力

企業価値の影響力

企業価値がどのような場面につながり、影響力を発揮するのかを紹介します。

影響を及ぼすとされる事柄は、以下の通りです。

  1. M&AやTOBに影響
  2. 金融機関の融資に影響
  3. 中小企業は倒産対策に影響
  4. 株価への影響

順番に確認していきましょう。

事柄①:M&AやTOBに影響

企業価値評価は、M&Aで売るか買うかの意志決定における大きな指標となります。

売る側にとっては、企業価値評価をして会社がどのくらいで売れそうかわからないと、誰に売ればよいかわかりません。また買いたい相手が現れたとしても、その相手が提案した買収価格が適切であるか理解できないでしょう。

これらは、買う側から逆に考えても同様です。

また、上場企業に対してTOB(株式公開買付。一定数以上の上場株券などを買付ける目的で行う)を実施する場合においても、その買付価格とは通常、DCF法などにより算定された株式価値を参考にして決定されます。ここでも、企業価値評価が大きな役割を果たすのです。

事柄②:金融機関の融資に影響

金融機関の融資に影響を与える可能性も考えられます。

なぜなら、金融機関で行われる融資の判断の中には、企業価値を算定するのと似たような工程があるからです。当然のことながら、返済できるだけのキャッシュフローが見込めないときには融資してもらえせん。

つまり、インカムアプローチなどで企業価値評価が高い場合はキャッシュフローが見込めるため、銀行からの融資を受けやすいと考えられます。

必ずしも100%当てはまるわけではありませんが、企業価値を磨き上げることにより、融資を受けやすくなる可能性についても知っておくと便利です。

事柄③:中小企業は倒産対策に影響

中小企業は倒産対策にも影響してくると考えられます。

なぜなら、企業価値によって先ほどお話した融資の金額が変わってくるからです。つまり、企業価値が低い状態であれば満足できるほどの融資を受けられず、資金ショートして倒産に向かってしまう可能性があるということになります。

倒産対策として、十分に融資を受けられるようになるためにも、企業価値を正しく知って磨き上げをすることが必要です。

こうした影響を与えることから、中小企業で融資を満足に受けられなくて悩んでいる人は、企業価値を正しく算定してもらい磨き上げるという手段も検討してみると良いでしょう。

事柄④:株価への影響

最後に、株価への影響についても知っておきましょう。

企業価値は株価にも少なからず関連するものだからです。例えば、株価に反映されている市場の期待値や予想などは企業価値に影響されます。当然、企業価値が高ければ株価も上がるはずです。

そして、株価が上がると企業価値が上がることにもなります。これは、高い株価を維持している企業は市場でもしっかりとした基盤を得ているからです。

このことは絶対とはいいきれませんが、こうした影響が少なからずあるということは知っておいて損はないでしょう。

以上の4つの事柄に、企業価値評価は大きく影響を及ぼします。どれを見ても、経営をしていくうえで大切なことばかりです。つまり、常に企業価値評価を高めておくことが経営者に求められています。

どのように企業価値評価を高くしていくべきか、考える必要があるといえるでしょう。

【関連】黒字倒産とは?なぜ起こるのか、回避方法をわかりやすく解説【事例あり】

5. 上場企業の企業価値算定方法

上場企業の企業価値算定方法

上場企業の企業価値は、株式をベースとして計算できます。

具体的には、1株あたりの株価×株式数で、株式の時価総額で計算するのです。実際に取引されている純資産をベースに算出することになります。

しかしながら、「M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?」などでも述べた通り、時価総額は市場の期待と予想、つまり市場に参入している多くの人のバイアスがかかって算出されたもので、企業価値評価の方法で算出される金額とは乖離が生まれることがほとんどです。
 
株価を基準にしてもいいですが、上場企業においては株価を参考にしつつ、複数の企業価値評価方法を折衷させて企業価値評価を算出することがあります。つまり、絶対的な評価はありません。

【関連】マルチプルとは?マルチプル法による企業価値の算出方法を解説!

6. 未上場企業の企業価値算定方法

未上場企業の企業価値算定方法

未上場の企業では株式の市場価値相場からは算出できません。したがって、価格については交渉次第となることがほとんどです。

しかし、ある程度の目安がなければ交渉をするにあたっても不便でしょう。そこで主に使われるのがDCF法となります。無形資産まで価値に含めるので、市場価値相場がなくてもある程度の概算をすることが可能だからです。

以上のことから未上場企業の価値を調べたいということなら、専門家に依頼すると良いでしょう。

もし、費用が心配ということでしたら『M&A総合研究所』をご利用ください。無料で企業価値を算定いたします。

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7. 企業価値評価を向上させるには?

企業価値評価を向上させるには?

これまでに見てきたように企業価値評価を常に高めておくことで、経営を安定させたり、最善の経営戦略を取れます。そのため、企業価値評価を高めることはとても重要といえるのです。

そこで、企業価値評価を向上させるために、どのようなことをすべきかを紹介します。企業価値評価を向上させるために必要なことは、以下の4つです。

  1. 利益を増やす
  2. 投資先を絞る
  3. 従業員の待遇を見直す
  4. 財務を見直す

しっかりと上記の4つのことを実践し、企業価値評価を高めましょう。

方法①:利益を増やす

1つ目の方法が「利益を増やす」です。

これは単純に会社を経営するにあたって、得ている利益を増やすだけで問題ありません。しかし、そうそう簡単に利益を増やすのは難しいでしょう。

そこで行いたいのが、コスト削減による利益率の向上です。さまざまな社内業務の見直しによりコストを削減できるところがあるかもしれません。意外にも売上を上げるだけに注力するあまり、コストがかかりすぎていることに気付かない場合も多いのです。

こうして利益を増やすことができれば、企業価値はそれだけでも十分に上がります。すぐに結果は出なくとも、利益を上げるための施策を行っているというだけでも違うので試してみてください。

安定した利益を出せるようになっていれば、企業価値は自身が思うよりも伸びているはずです。

方法②:投資先を絞る

2つ目の方法が「投資先を絞る」です。

簡単に投資効率を上げるだけでも効果的ですが、投資先を絞り込むようにしてみてください。なぜなら、本当に投資に見合うキャッシュフローが得られているかに注目する必要があるからです。

どれだけ投資をしていても、キャッシュフローが見込む値よりも低ければ効率が悪くなります。そのため、投資先を絞りこむことが必要となるわけです。

いきなり絞り込むことは難しいかもしれませんが、だらだらと投資していることも少なくありません。再度見直しを行いキャッシュフローを生み出せる部分に注力してみましょう。

方法③:従業員の待遇を見直す

3つ目の方法が「従業員の待遇を見直す」です。

厳しい経営の中、待遇を見直すにしても難しいことはあるでしょう。しかし、生産性を向上して利益を出していくためには待遇について見直すことも大切です。

最大限にパフォーマンスを引き出せる環境まで待遇を整えることができれば、自然に企業価値も向上していきます。

そして、待遇の見直しにあたっては以下の要素についても整備してみてください。

これを整備することで、従業員一同が同じ目的に向かって進むことができ、より生産性を向上させることができるでしょう。
 

  • リーダーシップ
  • 適度なストレス
  • 業務量のバランス
  • ゴール・目標の明確化
  • 上司との関わり方
  • 企業イメージ・ミッション

方法④:財務を見直す

4つ目の方法が「財務を見直す」です。財務を見直し、最適化することで企業価値の向上を狙います。

例えば、負債の節税効果について考えてみるとしましょう。

利益を出している事業の負債を増やし、有利子負債にかかる支払い利息を税法上の損金に算入します。すると、納税額を減らすことができるのでより収益性を向上させられるのです。

ただし、うまく活用できなければ失敗してしまうこともあります。場合によっては脱税と判断されて厳しい措置を受ける可能性もありますので、税理士に査定してもらうことは忘れないようにしてください。

こうした財務の見直しだけでも大きな効果が得られます。今までを振り返ると同時に、見直しを行い適正な状態に整えていきましょう。

8. 企業価値評価を向上させている会社の事例

企業価値評価を向上させている会社の事例

日本取引所グループが、企業価値向上表彰というものを行っています。

最新の2019(令和元)年度の大賞は、小松製作所が選ばれ受賞しました。受賞のポイントについては、以下のように発表されています。
 

  • 資本コストを意識した経営目標・指標を掲げ、長期にわたり企業価値向上実現に向け継続し実行している
  • 経営管理について資本生産性を踏まえた仕組みにより、企業価値向上実現に向けた体制が構築できている
  • ステークホルダーや投資者らとの意見交流の重要性について社をあげて認識し、経営トップ自らが積極的に実践・行動している

また、小松製作所は施策を実施しただけでなく、それをきちんと成果として表すことができたことが、大賞受賞の大きな評価要素だったようです。

ポイントは、自社の資本コストを上回る企業価値に到達すべく、その創造を目指し1つずつ実践している点といえるでしょう。

9. 企業価値評価に関するおすすめの本

企業価値評価に関するおすすめの本

企業価値評価について少しでも知りたいと考えたら、以下の本をおすすめします。

  1. 企業価値評価 第6版[上]〜バリュエーションの理論と実践
  2. 企業価値評価 第6版[下]〜バリュエーションの理論と実践
  3. バリュエーションの教科書
  4. 企業価値評価ガイドライン

どのような内容が書かれているのか紹介していきますので、詳しく確認しましょう。

おすすめ①:企業価値評価 第6版[上]〜バリュエーションの理論と実践

本・おすすめ第一弾は、『企業価値評価 第6版[上]〜バリュエーションの理論と実践』です。
 

出版社 ダイヤモンド社
ページ数 524ページ
価格(税込) 4,620円

DCF法による企業価値評価の本家、マッキンゼー・アンド・カンパニーがまとめた企業価値評価の一冊で、発売以来25年超のロングセラーです。

やや学者向けの本格的なもので高価ですが、時代の実務ニーズに細やかに対応すべく改定されてきました。第6版では、「スタートアップのように発生時点で費用計上される研究開発費やマーケティング費用」への対応や、「必要資本が小さいビジネスへの対応法」などが加えられています。

おすすめ②:企業価値評価 第6版[下]〜バリュエーションの理論と実践

本・おすすめ第二弾は、『企業価値評価 第6版[下]〜バリュエーションの理論と実践』です。
 

出版社 ダイヤモンド社
ページ数 524ページ
価格(税込) 4,620円

これは上記『企業価値評価 第6版[上]〜バリュエーションの理論と実践』の下巻です。

おすすめ③:バリュエーションの教科書

本・おすすめ第三弾は、『バリュエーションの教科書』です。
 

出版社 東洋経済新報社
ページ数 244ページ
価格(税込) 2,860円

著者はグロービス経営大学院教授で、ゴールドマン・サックスにてM&Aアドバイザー業務に従事した経験もあります。また、M&Aを題材にしたテレビドラマと映画の監修も行いました。

複雑な理論やモデルよりも、企業価値評価の全体像や、「そもそも価値とはどういうことか?」といったところから、実務に即した形で企業価値評価を解説しています。

全く財務的な知識がなければ難しいかもしれませんが、企業価値評価のビジネスにおける立ち位置や意味を含めて理解しやすい一冊です。

おすすめ④:企業価値評価ガイドライン

本・おすすめ第四弾は、『企業価値評価ガイドライン』です。
 

出版社 日本公認会計士協会出版局
ページ数 431ページ
価格(税込) 2,860円

日本公認会計士協会が、株式の価値を評価する場合の実施・報告についてまとめた企業価値評価ガイドラインです。

企業価値評価ガイドラインには、実務で使えそうな内容が、丁寧に凝縮されて書かれています。また、企業価値評価ガイドラインは、公認会計士・弁護士・企業経営者・M&A推進者に好評の一冊で、特におすすめです。

M&Aについての知識を深めたいのであれば「M&Aの勉強になる本・書籍おすすめ30選〜初心者にもわかりやすい」でたくさん書籍をご紹介しています。参考にしてください。

10. まとめ

まとめ

企業価値評価とは、ひと言でいえば「会社の値段」のことです。「エンタープライズ・バリュー(Enterprise Value : EV)」と呼ばれることもあります。

M&Aにおいて、売り手側と買い手側の価格交渉における、判断基準の土台として用いられます。経営をしていくにあたって、企業価値評価は常に高い状態を保っておくことが重要です。

企業価値評価は、以下の3つの方法で算出できます。

  1. コストアプローチ
  2. インカムアプローチ
  3. マーケットアプローチ

算出方法を詳しく知っておくことで、企業価値をどのようにあげていくべきか経営戦略を考えることが可能です。

もし、M&Aを前提とした企業価値を算出したいのであればM&A総合研究所へお気軽にご相談ください。M&A総合研究所であれば無料で企業価値を算出いたします。

ほかにも、M&Aの相手企業の紹介やM&A戦略の策定など、M&Aに必要な業務は全てお任せください。M&Aに強い公認会計士がコンサルタントとしてあなたのM&Aをサポートいたします。

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