M&Aの減税措置が発表!中小企業が受けられる控除をわかりやすく解説【2021年度】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

企業の存続や雇用確保を促す目的で、M&Aの減税措置の導入が検討されています。中小企業が利用できる優遇税制もあるので、M&Aに備えて押さえておきたい知識です。この記事では、M&Aの減税措置で中小企業が受けられる控除内容などを紹介します。

目次

  1. M&Aの減税措置
  2. M&Aの減税借置の目的
  3. 【2021年度】M&Aの減税措置で中小企業が受けられる控除内容
  4. その他に進められている税制改正案
  5. M&Aの減税手法【その他】
  6. M&Aの減税措置まとめ

1. M&Aの減税措置

M&Aの減税措置

M&Aは、買収先の経営資源を獲得して効果的な企業成長を目指せる経営戦略ですが、買収費用や税金で巨額の資金が必要になるため、なかなか買収に踏み切れないのも事実です。

そこで、政府はM&Aの税金負担を抑えるためにM&Aの減税措置の導入を検討しています。M&A買収を検討しやすい環境が整えば、企業の内部留保の運用方法としてM&Aが選択肢にあがりやすくなる狙いがあります。

M&A税制とは

M&A税制とは、M&A買収を実施した企業が税制上の優遇措置を受けられる制度です。M&Aの譲受企業は買収費用に加えて税金負担も大きいため、少しでも負担を軽減するために導入が検討されています。

M&A税制の導入検討は数年前より進められており、令和2年12月に経済産業省よりM&Aの優遇税制の詳細が発表されました。

M&Aの減税借置とは

今回設けられたM&Aの減税措置は、「経営資源の集約化によって生産性向上などを目指す計画の認定を受けた中小企業」が計画に基づいてM&Aを実施した場合に利用できる優遇税制です。

M&Aの効果を高める設備投資に関する減税やM&A買収後に簿外債務・偶発債務等が顕在化するリスクの備えとして活用できます。

今後の中小企業は、経営資源の集約化による再構築をとおして生産性の向上や会社の基盤の強化が重要になるため、M&Aを促進するために創設されました。

認定を受けた中小企業は、中小企業経営強化税制の利用や所得拡大促進税制上乗せ要件の認定を不要とする措置を受けられます。

令和3年度税制改正で新設された内容

令和3年度税制改正で、経営資源の集約化を促す税制が新設されました。具体的には、主に下記の3つです。

  • M&A実施後のリスクに備えた5年間の据置期間付の準備金
  • 設備投資減税(最大10%の税額控除など)
  • M&A実施後の雇用確保を促進する措置として、給与など支給総額を前年度より2.5%以上増加させると、増加額の最大25%を税額控除

経済産業省は、民間企業の経済活動に資する提言をし、税金に関する優遇措置や減税措置も民間企業(特に中小企業)の経済活動を促すために、M&Aの促進を図ります。

減税措置の対象者

減税措置の主な対象者は中小企業で、中小企業は、経営資源の集約化による再構築により生産性向上や会社基盤を強めることが欠かせません。そのため、M&Aを促すためにこの措置が検討されています。

認定を受けた中小企業は、中小企業経営強化税制の利用や所得拡大促進税制上乗せ要件の認定を不要とする措置を受けられます。ここでの中小企業者は、中小企業等経営強化法の中小企業者などで、租税特別措置法の中小企業者に該当しなければなりません。

中小企業はM&Aの知識や経験がほとんどなく、資金力も低いケースが多いと考えられるので、この措置は中小企業をメインとするM&Aで、多大な影響を与えるでしょう。

減税措置の利用メリット

減税措置を利用するメリットを見ていきましょう。

この減税措置は、中小企業がメインです。今回のM&Aによる減税措置では、経営資源の集約化により、生産性向上などを望む計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づいたM&Aを行ったときに活用できるメリットがあります。

上述のとおり、認定を受けた中小企業は、中小企業経営強化税制の利用や所得拡大促進税制上乗せ要件の認定がいらない措置を受けられるのもメリットです。

【関連】M&Aの流れ・手順を徹底解説!初期段階の検討〜クロージング後のPMI【実務担当向け】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. M&Aの減税借置の目的

M&Aの減税借置の目的

M&Aの減税措置の目的は、企業の内部留保を有効活用して経済成長の加速を目指すことです。経営陣としては将来の備えとして貯蓄したいものですが、政府としては積極的に資金を使って経済を回してもらいたい考えがあります。

法人企業統計調査によると、日本企業の内部留保は年々増加していることが判明しています。背景にあるのは、日銀の金融緩和政策による円安基調で輸出企業が業績を向上させたことや、米中貿易摩擦の影響で新規の設備投資を手控える動きが加速していることです。

新たな技術やビジネスモデルを持つスタートアップ企業への投資を促し、新たな領域への進出を促進させる目的もあります。

日本は知的財産や契約上の関係から技術や研究者を社内に囲い込む傾向が強いですが、世界の大手IT企業のGoogleやAppleなどは積極的にスタートアップを買収し、自社におけるサービスの成長・発展に活用しています。

経済成長加速や中小企業の成長・発展という観点からM&Aは必要不可欠とされ、M&Aの障害でもある税金負担を軽減するため、M&Aの減税措置の導入が検討されているのです。

【関連】M&Aによる買収の目的は?目的別にメリット・課題を分類!

3. 【2021年度】M&Aの減税措置で中小企業が受けられる控除内容

【2021年度】M&Aの減税措置で中小企業が受けられる控除内容

令和2年12月、経済産業省より「令和3年度(2021年度)経済産業関係税制改正について」が公表されました。経済産業関係の税制改正に関する情報がまとめられており、M&Aの減税措置で中小企業が受けられる控除内容も記載されています。

【M&Aの減税措置で中小企業が受けられる控除内容】

  1. M&Aの効果を高める設備投資減税
  2. 雇用確保を促す税制
  3. 準備金の積立(リスクの軽減)

減税措置の概要

まずは、減税措置の概要を紹介します。

減税措置は、経営資源集約化税制といい、中小企業のM&Aで、将来において損失リスクが生じる不安を抱えながら費用化ができなかった株式の取得価額が、一定要件のもとで株式を購入してすぐに一部費用化できる制度です。

では、上述した3つに関する内容を詳しく見ていきましょう。

M&Aの効果を高める設備投資減税

1つ目の控除内容は、M&Aの効果を高める設備投資に対する減税措置です。M&Aの効果を高める設備投資に対して10%(資本金3,000万円超の中小企業等は7%)の税額控除、もしくは全額即時償却ができます。

M&Aの効果を高める設備投資は、修正ROA(総資産利益率)や有形固定資産の回転率が一定以上上昇する見込みがある経営計画を実行するために、必要不可欠です。

税額控除と全額即時償却はいずれかを選択適用できます。税額控除を選択した場合は資本金3,000万円を境に、それ以下の企業は10%、それを超える企業は7%の控除を受けられます。

【M&Aの効果を高める設備投資の具体例】

  • 自社と取得した技術を組み合わせた新製品を製造する設備投資
  • 原材料の仕入れや製品製造・販売のための共通システムの導入

控除の適用要件

M&Aの効果を高める設備投資減税の適用要件は、「中小企業等経営強化法」の認定を受けることです。中小企業等経営強化法は、中小企業が稼ぐ力を身につけることを国が後押しするために設けられた制度です。

認定を受けるためには経営力向上計画を作成する必要があります。主な内容は人材育成・コスト管理などマネジメントの向上や設備投資などによる生産性の向上についてです。

計画書の作成は認定経営革新等支援機関のサポートを受けることで作成できます。中小企業庁のホームページで公開されている全国の認定経営革新等支援機関から地域別に探せます。

経営力向上に取り組む中小企業であることを示すと、中小企業等経営強化法の認定を受けてM&Aの効果を高める設備投資減税を利用できるでしょう。

雇用確保を促す税制

2つ目の控除内容は雇用確保を促す税制です。M&Aに伴う労働移転などによる給与など支給総額を対前年比で2.5%以上引き上げた場合、給与など支給総額の増加額の25%を税額控除できます。

M&A買収の際に雇用条件を維持あるいは向上させやすいように設けられた制度です。給与など支給総額1.5%以上の引き上げの場合は15%の税額控除になります。

【雇用確保の具体例】

  • M&A買収で獲得した販路などでさらなる販売促進を目指すために必要な要員の確保

控除の適用要件

雇用確保を促す税制は中小企業の所得拡大促進税制に基づいた制度です。対前年度比で給与など支給総額や教育訓練費が増加したことを証明することで適用を受けられます。

なお、上乗せである25%の税額控除に関しては、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定が必要です。M&Aの効果を高める設備投資減税で認定を受けている場合は、あらためて認定を受ける必要はありません。

準備金の積立(リスクの軽減)

3つ目の控除内容は準備金の積立(リスクの軽減)です。M&A買収後に発生し得るリスク(簿外債務・偶発債務など)の備えとして据置期間付(5年間)の準備金を措置し、投資額における70%以下の金額について損金算入が可能です。

据置期間中に簿外債務・偶発債務が発覚した場合は積み立てた準備金を取り崩して対応します。大きな問題がなければ据置期間後に均等に取り崩しを行い益金算入を行います。

中小企業のM&Aでは主に株式譲渡の手法が利用され、権利義務を包括的に承継できるメリットがある反面、簿外債務も同時に引き継ぐためにリスクをヘッジしにくい問題があるでしょう。

M&A買収後に致命的な簿外債務・偶発債務が発覚することも少なくないため、準備金の積立に関する税制を利用した事前対策が必要です。

M&Aのご相談はM&A総合研究所へ

M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、M&Aの減税措置に関してもサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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4. その他に進められている税制改正案

その他に進められている税制改正案

前章まで紹介したM&Aに関する減税措置をうまく活用すれば税金負担を抑えられますが、そのほかにも進められている税制改正案があります。

中小企業のM&A・事業承継の停滞や、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、あらゆる税制の適用期限における延長の検討が進められている状況です。

利用できる税制が追加されたり支援対象が拡充されたりすることがあるので、確認しましょう。

【進められている税制改正案の一部】

税制改正案 備考・内容
地域未来投資促進税制の拡充と延長 適用期限の2年間延長
地域経済のサプライチェーン強化に資する事業を支援対象に拡充
中小企業防災と減災投資促進税制の拡充と延長 適用期限の2年間延長
対象設備の追加(感染症対策のサーモグラフィなど)

5. M&Aの減税手法【その他】

M&Aの減税手法【その他】

この章では、その他のM&Aにおける減税手法について見ていきましょう。

組織再編などで課される税金

合併や会社分割で、M&A・組織再編を行う際は、税制適格か否かに分けられます。税制適格要件を満たすと、資産・負債を帳簿価格で引き継ぐ税務処理となるので、売却損益が発生せず課税が生じません。こうした類型のM&Aでは、節税として税制適格のM&Aを行う手法があるのです。

税制適格要件を満たさないM&Aは、非適格吸収合併などといい、税制非適格の場合、資産・負債を時価で引き継ぐ税務処理となるので売却損益が発生して課税が生じます。

税制適格のM&A・組織再編の種類には、適格新設合併、適格吸収合併、適格吸収分割、適格新設分割、適格株式交換、適格株式移転があります。

役員退職金を用いた節税

売却側が対象会社の株式を有し、さらに対象会社の役員を務めている場合、役員退職金を活用して所得税を減らせます。その流れを見ていきましょう。

  1. M&Aを行う前に、対象会社が売却側の役員へ役員退職金〇円を支払う
  2. 合意したM&Aの対価△円から役員退職金〇円を引いた金額でM&Aを行う

役員退職金を支払うと、現金が社外へ流出しその分企業価値が減ります。売却側は①で退職金を得ているので、退職所得を得て、②では株式売却益を獲得しているので譲渡所得を得ています。

株式譲渡にかかる所得の税率は20.315%ですが、退職所得が大きくなるよう設計して節税を図るのです。ただし、役員退職金を多くする場合、株式譲渡所得よりも税金が大きくなることもあるため、税理士に相談しましょう。

法人株主が利用可能な節税

法人株主が利用可能な節税は、法人株主だけができるM&Aの減税手法になります。

法人株主が、子会社株式や投資有価証券を売却するケースでは、株式売却による売却益が生じるタイミングと、多くの経費を計上するタイミングを合わせることにより、法人税などを節税することも可能です。

6. M&Aの減税措置まとめ

M&Aの減税措置まとめ

政府はM&A市場規模の拡大を期待しており、さまざまな形でM&Aを検討する企業へ支援を行っています。今回新たに設けられる減税措置を活用すれば、M&Aの税金負担を抑えることも可能です。

減税措置の適用に関して不安がある場合は、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。適用条件や認定を受けるための準備に関してサポートを受けられるでしょう。

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