2024年08月26日更新
M&Aの費用とは?相場、算出方法、安くするコツ、仲介会社ごとの報酬体系を解説!
M&Aを実際に行う際は、さまざまな費用がかかります。M&Aの費用は、規模・買い手か売り手かなど状況や立場でも変わってきます。そこで今回は、M&Aにかかる仲介手数料や成功報酬などの費用の相場や目安、費用を安くするポイントを解説します。
目次
1. M&Aの費用と相場・目安
M&Aの際に必要な費用には、さまざまなものが挙げられます。仲介手数料・着手金・毎月の報酬・デューデリジェンス費用・成功報酬などいろいろな場面で費用がかかり、その相場や目安は状況によって異なります。
買い手側でかかる費用 | 売り手側でかかる費用 |
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M&Aにかかるさまざまな費用の相場の目安を知っておくことで、M&Aを成功に近づけられます。ここでは、M&Aにかかる費用を細かく分けてその意味と相場・目安を解説します。
仲介手数料
多くの中小企業はM&Aを実施する際に、M&A仲介会社・コンサルタント・FA(ファイナンシャルアドバイザー)などの専門家を活用するケースが多いです。仲介手数料とはFAや仲介会社などに支払う費用をさすため、FAや仲介会社などのアドバイザリーを活用しない場合はかかりません。
しかし、M&Aの際に行うデューデリジェンスなどの手続きを自社で行うのは非常に難しいでしょう。デューデリジェンスやその他に必要な手続きのためにも、FAやM&A仲介会社を活用するのは必然的となるため、仲介手数料はM&Aの際にかかる費用だといえます。
なお、M&Aの仲介手数料に含まれるものは、以下のとおりです。それぞれ紹介します。
- 相談料
- 着手金
- 中間報酬
- 最低報酬
- リテイナーフィー(毎月の報酬)
- デューデリジェンス費用
- 成功報酬
- 株券印刷代
- その他経費
相談料
相談料とは、FAや仲介会社などにM&Aプロセスのサポートを正式に依頼する前段階で行われる相談に際して発生する費用のことです。昨今、多くのM&A仲介会社では相談料を無料に設定しているものの、相談時に5,000~1万円程度の相談料の支払いを求める機関も存在します。
以上のことから、M&A仲介会社に問い合わせた際、電話やメールなどで相談料の発生有無をチェックしておくと安心です。
着手金
M&Aに際してFAや仲介会社などを活用する場合の仲介手数料の中には、着手金が含まれていることもあります。
着手金とは、M&A実施に伴い、FAやM&A仲介会社などに依頼した時点でかかる費用のことです。FAやM&A仲介会社がM&Aの業務を行う際、ノンネームシートなどの作成で費用が発生するため、事前に着手金として費用の支払いを求めることがあります。
大まかな相場は100万円程度ですが、昨今ではM&Aの普及が進んでおり、完全成功報酬型のM&A仲介会社やFA企業が増えているため、着手金を無料に設定する機関も少なくありません。
着手金の有無は依頼するFAやM&A仲介会社などにより異なるため、企業側と相談することが望ましいでしょう。
中間報酬
中間報酬とは、M&Aプロセスにおける基本合意契約書締結のタイミングで発生する費用のことです。大まかな相場は、50万~200万円程度で、成功報酬額の10~20%と設定されている場合もあります。なお、中間報酬が発生しないM&A仲介会社も少なくありません。
ここでいう基本合意契約書とは、M&Aに関するおおむねの合意内容が記載されたもので、買収側企業が「買収する」意志を表明するために結ぶことが多いです。基本合意契約書の締結後に交渉がうまくいかず、M&Aが成立しなかった場合でも中間報酬が返金されることはないため注意しましょう。
最低報酬
「スモールM&A」と呼ばれるような規模の小さい案件の場合、後述するレーマン方式によって算出される成功報酬のみでは、M&A仲介会社のビジネスとしての採算が取れないことが多いです。そこで、仲介会社の中には、最低報酬として費用の支払いを求める機関もあります。最低報酬は、M&Aの規模にかかわらず発生する費用のことです。大まかな相場は、1,500万〜2,000万円程度です。
リテイナーフィー(毎月の報酬)
リテイナーフィーとは、仲介会社に支払う費用の中でも、毎月の報酬としてかかるものです。M&Aの交渉などに要する費用とM&A仲介業者の手数料で構成されています。
相場の大まかな目安としては月額30万〜300万円程度とされています。とはいえ、FAやM&A仲介業者によって異なるほか、毎月の報酬として定められるため、M&Aの交渉が長引くほど大きくなりやすい点が特徴的です。
リテイナーフィーが無料のFAやM&A仲介会社などもあり、そのような業者を選択すればM&Aの費用を抑えられます。しかし、その分、成功報酬が高く設定されている機関もあるため注意しましょう。
デューデリジェンス費用
デューデリジェンスとは、M&A対象企業に関して調査する行為です。主な内容として、財務・法務・税務・人事などがあり、この手続きを行う際にも仲介手数料を支払う必要があります。ただし、このデューデリジェンスは買い手側が行うものであるため、買い手側企業のみが費用を支払います。
相場の目安としては50万〜300万円程度です。デューデリジェンスの調査のみでこれだけの費用が発生するため、デューデリジェンスの実施をためらう経営者の方もいるかもしれません。しかし、デューデリジェンスを怠ると将来的に簿外債務や偶発債務などのトラブルが発生し、大きな負債を抱えるリスクがあるため注意しなければなりません。
仮にデューデリジェンス費用を抑えたい場合、M&A仲介会社やFAなどに相談しつつ、重点的に調査を行う範囲を絞るなどの選択を取ると良いでしょう。
成功報酬
成功報酬もM&Aの仲介手数料の1つであり、実際にM&Aの契約が成立したときに支払う費用です。基本的に成功報酬は「レーマン方式」で計算するケースが多いです。レーマン方式は、M&A(企業の買収・合併)などで用いられる手数料体系の一つです。この方式では、取引金額に応じて段階的に手数料が決まります。
大きな金額に対しては低い手数料率、小さな金額に対しては高い手数料率が適用されることが一般的です。指標には譲渡金額・企業価値・移動総資産などを用います。具体的には、以下のような方式で計算します。
- 5億円以下→5%
- 5億円より上〜10億円→4%
- 10億円より上〜50億円→3%
- 50億円より上〜100億円→2%
- 100億円より上→1%
例えば、譲渡金額を指標として1億円で計算する場合は「5億円以下→5%」となるため、手数料は次のように計算されます。
- 1億円×5%=500万円
レーマン方式で成功報酬を計算する際の注意点としては、報酬料率に用いられる指標によって、成功報酬が大きく変わることです。
指標にはM&Aの譲渡金額・企業価値・移動総資産などが挙げられますが、この点に注意してM&A仲介会社と契約しないと、将来的に膨大な成功報酬を支払うことになりかねません。
レーマン方式の算出基準は、次章「M&Aの費用・報酬とレーマン方式の算出基準」で具体例を交えて詳しく説明します。
その他経費
M&Aに必要な費用は、上記で解説した着手金・成功報酬・デューデリジェンスなどの費用の他にも、さまざまなものが挙げられます。M&Aでは、多くの手続きが必要です。株式譲渡契約書・事業譲渡契約書・秘密保持契約書などを作成し、締結する必要があります。
M&Aの仲介手数料の中には、上記のような書類作成代も含まれており、こうした書類代などを経費として請求するM&A仲介会社もあります。M&Aを行う場合は、上記の費用も経費として捉えておくと良いでしょう。
税金
M&Aを実施する際にかかる費用には、税金も含まれます。これは仲介手数料などとは別にかかる費用です。企業規模や譲渡金額・M&Aスキームなどにより異なるため、譲渡金額が見合った額であるとしても、後々かかる税金部分を考慮しておかないと、不利益を被るおそれがあるため注意が必要です。
M&Aにおける税務には、法人税や所得税の他にも組織再編税制と呼ばれる仕組みを把握しておく必要があるため、以下のリンクを参考に理解しておくとM&Aを行う際のリスクを軽減できます。
株式譲渡の場合
株式譲渡とは、保有している株式の売買により経営権を譲渡するM&A手法です。手続きが簡単であり、中小企業のM&Aで用いられる手法です。この株式譲渡によってM&Aを行うと、その譲渡所得に対して税金が課されます。
譲渡所得とは、売買金額から仲介手数料などM&Aにかかった費用などを差し引いた残りのことです。株式譲渡では譲渡所得に対して課税されるため、買い手ではなく売り手側が支払います。
課税率は、M&Aを個人で行うのか、法人で行うのかによって異なります。個人の場合は、15.315%の所得税と5%の住民税が課されます。一方で、法人がM&Aを行う場合、譲渡金額に応じて29~42%の課税率で法人税が課されます。
なお、株式譲渡によるM&Aの場合は、株式譲渡契約書を締結するのが一般的です。この株式譲渡契約書には、収入印紙を貼り付ける必要はありません。しかし、締結前に金銭を受領していた場合、その金額に応じた収入印紙の貼付が必要となる点は把握しておきましょう。
事業譲渡の場合
事業譲渡とは、会社の一部またはその全ての事業を売買するM&A手法です。株式譲渡とは異なり、会社の一部のみを譲渡できる点がメリットです。
事業譲渡によるM&Aでは、法人税と消費税が課されます。譲渡する事業資産と負債を差し引いた分を超えた売却金額に、法人税が課税され、消費税は課税資産に対して課される仕組みです。
消費税の課税資産には、以下が該当します。
- 有形固定資産(土地を除いたもの)
- 無形固定資産
- 営業権
- 棚卸資産
M&Aを実施する際に上記の点に留意しないと、M&Aにかかる費用が多額になるおそれがあります。上記のうち棚卸資産は不確実性が高く日々変動することから、M&A完了日にならないと細かな金額まで把握できないため、この点にも配慮しておく必要があります。
会社分割の場合
事業譲渡と類似するM&A手法として、会社分割があります。しかし、会社分割の場合は対価を現金以外とすることも可能であり、手続きが簡易的である点にメリットがあります。
会社分割によるM&Aでは、事業譲渡とは違い消費税の課税がないうえに、現金以外での取引が行えるために相対的にM&Aの費用を抑えることが可能です。
ただし、自社が非上場会社の場合は株式を対価として支払うことは困難であり、買い手側は現金を要求してくる可能性が高いです。このような場合にはM&Aの費用を実質的に抑えることは不可能です。
合併の場合
M&Aには、合併と呼ばれる手法もあります。M&Aを合併で行う場合、法人税や所得税などの税金が課されることがあります。ただし、実施する合併が適格である場合は、大きな優遇が受けられるため、税負担を軽減できる可能性が高いです。
ただし、株券事務費用が追加でかかるケースがあるほか、M&Aでは組織再編税制によって株主および会社に対して費用が発生する可能性がある点を配慮しておく必要があります。
買収費用
買収費用はM&Aで最も重要な費用であり、買い手が売り手に会社の資産と引き換えに支払うものです。買収費用は、株式譲渡であれば株式の対価、事業譲渡であれば事業資産の対価を支払います。会社分割では、対価として株式などが買い手から売り手に譲り渡されます。
買収費用の金額は事業内容や規模により変動するため、買い手側はFAやM&Aアドバイザーなどと相談しながら売り手側と交渉する必要があります。
この際、買い手側は売り手側をデューデリジェンスなどで調査しつつ、事業内容と企業価値などの分野で見合った金額で交渉を行うことが、費用を安く抑えるポイントです。デューデリジェンスを十分に行い、企業価値評価を算定しましょう。
企業価値の算定方法
企業価値の算定方法は、主に以下の3つに分けられます。
- 「マーケットアプローチ」→マーケット(株式市場などのこと)における企業の価値を基準にして、相対的に企業価値を算出
- 「インカムアプローチ」→将来的に獲得できる見込みの配当や利益を評価して、企業価値を算出
- 「コストアプローチ」→企業が現在所有している資産と負債の差を出すことによって、企業価値を算出
基本的に企業価値は上記の3つの基準で算出し組み上げた価値で算定し、譲渡金額などを交渉します。現在価値と将来的な価値を重視する際は、そこから3年程度の営業利益を含んだものを目安として考えることが多いです。
登記費用
M&Aの買い手は、「商業登記」や「所有権移転登記」など、登記手続きが必要となります。登記手続きをする際には、登記費用を用意しなくてはいけません。
また、登記の名義変更では内容によって手続き費用が異なり、「所有権移転登記」では登録免許税が発生します。
株券印刷代
株券印刷代は、買い手ではなく、売り手に発生する費用です。会社の定款で株券に関する取り扱いが記載されており、「株券は必ず印刷する」と記載があれば、株券を印刷する必要があります。この場合、印刷会社に依頼しなければなりません。
株券の印刷が必須とされる会社では、売り手が買い手に対して株券を渡して初めてM&Aが成立するため、株券印刷代の支払いが必要不可欠です。一方、株券の印刷が必要ない場合は、株主名簿の変更手続きを行うのみでM&Aが成立するため、株券印刷代はかかりません。
買収後の費用
M&A買い手側では、事業・会社買収後にも費用がかかることがあります。この費用を「のれん代」と呼んでおり、譲渡企業の純資産と実際の買収額の差額を意味します。のれん代は対象企業や事業が保有する純資産を上回る金額で買収した場合に発生します。会計上の処理と税務上の処理の方法が異なるため、詳細は以下のリンクでご確認ください。
のれん代を理解しておかないと概念上の損金が毎年発生してしまい、場合によっては親会社の損益に大きな障害を与えかねないため要注意です。キャッシュフローがマイナスの企業を買収する際は、当面の資金手当てを考えておく必要があります。
2. M&Aの費用・報酬とレーマン方式の算出基準
M&A場合、レーマン方式を採用していたとしても、依頼するM&A仲介業者によって手数料や成功報酬などが変わります。この理由は、取引価額の算出基準の違いによるものです。
レーマン方式での算出基準となるものは、主に以下の3つです。
- 譲渡金額→M&Aでの取引価格(実際の譲渡株価総額)
- 移動総資産→株価総額と負債総額の合計
- 企業価値→株価総額と有利子負債総額の合計
算出時はそれぞれの金額にレーマン方式で定められている料率を乗じて、手数料・成功報酬を計算します。これらの基準による差は、どれほどなのか実際に計算してみましょう。
仮に、株価=1億円・負債総額=3億円・有利子負債=3億2,000万円の会社がM&Aによる株式譲渡を行ったケースを想定すると、それぞれの算出基準による手数料・報酬額の一例は以下のとおりです。
- 譲渡金額での算出→1億円×料率5%=500万円
- 移動総資産での算出→(1億円+3億円)×料率5%=2,000万円
- 企業価値での算出→基準額は1億円+3億2,000万円=4億2,000万円で、4億円×5%+2,000万円×4%=2,080万円
上記のように、M&A仲介会社に支払う手数料・成功報酬は、算出基準によって大きく異なります。譲渡金額での算出と企業価値での算出の金額を比較すると、非常に大きな差が生まれることがあるでしょう。
企業価値での算出方法では、買い手の負担が増大します。ただし、このように大きな差が生じるのは、「売り手に多額の負債があるケース」のみであり、売り手側に負債がない場合は金額は同一です。
つまり、売り手側に多額の負債がある場合は算出基準によって費用が増大する可能性があるため、慎重にM&Aアドバイザーを選ぶことが大切です。
3. M&Aにおける企業価値算定の費用とは
M&Aでは企業価値算定にも費用がかかり、この点を理解しておけばM&Aにかかる費用を抑えられる可能性があります。ここでは、M&Aにおける企業価値算定費用の概要や相場などを解説します。
概要
M&Aの企業価値算定費用は、経営者がM&AアドバイザーやM&A仲介会社、FAに対して支払う費用です。M&Aで譲渡を検討する際に対象企業の「企業価値」を算出し、企業価値評価レポートとして成果物をまとめて納品するために必要な費用をさします。
企業価値算定費用の相場は、M&Aの規模や資産内容など関係会社の有無によって異なります。M&A仲介会社やFAなどによっては企業価値算定費用を求めない会社もあるため、M&Aを検討する際に専門家に問い合わせましょう。
費用の相場
M&A仲介会社やFA・M&Aアドバイザリーを利用する際の企業価値算定費用の相場は、経営者がM&Aで譲渡する際に参考とする対象企業の価値や経営者が受け取る譲渡代金の手取り額の概算を把握するために参考になります。
ただし、企業価値算定費用には、相場や目安はありません。算定に必要な対象物の数によっては数十万円程度の費用がかかることもあるため、企業価値算定をする際には注意しましょう。
なお、顧問税理士やFAが企業価値算定を行っているために、株式の価値は把握している経営者の方もいます。
しかし、顧問税理士が行う企業価値評価は、あくまでも相続税用の企業価値評価です。相続時の税金を最低限に抑える目的で算出しており、M&Aにおける企業価値評価と結果が大きく異なるケースもあるため注意しなければなりません。
4. M&Aの費用を安くするコツ
ここでは、M&Aにかかる費用を抑えるポイントを解説します。M&Aでは、費用を抑えて良い部分と、抑えると将来的にトラブルや損失につながりかねない部分があります。
デューデリジェンス費用や契約書作成費用など、M&A実務に関係する費用を削ると、簿外債務などの発覚によりM&Aが失敗するリスクがあるのです。
この章では、M&A仲介業者やFAの選定やその契約内容に絞り、M&A費用を削減するポイントとして解説します。
完全成功報酬型の業者を選ぶ
M&Aにかかる費用を抑えるポイントの1つ目は、「完全成功報酬型の業者選び」です。M&Aを検討する際に不安視される要素に、失敗した場合に費用が無駄になってしまう点があります。
M&A仲介会社の報酬表には手付金・固定報酬などが組み込まれることもあり、これらの費用を支払っているのにも関わらずM&Aがうまく進まずに途中で諦めてしまう経営者の方もいます。
そのような場合、最初に支払っていた報酬額は無駄になってしまい、別に新たな業者などに依頼すればM&Aが成功するまでに多くの費用を支払わなくてはなりません。
M&Aは、動き始めてからクロージング(契約完了)までに何が起こるかわからない取引です。完了までにかかる費用はなるべく少なくしておくことが、費用を抑えるポイントです。M&Aでは完全成功報酬型の仲介業者を選ぶことをおすすめします。
株式譲渡価格の対象を事前に確認
株式譲渡によりM&Aを行う際、完全成功報酬型の業者を選ぶと、成功報酬がレーマン方式で決められることが多いため、必ずしもM&Aにかかる費用を抑えられるわけではありません。
レーマン方式の内容を十分に理解しないまま業者を選んでしまうと、成功報酬が莫大な金額になるおそれがあるため、あらかじめ理解を深めておく必要があります。
レーマン方式による手数料率が低いM&A業者もあるため、M&A業者と契約する際は成功報酬部分の確認を怠らないようにしましょう。
5. M&Aの費用の会計処理
M&Aの費用の会計処理は、主に4種類です。
- 個別会計
- 連結会計
- 税務会計
- 財務会計
また、以下の7つのスキームのうち、どれを用いるのかによって会計処理のやり方が変わります。
- 株式取得
- 事業譲渡
- 株式交換
- 株式移転
- 合併
- 会社分割
- 第三者割当増資
スキームによっては売り手側で会計処理が不要の場合もあるので、事前に確認しておきましょう。詳しくは以下の記事にてお伝えしています。
6. M&A仲介会社の必要性
M&Aを進めていくうえで、プロジェクト管理はM&A成功の鍵を握る重要なポイントの1つです。M&Aは、売り手と買い手だけで成立するものではなく、デューデリジェンスを担当する専門家・取引先・従業員など多くの利害関係者との調整が重要です。
全体スケジュールの策定なしに進めてしまっては、売り手側や買い手側いずれかがリスクと考え、途中で交渉をストップしてしまうかもしれません。成功見込のないM&Aプロジェクトを継続しても、失敗してしまう可能性が高まります。
M&A成功のゴールから逆算して、重要な事柄やスケジュールの期限、それぞれの担当範囲を明確にすることが、M&A仲介会社の大きな役割でもあります。以下が、主な仲介会社による支援内容です。
- 全体スケジュールの策定
- 相手先の選定
- 条件交渉の支援
- 専門家の紹介
M&A仲介会社に依頼すれば、上記の内容の他にもM&Aに関連するさまざまなサポートが受けられるでしょう。
もしもM&A仲介会社選びにお悩みでしたら、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所ではスピーディーなサポートを実践しており、最短3カ月での成約実績を有しております。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けていますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。
7. M&A仲介会社に依頼するメリット・デメリット
M&Aを行う際は、多くの手続きが必要となるため、専門家であるM&A仲介会社に依頼するのがベストです。この他にも、M&Aを行う際に仲介会社を利用するメリットには、主に以下の点が挙げられます。
- 経営者がM&Aの手続きに追われることなく、本業に専念できる
- 取引の適正さを確保できる
- 将来的なトラブルを回避できる
一方、M&A仲介会社を利用するデメリットは主に以下のとおりです。
- 利益相反するアドバイスが受けられる
- 着手金や中間金がある場合は返金されない
- 手数料が高額になる
メリット・デメリットをそれぞれ理解したうえで、M&A仲介会社に依頼しましょう。
8. M&A仲介会社選びを成功させるポイント
M&A仲介会社選びを成功させるポイントは、契約の種類やこれまでの実績確認、特定の事業セグメントへの理解、報酬体系などが挙げられます。
まず、M&A仲介会社のサービスは、大きく仲介契約かFA契約に分けられます。どちらの契約も基本的には手数料の計算方法は同じであるため、それほど違いはありません。大きく異なる点は、仲介契約では買い手と売り手の双方にアドバイスを行う点、FA契約では買い手と売り手のどちらか一方にのみアドバイスを行う点です。
M&A仲介会社のこれまでの経験と実績は、自社のM&Aの成功を導くために必要不可欠な要素です。事前に実績が数字で把握できるか、成功事例が実名で開示されているかなどを確認しましょう。
特定の事業セグメントへの理解があるかどうかも大切です。仲介会社によっては、特定の事業に強みをもった会社があります。自社の事業セグメントによっては、事業特化型のM&A仲介会社に依頼すれば、より質の高いサービスを受けられるでしょう。
M&A仲介会社の手数料体系や成功報酬費用も、仲介会社によって大きく異なります。中には手数料体系を詳しく説明していない会社もあるため、あらかじめ十分にM&Aにかかる手数料・費用を確認しておきましょう。
9. M&Aの費用まとめ
M&Aを実行するうえで買い手・売り手ともに費用とコストの存在は無視して行えません。M&Aの主な費用には、「仲介手数料」「成功報酬」「その他費用」の3つがあります。
買い手からすると、デューデリジェンスなどの必要な手続きにかかる費用を抑えようとすれば、結果的にリスクが高くなるおそれがあります。抑える費用の種類や費用の抑え方を考慮したうえで判断しなければ、M&Aを行っても失敗に終わってしまいかねません。
M&Aを検討する際は、M&Aにかかる費用を理解しつつ計画的に実行することが大切なポイントです。
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