2023年04月30日更新
TOB(公開買付け)の概要・規制・違反について|5%ルールや1/3ルールも解説
TOB(公開買付け)とは、株式市場外で特定株式の買付が行える制度です。経営権取得が主な目的ですが、一定の規制の元で適切に行われなければなりません。TOBの概要、5%ルールや1/3ルールなどの各種規制、敵対的TOB防衛策などを解説します。
目次
1. TOB(公開買付け)とは
通常、株式の取得方法には、「証券取引所を通じて市場に流通している株式を買付ける」もしくは「株式市場外から株式を買付ける」の2つがあります。
この際、取得する株式の割合が一定以上を超える場合は、TOB(Take Over Bid=公開買付け、または株式公開買付け)をすることが義務です。本記事では、このTOBの概要と規制などを解説します。
TOBの概要
TOBとは、ある株式会社の株式を株式市場外から買い集める手法です。対象会社の経営権取得を目的として行われるもので、買付け期間や買付け株式数などを事前に公告したうえで開始します。
なお、金融庁で発表している「公開買付(TOB)制度の概要」では下記の通りに定義されています。
◯会社支配権等に影響を及ぼし得るような証券取引について、透明性・公正性を確保するための制度
○取引所市場外(注)で株券等の大量の買付け等をしようとする場合に、
①買付者が買付期間、買付数量、買付価格等をあらかじめ開示
②株主に公平に売却の機会を付与
TOBの流れ
TOBを実施する際は、株主や内閣総理大臣に対して、いくつかの書面を提出する必要があります。TOBの流れは以下のとおりです。
- 公開買付け開始公告と公開買付け届出書の提出
- 意見表明報告書の提出と回答
- 公開買付け説明書の交付
- 公開買付け報告書の提出
公開買付け開始公告と公開買付け届出書の提出
TOBの手続きの第一段階は、公開買付け開始公告と公開買付け届出書の提出です。買付け者は「買付け目的・買付け価格・買付け予定株式数・買付け期間」など、買付けに関する情報を全て記載した公開買付け開始公告を行います。
公告方法は政令で定まっており、電子公告もしくは日刊紙への掲載です。同時に、内閣総理大臣へ公開買付け届出書を提出します。公開買付け届出書には、内閣府令で定められている事項を記載しなければなりません。
意見表明報告書の提出と回答
意見表明報告書とは、買収対象となる会社の経営陣が、買収に対して賛同しているかどうかの意思を表明する書面です。公開買付け開始公告を受けた時点で、買収対象会社は10営業日以内に内閣総理大臣に対して意思を表明する義務が生じます。
10営業日を短いと考える意見もありますが、書面の提出は金融庁が管理する電子情報開示システム「EDINET」を通じて行うのが一般的であることから、書面を郵送する手間はかからないため時間のロスはありません。
買付け者には、意見表明報告書を通して質問がされた場合、回答するために対質問回答報告書を提出する義務が生じます。
買付け者と買収対象者の質疑応答を公開するのは、それぞれの立ち位置を明らかにして株式市場の信頼性と透明性を保持するために交わされるものです。
公開買付け説明書の交付
買主は、公開買付け説明書を売主に交付します。公開買付けの要項をはじめ、法令などに定められている事項と公益または投資者保護に必要とされる事項が記載されます。
公開買付け報告書の提出
買主は、公開買付けの結果を公開買付け報告書にまとめて内閣総理大臣に提出します。買付けの成否を明らかにすること、正常な株式市場に戻ったことを明らかにすることで、投資者の保護や証券市場の信頼性を確保するのが目的です。
TOBの種類
TOBには、下記の2種類があります。
- 友好的TOB
- 絶対的TOB
それぞれについて、詳しくお伝えします。
友好的TOB
友好的TOBとは、相手方の経営陣から同意を得たうえで実行するTOBをさします。両者の合意のうえで実施されるTOBなので、買収防衛策を取られる心配もなく、スムーズに済むことがほとんどです。
日本で行われるTOBは、ほとんどが友好的TOBに該当します。グループ傘下にある子会社を、完全子会社化するときなどが多く見られるケースです。
敵対的TOB
敵対的TOBとは、相手方の経営陣からの同意を得ずに実行するTOBです。競合企業の経営権を取得する目的などで実施されます。
ほとんどの場合、相手方への事前の告知は行われません。相手方は公告によって買収の意思を知るため、買収側に対して不信感を抱くことになります。敵対的TOBの公告を受け取った相手方は、買収に反対の姿勢を見せ、買収防衛策を取ることが一般的です。
TOBを行う目的
TOBを行う主な目的は、対象企業の経営権の取得です。発行済み株式3分の1の取得で株主総会における特別決議の拒否権、2分の1以上の取得で経営権(株主総会での普通決議の議決権)を取得します。
経営権を取得する目的はさまざまです。一例としては、対象会社の事業や資産を取得することでシナジー創出を図るケースや経営改善を図って、株価を上昇させ、その後の売却益を得ようとするケースなどがあります。
TOBの目的には、自社株の買い集めもあります。自社株買いの理由は、他者からの買収を防ぐため、あるいは自社の1株あたりの価値を引き上げるためなどです。
TOBを行う必要のあるとき
一定以上の株式が買付けされると、少なからず株価へ影響を与えることになり、秘密裏に実施すると投資者の公平性が著しく損なわれるため、買付けに関する情報は事前に公告します。
そこで設けられている規制・各種ルールが「5%ルール」や「1/3ルール」などです。いずれにしても、買付け後の所有割合が一定以上を超えるならば、TOBを行う必要があります。
2. TOB(公開買付け)の規制・各種ルール
経営権の取得を目的に行われる株式買付けを公開情報とする主な理由は、投資者である株主の公平性を保つことです。TOBが周囲に与える影響を可能な限り抑え、公平性を保つためにあるのが厳格な規制とルールです。ここからは、各規制・ルールの内容をそれぞれ掲示します。
TOBの5%ルールとは
5%ルールとは、取引市場外の株式取得により株式の所持率が5%を超える場合、TOBを行うとする規制のことです。
株式等所持率が5%を上回ると会社の経営に影響を及ぼすことや、株式の一斉放出による株価急落・度重なる買付けによる株価急騰といった危険性が考えられます。本来の企業価値とは関係のない取引によって株価が乱高下することで、株式市場の透明性も失われてしまい適正な取引が行えなくなってしまうのを防ぐために設けられたルールです。
5%を超えたとしても、60日間で10名以下からの買い付けである場合はTOBが不要とされています。
TOBの1/3ルールとは
1/3ルールとは、株式買付け後に所持率が1/3を超過する場合に取り決められた規制です。内容がパターン別に細かく分岐しますので、以下でその3パターンに分けて解説します。
取引市場外での売買について
取引市場外で60日間に10名以内から買付け、その後の所持率が1/3を超える場合にはTOBをする規制です。
5%ルールは、10名以内からの買付けでは除外されます。しかし、所持率が1/3を上回ると株主総会における特別決議の否決権が与えられるなど、会社の経営に強い影響力を持つのは明白です。したがって、所持率が1/3を超える場合は、買付け人数に関係なくTOBをする規制があります。
取引市場内の特定売買について
取引市場内の買付けによって所持率が1/3を超過する場合も、規制の対象です。特定売買とは、「ToSTNeT」や「J-NET」などが挙げられます。以前は、取引市場内であれば公開買付けの必要はないと判断され、規制されていませんでした。
しかし、立会時間外に買付けを行うものの、取引市場内であるために証券取引法違反にならないという穴をついた、2005(平成17)年のToSTNeTを利用したライブドア事件をきっかけに「TOB制度の見直し」が図られました。
見直しの主な内容は、脱法的な態様の取引への対応・投資者への情報提供の充実・公開買付期間の伸長・公開買付けの撤回等の柔軟化・全部買付けの義務化の一部導入・買付者間の公平性の確保などです。
参考:金融庁「公開買付(TOB)制度の概要」
急速な買付けについて
取引市場内外で、3カ月間のうちに対象会社の発行済株式における10%以上の買付けを行い、そのうち5%以上を取引市場外もしくは特定売買によって取得、かつ買主の所持率が1/3超過となる場合も規制対象になります。
これは、段階的な株式取得によって1/3ルールを逃れることを防ぐための規制です。取引市場外で30~33%程度の株式を取得した直後に数%の買い増しを行えば、秘密裏に1/3以上の株式を所持できてしまいます。
こういった短期間の買付けによる、不意打ちのような経営権の取得を防ぐための規制です。
TOB中の大株主の買い増しとは
他者がTOB実施中に、1/3以上の株式を所持する株主が5%以上の買付けを行う場合が該当します。これは、1つの買収対象会社を複数の買付け者が対象とするケースです。
買収を防ぐために大株主に買付けを依頼したときや、「ホワイトナイト」と呼ばれる友好的な第三者に株式買付けを依頼する買収防衛策を実施したときに発生することがあります。
この場合は、全買付け者の規制平等化のため、大株主やホワイトナイトとなる企業が買収を目的とした買付けを公開します。
TOBの義務的公開買付けとは
一定以上の株式の取得を行う際に、TOBをする取り決めのことです。ここまで解説した5%ルールや1/3ルールが該当します。
義務的公開買付け制度の必要性
大量の株式の買付けが裏側で行われることによる最大のデメリットは、特定の株主が優遇されて少数株主が一方的に不利益を被ってしまうことです。
本来の企業価値とは関係のない部分で、株価が乱高下するのは極めて異常で好ましくありません。一部のものによってコントロールされているとしたら、なおさらです。
会社の経営や株価へ大きな影響を与える範囲の株式買付けは、全ての株主に対して平等に公開するべきと考えられています。
義務的公開買付け制度の対象
上場会社の株式を取引市場外で一定以上取得する場合、原則として制度の対象となります。
TOBの規制・ルールに違反した場合の罰則
TOBの規制に違反した場合には、刑事罰が科せられます。刑事罰の内容は以下のとおりです。
- 違反者:5年以下の懲役、または500万円以下の罰金
- 違反者が代表者または使用者である法人(両罰規定):5億円以下の罰金
刑事罰とは別に課徴金の対象とみなされる場合があり、その際の金額計算は以下のように規定されています。
- 課徴金=買付け価格×買付け数×0.25
TOB規定に違反して取得した株式の取り扱い
実は、規定違反で取得した株式の取り扱いに関して、明確な定めがないのが実態です。一概に無効とする取り決めがないため、株式の取得自体は有効と捉えられてしまいます。その場合、取得した株式数によっては、違反者が経営権を握る事態もあり得るのです。
取り急ぎで法整備が望まれますが、進捗のない状態が続いています。
3. 国際的なTOB規制・ルール
TOBの規制・ルールは、海外と日本ではその内容に若干の違いが見られます。この項では、アメリカと欧州連合(EU)のTOB規制を解説します。
アメリカのTOB規制・ルールについて
アメリカは、連邦レベルのルール(米国証券法・独占禁止法)と州レベルのルール(会社法)が存在します。
アメリカの上場企業の株式取得は、この両者のルールに従ったうえで実行しなければなりません。米国連邦法には、5%以上の株式を取得する場合は取得情報の開示が義務付けられているなど、日本の5%ルールと似た規制です。
州によって規制されている内容は変わりますが、多くの州で買収禁止法の規制があります。
アメリカの買収禁止法の一例は以下のとおりです。
- 支配株式取得に関する規則
- 企業統合またはモラトリアム規則
- 適正価格規則
- 利害関係者規則
- 防衛措置の承認
支配株式取得に関する規則
買付け者が一定割合以上の株式を取得しても、対象会社の株主が取得を承認しない限り、買付け者に議決権は与えられないとする規制です。28の州で規制されています。
企業統合またはモラトリアム規則
第一段階のTOBに応募しなかった少数株主が保有する株式を取得するための合併を禁止する規制です。例外として、取締役会や社外株主の承認が得られる場合は規制対象にはなりません。33の州で規制されています。
適正価格規則
一定の割合の株式(10~20%)を所有する買付け者と、対象会社とのM&A・合併などの企業統合を禁止する規制です。27の州で規制されています。
利害関係者規則
買収対象となった企業が買収の承認の可否を判断するうえで、自社だけではなくグループ全体の利益を加味できることを認めるものです。28の州で規制されています。
防衛措置の承認
敵対的買収を仕掛けられた買収対象会社の取締役会は、株主の承認を得ることなくポイズンピルなどの防衛策を実施することが認められるものです。37の州で規制されています。
EUのTOB規制・ルールについて
EUでは、2004(平成16)年に採択された英国のルールを基礎とした「EU企業買収指令」が、EU各国のM&A制度のスタンダートになっています。EU企業買収指令の中にテイクオーバー・コードと呼ばれるものがあり、市場関係者の自発的な規制によって成り立つものです。
テイクオーバー・コードのポイントは、以下のとおりです。
- 全部買付け義務
- 買付け者の公表
- 買収資金の確認
- 取締役の中立義務
全部買付け義務
全部買付け義務とは、TOBに対する応募のあった株式の全てを、現金を対価として取得しなければならない規制です。
株式取得の際に所有割合が30%を超える場合はTOBを実施し、全ての応募に対して応えなければなりません。買取価格は過去12カ月間の最高買付け価格として定められています。
買付け者の公表
特定会社の市場株価や出来高などに異常が見られ、特定の買付け者が公開買付けの準備を行っていることが認められる場合、各国の規制当局はその意図を公表するよう要請できます。
買収資金の確認
買付け者は、買付けに要する資金を有しているかまたは調達が可能であるか、FAなどを通じて証明を受ける必要があります。これはイギリスやドイツでは規制されていますが、フランスの規制当局AMFは資金調達方法の内容の審査までは行いません。
取締役の中立義務
株式の買付けによって買収対象となった株式会社の取締役は、買収防衛策を取ってはならない規制です。株主による事前承認がない限りは、あくまでも中立の立場にいなくてはなりません。
4. 敵対的TOBを防ぐ方法
友好的TOBであれば、事前に両者の合意を得たものであり、スムーズに株式の買付けが行われます。しかし、相手方の合意を得ずに行う敵対的TOBの場合、買収の対象企業は買収防衛策を取ることが一般的です。この項では、代表的な買収防衛策を紹介します。
敵対的TOBへの代表的な予防策
敵対的TOBに対する防衛策としては、未然に防ぐための予防策と、アクションを起こされてからそれに対抗する防衛策の2パターンがあります。まずは、敵対的TOB予防策の代表的な5つの手法を解説します。
- ゴールデン・パラシュート
- ポイズンピル
- 黄金株
- チェンジ・オブ・コントロール条項
- プット・オプション
ゴールデン・パラシュート
ゴールデン・パラシュートとは、あらかじめ取締役の退職金を高額に設定しておくことで買収意欲を削ごうとする予防策です。
敵対的TOBが成功すると、買収対象企業の取締役は解任されることが一般的です。その際に支払う退職金が高額になれば経営状態が悪化することが予想され、買収側には痛手となります。アメリカでは重宝して用いられている予防策です。
対象を取締役ではなく従業員に置き換えた予防策もあり、それはティン・パラシュートと呼ばれています。
ポイズンピル
ポイズンピルとは、事前に既存の株主に対して新株予約権を発行しておく予防策をさします。
新株予約権とは、株式会社の株式交付を受ける権利のことです。権利を行使することで新たに発行された株式を安い価格で取得でき、買収を進めている敵対的買収者の所有割合を下げて、支配権を弱める働きが期待されます。
しかし、発行済株式が増えることによる株価の低下は避けられず、買付けに関わりのない株主に対して悪影響を及ぼしてしまう点がデメリットです。ライツプランと呼ばれる場合もあります。
黄金株
通称で黄金株と呼ばれる、拒否権付き種類株式を友好的な一部の株主に発行しておく買収予防策です。株主総会で合併や取締役の解任や選任など、どのような重要議案であっても、黄金株を所持する株主は否定できる権限を持ちます。
チェンジ・オブ・コントロール条項
会社の重要な取引先との間における契約条項の中に、仮に経営権の移動が発生した場合、無条件で契約破棄できるなどの特殊規定を設けておく買収予防策です。
この特殊規定は一例であり、その内容は会社にとってダメージとなるような規定にしておくことで、買収意欲を削ぐ狙いがあります。
プット・オプション
金融機関との融資契約の中に、経営権の移動があった場合は借入金の残額を一括請求できる内容を盛り込んでおく買収予防策です。
実際に上記の内容が行われた場合、その会社の財務状況が悪化するのは明白であることから、その点で買収意欲を捨てさせようとしています。
敵対的TOBへの代表的な対抗防衛策
次に、実際に敵対的TOBが仕掛けられてしまった場合に、対抗する防衛策を紹介します。代表的な5つの手法を確認しておきましょう。
- ホワイトナイト
- クラウンジュエル
- パックマンディフェンス
- 資産ロックアップ
- 第三者割当増資
ホワイトナイト
ホワイトナイトとは、友好的な第三者に敵対的TOBの買付け者よりも高額なTOBを実施してもらい、敵対的TOBの買付け者を撃退しようとする対抗策です。
買収が仕掛けられた後でも対処が可能ですが、短期間で友好的な第三者との交渉を行う難度の高さや、他者に自社を売却することには変わりないことなどの問題点も抱えています。
クラウンジュエル
焦土作戦とも呼ばれるクラウンジュエルとは、敵対的買収者にとって魅力的な資産・事業を第三者に移すことで買収意欲を削ごうとする防衛策です。
敵対的TOBを仕掛ける際は何らかの理由があるので、その元を取り除いてしまえば諦めるであろうといった考え方ですが、実施された事例は国内では1件しかありません。
2005(平成17)年、ライブドアがニッポン放送に敵対的TOBを仕掛けた際、ニッポン放送は自社が保有するポニー・キャニオンやフジテレビの株を売却する意思表示を行いました。
その結果、ライブドアはニッポン放送の買収を諦めたため、ニッポン放送は保有する株式の売却を行わずに済ませています。クラウンジュエル自体は実施されなかったものの、買収を防いだ大成功の事例といえます。
パックマンディフェンス
パックマンディフェンスとは、買収を仕掛けられている企業が買収を仕掛けている企業に対して買収を仕掛けることで自社を守る防衛策です。
会社法には買収対象の企業が買収を仕掛けている企業の株式1/4以上を取得すれば、買収を仕掛けている企業が保有している株式の議決権が失われるとする規定があります。
名前の由来は、日本のゲーム会社が開発したゲームの「パックマン」です。主人公パックマンは、通常、モンスターに追われる立場であるものの、特殊アイテムを取得するとパワーアップを果たし、逆にモンスターを食うといったゲームルールから、この名称が付けられました。
資産ロックアップ
友好的な第三者に対して、会社にとって重要となる資産や事業を市場価額よりも割安で取得できる権利を付与する防衛策です。買収者には、たとえ苦労して買収しても、安く資産や事業を売却されてしまえば意味がありません。それによって、買収意欲を諦めさせる狙いです。
第三者割当増資
第三者割当増資を実施すれば、新株を大幅に増大させることになるので、買収者の持株比率を低下させることが可能です。会社にとって友好的な特定の相手を第三者に選定することで、安定株主を得られる意味もあります。
新株を発行するのではなく、外部の友好的な会社との間で株式交換・合併を行い、敵対的TOBを防衛する方法もあります。
5. TOB(公開買付け)の概要・規制に関する相談先
TOBは会社の経営や株価への影響も大きいです。それゆえに5%ルールや1/3ルールなどの規制がなされており、定められたルールの中で適切に行わなければなりません。
TOBに関して不明な点があれば、ファイナンシャルアドバイザーやM&A仲介会社などの専門家に相談するのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの知識実績豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。TOBに必要な手続きや、敵対的TOBへの対抗策の実施なども丁寧にサポートします。
無料相談は随時受け付けていますので、M&AやTOBのご相談はお気軽にM&A総合研究所にご連絡ください。
6. TOBについてよくある質問
公開買付開始公告とは?
公開買付開始公告とは、ある企業が他社の株式を取得するために、一定の価格で株式を公開買い付けすることを通知する公告です。つまり、TOB(公開買付け)の通知ということになります。
公開買付開始公告は、買い付け価格や買い付け期間、買い付け枚数、支払い方法などの詳細が記載されています。株主に対して買い付け価格が公正な価格であるかどうかを判断し、買い付けに応じるかどうかを決定するための重要な情報源となります。
予告TOBとは?
TOB(公開買付け)の予告を意味します。
あくまで予告であるため、開始する通知とは異なり、実際には発動しないケースもあります。
公開買付に応募しない場合はどうなる?
TOB(公開買付け)に応募しない場合は、基本的に市場で売却するか、今まで通り保有するかの2択です。市場価格である株価がTOBよりも高い場合は応募することが多いですが、逆に下回る場合には応募しないことが一般的となります。
「公開買付期間中の別途買付けの禁止」とは?
公開買付期間中の別途買付けの禁止とは、買収企業が公開買付期間中に買収対象となる企業の株式を、公開買付けに関わらず別途購入することができないというルールのことを指します。
このルールは、買収企業が公正な価格で買収対象企業の株式を買収することを保証するために設けられています。もし買収企業が公開買付期間中に別途買付けを行うことができると、買収企業が買収対象企業の株式を市場価格よりも高い価格で買い付けることができ、その結果、公開買付けの価格が低く抑えられる可能性があるため、公正な価格形成が困難になります。
7. TOB(公開買付け)の概要・規制まとめ
TOBは経営権の取得に際して実施するもので、株式取引の透明性や全ての株主の公平性を保つためにも必要な行為です。TOBは、特に5%ルールや1/3ルールなどに注意する必要があります。規制に違反しないよう適切に株式を取得するためには、TOBの実施では専門家のサポートを受けるのがおすすめです。
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