M&Aによる事業承継を成功へ導く!公的マッチング支援の活用法と注意点を解説

後継者不足による事業承継問題は、M&Aや公的マッチング支援の活用で解決できる可能性があります。本記事では日本政策金融公庫などの支援内容や利用の流れ、成功のポイントをわかりやすく解説します。

目次

  1. M&Aの選択肢となる事業承継マッチング支援とは
  2. 事業承継マッチング支援を利用する具体的な3ステップ
  3. 事業承継マッチング支援の申し込みに必要な書類
  4. もう一つの選択肢「事業承継・引継ぎ支援センター」とは
  5. 公的支援とどう違う?M&A仲介会社を活用する選択肢
  6. 事業承継マッチング支援のまとめ
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1. M&Aの選択肢となる事業承継マッチング支援とは

日本経済を牽引(けんいん)しているのは、証券取引所で株式を売買している上場会社と思われがちですが、2016年に行われた経済センサス活動調査によると、日本企業の小規模事業者を含む中小企業の企業数は99.7%、従業員数は68.8%となっています。

数字上からも、中小企業・小規模事業者が地域経済や雇用を守っていることが分かりますが、近年は経営者の高齢化や後継者不在の影響で事業承継を進められず、廃業を検討している企業が増加しています。

中小企業・小規模事業者の廃業が増えると日本経済の悪化に直結するため、経済状況の改善を目的として事業承継マッチング支援と呼ばれる支援事業がスタートしました。

日本政策金融公庫が提供する無料のマッチング支援

事業承継マッチング支援とは、2020年4月に日本政策金融公庫(以下、日本公庫)が開始した、後継者を探す事業者と事業を引き継ぎたい起業家を結びつける無料のサービスです。M&Aも視野に入れた事業承継の一つの選択肢として、多くの事業者に活用されています。

この支援は、第三者への事業承継を通じて企業の廃業を防ぎ、貴重な技術やノウハウ、雇用を守ることを目的としています。

日本公庫の融資先の多くが小規模事業者であることから、本支援も従業員9名以下の個人事業主まで幅広く利用可能です。原則として日本公庫から事業資金の融資を受けている事業者が対象ですが、これから事業承継を通じて創業を目指す方や、商工会議所、士業などの専門家から紹介を受けた場合は、融資実績がなくても利用できる場合があります。

国がM&A・事業承継を推進する社会的背景

日本公庫が無料サービスとして事業承継を推奨する理由は、日本経済の悪化が危ぶまれているためです。

国の政策として取り組まなければ取り返しが付かなくなる恐れもあるため、マッチングの場を提供して事業承継を積極的に促しています。

【事業承継を推奨する理由】

  • 後継者不足による廃業が増加している
  • 後継者問題の解決方法

深刻化する後継者不足と廃業の最新動向

2017年に経済産業省と中小企業庁の試算によると、中小企業・小規模事業者の廃業件数増加により2025年までに約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われることが予測されています。

中小企業・小規模事業者の廃業理由の多くは、後継者不足によるものです。経営者が高齢化していくなかで後継者が見つからない中小企業・小規模事業者が多くなっており、将来的な廃業を予定している企業が急増しています。

帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)」によると、全国の後継者不在率は 61.5%でした。

同企業の「全国企業「休廃業・解散」動向調査(2021 年)」によれば、2021年に全国で休業・廃業、解散を行った企業は54,709件であり、3.76%の企業が市場から退出・消滅しました。

休廃業した企業の中には、財務内容やキャッシュなどある程度の経営余力を残しているにもかかわらず、自主的に会社を休業・廃業・解散した「あきらめ休廃業(資産超過状態での休廃業・解散)」の割合がコロナ禍を境に高まっているのが分かります。

休廃業・解散した企業の代表者年齢は、2021年平均で70.3歳でした。事業承継がスムーズに進まず、経営者の高齢化が進み、休廃業・解散を余儀なくされている可能性があるでしょう。

M&Aが後継者問題の有効な解決策となる理由

廃業を検討する企業の多くは、後継者さえ見つかれば事業を続けられる状態です。一方で、ゼロからの起業にリスクを感じる起業希望者も少なくありません。

このような状況で、M&Aによる第三者への事業承継は、売り手と買い手の双方にとってメリットのある有効な解決策となります。日本公庫の事業承継マッチング支援は、まさにこの両者をつなぐことで後継者問題を解決し、企業の存続を後押しする重要な役割を担っています。

事業承継M&Aのメリットとデメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業承継M&Aの件数が急増?メリット・デメリットを解説!

2. 事業承継マッチング支援を利用する具体的な3ステップ

日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援は、相談からマッチングまで、主に以下の3つのステップで進みます。流れを理解し、計画的に準備を進めましょう。

【事業承継マッチング支援を利用するには】

  1. 相談・申し込み
  2. 相手の選定・交渉
  3. 契約書の締結

①相談・申し込み

相談先は、日本政策金融公庫国民生活事業本部の事業承継支援室です。事業承継マッチング支援サービスの内容や、手続きに関する相談を無料で受け付けています。

サービスの申し込み対象者は、中小企業・小規模事業者か、事業を受け継ぐ形での創業希望者です。ただし、日本公庫に事業資金の借入残高がない場合は、商工会議所・商工会など事業承継支援事業に取り組んでいる団体からの紹介が必要です。

所定の書類を用意したうえで申し込みを行います。必要書類は次章で紹介していますので参考にしてください。

②相手の選定・交渉

登録情報に基づき、日本公庫が利用者の希望に合った相手を選定します。関心のある相手が見つかると、まずは企業名を伏せた「ノンネームシート」を交換し、お互いの情報を確認します。

この段階では情報が匿名に保たれるため、従業員や取引先に不安を与えることなく、安心して相手探しを進めることが可能です。

双方が交渉を希望した場合、日本公庫が面談の日時や場所を調整します。ただし、ここから先の具体的な条件交渉や企業価値評価(バリュエーション)などは、公的支援のサポート範囲外となります。そのため、交渉は当事者間で直接行うか、別途M&Aの専門家に依頼する必要があります。
 

③契約書の締結

交渉がまとまり、事業承継の合意に至った場合は、最終契約書(株式譲渡契約書や事業譲渡契約書など)を締結します。この契約書は、譲渡価格や承継範囲、従業員の処遇といった重要な条件を法的に確定させ、将来のトラブルを防ぐための非常に重要な書類です。

契約書の作成には法務や税務などの専門知識が不可欠であり、日本公庫の支援範囲には含まれていません。契約内容に不備があると後々大きな問題に発展するリスクがあるため、弁護士やM&Aアドバイザーといった専門家のサポートを受けて進めることが強く推奨されます。

事業承継のご相談はM&A総合研究所へ

日本公庫のマッチング支援はあくまで「出会いの場」の提供であり、その後の交渉や契約手続きは当事者の責任で行う必要があります。しかし、M&A・事業承継のプロセスには、企業価値評価、デューデリジェンス(買収監査)、複雑な契約書作成など、高度な専門知識が求められます。

これらの重要なプロセスを円滑かつ安全に進めるためには、M&A仲介会社やFA(フィナンシャル・アドバイザー)といった専門家のサポートが欠かせません。専門家は豊富な経験と知識を基に、適正な価格での交渉やリスクの洗い出し、法的に有効な契約締結までを一貫して支援してくれます。
 

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3. 事業承継マッチング支援の申し込みに必要な書類

事業承継マッチング支援を利用するには、所定の申込書類の提出が必要です。主に以下の書類が必要となりますが、詳細は必ず日本公庫の公式サイトで確認してください。

  • 事業承継マッチング支援申込書(指定様式)
  • 直近1期分の確定申告書・決算書の写し
  • 企業概要書、商品・製品パンフレットなど
  • 【該当する場合】商工会議所などからの紹介状

提出した書類は返却されないため、決算書などの重要書類は必ずコピーを提出しましょう。書類はメールまたは郵送で受け付けており、送付先は日本公庫の公式サイトに記載されています。

個人事業主の事業譲渡の手続き方法や注意点については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】個人事業主の事業譲渡の手続き方法・注意点まとめ!税金や契約書の書き方も解説!

4. もう一つの選択肢「事業承継・引継ぎ支援センター」とは

後継者人材バンクは、事業承継・引継ぎ支援センターにて実施している事業のうちのひとつです。事業承継・引継ぎ支援センターは、全国の都道府県に設置しているものであり、事業承継とM&A支援をワンストップで行う体制が整っています。

後継者不足の中小企業や個人事業主と、事業を引き継ぎたい企業や個人とのマッチングを事業として行っているのが大きな特徴です。

創業希望者は主に、経験や技術を生かして独立したい、U・I・Jターン希望者なども多く、事業承継・引継ぎ支援センターが後継者不在の会社や個人事業主に対して、引き合わせを実施します。

事業承継・引継ぎ支援センターの相談件数・成約件数は増加しており、令和2年度の実績は相談件数が11,686件、成約件数が1,379件との結果が出ています。

5. 公的支援とどう違う?M&A仲介会社を活用する選択肢

公的支援は無料で利用できる魅力的な選択肢ですが、民間のM&A仲介会社とはサービス内容に違いがあります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合わせて最適な相談先を選ぶことが重要です。

支援範囲と専門性の違い

公的なマッチング支援は、主に「相手探し(マッチング)」に特化しています。一方、M&A仲介会社はマッチングはもちろん、企業価値の算定、交渉の代理、デューデリジェンスのサポート、契約書作成支援まで、M&Aプロセス全体を一貫してサポートします。複雑な交渉や法務・税務面での専門的なアドバイスが期待できるのが大きな強みです。

手数料体系の違い

日本公庫や事業承継・引継ぎ支援センターの相談やマッチング支援は、原則として無料です。これに対し、M&A仲介会社は着手金や成功報酬といった手数料が発生します。ただし、近年は完全成功報酬制(M&Aが成約するまで費用がかからない体系)を採用する仲介会社も増えています。

状況に応じた最適な相談先の選び方

「まずは情報収集から始めたい」「費用をかけずに相手を探したい」という段階であれば、公的支援の活用が有効です。一方で、「より有利な条件で交渉を進めたい」「法的なリスクを確実に回避したい」「スピーディーに承継を完了させたい」といった具体的なニーズがある場合は、専門的な知見を持つM&A仲介会社への相談が適しているでしょう。両者を併用し、段階に応じて使い分けることも賢い選択です。

6. 事業承継マッチング支援のまとめ

中小企業・小規模事業者の多くが後継者問題を抱えており、廃業に危機に瀕しています。廃業件数の急増は日本経済への打撃も懸念されており、対応策として日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援がスタートしました。

事業承継問題に悩んでいる場合は、事業承継マッチング支援を受けることで廃業以外の選択肢が見つかる可能性もあります。

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