会社譲渡とは?メリット・デメリットに、詳しい手続きの流れ、従業員の処遇まで

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

会社譲渡とは、自社の発行済み株式を譲渡して経営権を移行する方法です。会社譲渡には、後継者問題を解決できるメリットがありますが、デメリットも理解しておく必要があります。今回は、会社譲渡のメリット・デメリット、手続きの流れを解説します。

目次

  1. 会社譲渡とは
  2. 会社譲渡と事業譲渡の違い
  3. 会社譲渡のメリット
  4. 会社譲渡のデメリット
  5. 会社譲渡をしたときの処遇や影響
  6. 会社譲渡による資産・負債の取り扱い
  7. 会社譲渡の手続き方法
  8. 会社譲渡の必要書類
  9. 会社譲渡をしたときの会社の価格
  10. 会社譲渡で高い価格がつく条件
  11. 会社譲渡するときの注意点
  12. 会社譲渡の成功ポイント
  13. 会社譲渡の成功事例
  14. 会社譲渡を検討するならM&A仲介会社に相談しよう
  15. 会社譲渡のまとめ
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1. 会社譲渡とは

会社譲渡とは、譲渡会社の株主が保有株式を第三者に譲渡する行為のことです。会社の経営権は譲渡先の譲受企業に譲ることになります。なお、会社譲渡は、株式譲渡と呼ばれるM&A手法をさして使われることも多いです。

株式譲渡

株式譲渡では株主が変わるだけです。そのため、社名や会社の持つ資産や負債、取引先などとの契約関係はそのまま引き継がれます。顧客や取引先から見ると、大きな変化を感じることはありません。

組織内も別会社との統合ではないため、従業員へ影響が少ない点もメリットと言えます。このように、簡単な手続きでスムーズに経営権を譲渡できる点に特徴があります。

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2. 会社譲渡と事業譲渡の違い

M&Aには複数の方法があり、譲渡対象の範囲や権利・義務の承継が変わります。会社譲渡と事業譲渡は混同されやすいですが、両者は何が違うのでしょうか。まずは会社譲渡と事業譲渡の違いを説明します。

事業譲渡とは

事業譲渡

事業譲渡とは、複数の事業を展開する企業が事業の一部または全部を他者へ売却する方法をいいます。会社譲渡と事業譲渡の大きな違いは、株式の移転を伴わないこと、売却対象および範囲を指定できることです。

会社譲渡の場合は売り手企業が買い手企業の傘下になりますが、事業譲渡の場合は法人格が残るため、売却対象以外の事業をそのまま続けることが可能です。

また、対価の受け取り先にも違いがあり、会社譲渡では株主(オーナー)が受け取るのに対し、事業譲渡では会社(法人)へ利益が入ります。

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3. 会社譲渡のメリット

会社譲渡の実施によってさまざまなメリットが期待できるものの、その一方でデメリットも少なからず存在します。本章では、会社譲渡の実施により生じる可能性のある代表的なメリット・デメリットを順番に解説します。

後継者不在の解決

会社譲渡することで、後継者問題を解決できます。日本政策金融公庫によると、60歳以上の50%を超える経営者が将来の廃業を予定しており、その中で後継者問題が理由の廃業は約30%です。しかし、会社譲渡することで、後継者問題を解決できるでしょう。

創業時は自身の子どもや社内の後輩に任せようと考えていても、断られてしまうケースも多くあります。外部から自社の経営者にふさわしい人を探すことは決して容易ではありません。

自身が経営から引退することで自分の会社を廃業してしまうのは悲しいものです。廃業すると、現在の顧客や取引先との信頼関係も無駄にしてしまいます。

しかし、会社譲渡をすれば、第三者が会社を引き継いで事業を継続するため、後継者問題は解決可能です。廃業を決めてしまう前に、会社譲渡を検討することをおすすめします。

雇用や契約の維持

会社譲渡をすることで、従業員の雇用や取引先との契約を維持することが可能です。もしも経営者が早期リタイアをしたり、事業への熱意がなくなったりして、会社を手放してしまうと、従業員の雇用や取引先との契約をすべて失います。

会社譲渡は、経営者が変わるのみで従業員や取引先との関係はそのまま続くでしょう。このように、会社を清算する選択をせずに、雇用や契約の維持のために会社譲渡を選ぶ経営者は多くいます。ただし、雇用や契約の維持ができるからといって、影響があるかもしれません。

経営者利益の獲得

会社譲渡すると、創業者利益を得られます。創業者利益とは、創業者が会社設立時から保持する自社株を売却することで得られる利益のことです。

会社の株の価値は設立時が最も低いのが一般的ですが、会社を経営し事業が拡大していくと同時に株の価値も上がります。会社譲渡をする際は、価値が大きく引き上がった株式を売却するため、大きな利益につながるでしょう。

もしも廃業をしてしまうとこのような利益を得られません。むしろ会社清算に費用が掛かってしまい、マイナスになってしまうおそれもあり得ます。経営から引退する際には、会社譲渡をすることでリタイア後にお金に困らない生活を送れる可能性があります。

個人保証の解消

会社譲渡は、資産・負債は買い手企業へ包括的に引き継がれる方法です。そのため、売り手企業経営者の個人保証も原則として買い手企業が引き継ぐかたちとなります。

その際は、融資先(金融機関)での解除手続きが必要であり、会社譲渡によって自動的に個人保証が外れるわけではありません。金融機関との交渉や手続きは必要ですが、個人保証が解消されるのは会社譲渡の大きなメリットでしょう。

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4. 会社譲渡のデメリット

会社譲渡を行う際は、生じうるデメリットも考慮したうえで慎重に判断しなければなりません。ここでは、会社譲渡の主なデメリットを紹介します。

旧経営者として拘束される可能性

M&A後の事業運営をスムーズに行うためには、売り手企業から買い手企業への引継ぎが必要です。そのため、ほとんどのケースでM&A後は売り手企業の経営者(経営陣)が一定期間に渡り買い手企業へ在籍して業務にあたります。

この取り決めを「ロックアップ」といい、期間は3年程度であることが一般的ですが、売り手企業の経営者(経営陣)にとってこの期間は拘束されることがデメリットのひとつです。

破談のおそれ

M&Aは必ず成立するというわけではありません。基本合意を締結しても、デューデリジェンスで大きな問題やリスクがみつかれば、交渉が破談となる可能性もあります。

そうなれば、M&A仲介会社へ支払った着手金や中間金、買い手企業はデューディリジェンス費用は当然無駄になりますが、M&Aには破談するリスクがあることも理解したうえで行うことが重要です。

従業員への影響

従業員同士で信頼関係がすぐに築ければよいですが、派閥ができてしまったりモチベーションが下がってしまったりする可能性もあります。

M&A後の大量離職につながるおそれもあるため、従業員への影響にも配慮してM&Aを進めていくことが重要です。

取引先への影響

売り手企業の取引先も、少なからずM&Aの影響を受けることとなります。会社譲渡時は取引先との契約や関係も買い手企業へ引き継がれますが、すべての取引先がM&Aを好意的に捉えるとは限りません。

また、M&A後に買い手企業の意向によって、契約が中止となる可能性も考えられます。売り手企業はM&A実施については取引先の理解が得られるよう、丁寧に説明しておくことが重要です。

売却先が見つからない可能性

会社譲渡を行うためには、まず買い手候補企業を探さなけばなりませんが、業種・地域・M&Aを行うタイミングなどによっては、相手先がすぐにみつからないケースもあります。

また、交渉相手企業がみつかっても必ずM&Aが成立するという保証はなく、売却先がみつからず売却を断念せざるを得ないこともあるでしょう。

売り手企業はM&Aは必ず成功するというものではなく、また売却先がみつからない可能性があることを理解しておく必要があります。

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5. 会社譲渡をしたときの処遇や影響

会社譲渡を行った後、自社で働いている従業員や取引先との関係がどのようになるのか気になるのは当然です。そこで、以下の4つを会社譲渡の後でどのようになるのか解説します。

①経営者の処遇

会社譲渡の後に売り手企業の代表は退任し、買い手企業から新たな社長や取締役員が選任されるケースが多いでしょう。しかし、退任となった後も、事業の引き継ぎのために一定期間会社にとどまる契約になるケースは多くあります。期間は3カ月~2年とさまざまです。その間は会長や顧問などの役職に就き、事業を引き継ぐための助言を行う役割を担います。

一方で、会社譲渡した後も第一線で活躍する経営者も多いです。経営者が会社譲渡後、どのように過ごしたいのか希望を伝え、できるだけ契約内容で明確にしておきましょう。

②従業員の処遇

会社譲渡の後、従業員の処遇は良くなることがほとんどです。その理由は2つあります。

1つ目の理由は、買い手企業は基本的に売り手企業よりも資本金など規模が大きいためです。会社譲渡の後、従業員の給料形態や福利厚生の内容は買い手企業に合わせることが多いため、条件アップにつながります。

2つ目の理由は、ノウハウ・スキルを持っている従業員は、スペシャリストとして優遇されるためです。買い手企業は、売り手企業の持つノウハウやスキルに魅力を感じ、会社を譲受します。そのノウハウ・スキルを持つ従業員は評価がされやすいでしょう。

ただし、こういったケースが多いのは事実であっても、しっかりと契約時に従業員の処遇を明確にしておく必要があります。「数年はリストラをしない」「最低給与は○円」など、契約書に従業員の処遇に関する条件を明記しておきましょう。

③取引先との関係への影響

取引先との契約は、買い手企業の名義に変更されます。基本的に契約内容は同じままで、名義のみ変更するのが一般的です。しかし、会社譲渡の後に契約内容が変更される場合は、取引先から反発があったり、契約打ち切りの事態に陥ったりする可能性があります。

中小企業では、「現在の経営者だから」というような理由で取引が成立している取引先も多いです。そのような場合、「経営者が変わったのなら取引は終わらせたい」と考える取引先が出てくるケースもあります。

会社譲渡の後も良好な関係を続けたいのであれば、会社譲渡の旨を説明するために経営者が出向くようにしましょう。そこで、取引継続のお願いをすることで、取引先との関係に影響が及ぶリスクを抑えられます。

④債権者への影響

銀行などの金融機関から借入をしている場合、債権者への影響も気になるはずです。会社譲渡をして経営者が変わったとしても、現在の債務者(売り手企業)と債権者の関係が変化することはありません。ただし、現在の経営者が会社の連帯保証人の場合、新しい経営者に連帯保証人を書き換えることが必要です。

連帯保証人の書き換えには時間がかかるため、会社譲渡がスムーズに完了できないおそれがあります。連帯保証人の書き換えはせずに、会社譲渡をしたタイミングで銀行に一括返済するケースが多いです。債権者への影響は特にありませんが、現在の経営者が連帯保証人の場合には注意しましょう。

⑤会社名について

企業を譲渡した際の会社名ですが、一般的には会社名はそのまま継続されます。取引先や従業員の混乱を避けるために、会社名は継続する方が有効なことが多いのが、その理由です。

ただし、買収側企業のグループ企業であることを会社名に示す方が、会社の成長にプラスに働くこともあります。会社譲渡を行う際の契約で、今後の会社名に関して取り決めるようにすると、納得できる方法を取ることが可能です。

会社譲渡を行うにはさまざまな専門的な知識が必要となるため、会社譲渡をお考えの場合はぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には、会社譲渡の知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、案件を親身になってフルサポートします。

無料相談を行っていますので、会社譲渡をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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6. 会社譲渡による資産・負債の取り扱い

会社資産

会社譲渡の場合、M&Aの対象となるのは売り手企業の経営権(株式)です。資産・負債・権利義務は買い手へ包括承継されるため、売り手企業の保有資産はすべて買い手企業へと引き継がれます。

会社負債

会社譲渡の場合、売り手企業の負債もM&A対象に含まれるため、M&A後は負債もそのまま買い手企業へ引き継がれます。

買い手企業は買収価額を決定する際に売り手企業の負債額も加味するため、負債額が大きい場合は価額が低くなることが多いです。

連帯保証・担保提供

前述したように、会社譲渡を行うと売り手企業の経営者が負っている連帯保証や担保は、ほとんどの場合で解除されます。これらはM&Aによって自動的に解除されるわけではないため、融資を受けた金融機関と事前に交渉を行っておき、そのうえで解除手続きが必要です。

ただし、売り手企業の経営者がM&A後も買い手企業と強く関わるケースや場合や株式の一部のみを譲渡するケースでは、連帯保証や担保の解除ができない場合もあります。

7. 会社譲渡の手続き方法

続いて、実際に会社譲渡をする際の手続き方法を解説します。会社譲渡をする際は、大きく8つのステップに分けられます。

①社内で検討する

会社譲渡をするにあたって、社内で検討する必要があります。たとえ会社譲渡をしようと経営者が決断しても、いきなり手続きに移ることは難しいです。目的を達成するために、どのような方針で譲渡を行うのかを固めましょう。検討する内容は、大まかに3つあります。

1つ目は、会社譲渡が本当に自社にとって最善の経営判断なのかです。他の方法で経営が改善できるかもしれません。2つ目は、会社譲渡の相手はどのような会社を選ぶのかです。相手選びは会社譲渡の成功に大きく関わります。3つ目は、何月何日までに会社譲渡を終えるのか、つまりは期日です。

②M&A仲介会社に相談する

会社譲渡に関して社内で検討ができたら、M&A仲介会社に相談しましょう。できれば自社のみで手続きを完結させたいと思うかもしれませんが、会社譲渡の手続きを進めるのは専門家でなければ難しいです。

もしも自社のみで実行しようとすると、機密情報が漏えいするなど、思いがけないトラブルに発展してしまうおそれがあります。M&A仲介会社の協力を受けながら進めてください。

③買い手企業を選定する

会社譲渡をサポートしてくれる専門家が決まったら、次は買い手企業を選びます。もともとある自社のつながりから選ぶのも良いですが、基本的にはM&A仲介会社に買い手候補を提案してもらうことが多いです。

なぜ会社譲渡を行いたいのか、会社譲渡の目的を明確にしながら理想の譲渡先を考えましょう。目的と希望する条件をM&A仲介会社に伝えると、当てはまる候補を教えてもらえます。

④トップ面談を行う

自社にふさわしい買い手候補が見つかり、相手側も会社譲渡を進めたいと考えていれば、トップ面談を行います。

トップ面談とは、経営者同士が実際に会社譲渡に関して話し合うことです。会社譲渡の経験がなく、どのように話し合えば良いのかがわからない場合でも、M&A仲介会社が間に立って進めてくれるためご安心ください。

⑤基本合意契約を交わす

買い手から意向表明書が出された後、内容を読んで問題がなければ同意します。

意向表明書に同意することで、次は基本合意契約に進みます。基本合意契約は、お互いが会社譲渡に前向きな姿勢を取ることを示す契約です。その後のデューデリジェンスで大きな問題がなければ、会社譲渡が成立する可能性は高いでしょう。

⑥デューデリジェンスを行う

基本合意契約を結んだら、買い手側企業はデューデリジェンスの手続きを取ります。

デューデリジェンスは、売り手企業の調査を行うことです。例えば、法務・税務・会計などの詳細な資料の提出や、会社や工場などへの専門家の訪問などの方法で企業調査が行われます。

買い手企業が会社譲渡によるリスクをできるだけ下げて、対策を取るために行う手続きだといえます。

⑦最終合意契約を交わす

デューデリジェンスで問題なければ、最終合意契約を交わす準備を始めます。ここでは、譲渡価格・支払い方法・従業員の今後の処遇・最終契約に至るまでのスケジュールを決めます。

もちろん一方的に決めた内容を押し付けるのではなく、お互いに納得するように話し合うことが大切です。その後、話し合った内容で最終合意契約を行います。

⑧統合作業を行う

最終合意契約を交わしても、会社譲渡は完全に終わっていません。

譲渡価格を支払ってもらい、さまざまな契約や権利の譲渡などの買い手企業が円滑に経営を行うための手続きを進めます。細かな手続きを行いクロージングしながら、売り手企業の従業員を買い手企業のシステムになじませる統合作業も行わなければなりません。

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8. 会社譲渡の必要書類

会社譲渡(株式譲渡)の実施に際して求められる書類は、主に以下のとおりです。

  • 株式譲渡承認請求書
  • 株主総会招集に関する取締役の決定書
  • 臨時株主総会招集通知
  • 臨時株主総会議事録
  • 株式譲渡承認通知書
  • 株式譲渡契約書
  • 株式名義書換請求書
  • 株主名簿
  • 株主名簿記載事項証明書交付請求書
  • 株主名簿記載事項証明書

株式譲渡のM&A手法を用いた会社譲渡では、相手側企業との間で株式譲渡契約書を締結します。株式譲渡契約書には、譲渡側・譲受側の双方が必要事項を記載しなければなりません。

上記にまとめたとおり、会社譲渡の手続きではさまざまな書類の準備が求められることから、手続きをスムーズに進めるためにもM&Aの専門家にサポートを求めることが望ましいです。

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9. 会社譲渡をしたときの会社の価格

会社譲渡の際、会社の売却価格は買い手企業との交渉で決まりますが、互いの希望価額で話し合いをしてもまとまる可能性は当然低いでしょう。そのため、会社譲渡時の価額は「企業価値」をベースに交渉して、最終的な価額を決定します。ここは、企業価値の求め方や会社譲渡時の大まかな目安の出し方をみていきましょう。

企業価値の求め方

会社譲渡をする際、経営者としては会社の価格が気になるのは当然です。会社の価格は、企業価値によって決まります。譲渡価格決定の目安となる「企業の価値」を算定する方法には、以下の3つのアプローチがあります。

①コストアプローチ

コストアプローチとは、企業の純資産を基準に企業価値評価を行う方法です。コストアプローチの中でも、時価純資産価格法と修正簿価純資産法の2つに分かれます。時価純資産価額法とは、帳簿上のすべての資産と負債を時価で再評価し、純資産の金額を計算して企業価値評価をする方法です。

一方で、修正簿価純資産法は、有価証券や土地・建物などで含み損益が大きい項目のみを時価修正し、企業価値評価をする方法です。すべての資産・負債を再評価しません。

すでにある帳簿上の結果をもとに算出されるため、客観性に優れています。しかし、将来会社が生み出す利益を加味されていない点がデメリットです。

②インカムアプローチ

インカムアプローチとは、将来期待される収益を現実的なリスクなどを考慮した割引率で割引くことで企業価値評価を行う方法です。

インカムアプローチでは、DCF法(Discount Cash Flow法)が用いられます。譲渡する会社の資産や事業計画書などをもとに、譲渡後どれほどの収益が見込まれるのかを計算し企業価値を算出します。

DCF法では将来見込まれる利益やリスクを加味できるため、会社譲渡で多く使われます。

③マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、株式市場において成立する価格をもとに企業価値評価を行う方法です。マーケットアプローチには、類似業種比準方式と類似会社比準方式による算定方法があります。

類似業種比準方式とは、評価対象の企業と同一業種・同一規模の標準的な企業とを比べて企業価値評価を行う方法です。ただし、この方法は会社譲渡のときに使われることはなく、一般的には相続税の算定をする際に使われます。

一方、類似会社比準方式とは、対象の企業と同一業種・同一業界の上場企業の株価をもとに企業価値評価を行う方法です。会社の持つ資産が少ない場合でも、その業界自体の価値が高かったり、先進的なビジネスモデルであったりすれば、相場金額が高くなります。

会社譲渡の簡単な相場計算方法

会社譲渡の価額は最終的に交渉で決まりますが、だいたいの目安をあらかじめ把握したい場合は簡単な計算で出すことが可能です。

これは「年買法」という方法で、計算式「時価純資産総額+営業利益の数年分」に数字を当てはめれば求めることができます。営業利益の何年分を乗じるかは任意設定ですが、一般的には3〜5年の間とするケースが多いです。

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10. 会社譲渡で高い価格がつく条件

会社譲渡するのであれば、できるだけ高い価格で譲渡したいと考えるのが自然です。そこで、M&Aで会社の譲渡価格を上げるための3つの条件をお伝えします。

①独自の強みを持っている

独自の強みを持っていることは重要です。他社にない強みといえる部分があるなら、その部分を全面に押していくべきです。買い手は他社と差別化できる部分に敏感であるため、手に入れたいと思ってもらえれば譲渡価格は自然に高まります。

自社には何もないと感じている人もいますが、技術力・権力・ブランド力のみではなく、顧客リスト・独自のエリア・優秀な社員も十分に独自の強みとなり得ます。

もしもそれでも思いつかないなら、従業員にアンケートを取ってみるのも良いでしょう。経営者が判断するのではなく、客観的に見てどこに強みがあるのか探してみます。たとえ小さなことでも、独自の強みのある企業は貴重なので、洗い出しを行ってください。

②事業の利益が出ている

事業に利益が出ていることは当たり前と感じる人もいますが、安定した利益で将来性が見込める状態と制限が付くと、決して当たり前の状態とはいえません。

安定した収益性は、投資によって今後も事業が伸びることを伝える大きなポイントです。これは中小企業でも同じで、今後も経営を続けていくには十分に将来性が認められることも大切な判断基準です。

どうすれば良いのか悩む場合は、現在の収益性と経費を調べましょう。そして、無駄な経費を削り、現在でも伸ばせるところがあるならすぐに動き出します。法務・財務も一緒に調べておくことをおすすめします。健全な状態でなければ、売買時にトラブルになるため、問題があるなら対策を施しましょう。

このように、単純に事業の利益が出ているだけでも価値を上げられる点となるため、チェックしてください。

③健全な法務・財務状況である

先ほども解説しましたが、以下にまとめた点を中心に、健全な法務・財務で運営できているか確認しましょう。

リスクがあると価格が下げられてしまうだけではなく、会社譲渡自体がなくなる可能性もあるため注意が必要です。

  • 訴訟問題を抱えていないか
  • 取引先との契約に問題がないか
  • 会計処理が適正に行われているか
  • 簿外債務がないか

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11. 会社譲渡するときの注意点

会社譲渡を検討するなら、事前に知っておきたい注意点が3つあります。

①税金が発生する

会社譲渡で得た譲渡益には、税金が発生します。譲渡益とは、会社の譲渡価格から諸経費を引いた金額のことです。会社譲渡は会社を売る行為であり、利益が出るために税金が発生します。

課税される税金は株主が個人か法人かで違うため、それぞれの税金の額を確認しておきましょう。

株主が個人だったときの税金の額

株主が個人だった場合に会社譲渡で発生する税金の額は、譲渡益×20.315%で求められます。

会社譲渡を行い、譲渡対価をもらう人が経営者であれば、譲渡益は譲渡所得となります。譲渡所得は、所得税と住民税の課税対象です。

所得税が15.315%、住民税が5%であるため、譲渡所得の20.315%の税金を払う必要があります。

株主が法人だったときの税金の額

株主が法人だった場合に会社譲渡で発生する税金の額は、譲渡益×19.0~23.2%程度です。株主が法人であれば、対価は会社が受け取ります。譲渡益は営業で発生した利益とみなされることから、法人税の対象となるでしょう。

法人税は、譲渡益の19.0~23.2%程度で、各企業によって税率は異なります。したがって、会社譲渡をする際は税金を加味した譲渡価格を交渉しましょう。

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②経営者にロックアップがかけられる

会社譲渡をすると、経営者にロックアップがかけられる可能性があります。ロックアップとは、会社譲渡後に一定期間にわたり譲渡先の会社で働くことを約束する条項です。

ロックアップの期間は買い手企業の要望や取引条件によって異なりますが、一般的には2年~3年程度です。ロックアップ期間を設けることで、買い手からすると「買収した事業を円滑に運営できる」メリットを得られるからです。

会社譲渡後も積極的に働きたい人にとっては問題ないものの、会社譲渡後は働きたくない人や他の事業を立ち上げたい人にとってはデメリットです。ただし、ロックアップを契約条件にしない買い手企業も多くあります。

どうしても必要な場合は、ロックアップの期間を短くするなど、経営者にとって有利になる条件交渉が必要です。

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③新事業の領域が制限される

会社譲渡をした場合、現経営者の新事業の領域が制限されます。これは、競業避止義務と呼ばれ、買い手企業の利益を保護するために売り手企業が負う義務です。例えば、会社譲渡後は、売却した事業の人脈や技術などを活用して事業を立ち上げられません。

なぜなら、買い手企業の競合となってしまい、買い手企業の利益が損なわれる可能性があるためです。このことから、一般的に契約書には競業避止義務が盛り込まれます。会社譲渡後に新規事業を始めようと思っている人は注意しなければなりません。

12. 会社譲渡の成功ポイント

ここまで紹介したメリット・デメリット、注意点などを踏まえて、本章では会社譲渡を成功させるために役立つポイントとして、代表的な3点をピックアップし順番に解説します。

事前準備を入念に行う

会社譲渡のプロセスを進めるにあたって、あらかじめ準備を入念に行っておくことが望ましいです。具体的にいうと、会社譲渡の目的や、採用する手法などを十分に考えておく必要があります。

適したタイミングで会社譲渡を実施することも重要です。業界の市況が悪かったり、自社の業績が悪かったりするタイミングで会社譲渡相手を募集すると、相手が見つからなかったり、企業価値よりも低い金額で交渉が進んでしまったりするリスクがあるため注意しましょう。

簿外・偶発債務を事前に把握する

会社譲渡を成功させるうえで、あらかじめ相手企業に潜んでいる簿外債務や偶発債務などを把握しておくことも大切です。そのためにも、徹底的にデューデリジェンスを実施することをおすすめします。

企業価値の向上

M&Aでは企業価値が高いほど高額での売却を見込むことができます。そのため、売り手企業はM&Aを行う前に可能な限り企業価値の向上を目指しておくことがポイントです。

企業価値の構成要素は純資産額や利益といった数字に表れるもの以外に、ノウハウ・技術力・人材などもあります。短期間で取り組むのは難しいものもありますが、たとえば技術力を磨いたりコスト削減を行ったり、可能な要素から行っていくとよいでしょう。

そのほか、簿外債務の有無を確認し、未払い残業代など処理できるものはM&A前に行っておくことも重要です。

買い手へ正確な情報開示

M&Aにおいて売り手企業は買い手企業に対して自社の財務情報・人事構成・ノウハウや技術に関する内容などさまざまな情報を開示します。それらの情報は買い手企業がM&A実行や買収価額・条件の妥当性を判断する材料となる重要なものです。

売り手企業にとっては伝えたくない情報も含まれていることもあるでしょう。ですが、隠したりごまかしたりせず正確に伝えることが重要です。

情報を隠したりごまかしたりしても、ほとんどはデューデリジェンスで発覚することとなり、万一そのままM&A成立に至っても後から発覚すれば損害賠償請求に発展する可能性が極めて高く、そうなれば企業としての信頼も失うことになります

売り手企業は買い手企業へ正確な情報を開示し、自社にとって不利益な情報でも正直に伝えることが重要です。

情報漏えいに注意する

M&Aでは自社の秘密情報を買い手企業へ開示するため、情報漏洩には注意が必要であり、開示前には必ず秘密保持契約を結ぶことが重要です。

また、M&Aを行うことが検討段階や交渉段階で第三者へ伝われば、企業価値の低下や従業員の離職へつながるおそれもあります

M&Aを行う際は情報漏洩のリスクがあることを意識しておくとともに、社内での情報共有範囲を最小限にするなどしっかり対策を行っておくことが重要です。

会社譲渡の専門家に相談する

ここまでに紹介したポイントを実践するうえで、会社譲渡の専門家に相談しサポートを得ることは効果的な施策です。

会社譲渡の専門家にサポートを依頼することで、手続きをスムーズに進められるだけでなく、相手先企業との間でトラブルが発生するリスクを抑制できるメリットも期待できます。

会社譲渡はM&A総合研究所にご相談ください

会社譲渡をお考えの場合は、ぜひM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。専門的な知識を持ち合わせているM&Aアドバイザーが在籍しています。機動力に強みがあり、最短3カ月で成約した実績も有しています。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。会社譲渡をご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。

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13. 会社譲渡の成功事例

従業員の雇用維持とさらなる成長を目指した会社譲渡の事例

自社のさらなる成長と従業員の雇用維持を目的として、会社譲渡を行った事例です。売り手側の株式会社フォーティファイヴは情報通信業を手掛ける大阪府の企業で、コンテンツ制作を中心にWEB・紙媒体のデザインまで一貫で行っています。

買い手となったのは同じく通信業を手掛けるラグザス株式会社です。ラグザスは、「カーネクスト」や「忍者CODE」などプラットフォーム事業を主に展開しています。

売り手側フォーティファイヴは今後事業を成長させていくためにはM&Aが選択肢のひとつとなると考え、従業員と事業の維持を希望条件として会社譲渡に至りました。買い手側のラグザスはフォーティファイヴのもつクリエイティブ力やコンテンツ力の高さ、実績を高く評価し、M&Aが成立しています。

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従業員の雇用と取引先を守るための会社譲渡事例

経営者の年齢と健康上の不安から、従業員の雇用と取引先を守るために会社譲渡を決断した事例です。売り手側のフレコード株式会社は製造業を手掛ける企業で、主にアクリルシートやアクリル樹脂の加工を行っています。

買い手となった株式会社スター・レジンは、フレコードと同じ製造業を手掛ける企業です。主に合成樹脂に関係する材料や加工品の手配および販売を手掛けています。

売り手側フレコードの社長は自身の年齢と健康上の不安からM&Aを検討し始め、従業員の雇用と顧客を守る手段として会社譲渡を行うこと決断しました。一方で買い手側のスター・レジンは同業種間でのシナジー発揮が見込める判断しM&Aが成立しています。

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後継者不在による事業承継のための会社譲渡事例

後継者不在による事業承継目的での会社譲渡事例です。売り手側の株式会社KONNOPROは金属製品精密加工業を手掛ける企業で、精密加工部品の製造・卸売を行っています。買い手となった株式会社ROCKY-ICHIMARUは、タイヤやバルブの製造設備機器、高圧油圧機器の製造を手掛ける企業です。

売り手側KONNOPROの社長は自身の入院をきっかけに自社の将来を考えはじめ、後継者不在だったためM&Aという選択を決断しました。

一方で買い手側のROCKY-ICHIMARUは新規事業への足掛かりとしてKONNOPROの取得を決定、工場整備がしっかりされている点やキーマンが存在していることなど決め手となりM&Aが成立しています。

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さらなる事業拡大を目指した会社売却事例

事業拡大を目指して会社譲渡を行った事例です。売り手側の株式会社真永は塗装・印刷業を手掛ける企業で、独自ノウハウや特許保有設備を持ち、東海エリアでの豊富な実績を有しています。

買い手となった東洋ドライルーブ株式会社は、化学工業製品製造業を行う事業会社です。固体被膜潤滑剤「ドライルーブ」研究開発から製造・加工、販売までをワンストップで行っており、国内外に拠点を構えています。

売り手側の真永は、ロボット更新や設備の老朽化などの問題を抱えており、その解決手段としてM&Aを選択しました。希望条件だったロボット入れ替えと新工場建設、従業員の雇用維持が受け入れられたことが決め手となり、東洋ドライルーブへの売却を決断しています。

一方で買い手側の東洋ドライルーブは、真永の強みである特殊曲面印刷を譲受することで事業拡大が図れること、シナジー効果に期待できることが決め手となりM&Aが成立しました。

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14. 会社譲渡を検討するならM&A仲介会社に相談しよう

会社譲渡を検討するなら、M&A仲介会社に相談しましょう。

本章では、その理由を詳しく説明するために、会社譲渡における役割とM&A仲介会社の役割や相談するメリット、気になる費用などを解説します。

M&A仲介会社の役割

まずは、M&A仲介会社の役割として以下の項目を紹介します。

スケジュールと戦略の決定

会社譲渡の専門家であるM&A仲介会社に相談することで、スケジュールと戦略を決定してもらえます。

会社譲渡は、社内で検討を始めてから買い手企業との統合作業を終えるまでに約3カ月から1年程度かかることが一般的です。したがって、しっかりとスケジュールを立てなければ、目的を達成するのは難しくなってしまいます。

どのような買い手企業を選ぶのか基準を明確にし、買い手企業にどのようにアピールしていくかを決定することも大切です。選定基準やアピールポイントを定めておけば、スケジュールどおりに会社譲渡を進めやすくなります。

譲渡先の選定

買い手企業の条件は自社で考えられますが、最終決定前にM&A仲介会社のアドバイスを受けておくことも良いでしょう。

M&A仲介会社は、さまざまな案件を過去に受け持ってきた会社譲渡のプロフェッショナルです。自社が行う譲渡と同じようなケースを見てきているケースも多く、成功へのイメージが複数あることも珍しくありません。

M&A仲介会社に譲渡先選びを相談することで、社内では思いもよらなかった買い手を見つけられる場合もあります。

譲渡条件の交渉

会社譲渡でつまずきやすいのが、譲渡する条件を交渉する段階です。

買い手も売り手も最初に考えるのは自社の利益であるため、当然だといえます。譲渡条件の交渉を進める際のポイントは、公平性のある提案をしお互いに不満を持たないよう話し合うことです。

過去の類似事例を参考にしながら条件を提案していけば、公平性を感じてもらいやすくなります。

交渉前にM&A仲介会社に過去の事例にはどのようなものがあるのかを聞いてみましょう。M&A仲介会社と一緒に要望の上手な伝え方や妥協する条件も事前に考えたうえで、落ち着いて交渉に臨むことが大切です。

弁護士や会計士などの紹介

M&A仲介会社には、弁護士や会計士などの専門家を紹介してもらえます。M&A仲介会社に弁護士や会計士が所属しているケースも珍しくありません。会社譲渡の際に必要な契約書の作成や正しい会計処理は専門家でなければ難しいです。

したがって、M&A仲介会社に依頼するか、手続きに慣れている専門家の紹介を受けましょう。これにより、安心して手続きを進められます。

M&A仲介会社を活用するメリット

M&A仲介会社を頼ることで、スムーズに会社譲渡を行えます。会社譲渡を行う際に、仲介会社を利用するメリットは主に3つです。

  • 経営者が本業に専念できる
  • 取引の適正さを確保できる
  • 思わぬトラブルを回避できる

経営者が本業に専念できる

M&A仲介会社からサポートを受けることで、経営者はこれまでどおり本業に専念できます。

会社譲渡には多くの手続きが必要であり、検討すべき事項は決して少なくありません。平常どおりに経営をしながら片手間で会社譲渡を行うのは現実的ではありません。

本業がおろそかになり収益性を低くしてしまっては本末転倒です。M&A仲介会社のサポートを受けて、本業に影響を与えないまま会社譲渡を成功させることが大切です。

取引の適正さを確保できる

M&A仲介会社にサポートしてもらえば、取引を公平に保てる点もメリットです。買い手・売り手の当事者のみで公平性を維持するのは非常に難しいです。

専門家に間に立ってもらうことで、第三者の視点からのアドバイスが受けられます。専門家に適正な金額を判断してもらえば、一気に交渉もスムーズになります。

思わぬトラブルを回避できる

会社譲渡を進めていくと、思わぬトラブルに見舞われることもあります。しかし、M&A仲介会社にサポートをしてもらえば、できる限りトラブルを未然に防いでもらえるでしょう。

例えば、最終契約の直前になってお互いが譲れない条件の主張を始めることで、契約自体が破談になることもあります。M&A仲介会社の力を借りておけば、破談になる前にうまく対応してもらえることも多いでしょう。

回避できるトラブルは冷静に回避するため、専門家の力は必須だといえます。

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M&A仲介会社の手数料相場

M&A仲介会社の手数料相場は、一概に提示できません。M&A仲介会社によって発生する費用は変わりますが、レーマン方式と呼ばれる成功報酬体系を採用しているケースが多いです。

レーマン方式とは

M&A仲介会社の手数料を決める際に頻繁に使用されているのが、レーマン方式です。

譲渡価格に応じて手数料が変わる算出方法であるため、小規模な取引から大規模な取引まで幅広く活用できます。ただし、手数料の割合は一定ではありません。依頼する仲介会社によって定められている割合は異なることがありますが、一般的なレーマン方式の水準は下表のとおりです。

譲渡価格 手数料の割合
5億円以下の部分 5%
5億円超・10億円以下の部分 4%
10億円超・50億円以下の部分 3%
50億円超・100億円以下の部分 2%
100億円超 1%

サポートを依頼する仲介会社の公式ホームページに割合が記載されていることも多いので、まずは確認しましょう。

15. 会社譲渡のまとめ

会社譲渡とは、譲渡会社の株主が保有株式を第三者に譲渡する行為です。会社の経営権は譲渡先の譲受企業に譲ります。後継者問題を抱えているなら、会社譲渡の実施がおすすめです。

ただし、会社譲渡の注意点を克服するためには、M&A仲介会社の協力は欠かせません。M&Aアドバイザーに無料相談を行い、できるだけ高い価格で会社譲渡を成功させましょう。

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