2022年10月18日更新
経営者の成功と失敗を比較!成功例は売却が多い?ポイントなども解説
経営者には成功する人と失敗する人がいますが、その違いには特徴が見られます。成功した経営者の特徴を手本にすることで、自身もより成功に近づくことが可能です。本記事では、成功する経営者と失敗する経営者の特徴を比較し、そのポイントを解説します。
1. 経営者とは
経営者とは会社を経営する人のことで、会社の経営方針を考えたり、それを決定して従業員に実行させたりする役割を負います。目先の利益だけでなく将来の利益を見据え、会社が将来的に安定して存続できる方法を考えるとともに、従業員のやりがいや顧客の満足といった社会貢献の役割も担っています。
「社長」も同じような意味で使われる言葉です。会長など別の人物が事実上の経営権を持っていたり、株式を保有しないいわゆる「雇われ社長」であったりするケースもあり、厳密には経営者とは違う意味の言葉です。
プロ経営者とは
プロ経営者とは、経営者としての仕事を専門とする人のことです。外部から招へいされて代表取締役などに就き、組織の人間ではない第三者の視点から経営を行うのが一般的です。
会社の経営者になる人は、その会社の役員など内部の人間が多いですが、内部の人間は会社のしがらみなどもあり、派閥争いで最善の決定ができなかったり、コーポレートガバナンスに問題が出たりすることもあります。
一方、外部から招へいされたプロ経営者の場合は、こういったしがらみにとらわれない経営を行えます。
経営者と会社員の仕事に対する考え方の違い
会社員とは、あくまでも雇用されて会社に属している人であり、経営者とは根本的な立場が異なる存在です。
経営者は企業全体を把握しておかなければならず、どうすれば自社が大きく発展するのか、好調を保てるのか、社員・取引先との関係性などを常日頃から考えています。企業経営に関して俯瞰的にとらえており、仕事を終えて自宅に帰った後も考え続けている経営者が多く見られます。
これに対して、会社員は、自身の業務に関係する部分のみを考えているケースがほとんどです。終業後に業務について考えを巡らせている会社員は少ないでしょう。
2. 経営者の成功と失敗を比較
中小企業白書のデータによると、起業から1年以内に倒産・廃業するのは約5%、3年以内は約12%、5年以内は約18%となっています。一方で、起業から短期間で業績を大きく伸ばし、成功している経営者がいるのも事実です。
成功する経営者と失敗する経営者の特徴を比較することで、成功するコツが見えます。成功者の共通点を取り入れるとともに、失敗する経営者の特徴に当てはまる事項がないか自問することが大切です。
参考:中小企業庁「平成29年版中小企業白書」
成功する経営者の考え方
経営の成功に決まった方程式はありませんが、それでも成功する経営者には共通する特徴があります。以下に挙げた7つの特徴は、成功する経営者のほとんどが持っているものとされています。
- 適切なビジョンを掲げる
- 人間的な魅力がある
- コミュニケーション能力がある
- 状況対応力・自己変革力
- さまざまな考え方を受け入れる
- 社外の人脈を広げていく
- 自分に進言できる参謀を育てる
適切なビジョンを掲げる
経営には決まった正解がなく、経営者によって正しいと考える経営方針は違います。経営者として成功するには、適切なビジョンを揚げてしっかりとした軸のある経営方針を貫くことが大切です。
経営ビジョンは、経営者の経営理念や業種によって変わります。顧客のニーズを徹底的にとらえるビジョンもあれば、自分がやりたい仕事を貫くビジョンもあります。
介護や医療系の事業であれば、利益よりも顧客の満足度や社会貢献を重視することもあるでしょう。いずれにせよ、成功する経営者は、何らかの適切なビジョンを持っていることが多いです。
人間的な魅力がある
成功する経営者は、業務面で有能なだけでなく人間的に魅力的なことが多いです。会社は人が集まって有機的に業務が行われるので、人として慕われ尊敬されることは成功のために必要不可欠です。
経営者は最高責任者として経営方針を決定しなければならないため、心理的に孤独になることが多いといわれています。一方で、新たなビジネスを生み出すためには人脈が重要であり、人脈は人間的魅力がなければ広がりません。
経営者として有能であると同時に、人としても魅力的なことが、経営者としての成功を左右します。
コミュニケーション能力がある
経営者にはコミュニケーション能力が備わっていることが大切で、成功している経営者は総じてコミュニケーション能力が高いでしょう。コミュニケーション能力を重視しない経営者もいますが、経営上の多くの問題はコミュニケーション不足から起こるといわれているので軽視すべきではありません。
コミュニケーション能力は生まれ持った要素も大きいですが、訓練によって改善できる部分もあります。苦手な人はコミュニケーションに関する本を読んだり、専門の講師から研修を受けたりすると良いでしょう。
状況対応力・自己変革力
一貫した経営ビジョンを持つことは大切ですが、会社を取り巻く状況は日々変化するので、状況に対応する能力も重要です。成功する経営者となるためには、しっかりした経営ビジョンを持つと同時に、柔軟な状況対応力も求められます。
状況に対応するためには、ときに自分を変えていく必要もあります。今までの自分の考え方や信念を見つめなおし、ときには捨てる勇気を持って自己変革していく力が、成功する経営者には必要です。
さまざまな考え方を受け入れる
経営者はさまざまな考え方を受け入れるタイプと、自分の信念を貫くワンマンタイプに分かれます。一概にどちらが優れているとはいえませんが、長期的に会社を成長させていくには自分と異なる考え方も受け入れていく必要があります。
ワンマン経営の中小企業が、経営者が考えを変えないために業績悪化する事例は少なくありません。成功する経営者となるためには、社内のさまざまな考え方を統合し、総合的な判断をする能力を身につけることが大切です。
社外の人脈を広げていく
ビジネスを発展させるためには、社外の人脈を広げていく必要があります。成功する経営者は、意識して人脈を広げるように行動しています。
人脈の広げ方はさまざまあるので、自分に合う方法を見つけることが大切です。同業他社や取引先の経営者から広げていくのは基本ですが、それ以外にも異業種交流会やセミナーに参加するなど、積極的にアクションを起こしている経営者も多いです。
SNSやYouTubeなどを活用するなど、ネットで人脈を広げる経営者も増えています。
自分に進言できる参謀を育てる
経営者は会社で最も高い地位にあるので、部下が経営者に進言したり、異を唱えたりすることが少なくなります。これは仕方のないことではありますが、視野が狭まる要因の1つです。
成功する経営者となるためには、自分に進言できる参謀を育てることも重要です。経営者と参謀は求められる能力に違いがあり、経営者向きの人と参謀向きの人がいます。
良い参謀を育てるには、参謀としての適性を見極めることが大切です。例えば、考え方が偏らずフラットに思考でき、人の話をしっかり聞く傾聴力が高い人は参謀に向いています。
失敗する経営者の特徴
ここまで成功する経営者の考え方を紹介しましたが、これとは反対に失敗する経営者にはどのような特徴があるのでしょうか。下に示した7つの兆候がある経営者は、失敗するリスクを抱えている可能性があります。
- 勉強不足
- 状況対応力が低い
- 現実を見ていない・認識できていない
- 成功体験のみを見ている
- 経営者が活躍しすぎている
- 優秀な人材を雇わない・育てない
- 人材のバランスが悪い
勉強不足
経営者は会社経営に関するさまざまな情報を常に取り入れ、勉強を続けなければなりません。経営者の勉強不足は、経営の失敗の大きな要因となります。
経営者が勉強すべき領域は幅広く、これだけやれば十分と判断できるような基準はありません。業界動向の把握やプロジェクトの内容に対する理解、財務諸表の読み方など基本的な事項も非常に重要です。
失敗する経営者は、自身の勉強不足による経営不振を従業員や景気などのせいにすることがあります。謙虚な気持ちで常に勉強を続けることが、失敗しないためには必要です。
状況対応力が低い
臨機応変な状況対応力が低い経営者は、日々変化する顧客ニーズや業界動向についていけなくなります。状況対応力のよし悪しは生まれつきの部分もあるので、どうしても苦手だと感じるタイプの経営者も少なくありません。
そのような場合は管理職研修などのセミナーを受けて、状況判断を勉強してみるのも良い方法です。
現実を見ていない・認識できていない
ビジョンや理念を掲げることは経営者として必要ですが、そればかりに拘泥して現実が見えていなければ失敗する可能性が高いです。
客観的に現実を把握できているかどうかを、自分自身で判断するのは難しいです。どんなに現実的であろうとしても、人間には認知の偏りが生じます。現実を見るためには、人脈を広げてさまざまな人の意見を聞いたり、優秀な参謀を側に置いたりすることが大切です。
成功体験のみを見ている
過去に成功した経験があると、人間はそれにとらわれてしまい、知らず知らずのうちに考え方の柔軟性を失ってしまうことがあります。経営者が過去の成功体験に固執したせいで、時代の変化についていけず業績が悪化するのは多く見られるケースです。
特に今後はAIの普及により環境が大きく変わるので、成功体験のみにとらわれない柔軟性がこれまで以上に重要視されています。
経営者が活躍しすぎている
ワンマン経営にはメリットもあるので、必ずしも否定されるものではありません。特に中小企業はワンマン経営で成功する事例も多いです。
しかし、経営者が活躍しすぎたせいで経営不振になる事例もあるので注意が必要です。ワンマン経営は従業員が育ちにくく、事業承継に失敗する要因となります。
社員がイエスマンばかりになり、経営者の判断の間違いを誰も指摘しない企業風土が育つ原因ともなります。経営者が活躍しすぎていると感じる場合は、従業員の自主性を重んじる経営方針に転換してみるのも良いです。
優秀な人材を雇わない・育てない
人材を雇う場合、仕事の能力を重視するのか、人柄を重視するのかは判断の難しい問題です。仕事ができても人間関係に問題のある人材は、会社にとって大きなコストとなります。
しかし、経営者は人当たりがよく安全そうな人を雇いたがる傾向があり、革新的な考えを持つ人材に恐怖心を感じて拒否することがあるといわれています。
こういった心理的な理由で優秀な人材を雇わない・育てない経営者は、経営に失敗する可能性が高いでしょう。
人材のバランスが悪い
人材のバランスが悪いと、従業員が能力を十分に発揮できません。人材配置を重視しない経営者は、経営に失敗する可能性が高いです。
人材配置の失敗の最も極端な例は、パソコン操作が苦手な人をIT系の部署に配置したり、コミュニケーションが苦手な人に営業をさせていたりするような場合です。
こういった人材配置のミスは多く、経営者はその事実に気づきにくいことがあります。各部署の内情もできるだけ把握しておくことが、成功する経営者となるためには重要です。
3. 経営者に向いている人・成功例が行う事業売却のポイント
経営者の経営戦略はさまざまですが、事業売却をはじめとするM&Aを積極的に実施して成功している経営者も多くいます。M&Aによる事業売却で成功するためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 事業の将来性などを的確に判断して行う
- リスクを恐れずにチャレンジ精神がある
- 新しい技術・ノウハウを得るために行う
- 自分の経営ビジョンにのっとって行う
- 人とのかかわりの中で行う
事業の将来性などを的確に判断して行う
事業売却では売却する企業の企業価値が算定されますが、そこでは現在の純資産だけでなく将来的なキャッシュフローも重視されます。
経営計画や業界動向を総合的に見て、適切な条件で事業売却できるよう判断することが大切です。
リスクを恐れずにチャレンジ精神がある
事業売却で会社を売却または買収して、その後の経営が成功するかどうかはやってみないとわかりません。もちろん、交渉時にできるだけ将来性を吟味しますが、リスクを完全に排除することは不可能です。
成功する経営者は、事業売却でもリスクを恐れずにチャレンジする精神を持っています。無鉄砲になるのではなく、正しくリスクを判断し、それを受け入れていくことが大切です。
新しい技術・ノウハウを得るために行う
事業売却で会社を買収すると、その会社が持っている新しい技術やノウハウを獲得できます。新しい技術は自社でゼロから開発するのは大変なので、それを金銭で手早く獲得できるのは事業売却の大きなメリットです。
自分の経営ビジョンにのっとって行う
事業売却の買い手・売り手にはそれぞれ経営ビジョンがあり、それらが合致しないとどんなに優秀な企業を買収してもうまくいきません。事業売却を行う際は、自分の経営ビジョンにのっとって行うことが大切です。
人とのかかわりの中で行う
事業売却は事業資産の売買であるものの、売り手の経営者の経営理念を理解したうえで、そこで働いている従業員と円滑な関係を築かなければなりません。
事業売却は、人とのかかわりの中で行うものであることを意識しましょう。
4. 経営者が行うM&Aに関する相談先
事業売却をはじめとするM&Aでは、仲介会社など専門家のサポートを受けることが欠かせません。M&A総合研究所は、主に中堅・中小企業のM&Aを手がける仲介会社です。さまざまな業種で50件以上のM&A実績のあるアドバイザーが、クロージングまで親身になってサポートします。
成功する経営者となるには、業界動向をとらえてタイミングを逃さないことが重要です。当社では、成約までのスピードを重視したサービスを提供しており、業界動向を見逃さず最適なタイミングでM&Aを行えるようにサポートします。無料相談は随時受け付けていますので、M&Aをお考えの経営者様はお気軽にお問い合わせください。
5. 経営者の成功と失敗まとめ
本記事では、経営者の成功と失敗に見られる特徴を紹介しました。成功する経営者には共通した特徴があるので、それを自身の経営に取り入れるのが成功の近道です。事業売却などのM&A手法も活用すれば、経営戦略の幅が広がります。
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