製造業(メーカー)の事業承継マニュアル!流れや相談先、中小製造業の成功事例も解説!

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、製造業(メーカー)の事業承継について、事業承継の流れやおすすめの相談先などを解説しています。中小製造業(メーカー)の事業承継の成功事例や事業承継を成功させるタイミングなども説明していますので、気になる方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. 製造業(メーカー)の事業承継
  2. 製造業(メーカー)の事業承継を行う流れ
  3. 製造業(メーカー)の事業承継を行う際の相談先
  4. 中小製造業(メーカー)の事業承継の成功事例
  5. 製造業(メーカー)の事業承継を行う理由
  6. 製造業(メーカー)を事業承継するタイミング
  7. 製造業(メーカー)の事業承継を成功させるコツ
  8. まとめ
  9. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧
  10. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧
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1. 製造業(メーカー)の事業承継

本記事では、製造業(メーカー)の事業承継について、詳しく解説していきます。まずは、製造業(メーカー)の業界定義や、基本的なM&A用語の意味についてまとめました。

製造業(メーカー)とは

製造業(メーカー)とは、家電・自動車・日用品など、生活に関わる物を製造する業種です。

簡単に表現すると、製造業(メーカー)は、「製品を作る」ことを主な事業としています。

製造業(メーカー)は製造物によって、自動車メーカー・食品メーカー・精密機器メーカー・アパレルメーカーなどに分類可能です。

また、製造業(メーカー)の中には、製品の製造・組み立てや加工・点検や仕分け・梱包・生産管理といった幅広い業務を行い、製品の製造から出荷まで携わる企業も存在します。

製造業(メーカー)の動向

出典:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2023/pdf/honbun_1_1_1.pdf

経済産業省によれば2021年時点で、製造業が日本のGDPに占める割合は20.6%と、全体の約2割を占めるなど日本の経済を支える中心的な業種です。

また、財務省「法人企業統計調査」の発表によると、2020年はコロナ禍で営業利益は落ち込んだものの、2021年以降は製造業が回復したことで、製造業全体としては2022年に19兆円と過去最高の営業利益となりました。

事業承継とは

事業承継とは、会社が運営している事業を後継者に引き継ぐ行為です。

承継する後継者によって、親族間事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3種類に分類できます。

親族間事業承継

親族間事業承継とは、自分の子供や親せきなど、親族に当たる人物を後継者とする事業承継です。

かつての日本では、中小企業が事業承継をする際は親族間事業承継が主流でしたが、近年は親族間で後継者を見つけることが困難になっています。

親族外事業承継

親族外事業承継は、自社の役員や従業員を後継者として行われる承継方法です。

例えば、製造業(メーカー)を行う会社経営者が自社で長い間働いている従業員を後継者として事業承継するケースは、親族外事業承継に当たります。

以前から自社製造業(メーカー)に関わりがある人物を後継者とするため、事業承継後すぐに事業運営を開始できるといった点がメリットです。

M&Aによる事業承継

近年は後継者不足が深刻化しており、親族内や会社関係者の中に事業承継できる人物がいないために事業承継できない中小企業が増えています。

この問題を解消する方法として効果的なのが、M&Aによる事業承継です。第三者に事業を売却・譲渡することで、事業承継を実現できます。

【関連】事業承継とは?事業承継の方法・流れやポイントを徹底解説!

2. 製造業(メーカー)の事業承継を行う流れ

この章では、製造業(メーカー)の事業承継を進める流れについて解説します。誰を後継者とするかによって事業承継の流れは異なるため、その違いを把握しておきましょう。

製造業(メーカー)の親族間事業承継・親族外事業承継

製造業(メーカー)を親族内事業承継・親族外事業承継する際は、以下のような流れで事業の引継ぎが進められます。

【親族内事業承継・親族外事業承継する流れ】

  1. 事業承継計画の策定
  2. 後継者の教育
  3. 資産・財産・株式などの引継ぎ
  4. 個人保証・担保の処理

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①事業承継計画の策定

まずは、事業承継計画の策定を行います。具体的には、自社の財政状態・経営成績・経営者の資産状況の把握、後継者候補の決定、事業承継のスキームの策定などを進めるという段取りです。

事業承継計画をしっかり立てておくと、スムーズに手続きを進められます。

なお、親族外事業承継を実施する場合は、この段階で親族の理解を得ておきましょう。

なぜなら、理解・了承を得ないまま承継を進めてしまうと、相続問題により予期せぬトラブルへと発展する可能性があるためです。

事業承継を進めるうえで想定されるトラブルを未然に防ぐためにも、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めると良いでしょう。

②後継者の教育

事業承継計画を策定したら、後継者候補の教育を進めていきましょう。親族内事業承継・親族外事業承継では、後継者となる人物が初めて会社経営に携わるケースも多いです。

ここでは、事業承継後に不自由なく製造業(メーカー)の経営を進めていけるよう、後継者の教育は怠らないようにしましょう。

後継者育成では数年程度の時間を要するため、スムーズな事業承継を実現するには、早い時期から育成・教育を始める必要があります。

③資産・財産・株式などの引継ぎ

事業承継を実施する場合、会社が保有する資産なども後継者に引き継ぎます。

特に経営権・保有資産を引き継ぐ相手が異なる場合には、より慎重に手続きを進めなければなりません。

また、会社が発行する株式が役員・従業員などに分散している場合、事業承継後に後継者が経営権を確保できるよう、分散している株式を集めておく必要があります。

事業承継の際には、こうした資産・財産・株式などが引き継がれることを認識したうえで、準備しておくようにしましょう。

④個人保証・担保の処理

事業承継を実施した場合、経営者が抱える個人保証・負債なども後継者に引き継ぎます。

したがって、親族内事業承継・親族外事業承継をスムーズに進めるには、事前に個人保証・負債などの処理を行っておかなければなりません。

製造業(メーカー)のM&Aによる事業承継

次に、製造業(メーカー)をM&Aにより事業承継する際の流れについて解説します。M&Aによる事業承継では、親族内事業承継・親族外事業承継とは流れが大きく異なるので、しっかり確認しておきましょう。

【M&Aによって事業承継する際の流れ】

  1. M&A仲介会社などへの相談
  2. 事業承継先の選定
  3. 基本合意書の締結
  4. デューデリジェンスの実施
  5. 最終契約書の締結
  6. クロージング

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①M&A仲介会社などへの相談

M&Aによる事業承継を進める際には、M&A仲介会社などの専門家への相談から始めましょう。

そして、M&Aを実施して事業承継をする場合は、会社関係者・親族以外の第三者に製造業(メーカー)の情報を公開する必要があるため、情報漏洩を未然に防ぐことを目的に「秘密保持契約書」を締結します。

②事業承継先の選定

続いて、事業承継先の選定を進めていく段取りです。全国に幅広いネットワークを構築しているM&A仲介会社を利用すると、幅広い選択肢の中から自社の希望・条件に適した承継先を見つけられます。

希望の承継先候補が見つかり基本合意が成される直前になると、承継先より「意向表明書」が提示される場合が多いです。

意向表明書とは、事業を承継する側がM&Aの実施に関する意向を伝える書面をさします。

③基本合意書の締結

事業承継の候補先と交渉を進めて基本的な方針が決定したら、譲渡側・譲受側の双方で「基本合意書」を締結します。

基本合意書は、最終契約締結までの基本的な事項を定めた書面のことです。

基本合意書がなければ事業承継の過程でトラブルが発生する可能性があるため、しっかりと結んでおきましょう。

④デューデリジェンスの実施

基本合意書の締結が行われたら、譲受企業によりデューデリジェンスが実施されます。

デューデリジェンスとは、譲渡側企業を監査する行為です。財務・税務・法務といった観点から、事業承継時の収益性・リスクなどが調べられます。

⑤最終契約書の締結

デューデリジェンスを実施して事業承継に関して問題がないと判断されたら、「最終契約書」を締結します。

最終契約書により、製造業(メーカー)の事業承継の実施が確定するという仕組みです。最終契約書は法的拘束力を持つため、契約締結前にしっかりと内容を確認しておきましょう。

⑥クロージング

最終契約書の締結を行ったらM&A手続きがクロージングとなり、製造業(メーカー)の事業承継が完了します。

クロージングでは、事業・株式・資産などの引き渡しや取引金額の支払いなどが実施され、経営権が完全に承継先へ移るという段取りです。

【関連】M&Aの流れ・手順を解説!進め方、手続きのポイントは?

3. 製造業(メーカー)の事業承継を行う際の相談先

製造業(メーカー)の事業承継を行う際、どこへ相談すれば良いのか悩む経営者も多いです。ここでは、事業承継を行う際の相談先について説明します。

【製造業(メーカー)を事業承継する際の相談先】

  1. M&A仲介会社
  2. 地元にある金融機関
  3. 地元にある公的機関
  4. 地元の税理士・会計士・弁護士など
  5. マッチングサイト

それぞれの相談先を順番に見ていきましょう。

①M&A仲介会社

製造業(メーカー)に事業承継時の相談先として、M&A仲介会社が挙げられます。

M&A仲介会社はM&Aの仲介業務を専門に扱っており、適切なアドバイス・サポートを提供する会社です。

【関連】M&A仲介会社を比較!手数料・サービス・実績を徹底比較!

②地元にある金融機関

地元にある金融機関でも、M&A・事業承継の相談を行えます。銀行や証券会社の中には、M&A仲介サポート・コンサルティング業務を提供している機関も少なくありません。

金融機関は地元に根付いたネットワークを構築しているため、スムーズに最適な後継者を探し出せる可能性が高いです。

③地元にある公的機関

全国の商工会議所内などに設置されている事業引継ぎ支援センターでも、事業承継の相談受付・支援などが行われています。

近年の後継者不在による事業承継問題を解消するため、政府は中小企業の支援に力を入れており、中小企業の事業承継をサポートする機関が増えている状況です。

公的機関であるため安心して利用できる点はメリットですが、認知度はそれほど高くないため案件数が少ない点はデメリットといえるでしょう。

④地元の税理士・会計士・弁護士など

地元の税理士・会計士・弁護士事務所でも、製造業(メーカー)の事業承継について相談できます。

最近はM&A・事業承継を支援する士業事務所も増えており、会計・税務などの専門的知識を活かしたサポートを期待可能です。

しかし、すべての事業事務所がM&A・事業承継支援を行っているわけではなく、実績が少ない機関もあるため、事前に確認してから利用すると良いでしょう。

⑤マッチングサイト

マッチングサイトを利用しても、製造業(メーカー)の事業承継先を探せます。

マッチングサイトとは、M&Aの売り手と買い手がそれぞれ登録し、自身で相手先を見つけて直接交渉を進められるサイトです。

仲介会社を利用する場合と比べて安価でM&A・事業承継を行えますが、交渉・手続きは自身で行う必要があります。

M&A・事業承継に精通していない場合は、トラブルになったり交渉が難航したりする可能性もあるため、不安がある場合には仲介会社に依頼したほうが良いでしょう。

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4. 中小製造業(メーカー)の事業承継の成功事例

ここでは、中小製造業(メーカー)の事業承継事例を紹介します。

①東北新和化学の株式譲渡

2024年6月、東北新和化学は、トランスジェニックの子会社であるTGビジネスサービスへ株式譲渡を行いました。

東北新和化学は、国内大手フォークリフトメーカーに対して精製水、バッテリー補充液の製造販売などを行っている企業です。トランスジェニックグループは創薬支援事業(CRO・バイオテクノロジー)と投資・コンサルティング事業を行う企業です。

今回のM&Aにより、トランスジェニックグループはさらなる高品質な製品を提供し、収益の確保を目指します。

②トキワ・コスメティクス・グループの株式譲渡

2024年6月、トキワ・コスメティクス・グループは、投資会社であるThe Carlyle Groupを通して日本コルマーホールディングスへ株式譲渡を行いました。

トキワは、化粧品開発・製造に強みを持つ化粧品受託製造会社です。譲渡会社の日本コルマーホールディングスは、化粧品受託製造メーカーです。スキンケアやメイク アップ、ヘアケアなどの化粧品の生産可能な体制が整っています。

今回のM&Aにより、日本コルマーホールディングスは国際市場において競争力のある生産体制の整備を促進し 、化粧品受託市場のリーディングカンパニーとしての事業運営を目指します。

③秋元精機工業の株式譲渡

2019年9月、精密プレス加工などの事業を手掛ける秋元精機工業は、精密金型や精密成型品の製造などを行う不二精機に株式譲渡しました。なお、株式譲渡価額は非公表です。

不二精機は、秋元精機工業の技術・ノウハウ・海外ネットワークなどを結合して、精密成型品事業の拡大を図っています。

④アクシーの株式譲渡

2019年8月、エアフィルタの製造などを手掛けるアクシーは、建設機械用フィルタや産業用フィルタの製造・開発などを行うヤマシンフィルタに株式譲渡を行いました。なお、株式譲渡価額は非公表です。

ヤマシンフィルタは、アクシーの子会社化により、エアフィルタ分野への参入を図るとしています。

⑤アマダリースの株式譲渡

2018年11月、アマダホールディングスの子会社で金属加工機械の総合メーカーであるアマダリースは、賃貸事業などを展開する東京センチュリーに発行済み株式総数の60%を譲渡しました。なお、譲渡価額は非公表です。

アマダリースは、自社の持つ製品製造力と東京センチュリーのファイナンススキームを融合させて、事業基盤の拡大・商圏確保を図るとしています。

⑥サンテックの株式譲渡

2018年11月、電気建設機械などの専用工作機械を製造・販売を手掛けるサンテックは、車両用の部品の製造を手掛けるTBKに株式譲渡を行いました。なお、株式譲渡価額は非公表です。

TBKは、自社技術力の強化と両社の顧客基盤を活用した持続的な成長を目的に、M&Aを実施しています。

⑦ファスフォードテクノロジの株式譲渡

2018年8月、半導体製造装置の製造を手掛けるファスフォードテクノロジは、電子部品実装ロボットの製造などを行うFUJIに株式譲渡を行いました。株式譲渡価額は、約218億円です。

本件により、FUJIは、生産ライン全体のソリューション強化や次世代技術の提案力の強化を図るとしています。

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5. 製造業(メーカー)の事業承継を行う理由

製造業(メーカー)経営者が事業承継を検討する場合、どのような理由が考えられるのでしょうか。この章では、製造業(メーカー)を事業承継する理由について説明していきます。

【製造業(メーカー)を事業承継する理由】

  1. 後継者問題の解決
  2. 従業員の雇用先を確保できる
  3. 廃業や倒産におけるリスクを軽減
  4. 新しい事業を始められる
  5. 創業者利益を獲得できる

それぞれの理由を順番に見ていきましょう。

①後継者問題の解決

製造業(メーカー)の経営者が事業承継を考える理由の1つに、後継者問題を解決があります。

近年は国内にある中小企業の多くが後継者問題に直面しており、自社を引き継ぐに値する人物が周囲にいない場合、事業承継ができず廃業せざるを得ないケースも多く見られる状況です。

そのような場合、M&Aを行えば適した第三者に自社の事業を引き継げるため、中小企業でもM&Aによる事業承継を選択するケースが増えています。

製造業(メーカー)が後継者不足に陥る背景

製造業(メーカー)が後継者不足に陥る背景としては、まず少子化の影響が挙げられます。また、現経営者である親が自身の子供に苦労させたくないという想いに至り、事業承継に消極的になって廃業を選択するというケースも少なくありません。

そのほか、不景気である点や製造業自体の人気が若者に低いという点から、事業承継を積極的に進めない経営者の方も多いです。こうした状況において、これまでの承継方法にとらわれない、事業承継問題を解決するための新たな解決方法(M&A)に注目が集まっています。

②従業員の雇用先を確保できる

経営者の高齢化や経営状況が悪化した結果、廃業を余儀なくされるケースもあります。この場合は、自社の従業員を解雇しなければなりません。

こうした事態を避けるため、M&Aによる事業承継を行うケースも多いです。M&Aを実施して製造業(メーカー)を事業承継すれば、従業員も引き継げるため、雇用を確保できます。

③廃業や倒産におけるリスクを軽減

経営状況の悪化などが影響し廃業・倒産を余儀なくされると、従業員の解雇・資産価値の低下などのリスクが伴います。

このような廃業や倒産におけるリスクを軽減するために、M&Aによる事業承継を検討するケースも多いです。

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④新しい事業を始められる

新しい事業を始められるというのも、製造業(メーカー)経営者が事業承継を検討する理由のひとつです。

事業承継により事業を手放すことで、多くの時間と資金が得られます。まとまった時間と資金を使って、新しい事業を始める経営者も多いです。

⑤創業者利益を獲得できる

製造業(メーカー)の経営者が事業承継を検討する理由の5つ目は、創業者利益の獲得です。

創業者利益とは、会社経営者が所有する株式を第三者に売却した際に発生する利益をさします。

製造業(メーカー)をM&Aにより事業承継すると、経営者は創業者利益を得られて、引退後の生活費に充当することも可能です。

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6. 製造業(メーカー)を事業承継するタイミング

ここでは、製造業(メーカー)を事業承継するタイミングについてまとめました。事業承継のタイミングは会社によって異なりますが、主なものを3つ取り上げます。

【製造業(メーカー)を事業承継するタイミング】

  1. 健康問題が生じた時
  2. 業界再編の動きに乗りたい時
  3. 経営難で将来が不安な時

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①健康問題が生じた時

製造業(メーカー)の経営者に健康問題が生じた時は、事業承継を実施するひとつのタイミングです。

健康問題を抱えたまま会社経営を続けることは難しいため、できるだけ早く後継者の選定を行ったり事業承継の手続きを進めたりする必要があります。

②業界再編の動きに乗りたい時

業界再編の動きに乗りたいと考えている時も、製造業(メーカー)の事業承継を実施するタイミングです。

製造業界はビジネスモデルの変化などに伴って再編の動きがあり、このようなタイミングで事業承継を実施すれば事業の成長・顧客網の拡大などの実現も狙えます。

③経営難で将来が不安な時

経営難で将来に不安を感じている時も、事業承継を実施するタイミングのひとつです。

近年では製造業(メーカー)を取り巻く環境の変化などにより、経営難に陥る中小製造業者が増加しています。

改善策を講じずにいると廃業・倒産を余儀なくされ、さまざまなリスクを被るため、経営難に陥ったタイミングで事業承継してリスク回避するのも有効な手段です。

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7. 製造業(メーカー)の事業承継を成功させるコツ

製造業(メーカー)の事業承継を成功させるには、どのようなポイントを意識して進めていけば良いのでしょうか。

この章では、事業承継を成功させるために押さえておくべきポイント・コツを解説します。

【製造業(メーカー)の事業承継を成功させるコツ】

  1. 計画的に準備する
  2. 自社の強みをまとめておく
  3. 事業承継の相手先を選定する
  4. 事業承継後に従業員や取引先に報告
  5. 事業承継・M&Aの専門家に相談する

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①計画的に準備する

製造業(メーカー)の事業承継を成功させるには、計画的に準備することが重要です。

準備が不十分のまま事業承継を進めてしまうと失敗する可能性が高くなるため、後継者の選定・後継者の教育・企業理念や事業運営のノウハウ承継などを計画的に行っておくようにしましょう。

②自社の強みをまとめておく

事業承継を成功させるには、自社の強みをまとめておく必要もあります。後継者選定を始める前に自社にどのような強みがあるのかを分析しておくと、より効果的なアピールが可能となり、最適な交渉相手の選定・取引金額の交渉などが実現可能です。

③事業承継の相手先を選定する

事業承継を成功させるには、まず自社に適した相手を見つけなければなりませんが、自身で相手先を探すのは非常に困難です。

そのため、事業承継を検討する段階になったら、M&A仲介会社などの専門家に依頼して相手先を探してもらうと良いでしょう。

ここでは、どのような相手に事業を引き継ぎたいのかを明確にしておきつつ、仲介会社がピックアップした中から相手先を探すと、効率よく事業承継を進められます。

④事業承継後に従業員や取引先に報告

事業承継の完了前に従業員・取引先に報告をしてしまうと、余計な不安・混乱を招きかねません。

また、事業承継を進めるうえでは、従業員や取引先など関係者へ報告するタイミングについて、情報の漏えいがないよう十分に配慮する必要があります。

混乱を避けるため、従業員・取引先に対する事業承継の報告は、事業承継が完了したら行うようにしましょう。

⑤事業承継・M&Aの専門家に相談する

製造業(メーカー)の事業承継を成功させるには、製造業界の現状・動向の把握をしたうえで戦略を立てて行うことが重要です。

そのほか、M&Aに関する専門知識や高い交渉力も必要となるため、事業承継・M&Aの専門家に相談しながら進めることが成功のカギともいえるでしょう。

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8. まとめ

今回は、製造業(メーカー)の事業承継について徹底的に解説してきました。

製造業(メーカー)の事業承継を成功させるには、M&A仲介会社などの専門家に相談し、最適なスキームを選択したうえで戦略的に進めていく必要があります。

【製造業(メーカー)を事業承継する際におすすめの相談先】

  1. M&A仲介会社
  2. 地元にある金融機関
  3. 地元にある公的機関
  4. 地元の税理士・会計士・弁護士など
  5. マッチングサイト

【製造業(メーカー)を事業承継する理由】

  1. 後継者問題の解決
  2. 従業員の雇用先を確保できる
  3. 廃業や倒産におけるリスクを軽減
  4. 新しい事業を始められる
  5. 創業者利益を獲得できる

【製造業(メーカー)を事業承継するタイミング】

  1. 健康問題が生じた時
  2. 業界再編の動きに乗りたい時
  3. 経営難で将来が不安な時

【製造業(メーカー)の事業承継を成功させるコツ】

  1. 計画的に準備する
  2. 自社の強みをまとめておく
  3. 事業承継の相手先を選定する
  4. 事業承継後に従業員や取引先に報告
  5. 事業承継・M&Aの専門家に相談する

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