2020年07月30日更新
スクイーズアウトにおける税制改正や課税関係を徹底解説!

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
スクイーズアウトは、少数株主締め出しのことで完全子会社化などを行うときに実施されます。スクイーズアウトの税制に関しては、近年税制改正が行われました。この記事では、スクイーズアウトにおける税制改正や課税関係について徹底的に解説します。
目次
1. スクイーズアウトとは
会社は自社株式を証券取引所に上場することで知名度を上げたり、会社の信用度を上げたりできます。
その一方で、株式が上場されると株式の取引が自由になるため、自社にとって好ましくない人が株主になる可能性があります。
そのため、自社の重要事項の決定(株主総会での決定)が遅れるなど、自社にとって重要な機会を逃すことも考えられます。
この対策としてスクイーズアウトがあるのです。この記事では、スクイーズアウトにおける税制改正や課税関係について解説します。
スクイーズアウトの簡単な仕組み
スクイーズアウトとは、少数株主の締め出しのことをいいます。公開会社では株式の取引は自由であるため、少数株主は増加しやすいです。
しかし先ほども述べたように、会社の意思決定を阻害するような少数株主が増加すると、思うような経営を行うことができず、重要な機会を逃す可能性があります。
この対策として、少数株主を締め出すスクイーズアウトがあります。スクイーズアウトは、会社の経営陣が意図的に行う手法ですが、詳細については後ほど紹介します。
スクイーズアウトのメリット
スクイーズアウトのメリットは、自社株式を大株主に集約させることで、迅速な意思決定を行えることです。
当然ですが、自社の意思決定を阻害するような株主を減らすことができれば、スムーズに買収や定款の変更を行えます。
また少数株主を排除するためには、対象となる株主一人ひとりから株式を買い取る必要がありますが、スクイーズアウトの手法を用いれば、一度にたくさんの少数株主を排除でき、これもスクイーズアウトのメリットといえます。
スクイーズアウトのデメリット
デメリットは、少数株主を排除する際に、多額の金額が必要になることです。スクイーズアウトの手法は後ほど紹介しますが、基本的には保有している株式を単元未満株にして議決権を失わせます。
スクイーズアウトにより単元未満株になると、会社はその株式を買い取らなければならないため、多額の資金が必要になります。
また株主の数が大きく減少するため、株式での資金調達が比較的困難になる点も、スクイーズアウトのデメリットの一つです。
2. スクイーズアウトの手法と遍歴
スクイーズアウトの代表的な手法には、以下の4つがあります。
- 現金対価株式交換
- 全部取得条項付種類株式
- 株式併合
- 特別支配株主の株式等売渡請求制度
①現金対価株式交換
1つ目の手法は、現金対価株式交換です。この手法は、子会社を完全子会社化して、子会社の少数株主を排除するときに用いられます。
まず、子会社の少数株主が保有している子会社の株式と、親会社の株式を交換します(株式交換)。その際に、株式交換時の交換比率を設定することにより子会社の少数株主を排除します。
例えば、親会社の株価を10,000円、子会社の株価を100円とした場合、子会社の株式10株は親会社の株式0.1株と交換することになります。
この例のように、少数株主は少数株式しか保有していないことが多いので、株式交換を行うことにより単元未満株となり議決権を失うため、結果的に排除できます。
単元未満株に関しては、会社が買い取り対価として現金を受け取るため、この方法は現金対価株式交換と呼ばれています。
②全部取得条項付種類株式
全部取得条項付種類株式とは、普通株式でない種類株式の1つで、株主総会の特別決議があれば、会社はその株式全部を買い上げること(自社株買い)ができる株式です。
この株式を用いてスクイーズアウトを行う方法ですが、まず発行しているすべての株式を、全部取得条項付種類株式に変更します。
なお、この変更では株主総会の特別決議が必要になり、その後で全部取得条項付種類株式を、普通株式と交換する形で交付します。
この際に株式交換比率を設定して、少数株主が保有している株式を単元未満株にし、少数株主を排除します。
③株式併合
3つ目の方法は、株式併合を利用したスクイーズアウトです。株式併合とは、複数の株式を1つにまとめることをいいます。
スクイーズアウトでは、複数の株式を1つにまとめることで少数株主が保有している株式を単元未満株にして排除します。
株式併合を実施するためには、株主総会で特別決議を得る必要がありますが、現在は株式併合を利用したスクイーズアウトが主流です。
④特別支配株主の株式等売渡請求制度
4つ目の手法は、特別支配株主の株式等売渡請求制度です。特別支配株主とは、議決権の90%以上の株式を保有している大株主のことをいいます。
その特別支配株主が会社をつうじて、自分以外の株主に対して株式を売るよう請求できます。
請求が承認されれば、少数株主は強制的に特別支配株主に対して、保有している株式を売却しなければならないため、少数株主を排除できます。
会社の意思決定には、株式の保有数が影響しますが、議決権の90%以上の株式を保有している場合はかなりの影響力を持つため、特別支配株主として扱われ株式等売渡請求制度が認められています。
スクイーズアウトの事例(日本生命)
スクイーズアウトが行われた事例について紹介します。この事例は2015年に日本生命が実施したスクイーズアウトです。2015年に日本生命は三井生命との経営統合を発表しました。
経営統合を行うまでのスキームは、まず、日本生命が三井生命の株式について公開買い付けを行い、全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウトを実施してから、三井グループに議決権の15%分の株式を譲渡するというものでした。
しかし、公開買い付けの際、三井生命の株式を数%保有しているシンガポールの投資会社が売却に応じないという事態になりました。
そこで、日本生命は公開買い付けで90%以上の株式を取得した後、特別支配株主の株式等売渡請求制度を利用してスクイーズアウトを実施しました。最終的には裁判沙汰になることなく、強制的に株式を買い取ることができています。
3. スクイーズアウトの税制改正遍歴と目的
この章では、スクイーズアウトの歴史と税制改正について解説します。過去に行われていたスクイーズアウトは、会社法設立以前の法律と商法(1999年)に基づいています。
当時のスクイーズアウトは株式交換を前提としており、現金で株式を買い取る方法は認められていませんでした。
①2005年施行の会社法
会社について定めている会社法は、2005年から施行されています。この際に種類株式の1つとして全部取得条項付種類株式の発行が認められることになりました。
当時は、100%減資のための手法として期待されており、制度化に至りましたが、M&Aの実務ではスクイーズアウトを行うために使われるようになりました。
②2015年度施行の改正会社法
スクイーズアウトに関する会社法の改正は今までに2回ありました。1回目は2015年度施行の改正会社法です。
条文
2015年度改正会社法で記載されている主な条文は以下の2つです。
- 株式併合の登場
- 株式等売渡請求制度の登場
改正した目的
2005年に施行された会社法に、スクイーズアウトの手法はいくつかありました。しかし、比較的取引関係や課税関係に手間のかからない、全部取得条項付種類株式を用いたスクイーズアウトのみが行われていました。
他の方法でもスクイーズアウトを実施させるため、この改正では2つの方法を認めています。この改正により、株式併合によるスクイーズアウトが流行しました。
③2017年度施行の改正会社法
2017年の改正会社法でも、スクイーズアウトに関連した内容が変更されています。
条文
2017年度施行の改正会社法での大きな変化は、スクイーズアウト税制が創設されたことです。スクイーズアウト税制は、M&A取引において大きな影響を与えました。2017年度施行の改正会社法の条文には以下のものがあります。
- スピンオフ税制の設立
- スクイーズアウトにおける課税関係の整理
- 適格要件の見直し
改正した目的
2017年度施行の改正会社法の目的は、スクイーズアウトに関する課税関連についてルールを明確にすることでした。
そのため、スクイーズアウトを行う企業はこの改正以降、納税額がどれくらいか・脱税がないかをしっかり確認して、実施しなければならなくなりました。
M&Aに与える影響
2017年度の税制改正では、スクイーズアウトでの課税上の取扱いの整理や適格要件の見直しなど、M&Aを実施する際にかなり影響を与える改正内容となっています。
スクイーズアウトに関しては、適格要件が整理されたことによって、課税上の取扱いがはっきりしました。また、適格要件の見直しや欠損金の制限措置の見直しなどは、M&Aの税務で押えておくべき改正点といえます。
4. スクイーズアウトの税制改正により大きく変わったこと
次にスクイーズアウトの税制改正で、大きく変わったことを紹介します。大きく変わった点は以下の3つです。
- 適格対価要件が必要になったこと
- 合併・株式交換によるスクイーズアウトが可能になったこと
- 連結納税採用企業によるスクイーズアウトが簡単になったこと
①従来あったスクイーズアウト手法への適格対価要件の判定が必要になったこと
1つ目の変更点は、適格要件を満たしているかどうかで課税関係が変わることです。まずは、適格要件について解説します。
適格要件について
適格要件では、経営統合を行う際に、関係のある会社間で完全支配関係があるかどうかを判断します。
適格要件を満たしているとき、関係のある企業間に完全支配関係があるといいます。適格要件を満たすためには、以下の4つの項目をすべて満たさなくてはなりません。
- 対価交付要件
- 支配関係要件
- 従業員引継ぎ要件
- 事業継続要件
1つ目の対価交付要件とは、子会社として合併を行うときに、その対価が株式の交付のみであるかどうかが判断基準になります。合併の際、株式の交付だけで対価を支払ったとき、対価交付要件を満たしています。
2つ目の支配関係要件は、対象となる会社の株式をどの程度持っているかを示すもので、スクイーズアウトのように完全子会社化を行う場合は、この要件を満たすことになります。
3つ目の従業員引継ぎ要件は、80%程度の従業員を引き継ぐ必要があるという要件ですが、スクイーズアウトの場合、この要件も満たせます。
4つ目の事業継続要件は、合併後も事業を継続する見とおしがあるかどうかについての要件です。
スクイーズアウトで変更になった点
スクイーズアウトにおける適格要件の適用は、原則としてスクイーズアウトは組織再編の一環として位置づけられています。
つまり、スクイーズアウト後に行う組織再編やM&Aで関係する企業がどのような関係になるかで、適格要件を満たすかどうか変わってきます。
2017年度改正が行われるまでは、スクイーズアウトの手法により課税方法が異なっていました。しかし、この改正によるスクイーズアウト税制の導入により、すべてのスクイーズアウトの手法が同じ課税方法となりました。
なお、適格要件を満たしているスクイーズアウトの場合、移転させる資産などを時価評価ではなく、簿価評価で課税できます。
②合併・株式交換でのスクイーズアウトが可能になったこと
2つ目の変更点は合併・株式交換でのスクイーズアウトが可能になったことです。そもそも、適格要件を満たさない(非適格になる)と手続き上、手間になります。
例えば、資産などの移転は時価評価で行うため、組織再編の際にすべての資産について、時価評価する必要があり手間になります。
そのため、スクイーズアウトを伴う組織再編の際は、適格要件を満たしておく方がよいのですが、今までは現金交付を伴う合併は非適格となっていました。
しかし、2017年度施行改正会社法では、全発行済み株式の2/3以上保有していれば、少数株主に対する現金交付でも適格性が否定されないことになりました。
つまり、合併・株式交換でのスクイーズアウトでも適格要件を満たすため、実務的に可能となりました。
③連結納税採用企業によるスクイーズアウトが簡単になったこと
3つ目の変更点は、連結納税採用企業によるスクイーズアウトが簡単になったことです。改正前は、連結納税を実施している企業が対象会社をスクイーズアウトにより完全子会社化した場合、原則として時価評価で課税を行う必要があったため、非常に手間のかかるものでした。
また、対象会社の税務上の繰越欠損金は、連結納税に持ち込めないことになっていましたが、改正後は適格要件を満たし、かつスクイーズアウトにより完全子会社化を行った企業については、簿価評価で課税を行うことができるようになり、簡単になっています。
さらに、対象会社の税務上の繰越欠損金は、連結納税に持ち込むことができるようになりました。
5. スクイーズアウト手法の課税関係
次はスクイーズアウト手法の課税関係について紹介します。スクイーズアウト手法の課税関係は現金対価株式交換とそれ以外の2種類に分けられます。
この章では、それぞれの場合について、税制改正前と改正後の変化を解説します。
①現金対価株式交換の場合
現金対価株式交換についての課税関係は税制改正により、税負担の程度が同じになりました。そのほかのスクイーズアウト手法と比較して紹介します。
税制改正前
税制改正前、現金対価株式交換によるスクイーズアウトは、時価評価に対して課税されていたため、全部取得条項付種類株式を用いた手法などと比べて、課税額は大きくなっていました(非適格の場合)。
そのため、非適格のスクイーズアウトを実施するときは現金対価株式交換は使われず、その他の手法を用いてスクイーズアウトが実施されていました。
税制改正後
税制改正後は、現金対価株式交換は全部取得条項付種類株式を用いた手法と同様に組織再編税制を受けることになりました。
そのため、いずれの手法を用いても時価評価で課税されるため、税負担は同じになりました(非適格の場合)。
また、株式交換と同様の適格を満たしている場合、課税が繰り延べられます。
②それ以外の場合
次は、現金対価株式交換以外の課税関係について、改正により変更になった点を紹介します。
この記事では、スクイーズアウトによる完全子会社化の課税関係の見直しについて紹介し、特に対象法人の課税関係と、時価評価制度・繰越欠損金の取り扱いについて解説します。
税制改正前
先述のように、税制改正前は、現金対価株式交換とそれ以外の方法で課税方法が変わっていました。全部取得条項付種類株式を用いた手法など、その他のスクイーズアウトの手法は、原則として時価評価による課税を行っており、繰越欠損金は切り捨て処理を行っていました。
連結納税を適用している企業は、連結納税と単体納税が異なっていることから、原則として対象企業の繰越欠損金は切り捨てを行っています。
しかし、対象会社を完全子会社化したなど一部例外については、対象会社の繰越欠損金を連結納税に含めることを認めています。
税制改正後
改正後は、現金対価株式交換も組織再編税制に含まれることから、すべてのスクイーズアウトの手法は同じように課税されることになりました。これらの課税については先ほど詳しく紹介したので省略します。
また、繰越欠損金については、改正後も引き続き原則切り捨て処理ですが、例外として個別所得金額を限度として、一部の持ち込みが認められることになりました。
また、連結納税については例外要件が追加されています。全部取得条項付種類株式・株式併合・株式等売渡請求によるスクイーズアウトを行って完全子会社化を行った場合、企業グループ内の株式交換と同様の適格要件を満たす会社についても、例外的に繰越欠損金を連結納税に含めることを認めています。
6. スクイーズアウト税制における適格組織再編の対価要件
次はスクイーズアウト税制における適格組織再編の対価要件について税制改正前後に分けて紹介します。
税制改正前の適格要件
スクイーズアウト税制改正前の対価要件は原則、株式資産以外の交付がないことです。しかし、例外として以下の3つの資産については、株式資産以外の交付をしても適格要件を満たすことになっています。
- 対象会社などの株主に剰余金配当として交付される金銭
- 合併などに伴い単元未満株となった株式について交付される金銭
- 合併などに反対する株主の買取請求に対して交付される金銭
税制改正後の適格要件
スクイーズアウト税制改正後の対価要件は、改正前に比べて要件が緩和されています。しかし原則として、対価に株式資産以外を交付しないことが絶対要件となっており、この改正では対価要件の例外を、3つから4つに増やしています。
4つのうち3つは改正前の例外と同じですが、残り1つの例外は、親会社が対象となる会社の全発行済み株式の2/3以上を保有しているときに、その会社の株主に金銭などを交付しても適格要件から外れることはないというものです。
つまり、完全子会社化(100%の株式保有)でしか対価要件を満たすことができなかったのですが、改正により2/3以上の株式の保有に緩和されることになりました。
7. 税制改正後のスクイーズアウトへの各種課税の見直し
最後に税制改正後のスクイーズアウトで見直された各種課税について紹介します。税制改正後に見直された各種課税は以下の4つです。
- 課税関係の見直し
- みなし配当課税の見直し
- 完全子会社化の課税の見直し
- 時価評価制度の見直し
①税制改正後のスクイーズアウトへの課税関係の見直し
まずは、税制改正後のスクイーズアウトへの課税の見直しについて解説します。スクイーズアウトの方法には、現金対価株式交換・全部取得条項付種類株式・株式併合・特別株主の株式等売渡請求制度の4つがあります。
しかし改正前は、現金対価株式交換とその他の3つのスキームとで、課税方法が異なっていました。他の3つのスキームは簿価評価に対して課税されていましたが、現金対価株式交換だけは、時価評価に対して課税されていました。
これにより、現金対価株式交換だけ税負担が重くなったため、あまり利用されないスクイーズアウトの方法でした。
しかし、改正後は現金対価株式交換も組織再編税制の適用を受けるため、4つのスクイーズアウトのいずれの方法を用いても同様の税負担になっています。
②税制改正後のスクイーズアウトによるみなし配当課税の見直し
みなし配当とは、会社法上、配当に当たらないが株主に交付される金銭のことをいいます。金銭が交付されると株主は税金を納める必要があり、その扱いによって課税される税金が異なります。株式譲渡損益であれば、確定申告が必須なのですが、みなし配当は原則的に源泉徴収されます。
改正前は全部取得条項付種類株式または株式併合によるスクイーズアウトで、反対株主の買い取り請求権に応じて得た所得はみなし配当として課税されていました。しかし、改正後はこの条件で得た所得はみなし配当ではなく、株式譲渡損益として課税されることになりました。
スクイーズアウトを実施する際、これによって所得が得られる場合、課税の違いについて必ず株主に通知する必要があります。
③税制改正後の一部条件での完全子会社化の課税関係の見直し
3つ目に税制改正後の一部条件での完全子会社化の課税関係の見直しについて紹介します。これに関しては先ほど解説していますので、ここでは簡単に紹介します。
対象法人への課税関係
まず、対象法人への課税関係ですが、改正後はいずれのスクイーズアウトの手法を用いても同じ課税方法になりました。資産の評価替えに関しては、税制非適格の場合、原則として時価評価で課税を行います。一方、税制適格の場合は、例外的に簿価評価で課税を行います。
繰越欠損金などの取り扱い
繰越欠損金などの取扱いですが、原則的には切り捨てを行っています。しかし、改正後は例外として個別所得金額を上限として一部持ち込みを認めています。
なお、連結納税を採用している企業の場合も繰越欠損金は原則として切り捨てを行っていますが、完全子会社など事務負担や課税上の弊害がみられるような場合に限って例外を認めています。
④税制改正後の一部条件での時価評価制度の見直し
最後に税制改正後の一部条件での時価評価制度の見直しについて紹介します。非適格のスクイーズアウトの場合、資産や負債の移転や課税対象は時価評価で行います。対象となる資産は減価償却資産、土地など、金銭債権、有価証券、その他の資産です。
しかし、帳簿価格の額が小さいものに関しては時価評価算定の対象外にできます。その要件ですが、改正前は資産の含み損益について資本金などの額の1/2以下、もしくは1,000万円のどちらか少ない額に満たない資産については対象外にできていました。
しかし、改正後は改正前の要件に加えて、帳簿価格が1,000万円以下の資産についても対象外にできるようになりました。
8. スクイーズアウトに関する相談はM&A総合研究所へ
スクイーズアウトは近年改正されており、一経営者がスクイーズアウトに関するスキームや課税関係を完璧に理解するのは不可能といえるでしょう。
スクイーズアウトは、完全子会社化など会社買収と関連して行われることが多いため、M&A専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
M&A総合研究所では、スクイーズアウトなどM&Aに関する豊富な経験や実績を持つM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。M&Aはもちろんのこと、税務・課税関係についても対応しております。相談料は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合せください。
9. まとめ
スクイーズアウトにおける税制改正や課税関係について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?この記事をまとめると以下になります。
- スクイーズアウトの手法について→スクイーズアウトの手法には4種類あり、現在株式併合によるスクイーズアウトが主流になっています。
- スクイーズアウトの税制改正による変更点について→適格要件が必要になったり、連結納税企業については手続きが簡単になったりしています。
- 税制改正後の各種課税の見直しについて→改正でみなし配当や時価評価制度について見直しが行われています。
スクイーズアウトを行うことで、重要な意思決定が迅速になり、完全子会社化などのM&Aが行いやすくなります。
しかし、スクイーズアウトは最近大きな改正が行われ、課税関係が複雑になっています。そのため、M&A専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。
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