スモールM&Aとは?探し方・注意点まとめ!実際の案件も紹介!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
荻野光

スモールM&Aとはどのようなものなのか?案件の探し方や注意点を合わせて解説しています。そのほかにも、スモールM&A市場の様子や企業・サラリーマン・個人投資家などの買い手に合わせた情報について、実際の案件も取り上げながら解説していきます。

目次

  1. スモールM&Aとは
  2. スモールM&Aが人気の理由
  3. スモールM&A案件の探し方
  4. スモールM&A案件選びの注意点
  5. スモールM&Aでよくあるトラブル
  6. スモールM&Aの案件紹介
  7. まとめ
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1. スモールM&Aとは

スモールM&Aとは

スモールM&Aとは、どのような買収・合併をさすのでしょうか。

当記事では「スモールM&Aを詳しく知りたい」「スモールM&Aの利用を考えている」方のために、定義や具体例、背景について解説します。

スモールM&Aの定義

スモールM&Aとは、小規模会社・個人事業の会社を対象としたM&Aのことです。とはいえスモールM&Aには、はっきりとした定義がありません。

一般的にスモールM&Aといえば、企業の譲渡・買収価格を1億円以下とした取引をさします。さらに定義を狭めれば、数百万円から数千万円で取引される案件をスモールM&Aと呼ぶこともあるのです。

そのほかの定義では、売上高・年商が目安とされます。売上高を基準とする場合は1,000万円から5億円ほどの小規模会社・個人事業が対象となり、年商が目安なら数千万円から3億円ほどです。

また、従業員の数が数人から30人程度の小企業の中でも小規模で事業を営む会社がスモールM&Aに該当します。

【スモールM&Aの定義】

  • 小規模・個人事業を対象としたM&A
  • 譲渡・買収額は1億円以下
  • 売上高は1,000万から5億円ほど
  • 年商は数千万から3億円ほど
  • 従業員は、数人から30名程度

具体例①:老人ホームの運営会社

スモールM&Aの実態を理解するために、事例を取り上げてみましょう。

売り手は老人ホームを運営する会社で売上高は4億円ほどでしたが、後継者が見つからず赤字を出して設備投資の資金を賄えずにいました。

買収を行った企業も老人ホームを運営する同業者です。施設を建設し経営を行っていたものの入居者の希望が多く、部屋数が足りていませんでした。そこで、売り手企業の買収を決意。入居希望者の取りこぼしを回避したのです。

具体例②:ECサイトとアフィリエイトサイト

インターネット上で事業を展開するアフィリエイトサイトやECサイトも実例のひとつです。このような事業も、スモールM&Aの案件として扱われています。

買収の一例を挙げてみましょう。売り手企業は、ハイブランドの女性服を取り扱うECサイトで、会社の年商は1億円ほどでした。売却する理由は、経営は順調だったものの経営者の心が変わって別事業に関心を向けるようになったためです。

買い手はこの会社を1億円で買収し、サイトを獲得することでシナジー効果が得られると判断し、買収を実行に移しています。

スモールM&Aの案件は安価な譲渡額で企業を買い取れるため、起業・新事業を検討する経営者やサラリーマンなどの個人、投資家の注目を集めているのです。

また、スモールM&Aで売り手企業を買収すれば、所有するノウハウ・設備・資産など引き継ぎが可能です。このような、承継によるメリットがあることも取引が増えている要因といえます。

スモールM&Aの現状

スモールM&Aの市場では、活発な取引が行われています。譲渡・買収の対象とされるのは小規模会社や個人事業で、経営者の年齢・業界の伸び悩み・設備の老朽化などを理由に企業が売却されています。

スモールM&Aの市場で取引される会社では、多くの経営者が60歳を超えています。さらに、この市場では数年の間、売上高と労働生産性が横ばいで推移してきました。加えて設備の老朽が進み、1990年を基準とした設備年齢指数が約2倍の値を示しています。(2018年「小規模企業白書」より)

つまり、小規模企業と個人事業には会社を売却したり、事業承継を行ったりする動機があるのです。そのため、スモールM&Aの市場では、企業の生き残り・事業承継のために多くの取引が行われています。

最近では特に、ベンチャー企業へのM&Aが活発に行われています。ベンチャー企業の多くは中小規模で新しいサービスを展開しており、それを取り込んで事業の拡大などを目指すことや投資目的のためにM&Aを行う事例が増えているのが現状です。

件数推移

スモールM&Aの件数は、年々増えています。2018年の「中小企業白書」によれば中小企業のM&Aは526件となっており、2016年の387件から比べると139件も増えています。

※2018年版「中小企業白書」のデータは、中小企業のM&Aを扱う主要三社のデータをもとにした数字です。(主要三社:日本M&Aセンター・ストライク・M&Aキャピタルパートナーズ)

背景①

スモールM&Aが活発に行われている要因は、事業承継にあります。スモールM&Aに該当する案件は、成長・成熟期を迎えた企業や廃業・リタイアを検討している会社です。

売上の伸びが少なかったり停滞していたりする企業高齢・健康問題・後継者不足などで会社をたたむことを検討している会社が当てはまります。

これらの企業が増えたことで市場での取引が盛んになり、スモールM&Aが増加したと考えられます。さらにM&Aの取引は、全企業を含めたデータにおいても取引の件数を増やしているのです。

日本のM&Aが活発に行われているため、小規模企業を対象としたスモールM&A市場にも影響が現れているといえます。

このほかには、買い手側の積極的な行動がスモールM&Aの活況をつくり出していうといえ、M&Aの仲介会社やセミナーなどを利用し、仲介料を支払ったりセミナーに足を運んだりといった行動が見られます。

背景②

また、スモールM&Aの背景には中小企業による買収があることを忘れてはいけません。

中小企業が買収を行う目的は、ほとんどの場合は事業の拡大や新規事業への展開であり、買収先は会社・事業譲渡を望む小規模企業です。

小規模会社・個人事業であれば、少ない買収額で会社や事業を取得できます。しかも、既存の企業・事業を買収するので、起業によるリスクを避けることが可能です。そのため、活発なスモールM&Aの背景には、中小企業が行うM&Aも挙げられます。

スモールM&Aの課題

スモールM&Aが抱える課題は、次の3つです。
 

  • 自社だけで売り手・買い手を探すことは困難を極める
  • 仲介会社に支払う手数料が高額のため、大きな負担となっている
  • 交渉から成約までの期間が長い

スモールM&Aの買い手と売り手は、小規模企業や個人事業者です。上場企業・中堅企業とは違い、人材や資金力に余裕がありません。

そのため、先に挙げた3つの課題が持ち上がり、M&Aを実行に移したくても譲渡・買収をためらってしまう場合も少なくありません。

2. スモールM&Aが人気の理由

スモールM&Aが人気の理由

どのような理由によって、スモールM&A市場に人気が集まっているのでしょうか。その理由には大型のM&A市場とは異なり、M&Aアドバイザー養成講座の利用や投資、起業などの理由が見られます。

人気の理由は、以下の4つです。

  1. スモールM&Aが人気の理由:事業承継
  2. スモールM&Aが人気の理由:投資
  3. スモールM&Aが人気の理由:起業
  4. スモールM&Aが人気の理由:M&Aアドバイザー養成講座の利用

メリットと一緒に確認していきましょう。

①スモールM&Aが人気の理由:事業承継

スモールM&Aが市場で人気を集めている理由には、事業承継が挙げられます。中小企業庁の調査(2018年「小規模企業白書」)によれば、ここ数年の売上高に目立った上昇率は見られません。

事業承継のメリットには、主に以下の3つが挙げられます。
 

  • 会社の成長と事業の拡大が望める
  • 株式譲渡を選べば取引先・雇用契約などを引き継げる
  • 新しい拠点・新事業の立ち上げを少ない労力・時間・費用で完了できる

買い手側のメリットは、スモールM&Aで企業の成長と拡大を図れることです。譲渡の対象となる案件は、資金力・人手が足りていないことで市場の変化に対応しきれていません。

そのため、自社の事業と融合させることで財務状況を回復させ、不足する点を補えば利益を増加が可能になります

事業承継を選べば、新店舗を増やしたり新事業を立ち上げたりするよりも少ない労力で事業基盤を強化できます。

また、調剤薬局に代表される一部の業界では、制度の改正が行われました。この改正により、小規模企業を取り巻く環境が大きく変わり、利益を得られにくい状況がつくられたのです。

そのような背景から、個人事業者を含む小規模企業はスモールM&Aを選択するケースが増えています。

後継者問題

事業承継を選ぶ理由は、後継者問題を解決するためでもあります。

中小企業庁によれば、60歳以上の経営者のうち後継者が見つかっていない人は全体の7割近くに達しています。また、3割近くの経営者が企業の成長・拡大を望み、6割以上が事業の安定と維持を希望しているのが現状です。

このような結果から、スモールM&Aの案件には後継者問題を理由に事業を引き継いでくれる会社が多いという点が挙げられます。

経営が安定している小規模・個人事業でも事業承継を望んでいるため、魅力的な案件が市場に出回っているといえます。

②スモールM&Aが人気の理由:投資

2つ目に挙げる理由は、投資の対象にされている点です。買い手は、売り手企業の価値が下がったところで買収を行い、事業を継続させます。

その後、自社や個人のノウハウを活かして企業の価値を上昇させるのです。頃合いを見計らって譲り受けた会社・事業を売却すれば、利益が得られます。

投資のメリットには、次の3点が挙げられます。
 

  • ROIが高い
  • 短期間で投資額を回収できる
  • パターンを確立することで、複数の案件を取り扱える

得られるメリットには「投資に対する利益の割合(ROI)が高い」「投資した金額を早々に回収できる」などの点が挙げられます。そのため、不動産や株の投資からスモールM&Aの案件に切り替える個人投資家が増えているのです。

ただし、投資額を回収したり企業の価値を高めたりするには、長い期間を要することも知っておかなければいけません。

とはいえ、経営を軌道に乗せるノウハウを確立していれば、スモールM&Aはよい投資先と判断されます。似たような案件を買収して利益を上げる例も見受けられます。

③スモールM&Aが人気の理由:起業

3つ目の理由は、起業しやすい点です。対象の案件から会社や事業を譲り受けるため、一から会社を興す必要がありません。

そのほかのM&Aと比べて、買収額を抑えられることから買い手には法人やセミナーで知識を得た個人・サラリーマンの方が多く見受けられます。

起業のためにスモールM&Aを利用した場合には、次のようなメリットが得られます。
 

  • 黒字事業引継ぎ
  • ノウハウ引継ぎ
  • 顧客獲得

黒字事業引継ぎ

スモールM&Aで企業を買収すると、黒字の事業を引き継げます。案件の中には、年齢や後継者の不在を理由にした事業譲渡も少なくありません。

経営状況の悪化が売却の理由ではないため、利益が出ている黒字事業の引継ぎも可能というわけです。

ノウハウ引継ぎ

スモールM&Aを通じて対象の案件を買い取ると、売り手企業が所有するノウハウを引き継げます。

これなら新しい事業に手をつける法人やサラリーマンなどの個人でも、独自の経営手法を構築する必要がありません。

できあがった手法にアレンジを加えて市場にマッチさせればよいので、「なじみのない業界で起業する」「専門的な知識・ノウハウを持ち合わせていない」ケースでも、起業が可能になります。

顧客獲得

このほかにも、スモールM&Aを利用した起業では顧客獲得のメリットがあります。既存の会社・事業を譲り受けるため、買収と同時に顧客がついてくるのです。

これなら、顧客を得るための営業や認知してもらうために広告を出す必要がありません。「営業の経験がない」「広告費を抑えたい」など、個人や企業が抱える問題点を解消してくれます。

④スモールM&Aが人気の理由:M&Aアドバイザー養成講座の利用

4つ目の理由は、M&Aアドバイザー養成講座の利用者が増えていることです。M&Aアドバイザー養成講座はM&Aに精通した企業・協会が主催する講座で、受講することでM&Aのイロハを学ぶことができます。

M&Aアドバイザー養成講座を利用することで書籍には載っていない情報を得られるため、最近ではスモールM&Aに特化したM&Aアドバイザー養成講座が人気です。

M&Aアドバイザー養成講座の利用者

M&Aアドバイザー養成講座を利用する人たちは、3つのタイプに分けられます。
 

  • M&Aアドバイザーの開業を計画している方
  • 金融関係のコンサルタントに勤めている方
  • 個人投資家と事業を立ち上げる企業の担当者

1つ目は、M&Aアドバイザーの開業を計画している方です。税理士や公認会計士、MBAなどを取得している方が、スモールM&Aのスキル・知識を得るためにM&Aアドバイザー養成講座を利用しています。他社と区別することで、スモールM&Aを専門とするアドバイザーを目指しているのです。

2つ目のタイプは、金融関係のコンサルタントに勤めている方です。M&Aアドバイザー養成講座を利用することで、大型案件から小規模案件までの対応を目指します。M&Aアドバイザー養成講座では、実践に基づいたノウハウを提供しているので、スモールM&Aの経験不足を補えます。

3つ目のタイプは、個人投資家と事業を立ち上げる企業の担当者です。M&Aアドバイザー養成講座では、スモールM&Aの概要も学べます。そのため「投資のために小規模企業の買収したい」「新規事業を立ち上げるために、小規模案件の譲渡・買収が必要」という方に、M&Aアドバイザー養成講座が選ばれています。

このように、M&Aアドバイザー養成講座は事業を始める方から個人まで、幅広い人種に利用されています。

【関連】日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)とは?評判はいい?

3. スモールM&A案件の探し方

スモールM&A案件の探し方

スモールM&Aの買収を決めると、次に持ち上がる問題は売り手を探すことです。しかし、スモールM&Aの案件はどうやって見つけ出せばいいか悩みます。

スモールM&Aの案件を探す場合は、以下の方法を検討してみましょう。

  1. マッチングサイトで探す
  2. スモールM&A専門の仲介会社で探す
  3. 公共機関を利用して探す
  4. 知人に紹介してもらう
  5. セミナーに参加する

それぞれの特徴を確認していきましょう。

方法①:マッチングサイトで探す

スモールM&Aの案件は、インターネット上にあるマッチングサイトで見つけられます。

M&Aの仲介・アドバイザリーを営む企業が、サイトを開設しているケースが多いです。マッチングサイトを利用することで、対象企業の業種・事業を営む場所・売上高などの財務情報・希望する譲渡額・譲渡する理由などがわかります。

時間や場所を問わずにスモールM&Aの譲渡案件を探せるため、忙しい方にぴったりの方法といえるでしょう。

また、取り扱う案件はサイトによって異なるため、地域・業種・事業規模を限定した探し方も可能です。ただし、詳細な情報を得るには電話による問い合わせや秘密保持契約の締結が必要とされます。

方法②:スモールM&A専門の仲介会社で探す

スモールM&Aは、小規模企業の案件に特化した仲介会社でも見つけられます。専門の仲介会社を利用することで、全国から売り手企業を探してくれたり抑えた手数料で成約までのサポートを提供してくれたりと、中堅・大型案件と同様のサービスが受けられるのです。

スモールM&Aの仲介会社では全国の案件を取り扱いつつ、限られた地域の案件にも力を入れて売り手の情報を掲載しています。

方法③:公共機関を利用して探す

スモールM&Aは、公共機関でも案件を紹介しています。主な公共機関は、次の2つです。ひとつは、全国にある商工会議所。M&Aの相談や事業の引継ぎに関するアドバイス・情報の提供のほか、売り手企業の紹介などを行っています。

もうひとつが、事業引継ぎ支援センターが行う「後継者人材バンク事業」です。事業承継を支援する機関が、売り手と買い手を結び付ける事業を行っています。

拠点の数は11か所あるので、利用する場合は最寄りの事業引継ぎ支援センターへ問い合わせてみましょう。

関西では大阪商工会議所が有名

大阪を中心とした関西圏でスモールM&Aを検討するなら、大阪商工会議所を利用してみましょう。公的な機関で初となる匿名性のM&A市場がつくられています。

売り手企業の所在地には、大阪をはじめ周辺の神戸や京都、兵庫などが多いため「関西を基盤に事業を広げたい」「これから大阪を中心に事業を始めるつもり」など、大阪を起点とした事業を営む方にはうってつけの紹介所といえるでしょう。

方法④:知人に紹介してもらう

スモールM&Aでは、知り合いによる紹介でも案件を見つけられます。顔の広い友人を通じて、事業譲渡を望む会社を紹介してもらうことが可能です。

ただし、紹介を依頼してもふさわしい相手が見つかる保証はありません。効率よく売り手企業を見つけたいなら、ほかの方法も検討しておきましょう。

知人の紹介で適切な相手が見つかった場合は、専門家のサポートを受けながら進めるのをおすすめします。専門家にサポートを依頼することで、交渉や成約が長引かずスムーズなクロージングに期待できます。

【関連】M&Aのクロージング手続きの内容や期間を解説!必要書類や成功ポイントは?

方法⑤:セミナーに参加する

スモールM&Aの案件を自分で見つける場合は、M&Aのマッチングサイトやコンサルティング会社などが開催するセミナーに参加してみましょう。

M&Aの事例や買収のポイントに加えて、経営者や個人投資家に向けて案件を紹介しています。

セミナーによっては、インターネットでは公開していない案件を紹介してくれます。自分で探したり商工会議所を訪れたりしても求める案件に出合えなかった場合は、セミナーに参加することもひとつの方法です。

ただし、セミナーの募集は人数制限があるため、参加したいセミナーがある場合は早めに予約を入れるといいでしょう。

自分で案件を探す方もセミナーに参加している


自分たちで売り手企業を探す場合も、M&Aアドバイザー養成講座などのセミナーに参加することがあります。

セミナーを受講することでスモールM&Aの流れ・情報・具体例などを知れるため、売り手の絞り込みや交渉・成約の段階で気をつけるべき点などを把握できます。

セミナーを利用する場合は、少人数の講座を選びましょう。人数が多いと一方的に話を聞くだけで終わってしまいます。

セミナーのスケジュールに質問する時間や参加者同士で議論を交わす時間が確保されているかを確かめるようにしましょう。

また、セミナーの料金を把握しておきましょう。M&Aアドバイザー養成講座では10万円台から20万円前後の受講料がかかります。

M&Aアドバイザーの資格が必要なければ、無料で開かれる入門編のセミナーを利用するのもいいでしょう。

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4. スモールM&A案件選びの注意点

スモールM&A案件選びの注意点

スモールM&Aで案件を見つけると次は案件の絞り込みですが、買収に見合う企業・事業を見極めるためにはいくつか注意しなければならないポイントがあります。

ポイントは以下のとおりです。

  1. 黒字事業である
  2. 許認可がある
  3. 自社スタッフで補完できる
  4. 決算資料などに穴がない
  5. デューデリジェンスに力を入れる
  6. 信頼できるM&A会社を選ぶ

6つのポイントをおさえ、スモールM&Aを成功させましょう。

ポイント①:黒字事業である

スモールM&Aでは、売り手の財務状況に注目しましょう。対象企業を探すときは、財務状況が黒字であることを確かめてください。

黒字の事業を引き継ぐことができれば、企業・事業を譲渡した段階で顧客を抱えています。さらに、黒字であることから利益が出る状況もつくられているはずです。

スモールM&Aの市場では、事業承継を理由にした黒字会社の案件が見られます。そのため、スモールM&Aの案件を探す場合は、事業承継を譲渡の理由に挙げている会社に見当をつけてみましょう。財務状況が安定した売り手を見つけられます。

赤字事業でも良い条件

赤字を出している会社でも、場合によってはスモールM&Aの対象といえます。理由は、買収によってシナジー効果を得られる点です。

提供するサービスや商品の種類を増やせたり、市場でのシェアを高められたりします。これなら、赤字の事業を引き継いでも利益を得られる事業へと変えられるのです。

このほかには、事業の将来性を見込んでいることも買収の理由に挙げられます。投資の対象として、赤字会社の買収を行い、経営が軌道に乗りコンスタントに利益が出る会社に育て上げたところで売却するのです。

このような場合は、赤字の会社でも買収する価値のある対象であると判断されます。

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ポイント②:許認可がある

スモールM&Aの買収で失敗しないためには、許認可の有無を確かめましょう。業界によっては、事業を営むための許可・認可が必要になる事態も考えられます。

新規の参入で許認可を得ることが難しい場合は、売り手企業が持つ許認可を利用してみましょう。買収することで許認可も承継できれば、取得する時間・手間・費用を抑えられます。

ポイント③:自社スタッフで補完できる

スモールM&Aの案件では、引き継ぐスタッフの数も検討の対象です。事業を継続するには、活動に必要な人材をそろえなくてはいけません。

売り手企業の売却理由が人手不足なら、自社のスタッフで補えるかどうかを確かめておきましょう。

ポイント④:決算資料などに穴がない

スモールM&Aでも、ほかのM&Aと同様に決算資料などのチェックをしっかりと行いましょう。

デューデリジェンスの実施で簿外債務・偶発債務・過剰在庫など買収後の経営に影響を与える要素を見つけ出し、売り手企業の正しい価値を知って将来のリスクを避けましょう。

ポイント⑤:デューデリジェンスに力を入れる

スモールM&Aの買い手が個人投資家やサラリーマンの場合、デューデリジェンスに力を入れてください。

セミナーに参加したりM&Aアドバイザー養成講座を受講したりする方は、個人で調査を進めることがありますが、デューデリジェンスをおろそかになり買収後に損をしてしまう可能性もあります。

個人投資家やサラリーマンの方がデューデリジェンスを行う場合は、必ず専門家に調査を依頼するようにしましょう。

M&Aの仲介会社やアドバイザリー、税理士・会計士などの専門家のサポートを受けることで、簿外債務などのマイナス要素を見つけやすくなります。

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ポイント⑥:信頼できるM&A会社を選ぶ

スモールM&Aを行うなら、信頼できるM&A仲介会社を選びましょう。特に、小規模企業の案件を専門に扱う会社や幅広い案件を取り扱う会社がおすすめです。

M&A仲介会社の概要はホームページなどを見ればおおよそ把握できますが、実際に希望する規模の案件を扱っているか、担当者との相性などについては無料相談などを利用して確認しましょう

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M&A総合研究事務所では、スモールM&Aの実績・知識が豊富な公認会計士やアドバイザーが、ご相談から契約・クロージングまで案件ごとに3名体制でフルサポートいたします。

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5. スモールM&Aでよくあるトラブル

スモールM&Aでよくあるトラブル

スモールM&Aにより売り手企業を譲り受ける場合、次のようなトラブルに気をつけましょう。

  1. 契約締結前に話していた内容と違う
  2. 従業員の離職
  3. 隠れ債務が後から見つかる
  4. 売買相手が非協力的

個人・サラリーマン・投資家などが買い手のみで買収を進めたり、売り手企業への配慮が欠けていたりすると、思わぬトラブルに見舞われることも考えられます。

反面教師として、事例を確認しておきましょう。

トラブル①:契約締結前に話していた内容と違う

スモールM&Aで見られるトラブルには、成約を済ませたあとに発覚する契約違反があります。実際の財務と提出された情報にズレが生じているケースが考えられるのです。

短期間で成約を終えようとするとデューデリジェンスがおろそかになり、見落としが発生します。特に買い手が個人・サラリーマンの場合は、このようなケースに見舞われることも少なくありません。

損害を避けるには、徹底したデューデリジェンスが必要といえます。安易に契約を結ばず、リスク回避のチェックを済ませることが大切です。

トラブル②:従業員の離職

2つ目に挙げるスモールM&Aのトラブルは、従業員の離職です。M&Aは、経営者同士の取引ではありません。売り手企業の従業員も取引の対象です。

そのため、M&Aに対する正しい認識が得られていないと、買収に合わせて従業員が離職してしまいます。重要な役割を担う社員が出ていってしまうと、想定した売上に達しなかったり利益が出なかったりといった事態も考えられるのです。

従業員の離職を防ぐには、買収先の待遇や働く環境、会社の規模などを伝えて、これまでよりも働きやすい職場であることを伝えましょう。スモールM&Aのメリットを明確にすれば、環境が変わることへの不安を抑えられます。

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トラブル③:隠れ債務が後から見つかる

3つ目に取り上げるスモールM&Aのトラブルは、隠れ債務の発覚です。徹底したデューデリジェンスを行っても、成約後に不良債権などの債務が見つかることがあります。回収できない債権は、買収後の経営を左右しかねません。隠れ債務が発覚した場合に備えて、株式譲渡契約書や表明保証などに契約内容に反したときに補償を受けられる旨を明記しておきましょう。

ただし、訴訟を起こしたとしても買い手側のデューデリジェンスが甘かったことを指摘されて、補償を受けられないこともあります。

買収後のリスクを避けるためには、第三者による徹底したデューデリジェンスが重要です。特にサラリーマンなどの個人が買収を行う場合は、自分だけ実施せずにM&Aアドバイザーや弁護士など、専門家に調査を依頼してください。

トラブル④:売買相手が非協力的

最後に取り上げるスモールM&Aのトラブルは、取引相手による非協力的な態度です。

一方の利益を追求するM&Aアドバイザーに買収を依頼した場合、買い手側の意向を強く押し付ける形で交渉・成約が進められます。すると、売り手側は要望をくみ取ってもらえないため、非協力的な対応を取ってしまうのです。

また、小規模企業にかかる負担も非協力的な態度の原因といえます。従業員の数が少ないため、交渉にかかりきりとなる人材を用意できません。

業務の合間を縫って必要なデータの収集・資料の作成などを行うため、対応が遅れてしまうのです。そのほかには、限られた情報しか提出しないケースも見られます。

「会社の財務状況や会社の内情を知られたくない」「事業所の内部を見せたくない」など、外部に会社の機密が漏れてしまうことを恐れるケースも少なくありません。

このように、スモールM&Aにはいくつかのトラブルが予想されます。時間と費用を節約するには、あらかじめM&Aの仲介会社や商工会議所などに仲介を依頼しましょう。

予期せぬトラブルを避けられれば、滞りなく買収を終えられます。サラリーマンや個人投資家をはじめ、経営者の方も、第三者に仲介を頼むことが大切です。

6. スモールM&Aの案件紹介

スモールM&Aの案件紹介

この章では、実際のスモールM&A案件をいくつかご紹介します。

  1. 大阪市のインド料理店
  2. 大阪府の美容院
  3. アウトドアのウェブメディア
  4. 電子タバコのECサイト
  5. 山口県の調剤薬局

事業の拡大・成長を望む企業や、投資を目的とした個人・サラリーマンの方、起業を考えている方など、それぞれの目的に合ったスモールM&Aの案件を確認してみましょう。

スモールM&Aの案件①:大阪市のインド料理店

1つ目の案件は、大阪市で20年ほど営業を続けているインド料理店。有名人やインドで要職に就く人物などが来店し、レストランの評価サイトでも高い点数を獲得しています。

売上は4,000万円で、取引価格は2,000万円。譲渡の理由は、事業の拡大です。事業譲渡を望み、大阪市のレストラン事業のみを譲渡の対象としています。
 

案件1 インド料理店
地域 関西・大阪
売上高 4,000万円
希望取引価格 2,000万円
譲渡の理由 事業を拡大するため
譲渡の方法 事業譲渡。譲渡の対象は大阪市のレストラン事業のみ

スモールM&Aの案件②:大阪府の美容院

2つ目の案件は、大阪府の美容院です。譲渡を希望する店舗は、全部で6店。希望の条件は、大阪市の周辺で営業する店舗をまとめて買い取ってもらうことです。

6店を合わせた売上は、およそ1億7,000万円。取引額は6,500万円ほどです。
 

案件2 美容院
地域 大阪府
売上 1億7,000万円
希望取引価格 6,500万円
譲渡する条件 大阪市周辺にある6店の美容室を買い取ること

スモールM&Aの案件③:アウトドアのウェブメディア

3つ目の案件は、アウトドア情報を掲載するウェブメディアです。サイトにアウトドアの情報を載せて、アフィリエイト・広告収入で売上を計上しています。

売上高は1,000万から5,000万円で、従業員は5人以下。戦略を見直した結果、事業の譲渡に踏み切りました。
 

案件3 アウトドアのウェブメディア
地域 関東
売上 1,000万~5,000万円
希望取引価格 なし
譲渡の方法 非公開

スモールM&Aの案件④:電子タバコのECサイト

4つ目の案件は、電子タバコのECサイトです。オリジナルの電子タバコを販売しています。売上高は1,000万円以下で、希望する取引価格は1,500万円ほどです。

人手が足りなくなり本業がおろそかになりそうだったため、売却を決めました。
 

案件4 電子タバコのECサイト
地域 東京都
売上 1,000万円以下
希望取引価格 1,500万円ほど
譲渡の理由 人手が不足し、手が回らないため
譲渡の条件 取引先の承諾が必要

スモールM&Aの案件⑤:山口県の調剤薬局

5つ目の案件は、山口県の調剤薬局です。診療所の前にある門前薬局で、保険調剤を取り扱っています。案件の魅力は、周囲に同業の店舗がないこと。買収後も安定した売上が見込めます。

売上高は5,000万から1億円ほどで、希望する取引額は1,000万から5,000万円ほどです。後継者が見つからないため、事業承継を望んでいます。
 

案件5 山口県の調剤薬局
地域 山口県
売上高 5,000万~1億円ほど
希望取引価格 1,000万~5,000万円ほど
処方箋枚数 29枚/日
譲渡の理由 後継者不足

7. まとめ

まとめ

スモールM&Aとは、小規模会社・個人事業の会社を対象としたM&Aのことです。はっきりとした定義があるわけではありませんが、おおよそ以下のような場合にスモールM&Aと呼ばれます。

  1. 小規模・個人事業を対象としたM&A
  2. 譲渡・買収額は1億円以下
  3. 売上高は1,000万から5億円ほど
  4. 年商は数千万から3億円ほど
  5. 従業員は数人から30名程度

スモールM&Aは経営者で進めることも可能です。しかし、手続きの内容が煩雑で最悪の場合損をしてしまうことも考えられます。そのため、できる限り専門家に相談しながら進めると良いでしょう。

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